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光のロザリオ

5竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2011/07/08(金) 15:12:15 HOST:p3161-ipbfp3105osakakita.osaka.ocn.ne.jp

「あれ?」
黒崎は目を丸くする。
自分の右腕をよく見る。光だ。光が纏っている。それ以外は何の変哲も無い。
今まで出てきた『霊魔』は周りの人が片付けてくれたからこういう事態に対して全く何の抗体も無かった。
一方で霊魔の方もきょとん、として黒崎を見つめている。
そして、間もなく第二撃目が炸裂した。
もう一度、同じ腕で攻撃を繰り出す。
黒崎は右腕で防御体制を取ろうとしたが、
今度は今度で何も起こらない。
「はい?」
一難さってまた一難、とはこのことだ。
意味不明な事態があったらあったで困るが、その事態が立て続けに起こらないとなんだかとても不気味だ。
かわすにも間に合わない速度で腕が振り下ろされる。
黒崎は何も出来ず迫り来る攻撃を待っていると、

ズガッ、と霊魔の額に刀が突き刺さる。

しばらく状況把握が出来ず霊魔が固まっていると。やがて大きな声を上げて消滅する。
「……何が」
「『じゃあ、また明日』」
黒崎の後ろから女子の声が飛んでくる。
しかし、その声は黒崎の知っているものだった。少ししか話していないが、今日話したのはその子だけだったので、よく覚えている。
「その約束を破っちゃうのかなぁとか思ったけど、破らなかったら明日も何もないから破っちゃったけど……」
その少女は黒崎の前に立って、小首をかしげる。
「迷惑だった?」
白銀流奈だ。
彼女は剣を拾って、腰に挿してあった鞘へと刀を納める。
「い、いや……。助かったよ、ありがとう」
「そう」
彼女は短くそう返すと大丈夫?と黒崎を見つめてそう問いかける。
黒崎は白銀の心配そうな表情にドキドキしながらもコクリ、とぎこちない動きで頷く。
良かった、と白銀は僅かに表情をほころばせる。
「そういえば」
白銀は黒崎の右腕を取って、
「さっき光が纏ってたみたいだけど……あれは何?」
黒崎はギクリ、とする。
何せ自分でも分からないのだから。
「え、えーと……それが、俺にもよく分からないんだよなぁ……」
誤魔化せるのかと疑問に思ってしまうほど黒崎の誤魔化し方は雑だった。
ふーん、と白銀は適当に相槌を打って、黒崎の右腕を凝視する。
やがて、彼女は彼の手から手を離して、
「光を身体に宿す。そういう人種がいるのは知ってる……。それを自覚してない人は初めてだけど」
白銀は背を向けてそう言う。
そして、顔だけを黒崎に向けて、
「それは光の素質。気をつけた方がいい」
白銀はビシッと指を差して、
「君は弱い人よりも霊魔に狙われやすい。それは……光の素質は霊魔にとっての天敵だから」
じゃあまた明日、と言って白銀は立ち去っていく。
冗談じゃない、と黒崎は思う。
武器も戦う術も持たない黒崎としては、霊魔に狙われるのが一番危ないのだ。
どっかで銃でも調達しとくか?と本気で思う黒崎はよたよたとした足取りで家へと向かう。


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