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光のロザリオ

3竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2011/07/02(土) 04:23:09 HOST:p3161-ipbfp3105osakakita.osaka.ocn.ne.jp

黒崎は、自分が座る予定の席の隣に座って本を読んでる少女に目を奪われながらも自分の席へと向かう。
机の横に鞄を掛け、席に座って、一瞬隣の少女へと視線を向けると、相手もこちらをバッチリ見ているときだったので、必然的に視線が合ってしまった。
恐らく、自分の隣に座った相手が誰か見たかったためにこっちを向いたのだろう。
少女はしばらく黒崎と目を合わせて、やがて口を開く。
「……君、名前は?」
囁くような優しげのある声だった。
黒崎は若干目を泳がせながら答える。
「……えと……黒崎、零鬼……そっちは?」
少女は一拍置いて、
「……白銀流奈(しろがね りゅうな)。……黒崎君って呼んでもいいかな」
どうぞ、と黒崎が答えると少女は再び本を読み始める。
美少女とは話すだけでこんなにドキドキしてしまう自分はどれだけ奥手なんだろうか、と心の底で本気で悩んでしまう。
そこへ、バン!!と大きな音とともに、教室のドアが勢いよく開けられる。
開けたのは一人の少女だ。
肩くらいまでの金髪に、制服はキチンと着ているが、スカートが少し短めで、足の露出を控えるためかニーハイを履いている。
可愛らしい容姿とは裏腹に目つきはかなり鋭かった。
彼女が教室に入ると、周りの生徒たちは一気に静まり返る。
周りでは『奥村(おくむら)だ』『オイオイ、不良と同じクラスかよ』『友達が出来てから大人しくなったって聞いたぜ』などのヒソヒソ話が展開される。どうやら彼女は中学時代に不良と呼ばれていたらしく、それは今でもこれだけの恐怖を煽っているようだ。
彼女は男みたいに鞄を肩に担ぐ感じに持ち、黒板の席順へと目をやる。
彼女が座ったのは窓際の前から四番目の席。
つまり、黒崎の前の前の前の席に彼女は座った。しかも、机に足を乗せる形で。
だんだん始業式の時間が近くなり、教室に生徒が入ってくる。
そして、担任の先生が教室へ入ると、男子生徒一同はギョッとした。
何故なら、担任の女の教師が、胸がでかく、大和撫子を連想されような美貌の持ち主だったからだ。
一方の副担任は白衣を着て、眼鏡をかけている、いかにも理科とか物理とかそういう寡黙の担当のようだ。
「はぁーい!それではぁ、まずは先生のお名前からー!私は倉木尚(くらき なお)っていいます!一番衝撃的なことは、テレビに色がついたことでーす!」
そこで男子生徒はヒソヒソと話しだした。
話題は勿論、年齢不詳の美人教師についてだ。黒崎の中で何かがすーっと引いていった。
「そして、副担任がぁー!」
「望月司(もちづき つかさ)です。どうも」
やる気のない声だった。
自己紹介としてそれはアリなのか、と黒崎は思ってしまう。
二人の自己紹介が終わると、倉木先生は、
「……えーっと、ここでお知らせがあります。実は、クラスの一員である栗村沙織(くりむら さおり)さんが、来れないんです……」
周りがざわつくのをみると、誰もその栗村という子を知らないようだった。
丁度黒崎の前の席が空いている。恐らく、ここに栗村が座るのだろう。
周りが『誰だ』などという声を発する中、黒崎の前の前の前に座っている奥村はぎりっと、悔しそうに奥歯を噛み締めているような表情を見せた。
そうでなくとも、黒崎には、そう見えた。


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