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光のロザリオ

20竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2011/08/19(金) 19:37:28 HOST:p3161-ipbfp3105osakakita.osaka.ocn.ne.jp

「……奥村……」
 奥村は黒崎が向かった場所へとこっそりついて行ったのだ。
 話の内容は大体分かった。
 詳しくは聞き取れてなかったが、白銀が攫われたことと、黒崎と廃工場にいる二人とともに白銀を助けに行く、ということは理解できた。
 奥村は力になりたい、と願っていた。
 それなのに、自分を巻き込まないとはいえ、蚊帳の外にされるのは嫌だ。
 だからこそ、奥村は悔しさを噛み砕いて黒崎に尋ねる。
「……何も、言わなくていい」
 黒崎は奥村の目を見て黙ってしまう。
 睨まれたわけでも、ガンを飛ばされたわけでもなく、ただ彼女の目力に口を開くことが出来なかった。
「お前がここで何をしていたのか、理解は出来た。お前は俺を巻き込ませないために、俺をここに連れて来なかったんだろう?」
 ああ、と黒崎は小さく頷く。
 奥村は怒らない。
 相手の気持ちを汲み取って、相手を信じているから怒らない。
「…信じて、いいんだな」
 奥村は真っ直ぐに黒崎を見つめる。
 期待や願望ではなく、ただ信じて。
「戻って来てくれるのか。お前も白銀も無事で」
 黒崎は奥村を見つめ返して、告げる。
「当たり前だ。信じてくれるか」
 奥村はフッと笑みを浮かべ、当たり前だろ、と返す。
 奥村はすれ違い様に、
「信じてるよ」
 と小さく呟いて、黒崎の頬に軽くキスをする。
 一気に黒崎の顔が赤くなり、その反応を楽しむ奥村。
 からかわれた黒崎は今にも奥村に殴りかかりそうな雰囲気だが、
「行け。戻って来ないと撃ち殺すからな」
「……撃ち殺されてたまるか。絶対に戻ってきてやる!!」
 黒崎はその場から走り去る。
 その背中を見えなくなるまで奥村は眺め、踵を返し歩き出す。
 ただ一言呟いて。

「案外、二人のこと好きなのかもな」


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