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光のロザリオ

11竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2011/07/24(日) 17:33:30 HOST:p3161-ipbfp3105osakakita.osaka.ocn.ne.jp

「……って、何でこんなトコまで来ちまったんだ?」
 教室を飛び出してしまった黒崎は屋上へ続く階段の前まで来ていた。
 昼休みはまだ三十分ほどある。今から教室に戻るのも気が引けるし、白銀にどう話をかけていいかも分からなかった。そのため、屋上へ続く階段を見上げて、
「風にでも当たって気分転換でもすっか」
 黒崎は屋上へ続く階段を上がって、扉を開ける。
 しかし、そこにはすでに先客が一人いた。
 フェンスの上に腕を置き、屋上から見える景色を物憂い顔で眺めている金髪の少女、奥村加凛だ。
 彼女の手にはペットボトルのお茶が握られている。昼休みに気付けばいなくなっていると思えば屋上に来ていたのか、と黒崎は納得する。
 奥村はしばらく、景色を眺めていると、扉を開けた黒崎に気付いたようで顔を黒崎へと向ける。
「……何だ、お前か」
 奥村は珍しいものでも見たかのような表情を一瞬見せるが、すぐに僅かな笑みを浮かべて、
「こっち来いよ。どーせ気分転換だろ」
 普段屋上にいるためか、気分転換しに来る生徒は多い。
 しかし、自分がいるというだけで逃げてしまう生徒も少なくは無い。挙句、上級生も逃げてしまう。
 そのため、奥村にとっては息を吐くだけでクラスメートを怖がらせてしまう教室より、一人になることが出来る屋上の方が居心地が良かったりする。
「…ここっていつもお前一人なのか?」
 黒崎は奥村は『そんな怖くない女の子』と思っているため、何の躊躇もせず、彼女の横へと歩を進める。
 奥村は学校中の生徒からは怖がられているため、敬称で呼ばれることも多いが、黒崎だけは違った。
 奥村は黒崎の対等な呼び方に僅かに表情を綻ばせると、
「外の風浴びたいなら屋上じゃなくともグラウンドがあるしな。ここに来るのなんて一日に三人か四人程度。案外一人でいれるから、俺としちゃかなり居心地がいいんだ」
 奥村はまるで三年間昼休みを屋上で過ごしてるかのような言い方だった。
 それほど、昼休みにはこの屋上に行き来している、ということだ。
「で、白銀はどうした。いっつも一緒にいるみてーだけど」
「……ああ、ちょっとな……」
 奥村の質問に対し、黒崎は少しばかり言い淀む。
 自分がここに来たとき珍しそうな顔をしたのはいつも一緒にいると思ってるからか、と黒崎は溜息をつく。
 奥村は黒崎の言葉に僅かにきょとんとすると、
「…………夫婦ゲンカか?」
「違ぇよっ!!何でそういう発想になるんだっ!?」
 奥村の脳内では、黒崎と白銀は付き合っている、という脳内処理が行われていた。
 何だ違うのか、と僅かにガッカリしたような表情をすれば、再び視線を外の景色へと移す。


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