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光のロザリオ

10竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2011/07/18(月) 12:38:39 HOST:p3161-ipbfp3105osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 奥村加凛は職員室で椅子に座っている担任の倉木尚の話を黙って聞いていた。
 倉木は僅かに表情を曇らせ、眉を下げたまま、
「ごめんなさいね。やっぱり栗村さんとは連絡がつかなくて……」
 今、倉木が担当をしているクラスでは一人の生徒が不登校になっていた。
 その生徒の名前は栗村沙織。不登校になった理由は不明だが、奥村は中学の頃に、彼女と友達になっていた。なんでも荒れていた中学時代、彼女と知り合ったことでまともな中学生活を過ごせたらしい。そんな親友とも呼べる存在が学校に来なければ心配するのも当然だ。
「一応、今日彼女の家を訪ねるつもりだけど……奥村さんも行く?」
 奥村は僅かに考え込んで、
「いえ、いいです。自分からも時折連絡を入れてみますから。失礼しました」
 奥村は軽く頭を下げて、職員室から立ち去っていく。
 職員室を出て、廊下に佇む奥村は小さな声で、ポツリと呟いた。
「……何処にいるんだよ、沙織……!」

「今日は腕立て、背筋、腹筋をそれぞれ百回と素振り避け……」
「待て待て待て待て」
 昼休み。
 一緒に昼食をとっていた黒崎と白銀はそんな会話を教室の一角にて行っていた。
 どうやら学校から帰って来た後の練習メニューの説明らしいのだが、今日も家に来るのかと思うと流石に危ない感じがする。
「何?」
「何じゃねぇよ。何勝手にペラペラと練習メニュー発表してんだ。野球部のコーチかお前は」
 ノンノン、と白銀は人差し指を軽く左右に振って、
「どっちかって言うと私はマネージャーだし」
「そういうこっちゃねぇんだよ!」
 どうでもいいことの訂正を申し出る白銀に黒崎は思わず机を叩き、叫んでしまう。
 その声に教室の皆が一斉にこちらを見たが、とりあえず深呼吸して落ち着くことにした。
 黒崎はゴホン、と一回咳払いをして、
「とりあえず、もう寮には来るな。昨日みたいになったら嫌だし」
「………、黒崎君。忘れてると思うけど」
 緊張感が無いというか、真剣味に欠ける黒崎の言葉を聞いて、白銀は口を開く。
「君は霊魔から狙われる『光の素質』を持ってるの。これからは命を狙われることは当たり前。だから」
「………ッ!いい加減にしてくれよッ!!」
 黒崎は周りの目も気にせず叫んでしまう。
 クラスの皆がこちらを見ているが、黒崎はそんなことを気にも留めず、言葉を続ける。
「もううんざりなんだよ。霊魔に狙われるだとか、そのために強くなるだとか、俺はこんな生活からとっとと帰りたいんだよ!お前の理由で、俺をそっちの世界に引きずり込まないでくれ!!」
 その言葉に白銀は僅かにショックを受けたような顔をして、
「……わ、私はそんなつもりで言ったんじゃ…」
 白銀が訂正するように口を開くが、黒崎は教室を飛び出てしまう。
 クラスの生徒達は『何だ?』『喧嘩か?』などと出て行った黒崎を目で追っていた。
「………黒崎君………」
 白銀は相手を傷つけてしまった、と思い、しゅんとした表情になって俯いてしまう。


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