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てんしさまのすむところ-刹那の大空-
63
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/12/28(金) 00:14:36 HOST:i118-20-98-64.s04.a001.ap.plala.or.jp
おじ様も一緒に病院の廊下を歩く。何を話していいのか分からないらしく、皆無言だった。勿論私も無言だ。
「そうだ、皆家へ来ないかい? きっと玲は家柄のこととかは何も話していないんだろう?」
フッとおじ様が笑う。それは気遣いなのか、ただの思いつきなのか、私には分からなかった。それで、玲のことは知りたい。気づいたときにはもう頷いていて……。葵はジッと地面を見つめた後行くという意思をおじ様に伝える。
彩花も、凛も、ルチ、遊莉もそうだ。小さく頷いて、みんなでおじ様についていく。おじ様に促されて乗り込んだその車は明らかな高級車で……。皆顔を見合わせて、固まってしまっていた。ちなみにステッラはおじ様に見えないとはいえ車に乗せるわけには行かないので、放置。
何気なく後ろを見た葵の話によれば全力で追いかけてきている様子。それ見える人で事情の知らない人が見たらさぞかし怖い光景だろうなぁ。まぁ私には関係ないから良いのだけど。
「少し遠いけど……よりたいところとことかあったら教えてね」
静かに走り続ける車。どんどんと山の方へと入っていくようだ。はて、この辺に家なんてあったかなぁ? そんな風に思いながら景色を眺める。葵はそもそも家が町の外れの外れ、自然たっぷりの場所にある神社にあるから驚いてはいないようである。遊莉もその近所に住んでいるから同じく。
凛はこんなとこに家を建てるなんて物好きだよねぇとか言っている。ちょっと待ってもう一人自然たっぷりのところに住んでる人いるから。しかも神社。
ルチは目をキラキラさせてあたりを見渡している。まぁルチは留学生だし、あまり自然のあるところに遊びにいったりはしてないしね。葵の家は例外。神社だから仕方がないよね。ことあるごとに論外、例外とか言われてるけど。
そんなこんなで好き勝手言っている内に見えてきたのは立派なお屋敷。日本に住んでいてあんな家見れることになるなんてねーと彩花が呟いている。私も激しく同意だ。そして何よりも平然とその門をくぐっていくおじ様が……。
「着いたよ、皆着いてきてくれるかな? 玲の部屋に案内しよう」
頭を下げてくるメイド服の女の人や、執事服の男の人達。訳が分からずにあたりを見渡しながら歩く私達の前を、おじ様は当然のようにメイドにお茶を持ってくるように頼んだり、執事に私達のものを持つように言ったり……。
え、おじ様がここでこんなに平然としているということは、ここはやっぱりおじ様の家で、それは同時におじ様の息子である玲の家でもあることを意味しているわけで……。あれ、もしかしておじ様ってそこそこ良いポストについているとか、裕福どころじゃなくて超お金持ち?
おじ様が立ち止まったのは立派なドアの前。ドアには“AKIRA”とプレートがかかっている。どうやら手作りのようでところどころ字が曲がっていたり、おかしなところに飾りのビーズがついていたりする。名前の下には紙粘土で作られた幼いころの玲そっくりな顔。
ゆっくりと開かれるドア。中に入ると綺麗に片付けられていた。壁にはこの辺では名門な小中一貫校、白蘭東(ハクランヒガシ)学園の制服。そして、その制服を着て、照れ臭そうな表情をしている玲とお兄さんと思われる少年の写真。その横には伏せられた写真立て。
「玲は写真が嫌い見たいでね。いくら使用人が立ててもこっちに帰ってくる度に写真立てを伏せてってしまうんだ」
「……なんで玲が白蘭男子の制服を着てるんですか?」
凛がポツリと呟くように聞く。白蘭男子は白蘭東学園のこの辺の呼び名である。有名市立校で男子校。
確かに私も何で玲が白蘭男子の制服を着ているのか分からない。私は玲とは同じ幼稚園に通っていた。そのころは玲は今のマンションにご両親とお兄さんと一緒に住んでいた。私の隣の部屋だ。ただ、その後、玲は引っ越してしまった。
そうだ、玲は転校生だったんだ。玲は小学四年生のときに私達の学校に転校してきた。そのときの先生の紹介も一般の市立小学校だとしか言わなかったし、玲本人もそうだった。だからだ。何でここに白蘭男子の制服とそれを着た玲の写真があるのかが分からない。
おじ様は懐かしげに壁にかかった制服を眺めて、答える。
「簡単な話さ。玲が白蘭男子に通ってたからだよ。転校のときは玲の希望で一般の小学校から転校してきたと言ってもらったようだ。転校した理由は……そうだな色々問題があったんだよ」
凛が納得したように頷いた。彩花は黙って写真を見つめ、葵は壁にかけられた制服をぼんやりと見つめている。ルチは窓から外を眺めていた。遊莉は部屋の中を見てはニコニコと笑っている。もしかすると一人だけ現状を飲み込めてないのかもしれない。
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