[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
メール
| |
てんしさまのすむところ-刹那の大空-
44
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/07/26(木) 00:17:26 HOST:i121-115-63-50.s04.a001.ap.plala.or.jp
どうやら今日は会話が成立しない日のようである。……こういうのは苦手だ。無駄な体力を使ったような気がしてしまう。こっちが言葉を発したらちゃんと返してくれないと……。そんな事を考えていると、美穂がゆっくりと口を開く。確かめるようにゆっくり、ゆっくりと言葉を紡いでいく。
「玲はさ、好きな人とかいないわけ?」
「んあ?」
はっきり言って予想外の言葉だった。今まで美帆がこんな話を振ってきたことはなかったし……少し面倒なことになりそうな気がする。それでも言葉を返さず、だんまりを決め込むわけには行かず、いつもの俺を演じて、よく言う言葉を返してやる。これなら安全だろうしな。
「いや、俺は全ての女を平等に愛してるからさ。つか、可愛ければ何でもオッケー?」
俺の回答に、美穂は呆れたような表情をする。そう、それでいいんだ。そうじゃないと俺が落ち着かない。呆れられているぐらいがちょうどいい。まぁ、それが軽蔑まで行ってしまうとかなり悲しいところがあるんだが。俺は会話の中にちょうどいい温度を見つけて過ごす。何だ、酷くこそこそとした生き方じゃないか。
その後、すぐに教室について、美帆とは別れることになる。俺と美穂は別のクラスで、いつものメンバーの中で俺と同じクラスなのは遊莉と凛だけ。まぁ十分だけどさ。同じ学校だから他のメンバーにもあおうと思えば簡単に会えるし。流石に授業中は無理だけど。
深く息を吸い込んで、教室のドアを開く。突き刺さるのは羨望の視線や、冷たい視線。特殊選抜生と言う名の鎖のせいだろう。初めのころこそ鬱陶しいと思ったものだが、今ではすっかり慣れてしまっていた。いつものことだ。だから視線など無視して自分の席に直進。黒板にデカデカと書かれた自習と言う文字を見て思わずため息をついてしまう。
特殊選抜生と言うのは単純に、優遇処置を受けることのできる生徒のこと。主にネクタイの色と校章の配置で区別される。たとえば、普通の生徒のネクタイが赤なのに対して、俺やそのほかの特殊選抜の人間は青いネクタイをつけている。入試方法は単純に面接と一般入試のものとは違うテスト。後で聞いた話だが、まず一般入試で受かった奴らの中に解ける奴は居ない難易度らしい。まぁ、確かにわけの分からない問題が多かったしな。
ちなみにこの学園に推薦入試制度はない。それの代わりが特殊選抜入試だと思ってくれればいいだろう。学校から選ばれた人間がテストを受ける。この入試は一般入試が三月なのに対して、六月時点で入試、合否の決定とかなり早い時点で行われる。……勝手に選んどいてテストの点数で落とすのはどうかと思うけど。
この入試で受かった奴は俺と葵、もう一人同じ部活の奴。後は女子が数名程度。両手の指があれば十分な数ほどしか居ない。
で、受けられる優遇処置は月に三回分購買か食堂を無料で利用のできるチケットがもらえたり、学費免除だったり、学校内施設の優先利用だったり、その程度。受けているほうはなんとも思わないが、一般生徒の皆様の目にはかなり羨ましく映るらしい。
実際のところは、定期テストのほかに年に三回の支援継続の判断の為のテストをやらされたり、生徒総会の司会の強制に、来客への対応……そんな感じで他の生徒がやらなくてもいいことをやらされたりする。まぁそれでもあまるぐらい優遇してもらえてるのは事実だけど。
ストン、と咳に腰を下ろして、何をしようか、と考える。自習ともなると大半の生徒が雑談したり、遊んだりと、自由にしている。ぼんやりとその様子を眺めた後、遊莉や凛に話しかけることなく、机に突っ伏す。……息苦しい。発作だろうか? そう考えながらも結局何もしない。酷くなったら吸入器を使えばいい。死ぬわけじゃないしさ。
だんだんと意識が薄らいでいく。思っていたよりも寝不足だったのか、発作が酷いのかもしれない。別に抗うこともなく、俺は眠りに落ちていく。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板