したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

てんしさまのすむところ-刹那の大空-

33霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2012/05/11(金) 21:16:19 HOST:i114-180-35-89.s04.a001.ap.plala.or.jp
 「ステッラ、玲にお粥食わせてやれ。それ終わったら飯食っていいぞ」

 それだけを言って俺はテレビをつける。やっていたのはクイズ番組だ。チャンネルを変えるのが面倒だからそのまま放置。番組に目をやりながら盛り付けられた料理からステッラの分を避けておく。俺の嫌いなものは全部ステッラ行きである。居候天使の有効活用。
 玲はゆっくりとステッラが口元に運ぶお粥を食べていた。俺もその様子を見て一安心。自分の晩御飯を食べ始める。時々玲が咳き込むと、少しだけ不安になって様子を確認してしまう。……いや、怖いのは体調じゃなくて別のものなんだけどさ。

 「ッげほ!!」
 「うわ、汚い!! お前、とことん期待を裏切らないよな……」

 ちょうど口にお粥を口に含んだときに、堪えきれなくなったとでも言うかのように咳をする玲。そのせいで口の中に含んでいたお粥が容赦なく飛び散る。ベッドのすぐ下に座っていた俺にも被害はあったわけで、凄く気持ち悪い。
 ステッラが大慌てでタオルを持ってきて、辺りを掃除。俺も責めることは出来なかったから最初の一言を言った後は、黙ってついてしまった米粒を取ったり、床に散らばった米粒を拾う。玲が申し訳なさそうに謝ってきたから今回は許すことにするよ。
 大騒ぎしながらの食事を終えて、玲に薬を飲ませてため息。何かもう一週間分の体力を使い切った気分だ。本日金曜日のため、体力の残量はマイナスだろうか。……元々兄貴が居るとはいえ、家の中では基本的に一人で居ることが多いのだ。家でまで大騒ぎすることはまずない。まぁ、ステッラが来てからというもの一人で好き勝手する時間が減っている。ああ、癒しが欲しいぜ。

 「んー……助、けて……」

 いつの間にか眠りについた玲を見てため息。一体どんな夢を見て助けを求めているのやら、そんな風に考えては一人苦笑いを浮べた。そういえばステッラは? と部屋の中を見渡せば、俺の携帯でなんかのゲームを楽しんでいるようだ。随分人間的な天使様だな。
 机の上にノートを広げ、本棚から参考書と問題集を数冊抜き取る。ここ最近は勉強なんてしてなかったし、ある程度は復習して習ってないところの穴は埋めておかないと……。勉強するならばステッラが静かな今のうちであろう。近くで騒がれると集中できないしさ。
 ため息をつきながら問題集を開いて、問題に取り組む。元々、勉強はさほど苦手ではないので時間もかからずに休んでいた分の復習と、今日習った分の復習は完了。……ある一教科を除いては。残った一教科、それは……数学である。俺の天敵だ。
 普段なら文句を言いながらも教えてくれる友人は現在喘息でノックアウト状態。使い物になるわけがない。わざわざ調子の悪い人間に教えさせても逆に理解しにくくなるかもしれないしな。何よりも起こして教えさせたことが原因で悪化されたら迷惑だ。

 「あーあ……何で数学なんかがあるんだよ……」

 気づけば夜中の十二時過ぎ。まだ半分も解けていない問題集を見て俺は軽く絶望。もうこうなってくると頭が痛い。静かに立ち上がって部屋から出る。風呂にでも入って気分転換をすれば多少は効率も上がるだろう。……逆に眠気に襲われて、問題に手をつけることなく眠ってしまう可能性も出てくるわけだが。
 リビングで仲良く並んでラブストーリーを見ていた父さんと母さんに声をかけてそのまま風呂場へ。あの夫婦、何故あそこまで仲がいいのだろうか。見ているこっちが恥ずかしくなってくる。でもまぁ、仲がいいことに越したことはないのだし、別に俺は何も言わない。

 やたらと広い風呂場で、一人湯船に浸かる。少しぬるめのお湯が酷く心地いい。ほっと息をついて天井を見上げる。何も無い真っ白な天井。何も無いことが当たり前、というか天井に“何か”が張り付いていたりしたら酷く怖いのだが、時々、その何もなさが恐ろしく感じることもある。……面倒なものだ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板