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てんしさまのすむところ-刹那の大空-
30
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/04/07(土) 03:02:44 HOST:i121-116-249-115.s04.a001.ap.plala.or.jp
それよりも俺が気になるのは浮遊感の方。あと、細い腕で抱きしめられているような妙な感じ。耳に入ってくる吐息の音は一体何なのだろうか? とりあえず言えることといえば、この状況、本当に気持ち悪いです。
「んー、情報の器の知り合いさんだったようですわね。好都合ですの。うまいこと隙を救ってくれそうですわ」
フッと笑う声が聞こえた。玲が走り出すのと、俺が放り投げられるのはほぼ同時で……。落ちる瞬間に確認したソイツは、ネーロとよく似た丈の長い服に黒いスカートをはいた少女だった。腰ぐらいまである黒い髪に黄色い角、赤と黒の翼……紅い瞳。その表情を見た瞬間悪寒が走る。
首もとの取り残されたYシャツの襟のようなものと、黒いラインの入った赤いネクタイに少し目が行ったが今はそれどころじゃない。と、言うか俺は落下していると言うのに何を冷静に人間観察をしているのだろう? もはや危機感がないというレベルじゃないぞ。
「ッ!!」
ぐいっと引き寄せられる感覚。ぼんやりとそいつに目をやると、気まずそうに笑われた。悲鳴にも近い声と、呼吸を乱しながら地面を転がる玲の姿……それを見て無邪気に笑う少女……。危ないとは思うのだけどどうしていいか分からない。いや戦うとか言う選択肢はもちろんありません。俺は馬鹿じゃない。
俺の足が地面についたかと思えば、酷く真面目な表情で、ステッラが覗き込んでくる。凄い速さで玲が走ってきて、まるで盾にでもなるように俺の前に立った。その服のあちこちには僅かな血が滲んでいて、俺は思わず息を飲む。
突然、少女が焦り始める。ステッラがきつく、きつく俺を抱きしめて何かを呟いていた。そんな事お構いなしに玲は、手に持っていた分厚い本を放り投げている。しばらく苦しそうに咳き込んだ後、がっくりと地面に膝をつく。
「にゃー、視覚情報を弄りましたのね? まぁ、本日はここまでにして差し上げます。水の欠片の器も現れて少々面倒ですし」
深くため息をついて少女は飛び立った。俺から離れて玲に駆け寄るステッラと玲を俺はどんな目で眺めているのだろうか。無表情なのか、それとも心配そうな表情をしているのだろうか? 疑問に思ったところで自分の表情なんて分からない。
音も無く放り投げられた本が光を放って、闇に溶けていった。硬く目を閉じた玲は呼吸をするたびにヒューヒューと音を立てている。俺達と遊んでいたときよりも遥かに酷くなっている。顔は真っ青だしもう膝を付いた状態を保つのもきついらしい。
「お前は何を考えてんだ。美穂が心配してたぞ」
思いっきり玲の足を踏みつけてそういう。ここまで悪化したのは自業自得だ。大人しく休んでいなかった玲が悪いのだから俺は同情しない。慌てたようにステッラが「アキ兄は悪くないの!! ボクが無理矢理手伝わせただけなの!!」等と叫んでいたが無視。知るかそんな事。
しばらく玲の足を踏みつけて説教をしていたが、いよいよ玲の呼吸が浅く回数も多くなってきたので、開放。ステッラの頭はとりあえず渾身の力でぶん殴っておく。なぜか俺の手首から嫌な音が響いたが気にしない。……そういえば今ステッラの頭を殴ったのは、昼間に野球部もびっくりのスピードで飛んできた鞄を受けた方だ。やだ、怖い。
ぐったりとする玲を背負い俺は歩き出す。流石に自分よりもでかい相手を背負って走ることは出来ないので、ゆっくりと歩く。早く帰った方が良いのだろうが、無理だ。走ったらまず最初に俺が倒れる。つか歩くだけでフラフラなのに走れるわけがない。
まず玲をマンションまで連れて行って、そこからタクシーを拾って……このまま玲を帰しても懲りずに脱走するかもしれないし、そのまま俺の家に連れて行くか。そうすれば調子が良くなったときに真っ先に事情聴取できるし。
「やれやれ……世話の焼ける奴だな」
「アオ兄、何か嬉しそうなの」
ため息混じりに俺が言うと、ステッラが微笑を浮べてそう言った。俺はそんな事ないと思うのだが、他人から見ると違うのだろう。少なくても俺はちっとも嬉しくないぞ。母さんやら父さんに無理を言わないといけなさそうだから憂鬱だ。
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ギャグ帰って来い、ギャグ。今はシリアスのターンじゃないはずだ
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