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てんしさまのすむところ-刹那の大空-
26
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/03/23(金) 23:34:36 HOST:i121-116-249-115.s04.a001.ap.plala.or.jp
「アオちゃん、リンちゃんって可愛いですね!! 素敵な女の子だと思います」
俺の顔を見上げて、ルチが言った。ああ……ルチに伝えるのを忘れてた。早いうちに言っておかないと、ルチが後々傷つくことになるかもしれない。つか紹介したときに話しとけよな、そう思いながら玲を睨むと、玲はワザとらしく口笛を吹いて顔を逸らしやがった。
「ああ、ルチ、そいつは男だぞ。女子の制服着てるけどさ」
「へ? え、でも女子制服って女の子しか着れないんじゃ?」
俺が言うとルチはキョトンとして凛を見た。そう、凛は家の都合で女の子として暮らしているだけであって実際は男だ。このことを知っているのは学園の教師達の本当に一部と俺達、凛の家族だけ。どういう事情なのかは分からないが皆聞こうともしなかったし、凛も説明しようとしなかった。
軽くルチに説明していると、凛が不服そうに睨んできた。言わなくてもいいじゃないかと言うところだろうか。でも俺は言うぜ。この短時間で溶け込んだのなら後々当たり前のようにグループに加わるはずだ。そうなったときに説明するのは面倒だし。早いうちの方が気が楽だとおもうんだ。個人的には。
肝心のルチはと言えば、容量オーバーといった感じで立ち止まって放心状態。仕方がないからと玲が軽々と持ち上げて歩いている。ブツブツと「女の子が男の子で、あれぇ?」なんていう風に呟くルチのことを玲は爆笑。凛はすっかりと苦笑いを浮べていた。
しばらくその状態で歩いていたが、ルチが現実に帰ってきそうになので全員が全員困ったような表情をしている。最終的にその辺に抛り捨てて行こうか? と誘った張本人である玲が言い出したほどであった。いや、玲の場合は思考回路が可笑しいだけだけど。
「おーい、ルチアーノ君? 大丈夫かな?」
どうにかカラオケの一室にたどり着いた俺たちは、なんだか良く分からないことを口走り始めたルチを、現実に引き戻すことを最優先事項にしている。最早俺達には理解できない次元まで到達していてかなり不気味なのだ。歌おうにもまるで合いの手のように言葉にならない言葉が飛んでくるからそれどころじゃない。
彩花がルチの身体を揺すりながら声をかける。その後ろでは凛が玲に説明を押し付けようとして口論が開始されている。お互いに全く引こうとしないから五月蝿い。凛も自分のことなんだから自分で説明すればいいのにな。どうせいずれはバレるんだし。
さて、マイペース少女遊莉は全員分の飲み物を注文、美穂は曲名リストと睨めっこ……嗚呼、だんだんこの空間がカオスになっていく。いつものこととは言え、まともに最優先事項をこなそうとする人間がいないことにため息をついた。
少しは可笑しくなりかけている人間を気にかけたらどうなのだろうか。全員が全員そうだが、特に美穂。今回は美穂のコンクール入賞祝いだとはいえ、全く相手にしようとしないなんて……。あ、遊莉は輪に入ってくると余計にややこしい事になりそうだから黙ってていい。むしろ黙っててくれ。
「うー……理解した気がします。えっと、凛さんは男の子だけど何らかの事情で女の子のフリをしているんでしょうか?」
彩花が必死になってルチの肩を揺らしていると、ルチがやっと現実に帰ってきたようで、やっと理解できる言葉を発した。その言葉に玲が目を見開いて凛との口論を中断した。凄い勢いで俺達の方を確認してきた。凛も心底驚いたようで目を見開いて硬直。
美穂は気にしていないようで曲の選択を始めている。店員が少しだけ入りにくそうにして全員分の飲み物を持ってきた。……流石小学生の頃からの付き合いだ。しっかり全員の好みの飲み物を注文してやがる。ルチの好みは分からなかったらしく、無難に麦茶。
「まぁそういうことだけど……随分急な理解ね……」
凛が苦笑いを浮べて頷いた。ルチは平然と椅子に座りなおして髪の毛を整えていた。あまりにもあっさりとした展開に俺らは唖然。遊莉だけはニコニコと笑って、ココアを啜っている。流石マイペースというか……まぁいつも通りだけど。
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