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てんしさまのすむところ-刹那の大空-

22霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2012/03/10(土) 16:54:20 HOST:i121-116-249-115.s04.a001.ap.plala.or.jp
 しばらくすると、先輩と思われる男子生徒二人が、一人の少女を引っ張ってきた。肩ぐらいまでの長さの赤茶色の髪、強気そうな茶色の瞳。全体的に遊莉の大人しそうな雰囲気とは真逆の雰囲気を纏った少女だ。……こんなことを言うと怒られるから、本人の目の前では言わないが、絆創膏が良く似合いそうだ。鼻の上の辺りに張ってあっても違和感ないと思う。
 そんな少女の名前は古川 美穂(コカワ ミホ)。遊莉や玲と同じく小学校からの友人だ。ちなみに玲とは同じマンションの隣の部屋に住んでいて、幼稚園の頃からの知り合いらしい。……本人たちは腐れ縁だと言って、嫌がる素振りをしたりするが、俺が見る限りベストペアだ。あまりにも息がぴったり過ぎてイラつくことがある。
 気をつけないと玲が言った悪ノリ全開の言葉に、更に悪ノリを重ねて、事態の収拾を不可能にしやがる。俺らのグーループはただでさえツッコミが足りないから自重して欲しいものである。

 「あ……美穂の鞄」

 俺が軽く手を上げると、野球部も吃驚のスピードで美穂の鞄が飛んできた。手首からちょっと嫌な音がしたけど気にしない。動くから何の異常もないと信じたいのだ。思考を逸らすため、ふとルチに目をやるとぶるぶると震えて、遊莉に頭を撫でられていた。ああ、全て鞄のせいですねわかります。
 遊莉の方は相変わらずニコニコと笑って、美術部の中を覗き込んでいる、それでもルチの頭を撫でるのは止めない。きっとちょうど良いサイズなんだろうなぁ、なんていう風にぼんやりと考えていると、玲が強引に美穂の手を引いて出てきた。離せハゲ、とか色々と暴言が聞こえてくるけど気にしない。

 「はいはい。女子がんな汚い言葉を使うんじゃない。遊莉を見習えお前は」
 「ハゲー、つるつるー!!」

 玲が言った瞬間に、遊莉が明るい声で言った。玲大爆笑である。ルチまでもが俺の横で盛大に噴出していた。美穂は半ば呆れたような表情を浮べて額に手を当てていたが、全員がスルー。まぁおかしな動作でもなかったからな。気にする必要もない。
 ふと、美穂がルチを見た。そして少しだけ首をかしげて「何で噂の留学生君がいんの? 誘拐?」と言った。玲は「説明は後、自己紹介についても同じく」なんて面倒くさそうに答える。その様子を見ていると、自己紹介はもちろん、自己紹介もすっかり忘れそうな気がするのだが。
 のんびりと校門へと向かっていると二人の人影が見えた。一人は薄いピンクのリボンでツインテールにした色素の薄い茶色の髪に、やや赤っぽい茶色の瞳の人物。全体的に細身で、色も白い。垂れ目気味なくせに、強気な印象。ちなみにこの人物、愛らしい見た目とは裏腹にかなりの毒舌家である。……同時に踏み込めば戻ってこれなくなりそうなメルヘンワールドを作り上げるとても素敵な頭の持ち主である。
 そんな人物の名前は菊田 凛(キクタ リン)。その人気は高く、ファンクラブまで出来ていると言う。本人は心底迷惑そうにしていた。ファンクラブの皆さん、騙されてる……お前らが思うほど完璧で可愛らしい人間はここにはいないぞ。
 もう一人は、焦げ茶色の髪をピンクのゴムでポニーテールにした、黒い瞳の少女。俺らのグループ、唯一の良心である。あまりに包容力があるせいで不思議とお母さんのようなたち位置になっていたりもする。数少ないツッコミ役な訳だが、怒らせたりすると、外堀からじわじわと埋めてくるので出来れば怒らせたくない。そんな彼女の名前は野崎 彩花(ノザキ アヤカ)。

 「遅いよ? アキ。ボク達何分待ったと思ってるの?」
 「十分と二十九秒。んで紹介だな。俺は月城玲、んでこれが古川美穂、そっちのツインテールは菊田凛、ポニーテールが野崎彩花、カチューシャつけてるのが永守遊莉だ」

 仁王立ちする凛に対して、面倒くさそうに言葉を返した後、玲は一人ひとりを指して紹介している。特徴については殆ど俺が捉えているものと変わらないようだが、自分のことだけは豪く褒めていた。きちんと変態であることも公言していたが。


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