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てんしさまのすむところ-刹那の大空-

18霧月 蓮_〆 ◆REN/KP3zUk:2012/02/27(月) 20:02:46 HOST:i121-114-186-133.s04.a001.ap.plala.or.jp
 フォークと果物ナイフを片付けていたルチは「な、何で僕まで!?」と言って目を見開いていたが、俺は何も言わない。と、言うよりも、一騒ぎあった影響か、ダルさと気持ち悪さが一気に押し寄せてきて、しゃべるのが億劫で仕方がない。それどころか、少し身体を動かすのでさえきつくて……嗚呼、本格的にもう駄目かも……。
 体調が悪いときに、嫌でもツッコミをしなくてはいけない状況になるのだから、最悪だ。こんなとき、友人がいれば大分楽なのだろうが、そう考えて俺は考えるのをやめた。だって俺の友人、殆どボケばっかりで逆に疲れるんだもん。ツッコミかと思ったらボケに……なんていう変化球を使ってくる奴はいるし、そいつの悪ノリにさらに悪ノリを重ねるのはいるし……。あれ……俺の友人って常識人少ないんじゃないだろうか? 常識人に当てはまる人物が一人しか思い浮かばない……。
 他には不思議ちゃんを通り越して軽く電波な奴に、足を踏み入れたら絶対に戻ってこれないようなメルヘンワールドを作り上げてる奴……もう止めよう。今日は何も考えないで大人しく寝るべきだ。そうしないと悪化してしまう。高校はあまり休んでられないしな……。

 「ルチ……俺、寝るわ。ダルイ」

 食器を洗っていたルチに声を掛けると、ルチは慌てて体温計を持ってきた。一応熱を測っておけということらしい。黙って体温計を腋に挟んでボーっとする。ステッラがのんきに笑いながら「冷蔵庫から見つけてきたのー」と言って持ってきた冷えピタを俺の額に張る。それの、あまりの冷たさに思わず身震い。
 体温計からの僅かな電子音を聞いて体温計を確認する。……まさかの三十八度越え。通りでダルイ訳だ、と思わず一人で納得してしまった。体温計を見たルチはあたふたと慌てて、母さんがあらかじめ用意していったと思われるクスリの箱と睨めっこを始める。自分で分かると言ったら、いいから黙ってなさいと怒られてしまった。……お前は俺の母親か? そう言ってやろうかとも思ったが、やめておく。下手にからかうと後が怖い。
 しばらくしてルチが薬二錠と水を持ってきた。大人しく、与えられた薬を飲んで自分の部屋に戻ろうとする。ふらついて、思うように進めない。最終的にはルチとステッラの二人がかりで俺を運んでいた。……情けない限りである。

 「じゃあ、アオちゃん……お休みなさい」

 俺に布団を掛けて優しく頭をなでた後、ルチは静かに笑って部屋を出て行った。ステッラは部屋の隅に座って俺のことを見ている。その心配そうな表情に心配しなくてもいいぞと言ったら、あっさりと「心配なんてしてないの」と返されてしまった。なんだか少しだけ寂しい。
 息を吐いて目を閉じる。酷く苦しい。目が覚めた頃には少しでも楽になっていることを願って、俺は少しずつ、眠りに落ちていくのだった。

NEXT Story 第二章-欠片使いと狙う悪魔-

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次の章で一気にメインキャラ八名が揃います。
なんかいつものことながらメインキャラ多い気がするけど気にしない((


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