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我、人であるが故人を嫌う。

4神音 桜紗 ◆ptZpvaYoVY:2011/05/05(木) 21:55:56 HOST:i118-17-46-116.s10.a021.ap.plala.or.jp
 小さく笑顔を浮かべる月葉とは違って、月菜は無表情である。そんな月菜を見て、月葉が苦笑すると「月菜は月菜、俺は俺、みんな違うんだから少し理解してやれよ?」と子供をなだめるようにして月葉が言い聞かせるような状況であり、どちらが年上か分からない。代わりに月菜は面白くなさそうに「私は人間自体大っ嫌いだけど、音の様なうるさい人間が一番嫌いなのよ」と容赦なく言い捨てる。

「んな事言わずに、明日ちゃんと音ちゃんに謝れよ。今日は月菜が悪いんだから」

「はいはい。いっつも月葉は音の味方ね」

月葉の発言が気に入らないのか、チクリと月葉に嫌味を言う。夕日はすでに傾いていて、月菜と月葉の顔がオレンジ色に染まっている。黒い鞄はオレンジ色と被り、奇妙な色に見える。
月菜は鞄を月葉に押し付けると「持って行って頂戴。姉である私からの命令よ」と面白そうに笑顔を浮かべる月菜とは違い、今度は月葉がどんよりした表情になりながらもため息をついて鞄を持った。




そろそろ夕日も沈みかけている時間で、クリーム色の壁に赤色の屋根、何とも普通な住宅街の近くに―――豪邸は立っていた。二階建ての部屋が、横に大きく広がっている。
その家のドアには、風音と書かれた表札があり、月菜がそのドアを開け「ただいま」と短く告げるがシン、と静まり返っている。月菜は大きく、そして深くため息をつくと「母様もお父様も仕事のようね……」と寂しそうな、残念そうな声が玄関に響く。静まり返っている家の中で黒い靴をキチンと揃えて廊下を歩いていくと月菜が思い出したように「月葉。今日、何食べたい?」と問いかけてみる。月葉が数分考えている間に月菜は料理を作る準備をし「んとね、月菜が作った――、ハンバーグ、かな」とにんまりと笑い黒い鞄をソファにゆっくりと置く。

「了解」

微かに笑えば材料を取り出して料理を始める。



――――何時も通りの時間を過ごし、何時も通りの言葉を交わす。"人間"を嫌いとする月菜は本当の自分を隠し通し、"普通の人間"を演じているのが、―――風音月菜なのである。





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