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9エカ:2011/03/18(金) 19:40:01 HOST:proxyag065.docomo.ne.jp
(この曲、あの有名な……。)

芝姫さんのギターで始まり、しっかりとリズムがとられているドラム、そして沢田さんの正確にリズムキープされつつ変則的なベース……。

ギターはリズムのみだが、自らのボーカルを邪魔せずしっかりと絡んでいる。

何より、芝姫さんの高音域でのビブラートは最高…。
鳥肌が立ってしまった。

演奏された曲は最近話題のあのバンドの曲。

みんなの知っている曲だからこんなにすぐ、一つになったのだろうか。


……いや、違う。
多分これは…、



「どうだった?」

椎香は、スポーツドリンクを一気に飲み干し、ペットボトルを机に置き訊ねた。

沢田さんは穏やかな表情を崩さす私に笑いかけ、芝姫さんは俯きながら上目遣いぢ見つめてくる。

何、この威圧感は……。
「すごかったよ、何より…とても3日であこまで息ピッタリに合わせられるなんて。」
「ふふ…、私たちも初めてセッションした時吃驚したの。」

一度のセッションで手応えを感じるとき確かにはある。

「もうみんな完成してるって感じだね。」

この言葉にピシリと空気は氷り、一斉にに私へと視線が集中する。

「あのさぁ、聞いて分かったと思うけど…うちらには確実にもう一人ギターが必要なんだよね。」
確かにね…。
芝姫さんは歌うのに精一杯って感じだった。

「だから私達、相沢さんに入部してもらいたいの。」
「わ、…わたしからもお願い……。」

なんとも断りづらい状況……。

「でも…私、そんなに上手くないし…。」

それに、またあんな思いをするのはもう嫌…。

「花乃、あたしね…初めてきちんとバンドやりたいって思ったんだよね。」
珍しく神妙な雰囲気を出す椎香に戸惑い、目を伏せた。

椎香は実力はあるものの、入って合わないと思ったらすぐ抜けていた。
そんな彼女がここまで何かを感じ、そして真剣なのは初めてではないだろうか。

「完成するには花乃が必要なんだよ…いずれは自分達のオリジナル曲作りたい」
「だから、私じゃなくても…」

すると沢田さんは何処からかMDを出し、真剣な瞳で私を見る。

「このMDにはね、相沢さんの昔作った曲のデモが入ってるの。」

「はぁ…って、なんですとっ!?」

いや、確かに昔いろんな曲を暇つぶしに作っていたけど…、

椎香…あとで締める。

「これ聞いて私達、相沢さんにギターやってもらいたいと思ったの。」
隣にいた芝姫さんも頷く。


もう…なんなの。

「じゃあ…、明日セッションしてみて……それから考えさせてください。」


言ってしまった……。

10エカ:2011/03/18(金) 20:13:12 HOST:proxyag065.docomo.ne.jp
「はぁ〜…。」
疲れた…精神的に。

結局あれから、明日のセッションで全てが決まることになった。

この無駄な期待感はなんだろう…

そっとギターをケースから出し、軽く弦を弾いた。
バンドは組んでいなくても、毎日のように触れてはいろんな曲を弾いていた。
ギターを弾くのは嫌いじゃない、むしろ好きだ。
父さんの膝に座りながら、よくいろんな曲を弾いてもらったっけ。
歌を一緒に口ずさんでくれて、優しい父さんが好きだった。

けれど、ステージではガラリと変わってメンバーと激しい音を奏で、ファンと共に一体感を作り出していく。

そんな父さんが格好良くて、憧れて…。
私もいつか、絶対父さんみたいになりたいって思っていた。

求めれば求めるほど音の世界は広がり、終わりが見えない。
それが心地良くて、…

きっと様々な曲と合わせて一つの音を奏でられたら…どんなに楽しいだろうか。


「もう〜わかんないっ!」
……父さんは、どう思うんだろ。

こんな私を…。

11:2011/07/30(土) 19:06:29 HOST:proxyag034.docomo.ne.jp
すごくおもしろかったです♪
続きが気になりますが…もういませんか?


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