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小さな街の中で。

24とある人:2011/05/23(月) 13:53:20 HOST:KD111098194105.ppp-bb.dion.ne.jp
「雄哉君は何で面白くないと思うの?」
「どいつもこいつも、全部知ってる単語ばっか。今更言われなくてもわかってるっつーの。」
「? どうして全部知ってるの?」
「ああ、言ってなかったな。俺は小一から小二までの二年間・・・」
「アメリカに行ってたんだよな。」
博也が後ろから割り込んでくる。
「こいつ、おいしい台詞を・・・!!」
「別においしくないと思うけど。」
「俺が言いたかったんだよ!」
「・・・でさ・・・」
亜矢が雄哉をつつく。
「アメリカに行ってたって本当なの?」
「ああ。いやぁ〜、懐かしいねぇ。アパートに住んでたんだけど、一軒でなんと三階建てですよ。ものすごい広いんだから。」
「ん?一家庭に一階じゃなくて?」
「一家庭に三階、だ。それに、一階あたりの広さもすごいんだから。リビングの広さも日本の二倍くらい。すっげー広いぞ。」
亜矢は頑張って部屋の広さを想像するが、途中で頭がパンクしたようだった。
 なんかいまいち亜矢に伝わっていないみたいだ。
 まあ、あの広さは実際に体験しないと分からないが。
 雄哉はまた黒板を見る。だいぶ授業が進んでいた。先生が動詞がどうたらこうたら、と説明している。
「おーい、斉藤。」
「ん?何かな?」
「そろそろ授業に戻らないと訳分からなくなるぞ。英語は最初が大事だからな。」
「えぇ!?うわ、すごい進んでる!」
亜矢は慌ててシャーペンを手に取り、板書を写す。
「ありがとう、雄哉君。」
「どういたしまして。」
雄哉は一つ、大きなあくびをする。
「なあ、雄哉。」
博也が後ろから声をかけてくる。
「何で『最初が大事』って分かるんだ?」
英語を頭で覚えた訳じゃないだろう?と博也は言った。
「まあ、俺自身は感覚で覚えたけれど。」
「じゃあ根拠は何だ?」
「小杉先輩が実証済みだ。」
「誰だよ、小杉先輩!!」
「豊橋のあたりに住んでいる野球部の先輩だ。県大会に出場したときにこのあたりに来たから、そのときに会った。」
「その小杉先輩とやらと、お前との接点は何だ!」
「・・・偶然?」
「答えになってねえし!」
「その人は最初に英語の先生が嫌いだとか言ってサボったおかげで、入試のときに苦労したらしい。」
「・・・というと、小杉先輩は現在高一か?」
「いや、大一だ。」
「大一って何だよ!」
「大学一年生の略だ。」
「分かってるよ!って言うか大先輩じゃん!」
「現在二十八歳。」
「何浪してんだよ!」
「えっと・・・・・・十浪?」
「・・・・・・その執念は認める。」
「おい、博也。」
雄哉は一旦会話を打ち切る。
「ちゃんと聞いておかないと小杉先輩の二の舞だぞ?」
「はいちゃんとやります!!!」
効果は抜群だった。
 その瞬間、チャイムが鳴り響いた。
「うわ、ぜんっぜんきいてなかった・・・。」
「自業自得だな。」
「くそ、雄哉。お前のせいで・・・」
「話を振ってきたのはお前だろ。」
「そうだっけ?って言うか俺はこんなに長くなるとは思ってなかったよ!」
休み時間が始まり、教室にざわめきが広がる。
「俺はこう見えても結構アドリブが利くのさ。卒業式で送辞を読むことになって、原稿が誰かのいたずらで燃やされたとしても、俺はその内容を思い出しながらおもしろおかしく送辞を読んでやる。」
「・・・すごさは分かったがそれは絶対やっちゃ駄目だぞ?そもそもそんないたずらをする奴はいないだろう?」
「・・・・・・白井あたりがやったりして。」
雄哉が洋子を親指で指す。
「・・・やりそうだな。」


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