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小さな街の中で。

20とある人:2011/05/08(日) 18:27:05 HOST:KD111098194105.ppp-bb.dion.ne.jp
「あれ?」
美野里が雄哉の異変に気付く。
「その手・・・どうしたの?」
「ああ、これ?」
雄哉は右手を美野里の前に持ってくる。
「ま、いろいろあってな。」
その手は血まみれだった。
「いろいろじゃないよ!手にとげが刺さってるよ!?――うわ、すっごい数。早く抜かないと。」
手にとげが刺さっていることは雄哉も気付かなかった。
「わお、こんなに刺さってたんだ。」
「わお、じゃねーよ。」
博也は雄哉の首を掴み、強引に家の中に押し込んで、自分も入る。
「結構深く刺さってるのもあるぞ?手を動かすとき痛くないのか?」
博也は雄哉の手を観察するように見る。手の甲から指に掛けて、大小さまざまなとげが刺さっている。痛々しかった。
「正直言うと痛いけど、まあ大丈夫だろ。」
「「大丈夫じゃない!!」」
博也と美野里が同時に叫ぶ。
「またふすまを殴っただろ。じゃないとこうはならないもんな。」
「じゃあ壁を殴ればいいのか?」
「・・・・・・」
博也は言及しては来なかった。彼も分かってはくれるのだろう。どうしようもない気持ちを。
 リビングに入る。博也はまるで我が家であるかのように救急箱を取り出す。
 美野里が雄哉の手に刺さっているとげをピンセットで一つ一つ丁寧に抜いていく。刺さっていたとげが抜けるごとに、血が染み出してくる。
「ふぅ・・・。これで全部抜けたかな。」
美野里は額に浮いた汗の玉をぬぐう。
「サンキュ。お前はこういうの本当にうまいな。」
「あまりうまくさせないでよね。」
そう言って、美野里はてへっ、と舌を出す。
「んじゃ、手を洗ってくる。」
雄哉は洗面所に向かう。
 蛇口をひねり、ほとぼしる水の中に手を入れる。傷口に水がしみる。
 手を洗い終わり、リビングに戻ると、博也がテレビを見てくつろいでいた。
「自分の家で他人に堂々とくつろがれる気分というものは複雑だな。」
「ここは俺の第二の家だ。」
「そんなことを認めた覚えはない。」
「俺が勝手に決めた。」
博也はテレビを見て爆笑している。別にどうという内容ではない。じつに笑いの沸点が低い奴だ。芸人もこんな奴ばっかりだったら仕事をしていて楽しいだろう。
「そういえば美野里は?」
雄哉は辺りを見回す。
「そこで何かしらの食い物を作ってるよ。」
博也が指す方向を見ると、美野里が台所で何かをしている。
「ちょっと台所借りてるよー。あっ!また多すぎた。」
塩の分量をスプーンで量っているようだが、なかなかうまく行かない。
「うーん、もうちょっとかなぁ。もーちょい、もーちょい・・・」
初めて作る料理らしく、冊子を見ながら調節している。
「あーもう、疲れた!無理!」
美野里はスプーンを投げる。
「さじを投げるな!」
二重の意味で。
 だが、そのツッコミで彼女を驚かせてしまったらしく、きゃぁっ!と悲鳴を上げる。
「悪い。驚かせちゃった?」
「突然現れないでよ!襲われるかと思ったじゃん!」
「俺はそんな男に見えるのか?」
もしくは博也が、か?
「とにかく、塩くらいでそんなに正確に測らなくてもいいんじゃないか?」
「あんた、塩は甘みを引きたたるのよ!そんなことも知らないの!?」
「いや、そのくらいは知ってるけど・・・。」
「塩っていうのはね、とっても濃いの!だから、0.0000001グラムもずれちゃいけないの!」
「それは無理だろ!」
ロボットでも使わない限り無理だ。0.0000001グラム単位って、どれだけ精度なのだろうか。
「1トンもずれちゃいけないの!」
「精度低っ!!」
「もっとマシなツッコミはないわけ?」
美野里は唇を尖らせる。
「悪いが、これが俺のやり方だ。」
だが、先ほどのツッコミはちょっと先を急ぎすぎたようだ。
「で、何作ってるの?」
「そ、それは見てからのお楽しみよ!」
なぜか美野里は顔を少し赤く染める。
「ん、それじゃ楽しみにしてるよ。」
そう言って、雄哉は博也に目配せをする。博也はうなずく。

 二人は二階に上がる。
「何だ、雄哉。」
博也は雄哉に聞く。あらかたの予測は付いているようだ。
「俺さ・・・」
自分で呼び出しておきながら、なかなか話しを切り出す気にはなれなかった。
「俺さ、今日・・・あの時何やってた?」
「やっぱりそれか。」
「・・・一応聞いておかないとな。」
数拍置いて、博也はそのときの状況を教えてくれた。


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