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小さな街の中で。

14とある人:2011/04/03(日) 22:14:53 HOST:KD111098194105.ppp-bb.dion.ne.jp


 008


 家の前に着く。自転車を止め、チェーン錠をかける。家の扉を開ける。
「ただいま〜。」
「おかえり〜。」
しないはずの返事が返ってくる。
 リビングに出ると、博也がソファーに座り、テレビを見ながらくつろいでいた。
「何でお前がここにいるんだよ。」
「いやぁ〜たまたま鍵が開いててさあ。危ないな〜と思いつつ、留守番しててやったわけだよ。」
「と言いつつ人の財布を探らない。」
雄哉は博也から財布を奪い取る。
「いや、元々俺の物なんだから、奪い取ると言う表現は間違ってるだろ。」
雄哉は天井に向かって叫ぶ。
「誰に言ってんだ、お前。」
博也が不思議そうに雄哉を見る。
「独り言だ。気にするな。」
雄哉は冷蔵庫を開け、麦茶を取り出す。
「なんか飲む?」
「いや、なんか食う。」
「ん〜〜。」
雄哉はしばらく考える。
「ちょっと余裕がないから無理かな。」
「あっそ。先月使いすぎたのか?」
「いや、今月の仕送りが三分の二になっちまったからな。」
「たいへんだねえ。」
雄哉はコップに注いだ麦茶を一気飲みする。
「いつものコースを走ってきたのか?」
博也が言う。
「ああ。後半飛ばしすぎて足が痛いんだ。」
「何分かかった?」
「20分くらいかな。」
「速いねえ、相変わらず。」
テレビの中で笑いが起こる。どうやら予定になかったアクシデントがあったらしい。
「ところで博也、」
雄哉は博也に向き直り、顔の前で手を合わせる。
「今日の夕食、お前の家で頂いていいかな?」


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