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初婁
:2010/12/26(日) 14:50:09 HOST:baid201b4d0.bai.ne.jp
「沙夜さんが殺人鬼って……何の冗談だよ」
実をいえば翔も隠れた沙夜ファンであり、その不思議な魅力に取り憑かれた一人だった。
その言葉に雪那は、唇を尖らせて文句を突きつける。
「翔も沙夜さんファンな訳?……ふーんへーえほーお」
「なんだよその訝しげな目は」
雪那はじろじろと翔を疑うような目で数秒見つめていたが―急に吹っ切れたような顔になると、いつもの様に明るい笑顔を顔に浮かべた。
「うんっ、そうだよね!男子ってそんなもんだよね!」
「おい、何か若干失礼な事言ってないか、お前」
「べっつにぃー?」
「……はぁ」
*
≪都内某所 公園≫
「ねーねーねーねー」
「どうした遂に頭がおかしくなったか焔」
「おかしくなったのは兄さんの方じゃない?」
平和な昼下がりの公園に、その余りに不釣合いな少女と男はベンチに座っていた。
一人は、いかつい男。顔にはサンマ傷があり、服も全体的に黒で統一され、見るものにはその道の人物に見える事だろう。
もう一人は、可愛らしい少女だった。13〜4歳だろうか。長い栗色の髪をポニーテールにした、八重歯を覗かせる元気そうな少女だった。あどけなさの残る顔立ちに無邪気な笑みを浮かべている。
可愛らしい少女―薬師寺焔(やくしじえん)は、自分の実の兄である男―薬師寺遠野(やくしじとおの)に、足をばたつかせて話しかける。
「ねーねーねーねー、面白いね!」
「何がだ」
「だって、兄さんが今色々お楽しみ検査中の殺人鬼さん、結構有名なんだもん!」
「……むしろ危険だろ」
「えーッ、どこがどこが……」
そこで焔は言葉を止め、公園の入り口に目を向けた。その顔は今までの子供らしい顔とは一変、周囲を警戒している真剣な表情で―
「へえ……丈夫だね、あの子」
真剣な表情からまた一変―まるで獲物を見つけた鷹の様な笑みを、ニンマリと浮かべたのだった。
その視線の先には、つい先日まで世を騒がせていた「殺人鬼」の姿――
*
走る、
「はあっ、はあっ……ぁあ」
走る走る、
「っ、ごめんなさいッ」
ぶつかりながらも走る、
「―沙夜、さん……?」
少女とぶつかった黒髪の少年は、唖然とした視線を今しがた通り過ぎていった少女の後姿に向け―
*
嫌 いやだ いやだよ
少女は、都会の人混みを掻き分けるように、しかし速度を落さず走り続ける。
なんで アイツ ら 私 私 に 勝た った?
疑問符を、疑問符を。
ただ、少女は幼い頃に感じていた疑問符とは全く違う疑問を浮べ―
誰か タスケテ たすけて
おかあ さん お母さん 助けて―
この場に、いやこの世にさえ存在しない者に助けを求め―
殺人鬼は、都会の昼下がりを、ただただ走る。
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