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2初婁:2010/12/25(土) 21:24:41 HOST:baid201b4d0.bai.ne.jp
第一章

「ねえ!ねえ!翔聞いて聞いて!」
「なんだよ雪那……」
 都内の山沿いにある学園、私立碧稜学園(しりつへきりょうがくえん)の高等部2−Bに、全く対照的な二人が談笑?をしていた。
 底抜けな明るさで黒髪の少年に話しかける少女―名執雪那(なとりせつな)は、黒髪の少年―鮎川翔(あゆかわしょう)がウンザリとしていることも無視して、そのまま話を続ける。

「あのね!昨日もまたあの殺人鬼が出たんだって!」
「ホントお前はその手の話が好きだな……」

 二人の親は従姉妹同士であり、家も近いため幼い頃から一緒に遊ぶ事が多く、言ってしまえばそこら辺の高校生の男女より仲が良かった。
 その事でからかわれることもしばしばあったが、二人は特に気にしては居ない。

「でもね……」
「?」

 雪那は、短めの高く結い上げたツインテールを揺らめかせいつもの様に明るい口調で話していたが、唐突に声のトーンを低め、翔に耳を貸すようジェスチャーをする。
 そのジェスチャーに従い雪那の方へ耳を寄せると、雪那は屈んで翔の耳元に自らの口を近付け―
 一つの「噂」を口にした。

「その殺人鬼―昨日、捕まったらしいの!」

         *

「殺人鬼」―
その正体は、未だかつて明かされたことはない。
ただ言われているのは、それが女性の様な体躯で、セミロング辺りの髪型であり―
―いつも、制服らしきものを着ているという事。
しかし、その制服らしきものは近隣では見た事もないデザインであると言われており(暗闇での犯行で細部まで特定できていない)、今だ犯人は特定できていない。
         *

「でね……」

 雪那は声を潜め、話を続ける。
 いつもとは全く違う雰囲気で、
 ただ一つの「噂」を。

「その殺人鬼の正体―C組の、有栖川さんらしいよ?」

          *

有栖川沙夜(ありすがわさや)。
その外見は上の上、と言って良い造形である。
濡れ羽色の今時珍しい綺麗な黒髪を前は長く後ろに行くに連れて短くなる髪型にしており、それと正反対の新雪の様な真っ白い肌のコントラストはの目立つ特徴となっている。
顔立ちは整っており、どこか陰のある美少女である。見た物を不思議な魅力に引き込むような力があり、校内でもファン倶楽部がひっそりと出来ているとか。
浮世離れした印象と人を寄せ付けない雰囲気を持っている所為か、友人はかなり少ない。その為謎も多く、一目置かれている存在である。
しかし、その雰囲気や謎の多い部分に惹かれるファンが多数おり、ちょっとしたアイドルになりつつある。

≪とある新聞部の情報から抜粋≫

          *

「―はァ?」

 そこで翔は素っ頓狂な声を上げた。


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