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エクスクラメーションマーク

13初婁:2010/12/29(水) 18:43:32 HOST:baid201b4d0.bai.ne.jp
「沙夜さん!」

 その「沙夜に似た少女」の後姿を見つけた翔は、駆け寄りその少女の腕をとった。
 そして―その少女は絶望したような吃驚(びっくり)したような顔をして―

 静かに翔へ振り返った。

「―ッ」

 そして、その少女は漆黒の瞳を見開き、掴まれた腕を必死に振りほどこうともがく。
 呆然としていた翔の掴む手から逃げる事は、思ったより簡単だったらしく―そのまま走り去っていく少女。
 
 ―そのまま数分棒の様に立ち止まっていた翔は、肩に衝撃が走った事で現実へ引き戻される。

「もー、翔!何やってんの?」

 現実に引き戻された瞬間、一番に目に入ったのは――見慣れた幼馴染の顔だった。
 そして―少年は物語の舞台へと押し上げられる。

「今……沙、夜さんが……いたんだよッ」
「……はァ?」
「邪魔……すんなよ……」
「……ちょっと、翔……?」
「どけっ!」
「ッ!?」

 翔は、怪訝そうな顔で見つめる雪那を突き飛ばし―少女が向かった方向へと走り出した。
 何も知らずに、ただ―
 もうこの時には、沙夜が殺人鬼であろうとどうであろうと、どちらでもよかったのかもしれない。
 ただ、自分が連れ戻すと言う―その決意だけを持って。

          *


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