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私立探偵事務所 『向日葵』

14 ◆uXwG1DBdXY:2011/05/26(木) 21:46:58 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp

< 02/絵描き少年と黒の探偵 >


「猫ちゃん、良かったですね。先生」

先週のことをふと思い出しにこりと笑いながら先生、黒髪の男に問いかける

「ん」

短い素っ気無い返事だが嬉しそうな声色と笑みは隠せていない。まあ本人は隠す気もなく、何故か嬉しくなってくすくすと笑みを零した

カラン


唐突にドアベルが乾いた音を鳴らす
扉の向こうに立っていたのは一人の少年


「依頼ですか?」


私が問いかけると少年は数秒たってから頷いた。
間を開ける意味はあったのか、と疑問符が浮かんだがとりあえず先生の座るソファーに座らせキッチンへ向かった
暖かな紅茶の注がれたティーカップをお盆に載せ、戻ってくるとどうやら既に話は終わっていたようだ。相変わらず仕事の早い人だ。

テーブルに紅茶を置くと先生はご機嫌にカップを手に取った
香りを楽しみながら口に運ぶ。事務所においてある紅茶やコーヒーは全て先生が気に入ったものだけを置いていて、別に豆や茶葉に詳しいと言うわけではないらしい。
今日は外が寒い、厚めに入れておいたのだが気に入ってもらえた様子

少年も紅茶を手に取ると口に紅茶を流した


「先生、依頼って…」
「絵の具探しだって」
「…え?」

また探偵からかけ離れた…と呆れつつも、猫の里親探しだって探偵っぽいとはいえない。
何時もの事だと半ば、というより完全に諦めた


「彼は絵描きさんらしくてね、お気に入りの絵の具が切れたらしいんだけど何処にも売ってないんだって」
「へえ…私と同じくらいなのに」
「ニーナだって小説家じゃないか」
「売れてませんけどね!!」

私の声に驚くこともなく、紅茶を飲み干した少年は始めて私の前で声を出した


「…紅茶、おいしい」

ただ一言、そう呟いた
行き成りのことで驚いたが気に入ってもらえたようで、自然と笑顔がこぼれた。お礼を言われて嬉しくない人なんて数少ないもの。


「いえ、お代わり淹れますか?」
「…うん」


紅茶の入ったポットを取りに行こうと再びキッチンへ向かう
そういえば名前を聞いていなかったな。戻ったら聞いてみよう、どんな名前かな、と考えながら戻ると――――


「にゃあ」

部屋は猫だらけ


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