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真昼の月

21りほ:2010/11/03(水) 18:59:48 HOST:cm017.ucat7.catvnet.ne.jp
そこには、卯月がいた。
 卯月はあやちゃんの彼氏。
 背は170㎝くらいで、ちょっとたれ目。
 野球部に所属してる。
 性格は誰にでも優しいから、後輩にもかなり好かれてるんだ。
「あっ! 卯月。何〜? 卯月も買い物?」
「うん、そうなんだよね。
もう、受験まで残り少ないし。
疲れて疲れて。」
 あたしと卯月は、コンビニの裏手にある
小さな公園のベンチに座る。
 息が白い。
 ああ、そっか『もう』12月なんだね。
「卯月はどこ行く予定?」
うーん、と卯月は少し考える。
「吉川高校かな…
あそこは甲子園の常連校だからね。恋は?」
「まだ決めてない。郁と付き合ってたころは、
旭川でいいかなー、と思ってたけど。」
 大体、旭川に行く動機も不純だったしね。
 あたしは下を向く。
 あたし、こんなんで大丈夫かな。
「できればさ…できればだけど、
もう1回付き合う前に戻りたい。
幼なじみのままで、旭川に入りたい。」
 ぼそっと、口に出した。
 そうすると、卯月が言った。 

「無理だと思う。」
 あたしはガバッと顔を、卯月に向ける。
「1回、1歩踏み込んだらもう、元には戻れないよ。
1歩踏み込むのは簡単だけど逆は難しい。 
相手を気遣うのも疲れるし、相手も絶対気を使う。」
 卯月の言葉を噛み締める。
 そのとおりだ。
 『恋人』と『友達』には、はっきりとした
境界線があって、前に進むともう後戻りは出来ない。
 ギクシャクするだけ。
「でもさ、俺は恋が決めたことなら何も言わないよ?
だって恋の人生だもん。
だけど、辛いことがあったら俺に言ってね。
相談に乗るよ。」
 卯月のグレーの瞳が綺麗に光った。
 卯月の瞳は、コンビニに来る前に見かけた
あの猫の綺麗な毛並みの色に似てる。
「うん。」
 あたしは笑う。
 あたしはきっと忘れないだろう。
 卯月の言葉も、瞳のことも、
 あの猫のことも。

つづく…


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