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高専武闘伝記
100
:
武士さん
:2014/11/16(日) 15:03:51
第92話 戦い
ナシス軍は動揺した
「ば、ばかな!奴は振動研究シンポジウムで日本にはいないはずだ!」
司令官らしき人が声を荒げて言う
無理も無い
ここに居るはずの無い男が立っているのだ
秘書官らしき人物が長谷部を抱え奥へ非難しようとした
「ちょっと待ってな、お嬢さん」
「青柳先生!」
「こりゃあ、またえらくたくさんいるねー」
校庭の端にいる小柄な男が辺りを見回す
「先生・・・どうして・・・私が梨の木の制御回路になれば人類は死滅しなくて済む。こんな私でも出来る事がまだあるのに・・・」
「・・・」
「助けて欲しくない!これ以上武士君たちに迷惑をかけたくない!私が犠牲に・・・」
「・・・はぁ?勘違いしてませんか?貴女が犠牲になることはない。だって、私が潰しに来たんだから!」
青柳が5〜6歩前に進むと腰を落とし両の拳を握り締め左右へと一気に開いた
ビシビシビシ
大気にひびが入り割れる
周りの建物や草木が皆倒れていく
「青柳は振動界の王子(プリンス)と呼ばれた地震人間だ!!こちらが数で有利だと思うな。奴は世界を滅ぼせる力をもつ男だ!!!!』
長谷部は涙を流しながら青柳を見ていた
「先生・・・私が勝手にしたこと・・・なのになんで助けになんて来たの・・・」
「勝手?貴女は優しい生徒だから。こういう行動は予想できてました。生徒の尻を拭うのも教師の役目でしょう」
1mの定規を一村の方向に構え振り下ろす
「強制振動!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
校庭を振動が這いナシス軍をなぎ倒していった
「まだまだこれから」
にやっと青柳が笑う
司令官が再び
「青柳・・・地震を自在に操る男・・・あの歳でまだこれほどの力を秘めているとは!一瞬も油断するな!奴はこの世界を滅ぼす能力を持ってる男だ」
部下を叱咤する
振動は校舎を貫き大きな金属音がなった
「くそ・・・なんだったんだ!?」
司令官や幹部たちが机の下から出て辺りを見回す
すると兵士の一人が司令部に駆け込んできた
「司令!大変です!工場棟の分厚い金属扉が先ほどの地震で吹き飛びました!」
「ばかな!あそこには抵抗派の捕虜を閉じ込めていたのだぞ!」
「さすがは青柳。司令。地上は任せる。私はこの女と地下へ向かう」
「ハッ!」
101
:
武士さん
:2014/11/16(日) 17:09:10
第93話 振動
「な・・・なんだ!?この異常な地震は!?」
幹部が慌てふためく
すると奥から一人の男が出てきた
「貴様は・・・!?」
「ほら来るぞ。奴が仕掛けた強制振動が自由振動に変わってくる」
すると校庭が先ほどとは違った波打つ
そして地面が割れ始め何人もの兵士たちが亀裂に落下していった
「く・・勢力で上回ろうが勝ちとタカをくくるなよ!!」
「最後に迎えるのは我々かもしれんのだ…あの男は」
「世界を滅ぼす力を持っているんだ!!!!!」
ナシス対青柳の一戦が幕を開けた
銃や爆弾で攻撃するも
一歩一歩近づく青柳をとめることは出来なかった
「なんですか?歓迎の花火ですか?」
「く・・・なんて奴だ!」
「まったく派手に点火して・・・もっとスマートに灯しなさい」
「スキを見せたな青柳!よそ見している暇は無いぞ!」
情報工学の松園先生が飛び出してきた
「ウィルス・トロイの木馬!」
「んー?」
トロイの木馬を片手でやすやすと捕まえ中の松園ごと一撃で葬った
「幹部の松園さんが・・」
ナシス党員が乱れ始めた
「うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ」
割れた地面から一両の鉄道が飛び出してきた
「沙織ぃぃぃぃぃぃ!!」
「うるせぇ市民!」
赤木が市民に怒鳴る
「きゃあああああスカートが」
「なるように・・・なれだ」
市民・赤木・柿本・高田が戦場に舞い降りた
102
:
武士さん
:2014/11/27(木) 12:38:14
第94話 阻止限界点
一村と長谷部が地下へ続く階段を降りる
最初は土壁のような造りであったが途中から見たことのないような金属の空間となった
「こここはかつて地球に飛来した高度な文明を持つ異星人の残した土産みたいなものだ」
冷たく透き通った金属を見れば地球の物でないことは確かだ
「なぜ私をここに?」
「この先にあるブラックボックスに入る最後の部品がお前なんだ」
階段を降りると木の根に囲まれた大きな空間に到着した
木の根が守る中心に心細く光る大きな梨が浮いていた
周りには様々な機械や配管、配線などがかき集められ異様な空気が漂う
よく見ると透き通った梨の中に種のようなものが見える
徐々に近付くと形がはっきりしてきた
「あれは…人間?」
「そうだ。一村一穂。私の娘だ」
「ッ……あなたっ!なんてことを!」
長谷部が食って掛かると一村は怒りを顕にした
「そうだ!これが奴らの!荒金や政府要人のなれの果てだ」
「!?」
「莫大なエネルギーを持つ梨を制御するために生体端末が必要だとわかった」
「それもとりわけ種子の成長を見守り優しく包み込むような性質を持つ女性がね」
「だから、奴らはこの計画に携わった私の娘を使った!私の娘には適性が少なかったからエネルギー注入中に制御不能になったがね」
「それ以来、私の娘はあそこで眠ったままだ」
近くによって見るとどこかで見たことがある気がした
「この子」
一村は長谷部に銃を突き付けた
「さぁ、入ってもらおう」
長谷部は恐る恐る梨に近付くと
何やら声が聞こえた
無意識のまま手を伸ばし
梨の中へと吸い込まれていった
「ハッハッハ、勝ったぞ荒金!」
暗く広大な部屋に不気味な笑い声が木霊した
103
:
武士さん
:2014/11/28(金) 19:39:41
第95話 敗北
そのころ市民たちはピンチを迎えていた
連戦に次ぐ連戦で疲労はピークに達し
ナシスを裏切り古谷先生がこちらに付いたものの多勢に無勢
「アンタは老いた。女の子一人守れないほどにな」
校舎の屋上から幹部が言い放つ
「ぐっ・・・」
青柳が膝を付く
「目がかすんできました。年は取りたくないものです」
何千という兵士にあっという間に囲まれてしまった
「なぁ、市民。」
「ん?」
赤木が覚悟を決めたように市民に問いかける
「俺がハウリングブラストで退路を作るからお前らだけでも逃げてくれ」
「なっ!俺にまた仲間を見捨てろというのか!」
「しかし・・」
幹部が言葉を遮った
「残念だな。青柳と双頭銃騎は捕らえよ。後は殺せ!」
「市民、また来世でな」
赤木がドラゴンの心臓を口に入れようとした瞬間
突如足元を揺るがす大きな地震に見舞われた
青白い閃光とともに轟音が鳴り響く
すると目の前の校舎を引き裂き1本の大木が現れた
すさまじい勢いで伸びていき一瞬にして空の、太陽の無い暗黒の世界が広がった
「これは・・・」
「まさか!」
赤木と柿本が空を見上げる
「沙織!」
「ッ・・・」
市民が吼え高田が肩を震わせた
「やった・・・ついにやった!これからは俺たちの時代だ!」
幹部が高らかにガッツポーズをした
振り上げた拳の先
上空1万メートルほどから何かが降ってきて地面に落ちた
「梨?」
サーチライトで見上げると無数の梨が降ってくるのが見えた
「な!?」
「今です!」
青柳が地面に拳を突き立てる
すると地面にひびが入り崩落した
「逃がすなー!」
市民たちは奈落の底へと落ちていった
104
:
武士さん
:2014/11/28(金) 20:04:14
第96話 絶望
世界は暗闇に飲み込まれた
核融合炉のエネルギーにより世界の半分を梨の木が覆い尽した
一部の人間たちは地下シェルターに避難したが殆どの人間が梨の木から降ってきた梨に当たり
頭の上に梨がくっついた
無理に取ろうとすると音響兵器化し取った人、取られた人は死亡した
全世界に向け放送が流された
私はこの世界の王である一村だ
諸君ら愚民どもは私の管理下にある
頭の上の梨を取ろうとしても無駄だ
周囲の人間を巻き込み待つのは死だ
梨には管理タグが付いている
私に対する敵意や反乱を企てようものならば
爆破するのみだ
おやおや、こいつはいけないな
私を殺したいと思った者1千万人を爆破した
ハッハッハ
梨に葉っぱが付けばそれは私への忠誠を示すものである
50人の梨の無い人間に梨をつければ葉っぱが一枚付き
爆発におびえる事のない生活を保障しよう
また爆発直前には梨の色が赤・・・つまり林檎に変わる
林檎の周囲50mは音響兵器の範囲となる
林檎をつけてる人間を見つけたら直ちに殺さねば自分が死ぬ事になる
さぁ、私に忠誠を誓え奴隷ども
こうして一村は世界征服を成し遂げた
105
:
武士さん
:2014/11/28(金) 20:28:15
第97話 世界
東京品川区で発芽した梨の木はぐんぐん伸び、上空3万mまで到達した
南米・アフリカの一部・南極を除き漆黒の世界となった
人口60億のうち50億人もの人々が統治され
いつ殺されるか分からない恐怖に怯えていた
支配地は地獄絵図だった
葉っぱによる階級制度
1枚葉市民
無葉市民
その差は大きかった
1枚葉市民になるべく
あるものは仲間を売り梨をつけ
あるものは女を捕らえ強姦のすえ出来た子どもに梨をつけ
あるものは逃げおおせた人間を捉えに出た
そのおかげで人身売買・奴隷オークションが横行
影で人攫いや性的暴行が急増した
無梨市民や子ども大人問わず女が高値で取り引きされた
略奪・殺人・強姦
もはや世紀末である
逃げ延びた10億の市民は南米・アフリカ・南極に別れ細々と生き延びることとなる
106
:
武士さん
:2014/11/28(金) 20:51:54
第98話 国連
一村帝王に対する最後の砦、国際連合
本部ビルは破壊され南極を中心に構えることとなる
彼らとてこの事態をただ見ていたわけではない
少し時を戻し角鬼大佐の懇願により
米軍機動部隊と国連空軍が東京へと侵攻した
任務は焼夷弾による空爆
迎撃機による梨の迎撃
そして当時の通信記録が残っている
「こちらイーグル1間もなく房総上空。真っ暗だ」
「シャドウ1よりイーグル1、こちらも何も見えない」
「シーホークよりシャドウ1現在位置を知らせよ」
「まもなく東京上空。地上では火の手が上がっている」
「なんだ!ありゃ!?」
「どうしたシャドウ3」
「大木が!一本の大木が立ってます」
「木!?」
「シーホークより全機、武器を使用許可。そいつが光を奪った原因だ」
世界各地から戦闘機、迎撃機、爆撃機が出発
東京上空に数千機がいたと考えられる
「FOX2!FOX2!」
「命中!火災発生」
「いけるか?」
「効果なし!」
「編隊長!上空に星空が!」
「なんだと!?」
夜空にちりばめた宝石のように満点の星空
ではない
木に実っている梨が発光していた
やがて空が落ちてきたように
数億・・・いや、無数の梨が彼らに降り注いだ
「うわ!被弾した!」
「ぎゃーぎゃー」
「たすけてくれー」
「・・・・・」
「回避行動!駄目だ!」
ものの数十分で殆どが墜落した
「こちらフューリー3作戦は失敗した」
「全機離脱!」
「死ぬな!」
決死の航空作戦は失敗に終わった
107
:
武士さん
:2014/11/28(金) 21:16:11
第99話 最終兵器
人類に残された最期の矢
そう、核弾頭である
日本近海に配備された各国の原子力潜水艦
アメリカ・イギリス・ロシア・中国・フランス・インド
原潜保有国すべてのSSBNが配置された
「最早、ほかにありません」
「ご決断を、大統領」
「我々はあなたの決断を支持いたします」
世界の魁として
アメリカ大統領を国連が、世界各国大統領が支持
「我々の未来のため、この決断が状況の好転に繋がることを願う」
日本に向け3度目となる核ミサイルを発射した
太平洋にて発射した弾丸は成層圏まで飛翔
しかし上空の木々に阻まれ爆発
一瞬光が差し込んだがあっという間に闇の世界に逆戻り
梨爆雷と根っこによりほぼ撃沈され
もはや人類はなす術を失った
108
:
武士さん
:2014/11/28(金) 21:44:49
第100話 武士としての生き様
-----------くん-----------
-----し------ん-------
声が聞こえる
起きねば・・・
体が動かないでござる・・・
-----ぶしくん---------
さおり?
目を開けると白い空間の中に寝ていた
武士を呼ぶ声
それは紛れもなく長谷部沙織だ
「武士君」
「沙織殿」
手を伸ばそうにも体が動かない
「よかった・・・最後に逢えて」
「最後?」
「私はあなたに生きていてほしかった」
「何を言っておる沙織殿」
「最後のわがままを聞いてもらっていい?」
---------お願い
助けて----------------------
「沙織殿!」
がばっと武士は飛び起きた
「君!大怪我をしてるんだ安静にしてないと」
武士は周りを見る
薄暗い部屋に担架に乗せられ
灰色く汚れた白衣を纏った医者らしき人物に制止されていた
「拙者行かねば!」
男の手を跳ね除ける
地面に脚をつくとぐらっと揺れた
武士の力が抜けたわけではない
床が揺れているのだ
「君!」
「放すでござ・・・」
制止する医者らしき男の顔を見た
髪は乱れ眼鏡は割れ白衣に血が滲んでいた
女、子どもの泣き声
狂気の悲鳴
地響き
「なにが・・」
「あ、君!」
武士は人の流れに逆行して扉にたどり着く
そこで見たものは
巨大な木
炎に包まれた東京
空から無数に降る光る梨
船に乗り切れず桟橋から海に落ちる人々
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
武士は吼えた
荒れた海に虚しく吸い込まれていった
こうして行く当てのない旅が始まった
†BUSIDOU†〜武士としての生き様〜
完
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