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日本海戦役
1
:
武士さん
:2012/05/28(月) 15:20:10
数多の偶然
幾重にも張り巡らされた策略
そして人間としての本能
これらが折り重なって人類の罪を増やし続けるのだ
この三時間が元来からの人間の本質と言えよう
だから私は一瞬一瞬をファインダーにおさめ
歴史の傍観者となれたのであろう
ライカ・J・ウィラード著
『日本海戦役』より
2
:
武士さん
:2012/08/05(日) 09:56:30
私の人生を変えたのはたった一人の女性だった。
私と彼女は高校に入り程無く恋に落ちた。
互いの事を話、たわいもない話をし、あちこちに出掛けたりもした。
私の家の経済状況はあまり良くなかったため、
フリーカメラマンやら新聞記者のバイトをしていた。
付き合い始めて2年が経った高校3年目の最後の夏。
私はこの日の事を忘れることはないだろう。
この慰霊碑に誓って。
3
:
武士さん
:2012/08/05(日) 12:14:47
2016年8月15日
夏休みのこの日
僕は彼女とデートの約束をした。
一ヶ月前からプランを練り、どんな服装が良いか思案し
彼女の望む最高のデートコースを考え出した。
今日の僕は完璧だった。
締め括りに渡すプレゼントまで小さく可愛くラッピングし
ポケットに忍ばせている。
携帯を取りだしメールを読む。
『今日のデート期待してまぁすo(^o^)o』
その一文は僕の心をホットにさせた。
デートの待ち合わせ場所に着いたのは
30分前だった。
4
:
武士さん
:2012/08/05(日) 13:04:24
9時55分
いろいろと今日の事を考えてたら彼女がやってきた。
白いワンピースに小さな肩掛けの鞄。
茶色いショートヘア。
彼女の名前はエリナ・フローライト。
「お待たせぇ」
「ん、全然待ってないよ」
「今日は何処に連れてってくれるのかなぁ?」
「その辺は任せとけ」
「はぁい」
彼女と腕を組んで二、三歩足を進めたときだった。
「あ、飛行機雲」
蒼く澄んだ空に一本の飛行機雲が走っていた。
5
:
武士さん
:2012/08/05(日) 13:58:25
ピーン
何が起こった?
一機の飛行機から何か黒い物が落ちてきた。
それは分散し次の瞬間、僕の体は吹き飛ばされた。
激しい痛みに耐え目を開くとソコは地獄絵図だった。
建物は焼け、人々は倒れ、埃と煤が舞い。
火薬の、血の、人の焼ける臭い。
悲鳴と轟音の中、彼女の姿を探す。
見つけるまでにさほど時間はかからなかった。
「エリナ?」
彼女は空を見ていた。
白いワンピースはあちこちが裂け。
煤と血で汚れ。
それでも凛として空を見上げていた。
彼女の見つめる先に未確認物体が飛行していた。
水平線上に見える球体は、その距離でもフジテレビの展望台ぐらいだった。
声がでない僕に対して彼女は振り向いて笑顔で言った。
「私、行かなくちゃ」
6
:
武士さん
:2012/08/05(日) 14:15:51
一瞬彼女が何を言ってるかわからなかった。
その間にもワンピースの裾を破り、今にも走り出す準備をしていた。
「えり…何処へ??」
「私、パイロットだから、守らなくっちゃ。」
そう言うと彼女は軍港へ走っていった。
僕は彼女を見送るしかなかった?
見送る?
何がなんだかわからない。
だが、彼女を一人で行かせるわけにはいかない。
そう直感が告げていた。
彼女の後を追いかけた。
7
:
武士さん
:2012/08/05(日) 18:23:47
くそぅ
視界がきかねぇ!
汗が目に…
小型爆弾を避け
砕けたガラスに身を切りながら前へと進んだ。
曲がり角を曲がると軍港が見えた。
門のところに人溜まりが出来ていた。
「おい、基地の中に入れろ!」
「お願い、助けて!」
「てめぇ、このやろう」
「さがれ!下がらないと撃ち殺すぞ。」
「おい、逃げろ!そんなこと…」
憲兵が銃を構えた瞬間
一発の爆弾が頭上に降り注いだ。
ジュワッ
目の前で何十人もの人間が散り散りバラバラとなったのを目にした。
8
:
武士さん
:2012/08/05(日) 18:35:46
腰を抜かしてる場合じゃない。
血の池を踏み締め基地内へと入った。
何人もの怪我人や一般市民がごった返していた。
こんなんじゃエリナは見つけられない。
人の切れ目の先に見慣れた髪型を見付けた。
「大谷!」
「ライカか?」
「あぁ、僕だ。みんなは?」
「渋沢も椎名も雅樹もみんなやられちまった…」
く…
なんなんだ、どこの軍隊だってんだ。
何で日本なんかに…
エリナ…
9
:
武士さん
:2012/08/05(日) 19:41:12
「おい!小僧!」
「エリナぁぁ!」
「えっ、ライカ?何でここに」
「貴様!」
僕は憲兵にねじ伏せられた。
「橋爪さん、離してあげて」
「しかし…」
「そーゆーこっと。エリナの意中の人らしいしね」
「カレンさん、そんなんじゃないです」
「あはは~ん。おっさきー」
「む、ライカ!こっちへ!早く」
僕はエリナに連れられひとつの格納庫へ来た
10
:
武士さん
:2012/08/05(日) 23:00:48
「乗って!早く!、舌かむわよ!」
一瞬のGのあと浮遊感
飛んでるのか。
「中央司令部にいく、ちょっと我慢しててね」
現在時刻
10時10分
11
:
武士さん
:2012/08/07(火) 21:24:16
「あいつは!」
空中で一騎の戦闘機とすれ違った。
耳を劈く音とコックピットに炎と煙が充満した。
息を止めるまもなく風防が開いた。
その瞬間、体が・・・
「うわっ」
落ちる−−−−
雲をつき抜け
地面が頭の上に
「しまった」
エリナが被弾した機体を巧みに反転させ再びこっちによってくる
空気が薄い
眼を開けてられない
「ライカァァァァァ!」
「エリナァァァァァ!」
風防を開きエリナが手を伸ばす
僕も千切れんばかり手を伸ばす
人差し指が
中指が
薬指が
当るがなかなか手を握れない
風圧が
地上が
頭を過ぎった瞬間
僕は彼女の手を握った
彼女はコックピットへと僕を引き寄せ
扉を閉めた
地上まで
100mだった
12
:
武士さん
:2012/08/07(火) 22:10:51
基地に着いた僕は医務室に連れて行かれた。
エリナも一緒だ。
「エリナ・・・何故内緒に・・・」
「言わないで。聞かないで。わかってる。」
「だけど・・」
「心配かけたくなかった」
話が途切れる。
僕は何を彼女に言ってあげればいいのか分からなかった。
言葉が詰まるなんて初めてだった。
診断結果は僕も彼女も問題無しだった。
現在10時30分
13
:
武士さん
:2012/08/17(金) 19:36:40
僕はそのまま応接室に案内された。
そこそこの時間が経った。
室内に備え付けた時計の針が合っているのなら
30分ぐらいだろう。
すると一人の男と車椅子の女性が入ってきた。
「窮屈な所に押し込んでごめんなさい。エリナから事情は聞いたわ。」
「貴女は?」
女性をよく見る。
蒼く透き通った長い髪を束ね。
眼は翡翠のようだ。
怪我こそしたような感じではなかったが。
冊子がついた。
「私はこの基地で指揮を取ってる者よ。アイリーン・セレスティア少将」
「貴女は確か…」
「そう、3年くらい前かな。あなたは私にインタビューに来た」
「あ…覚えていてくださったんですね」
14
:
武士さん
:2012/08/17(金) 19:53:31
「あなたは今、記者としてここにいるの?エリナの恋人としてここにいるの?」
僕の心は揺さぶられた。
この決断が後に大きな悲しみを背負う判断となろうとは。
このときに気づくよしもなかった。
「僕はエリナを心配してここにとどまりました。ただ、エリナは自分のできることをしています。なら僕も心配して待つだけでなく、この意味のわからない戦争の真実を伝えたい。だからここにいるのは記者としての僕です。」
セレスティアさんの眼をまっすぐ見据えて話した。
車椅子の彼女は
「一般人を基地内にウロウロさせるわけにはいかない。けど従軍記者ならしょうがないわね。加瀬さん。身分証の発行をお願い。彼をCICへ」
「しかし司令…」
「真実を紡ぐ人が必要でしょ?」
わかりました。
と加瀬と呼ばれる男性は部屋をあとにした。
「CICまで押してくれる?」
「あ、はい。」
「エリナの為だって言われたらどうしようかと思ったわ。頑張れ若者。」
「あの、ありがとうございます。それと…」
「なに?」
「お腹のお子さんは…」
「え、ああ。もうすぐよ。とても大切な人の授かり物だから」
彼女はお腹を擦りながら微笑んだ。
15
:
武士さん
:2012/08/17(金) 20:17:38
11時28分
日本国の防衛施設は孤立させられ
破壊され続けた。
国連軍の大部隊も敵の一個編隊に全滅させられた。
黒狼騎士団
一番機アイヴィ。
そいつが一騎で我々の希望を奪っていく。
絶対強者と呼ぶにふさわしい。
我々を絶望に落とすには十分すぎた。
12時。
我々に残された戦力は、東京湾に擱座した空母天照と中破したエンタープライズ。
それにこの基地だけだ。
すべて合わせても1機動部隊に満たない。
そして敵の大将が演説を始めた
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