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Sky Winds

1武士さん:2012/01/29(日) 23:17:34
人類はかつて多くの戦いを経験した。
戦いこそ人類が有史以来持つ本能といっても過言ではない。
この世界では未熟で稚拙な人類が手を出してはならない技術を使用し
異星体の侵入を招き、そして愚かにも戦いを挑んだ結果
惨敗。
世界は3つに分かれてしまった。

この物語は、一人の人類の少女が仲間と協力し
恒久平和に向けたきっかけを作る。

『たったそれだけのこと』著:片瀬 小百合

2武士さん:2012/01/31(火) 00:18:56
・・・きろ・・・
・・・・・っ・・・・・・・・
「起きないと関節極めるぞ?」
「ひゃい!!」
あわてて飛び起きたはいいケド天井に頭をぶつけベッドに逆戻り。
結局ルームメイトに関節技を食らう羽目になった。
「いてててて」
「あんたが早く起きないからでしょ?」
「だって久々にいい夢だったんだもん」

私の名前はエリナ・フローライト。
イギリスでも名門のフローライト家の次女。
父も母も祖父も祖母も皆パイロットの一家なの。
たった一人の姉もパイロット。
私も皆と同じく民間のパイロットになるものだと思っていた。
父と一緒に日本で開催される航空レース「スカイフォーエバー」を見たとき
すべてが変わってしまった。
レースは大混戦。
各国の屈強なパイロット。
各国を代表する最高の機体を操る。
まさしく白熱していた。
中でも荒々しく力強いトップ集団に魅入っていた。
次の瞬間トップ集団が接触、大事故となった。
パイロットは脱出したが爆発した破片が次々と他の機体に突き刺さっていった。
そんな中、日の丸を背負った機体が弱弱しく可憐な軌道をしながら爆煙に突っ込んだ。
私は煙の中の軌道が光に透けて見えた。
それは舞を踊るような綺麗な軌道。
パワー不足を補えるだけの技量。
気が付けば私は軍に入隊を志願していた。
親と離れ日本にある国連の空軍学校。
ここで学べば必ずあの人に逢えると。
今わかるのは「SYLPHEED」と呼ばれているパイロットだということ。
国連軍航空小隊「Angel」「Pixy」「Sylph」のどれかに所属していること。

「で、誰か分かったの?」
「ぜんぜん・・・でも飛び方を見れば分かるの」
「はぁ・・私の前席なんだからしっかりしてよね」
私は必ず見つけてみせる。
再び人類を統合し異星人を追い出し愛ある地球を取り戻すために。

3武士さん:2012/02/02(木) 21:14:14
「あんたね?最年少新入生」
3人の上級生らしい人が話しかけてきた。
中心にいるのがリーダーのようだ。
小柄でいかにもどこかのお嬢様のようで気品がある。
「エリナ・フローライトです。」
「あら、しゃべれたのね?私はてっきりトイレにも一人で行けない小娘かと」
「しゃべれますけど、たまに一人でトイレには行けなくなります。では、先を急いでいますので。」
私は教室へ向かおうと少女を避けようとすると取り巻きが私の進路をふさいだ。
「生意気ね。私の名前はミホ・サザーランド一等生よ。」
ぬ、やはり上級生だ。
「どいて頂けますか?ミホ先輩。授業に遅れます」
「ほんっと生意気ね。あんた来なさい?私と勝負しなさい?叩き潰してあげるわ」
何でこうなるのかな・・・
私はただ飛びたいだけなのに・・

結局ドッグファイトすることになった。
ミホ先輩は並み位の腕だ。
勝っても面白くないので適度に手を抜いて負けた。
「おほほほ、跪いて謝りなさい」
「ごめんなさい」

「「へ?」」
声がハモった
というか私じゃない。
誰かが土下座している
「へ、ゴミに・・・ひゃ・・・柊・・・楓様!!」
「申し訳ありません・・」

柊楓?
TEAM「Angel」のアタッカーだ。
初めてみちゃったよ

4武士さん:2012/02/04(土) 20:05:53
「楓、行くわよ」
「ほーい」

嵐のようだった
呆けてばかりいられない
なんていったって次の授業はチューターが決まる
成績優秀者にはマンツーマンでエースパイロットが教えてくれる
この基地に配備されている小隊は「Angel」「Pixy」「Sylph」
国連軍のトップが終結している
無理もない・・・
国連の領域はあまりにも小さすぎた

講堂に入ると1等生30人 2等生30人 教員 エース達が待っていた
エースの数は12・・・あれ?
8人しかいない

TEAM「Angel」
日本人を中心とした飛行小隊
戦闘力・統率力・作戦成功率とう平均的なバランスチーム
現リーダーは榊原大和 中佐
あ、楓さんがこっちに手を振っている
会釈して返しておこう

TEAM「Pixy」
現国連所属の国のエースの集まり
容姿などヴィジュアル的に優れたパイロットが多い
性格的にはやや難有なところも
高飛車や高圧的な人ばかり
典型的なお嬢様たち
式典などによく招待される

TEAM「Sylph」
傭兵やら歴戦の集まり
統率や協調性は皆無
しかし目的への執着心はピカイチ
式典等に出てくることは殆どない


(エリナ・・・)
(ん?)
(エンジェルかピクシーがいいね・・・シルフはちょっと・・・)
(なにかあるの?)
(シルフは悪い噂ばかりだから、特にアタッカーの人、戦場で男を食ってるらしいよ?)
(え?)

5武士さん:2012/02/06(月) 11:21:18
うーん
何をやっても思うように芳しくない
飛行成績がトップクラスだった私が
今や中の下だ
他の小隊や共感達と組んだ同期はメキメキと力を付けている
コミュニケーションが取れるようになったらさらに強く
なのに私は…

「sylph」の神崎 梓
悪い噂はたくさん耳にした
戦場で味方撃ちをしたこと
何人もの学生を辞めさせたこと
無愛想でなんも教えてくれないこと
まだまだ他にも

私だけはないと思ってた
しかし現実はうまく行かないもので
教官発表のとき耳を疑った

「お気の毒」
「可哀想に」
「一人脱落」

など囁かれた
私は負けない
一人でだってやってやる
そう思ってたが
今やこの様だ
泣きたくなってきた

私はいつも海に突き出た小さな公園に来る
潮風にあたり泣きたい気持ちを押さえるためだ
この海の先に両親も敵もいる

「こんなとこで寝てると風邪引いちゃいますよー」
「カエ…柊先輩!」
「楓でいいよー」

6武士さん:2012/02/26(日) 10:02:05
人は翼を持たぬが故に飛ぶことはできない
だが空と言う大きなキャンバスを見上げ
誰しもが皆一度は飛びたいと思うだろう
今では空を抜け色のない漆黒の世界
宇宙にまで手を伸ばした
幾重にもおける事故を経験し
死ぬかもしれないと恐怖に打ち勝ち
尚も空を目指す彼らの気持ちがわからない
そう
空は魔物だ
彼らを飲み込み放さない
空の虜になった人々で無事に寿命を全うした人間はいない
それでも彼らは幸せだったのだろうか

エリナ。
お前は何故飛ぶ?
何のために飛ぶ?
護るものも大切なものもないのに。
憎悪や復讐のためにこの空を紅く染めようとするのなら
その時は私がお前を止めてやる。
約束だ

7武士さん:2012/03/10(土) 10:47:21
世界は元々一つの統一国家だった
様々な戦争や疫病などの苦難を乗り越え
ようやっと手にいれた一体感であった
ある日起きた唐突な出来事により世界は崩壊し
混沌とした

ウーウーウー

「うわっ!警報!?」
ベッドから跳ね起き二段ベッドの下に眠る住人を叩き起こした
「智聡!空襲け…」
もういなかった

パイロットスーツに着替え格納庫へ走っていく
先輩には言われていた
『雨が降ろうが槍降ろうが非番は必ず休め』
そんなこと言ってられない
昨日のもう訓練で身体こそ疲れているけど気持ちは高揚している
いける
「格納庫チャーリー2より管制塔、発進許可願う」
『管制塔よりチャーリー2。発進を許可します。訓練生は第二次ラインでバックアップです。幸運を』
「了解」
始動時点検をせずにスロットルを絞り滑走路へと進入する
滑走路の真ん中に来たとき深呼吸をして
キッと前を見据えた
「チャーリー2、ブラストオフ」
今日の滑走路はいつもより短く
群青の空へ吸い込まれる気がした

8武士さん:2012/03/10(土) 20:09:13
神奈川県横須賀基地
国連軍でも最大クラスの軍港がある
元々は自衛隊と米軍がメインであったが現在は国連の残党が
間借りしている形だ
この基地の目的は国土防衛
主に大平洋側から来る敵に対するものである
ただし、現在の日本には稼働できる基地が少ないため過酷な労働を強いられる

『ザーザー…救援を頼む、うわぁ』
『くらえ!この化物』
『イーグル隊とアンバサダー隊は撤退しコールマン隊を支援』
『ステニス被弾、あきづきとウォーロックは轟沈』
『メーデーメーデー、敵機につかれてる、振り払ってくれ』
『蒼の騎士だ、撤退を…』


何…これ…
これが…戦場…
レーダーサイトから味方のIFFがどんどん消えていく
ハァ…ハァ…
酸素マスクをしていても息が詰まる
胸が締め付けられる

『アルファリーダーよりチャーリー2。私の二番機の位置へ』
「了解」
『この戦場には蒼騎士がいる、奴は私が殺る』

レーザービームや味方の爆発を避けるので手一杯だ
こんちくしょう
エアブレーキだ

内蔵が口から出そうな圧力を受ける
敵機が真下を抜けた
「食らえ、フォックスワン」

一機落とした
この躍動感
堪らない

『チャーリー2!僚機から離れるな』

うるさいな
私はエースに

『チャーリー2、後ろに…うわぁ』

蒼騎士だ
敵機のエース
敵討ちだ

9武士さん:2012/03/11(日) 12:57:32
く…
速い…
レーザーの一発一発が正確に機体を貫いていく

「遊んでんじゃないわよ!くそぅ…」

徐々に近づくレーザーを前に目を閉じた
しかしいつまでたってもその衝撃は来なかった
後ろを振り向くと"蒼騎士"と呼ばれる敵機が回避行動に入っていた

『だから非番は休めっつったろ』
「先輩!気を付けて!蒼騎士です」
『バーカ。蒼騎士の部隊のヒヨッコだよ。お前と同じでな』

さすが先輩だ
なんて言ってられない
バランサーもスポイラーもダメだ
燃料も漏れてる
油圧もきかない

『お、おい!脱出しろ、いや、下は海溝だちょい待て!』
「無理です、脱出します!メーデーメーデー」
『くっこんなときに蒼騎士かよ!邪魔すんな!』

ケホケホ
コックピット内に煙が充満した
くそう
このままじゃ
先輩が蒼騎士を押さえてるうちに
うわっ
さっきの奴か!
こんなときに…

その時だった
眼下の海溝
グランドクロスから怪しげな光と共に
私の機体と敵機は吸い込まれていった
そこで私の記憶は途切れた


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