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6フリーザ (ワッチョイ):2020/10/08(木) 12:47:34 ID:0uKcDC2M00
「それじゃ、行ってきまーす!」
今日でここともお別れだ。
村人達の盛大な見送りに僅かな感傷を抱きながらも、足取りは新たな人生の幕開けに高揚していた。
今年で30歳になる俺は、恐らく異例の遅さでの旅立ちになるだろう。
本来なら15歳で旅立つものだ。
だがそれは何の才能もない奴の話。
俺は9歳の時には既に天才と呼ばれ、15歳の時は魔法高等学校へ通い知識を身につけ、その後魔法大学へ行き、魔法院へ。
そして26から4年間は魔法に関する研究を続けながら、村に学校を建てて教育基盤を整える為に奔走していた。
所謂一般的な人間とは違い、冒険者ではなく学者になる道を選んだのだ。
「そして今日から俺は冒険者だ」
子供達に魔法に関する基礎知識を教えながらも、実戦を知らない俺に子供達から向けられる尊敬の眼差し。
いつからか空虚な自分を恥じるようになっていた。
ドン!
「っ!」
突然後ろから強い衝撃を受けた俺は体制を崩しながらも振り返って武器を構えた。
こいつは、スライム?
「なんだ雑魚じゃないか」
スライムはよく実験に使われるから知っている。
細胞を培養し保管するために重宝するモンスターだ。
ふふ、鑑定スキルを持ってる人が院に来て「どうしてこの人達はみんなスライムと仲間なんですか?」と言ったことがあったな。
科学者とは気になった事は確かめないと気が済まない性分のやつらの集まりだ。
独身ばかりの男が集まったら揃いも揃って考えることは一緒かと、妙な一体感を覚えた事を思い出す。
余計な話はここまでにしておこうか。
「白円一閃」
白く輝く刀身が円を描き、刹那スライムを真っ二つに両断する。
「命までは奪いはしない」
不思議そうな顔で自らが切断された事にすら気付いていない様子のスライムが、どこか愛おしく思えた。
その時だった。
『スライムがあなたの仲間になりたそうにこちらを見ています』
『仲間にしますか?』

これはまだ人々が夜の闇を星明かりを頼りに生きていた時の話。
世界中に叡智という名の星灯を散りばめた男の話。

スターネオン「ま、退屈しのぎにはなるか」

答えは、イエスだ。


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