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1日1個、アイディアを書き溜めよう

2フリーザ (ワッチョイ):2020/10/01(木) 23:44:51 ID:0uKcDC2M00
主人公はダンジョンで運搬業務を担当する派遣バイト。
チックス(29歳)
冒険者や魔法使い、才能に恵まれた奴らの影には俺たちのように”ギフト”に恵まれず食っていくために下働きをしている人間もいる。
ダンジョンの中継地点にあるベースに物資を補給したり、新たな中継ポイントに建築資材を運ぶのが仕事だ。
華やかな冒険者たちを横目にただ黙々と運ぶ。
きらびやかな装飾が施されたローブや鎧、高級そうな剣に杖。
よれよれのTシャツに黒く汚れたタオルを首からぶら下げ埃に塗れて働く、恥じる必要はないし、快適なダンジョン攻略のために働いているのだ。
だが、バイト連中は皆こそこそと顔を伏せ、できるだけ目立たないように影に徹する。
社員だけは大声を出して段取りを伝えたり冒険者の人達と挨拶を交わしたり対等に振る舞っているが、所詮この人も”能”無し。
出世したってなにが変わるでもない。
それにしても今回配属された現場、これ大丈夫か…?
一応動線は確保してあるが、灯りが切れていたり、不穏な空気だ。
通常より高日給な仕事だったから二つ返事で首を縦に振ったけど
「命の値段にしちゃ、安すぎたかな…」
チックスは小声でボヤいた。
所々から他のバイト連中の嘆きが聞こえて来る。
トラップ等は対策してあるだろうけど、結局バイトなんて替えのきく駒としか思ってないんだ。
未発見のトラップに俺たちの中の誰かが引っかかったとしても「未然にクレームを防げたな」とエアコンの効いた部屋でコーヒーでもすすりながら笑いのネタにしてるんだろ。
「うぎゃあ!」
突然、前列の方から叫び声が上がった。
声の主を引きずり怒声を発しながら社員が向かってくる。
派遣の群れはモーセのように割れ、徐々に顔を真っ赤にして怒鳴り散らす社員の姿が近づいてきた。
俺もその流れにのまれ押されるようにして壁にもたれかかったときだった。
ガコ
不穏な音と共に、壁がくるっと回転して、俺はさっきまでとは全く違う別の部屋に飛ばされた。
「いてて…なんなんすかこれ…」
さっきまでの喧騒が嘘のように静かな空間が広がる。
恐らく、鉱石か何かをくすねたんだろう。
ダンジョン内にあるものは持ち帰ってはいけなく、換金する際に必ず足がつくし、盗品と知れたら会社の責任問題になるもんな。
「といっても、ここはどこだ?」
事前に受けた説明には無かったし、こんなところ地図にも載ってないよな…。
「あぁ、ちきしょう」
ミイラ取りはミイラになるって言うが、俺はただの派遣バイト。
リスクもリターンも最小な、ただの凡人。
ここに来て特大のリスクだけ背負わされるなんて、通常の日給の1.5倍が俺にとっての大冒険か…。


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