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小説作ったらここに投入してー

1Riva@母PCより:2013/11/30(土) 23:31:28 ID:EAy510BA
そのまんまですー。
俺のやりたいことそのまんまーーー

あ、できれば風切ノ誓関連でお願いします。

118NECURAP:2014/03/30(日) 09:39:42 ID:PKPiAUXQ0
117
そうなの。
今の時点じゃ分かり難いが名前やら殺され方やらなんやら全て布石だよん

119NECURAP@ネットラッパー:2014/04/01(火) 20:02:02 ID:PKPiAUXQ0
意味はないけどここに投下w

第二話『カンタンする』

「ぐ…う…ぇ…」
今しがた声が絶えた。
絶えた、というよりは強制停止となった。
暗い教室で一人の人間が二つに分かれた。
忽ち床が赤く染まる。
ニヤリと笑いそこを後にする。
当然二つに分かれた一つだった人間はそのままにして。


 ■   ■

昨日の室河満入が殺害された翌日、又も殺人事件が起こった。
…らしい。
流石に二日連続で起こるなんて犯人以外は普通に考えて知らないし、
予想もしない筈であって必然的に僕は昨日と同じ時間位に学校にきた。
その時は既に先生達によって
殺人事件が起こったとされる教室は完全に塞がれていたようだった。
そのため僕が事件が起こったと知らされるのは
騒然とした教室から聞こえた話声の中からだった。
それと共に暁からも詳しい内容を聞いた。
場所は施設管理室。
学校の珍しい備品等が置かれている場所である。
殺害された人は、3‐A桐生 朱鳴という女子生徒だった。
死亡時刻は大凡で6時頃らしい。

しかし、二日連続で事件が起こっているのに
学校側は何故何も対処しないんだろうか?
つまりは、休校にするべきではにのだろうか?
この疑問は僕に留まらこの学校の生徒たち殆どが思っていた。
確かに今の時期は3年生は大学受験に向けて猛勉強という最中ではあるが、
死んでは元も子もないだろう。
それでも断固として続ける訳は何故なのだろうか?

「なぁ、暁。なんで休校にならないの?依然としてさ。」
「大人の事情にしても不可解な事だよな。
つうか俺だって憶測でしか分かんないけど。」
その憶測とやらは何なの?と問い質す。
「学校側の印象っていうのかな…
殺人事件が起こるような学校として見られたくないんだよ。
だから今のところ学校内に警察こそ調査しているけれど、
メディア関連のマスコミや新聞記者は一切来てない。
と言うか無理にでもこさせないみたいだよ。」
「へぇ…流石大人。色々と汚い。」
「そんなもんだ。」
「それに殺人事件なんて知らたらそれこそ3年生の受験に響くと思うよ」
「…ところで、犯人像は何か掴めたの?」
「んー微妙。昨日部活の活動時間中に調べてたけどね。」
そう言うと独りでに長々と語り始める。

「そもそも死亡時刻が推定上だと6時頃。
6時って言ってもまぁ俺人の細かな死亡時刻まで調べきれないから
6時〜7時の間の何時かって話になるけどそれは一旦兎も角として、
昨日は当然ながらに部活があって最終下校は6時半なんだよね。
少なからず6時すぎ位までは皆部活していた訳だよ。
それなら被害者は声出せばいいって話なんだよねー」
「出せなかったんじゃないの…?」
「いや俺運良く先生達が備品室塞ぐ前に死体見たんだけど、
口の拘束器具は無かった。
それにあそこは職員室のすぐ近くだから叫べば先生達に届くはずなんだよ。
しかも、少しグロテスクな話になるが首から上が取れてた。生首状態。
備品室ってほかと比べてドアが狭いから大掛かりな物は入れられないし、
鋸の類は両手使わないといけないから叫べるはずなんだよね。
かと言ってナイフじゃ簡単に首なんて切れないし。」
「…て言うか暁ってトリックより犯人探し先決にしてなかった?」
「いやただ死体調べただけ。その結果。」
「ふうん…」
不可思議な事件は一向に正解の姿を現さない。
そして明日はどうなっているのか。
僕らには分かりそうな気配も無かった。

120NECURAP@ネットラッパー:2014/04/05(土) 15:04:15 ID:PKPiAUXQ0

第三話『キキテキ状況』

「ぶぐっ…ぐぁ……!!」
月明かり。
その下に浮かぶ人影。
水に浸かったままで動く気配を見せない。
否、動けない、のか。
微風に水面が揺れ動き、
微々たるものだがその人影が揺めき、蠢いていた。

 ■   ■

大人の事情というのは途轍も無く、底知れぬ程に鬱陶しい。
たった今分かった。
否、分かったというよりは改めて実感したと言ったほうが正しい。
と言うのも昨日一昨日と繰り返された殺人事件。
3日目。被害者発生。又しても今朝方に見つかった。
発見現場は、プール。
夏場にある水泳の授業で使う。
それと共に水泳部も使用する場所である。
しかしながら殺人の方法は水死であって
そのため今までの様な血だらけではないそうだ。
しかしプール内に死んだ生徒の唾液やらなんやら充満してそうではある。
その生徒と言うのは1-Aの淡陵 美史という女子であった。

やはり学校側はそれに対して調査もなにもしない。
どころか休校の様子もやはり見せない。
暁は昨日のいつぞや予言したのだが
「明日も殺人事件起こったとしても学校続くだろう」
という旨の言葉がまさに当たったのだ。
しかしまぁ勘のいい生徒たちの幾人かも
似たようなことをいっていたらしいのでこれで関心するべくはなかった。
そして昼の休み時間に毎度の如く暁の元に向かった。
昼の休み、即ち昼ご飯の時間であり、
大体そういう時には暁は自らの探偵部の部室にいる。

この学校は全部で2棟に分かれており
北館と南館という類になっている。
南館は3,1年生の教室、北館は2年生と職員室である。
特別教室は両方に存在している。
そして暁の探偵部は北館に存在していた。
そのドアを開けると暁がPCを見つめながら椅子に腰をかけていた。
「やぁ、暎か」
「う…うん。」
「どーせ今日の殺人事件だろ?」
「まぁ…そんなところ。進展はあったのかい?」
どうせなにもないのだろう、そう思っていたが
しかし暁の口からは少し興味を引くような、謎めく話が持ち出された。

「七不思議。」
「?」
どういうことなのか全く分かんなかった。
詳しく問いただす。
「この学校に纏わる七不思議だよ。後ろの棚の資料文献の中から見つけた。」
そう言いつつ指す後方には大量の資料らしき
本やらなんやらが並べられていた。
「で、その七不思議がさ…
まぁ古い文献で不鮮明だから全ては分からんかったけど、
今回の殺人事件と少し重なるんだよね。」
「重なる?」
「そうそう。一例としてこんな物。密室幽霊。」
「密室…というと室河さんの…?」
「うん。他にも蠢く生首とかね。今の時点でわかるのは…この2つと…
不可解な銃声なるものだ。」
3つ。それだけであった。
しかしそれが大きな糧となるはずだと記憶内にとどめたのだった。

121ボカプロ@匿名:2014/04/08(火) 18:11:01 ID:Jn.ue7zo0
評判いいのはこっちかな?

122NECURAP a.k.a. 缶:2014/04/08(火) 22:33:07 ID:PKPiAUXQ0
いいのか?これ。評判

123ボカプロ@匿名:2014/04/08(火) 22:57:30 ID:Jn.ue7zo0
多分…私は見てる

124NECURAP@ネットラッパー:2014/04/12(土) 21:40:10 ID:PKPiAUXQ0
第四話『ハンタイになって』

「う…ぅ…」
絶えた呻き声。
不気味で不敵で助けを乞うような怯えの声音。
生命の持続を乞うも虚しく、
命も声も絶えたのだ。
首が契れそうになりながらに、
宙ぶらりんの身体。
暗がりに紅の行脚はなく、吐きすて朽ちるのみである。

 ■   ■

四日目。
今日日、何故なのか、
殺された人間はいなかった。
いや、何故なのか殺されないといえば
殺人狂とかに見られるかもしれないので弁解するならば、
昨日暁から聞いた七不思議の事である。
まぁつまり七不思議に沿えば本来であれば
今日もまた誰かが死んでるのである。
しかし今朝方、何処にも人集りは無く話の中からも死亡者を聞かなかった。
では3人で気が済んだのか、といえばそう考えるのもおかしい話だ。
今回死んだ3人は2年3年1年と学年がバラバラである。
ついでに言えばこの3人に共通する何かというものもなく、
強いて上げればここの生徒というだけなのだ。
無差別としてもわざわざ一日1人として殺す必然性はあるのか?
と言う話だ。
まぁつまり、犯人像は行き詰まった状態に近い。
しかしまぁ誰も殺されなくなったにはいいことではないのかとも思う。
誰しもが平穏は生活を望むものである。
多分探偵気取りの暁でも。
しかし、
「そう簡単に終わるのか?
何処かで見つかってないだけで死体があるのでは?」
と弄れた思考をしてしまった僕は校内中を探そうとしていた。
探すにつれ場所はどんどんと人気を失っていた。

その時だった。
パアァァンッ…!!!!
誰が予測しただろう、銃声が響いた。
何処からなのだろう、その一心で探し歩く。
その場所は案外簡単に見つかった。
人気が一層と消えている校舎裏の小さな倉庫だった。
元々体育用具等が入っていたはずだったのだが、
何を思ったのか新しい倉庫を体育館近くに新設してしまい、
ここはどんどんと過疎化が如く
埃を被り、色は剥がれ落ち、古びて人はロクに近づかなくなった。
ここに残っているものといえば、多少の使わない掃除用具くらいのものだ。
そそくさとその倉庫に向かう。
見ると暁の姿があった。
「ちょ…何がったの…?」
暁に語りかける。しかし容易に想像はついていた。
「殺人事件…」
その扉の向こうには、地面を真っ赤に染めて、倒れる人の姿があった。
見たところ制服ではない。つまりはココの教師だったようだ。
こっちに気づいたのか、
僅かな余力で手を微々に動かしている。
しかしそれも数秒もしないうちに止んだ。
「っと…これ見つかったら面倒だから今のうちに隠れるぞ!」
咄嗟に暁が口にする。
バッと校舎内に隠れた。

北館にあがり、探偵部の部室に向かう途中の窓から
その倉庫の様子が伺えた。
そこそこの人集りができていた。
「おかしい…」
「??」
「いや、不可解だなと。」
「?何が?」
「順番。」
「どういうこと?」
不可解だった。
順番?そんな人を殺すのに順番など関係するものか、と
僕は内心で跳梁跋扈が如く呟いた。

「昨日いったろ。七不思議だよ。
調べてみたらまぁ完全とは言えないんだけど続きがわかってね。
一つ目の七不思議が、『密室幽霊』…室河満入。
次が『蠢く生首』の桐生 朱鳴。
三つ目が新しく分かったんだけど、『浸水死体』…これが三人目淡陵 美史。
ここまでは合ってるんだよ…」
「というと次なのか?」
「そう、本来であれば次は『首吊デッダー』っていうもの。
で、その後が今回の、『不可解な銃声』…今回の被害者要鐘 彩華先生だ…」
「…つまり…」
「そう、何処かに他の死体が存在する…」

途端僕らはその探偵部の部室を出て駆け出した。
探し出せなかった4人目の首吊デッダーを見つけるために。

125NECURAP@ネットラッパー:2014/04/12(土) 21:40:33 ID:PKPiAUXQ0
第五話『不可視がゴトク』

パアァァンッ…
銃声。
人気の無い暗がりの一室で。
開口をする事なく、崩れ赤く染まる。
思考が強制停止し、朦朧とした意識と
皮肉であり勝手ばかりの意識が交錯する。
銃弾が頬を貫いた後だった。

 ■   ■

僕と暁、二人でその別の死体『首吊デッダー』を探そうと部室を出る。
「首吊…となるとやっぱ場所は限られてくる…よな。」
「やろうと思えば、天井さえあればどうにでもなるよ。
けど天井に吊るせて尚且つ
天井から、縄を引っ掛ける為に何かがぶら下がっている場所。
人間の力だけじゃ中々首吊で殺すなんて出きっこないからね。」

なるほど、流石と感嘆する。
伊達に探偵を自称していないようだ。
瞬時に多少なりとも範囲を狭められると言うのは。
「それと、今の今まで見つからないような場所でもある。」
そう言うと、彼は学校の地図が描いてある所に辿り着くと、少し眺めては
速攻で再び駆け出した。
ハッと気づいて僕もその後を追う。
「どこだっていうのさ!?」

「俺らの多目的室。」

俺ら、というと僕たちは一年であるため一年の多目的と言う事になる。
2‐Bの室河満入が殺された場所とは違う。
と言うのもうちの学校では一学年に一室ずつ多目的室が与えられており、
学年や担当教員の特色ごとに使い分けがされているのだ。
ちなみに一日目のは2年生の多目的室である。
「あぁそうか…」
僕たちの多目的室は、クラスの数の関係で、
ぽつりと階段を挟んで隔離のようになっている。
その先にはトイレがあるため、本来ならバレなさそうなものだが、
前の扉はカーテンが今日はかかっていた。、
そして後ろの扉は透明なものと違い、
曇ったタイプのものがドアには付けられているのである。
つまり普通に通っただけではバレない様になっていたのだ。
一年生用の多目的室。そこのドアを開けた。

ビンゴ。
確かに人が殺されていた。
見事に中身は隠されていたようだ。
幸いこの場…つまりは廊下には人がいなくバレる気配はなかった。
入ってすぐにドアを閉めた。
首吊自殺とあって、中々エグい状態の死人があった。
「うわぁ…首吊ってこうなるんだな…」
「うん。っと…」
暁がその殺された生徒を少し触れる。
「え。」
僕が驚いたのは暁のその行動である。
まぁ死体の状況確かめる行為に間違いないのだが、
それでもエグい状態の死体である。
彼にとって見慣れたものなのかもしれないが、
それでも躊躇いなく触れるというのは流石としか言いようがない。

「死後一日は多分経ってないな。
でも硬直が結構進んでるから10時間近く経ってる。」
「よ…よく分かるな…」
「まぁな。えーっとこの生徒は…」
「ここで殺されてるんだし一年生じゃないのか?」
僕はそう思ったわけだがそれは完全に的外れなものであった。
殺されたのは、2-Dの狩明 弦来という人らしい。
死因は、言わずもがな首吊。
自殺においても飛び降りなんかと肩を並べメジャーである。
まぁ見た感じからして首吊で殺されたと見ていいのであろう。
と言うか首吊以外ならば暁が既に口にしているはずだ。
「ん…!」
「どうしたの…?」

「一つ、関連性があった。」
「!!…な…なに!?」
これを辿れば、何か解決の糸口になるかもしれない。
と言うか暁はいつの間にそんな事調べていたのだろうかと思う。
「端的に言えば
『害悪』
それだけ。」
謎めく言葉。
害悪。
害となり悪となる存在と言いたいのか。
不可解な一連の事項がいよいよ終盤になっていく気がした。

126NECURAP@ネットラッパー:2014/04/12(土) 21:41:25 ID:PKPiAUXQ0
第六話『謎めくイット』

「うわぁぁぁ!!!…」
一瞬、声がしたかと思えば、
一瞬、それで消え去る。
気のせいか、真実か、目の当たりにしなければ誰とも気づきはしない。
しかしながらこれは事実となった。
血まみれの死体がゴロリ、と倒れこむ。
蠢く間も無く息を引き止めて

 ■   ■

キーンコーンカーンコーン
害悪、その中身聞き出す前に時刻は昼休み終了の意味を告げる。
クラスが違うので、僕らはここで分かれた。
「ふうん…『害悪』…か」
謎の疑問は沢山とある。
それはこの、『害悪』の中身もそうだし
そもそものこの事件の犯人像。
それに七不思議の事も。
そして意図。
それらは何故だか、上手に絡み合わない。
僕の理解力、発想力の問題なのかもしれないし、
それは暁の説明の問題であるかもしれないし、
そもそもで、暁の推理は何一つ当たってないのか。
あそこまで自信家が如し雄弁に推理されては
まぁ、ミステリー小説が好き程度の素人である僕は疑わない
と言うか疑えないと思う。

害悪、何が害悪なのだろうかと感じた僕は、
彼ら被害者5名の名前をクラスの色んな人に授業中等で聞いてみた。
しかし幾ら問い質せど、何を聞いても
返ってきたのは皆が一様に小首を傾げる光景だけであった。
どういう事だ?
その疑問は徐々に疑心暗鬼に変わっていた。

放課後。

時札暁の元…即ち探偵部の部室を訪れ、
開口一番。
前置きも、話も一切必要とせずに問い質す。
「『害悪』ってどういう事?皆、そんな情報知らないと言ってたんだけど。」
「…ああ、それか。」
そう言うと、彼は「ちょっとまって」と補足し
何か紙を取り出した。
そして、
僕の答えをつらつらと言ってくる。

「で、その情報と言うのは全員聞いたわけ?」
「いや…聞き出せなかったのも数人いる。」
僕がそういう旨を返すと、彼は「ふうん」と相槌をうって
再び反論してくる。
「まぁ隠れてやってた、他人にはバレてないってのも結構数あるからね。
つまりは単純明快。迷惑行為その他etc…」

「…」
黙った。
それは、違和感だった。
隠れてた。
という中身。
そりゃあまぁそうなのかもしれない。
だが、
その隠れていた、と言う中身と僕がクラスの人からきいた証言は
噛み合わない。
それは偶然なのか、たまたまなのか、偶発的なものなのか、
いや、まぐれでもなんでもない。
僕はそう確信する。

そこにあるのは多分、

『必然』だ。

同時に歯車が全て噛み合う。
脳裏で一つ一つの情報、事項、過去が噛み合う。
ガチャンと音を立てるかのように。
そして少しずつ回り始める。
ゆっくり、ゆっくりと。最徐行に。
時間は刻々と過ぎていた。
徐々に人気がなくなっている気がした。
七不思議。
殺人事件。
そして、害悪。
それらは何も出任せなどではない。
全て事実だ。

僕はスウッっと何かが乗り移ったように
ニヒルでシニカルな笑みを作る。
そして、

「大正解。」

そう呟いた。

127NECURAP@ネットラッパー:2014/04/12(土) 21:41:50 ID:PKPiAUXQ0
第七話『タンテイゴッコ』

「大正解。」
僕が呟いたそのフレーズ。
何が正解か、何が不正解か、
何が大きく、何が小さいか、
その疑問も何もかもを飲み込む文字列の答えの、
彼がやってきた探偵ごっこの真実の、
全てを解き放つ。

 ■   ■

「…??」
当然ながら、暁の顔には疑問が浮かび上がっている感じであった。
何も飲み込めていない感覚、表情、形相。
僕は呟く。
「暁、君のその推理は間違っちゃいない。」
「…は??何がどうしたんだ?一体。」

スっ…
指をあげ、暁の方向に指し示す。
「つまり、害悪だよ。」
何が害悪か、
何が正解か、
単純な話だった。

「お前だよ。」

「!!!!?」

謎めく犯人像と七不思議。
彼が演じた探偵ごっことその真実、真意。
「この七不思議は全お前の書き連ねた台本だよ。」
「…何が言いたい。」
「今までの…延べ6回も起こった一連の事件の犯人。それがお前だ。」

「…」
沈黙。
探偵部部室に凍りついた空気が滞る。
人気を失い電気をつけない部屋は一層として暗みを嵩ます。
その雰囲気に一つ。
僕は、彼に、探偵ごっこに、犯人に、
質問を投げかけた。
「何故、何も言わない?」
「そ…それは…」
黙れば確信犯だと僕は思っている。
常識、モラル、人間性の問題じゃなく、
矛盾点として何も言われない事を。

「6回に何故何も思わないんだ?」
「!」
そう、僕が本来の形、流れであれば
殺された被害者に関して
知っているのは5人であるはずで
6人ではない。
一人多いのだ。

「もうひとり、もうお前は既に殺しているんだろう?」
「は…?何言ってるんだよ…?それならいまごろ表沙汰に…」
「『首吊デッダー』」

「…」

急に黙った。
『首吊デッダー』
つまりは、水死体より先に死んで尚表沙汰にならなかった人間。
それと同じようにまだ見つかっていない死体の存在。
「6人目は…転落死。そうだろ?」
僕は自身で作り上げたルートから多量な情報を手に入れていた。
暁以外からも。

そこでわかったのは
暁が述べていた七不思議は皆も知っていたこと。
まぁ多少伝え方の差異なのか微々には違っていたが
概ねかわりはしていない。
そしてこの七不思議の冒頭には、
出だしとして
不思議で不可視で不埒な
そんな文が存在した。

「まずは土這いずり木にしがみ給へ。
そして空の通りに進み歩め。
日の出所に近づく程真実は明るみになる。」

この事件には一連性がある。
害悪じゃない。
それは、

「文字」

僕の発した二つの字。
それすらも今の彼にとっては脅威のようだった。

「つまりは、言葉遊びだよな。
七不思議の出だしの言葉、アレは星だ。」
星。
即ち太陽系である。
本来であれば
水星、金星、地球、火星、木星、土星、海王星
しかしこの壇上においては
曜日とリンクする。
海王星を外し、日の出所。つまり太陽であり日曜日。
そして地球ではなく、月となる。

被害者にはそれぞれその言葉が入っているのだ。
室河満入なら土が。
桐生朱鳴なら木が。
淡陵美史なら火が。
狩明弦来なら月が。
要鐘彩華なら金が。
六人目には水の部分が。

そして、七人目には『日』

「七人目には『日』」
この場において僕も彼も日の条件は満たしている。
だが、
「暁と言うのは、闇夜の後の朝の日の事。太陽そのものだ。」

スッ…
銃口を暁に向ける。
「己の満足感だけでこんな事件を起こした害悪に処す。」
「…」
彼は微動だにしなかった。
言葉を失ったのか、何も言えないのか。

最後に一つ僕は口を紡ぐ。
「…最後の七不思議…即ち日に当たる物は。」
彼も知っているであろうその7つ目は

128NECURAP@ネットラッパー:2014/04/12(土) 21:42:04 ID:PKPiAUXQ0
「探偵殺しの七不思議。」

129Babel:2014/04/16(水) 17:18:39 ID:C7LgWcY60
えっと、神を本編で暴走させたんで設定がてらお話を書いてみたいと思います☆テロこさんが考えとった彼女も暴走さしてしまったのでテロこさんにも設定を書いて頂きたいです!


これは神になった早乙女神羅のむかしむかーしの話。

130Babel:2014/04/16(水) 17:49:16 ID:C7LgWcY60
むかーしの話だ。それも僕さえ覚えてないくらいむかし。だけどこの時の話はねぇ、多分まだ3000年くらい覚えてられるかなー。

僕も最初は人間だった。何故神になったかというと直結な理由は彼らが今行っているような戦いだ。僕には『淡路』『隠岐』『四国』『壱岐』『九州』『対馬』『佐渡』と僕を加えた8人だった。

「ふわぁ」
早乙女は自室の机に突っ伏していた。
遠いむかし。地球をやり直しに来た異世界の人達のお陰で文明は発達していた。2-1000年、二回目の10世紀に入った時代、やり直しの後に生まれた僕たちだけでなく、大人も未知なる電子機器を自在に操ることができる僕ら原人は現人と対等な関係にいた。
「寝るかぁ」
机からだらりと落ちた早乙女は立寝具(ベッド)の下に光る刃物を発見した。
「長剣?」
鞘の間から輝きを見せる長剣は美しかった。
「…ふつくしい……」
しかし
「なんていいちょ…うわっ!?」
どこかに飛ばされた。
「ここどこなの?」
僕は現在の融合地に当たるところに飛ばされたんだ。

131Babel:2014/04/16(水) 17:49:44 ID:C7LgWcY60
むかーしの話だ。それも僕さえ覚えてないくらいむかし。だけどこの時の話はねぇ、多分まだ3000年くらい覚えてられるかなー。

僕も最初は人間だった。何故神になったかというと直結な理由は彼らが今行っているような戦いだ。僕には『淡路』『隠岐』『四国』『壱岐』『九州』『対馬』『佐渡』と僕を加えた8人だった。

「ふわぁ」
早乙女は自室の机に突っ伏していた。
遠いむかし。地球をやり直しに来た異世界の人達のお陰で文明は発達していた。2-1000年、二回目の10世紀に入った時代、やり直しの後に生まれた僕たちだけでなく、大人も未知なる電子機器を自在に操ることができる僕ら原人は現人と対等な関係にいた。
「寝るかぁ」
机からだらりと落ちた早乙女は立寝具(ベッド)の下に光る刃物を発見した。
「長剣?」
鞘の間から輝きを見せる長剣は美しかった。
「…ふつくしい……」
しかし
「なんていいちょ…うわっ!?」
どこかに飛ばされた。
「ここどこなの?」
僕は現在の融合地に当たるところに飛ばされたんだ。

132Babel:2014/04/16(水) 17:56:17 ID:C7LgWcY60
ん?二回投稿されてた御免ー

長話は僕嫌いなんだ。少し話を飛ばすよ?

話によると僕は大国主命の祖先でこの長剣は草薙の太刀と呼ばれるらしい。そして僕の他にもイザナギ、イザナミの子供の祖先が僕以外にもいるらしい。目的は彼らを全員倒すこと。僕は長剣を使って次々と敵を倒した。
とんでもない奴に出会ったのはもうちょっと後の話。

133テロこ:2014/04/16(水) 18:36:39 ID:bNAcsb9M0

>>129
ではお言葉に甘えて書かせていただきます!一応色で区別はつけますね。

134Babel:2014/04/16(水) 18:37:57 ID:C7LgWcY60
本編スレに繋げます。

僕は気付くとどっか暗ーい場所にいた。そこには僕との死闘のうえ敗れた淡路がいた。
そっか…僕死んだのか…。あっけないなぁ…
「おい早乙女いつまでそこにいる気だ。俺を倒した奴がこんなとこで死ぬのか?」
「お前にはやり残したことがある」
僕ははっとした。

目の前に不敵に笑う葉桜がいた。
「あれ、一回死んだはず…」

135Babel:2014/04/16(水) 21:49:53 ID:C7LgWcY60
133ありがとうございます!僕が書いてた小説では伏線になっていますが心が読めるようになってますー。あとタメでいいですよー

136テロこ:2014/04/16(水) 22:15:20 ID:bNAcsb9M0

月読神酒。そう彼女が名乗るようになったのは、今から遠い遠い昔のこと。

「おい、お前あっち行ってろよ。遊びの邪魔」
「そうだぞ、金無しはこっち来んな」
「いや、”親無し”だっけ?」
「アハハハハハ」
複数の子供が仲間に入れてもらおうとした
少女をけなし、仲間外れにした。
しかし、彼女にとっちゃいつものことだ。
寝床も無い、親もいない、金も無い、おまけに、名前もない。彼女はとにかく無い無い尽くしだった。
ぼろぼろに擦り切れた服と、ぼさぼさに伸びた黒髪。虚ろな瞳は焦点が定まらない。
そんな彼女に救いの手を差し伸べる者などいなかった。

しかし、救いは思わぬところに落ちている。

137テロこ:2014/04/16(水) 23:10:38 ID:bNAcsb9M0


月が鏡のように美しく澄んだ夜。
彼女は細く小さな身体を精一杯動かし、
前へ前へと進んでいた。そんな時。
路地に黒く艶めく球体を見つけた。
「…な…ぁに…これ……」
掠れた声を発しながらそうっとその玉を拾う。

パアッと辺りが妖しい魅力的な光に包まれた。

途端に彼女は、先程までの死にそうな状態から
みるみるうちに、健康的な肉体へと変化した。
「嘘…だ。こんなの、夢だ…」
彼女はへなへなと硬く冷たいコンクリートの
地面に座りこんでしまった。

138Babel:2014/04/17(木) 18:30:45 ID:C7LgWcY60
正直あの時のことはよく分からない。多分死んだんだよねー僕。走馬灯見て一瞬息も止まって、でも生き延びる。そんな感じかなー。

早乙女は焦っていた。草薙の太刀は1メートル半、葉桜との距離は2メートル離している。もちろん斬撃を飛ばすことも近付いて攻撃することもできる。しかし、
「そんな攻撃が届くだろうか」
難しいな…。
葉桜は攻撃を仕掛ける。しかし太刀で受け切るのに精一杯だった。
「もう少し隙をつけられないか…」
確実に勝つには強い攻撃を突然、つまり普通にはできない攻撃をする必要がある。
「でも、これなら…っ!!」
しかし、早乙女は2メートル離れた葉桜に剣を当てた。

139Babel:2014/04/17(木) 20:37:46 ID:C7LgWcY60
早乙女は斬撃する動作をした。そして太刀の鞘を滑らせ葉桜に当てたのだ。
「ぐっ…」
よし。一気に畳み掛ける。一撃一撃は軽い光のような攻撃。しかし、光のように早い攻撃でもあった。
「ぐわぁっ!」
こうしてまだ誰もしらない敵を倒した戦いは誰もしらないまま終わったのだ。

140テロこ:2014/04/18(金) 18:28:44 ID:bNAcsb9M0

>>137訂正
コンクリート→湿った土

こっから本編↓


「こんな夜遅くに誰かいるの?」
優しい口調で喋る男の声が聞こえた。
と同時に彼女の背後からぼわりと提灯の灯りが
辺りを照らし出した。
「…女の子……?」
確かにパッと見今の彼女は、髪もぼさぼさ、
痩せ細って、黒い玉を抱えるという、
女の子と言い難い、獣感を醸し出していた。
「あなた…誰」
「僕は出雲。ここ泉の地で神様に仕えて
いるんだ。今は見廻り中。とりあえず
君、僕と一緒に来ないかい?」
優男は緑色の浴衣を揺らして彼女に近づく。
出雲が差し出した手を、彼女は躊躇い
ながらもやがてそっと握った。

141Babel:2014/04/19(土) 06:45:13 ID:C7LgWcY60
僕も有名になった。そして御使いという存在も。
人々は御使いを恐れていた。例えば山菜を摘んでいたら御使いと名乗るものにいきなり殴られた。とかいきなり殴られたりすることが多かった。そこで生存している能力者を全員呼び出した。
隠岐と九州、佐渡が来た。どうやら他は死んだらしい。
「なんのつもりだ?いきなり私たちを呼び出して」
隠岐が口を開いた。彼女たちは御使いを知らないのだ。
「今ここで全員一緒に戦ってこの戦いを早く終わらせるんだね!」
それは違うぅ…!!………よし、しょうがない。
早乙女は御使いの特徴を語った。
「会ってみなくちゃ。嘘かもしんないよ?」
九州が言った。
「それもそうだな。こいつの話すことは嘘かもしれん」
隠岐がうなずく
「私も最初から怪しいと思っていたのだ」
「ちょっとまて僕が異常に怪しい奴だと思われてない!?」
「気にする必要はない。独り言だ」
独り言だった方が怖いぞこれ。ともかく…
「いいよ。探そうよ、御使い。僕らの親交会も兼ねて」

142Babel:2014/04/19(土) 06:58:10 ID:C7LgWcY60
僕らはふらーっと森林の中を歩いていた。御使いは呼べるものではないからだ。だが隠岐が
「おつかい?」
と読んでいたが。
「これは俺が方向音痴ということをしっていて仕掛けた罠か?」
「大丈夫だ。俺は今どこから来てどこを通ったか覚えている。迷うことはない」
佐渡が言う。
「…ってそれ僕があくまで嘘ついてること前提だろ!」
「おや?皆さん楽しくピクニックですか?」

143Babel:2014/04/19(土) 07:43:04 ID:C7LgWcY60
御使いだ。
「やっぱりいたんだね、おつかい!」
「だからはじめてじゃないって!」
「俺は初めてだぜ」
「それもそうだな。私も初めて拝見した」
「我も皆さんのこと全員初めてお目にかかりました」
「お前もかっ」
「しかしおつかいという名前ではありません。御使いです。我は鶯といいます」
「だからイケボなのかぁ」
これは僕も納得がいく。
「腕前を見せてもらおうかな」
全員の顔がひき締まり、戦闘体勢をとる。
「我のセリフなのですがね」
はっ…
鶯の攻撃を間一髪で避ける。
「早いな。でも僕の先祖は光の神だよ」
「構いません」
突如鶯の真下の地面が盛り上がった。
「面白い」
佐渡だ。彼は周りにあるものを操れるのか。
「っ…!」
矢だ。隠岐が放ったものだろう。
次の瞬間鶯の身体が吹っ飛んだ。
「隙を見せちゃいけないぜ?」
九州の大剣だった。衝撃波を放ったのだ。
「みんな強いじゃん」
早乙女は久し振りに笑みをこぼした。

144Babel:2014/04/19(土) 15:39:09 ID:C7LgWcY60
自分の動きに合わせられる仲間を初めて早乙女は見た。仲間は一人もいなかったが。
鶯の目の前に早乙女が現れた。
「早いですね」
後ろを見ると壁ができあがっている。
「少し厳しいですね」
早乙女は太刀で一閃した。鶯はそれを蹴り上げ受け止めた。
「隠岐!」
「わかってるよ!」
矢を放つ。
「その攻撃はまだ甘いですよ」
矢を身を翻してかわした。
「隙を作るなって言ったはずだぜ?」
大剣が目の前に迫っていた。
「彼が本命ですかっ…!?」
しかし九州の大剣は鶯の短刀に受け止められた。
「あっちのほうが一枚上手か…」
「しかし、あの作戦を示さず即座に思い付くとは。やりますね」
「褒めていただいたのは嬉しいが後ろを見たらどうだろうか」
先ほど作られた壁は鶯に雪崩のように崩れた。
「こんなもので我にダメージを与えられると?」
鶯が身を起こした瞬間、
「だから一瞬でも気を抜いちゃいけないって」
九州は大剣で鶯を凪いだ。
「あとは早乙女っ…て早すぎだろ」
すでに早乙女が鶯を倒していたのだ。
「一撃でもダメージが与えられていたらもう大丈夫だよ」
「おー高飛車宣言」
「危ないっ」
九州は鶯が早乙女の後ろに立っていたのを見た。この位置から打撃はできない。かといって大剣は後ろにある。
あぁ…
血が抜けてい感じがした。
「うおぉっ!」
隠岐が矢で鶯の心臓を打ち抜いていたのだ。
「危なかった。死んだかと思ったよ」
「うん。ありがとう。命の恩人だ。でもね、怖いよ」
「いつでも矢は打てるし精度もなかなかのものだよ」
「だから、怖いって」

こんな早く仲間に会えるなんて思ってなかったよ。しかも結構早いんだよね別れも。それってきっと楽しい時間が早く過ぎていくっていう感覚なんだろうけど。面白かったなーあの時。案外羨ましかったり時々するんだよ。今のファイダントの彼ら。まぁこれから別れに直面するんだけどね。

145テロこ:2014/04/23(水) 19:05:27 ID:bNAcsb9M0


ー泉の地・神のいる館ー

「ん?出雲か…ってそのちびっ子なんだよ」
口調が少々荒いこの女は泉のファイダンド
紫泉清良(しせんきよら)だ。この女の娘が
後に小泉氷花となり、神楽の祖先となる。
「この子夜回りで拾ってきたの」
「しっかし汚れてるな…親はどうした?」
神酒のぼさぼさの髪を紫泉が撫でる。
「いない、知らない、としか言わん」
「なーるほどねー…ん?その玉は?」
神酒の手の中にある黒い球を見つけた。
「拾ったの…」
「そっか。とりあえず川瀬泉守護ノ命様に
この子をどうするか聞きにいこう」
「そうだね」

146Babel:2014/04/29(火) 08:46:42 ID:C7LgWcY60
「戦う彼らを見届け、実力を確かとする。しかし、何故我らの存在がそれに就く必要があるのだ。そうなると全てを統率するはずの我は不良品だろう。しかし、我はこの我に従おう。御使いという存在はこの一時だけ在り方を変えよう」
    ◆    ◆
「ついに来た訳だな。御使いの主のところへ」
「ここまで来るのに様々な戦いがあった。そして私たちがここに来た訳だな」
「最後の戦いだな。御使いぶっ飛ばして早く帰ろうぜ」
「そのあとに世界救わなくちゃいけないよ?」

彼らが言った通り様々な戦い。別れ。喜び。一喜一憂した僕らはこうして別れの戦いに来るんだ。このころから狂い始めた。焦り、悲しみ、色んな感情が幼い僕にぶつかって。しっかり考える。なんて絶対できないから。僕はこうやって今の救世主に世界の救い方をレクチャーしてるんだ。

……貴様らか
……我の同志を打ち砕いた


……………悪の存在…
……裁きを我が与えよう

光が、眩い光が彼らを撫でる。その光へ向けもう一つの光が鋭く、彼らを貫こうとする。その合図が
最後の戦いを始めた。

147Babel:2014/04/29(火) 08:48:32 ID:C7LgWcY60
誤字、変えようじゃない。変えるだ。

148テロこ:2014/05/11(日) 13:02:03 ID:bNAcsb9M0

ーー泉の地・神の間ーー
「……なるほど。夜回りで拾ったと」
川瀬泉守護ノ命は話を聞き、こくりと頷いた。
「ええ。この少女、どうしましょう?」
「まずは、身だしなみを整えてあげなさい」
守護ノ命の視線の先はみすぼらしい格好の
小さくやせ細った彼女に向けられていた。
「わかりました」
「その後は、君に任せる」
「御意のままに」
出雲は礼をすると、彼女を連れて
部屋を出ようとした。
「あ、ちょっと待ちなさい」
「ん?なんでございましょう?」
「その玉は何かしら」
黒く艶やかに光る、彼女の玉を守護ノ命は
睨みつけていた。
「これ……拾った」
「それを貸しなさい」
「え、川瀬泉守護ノ命様?」
急に冷たい顔つきになり、声のトーンも低くなった。何か大事なことに触れてしまったようだ。
「貸せと言っているのよ!」
「……ねえ、君?それ貸して?」
「ん…………」
彼女はそっと玉を出雲に渡した。
それを守護ノ命に差し出した。
「これは……ストーンだろ」

149Babel*びたみん:2014/05/11(日) 15:01:33 ID:C7LgWcY60
「……」
雷が降り始めた。無数に降り注ぐ雷を弾きながら四人は走る。
「雷なんて怖くもないぜ?」
九州が初撃を繰り出す。
しかし、九州の身体が遠くへ吹き飛んだ。
「……風か。面白い。」
佐渡が地面をめくりあげる。そして波のようにして御使いを襲う。
しかしその地面は御使いを襲う寸前、柔らかくなり溶け出した。
へー。どうやら天候を操っているようだね。それならば……、
「!?」
先程めくりあげた佐渡の地面がもう一度御使いを襲ったのだ。
「太陽が昇ったら地面も乾くんじゃない?」
    ◆    ◆
対する御使い、「天」は少年達の実力を見極めながら戦っていた。
雨で濡れた地面を光で乾かしましたか。しかし想定内。どうということではない。天候には逆らえない。だから我は御使いの上に立てたのだから。負ける筈がない。やはり彼らも同じだろう。
いや同じではなくなる前に、倒す。
「すぐに終わらせよう」
今度は巨大な竜巻が四人を襲った。

150Babel*びたみん:2014/05/11(日) 15:05:16 ID:C7LgWcY60
8行目一文抜けてた。

早乙女は相手の防御、攻撃を見ながら相手の実力、手の内を探っていた。

151Babel*びたみん:2014/05/13(火) 22:28:38 ID:C7LgWcY60
「さあ、どうしようかね。これ」
「竜巻だろ?そんなものこうやって……」
九州が大剣を大きく一振りするとその衝撃で竜巻の威力を相殺した。
「やはりお前はごり押しが基本になっているな」
隠岐が皮肉込みで言う。
まあこれ程力があればごり押しではなく実力なのだろう。
「まあこの調子で頑張っていこうよ」
自分でもこの調子は難しいのだが。
    ◆    ◆
天は竜巻を掻き消した長身の男を見て正直驚いた。
「なんと……」
だがそんな彼らを見て頬が緩むのお抑えられない。それほど面白い奴らだ。ところで、
「我笑って変な顔してないだろうか?」
    ◆    ◆
「うーん。やはりそうだな」
「だろ?絶対おかしいってば」
「私もなかなかあんな顔しないからなぁ」
あの御使いの顔だ。何がそんなに楽しいのか、あるいは気持ちいいのか。僕からしたら前者だろう。というか後者だったら相当な変態だろう。そんなことはさておき、
「どうやって倒そう?」
「ぶっ刺すかなぁ」
「潰すのが一番いいだろう」
「ぶった斬るだろうよぉ」
何か違うが。無視だ。とりあえず無視。考えなければ。……何も思いつかない。それなら、いや、『だから』こうする。
「いつものように、だ。今新しいこと考えても無駄なんだよ。結局。だからこそ、いつものようにこの御使いを倒そう」
    ◆    ◆
好奇の視線を感じる。四人でこんなにも力があるとは。気にすることはない。彼らに我の恥を広めることなどできない。なぜならここで散るから。相手の動きが段々良く、早くなってきてるから、
「こちらも少しギアを変えましょうか」

152Babel*びたみん:2014/05/14(水) 05:11:21 ID:C7LgWcY60
「……」
天の目の前には敵だった人が倒れている。天が勝ったのだ。
「所詮人間はなのだろう。面白くもない」
だが天は勝利によって守られた。自分の目標、または理想どうりだ。
急に身体の熱が冷めていく。期待などするものではない。人間などすぐ死んでしまうのだから。たとえそれがファイダントであっても。
しかし一人まだ動く者がいた。もはや敵でもない者が立ち上がり、言った。
「御使いさんさぁ。僕だけ生き残してどういうつもりさのさ?」
「死ねば楽なものを。なぜ貴様は生きるのだ?」
「質問の答えを言ってくれないと」
「……貴様が生き残ったのは天命だろう、我をいつか倒すために。明日、あるいはずっと先、貴様の子でもいい。神は出来損ないの失敗作の処分を望んでいる。だから貴様が選ばれたのだ」
……変化というのだろうか、自分の思いが最初から二転三転している。
「ありがとう。なんとなく分かった。明後日また来るよ。その時にはもう御使いさんも敵じゃないだろうよ」
    ◆    ◆
薄れていた景色が晴れ、御使いと話すころにはある程度回復ができていた。
……やはり人間にも近いな。自分を肯定しているのに弱気な言い方だ。
早乙女の質問に対しての答えのことだ。
御使いから生き延びた敗者は歩き始めた。
「また一人か」
どこからか声がする。
「笑いに来たんだったら帰ってよ」
「真面目な話を少し」
じゃあ丁度いいかな。ご先祖様なら知ってるかもしれないし。
「分かった。いいよ」
    ◆    ◆
僕の立ち直りは相当早かったな。まあ死んでしまったものをどうかしろと言われても無理な話だしね。これからは僕が神になるまでの話。

153Babel*びたみん:2014/07/02(水) 18:50:30 ID:hpA4tCPE0
放置してた小説を掘り返し

「“あの御使いは強い”これが今回生き延びて手にいれた戦いのヒントだよ。言いたいこと、分かるよね」
「そうだ。お前にはあの御使いは倒せん。……だからこそ倒したい。と、そういう訳じゃろう」
「ああ。どうしても倒したいんだ」
    ■    ■
 相変わらずだな。と大国主命は思う。この少年は自分が倒せないことを冷静に把握した。しかし、その上で倒したいと言うのだ。だがこれも、
「矛盾ではないな」
「覚悟はあるさ」
 彼は“倒せない自分”を捨て、“倒せる自分”になろうとしている。つまりそれは現在と過去を捨てることになる。少年は少年ではなくなる。ではこの少年は何になろうとするのか。
「我が子孫は何を望む?」
「僕は神となる」
「なっ!」
    ■    ■
「神の血?」
「勿論だろう。神になるには神の血が必要だ」
「単純だね」
「じゃあ神の血をどうやって手にいれる?」
「さあ?どうだろ、想像もつかないよ」
「西洋の御伽話で語られる悪魔との契約を知っているだろう?」

154テロこ:2014/07/05(土) 17:36:47 ID:bNAcsb9M0
>>148続き

「ストーン?」
「ああ。ファイダンドがもつ石。そうだろ、紫泉」
部屋の外にいた紫泉が恐る恐るでてきた。
「……確かに。これはストーンですね…なぜこんなものが」
ストーンを覗き込み、紫泉は言った。
「私にも分からぬ。後のことはどうにかしよう。まずこの子を綺麗にして寝かせてあげましょう」
「御意のままに」
部屋を出た三人は、少女を綺麗にするため風呂に入った。



「さあ、お洋服脱ごうなー」
「僕どうすればいい?」
「どうでもいいさ。はい、ばんざーい」
紫泉は以外にも子供の扱いがうまかった。

しかし、表情が凍りついた。

「おい、出雲……これどういうこと」
「何が?」
「この子の腕だよ」
服を脱がせて、上半身が裸となった彼女の腕には、黒く二本の線がぐるりと入っていた。
「罪人の……刺青」
「なんでこんな幼い子にあるんだよっ」
紫泉の口調がいつにも増して荒い。
「と……とにかく洗おう。その後、報告」
「分かった」

155Babel*びたみん:2014/07/07(月) 20:31:50 ID:hpA4tCPE0
「契約をするんだね?」
「ああ」
「で、誰に?」
    ■    ■
「……うん。まぁそんな感じでよろ〜、あ?ハイハイ。まあそれはいいで。よくない?いいだろ。では〜good bey!」
 まさか神同士のやりとりがここまで軽いとは思わなかったが。まあいいのだろう。これで僕も……。
「大丈夫だ。今から神の世へ行く。しかし、私のような神とは違うぞ」
「どうでもいい。早く行こ」
「分かった。では我に付いてこい」
 刹那の時間眩しい光が彼らを包み、消えていった。

156NECURAP@ネットラッパー:2014/07/12(土) 20:45:31 ID:z80JXmPs0
A「あーココ無くなったばあちゃんの家みたいな匂いするな…」
B「え…亡くなったのか…」
A「うん。まぁ古かったしねー」
A「まーそんな訳でさ、壊したんだよね」
B「こ…壊したのっ!?」
A「うん。ばあちゃんもじいちゃんも納得してくれたし」
B「ええ…納得したのか…」
A「それでこの前造り直し終えたんだよ」
B「え…え…ええー!!?(さ、サイボーグ!?)」
A「え…うん。反応すげえな…」
B「そ…そう?」
A「うん。」
B「せ…折角だしさ、見に行ってもいい?」
A「いいよー」
「けどお前この前みたばっかりじゃね?」
B「え…?」
「…」
「あ……あー!!!…」
A「?」
B(亡と無間違えてたのか…)
(恥ずかしい…)

157ボカプロ@匿名:2014/07/21(月) 11:57:04 ID:5elUJHZ.0
みんなやっぱすごいなー

158Babel*びたみん:2014/08/03(日) 08:22:54 ID:hpA4tCPE0
「おー、久し振りー」
 目の前に現れたのは青年。衣服から見る限り融合世界や僕の元の世界の衣服のものではない。
「こんにちは。君が神になりたいって言った子だね。緊張しないでいいよ。申し遅れたね、僕はゼウス。聞いたことくらいあるかな?」
聞いたことはある。僕のいた元の世界、ご先祖様が基礎を作ったことは寺子屋の書物で読んだことがある。でも海の向こう、ずっと西の世界ではこの世界自体を作った神様がいると伝えられていることを未来人から聞いたことがある。
「とりあえずは僕のことは知ってくれてるね。じゃあ本題に移ろうか」
 青年は腰掛けている椅子から立上がり、少年の前まで歩いてきた。
「神になるには、僕の血を流さなくちゃいけない。神の血を流すためには汚れた記憶……つまり君が敗北した記憶だとかを全部消さなくてはいけない」
 敗北の記憶……か。この前の戦いを思い出す。仲間逹のことも。
「典型的な例だ。その君の記憶に関することすべてを消せば君はもれなく神様になれるってわけ」
「わかった今すぐやってくれ」
「……ん?アハハ!いいよ、始めよう」
    ■    ■
 『天』は少年のことを思い出していた。
「この世界をあの男はきっと変える」
 我が望んだ世界、きっと奇想な世界であろう。だが我さえ理想に思わぬ奇想な世界を奴は目指すのであろう。
「フ……。なんでも背負っているのだな。世話好きな奴だ」
 そろそろ奴が我を倒しに来るのであろう。準備しなくては。これで最後だ。静かなものだ。戦いであるのに。
「はあ……。さあ行こうか」
    ■    ■
 一人になった青年は含み笑いをしながら少年がいなくなったことを確認し、呟いた。
「面白かったなぁ。優秀な子だな。でもいつか思い出せるかな。頑張れ、神様」

159テロこ:2014/08/18(月) 17:43:51 ID:bNAcsb9M0
>>154続き
「で、どうする?」
とりあえず少女を寝かせ、川瀬泉守護ノ命に報告する前に2人で話し合っていた。
「罪人の刺青なんて、そもそも今じゃやってない制度だろ?なんで……」
「山の集落には時代遅れのところがあるらしい」
そういうと、紫泉は資料を取り出した。
「今現在、罪人の刺青制度を使っている村は恐らくここ、時州。私たちがいる街との関わりは0。ここ出身の御使いは1人。7年前から行方不明」
何処から仕入れてきたのか、情報にやけに詳しい。
「村が分かるなら、あの子を帰してあげようよ」
「それは駄目だ」
紫泉の目が鋭い。
「どうしてっ?だってあの子は……」
「あの子は村を追い出されたんだよ。恐らく……罪人の娘としてかな」
出雲はうつむいて、黙った。
「だから、私達で守ろう?川瀬様に言ってさ」
紫泉の目は優しく、強い意志を感じられた。
その目を出雲は信じた。
「うん」

160ボカプロ@匿名:2014/08/18(月) 20:00:49 ID:5elUJHZ.0
すげぇ!細かい

161テロこ:2014/08/22(金) 17:59:29 ID:bNAcsb9M0
「なるほど、そうか……」
事を報告すると、川瀬泉守護ノ命は溜息を小さくついた。
「その時洲の御使いについて調べてみようと思います。ストーンの出処が私としては知りたいので」
しかし、出雲は疑問に思った。
「でも、御使いは関係無いのでは?ストーンは能力者のものでしょう?」
「違う。あのストーンは人工物だったことが分かりました。そんなことができるのは、御使いと能力者、そして我々神でしょう。ですので、御使いは私が調べます」
「分かりました。ありがとうございます川瀬様」
「ありがとうございます」
2人が部屋を出るともう時刻は丑三つ時を過ぎた頃だった。
「にしても、ストーンが人工だったとはな」
紫泉が縁側に座りながら言った。
吸い込まれそうなほど暗い空に星がきらめく。
「僕もびっくりしたよ。作れちゃうんだ」
「うん……私が持ってるのと、他の3つの地の能力者が持ってるので4つ。それに、あんな黒いストーンはない」
あの黒く艶やかな石が2人の脳裏にハッキリ浮かんだ。
「そうなんだ……」
「今日はもう寝ようか」
「ごめんね紫泉。付き合わせちゃって」
「いいのよ、私もあの子が心配だし」
「おやすみ」
「おやすみなさい」

162テロこ:2014/09/06(土) 09:22:39 ID:bNAcsb9M0
可愛らしく小鳥が鳴いている朝。
出雲は少女を起こしに行った。
「おきてー。朝ごはん食べよう?おきてー、起きてってばー」
「出雲、そんな起こし方じゃ起きないって」
仁王立ちで紫泉は言った。
「私に任せて。ほらぁっ!!!起きないと布団はぐぞぉぉおっ」
少女の掛け布団を豪快に奪った。
「ちょ、乱暴すぎるって紫泉」
少女に目をやると、少女は布団の上で縮こまっていた。
「朝だよ、起きて?」
出雲が優しく揺さぶるも、動く気配がない。
「掛け布団はいでも起きないとは……つわものだ」
「んー、どうしよう」
2人が困惑していると、少女はもぞもぞと動き始めた。
「あ、起きたっ! おはよう」
「……はよう............」
少女は眠い目をこすって、小さくあくびをした。
「さ、朝ごはん食べに行こうね」
「うむ……」
食堂へ向かう道は、朝日が入り、少し明るくなっていた。
その光に照らされ、地面に映し出された影は、3人の仲良さそうな柔らかな影だった。
「昨日より口数が増えた気がするな」
「そうだね。あ、君、名前は?昨日聞きそびれちゃったんだけど」
「なまえ?…………しらない」

163夜桜 ニコ丸:2014/09/24(水) 23:49:17 ID:/uKPUJsc0
突然ですが梅干さんの楽曲を小説化させていただきました。

七色交響曲
〜Rainbow after the rain〜

いつもと同じ帰り道を、1人トボトボと歩いている。トボトボとはいうものの、そこには寂しさこそあれど、それを引き立ててくれる静寂はなかった。ここは駅の近くということもあり、飲食店、パチンコ屋、駅と併設されているデパートが騒音をがなり立てている。
正直、耳が痛い。耐えられない。
通り過ぎて行く人は平気なのか。こんなにも騒音に囲まれて、何を考えてるのかな。
人より少し耳がいいせいで、こんなにも不便なんて。

柊 琴音(ひいらぎ ことね)。
物語の主人公ということでごく普通の女子高生、といいたいとこなんだけど、残念なことに全くそんなことはない。
うちは曽祖父の代から名門の音楽一家で、私はその家の一人娘。物心つく前からやれベートーベンだやれモーツァルトだと聞かされてきたことに加えてピアノやバイオリンなどのあらゆる楽器を弾いてきたおかげで見事絶対音感になってしまった。
最初は音楽のテストなんかに便利だわー、などと考えていた。が、だんだんと外を歩くだけで、教室にいるだけで吐き気がするようになった。
原因は敏感すぎる聴覚。街路樹のささめきあいさえ聞き取れる私にとってパチンコ屋の宣伝や男子の馬鹿笑いなどは耳をつんざく騒音以外の何者でもない。
原因が判明して以来、私は保健室通学を続けている。保健室は静かなので、心が落ち着く。
ただ、ひたすらに退屈だ。
まだあのクラスになって間もないので、見舞いにくる友達もいない。ずっと孤独だった。
「高校生になれば、もっと楽しい生活が待ってると思ってたのになぁ」
そう呟くと同時に、保健室のドアが勢いよく開く音がした。
「!!……っ!」
ドアが開くガラガラという音があまりにも勢いよく静寂を破ったため、私の耳は敏感に反応してしまった。
咄嗟に耳を覆って、頭痛が引くのを待つ。
「なんだ、人いんのかよ」
声のほうを向くと、一人の少年が立っていた。制服は二週間前に袖を通したに相応しくシワも少ないが、すでに絵の具まみれだ。

これが、私、柊 琴音の運命の出会いの序章であった。

164夜桜 ニコ丸:2014/09/25(木) 21:16:51 ID:/uKPUJsc0

「ああ、具合悪いからここにいるんだよな。すまないね、お大事に。」
彼は私に警戒の目で見られていることに気づくと、取り繕うようにそう言った。そして、保健室の棚、その一番下のカーテンがかかっている段から何か取り出した。どうやらキャンパスのようだ。そして絵の具をその上の引き出しになっている段から取り出し、おもむろに絵を描き始めた。
なぜここで描くのだろう?普通絵を描くなら美術室だろう。第一今は授業中だ。抜け出してきたのだろうか?いや、それにしても保健室で絵を描く理由にはならない。
その時、保健室の先生が帰ってきた。先生は私を気遣って、いつもそっと扉を開ける。まあそれでも私は不快感こそなくても誰かが入ってくるのはすぐわかるのだが。
「あら、彩君来てたの?」
「はい。今日中に仕上げたくて」
先生が男子に話しかけると、その男子はキャンパスに筆を走らせながら応じた。
「ああ、琴音ちゃんは初めましてよね、紹介するわ。同じ一年生の彩藤
彩(さいとう いろどり)君よ」
「いろどり?」
保健室の先生の紹介に対し私はその男子の名前であろう言葉を復唱する。ちんちくりんな名前だなぁ、と内心思っていると
「今『ちんちくりんな名前だなぁ』って思ったでしょ」
と彩君が話しかけてきた。
「うぇ!?お、思って……思いました」
一字一句思ったことを言い当てられ先ほど以上に変な声が出てしまい、慌てて否定しようとするも結局は自白してしまった。私の彼の名前以上にちんちくりんな回答に、彼は苦笑しながらそれでも筆を走らせる手を止めなかった。
「彼も保健室通学よ。理由は琴音ちゃんとあまり変わらないかも」
保健室の先生も苦笑しながら私に言った。
苦笑のダブルパンチにノックダウンしそうになるも、彼の保健室通学の理由には好奇心が湧いた。
「と、いうと?」
「彼は視力が異常なの。といっても見えないんじゃない。見えすぎるのよ」
そこまで聞いて私は彩君を見る。彼は手を止めてキャンパスとにらめっこをしている。
先生が話を続ける。
曰く、彼は視界がごちゃごちゃしているのが無理らしい。それぞれがそれぞれでうごきまわっているのを一度に視界に入れると頭痛がするというのだ。
「……ん?」
ここまで聞いて私はふと思った。
「同類……?」
思ったことは口から外へと出てしまったが、はたから聞いていてもこれは完全に「同類」だろう。私は耳が、彼は目が、優れ過ぎている。それ故に、日常に支障が起きている。
私は、そっとベッドから起き上がると、彩君の後ろに回って彼のキャンパスを覗いた。
そこには、夕日が描かれていた。赤、橙、黄色が鮮やかな一つの太陽をキャンパスに姿を現している。
「綺麗………」
私が呟くと、彩君は驚いたように振り返る。集中していたらしい。そんな彼に私は笑って
「柊 琴音です。私も保健室通学なの。よろしくね」と言った。
「……彩藤彩です。よろしく」
とだけ言ってキャンパスに向き直った。
「制作途中の作品を見られるのあまりいい気分しないから、ごめんだけど見ないで」
と言われ、私は「あ、ごめん!」と言ってベッドに戻って腰掛ける。

授業の終了を告げる鐘が鳴り響く。
なんにせよ、彩君とは仲良くしたいな。
鐘の音に頭痛を感じながらも、私は彩君を見て笑っていた。

165テロこ:2014/10/05(日) 04:13:54 ID:bNAcsb9M0
月読神酒の小説をちまちま書いておりましたが、とても長くなりそうなのでまとめました。

月読神酒 概要(?)

なんらかの理由で幼少期に住んでいた村から追い出されてしまう。そこを川瀬泉守護ノ命に仕える出雲という青年に拾われる。
御使いが興味本位で作った人口のストーンと相性が良く、融合してしまう。
当時の泉の地のファイダンド、紫泉と自分を拾ってくれた出雲を親のように慕い、紫泉には式神の使い方を教えてもらっていた。やがて紫泉は戦いに行ってしまう。その結果、紫泉は帰らぬ人となった。

人工物のストーンは不完全なものであったため、悲しさや寂しさなどの感情が大きくなり、力のコントロールがきかなくなってくる。

莫大な力を持っている神酒のことを知った御使いが襲ってくるが、出雲がそれを庇って死んでしまう。

御使いへの怒りという感情も増え、不安定な状態のまま泉の地を飛び出す。そして、力が暴走し、風、地、泉の3つの地の狭間に、彼女しか立ちいることのできない空間を創り出してしまう。これを月の地とよび、守護ノ命などがいないため、自分が神であり能力者であると語る。

やがて、出雲を殺した御使い達を襲い、さらには力の暴走により関係のない御使いをも襲ってしまう。
そんな神酒の暴走に、守護ノ命達が気づき、神酒を月の地ごと封印する。

時は流れ現在となり、彼女を縛っていた封印の力が弱まる。彼女は久々に月の地の外に出るが、月の地の封印が強く、一度外にでたら神酒も入れなくなっていた。そして封印のせいでかつての力もだいぶ弱まっていた。
だが、戦闘スキルなどはあったため、ファイダンドなどに戦闘術を教えたり、式神の使い方を伝授したりして暮らす。

166テロこ:2014/10/05(日) 10:38:40 ID:bNAcsb9M0
誤字ってた

×人口のストーン
○人工のストーン

167夜桜 ニコ丸:2015/01/24(土) 16:22:34 ID:RktmBSsY0
なに、これ?

こんなの、こんなのおかしい。

なんで?

あなたは、誰?

やめて。

やめてよ、こんな。

やめてよ!

なんで、こんな、風間君のこと、やっと、やっと、気づけたのに、私、彼のこと、なんで、なんで……

…………ゲー、ム?

ゲーム。

人を殺すゲーム。神の容れ物を壊すゲーム。

容れ物同士がぶつかって、一番固い容器を決めるゲーム。

あは。

あはは。

あははははははははははははははははははははははははははははははは

もう、いいや。怒るのも馬鹿馬鹿しい。

いいよ。全部壊してあげる。

待っててね、風間君。

今から私の邪魔するこの子、すぐに壊してあなたに会うから。

あなたもそれまで壊れないでね?

そして、2人出会えたなら。

一緒に堕ちて、壊れようね?


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