したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

おひさしぶりに。

4ねここ ◆WuiwlRRul.:2013/05/16(木) 20:54:53








 夏くんに告白されていたのは、放課後の教室だった。




 もう学校にあまり人がいなくて、
 あたしも夕日を見つめながら校庭に出る。





 とぼとぼと一人で帰ろうとしていると、
 あたしの大好きな人の姿が見えた。





「タケ!」

「おー、逢沢じゃん」

「今部活終わったのー?」

「ん!今日も疲れ果てたー」




 笑いながら話すタケ。




 この笑顔も、
 この仕草も、
 この声も、




 ぜんぶぜーんぶ大好き。






「逢沢は?今帰りなの?」

「うんっ、ちょっといろいろあってねー」

「……また告白?」





 ちょっと気まずそうに、ちらっとあたしを見て聞くタケ。





「うん、そうだよ」




 あたしは俯いて、それでも笑顔で言った。
 タケが、さみしそうに聞く。





「……振ったの?」





 タケは、あたしの気持ちを知ってる。
 あたしが中三のとき告白したから。





「…当たり前じゃん、あたし、タケが好きだもん…」





 タケの悲しそうな目が、辛そうな視線が。
 どうしようもなく苦しくなって、泣きたくなって。




 あたしは、空回りするように好きと伝えた。





「……俺以外のやつに恋したっていいのに、」

「それでもあたしはタケが好きなんだもん」

「俺、彼女いるよ」

「知ってる。でも好き」





 しつこく好きと伝えたって、
 好きという感情が虚しく積もるだけだし
 苦しさが増すだけだ。




 わかってる。





 けど、






「あたしはずっと待ってるよ」





 こんなに大好きな人、人生で一人しかいないもん。





 そんな気がするの。
 だからあたし、タケを諦めきれないの。






「もしタケが諦めろって思うなら、どうにかしてでもあたしに嫌われろ馬鹿」





 タケは優しいから、そんなことできないでしょ?




 自分でも残酷で卑怯なことを言っていると思った。
 それでも、どうしても諦めたくなくて。





 だから、
 タケの一言に吃驚した。






「じゃあ…今から最低なことするね」






 そう言って、タケは悲しそうにあたしに向き直って、









 とてもとても悲しそうに
 キスをした。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板