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ゆうぐれカフェ
7
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:23:06
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side*)
私が無理にゆうぐれさんを誘うと、ゆうぐれさんはそっと目を閉じて指を鳴らした。
その後目を開けるとふんわりと口元を緩め言う。
「これで人間界と魔界、どちらからもゆうぐれカフェは見えなくなりました。なのでお店は安心―――さあ、参りましょう。」
まるでお供しますとでも言うように、ワンピースの裾を摘まんでダンスの前にするような優雅なお辞儀をする。
私はゆうぐれさんに手を差し出し、笑顔で魔界への扉を開けた。
このとき、ほんの一瞬、本当の幸せを感じられた気がしたのは気のせい?
∞
「わあー……魔界って広いんだねえ!ゆうぐれさんがいなかったら完全に迷子だよー……」
想像以上に広く平和そうな魔界を見渡すと、苦笑しながらゆうぐれさんがいてよかったと呟く。
するとゆうぐれさんは、にこりと笑って話し出した。
「ゆうぐれは今まで誰かと一緒に出掛けることがなかったので、いつも以上に楽しいです。」
ゆうぐれさんの笑みにつられて私まで笑顔になってくる。
てゆうかゆうぐれさんって呼び方やめようかな。
「ねえねえゆうぐれさんっ!その……ゆうちゃんって呼んじゃダメかなっ?」
私のこの言葉に、ゆうぐれさんはきょとーんと目を見開いていた。
だけどその後、ぽおっと頬を桜色に染めて言う。
「ゆうちゃんって呼ばれるの、はじめてかもしれません。」
何これ可愛い!それより、ゆうちゃんに質問したいことがたくさんあるよう。
てゆうかっ!ゆうちゃんとゆーくんで被ってしまったよ!
まあ、ちょっとだけ違うからいいよね。
「ゆうちゃんは、今大学生くらい?」
ふわりと微笑んで問う。
背は低いし童顔だけど、これだけ丁寧な言葉づかいしてるんだから年上かも。
「ゆうぐれは……今、高校一年生の十五歳です。」
「え?!ど、どこの高校行ってるの?」
私は今高校二年生の十七歳だから……学年一つしか違わない。
なのに何でこんなに敬語使えるの?!それに何でこんなに童顔で身長低いの?!
とにかく、同じ高校だったらいいなあなんて考えている。
「ええと、花咲西高等学校です。」
花咲、西……残念ながら同じ高校ではない。
それに、まさかの敵高校なんだけど!
「……あれ?そこに恭汰(きょうた)くんっていうめちゃくちゃかっこいい子いない?」
花咲西高校は私が第一希望だった高校だから、何でもとはいかないけど結構知ってることがおおいんだ。
恭汰くん、ほんっとーにかっこいいんだあ……!
「……恭汰先輩は毎日男女関係なく囲まれていて、とても素敵です。そんなにたくさんの方がいるのに、いつも真っ先に挨拶してくださる、優しい先輩なんですよ。」
ゆうちゃんがふんわりと笑う姿を見て、胸がズキンと痛んだ。
不安そうな表情をして私が問いかける。
「あの、さ…明日、花咲西高校に行っちゃダメ?」
(恭汰くんとゆーくんどっちがいいって言われたら、ぜーったい悩むな!)
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