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「お薦め −映画」

1FK:2008/09/10(水) 21:18:58
 「お薦め映画」についてのスレッドです。
 みんなに観てほしい! と思う映画をドンドン、
 こんな人に向いてますよ! とか、こんなジャンルですよ、と紹介してみてください。
 映画評論家の気分で!? どうぞ。

187FK:2011/01/11(火) 19:46:45

2011年 1月10日 (月曜) [恋はデジャ・ブ](GROUNDHOG DAY 101分 アメリカ 1993年)

 なかなか面白かった。なるほどジャンルもコメディになっている。二月二日、聖燭祭の一日が何度も繰り返される、というある種のタイムスリップのお話でもある。何度も、つまり朝の6時の目覚まし時計とともに同じ一日が繰り返されるのだ。したがって主人公もだんだんと学習して、その都度の対応に変化が見られるわけだ。ただ天気予報士としてテレビカメラに話しかけるのだが、何度も何度もはさすがに嫌気がさしてきて、テレビクルーともトラブルとなったり、とコメディになっていくわけだ。そしてラブロマンスもきちんとある。
 しかし深読みしたら、もし毎日が同じことの繰り返しでしかないとしたら、どうだろう。耐えられるだろうか。先の事が分かっているのでギャンブルとかでは、得するかもしれないが、同じ事が毎日続く、いや同じ一日しか存在しないというのはSFであり、そして恐怖であろう。
 そういった意味でなかなか面白い発想の映画だと思う。携帯電話がないと思ったら結構古い映画であった。

188渦森六郎:2011/02/03(木) 19:06:37

2011年2月3日(木) 「殺人の追憶」(2003年 130分 韓国)

韓国映画はやはり面白いのだと思った。これまで「トンマッコルへようこそ」や「息もできない」を観たけれど、二つとも当たりで、今日観たこれもすごい映画だった。

監督は、ポン・ジュノ。1986年、軍事政権下にあった韓国で実際に起きた連続殺人事件をもとに、この映画はつくられている。
田舎の農村で、若い女性ばかりを狙った連続猟奇殺人事件が起きる。捜査にあたったのは、地元の叩き上げ刑事と、首都・ソウルから派遣されてきた頭脳派刑事。全くタイプの異なる二人は、ことあるごとにぶつかり、失敗を重ねながらも、やがて真犯人へと近づいていく…。

まずサスペンス映画として、非常に面白い。130分はそれなりに長い時間だが、二転三転する犯人さがしは、最初から最後まで飽きずに観ることができた。そして、もうひとつ重要なのが、劇中の韓国は軍事政権下にあるということだろう。そういった背景も手伝って、この映画は単なるサスペンスものではない、独特の緊張感や暗さを帯びた仕上がりになっている。当時の韓国社会の、というか軍事政権下の社会の雰囲気みたいなものを感じることもできる映画であるとも思う。

189FK:2011/02/12(土) 22:37:41

2011年 2月12日 (土曜) [怪傑ハリマオ](1960年 放映日 1960/04/05〜1961/06/27 放映時間 19:00〜19:30 放映曜日 火曜日 よみうりテレビ)

 今回観たDVDは[怪傑ハリマオ ソロ河の逆襲編1](75分)。
 懐かしいテレビ放送だ。こうして記録を調べてみると夜7時からのゴールデンアワーの放映だったとは意外だった。子ども向けなのでもっと早い時間帯かと、そして一年以上も続いていたのも意外だった。内容はともかく、ただひたすら懐かしいの一語に尽きる。
 ストーリー展開や演技・アフレコのレベルは決して高くはない(今からみればだが)。むしろ、よくこんな程度のもので毎週見つづけたものだと当時10歳の私のことを考えてしまう。もちろん楽しみに観ていたのは間違いない。
 ともかく今となっては、懐かしいというのみで、小学生の自分自身に再会したような気分になれただけで十分だろう。だから全作を観ることはこの先もまずないだろう。この一枚で、納得した。そして再会も果たしたので。
 それにしても三橋美智也が歌う主題歌は、名曲だ。忘れることはない。

190FK:2011/02/28(月) 21:56:32

2011年 2月28日 (月曜) [洋菓子店コアンドル](2010年 115分 日本)

 蒼井優、ということで観に行ってきた。この11日に公開されていて、そろそろ終わりといったところのようで、この映画館でも今日は一日一回のみの上映。
 小さくて、ちょっといい作品であった。描かれているのは、時間的にもおそらくひと月を少し過ぎたぐらい(一回給料をもらうシーンがあった)。
 若者・臼場なつめの人生と中年(江口洋介)・十村遼太郎の人生が二本の大きな糸として描かれる。といっても短時間のことなので、それほど深くはないのだが。あと江口のりこの演じる佐藤マリコが脇役で良かった。主人公が引き立つにはやはり脇役の存在が大事ということだ。
 劇中「職人が手を抜いたらお終い]という台詞は、耳が痛かった。しかし、何でもそうだが、仕事は大変なものだ。好きであればまだしも、そうでないとつらい。

191FK:2011/03/16(水) 23:09:23

2011年 3月16日 (水曜) [美咲ナンバーワン!!]

 今夜の第10話でお終い。どんな終わり方をするのかと楽しみにしていたが、まずは穏当な、つまりハッピーエンディングにしてあった。お茶の間に登場するTVドラマだから、現実的なシビアな結末にはならないだろうとは思いつつも、であった。
 いずれにせよユートピア物語だ。過去にどんな職業であったとしても、教師になってはいけないわけがない。ここでの主人公はキャバクラ嬢であった。そこからくる世間の偏見を前提にしたドラマであったが、子どもたちにはそのような偏見はなかったのかもしれない。一度、生徒たちに聞いてみたいものだ。
 [ごくせん]と比べるむきがあったが、なるほど世間の偏見の目で見られるという主人公の前提は同じといえば同じだが、美咲の場合は暴力や権力を背景に持たない。この点にヤンクミとは大きな違いがある。
 たしかに世の中のことは、暴力や権力なしに実効を上げることは難しい。しかし、そういった力を持たない美咲が、素人っぽく頑張るところに感動させられるのだ。

192FK:2011/03/20(日) 21:10:34
2011年 3月19日 (土曜) [ジャスティス](2002年 HART'S WAR 125分 アメリカ)

 今日、午後に放映されていたもの。二時間枠でCM付きだからかなりカットされているだろう。
 原題はアメリカ青年・ハートの戦いということだが、邦題の「ジャスティス」というのは少し違うような気がする。ただ昨年来のサンデル教授の正義について語ろう、というこの影響で放映作として選ばれたのかもしれない。
 内容的には正義がどうのこうのというのではなく、1944年12月、ドイツ軍の捕虜になったアメリカ兵士たちのお話。収容所近くの軍事工場を爆破するのが一つの目的であったようだ。ハート自身はそれとは関係なく、利用される。あと黒人差別が軍隊内部でもひどいというところが描かれている。
 それにしても、いつまでたってもアメリカという国は、ナチスドイツを糾弾するような映画を作り続けるものだ。

193FK:2011/03/28(月) 21:11:30

2011年 3月28日 (月曜) [わたしを離さないで](NEVER LET ME GO 105分 イギリス/アメリカ 2010年)

 佳い作品だった。佳作である。
 しかし怖い作品である。臓器移植から派生する問題は多々あるが、これは極端な例と言えるかもしれない。もちろん現実には、これは行われていないはずなのだが、もしかしたらと思わせられるところにじわっと恐怖が湧いてくる。原作を読みたくなった。
 また別の角度からみると、学校というところの恐ろしさもうかがえる。まさに監獄と同じなのだ。「境界から出てはいけない」とされ、出た男子生徒は殺されて木にくくられていたし、女子生徒は学校に入れてもらえずに餓死した、と。そんな脅迫がなされている。
 主演女優のキャリー・マリガンがいい。

194FK:2011/04/01(金) 22:29:24

 [ごくせん](第一シリーズ 2002年 全12話)

2011年 3月12日 (土曜) [ごくせん]
 レンタルDVDで、1-3話を観る。なるほど。仲間由紀恵はやはりなかなか良い。やくざと言わず任侠業としているのは、TVドラマにおけるルールだそうで。
 たしかに[美咲ナンバーワン!!]に似ているところもある。それもそのはずで、作ったスタッフは共通しているとのこと。しかし、二番煎じという非難をするより[ごくせん]が良くて、その作品に対する敬意から作ってみた、としてもいいのではないか。オマージュ、というやつで。
 なるほど[ごくせん]は視聴率が良かったようで、その続編も作られたわけだ。学校もののコメディなのだが、やはりこれもユートピア物語だ。
 [金八先生]よりよほどいいと思うのだが、それを言うためにはこちらもきちんと観てみないと、ということ。いずれ。

2011年 3月25日 (金曜) [ごくせん]7.8.9話
 [美咲ナンバーワン]で観たシーンがあった。つまりやはり[美咲ナンバーワン]はこの[ごくせん]のオマージュだということだ。
 それにしてもこの[ごくせん]は脚本も演出も上手いものだと思う。さぞかし視聴率も高かったろう。仲間由紀恵の当たり作といえるだろう。

2011年 3月31日 (木曜) 夜、[ごくせん]10.11話を観る。やはり上手いものだ。

2011年 4月 1日 (金曜) [ごくせん]
 最初のシリーズの最終話まで見終わる。ほんとにおとぎ話だ。現実はほんとにひどいものだから。そして私としては金八先生よりよほどヤンクミの方が良い。
 ということで授業でも使いたいので、いまアマゾンで中古のVHS No.1を注文した。出てくる暴力も、喧嘩と暴力は違うということから(ヤンクミの主張)考えてみればいい。世の中は目に見える見えないの違いはあれ、所詮、暴力支配なのだから。
 なかなか熱くさせてくれるドラマであった。

195FK:2011/04/15(金) 19:28:53

2011年 4月14日 (木曜) [パリ20区、僕たちのクラス](ENTRE LES MURS THE CLASS 128分 フランス)

 学校ものの映画ということか。フランスというのは、やはり権威主義的な教育を基準にしているのかと感じた。規律を教え込む。日本の学校も実は同じだが、あいまいな中にそれを実現しようとしているようだ。
 いろいろなことが考えられる。13〜14歳の男女24人を相手に授業での丁々発止のやりとりは面白い。あれくらい活発にディスカッションに参加してもらえれば、授業も面白い。
 教師で気になったのは、生徒の教師に対する態度や言葉遣いに対する厳しさだ。私なんかだと、そんなにまでもこだわらない。一過性のものだとして見過ごすようなことまで、一つ一つ指摘し、修正・やり直しをさせる。ただ体罰といった暴力はない。
 なおフランス語の原題は、「壁の間」ということらしい。

196FK:2011/04/21(木) 22:12:39

2011年 4月16日 (土曜) [誘拐ラプソディー](2009年 111分 日本)

 荻原浩の小説が原作。コミカルなお話を映像化するのはなかなか難しいものだ。子役が上手い。やはり動物と子どもには、大人の俳優が食われてしまう、ということだ。
 教訓的なこととしては、父子関係についての一家言があった。

2011年 4月16日 (土曜) [TOKYO!](2008年 110分 フランス/日本/韓国)
 まず蒼井優の出ていた「シェイキング東京」を観る。
 次いで、あとの二人の監督の分を観る。どちらも微妙、といったところ。普通に理解する、というのが難しい。

2011年 4月18日 (月曜) [真木栗ノ穴](2007年 110分 日本)
 原作の小説は読んだが、きっかけはこの映画の主役を演じる西島秀俊に興味があったからだ。この俳優を知ったのは、『神聖喜劇』をあつかったテレビ番組で彼がその一節を朗読をしていたからだ。以後、最近ではTVドラマ[スクール!!]があったし、よく見てみればあちこちで出演している。
 その一つがこれで、映画を観る前に原作が入手できたのでまず読んだわけだ。
 いろいろと深読みもできるだろうが、まずはジャンルとしてのホラー、ということでもいいだろう。それにしても作家というのは、大変な仕事である。妄想と現実生活とを最低限両立しなければならないのだから。だから、ときに破綻を来す人も出てくるのだろう。

2011年 4月19日 (火曜) [人のセックスを笑うな](2007年 137分 日本)
 やたら長い。映画の紹介を読んでみると、この井口という女性監督は、このだらだら感を好むようだ。分からないではないが、やはりやや冗長に思えてしまう。
 原作の小説を読んだときもそうであったが、この題はやはり少し違和感がある。英語でも記されていて、ドント・ラーフアット・マイ・ロマンスとあるのだ。ロマンスには必然的にセックスも含むのが常識ではあるが、この題のために青年の年上女性に対する憬れ・恋心といったものを描いた小説・映画であることが分かりにくい。
 なおこの映画も、まずは題に惹かれた面もあるが、何といっても蒼井優が出演していたというのが大きい。

2011年 4月20日 (水曜) [17歳の肖像](AN EDUCATION 2009年 100分 イギリス)
 [わたしを離さないで]の主演女優キャリー・マリガンがここでも主演であった。ということで早速、観た次第。まもなく17歳になろうという16歳の学生役。真面目でそれ故つまらない学生生活を送る彼女の前に、秘密めいた大人の世界の魅力をその男性がもたらす。それが、あるいはそれも、原題の通り「教育」であったのかもしれない。
 青春のある時期、派手な世界・バラ色の人生を夢見てしまうことはあるものだ。そこからうまく元の世界・生活に戻れるかどうかが、問題だが。

197渦森六郎:2011/04/25(月) 23:30:37
2011年4月25日 【マルモのおきて】

昨日たまたまテレビをつけていたらこのドラマが始まったのでなんとなく観ていたら、結局ぜんぶ観てしまった。
独身のサラリーマン(阿部サダヲ)が、ガンで亡くなった親友の遺児2人(芦田愛菜と鈴木福)を預かって育てる、という話。なぜか人間の言葉をしゃべる犬も登場する。この犬は何者なのかも気になる。

素直な脚本の、良いドラマだと思う。まだ1話を観ただけだが、なんだか好感がもてたので、これはちょっと「当たり」かもしれない。
あと、子役の芦田愛菜と鈴木福がおそろしく上手いのでびっくりした。この2人を観るだけでも価値があるかもしれない。

198よしこ:2011/04/26(火) 00:01:59
私もマルモのおきて観ました。
阿部さんはお芝居を見て、好きだったのと
兵庫県出身の天才子役、芦田愛菜ちゃんが出ているので
見逃すものか!!!!!と観ていました。
そしてやはり子役は素晴らしい(そして恐ろしい)なぁと思いました。


ソフトバンクのお父さんは普通に感じるんですが
あのワンコはなぜか違和感が・・・

199渦森六郎:2011/04/26(火) 00:55:52
>ソフトバンクのお父さんは普通に感じるんですが
>あのワンコはなぜか違和感が・・・

声の違いですかね。僕もソフトバンクのおじさん声のほうがしっくりきてると思うし、好きです。
下手に可愛くしようとすると、駄目なのかもしれません。

200FK:2011/04/26(火) 21:05:46
 マルモのおきて、はまた出遅れてしまいました。まだ観てません。5月1日の第二話からみてみます。

2011年 4月26日 (火曜) [アメイジング・グレイス](AMAZING GRACE 2006年 118分 イギリス)

 これは大英帝国を賛美する映画だと、つくづく思った。見終わったとき、ある種の感動と悔しさから涙が少々。
 人口が少なく国土も狭く資源もない国が、どのようにして栄華と繁栄を誇れる国になり得るか?
 それは搾取しかない、と大英帝国の歴史は教えてくれるのだ。それが奴隷貿易であり、植民地政策であり、その巧妙な外交政策なのだ。
 小ピットの名前はかろうじて覚えていたが、ウィリアム・ウィルバーフォース(岡田准一に似ている?)という奴隷貿易廃止に尽力した政治家は初耳であった。いろいろ問題はあっても、このような猪突猛進型の政治家は貴重な希少な存在だ。こんな人間が存在しうるところに大英帝国の強さがあるのだろう。日本にはいない、と慨嘆してしまう。
 授業で黒人奴隷については映画[アミスタッド]を使っているが、この映画では奴隷貿易船の内部や黒人奴隷に使われていた鉄の鎖なども見ることができる。そしてその船の悪臭も画面から想像されるように描かれている。
 (2006年の映画なのに日本公開が今になってしまったのはなぜか? ただちょうどこの時期、日本の政治がある意味ぼろぼろなので、絶好のタイミングでの公開ともいえるか。)
 なお題名にもなっているこの人口に膾炙した曲は、映画の中で二度ほど、効果的に出てくる。

201FK:2011/06/08(水) 21:54:56

2011年 6月 8日 (水曜) [東京原発](110分 日本 2002年)

 前々から気になっていた映画。見ず転で購入。まずまずの作品だった。いやもう少しほめてもいいだろう。いま折しも福島原発事故以来、様々な情報を獲得しているので、この映画における説明が的確であることがうかがえるのだ。しかもコメディになっているところがすごい。
 核ジャックのところはややトーンダウンする。むしろ動きの少ない都庁会議室でのやりとりがいい。これはひとえに実力ある役者たちのおかげだろう。たいしたものだと思う。
 それにしてもこのタイミングで、この映画は是非授業でみせたいと思う。

202FK:2011/06/14(火) 18:31:07

2011年 6月13日 (月曜) [ヒトラーの贋札](DIE FALSCHER、 THE COUNTERFEITER 96分 ドイツ/オーストリア 2007年)

 収容所でのユダヤ人を描くものの一つということになるか。敵対国の経済撹乱のために贋札を大量に印刷するというもの。まずポンドであり、ついでドルであった。このナチの作戦に協力することを良しとしないブルガー(原作者でもある)と他のユダヤ人との葛藤が描かれる。そんな中で冷静に(一度だけその冷静さを失わしめるほどの仕打ちを受けたのだが)強かに生きるのが主人公のサリーである。
 贋札工場(?)でも常に音楽が流れていたが、それは実際なのか、映画だからなのか。重苦しい内容だから、そのように多用されたのかもしれない。
 どうしてこんなにも易々とユダヤ人たちはやられてしまったのだろうか。この歴史の勉強も必要だし、してみたいとも思った。

203FK:2011/06/14(火) 18:40:51

2011年 6月14日 (火曜) [奇跡](128分 日本 2011年)

 [誰も知らない]の是枝裕和監督の新作。映画評(日経新聞夕刊)でも星五つ(満点)ということで期待して観てきた。
 ひとことで言うと、その世界にのめり込むことはできなかった。もう少し丁寧に、その世界に浸れるようにしてほしかった。
 九州新幹線の開業に合わせての映画ということで、3月12日(土)の初日、その上りと下りの一番列車がすれ違うときに何か(奇跡)が起こるということから映画の題名は[奇跡」なのだ。なんともベタな題名だなと思う。もっとベタにするなら[九州新幹線の奇跡]か。HPによると決して九州新幹線のプロモーション映画ではないと記されている。しかしやや長く感じられる鹿児島中央駅前のカットなど、やはりそのきらいを感じてしまう。
 それにしてもやはり映画制作の自由度が制約されてしまっているのではないか。いろいろごちゃごちゃして不自然な感じや訳の分かりにくいところも私にはあり、残念なことに冷ややかに観てしまう自分自身であった。私の前席の老夫婦は後半の途中で帰ってしまった。
 原因はこの主役である子役にもたれかかってしまったからではないか。かれらにゆだねすぎて監督の仕事ができてなかったのではないか(素人が偉そうに言うのだが)。彼ら前田兄弟は演技のしすぎで(柳楽優弥とは逆で)、それが功を奏したとは私には思えなかった。小器用な子役が自然でない演技を演じていたような感じだ。彼らが悪いのではなく、そこはやはり監督の責任だろう。残念な一作であった。
 あと[スタンド・バイ・ミー]のオマージュなのかなと気が付いたが、HPによるとやはりそのようだ。それと「奇跡」の意味として、家族四人が一緒に生きていけること、といった素朴なささやかなことが実は「奇跡」なのだということ、そんなふうにあった。そのとおりだと思う。そういえば山田太一のTVドラマ[ありふれた奇跡]を思いだす。

204FK:2011/06/28(火) 11:48:19

2011年 6月28日 (火曜) [鈴木先生]全10話

 昨夜の放送で終了。ラストシーンはどうなるのかと少しやきもきさせたが、やはりTVドラマの常としてハッピーエンドであった。そして教師をやってる人間には「だから教師はいいものだ」と思わせ、これから教師になりたいと思っている人には大いなる期待をもたせるものだ。
 10週間にわたったので初期のころのは忘れている。原作の漫画のほうは、全11巻中、二巻まで。これから残りを読んでいきながら、TVドラマのことも思いだし、いろいろと考えてみたい。
 この[鈴木先生]は、これからの時代の教師像の一つの典型かもしれない。

205FK:2011/07/06(水) 23:05:32

2011年 7月 6日 (水曜) TVドラマ[ブルドクター]が始まる。
 なかなか面白い。お気に入りの志田未来も今日のところは端役だがしっかり存在感がある。主人公の二人の女性はそれぞれに面白い。それにしてもなかなか社会性のある問題を取り上げている。つまり不審死というか変死というかで、解剖されずに済まされる例が日本では大多数ということ。この人権を尊重されることのない日本らしい実例である。それに対する警鐘ともなるかもしれない。大いに期待したい。

206FK:2011/07/07(木) 23:22:41

2011年 7月 7日 (木曜) 新しいTVドラマ[それでも、生きていく]第一回をみた。
主人公のふたりのキャラは浮世離れした感じでスタートしていて、これは何が始まるのか、といったところだった。それがだんだんと彼らの関係が分かり、背景となる事件のことが分かっていき、重くなっていった。もちろんフィクションとしているが、神戸の少年Aの事件が、そこにはあると思われる。被害者の父親はその後の一生を悔いの中に生き、そして死んでいった(柄本明が演じている)。瑛太は殺された女の子の兄であり、やはりその日の悔いを残しながら、今を生きている。一方、加害者側の家族たちも少年Aの家族であるというだけで、数々の憂き目(父親が投書により会社を馘首される等)にあっていく。女主人公(満島ひかり)は、少年Aの妹であった。

207FK:2011/07/09(土) 22:36:00

2011年 7月 9日 (土曜) [ドン・キホーテ]

 新番組。これまた重い社会性のあるテーマを扱ったTVドラマだ。見始めるまでは、山中恒の『おれがあいつであいつがおれで』のようなものとおもい、期待してなかったのだが、そしてこの二人が入れ替わるシーンはなかなか難しく、ちょっと無理っぽかったのだが。
 しかし見ていくうちに児童虐待という悲しくも重い、解決の困難な事象を扱っていることが分かり、引きこまれていった。重い内容であるからこそこの二人の人間(児童福祉司とやくざの組長)がセットされたのだろう。一方はインテリでひ弱なタイプであり、法を遵守する枠内にいる人間である。もう一方は人間の汚さというか現実を知り、法を遵守していたら何ごとも動かない・できないことを熟知した人間であり、実力行使を是とする人間だ。
 私たちも日常、法治国家に住みながらも、法の無力さや無意味さに切歯扼腕・隔靴掻痒の思いをしているわけだ。それをドン・キホーテよろしく、この二人は、互いにやむを得ず協力し合って、ある種の解決を模索するのだ。現実には不可能なようなことをやっていくのではないか、今後も。ただ題名のドン・キホーテのごとく、それは見果てぬ夢であることは予測されるのだ。つまり最初から、かなうことはないユートピアを描いていくドラマなのかもしれない。
 松田翔太は[イキガミ]とは大違いの雰囲気。それが高橋克実の組長と入れ替わると、眉根にしわを寄せ、がに股歩きでいかにもという雰囲気を出している。
 授業で使えそうなのは、虐待された6歳の子の言い分・母親に対する情を訴えるシーンとか、児童相談所がどのような活動を大変な中しているか等々。

208FK:2011/08/24(水) 20:56:53

2011年 8月23日 (火曜) [東京物語](136分 1953年)

 言うまでもなく小津安二郎の代表作、原節子が出ていることでも有名な作品。今回、初めてきちんと観ることになった(部分的には、紹介されたものを観ていた)。
 カメラアングルやカットの余韻の長さ、モンタージュするシーンの選択などなるほどと思ったり違和感を感じたりと、いろいろあった。
 人物の話し合うシーンは定石として次のように撮っている。人物Aと人物Bが出会う。話が始まるとまず人物Aをカメラ正面で撮りながら話をさせる。次いで人物Bをやはりカメラ正面で撮りながら話をさせる。そして次に両者を一画面に入れた状態の斜めからのアングルで撮る。長くなると両者を別の角度から撮る。さらに長くなるとふたたび人物Aを正面から、次いで人物Bを正面から、そして両者を、という具合だ。
 私が強く違和感を感じたのは、カメラ正面からの撮り方だ。役者が相手の役者に対して話しかけるのではなく、カメラに向かって話しかける。カメラに話をさせるのだ。観客を正面に見据えてしゃべるということになる。私たちは初め、これを観てドキッとさせられることだろう。余程の意図がないかぎり観客に話しかけるようなカメラ目線をとる映画は少ない。どうもこれが私には強い違和感をもたらし、偉そうに言うなら成功していないと思うのだ。
 原節子も正面からまともに見るよりも、やや斜めからの顔の方がより美しく見える。さらに何にもまして大事だと思うのは、そのほうがより自然な表情で演じられるということだ。当の役者はどう感じていたか分からないが、それが小津独特の方法だとしても私にはいまいちであった。
 とまれ、カットの切り替えが頻繁であり、撮影にはずいぶん時間が掛かったことだろう。
 ストーリーとしてはきわめて単純で、ある意味「リア王」的な感じもした。実の子どもたちではなく、義理の嫁がいちばん優しく対応してくれるというところ。そして妻の葬儀のあと最後まで尾道におり、彼女の東京への帰京をもって映画は終わるのだ。それはまた、映画の最初のシーンに戻っているともいえるのだが。
 ともかく今はまだ見終わったばかりなので、これからまた考えてみたい。日本映画の歴史の中で最高峰といわれる作品なのであるから。

209渦森六郎:2011/09/29(木) 01:47:55
2011年9月28日(水)

「美しい夏キリシマ」と「父と暮せば」
今日は授業サボって池袋の新文芸坐という名画座で二本立て観てきた。
この映画館では、最近亡くなった原田芳雄の特集をずっとやっていて、今日はその最終日。

映画の前に、柄本明・佑親子(そっくり)のトークショーがあった。柄本明けっこう好きなので、これは嬉しかった。
今日は「美しい夏キリシマ」と「父と暮せば」の二本立て。いずれも黒木和雄監督。
「キリシマ」は、終戦間際の宮崎県霧島が舞台。そこに住む地主(だと思う)一家と周りの人々の人間模様。柄本佑のデビュー作。原田芳雄は主人公(柄本佑)の祖父役で出ている。

「キリシマ」もなかなか良かった。だがその後で観た「父と暮せば」。これがすごい。
こちらは1948年の広島が舞台。被爆した父娘の話。父を原田芳雄が、娘を宮沢りえが演じている。
被爆し、大勢の友人を失いながらも、自分だけが「生き残ってしまった」ことに罪悪感を抱き続けながら生きている宮沢りえと、そんな娘を見守る原田芳雄(じつは彼には秘密があるんだが、それは観てのお楽しみ)。この映画は、ほとんど全編、二人の会話だけで進んでいく。
なのに、引き込まれた。台詞と、二人の俳優の力。本当に素晴らしい。

泣きました。鋼鉄の涙腺を持つ男と言われた僕が。高校時代に友人たちから「ドライ」と言われて顰蹙を買ってた(笑)僕が。びっくりした。映画を観て泣いたのは、小1以来のことだ。
まあこんなすごい映画に泣かされたのなら本望です。

「父と暮せば」のような、「生き残ってしまった」と思っている人々に語りかける物語は、たぶんこれから長い間必要とされることになるだろう。未曾有の震災があったのだ。悲しいことではあるけれど。

とりあえず、このへんで終わり。僕がつたない感想並べても、あんまり意味はない。とりあえず、観てください。「父と暮せば」。

210FK:2011/09/29(木) 07:18:35

2008年12月30日 (火曜) [父と暮せば](2004)

 広島の原爆を扱った作品だった(知らなかった)。原作は井上ひさしの戯曲。
二人芝居か。宮沢りえが好演、父親役は原田芳雄。
 原爆で生き残ってしまった(!)人たちの苦悩を描いたものといえるか。生
き残り、さらに自分だけが幸せになっていっていいのかという自問が、自らを
苦しめる。まさにトラウマか。
 それを解消(?)させるのに、亡き父親が亡霊となって(?)登場し、四日
間、二人で対話しながらそのトラウマを解消していく、という筋立てなのだろ
う。原爆を扱った佳品・佳作として推奨したい。

211渦森六郎:2011/09/29(木) 11:10:00
すみません、過去のスレッドをチェックしていませんでした。かぶっちゃいましたね。「父と暮せば」。

212FK:2011/09/29(木) 13:19:10
重複はまったく問題なしでしょう。一覧性のないブログだし、いいものは何回も見たりしますし、そのつどその時々の感動を書き連ねることがいいのではないでしょうか。
「美しい夏キリシマ」は知ってはいますが、そして好きな石田えりが出ているので見たいとは思っています。また、いずれ。

213FK:2011/09/30(金) 18:02:30

2011年 9月29日 (木曜) [ラストキング・オブ・スコットランド](THE LAST KING OF SCOTLAND 125分 アメリカ/イギリス 2006年)

 悪名高いウガンダのアミン大統領を描いた作品。軽薄な青年医師が政治に巻き込まれていき、多くの犠牲のうえに何とかウガンダを脱出するところまで描かれている。
 一概にアミン大統領たちを非難することはできない。彼を利用した白人と白人国家の責任は重大だ。しかし、これが歴史の現実なのだろう。歴史のプロセスとして必ず通過しなければならない過程なのかもしれない、残念ながら。
 観ていて不愉快になる内容だが、無理してでも観ておくといいということか。

214FK:2011/10/01(土) 22:11:01

2011年10月 1日 (土曜) [英国万歳!](THE MADNESS OF KING GEORGE 111分 イギリス/アメリカ 1994年)

 この手の映画は基本的に嫌いだ。無理して観た。
 ラストシーンでジョージ3世が息子に言う。すべて、これに尽きるだろう。
「私たちは家族のモデルになるのだ 笑顔を見せ 手を振れ 幸せに見せろ それが仕事だ」

215FK:2011/10/03(月) 21:49:03

2011年10月 3日 (月曜) [英国王のスピーチ](THE KING'S SPEECH 118分 イギリス/オーストラリア 2010年)

 [英国万歳!]同様、これまた好んでは観たくない映画。ある種、政治宣伝映画なのだから。
 この映画から何を感じ、何を得るかは、もちろん各人の自由だが、この手の映画が流行る・人気があるというのは私にはあまり面白くないところだ。たとえ、それらがすでに過去の「歴史」となっていても。
 ロイヤルファミリーを必要とする国家・国民というのは、私はノーサンキューだ。
 一つ、中味とは違う話だが、どんな表現なのか聞き取れなかったところをチェックしたかったのだが、このレンタルDVDには英語字幕が付いてなくて残念であった。販売用のには付くのだろうか。

216渦森六郎:2011/10/08(土) 01:27:09
2011年10月7日(金)「ヒポクラテスたち」(126分 1980年)

監督は大森一樹。
京都の医大生たちの、卒業するまでの最後の一年間を描いた映画。彼らの日常を、ときにユーモラスに、ときにほろ苦く描く。
主演の古尾谷雅人がとても良い。堺雅人と松田優作を足して二で割ったような、飄々とした演技が魅力。恥ずかしながら、古尾谷氏のことは先ほどこの映画を観て初めて知った。観たあとでちょっと調べてみると、2003年に45歳で自殺している。あまりにも若い。惜しい。

ともかく、『ブラックジャック』と並ぶ医療モノの傑作ではないかと思った。
ちなみに、手塚治虫本人が一瞬出演している。それを探してみるのも面白い。

217FK:2011/10/08(土) 06:46:48

2011年10月 8日 (土曜) [ヒポクラテスたち]

 懐かしい映画が紹介されました。痛切というか哀切というか、そんな思いが今でも残っています。数年前、授業でもとおもいVHSのそれを購入したものです。
 それにしても私がかつて観てきた映画を、次の世代(?)が、あとを追うように観ていくなど、歴史を感じさせられます。

218FK:2011/10/27(木) 20:33:58

2011年10月25日 (火曜) [ラストマネー 愛の値段]

 全7話、終了。「生命保険の正体」などとホームページに書いて大丈夫なのかと(NHK)。この問題も触れてはならないタブーであったのかもしれない。
 そもそもどうなんだろう、この「生命保険」というもの。これがあったおかけで助かった人もないことはないだろう。しかし、このようなものが世の中に存在することによって、犯さなくてもいい罪を犯し、殺されなくてもいい人が殺されているというのも事実だ。
 保険というものの成り立ちからすればどうなのだろう。本質はいずれにあったのか。ひとえに使う側にかかっているということなのだが。あと何より気になるのは、若者がなにも考えずに安易に生命保険に入ってしまうことだ。
 それにしても最後の愛、そしてその愛の値段が、保険の金額ということか。
 このドラマも社会に一石を投じるものであったといえるか。

219FK:2011/11/08(火) 20:08:18

2011年11月 8日 (火曜) [弁護士のくず]TVドラマ 全12話 2006年の再放映

 シリアスになりがちなこの手の法廷ものを豊川悦司が弁護士・九頭(くず)として、真面目一筋の新人弁護士(伊藤英明)とコンビでおちゃらけながら展開していくというもの。
 人生というものは、必ずしも真面目に事に当たるだけでは解決できないということ。多角的に、つまりより人間的にその事象にあたらなければいけないということ。そんなことを大人のドラマとして描いている。
 キャバクラが毎回出てくるのも、大人向けのサービスかもしれないが(?)、授業でみせるにははちょっと困るシーンでもある。途中から九頭が我が子と目される女の子を預かることになり、父娘としてドラマに変化を出している。母親こそ出番はないに等しいが、世の中というのは大人だけで構成されているわけではない。子どもの存在を忘れてはいけないということだ。
 ドラマ中、何度も九頭に正義や真実が必ずしも裁判で勝つわけではない、と言わせている。裁判に勝つことと、ものごとの真実や正義がいずれにあるかは、残念ながら違うということだ。私自身、一時、弁護士志望になりかけたことがあるが、やはり向いてないようだった。教師でよかったと思っている。

220FK:2011/12/06(火) 16:49:40

2011年12月 3日 (土曜) [ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実](ONE DAY IN SEPTEMBER ブラック・セプテンバー ミュンヘン・テロ事件の真実(DVD題) 91分 スイス/ドイツ/イギリス 1999年)

 1972年のミュンヘンオリンピックの時の事件。イスラエルの選手村が襲われ選手たちが殺されたもの(11名)。犯人は8名。そのうち生き残った三名が事件後ハイジャック事件の取引で解放される(裏取引か)。そして内二名はイスラエルによって暗殺(?)され、最後の一人が映画に登場し、語る。
 表面的に事件をなぞるだけでは真実は見えてこない。マシンガンによる遺体はさすがに正視できるものではないようで、ぼかしが入っていた。血まみれの床、散乱した物などはその凄惨さを物語る。
 政治というのは非情なものであり、その主体である国家にすり寄る者は簡単にその命を奪われてしまう。犠牲として本人の意志とは別に捧げざるをえなくさせられるのだ。特にオリンピックという国家的名誉を担う人たちはなおさらだ。気の毒とはいえ、国家から利用されることは自明のことであったわけだ。
 客観的に考えたら犯人たちの要求であるイスラエルとドイツにおける政治犯二百数十人の解放は簡単なことだ。しかしイスラエル国家は歯牙にもかけないのだ。何が大事なのか! 何を守ろうとするのか。
 このパレチスナとイスラエルの問題の黒幕である国は、息をひそめたまま何も語らない。そこにこそ目を向けなければならないのだが。授業でも使いたいものだ。

221FK:2012/03/03(土) 22:02:20

2012年 2月21日 (火曜) [ミリオンダラー・ベイビー](MILLION DOLLAR BA
BY 133分 アメリカ 2004年)

 おなじみクリント・イーストウッドの監督作品。ボクシングというものにか
ける情念の違いを感じる。ボクシングの魅力(魔力?)が貧しいものたちを駆
り立てるかのようだ。自ずからそのプロセスは悲愴であり、その結末は悲惨と
なるのだ。見ていて辛いものがあるが、映画の中で言わせているように、それ
なりの彼らなりの幸せというものがそこにもあるのだ。いや、そう信じなけれ
ばやっていけないということ。

 教会に通う主人公がおり、神のことも出てくる。最後の決着への伏線とも言
えようか。あとアイルランド系ということで、ゲール語とか緑色のガウンとか
が出てくる。

222FK:2012/03/13(火) 22:01:23

2012年 3月13日 (火曜) [イヴの総て](ALL ABOUT EVE 138分 アメリカ 1950年)

 なんといっても主役のベティ・デイヴィスが貫禄だ。この女優を最初に知ったのは映画[八月の鯨]であった。最晩年の作品。それに比べれば当時40才過ぎであり、さらに若いときの写真を見ると迫力のある美人であった。
 ストーリーは凄まじい。大女優と言えども人間であり、人間的な悩みや不安にかられる。一方、若くてこれからのし上がっていこうとする女優は、手段を選ばない。嘘偽りを巧みに使い、人に取り入っていく。もちろん、そうするしかないのかもしれないのだが、悲しいところだ。そしてラストシーンは、同じ手段でのし上がっていこうとする女優の卵が、鏡の前で悦に入るシーンなのだ。

223FK:2012/03/20(火) 22:07:22

2012年 3月20日 (火曜) [僕と彼女とオーソン・ウェルズ](Me and Orson Welles 2009年 イギリス 114分)

 結構面白かったが、日本未公開。日本の映画ファンならおなじみのオーソン・ウェルズなのにどうして、劇場公開されなかったのだろう。
 しかし芸というか、芸術というのはある意味残酷なものだ。他人の容喙をゆるさず、ひたすら己が信ずるところを邁進していくわけだ。そして、その成功の陰には、死屍累々。
 主人公の彼はまだ何も知らない高校生、まもなく18才になろうというところ。大人たちに囲まれて翻弄されているということになるか。
 オーソン・ウェルズが言ってた台詞に「客は役者の本音を見抜く」(主旨)というのがあったが、その通りなのだろう。私ごときでも授業に対する姿勢など、生徒たちはすっかりお見通しということだ。やはり一生懸命やらないとだめということか。

224FK:2012/04/16(月) 10:36:14

2012年 4月15日 (日曜) [獣医ドリトル](TVドラマ 全9話 2010年)

 再放送を録画しておいて。これもまた原作はアニメ。
 それにしても「獣医はビジネス」がキャッチフレーズというか、口癖のように何度も主人公に言わせている。もちろん「獣医もビジネス」の一つに相違ないのだが、そう言わざるを得ないところに、飼い主や一般の我々のペット観の問題点が浮き彫りになるということか。
 「獣医はビジネス」というわりには、結構、真面目な作品であるといえる。
 動物をそれこそ人間のペットとして、慰みものとしてしか考えないような人が多いということ。小学生のイノシシに対する話(第6話)で出てきたように、猫かわいがりで本当のところを理解できてない例。安直に安楽死をさせようとすること、等々。
 「命を大切に」と声高に言っても効果がないのは自明のこと。実際に動物たちとの付き合いをすることによって学習でき理解できていくのかもしれない。

225渦森六郎:2012/04/18(水) 21:24:15

2012年4月18日(金)「アーティスト」(2012年 フランス 101分)

現在公開中の作品。
この時代に、あえてのモノクロ&サイレント映画。面白かった。
舞台は、ちょうど映画がサイレントからトーキーへと移行する1920〜30年代のハリウッド。
サイレント映画のスターだったジョージは、トーキーへの変化についていけず、あくまでサイレントにこだわり、没落していく。それに反して、かつて彼が見いだした新人女優ペピーは、トーキー映画のスターとして大女優への階段を上っていく。しかし彼女は自分を見いだしてくれたジョージのことを忘れてはいなかった…。

シンプルなストーリーで、テンポも良い。映画のお手本のような作品だった。そして、サイレントからトーキーへと移行した当時の感覚を、我々に追体験させてくれるつくりになっている。これはDVDではなく、劇場へ足を運んで観たほうがいいだろう。

226渦森六郎:2012/05/01(火) 21:46:55

2012年5月1日(火)「リーガル・ハイ」

フジテレビで放送中のドラマ。古沢良太脚本、堺雅人主演。
詭弁をあやつる不敗の弁護士が主人公の法廷ドラマだ。堺雅人のコメディアンぶりが素晴しい。

それにしても、弁護士は大変な仕事だと思う。ストーカーだろうとクレーマーだろうと、とにかくどんなメチャクチャな要求をする被告であれ、とにかく依頼されたら弁護しなければならないのだ。どうにかして、その人が無罪であるという理屈を組み立てなければならない。
そのあたりをコミカルに描いている古沢脚本の上手さも見所。

227FK:2012/05/18(金) 10:29:16

2012年 5月14日 (月曜) 今、放映中のドラマから

 一番は[リーガル・ハイ]だ。初回は堺雅人という役者の演技に参ってしまい、なじめなかったが、今は楽しめるし授業でも使えそうと思っている(著作権や日照権)。
 授業でといえば、[開拓者たち]はもちろん、[カエルの王女さま]もなかなか良い台詞がある。前者は国家というものについてじっくりと考えさせてくれ、後者は人生に対する向かい方について応援してくれる。
 娯楽としては[鍵のかかった部屋]がいい。一緒になぜ密室かと考えられるのもいい。同じ推理ものでは[三毛猫ホームズの推理]には期待していたのだが、残念だった。事件といえば[家族のうた]が視聴率の低さから途中打ち切りになるとのこと。実はこれは一度も見なかったのだが。
 ドラマの主役を誰がやるかということは、それこそ視聴率のポイントにもなるのだろう。[開拓者たち]の満島ひかり、[カエルの王女さま]の天海祐希、[テンペスト]の仲間由紀恵。さらに武井咲の[Wの悲劇]、剛力彩芽の[未来日記]、谷村美月の[たぶらかし]などもいい。
 単発ものでは宮部みゆきの4つの小説がドラマ化され放映中。尺が長いのだが、授業でも使えたらと。
 今年の私の授業は、あいにくと世界史がなく、逆に現社・政経・倫理が結構あるので、視聴覚教材としてはヴィヴィッドなテーマでは「クローズアップ現代」、「海外ネットワーク」が役立つ。そして生徒たちの興味をひきつつ様々な問題を考えていくきっかけになるのがTVドラマである。

 今、放映中のものはもちろん、再放送ものや昔見た映画などからもどん欲に教材になるものをチェックしている。一例をあげるなら[ドラゴン桜]や[女王の教室]のそれぞれ第一回の数分間のシーン(いずれも先生の台詞だが)を、それこそ第一回目の授業、なぜ勉強するのかといったテーマで見せた。

 現社・政経ではあと昨年の[家政婦のミタ]を初めとして、[クロサギ]・[ラストマネー]・[ティーンコート]などといくつも授業で取り上げたいドラマがある。日本社会の現実や諸相といったものを知るのに役立つだろう。

 日本史Aでは[開拓者たち]や[坂の上の雲 二〇三郄地]・[タイムスクープハンター]などもある。沖縄のところで[テンペスト]も使えるかもしれない。

228FK:2012/06/10(日) 20:57:58

2012年 6月 9日 (土曜) [深呼吸の必要](123分 2004年)

 長田弘の詩集の題名を映画の題名にしている。
 それぞれ何か屈託を持った・持たざるを得なくなった人たちが、あたかも吹き寄せられるかのように南の島に集まってくる。仕事はサトウキビの収穫。
 香里奈が主役級だが、あと長澤まさみがまだ16,7才で高校生役で出ている。
 ある意味日本的な映画だ。収穫作業が期限に間に合いそうにない状況下で、世話になっている老夫婦のために頑張って仕上げるというところ。良いところとしては、人間がダメになりそうな時、自然のもとに一旦回帰することが必要というか大事だということ。そういったことを暗示する。ただそれぞれの登場人物の過去や屈託はあまり紹介されない。観る者の想像力にまかせるのだろう。

229FK:2012/06/27(水) 07:52:52

2012年 6月26日 (火曜) [リーガル・ハイ](TVドラマ 全11話)

 今夜で終了。前回から公害問題であったが、最終回はその一年後、その折の内部告発者についての裁判で、しかもこれまで一緒にやっていた古美門研介に対し、新垣結衣が敵側に回るという設定で面白くしてある。現実的な弁護士というものについて分かりやすくていいかもしれない。
 つまり事の是非・真犯人かどうかが問題なのではなく、金を積まれて依頼されたらその依頼人の利益のためにのみ頑張る、というわけだ。社会正義の実現でも何でもない。当然、私利私欲の一語に尽きるわけだ。
 ともかく真面目に誠実にコツコツやっても世の中では通用しないと痛感させられる。法律を味方にし、他人を徹底的に攻撃していかないことには裁判をはじめとして世間では「勝つこと」はできないということだ。正義がいずれにあるかはほぼ関係ないと言うことである。
 最後の弁論で新垣結衣に理想論を言わせているが、あっさり敗訴。人間の欲望・執念の強い方が、そして徹底的に人を信用しない者こそに勝利の女神がほほえむということを思い知らされるのだった(私たち視聴者も)。
 ということで、後味の悪いラストであったが、それにもめげずに新垣結衣扮する黛弁護士は頑張っていくところに救いがあるといえばあるのかもしれない。何にせよ教育の世界に生きる私などにはとうてい太刀打ちできることではない。
 今期TVドラマのなかでもっとも見応えのあった作品であった。もっとも最終回は、「やはり、そうか」と現実の厳しさを突きつけられるものではあったが。

230渦森六郎:2012/06/27(水) 17:55:34

2012年6月27日(水)『リーガル・ハイ』について

傑作でしたね。
僕もこのドラマには色々と考えさせられたので、感想を書き留めておきたいと思います。
もちろん、最終回の裁判だけに関して言うと、あの企業による報復人事は不当であり、あきらかに内部告発者(田畑智子)は気の毒な被害者です。
しかし、あの裁判の結末は、法というものが健全に機能した証でもあったと思います。もちろん法は万全ではない(ドラマよりも残酷な泣き寝入りの事例はいくらでもあると思います)。しかし、最後に古美門(堺雅人)が言っているとおり、我々人間にはいまのところ法に依拠して、徹底的に論理的になることしか、「間違い」を小さくする方法はないのだと思います。
黛(新垣結衣)的な「正義」や「道徳的な正しさ」や「情」は、一歩間違えると場合によっていかようにも解釈が可能なとても不確定かつ危険なものです。最近の橋下人気や公務員バッシングや「絆」という薄っぺらなスローガンなどは、「情」の負の側面が表出したものだと僕は見ています。法や理屈が、暴走した「情」に押し切られて機能停止してしまった時、最終的に現れるのが、ファシズムなのではないでしょうか(「情」の暴走の危険性については、同じ古沢良太脚本の『鈴木先生』でも描かれていました)。
古美門の「理」、黛の「情」、いずれも諸刃の剣であることには間違いない。ただし、どちらが「まだマシ」な剣かと考えた時、僕は前者を選びます。
『リーガル・ハイ』が描いていたことは、「現実の厳しさ」ももちろんそうなのですが、それ以上に、「徹底的に論理的に物事を考えることの重要性」だったのではないかと思いました。

231渦森六郎:2012/07/29(日) 02:07:19

2012年6月27日(水)『おおかみこどもの雨と雪』

『時をかける少女』『サマーウォーズ』の細田守監督の最新作。
現在公開中なので、これから観に行く人もいるだろうから、内容にはあまり触れないけれども、これは傑作。
「おおかみおとこ」と恋に落ちたヒロイン・花が、彼との間に生まれた2人(2匹?)の子供を育てる話だ。
朝ドラ『カーネーション』と並んで、21世紀的な想像力の先駆けになる作品ではないだろうかと個人的には思った。

232渦森六郎:2012/08/30(木) 22:52:45

2012年8月21日(火)『桐島、部活やめるってよ』

現在公開中の作品。
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『クヒオ大佐』の奇才・吉田大八監督の最新作。原作は、朝井リョウの同名小説。
とある高校のバレーボール部キャプテン・桐島が突然退部したことによって何らかの影響を少しずつ受けていく高校生たちの様子を描いた群像劇である。
原作小説を読んだ時はあまり印象に残らなかったのだが、映画は吉田監督によって換骨奪胎された新たな『桐島』になっていて、非常に面白かった。まるでそのへんの高校に定点カメラを設置したかのようなリアリティと、鼻血が出るほどの映画的興奮。
神木隆之介、大後寿々花、橋本愛など、出演陣がまた素晴しい。日本映画界の未来は明るい!と叫びたくなるほど。
まだ8月だが、ひょっとするとこれは今年1番の作品に出会ってしまったのかもしれないと思った。

233FK:2012/10/02(火) 12:42:12

2012年10月 1日 (月曜) [歩いても 歩いても](STILL WALKING 114分 2007年)

 是枝裕和監督作品。本の方は買ってあったのだが未読。先にテレビ放映されたものを。
 こんな作品だったのかと。佳品。カットも少なく(数分、おそらくエンドロール)ほぼ丸々放映されたようだ。昔の映画を知っていたら、この作品がそのオマージュなんだろうなと。家族を描いた作品の現代版。
 阿部寛と夏川結衣のコンビがここでも見られる。また監督とYOUも[誰も知らない]で。YOUと樹木希林との会話・演技も細かく、そのやりとりが面白い。
 ちょっと難しいけど、観ておいていい作品だろう。

 「人生は、いつもちょっとだけ間にあわない」という台詞が印象的か。

234FK:2012/12/18(火) 22:41:49

2012年12月15日 (土曜) [ドクターX 〜外科医・大門未知子〜](全8話 2012年)

 米倉涼子の人気で視聴率が高いのかなと思っていた。最終回を見終わった今、少し違うことを考えた。彼女の外科医としての行き方は、まさに破天荒で日本社会ではとても受け入れられがたいものがある。しかし彼女はその実力と人生観で堂々と生き抜いていく。嫌なものは嫌と言い、おかなしなことはおかしいと言い、すべきでないことはせず、すべきであることは何があっても遂行する。
 そんな生き方に視聴者は拍手喝采するのだろう。ということは、みんなも今の日本社会のあり方が決していいとは思っていず、むしろ彼女のようなあり方こそが本当なのだ分かっているからかもしれない。(実はみんな本来あるべき理想を持っているのだということに気付かされたことは収穫であった。)
 そうはいっても誰でもがそのように実行できるわけではない。そこでこのドラマでスッとして、また明日からはこの現実の中で生きていくしかない、となるのかもしれない。

235渦森六郎:2013/07/05(金) 17:54:19
2013年7月 5日 (金) 『立候補』(100分 2013年)

下北沢の小さな映画館で観た。

選挙において「泡沫候補」と言われる人たちを追ったドキュメンタリー作品。「スマイル党」総裁のマック赤坂氏を中心に2011年の大阪府知事選挙(「大阪維新の会」の松井一郎氏が圧勝した選挙)を戦った「泡沫候補」たちの人間像が映し出される。
「泡沫候補」と言われながら、野次を浴びながら、それでも300万円もの供託金を支払ってまで、負けると分かっている選挙に出続ける人々。我々は彼らを笑う。「変な人だなあ」と。しかし、そもそも「マトモ」とはどういうことか。人気のある政治家なら「マトモ」なのだろうか。立ち上がることも、声を上げることもしない我々に、彼らを笑う資格があるのだろうか。この作品は、そして登場する人々は、そんなふうに観客に問いかけ、頭の中を引っ掻き回してくる。
この映画を観たあとは、もう彼らを「泡沫候補」などと呼ぶことはできなくなるだろう(もちろん、それは彼らに票を入れるとか、彼らに賛同するとかいうことではないけれども)。

印象的な場面をひとつ挙げておくと、マック氏が「同じ供託金300万円を支払っているにも関わらず、メディアにおける候補者の扱いに差がありすぎる」と選挙管理委員に抗議するシーン。日本の選挙システムは「実質的な制限選挙」と言われるが、そのことを端的に表しているシーンだった。他にも見所はたくさんあったが、あまり書いても楽しみがなくなってしまうので、このくらいで。
笑えて泣ける、そして「常識」を揺さぶられる、傑作だった。

236アンリ:2014/04/14(月) 16:31:30
2014年 4月7日(月)
白ゆき姫殺人事件

上映時間:126分

原作は湊かなえさんの「白ゆき姫殺人事件」です。

この映画は、人の死というものから始まる、現代社会の闇が描かれていると思います。
私はこの映画を観て、恐怖を感じました。
それは、この映画がTwitterというSNSの社会が描かれているからです。
顔が見えないSNSという世界では、誰もが被害者になりかねないからです。
そして、誰もが加害者になりかねないという恐ろしさが潜んでいるからです。
顔が見えないだけに、人の本性というものが露わになるからだと思います。
それと、この映画は女性の裏の顔が描かれていると思います。きっと誰しもが、あるものなのでしょうが、その裏の顔がこの映画ではキーパーソンになっていると私は思います。


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