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「お薦め −映画」
1
:
FK
:2008/09/10(水) 21:18:58
「お薦め映画」についてのスレッドです。
みんなに観てほしい! と思う映画をドンドン、
こんな人に向いてますよ! とか、こんなジャンルですよ、と紹介してみてください。
映画評論家の気分で!? どうぞ。
137
:
FK
:2010/05/02(日) 20:52:02
2010年 5月 2日 (日曜) [アレキサンダー](ALEXANDER 2004年 173分 アメリカ)
授業用に中古を購入。全32章をピックアップして観た。
私の素朴な疑問はなぜインドあたりまで征服の旅に出なければならなかったのか、ということ。たしかに占領地で略奪したものをマケドニアに送り、その繁栄を支えたのかも知れないが。
その征服のありさま・戦争のありようを映像で観ることによって学習の一助にするつもり。そして最後、独裁者としての顔が目立つようになり、離反されていき、病死していく様までを。
DVD、お貸しできます。
138
:
FK
:2010/05/04(火) 11:20:11
2010年 5月 3日 (月曜) [さらば夏の日](1970年 80分 フランス)
ようやくDVDになり入手した。懐かしい映画。私の青春の映画だ。ちょうど二十歳になる年の、夏前に神戸で試写会で観た。ルノー・ベルレー主演の甘くほろ苦い青春の一コマを描いた映画で、まあB級映画なのではあるが、その頃の私にはドンピシャだったのだろう。
しかし、40年前に観たまま、ついに今日まで観る機会がなかった映画で、感慨無量であった。細部はすっかり忘れており、ラストも(当然ながら)ハッピーエンドであったことも忘れていた。ひたすらフランシス・レイのあの音楽によってこの40年間、記憶に残してきていたのだ。
139
:
FK
:2010/05/09(日) 07:28:17
2010年 5月 8日 (土曜) [ボウリング・フォー・コロンパイン](2002年 120分 カナダ)
単なる銃規制の問題ではなく、本質的な問題を提起・提示しているようだ。
銃による死者が一万人を超えるというアメリカ合衆国、それが何故そのようになってしまっているのかを分析。一言でいうと日常的な「恐怖心」「猜疑心」の植え付けだろう。
この映画のなかでアメリカ合衆国の歴史をアニメで簡潔に紹介しているが、なかなか分かりよい。納得させられる。そもそも彼らの先祖がアメリカの地へ入植するところからして常に暴力・迫害などの脅威・恐怖にさらされてきたということだ。その後もアメリカ本土でネイティブと、さらに黒人との関係のなかで恐怖心は強まるばかりで、とうとう銃を手放せないような心理状況・社会状況に追い込まれてきたということだ。
もちろん、いまやマスコミや政治家がその恐怖を助長するのだ。彼らと会社経営者の利益のために。
DVD、お貸しできます。
140
:
FK
:2010/05/10(月) 23:06:39
2010年 5月10日 (月曜) [善き人のためのソナタ](DAS LEBEN DER ANDEREN THE LIVES OF OTHERS 2006年 138分 ドイツ)
ベルリンの壁が崩壊する7,8年前の東ドイツの有り様が描かれている。自由がなく特権を持つものが存在し、芸術をふくめ何もかもを支配する。実に息苦しく、観ていて息が詰まりそうであった。辛い映画である。
しかし、独裁国家の常として、このような社会が生み出されることは、歴史の教訓として知っておかねばならない。もちろん単純な独裁国家に限らず、見かけは民主国家に見えてもその実態は柔らかいファシズムに覆われている場合もある。
この主人公のような「心」を持つ人が、当時の東ドイツに存在し得たかどうかは疑問だが、そうであってほしいという願望は理解できる。
所詮、人は恐怖と甘い汁に打ち克つことは難しい。そして私も、私たちもそのような状況に置かれたら簡単に転ぶかも知れないのだ。実に怖い映画、いや怖い現実を突きつける映画である。
141
:
FK
:2010/05/24(月) 16:49:49
2010年 5月24日 (月曜) [シッコ](SICKO 123分 2007年 アメリカ)
アメリカ合衆(州)国の凄まじい一面を見ることとなった。医療とその健康保険の問題である。日本ですら国民皆保険が当たり前なので、まして先進国・超大国アメリカがそうではないなどとは夢にも思わなかった。しかし、ないのだ。
自己責任という美名のもとで、端的に言えば保険会社のビジネス機会の提供のために作ってこなかったわけだ。それがアメリカ国民の下層階級にどんなむごい仕打ちをすることになるかが、縷々描かれている。恐怖を感じるほどであり、まさにテリブルであった。
なお、シッコとは病人の意味の俗語であった。これも是非とも授業でみんなに見てもらいたいと思った。
142
:
FK
:2010/05/24(月) 22:10:33
2010年 5月24日 (月曜) [サウンド・オブ・ミュージック]
[サウンド・オブ・ミュージック]のメーキングを観る。一時間ほど。
もう四十年もまえになるだろう。この映画を映画館で観たのは。そして映画館でだから、そう何度も観たとは思えない。今こうしてメーキングを観ると、映画作りの大変さや役者たちのありようがうかがえて興味深い。
それにしても若い頃、この映画を観て魅了されたことを昨日のことのように思い出す。私にとってはやはり名画だったのだろう。その後、歴史を学んでいくうちには、政治的な色合いがやはりあったことに気付かされはするのだが。
あと舞台でのそれが一部紹介されていたが、やはり私には映画の方がいいようだ。それにしても懐かしい映画だ。授業に使えるとしたら、現社では「勇気を持って」「もうすぐ17歳」とか、世界史ではナチスのこととか、いろいろに。全部は長いので厳しいが。
143
:
FK
:2010/05/28(金) 23:13:57
2010年 5月28日 (金曜) [トーク・トゥ・ハー](TALK TO HER 2002年 113分 スペイン)
何とも不思議な映画だった。オープニングからしてそうで、モダンバレーの悲痛な感じのデュエットから始まっている。実はその場面で本作の主人公の男性二人を隣りどうしの席の観客にして、これからの絡みを連想させるものだった。
音楽はやはりスペインということでギターか。独特の雰囲気を醸し出すものだ。いい感じであり摩訶不思議なワルツ調の音楽もあった。
原題は「彼女に話しかけなさい」というわけで、植物状態になった人に話しかけなさいということ。そんなふうに付き合っていく・大事にしていけばいずれ意識が戻って、というわけ。
そしてそのように大事にされたバレリーナのアリシアは覚醒し、そのようにはされなかった女闘牛士リディアは死んでいく。
悲劇としては、アリシアを愛したベニグノは、アリシアの覚醒を告げられずに絶望して自殺してしまう。このところは、安直な連想ではあるが「ロメオとジュリエット」を想起させる。
なるほど、愛と孤独を描いた作品ということになるのか。
144
:
FK
:2010/06/14(月) 22:16:44
2010年 6月14日 (月曜) [キャピタリズム マネーは踊る](CAPITALISM: A LOVE STORY 127分 アメリカ 2009年)
マイケル・ムーア監督の資本主義を真っ正面から告発・弾劾する映画ということになるか。よく「血も涙もない」という常套的な陳腐な言い方があるが、アメリカの銀行が庶民の住宅をローン返済が滞り未払いということで没収し、追い出す様はまさにそれであった。
そんな銀行に対し彼のアメリカでもリーマンショックの後、救済策として税金が投入されている。かつてのバブル後の日本同様に。何故? どうして? との市民の問いかけは虚しい。そこでマイケル・ムーアの登場となるのだが。
キリスト教の司祭がインタビューで登場するが、彼ははっきりと資本主義は悪だと言う。そしてもし家の没収の場にイエスがいたら、彼は両者の間に立ちはだかるだろう、とも。いまや再びイエスは資本主義の敵となるのだろうか。
エンドロールの間に流れる歌がなかなかいい。イエスが何故、誰によって殺されたのかと、歌うのだ。
145
:
FK
:2010/06/19(土) 21:49:56
2010年 6月19日 (土曜) [春との旅](2009年 134分)
仲代達也と徳永えり([フラガール])を主人公に、脇役がまたすごくて大滝秀治・菅井きん・田中裕子・淡島千景・柄本明・美保純・香川照之など。
この監督の映像はアップと長いセリフに特徴がある。どちらもなかなか難しいことだろう。しかしベテランの俳優人たちはそれをやってのけ、観る側にリアリティと迫力を感じさせる。
ストーリーを読んだとき、『リア王』のような話かなと思った。たしかに身を置く場所がなくなった仲代が彼の兄・姉、そして二人の弟を訪ねていくわけだ。孫娘を演じる徳永えりは[フラガール]でなじんでいたが、今作で主演ということになるか。
この二人の服装は祖父を黒に、孫娘・春を赤として分かりやすく(?)している。ある意味共通するのはその歩き方だ。祖父は足を痛めてひきずるかのように歩く。孫は子どもっぽく(といっても19歳)ぎこちなく、ある種、剽軽にもみえる歩き方をする。もちろん演出の結果だろう。何かしら映画に、そして彼らの人生にリズムをつけている感じ。
この映画では、こうるさくいうと日本の家族の問題、その家族の縛りの中にあって個が確立できていないという問題が如実に出ていると思う。
それにしても不思議なのは、身内は厳しく、他人こそが優しくできるということ。皮肉なことだ。
久しぶりに映画館で映画を観たが今回は初めてのシニア料金の行使(?)であった。良い映画を観ると、なるほど生きる力を与えられるように思う。
146
:
FK
:2010/06/22(火) 17:51:32
2010年 5月 9日 (日曜) [新参者]全10回
ドラマ「新参者」を観ている。なかなか面白い。面白い趣向といえるか。毎回違う出来事を扱いながら基本は第一回目の殺人事件がある。東野圭吾の小説。阿部寛に黒木メイサなど。
2010年 6月20日 (日曜)
とうとう終わってしまった。犯人は二三回前の頃から、もしかしたらこの人か、と。ただその動機を読み違えていたのは伏線をきちんと認識しておかなかったから。ま、私にはしては上出来か。
それにしても楽しませてもらった。すべて録画したのでDVDにコピーしておくつもりだが、番組の最期にもうそのDVD-BOXの発売(10月)がアナウンスされていた。
昨日観た映画[春との旅]の音楽も良かったが、この[新参者]も良かった。
147
:
FK
:2010/06/23(水) 21:12:17
2010年 6月22日 (火曜) [蟲師 メイキング]
[蟲師]のDVD-BOXを入手。早速、お気に入りの蒼井優の部分から観ていく。
制作秘話というか、VFSというのかいわゆるCGを多用して出来上がっている作品なので、その作り方の紹介部分は興味深かった。
『蟲師 全10巻』(柳原友紀 講談社 2008年 各\620)は2009/5/20(水)に読了し、その映画化は「 70 :FK:2009/03/19(木) 21:50:53 2009年 3月19日 (木曜) [蟲師] 原作は全10巻の漫画。それを映画化したもの。不思議な世界・想像上の世界を具象化している。漫画の第1巻を読んだだけで、これは何かあると予感させるものがあった。切っ掛けは例によって蒼井優が出演しているところからなのだが(笑) 精神世界のことを私たちに分かりやすくするためには、何らかの具象化が必要なわけだが、仏教なら仏像として具象化するように。それがここでは「蟲」(むし)であったりするわけだ。日本と日本人精神世界を探る試みと言ってもいいのかも知れない。ともかく、まず観てみることだろう。そして考えること。」としてすでにアップした如く。
このメイキングで蒼井優は何回も観ることによって分かってくるものがあるようなことを言っていたが、その通りのような気がする。もちろん、この映画に限らずそうともいえるのだが、特にこれはそういう意味では難解(?)なので。
148
:
FK
:2010/06/24(木) 21:20:37
2010年 6月24日 (木曜) [禁じられた遊び」
授業用にと久しぶりにいくつかのシーンを観た。小学校時分に観たのが最初で、もちろん泣いた。その後、二十歳前後でも一度観ている。ただこの時はもうさほど感動しなかったことを覚えている。ではいまならどうか? もう一度きちんと最初から観てみたい。
なおラストシーンの「ミシェル」と呼びながら駅舎の中をゆくシーンはもっと時間的に長いと思っていたのだが、あっという間に「Fin」だった。
149
:
FK
:2010/06/26(土) 22:33:17
2010年 6月26日 (土曜) [ダージリン急行](THE DARJEELING LIMITED 2007年 91分 アメリカ)
ロード・ムービーということになるようだ。ついこの前観たばかりの[春との旅]もそうだった。この映画ではジャーニー(journey)と言っているが、「旅」というのは人生を考えさせるのにもってこいのシチュエーションなのであろう。
ただ正直言ってこの作品は文化の違い・考え方の違いを思わせられることしきりで、あまり理解できるものではなかった。そこまでして兄弟の仲を元どおりにしようとするところなど、欧米的というよりも日本的な感じがする。また長男が弟たちに支配的・指示的であるのもそうだ。
なんとなく分かるような気がするといえばいえるが、といったところ。なお題名のように列車のシーンはいろいろと面白かった。
なおピーター役は[ヴィレッジ]に出ていた俳優だった。というか[船上のピアニスト]の主役といったほうが通りがいいか。またインド人で子どもを亡くした父親役をしていたのは[スラムドッグ・ミリオネア]の取り調べの警官の俳優であった。
150
:
FK
:2010/06/27(日) 22:36:59
訂正。昨日の[ダージリン急行]で「なおピーター役は[ヴィレッジ]に出ていた俳優だった。というか[船上のピアニスト]の主役といったほうが通りがいいか。」としたが、これは[戦場のピアニスト]の間違い。頭では分かっていたのに変換では別の映画のにしてしまった次第。
2010年 6月27日 (日曜) [真夜中まで](1999年 110分 日本)
和田誠監督。スラップスティックとは少し違うが、ドタバタコメディ。わずか二時間弱の間に物語が始まり、終わる。ジャズ好きにはたまらない映画と言うことになるのかも知れない。トランペットを中心にしたクィンテット。
151
:
FK
:2010/07/09(金) 05:10:08
2010年 7月 9日 (金曜) DVD中古[K-20 怪人二十面相・伝]・[男たちの大和]入手
授業をしていて、やはりほしいと思いDVD中古[K-20 怪人二十面相・伝]と[男たちの大和]を購入。昨夜、あらまし授業で使いたいところをチェックする。映画はオープニングが大事で、監督も力を入れ、趣向を凝らすところでもある。そのまま授業に使えるのはありがたい。
[K-20 怪人二十面相・伝]ではうまい具合にオープニングからの10分あまりがいい。「臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。」と、有名な1941 年・昭和16年12月8日午前6時のラジオの臨時ニュースが流れるのだが、じつは現実の歴史とは違っていて、そこからこの怪人二十面相が登場する。
[男たちの大和]ではタイトルが出てくるあたりから、当時の記録フィルムを交えたシーンが授業にいいか。あとは時間さえあれば戦艦大和の再現された艦内とか、銃後の家族との団欒シーンとか、出撃・戦闘のシーンなどもある。
DVD、お貸しできます。
152
:
FK
:2010/07/11(日) 20:57:44
2010年 7月10日 (土曜) [ハンマーセッション]・[美丘]
[ハンマーセッション]は今日からの8時台の新ドラマ。志田未来が出ているのをチェックして。
なかなか面白い。主人公の詐欺師(?!)が進学名門高校の先生となり、生徒の志田未来が狂言回しを演じるようだ。この先生役は先日終わった[新参者]にも少し出ていた。今度は主役であり、ガラッと変わったキャラクターを演じる。なかなか器用なようだ。
そしてもう一つ9時台のそれが[美丘](みおか、女性の名前)。こちらの男性主人公は[小公女セイラ]で志田未来と共演していた彼(林)であった。
ストーリーは余命もの(?)というか、昔の映画でいえば[ある愛の詩]だろう。最初のシーンはスケート場か屋上かの違いで、やはり彼女を回想するところから始まる。そういえばどちらも大学生だった。
[新参者]が終わって観るドラマがないと思っていたところ。新たな楽しみができた。今後、土曜の夜、8-10時はテレビの前、ということになりそうだ。
153
:
FK
:2010/07/16(金) 23:24:58
2010年 7月16日 (金曜) TV[うぬぼれ刑事]
今夜の番組で蒼井優が出ているのが分かったので見てみた。見終わって、あんないつもの蒼井優の笑顔で「詐欺師」なのかな、と。詐欺師というのはそういうふうにできるものなのかな、と。
たしかに被害者(?)が、それ相応の満足を得ているので、ある意味その騙し取られたとされるお金も、それ相応の対価といえなくもない。詐欺師というのもそのように考えれば、なかなか馬鹿にしたものではない。束の間の幸せを与えるものだとしたら、それはそれで善行なのかも知れないのだ。もっとも、いま流行の振り込め詐欺などは論外だ。
それにしてもこのドラマ、ドタバタ。スナックでの数人による言葉の掛け合いは、かなり凝っていて面白いと思う人には、マニアックで面白いのだろう。来週のゲスト出演は樋口可南子、面白いかも。
154
:
FK
:2010/07/19(月) 18:14:46
2010年 7月18日 (日曜) TV[GM 〜踊れドクター]
新番組[GM 〜踊れドクター](2010年7月18日 - 9月、TBS日曜劇場)を観た。総合診療科の医者たちの話。
始まってもまもなくこのドラマは、日本版[ドクター・ハウス]かなと思った。今後、どのように展開されていくか分からないが。ただ題名の通り、元ダンサーの主人公が踊るシーンがあるので、今後もこれが一つの売りになるのだろう。
多部未華子は[夜のピクニック]でシリアスな役を演じていたので、そのイメージが強くある。基本的には暗いトーンの子だが、今作では狂言回し役でもあり明るい演技をしている。まだ始まったばかりだが、来週以降も見てしまいそうだ。
155
:
FK
:2010/08/06(金) 09:36:43
2010年 8月 5日 (木曜) [レミーのおいしいレストラン](RATATOUILLE 120分 アメリカ 2007年)
アニメ。最近みた[ウォーリー]と同じピクサーの作品。
しかし文化の違いなのか、ドブネズミをシェフに仕立てるという発想。私たちの先入観としては、どうもネズミは不衛生で、およそ料理に関係させるなど想像だにできないことなのだが。
ともかく、いろんなムリがあるが、それはそれ。エンタテーメントとして楽しめばいいのだろう。観ていて思ったことは、以前読んだ『至福の味』。所詮、人はどんなにおいしいものを食べても、帰り着くべきところ、すなわち「至福の味」は同じなのだろう。
ラスト、「レミーのおいしいレストラン」では一階では人間たちが、天井ではネズミたちがおいしそうに食事をしているシーンであった。
156
:
FK
:2010/08/06(金) 21:37:40
2010年 8月 6日 (金曜) [機関車先生](123分 日本 2004年)
録画しておいたのを観た。場所も瀬戸内海ということで[二十四の瞳]を連想させるが、こちらは男性教師。剣道ができるがそれがもとで声が出なくなったという設定。これを最近では[君たちに明日はない]でも主役をしていた坂口憲二が演じる。監督は[きみの友だち]の廣木隆一。
例によってノーカット版ではないので、やや唐突なところが残るが、大筋はわかる。なんにせよ小学校の先生はいいなと思わせられる。高校ともなるとこうはいかないだろう。臨時の教師だったのでまもなく別れが来る。お定まりの別れのシーンは陸と船とで交わされるが、やはり泣かされてしまう。
その際の子どもたちの手話での「ありがとう」は、[フラガール]での先生と生徒たちとの駅での別れのシーンを思い出させた。こちらは手話というのではなく、フラの表現なのだが。
教師志望者は観ておいていい映画の一つだろう。
157
:
FK
:2010/08/09(月) 15:28:33
2010年 8月 9日 (月曜) [シェフとギャルソン、リストランテの夜](BIG NIGHT 109分 アメリカ 1996年)
イタリアからアメリカへの移民の兄弟が経営するイタリア料理店。兄は職人肌の料理人、妥協を許さない。弟は経営を担当するが火の車。そんな状況下で女性との楽しい(?)やりとりや、先輩実業家との確執などが出てくる。最終的にブラザーフッドが快復するのだが、その後はどうなることやら。ビッグナイトが明けた朝の簡単な食事のシーンで終わる。
なかなか面白かった。タバコを吸いまくるのには辟易だが、作られた年代もあるだろう。
158
:
FK
:2010/08/21(土) 16:53:21
2010年 8月20日 (金曜) [天井桟敷の人々](第一部:犯罪大通り 第二部:白い男 LES ENFANTS DU PARADIS、CHILDREN OF PARADISE 195分 フランス 1945年)
「午前十時の映画祭」と題して50作品を毎朝一回限り、各一週間くらい上映するという企画。その一つを初めて観てきた。なかなか足が向かなかったが、結果からいって良かった。今後も観ていきたい。
この映画は一言でいえば、やはりフランス映画であることからして(?)ラブストーリーである。男女の愛情であるが、難しいものだ。愛の理想型と愛の現実型(?)とでもいえるか。愛は素晴らしいものだが、一方で荷重なものでもあるのだ。いろいろと考えさせられる。
159
:
FK
:2010/08/21(土) 16:59:40
2010年 8月21日 (土曜) [太陽がいっぱい](PLEIN SOLEIL 122分 フランス/イタリア 1960年)
こんなにも悲しい映画であったとは!
ラストシーン、ヨットの碇を巻き上げていくシーンは意外と短いカットだった。記憶のなかではもっと長いと思っていたのだが。その時、彼はビーチで酒を飲みながら太陽がいっぱいだ、というわけである。このシーンはたしかに印象的・象徴的だ。
大体、映画というのは貧しい人たちだけではなかなか成立しない。やはりとんでもない金持ちやらパトロンやらがいないと話が作りにくい。そんな中で、この作品は金持ちと貧しい青年とを対比させる。青年(アラン・ドロン)の深謀遠慮はとうとう実現しなかったが、何やら哀しみの残るB級映画であった。
ニーノ・ロータの音楽はとてもいいのだが、映画のなかではあのメロディが流れている時間は、これまた意外に短かった。
160
:
FK
:2010/08/23(月) 20:59:31
2010年 8月23日 (月曜) [バベットの晩餐会](BABETTES GASTEBUD 102分 デンマーク 1987年)
英語では「BABETTE'S FEAST」ということになる。バベットというフランス人女性がデンマークの寒村に落ちのびてきて、牧師の二人娘といってもすでに年老いているのだが、その二人とともに住むことになる。そこでの14年間の生活の感謝の気持ちとしてご馳走を提供するというもの。その食事会の終了とともに映画も終わる。お終いに芸術論も。
料理としてはフランス料理が出てくるのだが、その知識がないので、その素晴らしさ等々については分からない。しかし材料費などで作中、話題になる「1万フラン」が掛かっているとのこと。19世紀終わり頃の話である。
寒村でのつつましい宗教的な色彩の強い日常生活が色濃く描かれている。キリスト教に理解の浅い私などは、違和感をもってしまうところだ。
それにしても歳月の経過と、年老いていく人たちのありようは、人生というものを感じさせる。何が幸せなのか、人生とは如何に生きるべきなのか、等々。
161
:
FK
:2010/09/23(木) 19:49:20
2010年 9月14日 (火曜) ドラマ三本
日常的にあまりテレビは観ない方だ。しかし、ドキュメンタリーやドラマは、授業に使えるかもしれないということで、少しはチェックしている。
そろそろ今のクールの最終回となるのだが、土曜日に二本、日曜日に一本観てきた。
日曜日の一本は[GM 踊れドクター]。おそらく[ドクターハウス]の日本版を目指したものだろう。それに踊ることを組み合わせたところに工夫があるのだが、それが成功したかどうかは難しいところ。来週で最終回となる。
ただ、それでも本家本元の[ドクターハウス]のように、患者の病気についてスタッフがブレーンストーミングで考えていく様は見応えがある。授業でも使えたらと思う。
土曜日の二本は、まず余命ものの[美丘](みおか)であるが、人生を考える上でのいい教材になるだろう。命の大切さ、などと百万言費やすより、このようなドラマを観た方が分かりよいだろう。
いまひとつの[ハンマーセッション]は、これも来週で最終回となるのだが、ここまで観てきて気がついたことがある。ようやく気がついたというべきだが、実はこのドラマはある種のユートピアを描いているのだということ。
ドラマは毎回、いまの高校生たちが遭遇するような事件をテーマにしている。例えば万引き・援助交際・父親との桎梏・年上の女性への恋慕等々。その解決方法は、ある場合は陳腐なまでにありきたりであったり、逆に突拍子もない非現実的なものであったりして、ドラマとして楽しませてくれる(狂言回しとしての志田未来が好演)。
それらを通して、その背景にある教師と生徒たちとのやりとり・人間関係が、実は表面的なそれとはうらはらに、実に深く・あたたかく・心地よいものであり、そして残念なことに現実にはあり得ない、まさにその架空の学園とクラスと主人公の教師はユートピアであるこの空間にしか存在しえないものであることに気付かされるのだ。
大袈裟になるが、涙が出てくるほどうるわしい・あってほしいものなのだ。現実は、荒涼たる学校のありさまに、そのギャップの大きさに愕然とさせられ沈黙させられるのだ。
これもちょうど高校が舞台でもあるので、授業に使えることだろう。
162
:
FK
:2010/09/25(土) 21:29:51
2010年 9月25日 (土曜) [アマデウス](AMADEUS 158分 アメリカ 1984年)
もっと早く観ておけばよかった。こんな作品だったとはつゆ知らず、今まで放置してきていた。DVDはとっくに入手していたのに。こんなこともあるので、入手した映画はどんどん早く観ていくことにしよう。
さてなぜこれまで観なかったのか? それはひとえに喧伝されていたアマデウスのケラケラ笑いのせいである。それにより私のなかに形成された予断により、この映画を私から遠ざけさせたのだ。こんな良い映画だったのかと、後悔しきり。
内容はサリエリの視点からの回想という、さほど珍しくはない、よくある手法で展開されている。これが流れの中で時折、挿入されることでアクセントにもなり、観る側も映画の中での現実に引き戻される。
それにして悲劇はサリエリである。なまじ才能があり、そのためにアマデウスの天才を見抜くことができ、評価することができたからである。わずか6歳年下の下品な男に神は、その愛と天才を与えたのだ。
この映画は、その事実を知ることのできる能力は持ち合わせていたが、その彼を凌駕するだけの天賦は神から与えられるこのなかった男の悲劇なのだ。残酷な話だ。そして私などその音楽を楽しむだけの才しか与えられなかったものは、ある意味、幸せなのだと気付かされる。平凡であることの幸せなのだ。
アマデウスより30余年長く生きたサリエリは、どのような思いで、どのような人生を送ったのだろう。人生は悲劇であり、喜劇である。
ほぼ全編に流れる音楽を聴いていて思う。アマデウスの音楽は、生きている! サリエリたちの古くさい音楽に対して強烈に生き生きとしているのだ。彼自身は必ずしも幸せな人生ではなかったかもしれないが、その音楽は生きていることの幸せを謳歌しているといってもいいかもしれない。
もう一度、彼のすべての音楽を聴き直してみたいと思った。(もちろん、いまだ聴いたことのない曲も数多くあるだろうが。)
163
:
FK
:2010/10/13(水) 21:47:51
2010年10月13日 (水曜) [正義の味方]
すでに放映済みのTVドラマ[正義の味方]のDVDを購入し、五夜に分けて観た。驚いたことというか、気がついたことはテレビ放映ではカットされていたシーンがあるということ。つまり放送時間に合わせていくつかのシーンがカットされていたということだ。
なるほど、考えてみればそれほど不思議なことではない。余分目に撮影しておけば、いざというときにも都合がいいわけだし、それに何より脚本段階で、そうそう精緻に放映時間ピッタリに作ることは、これもまた難しいことだろう。やはり余分目に撮影しておくのが常道だろう。
そんなわけでテレビでは観られなかったいくつかのシーンを楽しむことができた。ただ問題が一つある。高いのである。この五枚組のDVDは定価で1.8万円、私の購入価格でも1.3万円ほどになる。ちなみに中国製のこの五枚組のDVDは3600円である。もちろん送料が必要でかりにそれを支払っても5000円少々で手に入るのだ。パッケージなどはおそらく日本製の方が格段に良いはずだが、もし映像としてだけなら中国製の輸入品で十分なのではないか。けちくさい話だが、こんなことも思った次第。
それにしても[正義の味方]は、面白い。主役の志田未来も山田優も、そして脇役陣もコミカルに演じていて、絶品である。役者としてみると佐野史郎がやはり上手い。向井理は滑舌というか発音の点でこれからかな、というシーンがあった。
[正義の味方]というのは現実には存在しないし、またそう簡単にあってもらっても困る存在だ。だからこのドラマはその逆説の面白味もある。
それにしても良いドラマや映画というのは、最後は脚本が上手いからということにつきるのかもしれない。
164
:
FK
:2010/10/20(水) 20:18:42
2010年10月20日 (水曜) [霊能力者 小田霧響子の嘘]
日曜の夜のTVドラマとして始まった。原作はやはりコミックとのこと。ビデオで録っていたのだが(10月10日初回分)、観るのが今日になってしまい、結果的に第二回分を見逃す。
なかなか良いではないか、授業に使えるではないか、というところ。このところ詐欺師とか嘘とかのものが目につく。まずは蒼井優の[4つの嘘]であり、[ハンマーセッション]、そしてこれ。
コメディタッチで面白く観ることができ、その中にもペーソスというか、少しホロッとさせるところが組み込まれていて、なかなかのものだ。
主役の石原さとみもなかなか芸達者。相棒(?)となる狂言回しの刑事役にはなんとついこの前[美丘]で深刻な顔した医者役であった男優。
次回からは毎週録画で観ることにしよう。
165
:
FK
:2010/10/23(土) 08:52:59
2010年10月22日 (金曜) [黄金の豚 会計検査庁 特別調査課]
水曜夜のTVドラマとして始まった。録画しておいたものを観た。篠原涼子が主役でタンカを切るシーンが小気味良いか。実際に似たようなお役所があるが、どうなのだろう。国民の税金、ということで視聴者の関心が高まればそれだけでもみっけものかもしれない。
なかなか上手く作られていて、しかも私たちにも分かりやすくしてくれている。授業にも使えそうだ。もちろん、実際にはこんな官僚たちはまず存在しえないのだが。
さらにこの主役が詐欺罪で仮釈放となっている、という設定もなかなかなもので、[ハンマーセッション]といい世の悪と戦っていくためにはなまなかなことでは無理なので、つまり素人では難しいので「詐欺師」の登場ということになるのだろう。
166
:
渦森六郎
:2010/10/24(日) 22:38:35
2010年10月24日 【Q10】
さっきYou Tubeでドラマを観ていた。
「Q10」(キュートと読む)である。脚本家が、あの名作「セクシーボイスアンドロボ」の木皿泉だったので、これはぜひともチェックしておかねばと。
高校三年生、深井平太(佐藤健)がある日学校の理科室で女の子の姿をしたロボット、Q10(前田敦子)と出会い、そこから彼女の面倒を見る羽目になってしまうという話。
まだ第一話を観ただけだが、今後の展開が楽しみである。うーん、やっぱり木皿泉は本物だ。
「みんな知らないふりをしてくれる。これって、冷たいのかな、それとも優しいのかな」「両方だよ」みたいな台詞をさりげなく入れてくる。にくい。木皿節炸裂。
「大声で叫べば必ず誰かが助けにきてくれる。それが、人間のルールです」。授業料が払えなくて、悩んでいる平太の同級生に対するQ10の台詞だ。ロボットだからこそ言える(言わせることができる)、まっすぐな台詞である。もちろんなかなか現実はそういうわけにはいかないのだけれども(と、人間の僕は考えてしまうし、ドラマの中の平太や同級生もそんなかんじのことを言う)、しかしやっぱり言っとかなければならないことである、という気がする。
ロボットという媒体を通して、我々が言いたいけれどもなかなか言えないようなことを、バシッと言ってくる。だが、決して暑苦しくなったり説教くさくなったりしない。ロボットだから、なせる業か。
というわけで、とにかく設定が巧みなのである。設定を活かしきる脚本家だと思う、木皿さんは。たぶん、活かしきって、このドラマを完結させてくれるんだと思う。Q10は何者なのかとか、わけありっぽい教師とか、生徒とか、そういった謎もちりばめてあるし、次回以降に期待できる展開である。昨今、数少ないオリジナルの脚本で、笑いと涙と寓意と警句と謎を盛り込んだ力のあるドラマになるのではなかろうかと期待している。
167
:
FK
:2010/10/27(水) 23:19:04
2010年10月27日 (水曜) [黄金の豚]第二回
今日は二回目。ラストシーンの乗り込んでタンカを切るところの脚本は今ひとつ分かりづらかった。その場への必然性にやや弱いものがあった。やはり警察相手はやりづらいのかもしれない。なら、警察相手のはもっとあとの回に回した方が良かったか。
それにあの敬礼のポーズは好きになれない。あの行為は私たちを思考停止させる。人間が馬鹿になるみたいな感じである。その装置の一つかもしれないとこれを書きながら気がついた。それは「ハイルヒトラー」を想起するだけでも十分だろう。
今日、上海から中国製のDVDが届いた。[小公女セイラ][Dr.コトー診療所][わたしたちの教科書][北の国から Vol.1-Vol.12]。
168
:
FK
:2010/10/31(日) 20:12:47
2010年10月31日 (日曜) [Dr.コトー診療所]
[Dr.コトー診療所]のDVDを観だした。今日は第二話と三話。ホロリとさせられる。どうも涙もろくなってきたのか、この手のにすぐ涙ぐんでしまう。世の中が殺伐としていて、いい話がないせいかもしれない。
それにしてもDr.コトーこと吉岡秀隆ははまり役・当たり役だ。漫画のイメージがあるにしてもベストのキャスティングだろう。看護師役の柴咲コウもいい。
吉岡秀隆といえばなんといっても[北の国から]だろう。中島朋子とのきょうだい役は忘れられない。つまり彼にはわるいが、彼の生涯でこの二作があるだけで名前が残るといってもいいのではないかと、と。それくらい、良いと思う。
それにしても、こんなにも医者が描かれるのはなぜなのだろう。かりにDr.コトーが良い医者なのだとしたら、世の中には良い医者が少ないからなのか。このドラマといい[パッチアダムス]といい、これらを観て医者を志した人は少なくないと思うが、どうなのだろう。全20枚、まだ二枚目。先は長い。
169
:
FK
:2010/11/11(木) 21:06:53
2010年11月11日 (木曜) [Q10]
「166 :渦森六郎:2010/10/24(日)」で【Q10】が紹介されていた。まったく気がついてなかったので早速録画して観てみた。1週分ではどうかと思い、2週分を(第3,4回)。
脚本家の木皿泉というのも初見で、ネットで調べてみた次第。このドラマ、評論家にも好評のようで、朝日新聞11月10日付け「きょうのテレビ」面のコラム「キュー」で島崎今日子氏が、随所にちりばめられた台詞に参ります、といったふうなことを書いている。
さて私だが情けないことに、もはやここに描かれている「高校生活」についていけないのだ。感覚があわなくなっているのだろう。
渦森氏の言う「まっすぐな台詞」も、もはや私には「濃すぎる」のだ。ふんだんに散りばめられているということは、そのドラマを見ている間ずっと緊張(謹聴)していなければならない感じになってくるのだ。これは決してくさしているわけではなく、私が他のゆるいドラマになれきっているせいだろう。観る方にも力が必要なドラマのようだ、ということ。若くないと観ることのできないものがあるという、そんな気がする。ということで白旗をあげることに。
170
:
FK
:2010/11/17(水) 23:18:39
2010年11月17日 (水曜) [フル・モンティ](THE FULL MONTY 93分 イギリス 1997年)
イギリス映画らしいイギリス映画。最後のストリップシーンは、私にとっては懐かしいトム・ジョーンズの歌声に乗ってのものだった。
欧米社会はたとえ失業しても職の流動性が高いので、日本ほど深刻ではないとの情報があったが、現実はなかなかそうはいかないようだ。やはり深刻だ。意外と救いがないのに驚いた次第。いずこの国も労働者にはきついということだ。一夜だけのショーのあと、彼らがどうなっていたのやら、気にかかるところだ。
それはともかくこの映画でも子役が良い。主人公の息子であるが、彼が狂言回しとなっている。離婚した父親への愛情も十分感じられ好感が持てた。
171
:
FK
:2010/11/20(土) 22:29:37
2010年11月20日 (土曜) [わたしたちの教科書]全12話、DVD-BOX
11月16日 (火曜)
昨日から[わたしたちの教科書]を観だした。何のことはない、いじめによる女子中学生の自殺事件のようなのだ。教科書がどう関係するのかと思っていたら、彼女のそれに「死ね」などの書き込みがあったというわけ。ドラマ展開というか構成にやや無理を感じもするのだが。
11月18日 (木曜)
今夜も続きを観る。いよいよ法廷での場面に。すさまじいものがある。そして弁護士の仕事というのがいかにダーティなものかということがよく分かる。裁判に勝つためには、清く正しくとはいかないのだ。
しかしそれにしてもよくこんなTVドラマが作られたものだ。そしてスポンサーがついたものだと思う。裁判で「いじめ」を立証するのは難しいと思う。あと4話どういうふうに展開するのだろう。
11月20日 (土曜)
全12話を見終わる。重い。人間がいて、集団ができて、そこで生活があるかぎりトラブルが起き続ける、常にそして永遠に。そんな中でも痛ましいのが、この学校でのいじめだ。ドラマは思わぬ展開をみせるのだが、そして亡くなった明日香(志田未来)の姿が親友の口から紹介されていくのだが。
雨木副校長(風吹ジュン)は、学校の問題は学校で解決する、と何度も口にしていたが、一見、そのように思わせられてしまうが、実はそうではないだろう。学校の中だけで、というのがそもそもの間違いのスタートなのだ。ただ日本社会の現状では、学校に対するそこまでの理解がないので、学校側はどうしても守りに入ってしまう。つまり隠したり、開き直ったり。
本当の意味での民主主義や個の独立が形成されないかぎり、なかなか難しいだろう。
172
:
FK
:2010/11/20(土) 22:31:44
2010年11月20日 (土曜) [リトル・ダンサー](BILLY ELLIOT 111分 イギリス 2000年)
これも炭鉱町が舞台で1980年代のイギリスはサッチャー首相の時代。古き良きイギリスが失われていく政治情勢のもとでの話。労働者階級の男の子がその才能を見いだされ苦労しながらもロンドンのロイヤルバレエ学校へ。そして十余年後、晴れの舞台に登場するところで終わっている。
ネットのコメントを見ると好意的・感動的に観ている人が多いようだ。私などはどうしてもイギリスの階級社会のくささ・息苦しさが感じられて嫌だ。日本と違い階級が違えば、そんなことは夢にも思わない、といったことになるわけだ。その点、日本は経済的な問題さえ解決できれば(これはこれで問題だが)、階級差による差別やプレッシャーはまずない。
単に成功物語として観るだけでは、この映画のことを語ったことにはならないと思う。
173
:
FK
:2010/11/27(土) 22:22:09
2010年11月27日 (土曜) [どろろ](2007年 138分)
これはいうまでもなく手塚治虫の漫画が原作のもの。妻夫木聡が「百鬼丸」を、柴咲コウが「どろろ」を。あと中井貴一・原田美枝子・原田芳雄中村嘉葎雄・瑛太・土屋アンナが登場する。
様々な評があったが、やはり私も「微妙」といっておこうか。もちろん楽しめるのではあるが、映画の常としてできあがった作品は、原作とは違うものと割り切っていないとだめだということだろう。
漫画では出てくる百姓一揆など、庶民はあまり登場しない。何よりも豪華俳優と特撮などで楽しんでもらおうということかもしれない。
身体の48カ所を魔物に奪われて生まれてくる、という異様な設定からしてその授業での利用には問題なしとしない。ただ即物的に身体的なハンディとして差別的な見方をするのではなく、一つ一つ問題・課題を解決しながら成長していくという青年の成長物語として捉えてもいいのではないかと思う。つまり48カ所を精神的なそれともみていくわけだ。
とはいえ、なかなか授業で利用するのは難しいようだ。ならば、テレビアニメではなく、こちらの実写版のほうはわりあい気安く観ることができるかもしれない。とまれ、一度は現社の授業でも紹介したいものだ。
174
:
FK
:2010/11/30(火) 17:48:18
2010年11月29日 (月曜) [心の糸]
NHKのドラマスペシャル「心の糸」(去る27日放映)を観た。番組欄で見
て、もしかしたら授業に使えるかもしれないと思い録画しておいた。何でもか
んでも授業に結びつけるのはどうかなと自分でも思うが、教師現役の間は仕方
がないだろう。
そして、これは録画しておいて良かったと思った次第。手話で話し合う母子
が主人公。小さい頃からのピアノレッスン、狭い公営住宅にグランドピアノ。
レッスンを受ける息子とそれに期待をかける母。期待に応えようとしてつぶれ
そうになる息子。そんななから新しい道へ。
手話を中心に進行するテレビドラマに接する機会が少ないので、これは貴重
な作品。授業でも紹介したいものだ。
なお12月19日夕刻に再放送とのこと。
175
:
FK
:2010/12/10(金) 20:02:49
2010年12月10日 (金曜) [クリスマス・キャロル](A CHRISTMAS CAROL 69分 アメリカ 1938年)
古いモノクロの映画。短いのでサッと観てしまう。どうしても1970年のイギリスのものと比較してしまう。そちらはカラーだし、楽しい音楽も挿入されていて、しかも改心していくシーンもなかなか凝っている。技術的にも進歩しているせいだろう。差は歴然だ。
ということで新しい方に軍配が上がるが、このモノクロのもこれはこれで味わいがあると言えよう。いずれにせよ感心させられるのは原作の巧妙さ。単純と言えば単純なのだが、キリスト教の称揚のための作品として上手くできている、と観るたびに思う。
176
:
FK
:2010/12/11(土) 20:38:40
2010年12月11日 (土曜) [秘密]
全九回のTVドラマが終了。東野圭吾の原作ではどうなってるのか、読んでないので分からないが、何か釈然としないまま終わってしまった。腑に落ちない、落ち着かない感じのままに。
最後にどんでん返しをもってきたのだろうが、それがいまいち納得できないのだ。(途中はなかなか面白い・興味深いとして観てきたのだが。)つまり全部母親である直子の演技だった、というのでは騙されたようでつまらない。母子が同じ身体の中で入れ替わる、という発想が面白いのに、最後になって実はそうではなく全部ひとりの自作自演でした、では!
しかし志田未来は良かった。すっかり大人っぽくなっていて、演技で変わるものだと思わせられる。しかもラストは花嫁姿というか、ウェディングドレス姿の25才なのである!
ただ25才に見せるために化粧が施されているが、それはあまり志田未来らしさはない。他の女性とそう変わるものではなかったのは意外であった。
177
:
FK
:2010/12/13(月) 22:34:30
2010年12月 6日 (月曜) [ハルとナツ]
[ハルとナツ]の第一話を観る。辛い。ブラジル移民は本当に「ブラジル棄民」だったのだろう。橋田壽賀子の脚本はうまいものだ。
トラホームのためナツはブラジルに行けなくなるのだが、当時はそれほどまでに恐れられていたのか。時代は昭和初期、1930年代から始まる。昭和恐慌というか大不景気の折、北海道の農民の次男三男が口減らしでブラジルへ「夢」を無理矢理(?)持たされて神戸から出発していく。
その神戸でのハルとナツの別れのシーンは、涙なくしてみられるものではない。根本的には政治が悪いのだが、この歴史状況は何とかできなかったのだろうか。
*
2010年12月 7日 (火曜) [ハルとナツ]第二話
去るも地獄残るも地獄というが、まさにそのような過酷な現実だ。北海道とブラジル。
そんな中でこんな印象的な、しかし悲劇的なシーンがあった。ハルが駅留めになっているはずの手紙を遠路はるばる取りに行ったシーンでブラジル人駅員が言う。「ここはブラジルだ。ポルトガル語で話せ」。
かつて私もフランスへ行ったとき、地下鉄で切符を買う際も同様の反応を駅員に見せつけられた。「ここはフランスだ。フランス語で話せ」、と。
日本人くらいかもしれない、外国語で話しかけられても「ここは日本だ。日本語で話せ」、と言わないのは。お人好しというべきか、優しいというべきか。しかしなんと言われようと、国際的ではないと言われようと、日本のやり方のほうがいいと思う。
*
2010年12月10日 (金曜) [ハルとナツ]第三話
太平洋戦争開戦のため、帰国ができなくなるどころか、それまでのアメリカ人地主からの借り地も追い出されるという過酷な運命が。ようやくの終戦の後もブラジルにおけるいわゆる「勝ち組」と「負け組」の対立が始まる。これはいまよく使われる意味ではなく、太平洋戦争に日本が勝ったのだと信じる人たちを「勝ち組」というわけだ。そして敗戦の現実を認めた人たちが「負け組」であった。悲惨なものだ。それまで助け合ってきた日本人同士が争うことに。
*
2010年12月12日 (日曜) [ハルとナツ]第五話(最終回)
とうとう観てしまう。感動的なドラマだ。歴史の、人々の歴史の重みがその背景にあるからだろう。
一人の生涯をその時代時代によって三人の女優で描いていくので、三代にわたる大河ドラマといったおもむきがある。実は私たちも、自分の生涯で何人かの俳優で演じられるような人生を生きているのかもしれない。
ブラジルでの大変な生活は、まさに筆舌に尽くせぬものがあるようだ。私たちは歴史の学習でその片鱗を知るしかないが、このブラジル棄民(移民)の歴史もその学習の一ページから落としてはいけないものだと感じた次第。
178
:
FK
:2010/12/16(木) 20:18:02
2010年12月14日 (火曜) [評決](THE VERDICT 129分 アメリカ 1982年)
てっきり観ていたと思っていたのだが、観てなかったようだ。どうかなと思いながら見始めたのだが、どんどん引き込まれて最後まで観てしまった。さすがに作り方が上手いということか。
ポール・ニューマンも57歳ということで、やや老いがみえるが好演。弁護士のタッチする世界は人間の欲望渦巻く世界であり、私などにはとてもやっていけない異次元だ。医療ミスをつく裁判であるが、まずは示談交渉から入り、それが決裂して裁判ということに。陪審員は12名。相手側の弁護士による反対尋問は、まさに恫喝のような物言いで、なみの神経では持ちこたえられそうにない。現実とはいえ、醜い世界ではある。映画は勝訴するのだが、苦い勝利の味がするようだ。
179
:
FK
:2010/12/16(木) 20:18:56
2010年12月15日 (水曜) [同じ月を見ている](2005年 106分 日本)
黒木メイサが出ている映画ということで検索していたら、テレビ放映されたので録画。原作はこれまたコミックであった。土田世紀。
女ひとりに男ふたり、という人間関係というか、友情関係。これまたよくあるパターンでさほど珍しくはない。そしてお定まりのように、男性ふたりのうちの片方が、もう片方にその愛を譲る、ということなのだ。屈折した愛情というか、もうひとりの男性への友情のなせるわざなのか、なかなか難しいところだ。
本当のところ、女性がどちらをより愛しているのか、はたまた男女の愛情ではなく、友情のままなのかは分からないのだが。(とりあえず結婚するようだが。)
ハードボイルドっぽいストーリー展開で、それは若者向けなのかもしれないが、私などにはもうしんどい。生前の岸田今日子の姿を懐かしく見ることができた。
2010年12月15日 (水曜) [GOEMON](2008年 128分 日本)
ロードショーの折、これを観ようか迷った覚えがある。結局、このほどテレビ放映されたもので観ることになった。ごく普通の時代物と違い、現代的なコスチュームに近代的な城郭や室内装飾、そして特撮的なアクションなどに驚かされる描き方であった。そこに面白さを感じ映画館で観ようとしたのではあったが。
最近よく見る(Q10)福田麻由子も茶々役で出ていた。大きくなってからの茶々役は広末涼子であったが、なかなか変わった雰囲気の魅力があった。
テレビではCMもあって本来の長さからかなりカットされていたようで、流れが理解できなかったところがあった。テレビ放映の限界だが、授業用に一部分を紹介するということでは、これでよしとするしかないだろう。
2010年12月15日 (水曜) [黄金の豚]
[黄金の豚]が終わった。今、見終わった。しんどい内容をかなりかーるく見せようとしていて、それなりに評価できるTVドラマであったかと思う。
最後にナレーションで現実の会計検査院へエールを送って終わってるところが、苦肉の策なのか何なのか、へーっと思った次第。またこのドラマで扱った内容は実際にあったことに基づいているとも。
台詞では「正義は腐るが、愛は腐らない」などと、なかなかのことを。
180
:
FK
:2010/12/16(木) 23:09:02
2010年12月16日 (木曜) [真実の行方](PRIMAL FEAR 131分 アメリカ 1996年)
リチャード・ギア主演で弁護士役、良い方の弁護士のようだ。この事件も国選弁護人となるところを自ら買って出て、ということに。容疑者アーロン役のエドワード・ノートンが好演というか、不気味さをよく出していた。
弁護士も教師も容疑者や生徒を信じてこそ、事が始まるところは同じだと思った。そして最終的に、騙され裏切られたりすることがあるのも同じようだ。
そういえば[相棒]にもこのようなストーリーがあったような気がする。人を信じるというのは難しいことだ。人生観の相違ということになるが、まず信じるか、まず疑うか。人それぞれであっていいと思う。私はまず信じようとするタイプのようだ。
181
:
FK
:2010/12/30(木) 16:10:59
2010年12月27日 (月曜) [JIN -仁-](2009)
二夜連続のうち、第一夜を結局、最初から最後まで観てしまう。医者ものだが、現代からタイムスリップして江戸の幕末へ、という趣向。なかなか面白い。歴史を変えてしまうかもしれないというおそれを抱きながら・悩みながらという設定。なるほどと思ったのは、自分はこの時代の人間ではないので、という建前でその今の現実を主人公・南方仁が生きていないということとその意味。死人のようだと坂本龍馬に言わせている。いつどこにあっても、その場で精一杯生きていくことの大切さを知らされる思いだ。
第二夜をビデオで観た。SFのタイムスリップものとしては、宮部みゆきの『蒲生邸事件』、荻原浩の『僕たちの戦争』を思いだす。自分がそこで何かをすることによって歴史を変えてしまうかもしれない、というスリル(?)と苦悩を感じながら展開していく。なまじ歴史を知っているものだから、どう行動すればいいのかと迷ってしまうのだ。主人公も目の前の苦しむ患者に対し、150年先の知識と技術を使っていいのかと悩むのだ。たとえばペニシリン。
このテーマは、人間が歴史を作るのだということをあらためて認識させてくれる。そして冷静に考えれば、一人の人間の行為・行動は実はさほど大げさに考えるほどのものではない、ということにも気付かされるのだ。人間の力は偉大でもあるが、その反対に些少でもあるのだ。過大視も過小視(?)もしないことだろう。
さてドラマの方は未完で、なるほど予告があったわけで、来春、完結編が放映されるとのこと。
182
:
FK
:2010/12/30(木) 16:57:17
2010年12月30日 (木曜) [扉は閉ざされたまま](80分 2008年 日本)
石持浅海の原作による黒木メイサの映画。彼女のファンにはこたえられない一本だろう。原作の小説は積ん読状態。でもこの映画を観るかぎりいろいろ疑問がわいてくるので近々読んでみたい。
テーマ的には臓器移植や児童買春の問題が出てくる。
183
:
FK
:2010/12/30(木) 22:23:31
2010年12月30日 (木曜) [ハリーとトント](HARRY AND TONTO 1974年 117分 アメリカ)
1975年に公開されているが、当時、観たのかどうか定かでなかった。今日、レンタルで観てみて、やはり観てなかったかな、と。テレビでは1980年に吹き替えで放映されているようだが、もちろん記憶はない。
さて映画は、猫が主役ということで、猫の登場する代表的な映画と言えるだろう。主役のアート・カーニーは当時56歳くらいで72歳の役を演じたようだ。そしてアカデミー主演男優賞を獲得している。
映画としてはロードムービーであり、下敷きにしているのは彼の『リア王』であろう。まず長男のところへ、次いで娘・次男と三カ所ではあるが。結局どのような選択をするのか、というところだが。
老いてからの自立という問題もあるが、私には何よりも退職後の生き方・時間の過ごし方として参考になるところがあった。いずれ私も直面するのだ。
184
:
FK
:2010/12/31(金) 23:13:26
2010年12月31日 (金曜) [きみがぼくを見つけた日](THE TIME TRAVELER'S WIFE 110分 アメリカ 2009年)
原題の通りでタイムトリップする男性と彼の奥さんになる女性とのお話。彼女の年齢でいうと6歳からスタートし、39歳頃までか。
タイムスリップが本物らしくしてある。それは消えるときに着ていた服はその場に残されていき、タイムスリップしたところには裸で登場するというわけだ。おかげでまず服を調達しなければならず、警察官に追いかけられることになるわけだが。
問題はタイムスリップを意識的に行えないことだ。いつどこへというのがさっぱり分からないので困ることになる。その子どもアルバには、ある程度、調節できるという設定にしているが。
やはり時間旅行は想像上のことだけでいいようだ。実際にあったら、それはそれは大変な事だということ。
185
:
FK
:2011/01/05(水) 23:26:46
2011年 1月 5日 (水曜) [休暇](2007年 115分)
吉村昭の小説『休暇』が原作。死刑制度、死刑囚、刑務官が主人公といえる映画か。平穏な平和な庶民の日常生活とそのささやかな幸せ、その対極にある独房の無味乾燥・非人間的なところが際立つ。死刑制度について静かに語る映画とも言えよう。
死刑については、その執行シーンが出てくるが、実際の有り様は昨年初めてその執行場所が公開されたわけで、映画では若干違っているのは致し方ない。
あえて難点を言えば、この特別な一週間の休暇というものが制度的にあるのかどうかは別として、忌引きや結婚休暇は保証されているはずで、志願して支え役をやり、この「特別な一週間の休暇」を獲得することはなかったのではないかという点である。それとは別に、日本的な休みが取りにくいという状況が背景にあるとする考え方もあるのだが。これは些少のことなので。
なお配役は刑務官に小林薫、死刑囚に西島秀俊であった。映画の中でもタバコがたくさん吸われているのが気になったが、これが現実か。もっとも小林薫は実生活でもヘビースモーカーらしいが。
186
:
FK
:2011/01/06(木) 21:58:20
2011年 1月 6日 (木曜) [HINOKIO ヒノキオ](2004年 111分 日本)
多部未華子が工藤ジュンを、[正義の味方]の本郷奏多が岩本サトル、つまりヒノキオを。これは小学高学年の子どもたちの友情物語か。父親を失っているジュン、母親を失っているサトルなど家族のこと。引きこもりのこと。TVゲームの世界のこと。友情など人間関係のことなどが描かれる。
いずれにせよロボットであるヒノキオを通して、サトルが外界と、あるいはジュンたちとふれあいながら、現実の生活に立ち返ってゆく物語だ。
ジュン役の多部未華子が、最初は男の子役なのかと勘違いさせられた。ヒノキオ(サトル)もそのように思っていたようだ。ラストは転校していくジュンと、ヒノキオ+サトルが去りゆく電車(に乗っているジュン)に別れを告げる。
ロボットのヒノキオが、見慣れるまで違和感があるが、見ていくほどにある種かわいいキャラに見えてくるから不思議だ。途中、クラスの優等生がネットでヒノキオたちロボットが戦争用に使われている、との記事を見つけ、ヒノキオがパージされるシーンもあった。たしかにロボットは今後ますます戦争に供されるのかもしれない、と不安を感じさせられた。
ちょっと面白い小さな作品であった。もちろん多部未華子ファンのための映画でもあろう。
187
:
FK
:2011/01/11(火) 19:46:45
2011年 1月10日 (月曜) [恋はデジャ・ブ](GROUNDHOG DAY 101分 アメリカ 1993年)
なかなか面白かった。なるほどジャンルもコメディになっている。二月二日、聖燭祭の一日が何度も繰り返される、というある種のタイムスリップのお話でもある。何度も、つまり朝の6時の目覚まし時計とともに同じ一日が繰り返されるのだ。したがって主人公もだんだんと学習して、その都度の対応に変化が見られるわけだ。ただ天気予報士としてテレビカメラに話しかけるのだが、何度も何度もはさすがに嫌気がさしてきて、テレビクルーともトラブルとなったり、とコメディになっていくわけだ。そしてラブロマンスもきちんとある。
しかし深読みしたら、もし毎日が同じことの繰り返しでしかないとしたら、どうだろう。耐えられるだろうか。先の事が分かっているのでギャンブルとかでは、得するかもしれないが、同じ事が毎日続く、いや同じ一日しか存在しないというのはSFであり、そして恐怖であろう。
そういった意味でなかなか面白い発想の映画だと思う。携帯電話がないと思ったら結構古い映画であった。
188
:
渦森六郎
:2011/02/03(木) 19:06:37
2011年2月3日(木) 「殺人の追憶」(2003年 130分 韓国)
韓国映画はやはり面白いのだと思った。これまで「トンマッコルへようこそ」や「息もできない」を観たけれど、二つとも当たりで、今日観たこれもすごい映画だった。
監督は、ポン・ジュノ。1986年、軍事政権下にあった韓国で実際に起きた連続殺人事件をもとに、この映画はつくられている。
田舎の農村で、若い女性ばかりを狙った連続猟奇殺人事件が起きる。捜査にあたったのは、地元の叩き上げ刑事と、首都・ソウルから派遣されてきた頭脳派刑事。全くタイプの異なる二人は、ことあるごとにぶつかり、失敗を重ねながらも、やがて真犯人へと近づいていく…。
まずサスペンス映画として、非常に面白い。130分はそれなりに長い時間だが、二転三転する犯人さがしは、最初から最後まで飽きずに観ることができた。そして、もうひとつ重要なのが、劇中の韓国は軍事政権下にあるということだろう。そういった背景も手伝って、この映画は単なるサスペンスものではない、独特の緊張感や暗さを帯びた仕上がりになっている。当時の韓国社会の、というか軍事政権下の社会の雰囲気みたいなものを感じることもできる映画であるとも思う。
189
:
FK
:2011/02/12(土) 22:37:41
2011年 2月12日 (土曜) [怪傑ハリマオ](1960年 放映日 1960/04/05〜1961/06/27 放映時間 19:00〜19:30 放映曜日 火曜日 よみうりテレビ)
今回観たDVDは[怪傑ハリマオ ソロ河の逆襲編1](75分)。
懐かしいテレビ放送だ。こうして記録を調べてみると夜7時からのゴールデンアワーの放映だったとは意外だった。子ども向けなのでもっと早い時間帯かと、そして一年以上も続いていたのも意外だった。内容はともかく、ただひたすら懐かしいの一語に尽きる。
ストーリー展開や演技・アフレコのレベルは決して高くはない(今からみればだが)。むしろ、よくこんな程度のもので毎週見つづけたものだと当時10歳の私のことを考えてしまう。もちろん楽しみに観ていたのは間違いない。
ともかく今となっては、懐かしいというのみで、小学生の自分自身に再会したような気分になれただけで十分だろう。だから全作を観ることはこの先もまずないだろう。この一枚で、納得した。そして再会も果たしたので。
それにしても三橋美智也が歌う主題歌は、名曲だ。忘れることはない。
190
:
FK
:2011/02/28(月) 21:56:32
2011年 2月28日 (月曜) [洋菓子店コアンドル](2010年 115分 日本)
蒼井優、ということで観に行ってきた。この11日に公開されていて、そろそろ終わりといったところのようで、この映画館でも今日は一日一回のみの上映。
小さくて、ちょっといい作品であった。描かれているのは、時間的にもおそらくひと月を少し過ぎたぐらい(一回給料をもらうシーンがあった)。
若者・臼場なつめの人生と中年(江口洋介)・十村遼太郎の人生が二本の大きな糸として描かれる。といっても短時間のことなので、それほど深くはないのだが。あと江口のりこの演じる佐藤マリコが脇役で良かった。主人公が引き立つにはやはり脇役の存在が大事ということだ。
劇中「職人が手を抜いたらお終い]という台詞は、耳が痛かった。しかし、何でもそうだが、仕事は大変なものだ。好きであればまだしも、そうでないとつらい。
191
:
FK
:2011/03/16(水) 23:09:23
2011年 3月16日 (水曜) [美咲ナンバーワン!!]
今夜の第10話でお終い。どんな終わり方をするのかと楽しみにしていたが、まずは穏当な、つまりハッピーエンディングにしてあった。お茶の間に登場するTVドラマだから、現実的なシビアな結末にはならないだろうとは思いつつも、であった。
いずれにせよユートピア物語だ。過去にどんな職業であったとしても、教師になってはいけないわけがない。ここでの主人公はキャバクラ嬢であった。そこからくる世間の偏見を前提にしたドラマであったが、子どもたちにはそのような偏見はなかったのかもしれない。一度、生徒たちに聞いてみたいものだ。
[ごくせん]と比べるむきがあったが、なるほど世間の偏見の目で見られるという主人公の前提は同じといえば同じだが、美咲の場合は暴力や権力を背景に持たない。この点にヤンクミとは大きな違いがある。
たしかに世の中のことは、暴力や権力なしに実効を上げることは難しい。しかし、そういった力を持たない美咲が、素人っぽく頑張るところに感動させられるのだ。
192
:
FK
:2011/03/20(日) 21:10:34
2011年 3月19日 (土曜) [ジャスティス](2002年 HART'S WAR 125分 アメリカ)
今日、午後に放映されていたもの。二時間枠でCM付きだからかなりカットされているだろう。
原題はアメリカ青年・ハートの戦いということだが、邦題の「ジャスティス」というのは少し違うような気がする。ただ昨年来のサンデル教授の正義について語ろう、というこの影響で放映作として選ばれたのかもしれない。
内容的には正義がどうのこうのというのではなく、1944年12月、ドイツ軍の捕虜になったアメリカ兵士たちのお話。収容所近くの軍事工場を爆破するのが一つの目的であったようだ。ハート自身はそれとは関係なく、利用される。あと黒人差別が軍隊内部でもひどいというところが描かれている。
それにしても、いつまでたってもアメリカという国は、ナチスドイツを糾弾するような映画を作り続けるものだ。
193
:
FK
:2011/03/28(月) 21:11:30
2011年 3月28日 (月曜) [わたしを離さないで](NEVER LET ME GO 105分 イギリス/アメリカ 2010年)
佳い作品だった。佳作である。
しかし怖い作品である。臓器移植から派生する問題は多々あるが、これは極端な例と言えるかもしれない。もちろん現実には、これは行われていないはずなのだが、もしかしたらと思わせられるところにじわっと恐怖が湧いてくる。原作を読みたくなった。
また別の角度からみると、学校というところの恐ろしさもうかがえる。まさに監獄と同じなのだ。「境界から出てはいけない」とされ、出た男子生徒は殺されて木にくくられていたし、女子生徒は学校に入れてもらえずに餓死した、と。そんな脅迫がなされている。
主演女優のキャリー・マリガンがいい。
194
:
FK
:2011/04/01(金) 22:29:24
[ごくせん](第一シリーズ 2002年 全12話)
2011年 3月12日 (土曜) [ごくせん]
レンタルDVDで、1-3話を観る。なるほど。仲間由紀恵はやはりなかなか良い。やくざと言わず任侠業としているのは、TVドラマにおけるルールだそうで。
たしかに[美咲ナンバーワン!!]に似ているところもある。それもそのはずで、作ったスタッフは共通しているとのこと。しかし、二番煎じという非難をするより[ごくせん]が良くて、その作品に対する敬意から作ってみた、としてもいいのではないか。オマージュ、というやつで。
なるほど[ごくせん]は視聴率が良かったようで、その続編も作られたわけだ。学校もののコメディなのだが、やはりこれもユートピア物語だ。
[金八先生]よりよほどいいと思うのだが、それを言うためにはこちらもきちんと観てみないと、ということ。いずれ。
2011年 3月25日 (金曜) [ごくせん]7.8.9話
[美咲ナンバーワン]で観たシーンがあった。つまりやはり[美咲ナンバーワン]はこの[ごくせん]のオマージュだということだ。
それにしてもこの[ごくせん]は脚本も演出も上手いものだと思う。さぞかし視聴率も高かったろう。仲間由紀恵の当たり作といえるだろう。
2011年 3月31日 (木曜) 夜、[ごくせん]10.11話を観る。やはり上手いものだ。
2011年 4月 1日 (金曜) [ごくせん]
最初のシリーズの最終話まで見終わる。ほんとにおとぎ話だ。現実はほんとにひどいものだから。そして私としては金八先生よりよほどヤンクミの方が良い。
ということで授業でも使いたいので、いまアマゾンで中古のVHS No.1を注文した。出てくる暴力も、喧嘩と暴力は違うということから(ヤンクミの主張)考えてみればいい。世の中は目に見える見えないの違いはあれ、所詮、暴力支配なのだから。
なかなか熱くさせてくれるドラマであった。
195
:
FK
:2011/04/15(金) 19:28:53
2011年 4月14日 (木曜) [パリ20区、僕たちのクラス](ENTRE LES MURS THE CLASS 128分 フランス)
学校ものの映画ということか。フランスというのは、やはり権威主義的な教育を基準にしているのかと感じた。規律を教え込む。日本の学校も実は同じだが、あいまいな中にそれを実現しようとしているようだ。
いろいろなことが考えられる。13〜14歳の男女24人を相手に授業での丁々発止のやりとりは面白い。あれくらい活発にディスカッションに参加してもらえれば、授業も面白い。
教師で気になったのは、生徒の教師に対する態度や言葉遣いに対する厳しさだ。私なんかだと、そんなにまでもこだわらない。一過性のものだとして見過ごすようなことまで、一つ一つ指摘し、修正・やり直しをさせる。ただ体罰といった暴力はない。
なおフランス語の原題は、「壁の間」ということらしい。
196
:
FK
:2011/04/21(木) 22:12:39
2011年 4月16日 (土曜) [誘拐ラプソディー](2009年 111分 日本)
荻原浩の小説が原作。コミカルなお話を映像化するのはなかなか難しいものだ。子役が上手い。やはり動物と子どもには、大人の俳優が食われてしまう、ということだ。
教訓的なこととしては、父子関係についての一家言があった。
2011年 4月16日 (土曜) [TOKYO!](2008年 110分 フランス/日本/韓国)
まず蒼井優の出ていた「シェイキング東京」を観る。
次いで、あとの二人の監督の分を観る。どちらも微妙、といったところ。普通に理解する、というのが難しい。
2011年 4月18日 (月曜) [真木栗ノ穴](2007年 110分 日本)
原作の小説は読んだが、きっかけはこの映画の主役を演じる西島秀俊に興味があったからだ。この俳優を知ったのは、『神聖喜劇』をあつかったテレビ番組で彼がその一節を朗読をしていたからだ。以後、最近ではTVドラマ[スクール!!]があったし、よく見てみればあちこちで出演している。
その一つがこれで、映画を観る前に原作が入手できたのでまず読んだわけだ。
いろいろと深読みもできるだろうが、まずはジャンルとしてのホラー、ということでもいいだろう。それにしても作家というのは、大変な仕事である。妄想と現実生活とを最低限両立しなければならないのだから。だから、ときに破綻を来す人も出てくるのだろう。
2011年 4月19日 (火曜) [人のセックスを笑うな](2007年 137分 日本)
やたら長い。映画の紹介を読んでみると、この井口という女性監督は、このだらだら感を好むようだ。分からないではないが、やはりやや冗長に思えてしまう。
原作の小説を読んだときもそうであったが、この題はやはり少し違和感がある。英語でも記されていて、ドント・ラーフアット・マイ・ロマンスとあるのだ。ロマンスには必然的にセックスも含むのが常識ではあるが、この題のために青年の年上女性に対する憬れ・恋心といったものを描いた小説・映画であることが分かりにくい。
なおこの映画も、まずは題に惹かれた面もあるが、何といっても蒼井優が出演していたというのが大きい。
2011年 4月20日 (水曜) [17歳の肖像](AN EDUCATION 2009年 100分 イギリス)
[わたしを離さないで]の主演女優キャリー・マリガンがここでも主演であった。ということで早速、観た次第。まもなく17歳になろうという16歳の学生役。真面目でそれ故つまらない学生生活を送る彼女の前に、秘密めいた大人の世界の魅力をその男性がもたらす。それが、あるいはそれも、原題の通り「教育」であったのかもしれない。
青春のある時期、派手な世界・バラ色の人生を夢見てしまうことはあるものだ。そこからうまく元の世界・生活に戻れるかどうかが、問題だが。
197
:
渦森六郎
:2011/04/25(月) 23:30:37
2011年4月25日 【マルモのおきて】
昨日たまたまテレビをつけていたらこのドラマが始まったのでなんとなく観ていたら、結局ぜんぶ観てしまった。
独身のサラリーマン(阿部サダヲ)が、ガンで亡くなった親友の遺児2人(芦田愛菜と鈴木福)を預かって育てる、という話。なぜか人間の言葉をしゃべる犬も登場する。この犬は何者なのかも気になる。
素直な脚本の、良いドラマだと思う。まだ1話を観ただけだが、なんだか好感がもてたので、これはちょっと「当たり」かもしれない。
あと、子役の芦田愛菜と鈴木福がおそろしく上手いのでびっくりした。この2人を観るだけでも価値があるかもしれない。
198
:
よしこ
:2011/04/26(火) 00:01:59
私もマルモのおきて観ました。
阿部さんはお芝居を見て、好きだったのと
兵庫県出身の天才子役、芦田愛菜ちゃんが出ているので
見逃すものか!!!!!と観ていました。
そしてやはり子役は素晴らしい(そして恐ろしい)なぁと思いました。
ソフトバンクのお父さんは普通に感じるんですが
あのワンコはなぜか違和感が・・・
199
:
渦森六郎
:2011/04/26(火) 00:55:52
>ソフトバンクのお父さんは普通に感じるんですが
>あのワンコはなぜか違和感が・・・
声の違いですかね。僕もソフトバンクのおじさん声のほうがしっくりきてると思うし、好きです。
下手に可愛くしようとすると、駄目なのかもしれません。
200
:
FK
:2011/04/26(火) 21:05:46
マルモのおきて、はまた出遅れてしまいました。まだ観てません。5月1日の第二話からみてみます。
2011年 4月26日 (火曜) [アメイジング・グレイス](AMAZING GRACE 2006年 118分 イギリス)
これは大英帝国を賛美する映画だと、つくづく思った。見終わったとき、ある種の感動と悔しさから涙が少々。
人口が少なく国土も狭く資源もない国が、どのようにして栄華と繁栄を誇れる国になり得るか?
それは搾取しかない、と大英帝国の歴史は教えてくれるのだ。それが奴隷貿易であり、植民地政策であり、その巧妙な外交政策なのだ。
小ピットの名前はかろうじて覚えていたが、ウィリアム・ウィルバーフォース(岡田准一に似ている?)という奴隷貿易廃止に尽力した政治家は初耳であった。いろいろ問題はあっても、このような猪突猛進型の政治家は貴重な希少な存在だ。こんな人間が存在しうるところに大英帝国の強さがあるのだろう。日本にはいない、と慨嘆してしまう。
授業で黒人奴隷については映画[アミスタッド]を使っているが、この映画では奴隷貿易船の内部や黒人奴隷に使われていた鉄の鎖なども見ることができる。そしてその船の悪臭も画面から想像されるように描かれている。
(2006年の映画なのに日本公開が今になってしまったのはなぜか? ただちょうどこの時期、日本の政治がある意味ぼろぼろなので、絶好のタイミングでの公開ともいえるか。)
なお題名にもなっているこの人口に膾炙した曲は、映画の中で二度ほど、効果的に出てくる。
201
:
FK
:2011/06/08(水) 21:54:56
2011年 6月 8日 (水曜) [東京原発](110分 日本 2002年)
前々から気になっていた映画。見ず転で購入。まずまずの作品だった。いやもう少しほめてもいいだろう。いま折しも福島原発事故以来、様々な情報を獲得しているので、この映画における説明が的確であることがうかがえるのだ。しかもコメディになっているところがすごい。
核ジャックのところはややトーンダウンする。むしろ動きの少ない都庁会議室でのやりとりがいい。これはひとえに実力ある役者たちのおかげだろう。たいしたものだと思う。
それにしてもこのタイミングで、この映画は是非授業でみせたいと思う。
202
:
FK
:2011/06/14(火) 18:31:07
2011年 6月13日 (月曜) [ヒトラーの贋札](DIE FALSCHER、 THE COUNTERFEITER 96分 ドイツ/オーストリア 2007年)
収容所でのユダヤ人を描くものの一つということになるか。敵対国の経済撹乱のために贋札を大量に印刷するというもの。まずポンドであり、ついでドルであった。このナチの作戦に協力することを良しとしないブルガー(原作者でもある)と他のユダヤ人との葛藤が描かれる。そんな中で冷静に(一度だけその冷静さを失わしめるほどの仕打ちを受けたのだが)強かに生きるのが主人公のサリーである。
贋札工場(?)でも常に音楽が流れていたが、それは実際なのか、映画だからなのか。重苦しい内容だから、そのように多用されたのかもしれない。
どうしてこんなにも易々とユダヤ人たちはやられてしまったのだろうか。この歴史の勉強も必要だし、してみたいとも思った。
203
:
FK
:2011/06/14(火) 18:40:51
2011年 6月14日 (火曜) [奇跡](128分 日本 2011年)
[誰も知らない]の是枝裕和監督の新作。映画評(日経新聞夕刊)でも星五つ(満点)ということで期待して観てきた。
ひとことで言うと、その世界にのめり込むことはできなかった。もう少し丁寧に、その世界に浸れるようにしてほしかった。
九州新幹線の開業に合わせての映画ということで、3月12日(土)の初日、その上りと下りの一番列車がすれ違うときに何か(奇跡)が起こるということから映画の題名は[奇跡」なのだ。なんともベタな題名だなと思う。もっとベタにするなら[九州新幹線の奇跡]か。HPによると決して九州新幹線のプロモーション映画ではないと記されている。しかしやや長く感じられる鹿児島中央駅前のカットなど、やはりそのきらいを感じてしまう。
それにしてもやはり映画制作の自由度が制約されてしまっているのではないか。いろいろごちゃごちゃして不自然な感じや訳の分かりにくいところも私にはあり、残念なことに冷ややかに観てしまう自分自身であった。私の前席の老夫婦は後半の途中で帰ってしまった。
原因はこの主役である子役にもたれかかってしまったからではないか。かれらにゆだねすぎて監督の仕事ができてなかったのではないか(素人が偉そうに言うのだが)。彼ら前田兄弟は演技のしすぎで(柳楽優弥とは逆で)、それが功を奏したとは私には思えなかった。小器用な子役が自然でない演技を演じていたような感じだ。彼らが悪いのではなく、そこはやはり監督の責任だろう。残念な一作であった。
あと[スタンド・バイ・ミー]のオマージュなのかなと気が付いたが、HPによるとやはりそのようだ。それと「奇跡」の意味として、家族四人が一緒に生きていけること、といった素朴なささやかなことが実は「奇跡」なのだということ、そんなふうにあった。そのとおりだと思う。そういえば山田太一のTVドラマ[ありふれた奇跡]を思いだす。
204
:
FK
:2011/06/28(火) 11:48:19
2011年 6月28日 (火曜) [鈴木先生]全10話
昨夜の放送で終了。ラストシーンはどうなるのかと少しやきもきさせたが、やはりTVドラマの常としてハッピーエンドであった。そして教師をやってる人間には「だから教師はいいものだ」と思わせ、これから教師になりたいと思っている人には大いなる期待をもたせるものだ。
10週間にわたったので初期のころのは忘れている。原作の漫画のほうは、全11巻中、二巻まで。これから残りを読んでいきながら、TVドラマのことも思いだし、いろいろと考えてみたい。
この[鈴木先生]は、これからの時代の教師像の一つの典型かもしれない。
205
:
FK
:2011/07/06(水) 23:05:32
2011年 7月 6日 (水曜) TVドラマ[ブルドクター]が始まる。
なかなか面白い。お気に入りの志田未来も今日のところは端役だがしっかり存在感がある。主人公の二人の女性はそれぞれに面白い。それにしてもなかなか社会性のある問題を取り上げている。つまり不審死というか変死というかで、解剖されずに済まされる例が日本では大多数ということ。この人権を尊重されることのない日本らしい実例である。それに対する警鐘ともなるかもしれない。大いに期待したい。
206
:
FK
:2011/07/07(木) 23:22:41
2011年 7月 7日 (木曜) 新しいTVドラマ[それでも、生きていく]第一回をみた。
主人公のふたりのキャラは浮世離れした感じでスタートしていて、これは何が始まるのか、といったところだった。それがだんだんと彼らの関係が分かり、背景となる事件のことが分かっていき、重くなっていった。もちろんフィクションとしているが、神戸の少年Aの事件が、そこにはあると思われる。被害者の父親はその後の一生を悔いの中に生き、そして死んでいった(柄本明が演じている)。瑛太は殺された女の子の兄であり、やはりその日の悔いを残しながら、今を生きている。一方、加害者側の家族たちも少年Aの家族であるというだけで、数々の憂き目(父親が投書により会社を馘首される等)にあっていく。女主人公(満島ひかり)は、少年Aの妹であった。
207
:
FK
:2011/07/09(土) 22:36:00
2011年 7月 9日 (土曜) [ドン・キホーテ]
新番組。これまた重い社会性のあるテーマを扱ったTVドラマだ。見始めるまでは、山中恒の『おれがあいつであいつがおれで』のようなものとおもい、期待してなかったのだが、そしてこの二人が入れ替わるシーンはなかなか難しく、ちょっと無理っぽかったのだが。
しかし見ていくうちに児童虐待という悲しくも重い、解決の困難な事象を扱っていることが分かり、引きこまれていった。重い内容であるからこそこの二人の人間(児童福祉司とやくざの組長)がセットされたのだろう。一方はインテリでひ弱なタイプであり、法を遵守する枠内にいる人間である。もう一方は人間の汚さというか現実を知り、法を遵守していたら何ごとも動かない・できないことを熟知した人間であり、実力行使を是とする人間だ。
私たちも日常、法治国家に住みながらも、法の無力さや無意味さに切歯扼腕・隔靴掻痒の思いをしているわけだ。それをドン・キホーテよろしく、この二人は、互いにやむを得ず協力し合って、ある種の解決を模索するのだ。現実には不可能なようなことをやっていくのではないか、今後も。ただ題名のドン・キホーテのごとく、それは見果てぬ夢であることは予測されるのだ。つまり最初から、かなうことはないユートピアを描いていくドラマなのかもしれない。
松田翔太は[イキガミ]とは大違いの雰囲気。それが高橋克実の組長と入れ替わると、眉根にしわを寄せ、がに股歩きでいかにもという雰囲気を出している。
授業で使えそうなのは、虐待された6歳の子の言い分・母親に対する情を訴えるシーンとか、児童相談所がどのような活動を大変な中しているか等々。
208
:
FK
:2011/08/24(水) 20:56:53
2011年 8月23日 (火曜) [東京物語](136分 1953年)
言うまでもなく小津安二郎の代表作、原節子が出ていることでも有名な作品。今回、初めてきちんと観ることになった(部分的には、紹介されたものを観ていた)。
カメラアングルやカットの余韻の長さ、モンタージュするシーンの選択などなるほどと思ったり違和感を感じたりと、いろいろあった。
人物の話し合うシーンは定石として次のように撮っている。人物Aと人物Bが出会う。話が始まるとまず人物Aをカメラ正面で撮りながら話をさせる。次いで人物Bをやはりカメラ正面で撮りながら話をさせる。そして次に両者を一画面に入れた状態の斜めからのアングルで撮る。長くなると両者を別の角度から撮る。さらに長くなるとふたたび人物Aを正面から、次いで人物Bを正面から、そして両者を、という具合だ。
私が強く違和感を感じたのは、カメラ正面からの撮り方だ。役者が相手の役者に対して話しかけるのではなく、カメラに向かって話しかける。カメラに話をさせるのだ。観客を正面に見据えてしゃべるということになる。私たちは初め、これを観てドキッとさせられることだろう。余程の意図がないかぎり観客に話しかけるようなカメラ目線をとる映画は少ない。どうもこれが私には強い違和感をもたらし、偉そうに言うなら成功していないと思うのだ。
原節子も正面からまともに見るよりも、やや斜めからの顔の方がより美しく見える。さらに何にもまして大事だと思うのは、そのほうがより自然な表情で演じられるということだ。当の役者はどう感じていたか分からないが、それが小津独特の方法だとしても私にはいまいちであった。
とまれ、カットの切り替えが頻繁であり、撮影にはずいぶん時間が掛かったことだろう。
ストーリーとしてはきわめて単純で、ある意味「リア王」的な感じもした。実の子どもたちではなく、義理の嫁がいちばん優しく対応してくれるというところ。そして妻の葬儀のあと最後まで尾道におり、彼女の東京への帰京をもって映画は終わるのだ。それはまた、映画の最初のシーンに戻っているともいえるのだが。
ともかく今はまだ見終わったばかりなので、これからまた考えてみたい。日本映画の歴史の中で最高峰といわれる作品なのであるから。
209
:
渦森六郎
:2011/09/29(木) 01:47:55
2011年9月28日(水)
「美しい夏キリシマ」と「父と暮せば」
今日は授業サボって池袋の新文芸坐という名画座で二本立て観てきた。
この映画館では、最近亡くなった原田芳雄の特集をずっとやっていて、今日はその最終日。
映画の前に、柄本明・佑親子(そっくり)のトークショーがあった。柄本明けっこう好きなので、これは嬉しかった。
今日は「美しい夏キリシマ」と「父と暮せば」の二本立て。いずれも黒木和雄監督。
「キリシマ」は、終戦間際の宮崎県霧島が舞台。そこに住む地主(だと思う)一家と周りの人々の人間模様。柄本佑のデビュー作。原田芳雄は主人公(柄本佑)の祖父役で出ている。
「キリシマ」もなかなか良かった。だがその後で観た「父と暮せば」。これがすごい。
こちらは1948年の広島が舞台。被爆した父娘の話。父を原田芳雄が、娘を宮沢りえが演じている。
被爆し、大勢の友人を失いながらも、自分だけが「生き残ってしまった」ことに罪悪感を抱き続けながら生きている宮沢りえと、そんな娘を見守る原田芳雄(じつは彼には秘密があるんだが、それは観てのお楽しみ)。この映画は、ほとんど全編、二人の会話だけで進んでいく。
なのに、引き込まれた。台詞と、二人の俳優の力。本当に素晴らしい。
泣きました。鋼鉄の涙腺を持つ男と言われた僕が。高校時代に友人たちから「ドライ」と言われて顰蹙を買ってた(笑)僕が。びっくりした。映画を観て泣いたのは、小1以来のことだ。
まあこんなすごい映画に泣かされたのなら本望です。
「父と暮せば」のような、「生き残ってしまった」と思っている人々に語りかける物語は、たぶんこれから長い間必要とされることになるだろう。未曾有の震災があったのだ。悲しいことではあるけれど。
とりあえず、このへんで終わり。僕がつたない感想並べても、あんまり意味はない。とりあえず、観てください。「父と暮せば」。
210
:
FK
:2011/09/29(木) 07:18:35
2008年12月30日 (火曜) [父と暮せば](2004)
広島の原爆を扱った作品だった(知らなかった)。原作は井上ひさしの戯曲。
二人芝居か。宮沢りえが好演、父親役は原田芳雄。
原爆で生き残ってしまった(!)人たちの苦悩を描いたものといえるか。生
き残り、さらに自分だけが幸せになっていっていいのかという自問が、自らを
苦しめる。まさにトラウマか。
それを解消(?)させるのに、亡き父親が亡霊となって(?)登場し、四日
間、二人で対話しながらそのトラウマを解消していく、という筋立てなのだろ
う。原爆を扱った佳品・佳作として推奨したい。
211
:
渦森六郎
:2011/09/29(木) 11:10:00
すみません、過去のスレッドをチェックしていませんでした。かぶっちゃいましたね。「父と暮せば」。
212
:
FK
:2011/09/29(木) 13:19:10
重複はまったく問題なしでしょう。一覧性のないブログだし、いいものは何回も見たりしますし、そのつどその時々の感動を書き連ねることがいいのではないでしょうか。
「美しい夏キリシマ」は知ってはいますが、そして好きな石田えりが出ているので見たいとは思っています。また、いずれ。
213
:
FK
:2011/09/30(金) 18:02:30
2011年 9月29日 (木曜) [ラストキング・オブ・スコットランド](THE LAST KING OF SCOTLAND 125分 アメリカ/イギリス 2006年)
悪名高いウガンダのアミン大統領を描いた作品。軽薄な青年医師が政治に巻き込まれていき、多くの犠牲のうえに何とかウガンダを脱出するところまで描かれている。
一概にアミン大統領たちを非難することはできない。彼を利用した白人と白人国家の責任は重大だ。しかし、これが歴史の現実なのだろう。歴史のプロセスとして必ず通過しなければならない過程なのかもしれない、残念ながら。
観ていて不愉快になる内容だが、無理してでも観ておくといいということか。
214
:
FK
:2011/10/01(土) 22:11:01
2011年10月 1日 (土曜) [英国万歳!](THE MADNESS OF KING GEORGE 111分 イギリス/アメリカ 1994年)
この手の映画は基本的に嫌いだ。無理して観た。
ラストシーンでジョージ3世が息子に言う。すべて、これに尽きるだろう。
「私たちは家族のモデルになるのだ 笑顔を見せ 手を振れ 幸せに見せろ それが仕事だ」
215
:
FK
:2011/10/03(月) 21:49:03
2011年10月 3日 (月曜) [英国王のスピーチ](THE KING'S SPEECH 118分 イギリス/オーストラリア 2010年)
[英国万歳!]同様、これまた好んでは観たくない映画。ある種、政治宣伝映画なのだから。
この映画から何を感じ、何を得るかは、もちろん各人の自由だが、この手の映画が流行る・人気があるというのは私にはあまり面白くないところだ。たとえ、それらがすでに過去の「歴史」となっていても。
ロイヤルファミリーを必要とする国家・国民というのは、私はノーサンキューだ。
一つ、中味とは違う話だが、どんな表現なのか聞き取れなかったところをチェックしたかったのだが、このレンタルDVDには英語字幕が付いてなくて残念であった。販売用のには付くのだろうか。
216
:
渦森六郎
:2011/10/08(土) 01:27:09
2011年10月7日(金)「ヒポクラテスたち」(126分 1980年)
監督は大森一樹。
京都の医大生たちの、卒業するまでの最後の一年間を描いた映画。彼らの日常を、ときにユーモラスに、ときにほろ苦く描く。
主演の古尾谷雅人がとても良い。堺雅人と松田優作を足して二で割ったような、飄々とした演技が魅力。恥ずかしながら、古尾谷氏のことは先ほどこの映画を観て初めて知った。観たあとでちょっと調べてみると、2003年に45歳で自殺している。あまりにも若い。惜しい。
ともかく、『ブラックジャック』と並ぶ医療モノの傑作ではないかと思った。
ちなみに、手塚治虫本人が一瞬出演している。それを探してみるのも面白い。
217
:
FK
:2011/10/08(土) 06:46:48
2011年10月 8日 (土曜) [ヒポクラテスたち]
懐かしい映画が紹介されました。痛切というか哀切というか、そんな思いが今でも残っています。数年前、授業でもとおもいVHSのそれを購入したものです。
それにしても私がかつて観てきた映画を、次の世代(?)が、あとを追うように観ていくなど、歴史を感じさせられます。
218
:
FK
:2011/10/27(木) 20:33:58
2011年10月25日 (火曜) [ラストマネー 愛の値段]
全7話、終了。「生命保険の正体」などとホームページに書いて大丈夫なのかと(NHK)。この問題も触れてはならないタブーであったのかもしれない。
そもそもどうなんだろう、この「生命保険」というもの。これがあったおかけで助かった人もないことはないだろう。しかし、このようなものが世の中に存在することによって、犯さなくてもいい罪を犯し、殺されなくてもいい人が殺されているというのも事実だ。
保険というものの成り立ちからすればどうなのだろう。本質はいずれにあったのか。ひとえに使う側にかかっているということなのだが。あと何より気になるのは、若者がなにも考えずに安易に生命保険に入ってしまうことだ。
それにしても最後の愛、そしてその愛の値段が、保険の金額ということか。
このドラマも社会に一石を投じるものであったといえるか。
219
:
FK
:2011/11/08(火) 20:08:18
2011年11月 8日 (火曜) [弁護士のくず]TVドラマ 全12話 2006年の再放映
シリアスになりがちなこの手の法廷ものを豊川悦司が弁護士・九頭(くず)として、真面目一筋の新人弁護士(伊藤英明)とコンビでおちゃらけながら展開していくというもの。
人生というものは、必ずしも真面目に事に当たるだけでは解決できないということ。多角的に、つまりより人間的にその事象にあたらなければいけないということ。そんなことを大人のドラマとして描いている。
キャバクラが毎回出てくるのも、大人向けのサービスかもしれないが(?)、授業でみせるにははちょっと困るシーンでもある。途中から九頭が我が子と目される女の子を預かることになり、父娘としてドラマに変化を出している。母親こそ出番はないに等しいが、世の中というのは大人だけで構成されているわけではない。子どもの存在を忘れてはいけないということだ。
ドラマ中、何度も九頭に正義や真実が必ずしも裁判で勝つわけではない、と言わせている。裁判に勝つことと、ものごとの真実や正義がいずれにあるかは、残念ながら違うということだ。私自身、一時、弁護士志望になりかけたことがあるが、やはり向いてないようだった。教師でよかったと思っている。
220
:
FK
:2011/12/06(火) 16:49:40
2011年12月 3日 (土曜) [ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実](ONE DAY IN SEPTEMBER ブラック・セプテンバー ミュンヘン・テロ事件の真実(DVD題) 91分 スイス/ドイツ/イギリス 1999年)
1972年のミュンヘンオリンピックの時の事件。イスラエルの選手村が襲われ選手たちが殺されたもの(11名)。犯人は8名。そのうち生き残った三名が事件後ハイジャック事件の取引で解放される(裏取引か)。そして内二名はイスラエルによって暗殺(?)され、最後の一人が映画に登場し、語る。
表面的に事件をなぞるだけでは真実は見えてこない。マシンガンによる遺体はさすがに正視できるものではないようで、ぼかしが入っていた。血まみれの床、散乱した物などはその凄惨さを物語る。
政治というのは非情なものであり、その主体である国家にすり寄る者は簡単にその命を奪われてしまう。犠牲として本人の意志とは別に捧げざるをえなくさせられるのだ。特にオリンピックという国家的名誉を担う人たちはなおさらだ。気の毒とはいえ、国家から利用されることは自明のことであったわけだ。
客観的に考えたら犯人たちの要求であるイスラエルとドイツにおける政治犯二百数十人の解放は簡単なことだ。しかしイスラエル国家は歯牙にもかけないのだ。何が大事なのか! 何を守ろうとするのか。
このパレチスナとイスラエルの問題の黒幕である国は、息をひそめたまま何も語らない。そこにこそ目を向けなければならないのだが。授業でも使いたいものだ。
221
:
FK
:2012/03/03(土) 22:02:20
2012年 2月21日 (火曜) [ミリオンダラー・ベイビー](MILLION DOLLAR BA
BY 133分 アメリカ 2004年)
おなじみクリント・イーストウッドの監督作品。ボクシングというものにか
ける情念の違いを感じる。ボクシングの魅力(魔力?)が貧しいものたちを駆
り立てるかのようだ。自ずからそのプロセスは悲愴であり、その結末は悲惨と
なるのだ。見ていて辛いものがあるが、映画の中で言わせているように、それ
なりの彼らなりの幸せというものがそこにもあるのだ。いや、そう信じなけれ
ばやっていけないということ。
教会に通う主人公がおり、神のことも出てくる。最後の決着への伏線とも言
えようか。あとアイルランド系ということで、ゲール語とか緑色のガウンとか
が出てくる。
222
:
FK
:2012/03/13(火) 22:01:23
2012年 3月13日 (火曜) [イヴの総て](ALL ABOUT EVE 138分 アメリカ 1950年)
なんといっても主役のベティ・デイヴィスが貫禄だ。この女優を最初に知ったのは映画[八月の鯨]であった。最晩年の作品。それに比べれば当時40才過ぎであり、さらに若いときの写真を見ると迫力のある美人であった。
ストーリーは凄まじい。大女優と言えども人間であり、人間的な悩みや不安にかられる。一方、若くてこれからのし上がっていこうとする女優は、手段を選ばない。嘘偽りを巧みに使い、人に取り入っていく。もちろん、そうするしかないのかもしれないのだが、悲しいところだ。そしてラストシーンは、同じ手段でのし上がっていこうとする女優の卵が、鏡の前で悦に入るシーンなのだ。
223
:
FK
:2012/03/20(火) 22:07:22
2012年 3月20日 (火曜) [僕と彼女とオーソン・ウェルズ](Me and Orson Welles 2009年 イギリス 114分)
結構面白かったが、日本未公開。日本の映画ファンならおなじみのオーソン・ウェルズなのにどうして、劇場公開されなかったのだろう。
しかし芸というか、芸術というのはある意味残酷なものだ。他人の容喙をゆるさず、ひたすら己が信ずるところを邁進していくわけだ。そして、その成功の陰には、死屍累々。
主人公の彼はまだ何も知らない高校生、まもなく18才になろうというところ。大人たちに囲まれて翻弄されているということになるか。
オーソン・ウェルズが言ってた台詞に「客は役者の本音を見抜く」(主旨)というのがあったが、その通りなのだろう。私ごときでも授業に対する姿勢など、生徒たちはすっかりお見通しということだ。やはり一生懸命やらないとだめということか。
224
:
FK
:2012/04/16(月) 10:36:14
2012年 4月15日 (日曜) [獣医ドリトル](TVドラマ 全9話 2010年)
再放送を録画しておいて。これもまた原作はアニメ。
それにしても「獣医はビジネス」がキャッチフレーズというか、口癖のように何度も主人公に言わせている。もちろん「獣医もビジネス」の一つに相違ないのだが、そう言わざるを得ないところに、飼い主や一般の我々のペット観の問題点が浮き彫りになるということか。
「獣医はビジネス」というわりには、結構、真面目な作品であるといえる。
動物をそれこそ人間のペットとして、慰みものとしてしか考えないような人が多いということ。小学生のイノシシに対する話(第6話)で出てきたように、猫かわいがりで本当のところを理解できてない例。安直に安楽死をさせようとすること、等々。
「命を大切に」と声高に言っても効果がないのは自明のこと。実際に動物たちとの付き合いをすることによって学習でき理解できていくのかもしれない。
225
:
渦森六郎
:2012/04/18(水) 21:24:15
2012年4月18日(金)「アーティスト」(2012年 フランス 101分)
現在公開中の作品。
この時代に、あえてのモノクロ&サイレント映画。面白かった。
舞台は、ちょうど映画がサイレントからトーキーへと移行する1920〜30年代のハリウッド。
サイレント映画のスターだったジョージは、トーキーへの変化についていけず、あくまでサイレントにこだわり、没落していく。それに反して、かつて彼が見いだした新人女優ペピーは、トーキー映画のスターとして大女優への階段を上っていく。しかし彼女は自分を見いだしてくれたジョージのことを忘れてはいなかった…。
シンプルなストーリーで、テンポも良い。映画のお手本のような作品だった。そして、サイレントからトーキーへと移行した当時の感覚を、我々に追体験させてくれるつくりになっている。これはDVDではなく、劇場へ足を運んで観たほうがいいだろう。
226
:
渦森六郎
:2012/05/01(火) 21:46:55
2012年5月1日(火)「リーガル・ハイ」
フジテレビで放送中のドラマ。古沢良太脚本、堺雅人主演。
詭弁をあやつる不敗の弁護士が主人公の法廷ドラマだ。堺雅人のコメディアンぶりが素晴しい。
それにしても、弁護士は大変な仕事だと思う。ストーカーだろうとクレーマーだろうと、とにかくどんなメチャクチャな要求をする被告であれ、とにかく依頼されたら弁護しなければならないのだ。どうにかして、その人が無罪であるという理屈を組み立てなければならない。
そのあたりをコミカルに描いている古沢脚本の上手さも見所。
227
:
FK
:2012/05/18(金) 10:29:16
2012年 5月14日 (月曜) 今、放映中のドラマから
一番は[リーガル・ハイ]だ。初回は堺雅人という役者の演技に参ってしまい、なじめなかったが、今は楽しめるし授業でも使えそうと思っている(著作権や日照権)。
授業でといえば、[開拓者たち]はもちろん、[カエルの王女さま]もなかなか良い台詞がある。前者は国家というものについてじっくりと考えさせてくれ、後者は人生に対する向かい方について応援してくれる。
娯楽としては[鍵のかかった部屋]がいい。一緒になぜ密室かと考えられるのもいい。同じ推理ものでは[三毛猫ホームズの推理]には期待していたのだが、残念だった。事件といえば[家族のうた]が視聴率の低さから途中打ち切りになるとのこと。実はこれは一度も見なかったのだが。
ドラマの主役を誰がやるかということは、それこそ視聴率のポイントにもなるのだろう。[開拓者たち]の満島ひかり、[カエルの王女さま]の天海祐希、[テンペスト]の仲間由紀恵。さらに武井咲の[Wの悲劇]、剛力彩芽の[未来日記]、谷村美月の[たぶらかし]などもいい。
単発ものでは宮部みゆきの4つの小説がドラマ化され放映中。尺が長いのだが、授業でも使えたらと。
今年の私の授業は、あいにくと世界史がなく、逆に現社・政経・倫理が結構あるので、視聴覚教材としてはヴィヴィッドなテーマでは「クローズアップ現代」、「海外ネットワーク」が役立つ。そして生徒たちの興味をひきつつ様々な問題を考えていくきっかけになるのがTVドラマである。
今、放映中のものはもちろん、再放送ものや昔見た映画などからもどん欲に教材になるものをチェックしている。一例をあげるなら[ドラゴン桜]や[女王の教室]のそれぞれ第一回の数分間のシーン(いずれも先生の台詞だが)を、それこそ第一回目の授業、なぜ勉強するのかといったテーマで見せた。
現社・政経ではあと昨年の[家政婦のミタ]を初めとして、[クロサギ]・[ラストマネー]・[ティーンコート]などといくつも授業で取り上げたいドラマがある。日本社会の現実や諸相といったものを知るのに役立つだろう。
日本史Aでは[開拓者たち]や[坂の上の雲 二〇三郄地]・[タイムスクープハンター]などもある。沖縄のところで[テンペスト]も使えるかもしれない。
228
:
FK
:2012/06/10(日) 20:57:58
2012年 6月 9日 (土曜) [深呼吸の必要](123分 2004年)
長田弘の詩集の題名を映画の題名にしている。
それぞれ何か屈託を持った・持たざるを得なくなった人たちが、あたかも吹き寄せられるかのように南の島に集まってくる。仕事はサトウキビの収穫。
香里奈が主役級だが、あと長澤まさみがまだ16,7才で高校生役で出ている。
ある意味日本的な映画だ。収穫作業が期限に間に合いそうにない状況下で、世話になっている老夫婦のために頑張って仕上げるというところ。良いところとしては、人間がダメになりそうな時、自然のもとに一旦回帰することが必要というか大事だということ。そういったことを暗示する。ただそれぞれの登場人物の過去や屈託はあまり紹介されない。観る者の想像力にまかせるのだろう。
229
:
FK
:2012/06/27(水) 07:52:52
2012年 6月26日 (火曜) [リーガル・ハイ](TVドラマ 全11話)
今夜で終了。前回から公害問題であったが、最終回はその一年後、その折の内部告発者についての裁判で、しかもこれまで一緒にやっていた古美門研介に対し、新垣結衣が敵側に回るという設定で面白くしてある。現実的な弁護士というものについて分かりやすくていいかもしれない。
つまり事の是非・真犯人かどうかが問題なのではなく、金を積まれて依頼されたらその依頼人の利益のためにのみ頑張る、というわけだ。社会正義の実現でも何でもない。当然、私利私欲の一語に尽きるわけだ。
ともかく真面目に誠実にコツコツやっても世の中では通用しないと痛感させられる。法律を味方にし、他人を徹底的に攻撃していかないことには裁判をはじめとして世間では「勝つこと」はできないということだ。正義がいずれにあるかはほぼ関係ないと言うことである。
最後の弁論で新垣結衣に理想論を言わせているが、あっさり敗訴。人間の欲望・執念の強い方が、そして徹底的に人を信用しない者こそに勝利の女神がほほえむということを思い知らされるのだった(私たち視聴者も)。
ということで、後味の悪いラストであったが、それにもめげずに新垣結衣扮する黛弁護士は頑張っていくところに救いがあるといえばあるのかもしれない。何にせよ教育の世界に生きる私などにはとうてい太刀打ちできることではない。
今期TVドラマのなかでもっとも見応えのあった作品であった。もっとも最終回は、「やはり、そうか」と現実の厳しさを突きつけられるものではあったが。
230
:
渦森六郎
:2012/06/27(水) 17:55:34
2012年6月27日(水)『リーガル・ハイ』について
傑作でしたね。
僕もこのドラマには色々と考えさせられたので、感想を書き留めておきたいと思います。
もちろん、最終回の裁判だけに関して言うと、あの企業による報復人事は不当であり、あきらかに内部告発者(田畑智子)は気の毒な被害者です。
しかし、あの裁判の結末は、法というものが健全に機能した証でもあったと思います。もちろん法は万全ではない(ドラマよりも残酷な泣き寝入りの事例はいくらでもあると思います)。しかし、最後に古美門(堺雅人)が言っているとおり、我々人間にはいまのところ法に依拠して、徹底的に論理的になることしか、「間違い」を小さくする方法はないのだと思います。
黛(新垣結衣)的な「正義」や「道徳的な正しさ」や「情」は、一歩間違えると場合によっていかようにも解釈が可能なとても不確定かつ危険なものです。最近の橋下人気や公務員バッシングや「絆」という薄っぺらなスローガンなどは、「情」の負の側面が表出したものだと僕は見ています。法や理屈が、暴走した「情」に押し切られて機能停止してしまった時、最終的に現れるのが、ファシズムなのではないでしょうか(「情」の暴走の危険性については、同じ古沢良太脚本の『鈴木先生』でも描かれていました)。
古美門の「理」、黛の「情」、いずれも諸刃の剣であることには間違いない。ただし、どちらが「まだマシ」な剣かと考えた時、僕は前者を選びます。
『リーガル・ハイ』が描いていたことは、「現実の厳しさ」ももちろんそうなのですが、それ以上に、「徹底的に論理的に物事を考えることの重要性」だったのではないかと思いました。
231
:
渦森六郎
:2012/07/29(日) 02:07:19
2012年6月27日(水)『おおかみこどもの雨と雪』
『時をかける少女』『サマーウォーズ』の細田守監督の最新作。
現在公開中なので、これから観に行く人もいるだろうから、内容にはあまり触れないけれども、これは傑作。
「おおかみおとこ」と恋に落ちたヒロイン・花が、彼との間に生まれた2人(2匹?)の子供を育てる話だ。
朝ドラ『カーネーション』と並んで、21世紀的な想像力の先駆けになる作品ではないだろうかと個人的には思った。
232
:
渦森六郎
:2012/08/30(木) 22:52:45
2012年8月21日(火)『桐島、部活やめるってよ』
現在公開中の作品。
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『クヒオ大佐』の奇才・吉田大八監督の最新作。原作は、朝井リョウの同名小説。
とある高校のバレーボール部キャプテン・桐島が突然退部したことによって何らかの影響を少しずつ受けていく高校生たちの様子を描いた群像劇である。
原作小説を読んだ時はあまり印象に残らなかったのだが、映画は吉田監督によって換骨奪胎された新たな『桐島』になっていて、非常に面白かった。まるでそのへんの高校に定点カメラを設置したかのようなリアリティと、鼻血が出るほどの映画的興奮。
神木隆之介、大後寿々花、橋本愛など、出演陣がまた素晴しい。日本映画界の未来は明るい!と叫びたくなるほど。
まだ8月だが、ひょっとするとこれは今年1番の作品に出会ってしまったのかもしれないと思った。
233
:
FK
:2012/10/02(火) 12:42:12
2012年10月 1日 (月曜) [歩いても 歩いても](STILL WALKING 114分 2007年)
是枝裕和監督作品。本の方は買ってあったのだが未読。先にテレビ放映されたものを。
こんな作品だったのかと。佳品。カットも少なく(数分、おそらくエンドロール)ほぼ丸々放映されたようだ。昔の映画を知っていたら、この作品がそのオマージュなんだろうなと。家族を描いた作品の現代版。
阿部寛と夏川結衣のコンビがここでも見られる。また監督とYOUも[誰も知らない]で。YOUと樹木希林との会話・演技も細かく、そのやりとりが面白い。
ちょっと難しいけど、観ておいていい作品だろう。
「人生は、いつもちょっとだけ間にあわない」という台詞が印象的か。
234
:
FK
:2012/12/18(火) 22:41:49
2012年12月15日 (土曜) [ドクターX 〜外科医・大門未知子〜](全8話 2012年)
米倉涼子の人気で視聴率が高いのかなと思っていた。最終回を見終わった今、少し違うことを考えた。彼女の外科医としての行き方は、まさに破天荒で日本社会ではとても受け入れられがたいものがある。しかし彼女はその実力と人生観で堂々と生き抜いていく。嫌なものは嫌と言い、おかなしなことはおかしいと言い、すべきでないことはせず、すべきであることは何があっても遂行する。
そんな生き方に視聴者は拍手喝采するのだろう。ということは、みんなも今の日本社会のあり方が決していいとは思っていず、むしろ彼女のようなあり方こそが本当なのだ分かっているからかもしれない。(実はみんな本来あるべき理想を持っているのだということに気付かされたことは収穫であった。)
そうはいっても誰でもがそのように実行できるわけではない。そこでこのドラマでスッとして、また明日からはこの現実の中で生きていくしかない、となるのかもしれない。
235
:
渦森六郎
:2013/07/05(金) 17:54:19
2013年7月 5日 (金) 『立候補』(100分 2013年)
下北沢の小さな映画館で観た。
選挙において「泡沫候補」と言われる人たちを追ったドキュメンタリー作品。「スマイル党」総裁のマック赤坂氏を中心に2011年の大阪府知事選挙(「大阪維新の会」の松井一郎氏が圧勝した選挙)を戦った「泡沫候補」たちの人間像が映し出される。
「泡沫候補」と言われながら、野次を浴びながら、それでも300万円もの供託金を支払ってまで、負けると分かっている選挙に出続ける人々。我々は彼らを笑う。「変な人だなあ」と。しかし、そもそも「マトモ」とはどういうことか。人気のある政治家なら「マトモ」なのだろうか。立ち上がることも、声を上げることもしない我々に、彼らを笑う資格があるのだろうか。この作品は、そして登場する人々は、そんなふうに観客に問いかけ、頭の中を引っ掻き回してくる。
この映画を観たあとは、もう彼らを「泡沫候補」などと呼ぶことはできなくなるだろう(もちろん、それは彼らに票を入れるとか、彼らに賛同するとかいうことではないけれども)。
印象的な場面をひとつ挙げておくと、マック氏が「同じ供託金300万円を支払っているにも関わらず、メディアにおける候補者の扱いに差がありすぎる」と選挙管理委員に抗議するシーン。日本の選挙システムは「実質的な制限選挙」と言われるが、そのことを端的に表しているシーンだった。他にも見所はたくさんあったが、あまり書いても楽しみがなくなってしまうので、このくらいで。
笑えて泣ける、そして「常識」を揺さぶられる、傑作だった。
236
:
アンリ
:2014/04/14(月) 16:31:30
2014年 4月7日(月)
白ゆき姫殺人事件
上映時間:126分
原作は湊かなえさんの「白ゆき姫殺人事件」です。
この映画は、人の死というものから始まる、現代社会の闇が描かれていると思います。
私はこの映画を観て、恐怖を感じました。
それは、この映画がTwitterというSNSの社会が描かれているからです。
顔が見えないSNSという世界では、誰もが被害者になりかねないからです。
そして、誰もが加害者になりかねないという恐ろしさが潜んでいるからです。
顔が見えないだけに、人の本性というものが露わになるからだと思います。
それと、この映画は女性の裏の顔が描かれていると思います。きっと誰しもが、あるものなのでしょうが、その裏の顔がこの映画ではキーパーソンになっていると私は思います。
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