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「お薦め −映画」
20
:
FK
:2008/10/11(土) 20:10:56
[砂の器]
松本清張の同名の小説を映画化したもの。「宿命」と題された音楽が印象的だ。
隠しておきたい過去を持つ新進気鋭の音楽家が、その栄光の日についに犯した犯罪を暴露される、というスリリングな仕立てに映画ではなっている。原作とは違うところ。
「カメダ」という地名らしい方言がキーワードになっており、言語学的な興味もひかれる。先日亡くなった緒方拳は孤児となったこの音楽家を世話する田舎の警察官役であった。無骨でそんなに器用な俳優には見えないところがまたその魅力であったか。
VHSで手元にありますので、お貸しできます。
21
:
FK
:2008/10/12(日) 22:00:12
『ベスト・オブ・モーリス・ベジャール』
DVD『ベスト・オブ・モーリス・ベジャール』を観る。モダンバレエというか、「踊り」である。相変わらずというか、どれをとっても「美しい」。ベジャールの振り付けによって人間が美しく見える。人間のからだが表現する「美しさ」の見事なこと。
観ながらふと思ったのは、彼ら演じる人たちのこと。かつてのジョルジュ・ドンのような踊り手はいない。いま登場する人たちの中にそんなビッグネームがいるのかどうかもしらない。
要するに彼らは消耗品であり、われわれ観客は消費者であるということ。彼らはどこまでいってもその時限りの消耗品であり、われわれはそれを味わい尽くすきわめて贅沢な消費者であるということ。
演じる人たちは概して若い。若くなくてはできないことでもある。その一瞬の若さをわれわれは鑑賞と称して賞味するのだ。ある意味残酷なことでもあるなと思った。もちろん演じる人たちには名誉と報酬がその対価として与えられるのではあるが。
*
以前、三船敏郎が映画は所詮監督のもの、ということでその不満というのかむなしさを酒でまぎらわせていたとのエピソードを読んだことがあるが、その折りは確かにその言うところの作品としての「映画は監督のもの」という考え方に同意したものだ。その後、あらためて考え直した。つまり監督は映像としては出てこないものであり、長い年月のうちにはその顔すら忘れ去られていくものだ、ということ。
しかし映像として残っている俳優たちはいつまでも永遠にそこに生きているのであり、忘れられることはないのだ、と。
結局、映画は俳優たちのものとして残っていくのではないか。たとえ撮影されたその時は消耗品として扱われていたとしても。
ベジャールの場合もそうかもしれない。彼の踊る姿をDVDで観ることはない。彼の振り付けた踊りは無名(?)の若者たちによって表現され映像化されて残る。それを、いつでも・いつまででもわれわれは観ることができるのだ。
そんなことを考えながらベジャールの最新DVDを観た。何度も繰り返し観たくなるし、観る度に私もあんな風に踊れたらと言わないまでも、あんな風にからだが動かせたらいいだろうなと思うのだ。生まれ変わってこれるのなら、なってみたい・やってみたいものだ、と。やはり人間は自己表現・自己実現をしたくなる動物なのか、と自分のことを思う。
*
消耗品という言葉の語感は良くない。しかし、人生はお互いを消耗品として利用・活用(消費)しあって生きていくものなのだ。
手元にありますので、お貸しできます。
22
:
FK
:2008/10/19(日) 15:34:36
[花は散れども]
神戸で朝一番の回で観てきました。新藤兼人監督95才の作品。学校もの、かな。
大正年間の終わり頃(1923,24年頃)、卒業した尋常小学校の生徒たちとその担任教師の人生模様が描かれていく。
前半、稚拙なほどに一つ一つのカットがぎくしゃくしていて年月の経過もわかりにくいところがあったので、この映画はダメだったかとおもいかけたものだ(そういう演出だったのだろう)。いきなり30年後に飛び、この教師の退職に際し謝恩会として同窓会が開かれ、日中戦争・太平洋戦争の年月を越えてきての生徒たちの苛酷な人生が自己紹介という形で紹介されていく(戦争未亡人・ピカドン・貧困など)。ここはやや辛くて。また演技過剰も感じられ評価の分かれるところか。
後半は二人の生徒の人生を中心にしている。二人とは級長(いまの学級委員長)の男の子とその子を好いていたしっかりした女の子。(脱線するが、この小学校時代の教室での子役達の演技はいまいちで、もう少し時間をかけてほしかったような。)結局、その後結ばれることのなかった二人が、謝恩会で再会し30年前の思いが甦るのだが。結果は...やはり女は強く、やはり男は女々しい、とでも言っておこうか。
やはり、人生はそのことに関してのチャンスは一度きりしかないという厳然たる現実を思い知らされるのだ。
そしてその先生が亡くなり(昭和38年11月、享年66才とあった)、ラストは元級長君は(もう45、6才になっているのだが)東京に戻る。駅でのストップモーション、列車が出たあとの人のいない駅構内が映し出されて終わっていく。
みんなに観てもらえるかどうかは難しいところ。迷うところ。なお、私はこの映画でもすこし涙してしまった。なお言えば、私も教師、人生の行く末を暗示させられ考えさせられるものでもあり、複雑な心境に。そこまで教え子に慕われるというのは羨ましい反面、もしそうだとしたら面はゆく・恥ずかしくもあるのだ。ま、なるようにしかならないが。
23
:
FK
:2008/10/21(火) 21:53:27
[『誰も知らない』ができるまで]
柳楽優弥という魅力的な少年のデビュー作となった[誰も知らない]のメイキングDVD。41分。
つくづく映画というのはキャスティングだと思わせられる。いや、脚本も監督も大事なのだが、この映画の場合、まずキャスティングに尽きる。子役たち5人。四人のきょうだと友人。
この実話に基づく[誰も知らない]がお薦めの映画であることは間違いないのだが、そして今も生徒の誰かのところへ出払っているのだが、それを観たあと、是非、こちらのメイキングも観てもらうといい。お貸ししますので。
24
:
FK
:2008/10/25(土) 22:30:49
[変身]
東野圭吾の小説・『変身』(講談社 1991年 \1350)の映画化。
テレビで放映されていたのを観たのをきっかけに、結局DVDを買った。
映画ではこの二人(玉木宏と蒼井優)が湖の畔にピクニックし、絵を描く幸せな情景がふんだんに出てくる。これが観る者に潤いを与えるのだが、小説ではその点やや無味乾燥なほどハードかつドライである。やはりその点、映画はいい。
また映画では始めジュンに一体何が起こったのかを観客に教えず、ミステリアスにしてあるが、原作ではいきなりネタバレなのだ。
ラストは、映画ではメグの絶叫で終わる感動的なものなのだが、これも小説とは違うところ。要するに小説は多分に脳の移植という問題をメインにしてるようだが、映画では若い二人の恋愛に重きをおいて描いているということ。小説と映画では別の楽しみ方・味わい方ができるとも言える。
DVD、お貸しできます。
25
:
FK
:2008/10/27(月) 22:21:42
[ネコナデ]
待望のDVDが到着、早速、夜、視聴。(実は夏、公開時に見損なった。)
ともかく子猫が「カワイイ」の一言に尽きる。あとはストーリーがどうのこうのなんか、吹っ飛んでしまうくらい。私はやはりネコ派であったと思い知らされる。
客観的に見るなら、会社という組織の本質(リストラや新入社員研修における愛社心の養成・社員間の一体感を醸成するための巧妙な方法など)が描かれているのは勉強になるか。
とまれ人は何によっていやされるか・幸せになれるかといったことについて考えさせてくれもするだろう。しかししかし、ひと言では「カワイイ」しか出てこない。役者たちのメイキングでも異口同音であった。
DVD、お貸しできます。
26
:
FK
:2008/10/31(金) 21:24:34
[明日の記憶]
「お薦め −本」41:FK (投稿日: 2008/10/31 21:05 NEW! )で紹介した『明日の記憶』(荻原 浩 光文社 2004年 \1500)の映画化されたもの。
主人公は50歳。若年性アルツハイマー!
今日の記憶が明日も持続されるとは限らない! それは恐怖以外のなにものでない...
DVD、お貸しできます。
27
:
FK
:2008/11/01(土) 17:39:15
結論、「来るわけないか」でした!
「お薦め−映画」10 :FK:2008/09/25(木) 23:07:18 [百万円と苦虫女]でのラストシーンのひとこと。について私は「そんなわけないか」と書きましたが、「FKとの対話」15 :渦森六郎:2008/09/26(金) 01:04:21 で「百万円と苦虫女」の蒼井優の最後の台詞は、「くるわけないか」だったような気がしますよ。とあり、私はさらに 16 :FK:2008/09/26(金) 14:36:56 で「百万円と苦虫女」の蒼井優の最後の台詞は?
「来るわけないか」か「そんなわけないか」?
気になりますが、言われてみたら、「来るわけないか」かなと思ったりします。
いずれにせよ、DVD待ちです。ただ一つ、原作の小説を読めば分かるかも。本屋へ直行しますか!
さて結論。つまり今日、本を買ってきました。「来るわけないか」でした! 勘違い聞き違い? 何とも、注意力の問題かも。
なおDVDは来年1月30日発売とのことです。購入予定。
28
:
FK
:2008/11/01(土) 21:57:15
[白雪姫]
何十年ぶりだろう、夜、買ってきたばかりの[白雪姫]を観た。ウォルト・ディズニーのこのアニメを初めて観たのはまず間違いなく小学生の頃。その時の感動を少し思い出すことができた。それにしても、生涯で(大げさかも)一度か二度しか観てないはずなのに、これほどまでに印象に残り、気がつかなくても様々な影響を受けているであろうこの作品、1937年のものとは。(挿入曲については、その後何度も耳にしてきている。)
今さらながらこんな単純な物語によくもまあ感動したものだと恥ずかしくもなる。しかし、その時はその時なのだから。そしてこれも私の人生観・人間観を培ってきた数多の作品の中の一つに違いはないのだから。
オーバーな話だが、感慨無量。もうすっかり忘れてしまった遠い小学生の頃の自分を思いやって。
DVD、お貸しできます。
29
:
FK
:2008/11/01(土) 22:41:51
[その日のまえに]
「その日のまえ」の「その日」とは? 重松清の小説の映画化。原作は未読。
今日が土曜日で1日だということで、映画を観に行くことにし、昨夜、この映画に決めた。[きみの友だち]がやはり同氏の原作であり、あれがベタに泣かせてくれるものであったので、この映画もそうかなと思って観ていた。広告でもどっと泣かせるような惹句。
しかし大林監督はそんなベタなやりかたはせず、つまり最近涙もろくなった私でさえも、涙を落とすことなく見終わることができた。つまりじわーっと涙が眼の中でふくらむところまではいったということ。
余命一年というのは、先日の[イキガミ]の余命(?)24時間を思い出させ、対比して考えさせられる。それはともかく、一年というのは考えようによっては長すぎて大変だと思う。24時間は短すぎてこれまたどうしようないのだが。
死はあらかじめ分かっていようが、事故による突然死であろうが、死自体は同じだ。いずれにせよ、その死の時まで私たちは精一杯生きていくしかない。「その日のまえ」まで悔いの残らないように生きていくしかない。
だから問題は残された人たちなのだ。彼らがどのようにして「失いし愛せし人」との別れに折り合いを付けるのか、なのだ。死者も、実は生者の記憶の中で永遠に生き続けている、ただ生者の目の前からは物理的に消え去るだけで。だから消し去ることのできない死者の記憶が、私たち生者の生を苦しめる。そこで「忘れてもいいよ。」ということに、その一つの解決を見いだそうとするのかも知れない。
しかし、「忘れてもいいよ。」と言われて忘れられるはずがない。人間は天の邪鬼だ。むしろ「忘れないで、いつまでも!」と言われた方がスッキリと忘れられるかも知れないのだ。
いや、それでも愛せし人のことは忘れられるものではないだろう。結局はどうころんでも、死ぬまで忘れることはないのだ。私にも何人か、死ぬまで忘れられない人びとがいる。私の死の瞬間に、幽冥の境を彷徨う最後の瞬間にそんな彼らと再会してひと言二言ことばをかわし、できたらハグして別れたい。「未来で待ってる」([時をかける少女])とささやいて。...
そんな夢を夢でなくして実現(?)してくれてる映画に[ビッグ・フィッシュ]があった。あのラストシーンである。そして今回この[その日のまえに]でもファンタジーとしてそれを実現してくれていると私は思っている。
それにしても思う。私たちの人生は死者に見守られながら、その後の余生を生きていく、といったものなのだな、と。先に退場した人たち・死者は、私たちのその死の日まで、私たちとともにあるのだ。生きているのだ。
そう、――。悲しむことはない。ひとあし先に行ってしまっただけなのだから。私たちももすこししたら、追いかけていくのだ。
30
:
FK
:2008/11/02(日) 20:39:27
[僕たちの戦争]
荻原 浩の『僕たちの戦争』(双葉社 2004年 \1900)のテレビドラマ化、森山未來が主人公を演じている。
現代のサーフィンをしていたはずの青年と、昭和20年戦争中の日本の特攻隊の青年とがクロスして...というお話し。宮部みゆきの『蒲生邸事件』を思い出させる。同じような趣向を考えつくものだ。
単純に娯楽として読むことができるのはもちろん、歴史とか戦争とかといったハードな内容をさりげなく私たちに教えてくれるの。絶品であった。
VHS、手元にありますのでお貸しできます。
31
:
FK
:2008/11/04(火) 22:31:06
[ロシアより愛をこめて]
1963年のおなじみ007の第二作。調べてみると1973年に映画館で観ている。これで二度目以上なのだが、定かではない。
娯楽作としてよくできていると思う。もちろん、今時の作品には比すべきもないが。それはともかくまず音楽がいい(ジョン・バリー)。鳴りだした途端、この独特の雰囲気の中に放り込まれる。そしてボンド役のショーン・コネリーがいい。
ま、今からしたらちゃちなところも、無理っぽいところもあるが、ともかく楽しめるのがいい。気分転換にもってこいか。
DVD、お貸しできます。
32
:
FK
:2008/11/09(日) 21:12:44
[生きる]
この黒澤明監督の映画は、志村喬氏の主役としての最高最大の作品ということになるだろう。異論はない。ただ確かに瑕疵はある。無い物ねだりかもしれないが。
黒澤も言うように、演技しすぎというか、気張りすぎであるということ。もう少し力が抜けていたらもっと違った凄さが表現されたかもしれない。しかし、急いで付け加えるなら、あれはあれで、つまり力が入りすぎの感があるけれど、あれで良かったのだと思う。
力みすぎの演技であっても、くさみを感じてもそれを凌駕する迫力があった。また志村氏の人間性のしからしむるものなのだろう。
*
志村氏の作品で私がもっともいいと思うのは、[七人の侍]だ。脇役ということになるが、しかしそれがぴったりとはまっていて申し分ない。皮肉な話だが、世の中の人間には主役たりうる人と、脇役でこそという人とがいるということだろう。誰もが主役をやろうとしても無理であり、それでは映画も生きてこない。難しいものだ。
平凡に生きることは難しい。取り立てて才能のない場合は諦めもつくが、なまじ才能を与えられている人たちは大変だと思う。分を知り、それに満足するというのは難しい。
[生きる」のDVD、お貸しできます。
33
:
FK
:2008/11/17(月) 20:43:07
[包帯クラブ]
これはまず原作の小説を読んでいたので、映画化には期待していた。それと柳楽優弥・主演ということも。
オープニングには参ったが、最後まで見終わってから私なりに解釈できた。ともかくぶつ切りのカットと音楽から始まるのだ。
それと柳楽演じるディノがなぜ妙な関西弁を使うのかも、終わりの頃になって理解できた。なんともけったいな関西弁なので、非常に違和感があるのだが。
相手役のワラは石原さとみという女優。この子はとても可愛く見えるところもあれば平凡に見えるところもあり、やや不思議な感じ。
原作と変わってて気になったのは、この包帯クラブのやり方を非難する人たちが原作では複数いたと思うのだが、それをテンポという女の子一人のしたことにしている点。この点において社会との関わりがやや見えにくいかも。
DVD、お貸しできます。
34
:
FK
:2008/11/18(火) 21:27:15
[神様からひと言]
今日、送られてきて早速、夜、観た。原作は『神様からひと言』(荻原 浩 光文社 2005年 \686)。
なかなか良くできているとは思うが、原作の方がやはり良いような気がする。もちろん映画はこれはこれで十分楽しめるのだが。なかなかお勉強にもなるので授業でも、と。
「神様」とはやはりお客様のようで、これはある食品会社のクレーム処理係のお話。悲喜こもごもというやつ。サラリーマンは辛いよ! 宮仕えは辛いよ! といったところ。
DVD・本、ともにお貸しできます。
35
:
FK
:2008/11/29(土) 17:24:47
2008年11月29日 (土曜) [The ショートフィルムズ/みんな、はじめはコドモだった]
ガーデンズで、朝の一回目で観てきた。さすがに客は少なく十人ほど。新しい映画館なので座席が抜群に良い。ただ空調がどうなってるのか、やや寒かった。一度ぬいだ上着をまた着たのだった。
阪本順治「展望台」・井筒和幸「TO THE FUTURE」・大森一樹「イエスタデイワンスモア」・李相日「タガタメ」・崔洋一「ダイコン」の順に組まれたオムニバス、92分。
阪本順治監督の「展望台」とは大阪の通天閣。その最上階を舞台に、営業終了後に取り残された二人のお話。捨てられた子どもに人生を捨てようとした大人が救われることに。
子どもの感じる絶望の深さというのはどんなものなのだろう。いやいや、子どもというのは本来、楽天的なものなのだ、との声も聞こえてくるが、なかなかそうとは言い切れないだろう。そう簡単には涙も出てこないくらいの思いをしてきてる子どもも少なくないだろう。
しかし、そんな子どもによって大人が救われるのだ。「ずっと生きていてくれるだけで、元気が出る」だったかのセリフを、子どもが最後の別れ際にその男(大人)に投げかけてくる。それは優しさなのだろう。
井筒和幸監督の「TO THE FUTURE」は小学校の教室での教師と生徒とのやり取りがメイン。小学生らしい性の問題も出てくる(女の子のプラジャー・男の子の下腹部の毛)。教師のある種の異常さは何を言わんとしているのか、私には分からなかった。ラストシーンは子どもたちらしい凄絶ないたずら(?)。連想としては[泥の河」では蟹に火を付けるのだが。このシーンだけではないが、これではPTA(教師も保護者も)の反発を買うかも。あと親のクレームの話も。
唯一、瞼が熱くなったのは大森一樹監督の「イエスタデイワンスモア」。すでに題からしてそれを予想させるものだが、もちろんカーペンターズの歌のこともあるだろう。
カタカナの題なのに中味は時代劇。唯一の。浦島太郎が出てきたりと人を喰ったようなお遊びでもある。玉手箱で歳をとってしまう、というアイデアを利用して子どものショウタが母親を助けるために一挙に大人に変身してしまうのだ。ややこしい理由をつけて母親の店を手伝い繁昌させることに。
母親と子どもとの関係を描いてホロリとさせられる。
李相日監督の「タガタメ」はある意味、重い。死神が出てきて面白おかしく(?)もしてあるのだが。そしてラストは夢を実現させてやっているようでもあるのだが。人生の運命の難しさを感じさせられる。また日本社会の「問題」も考えさせられる。
余命三ヶ月の父親(母親はすでに死去)が、39歳のハンディをもつ息子をひとりおいて死ぬわけにいかない、と死神と交渉するのだった。
崔洋一監督の「ダイコン」は、「ダイコン〜ダイニングテーブルのコンテンポラリーは」が原題。これは難しくって、分からなかった。
36
:
渦森六郎
:2008/11/29(土) 17:35:06
「みんな、はじめはコドモだった」、僕も観に行きたかったのです。先を越されるとは…。中間テストが終ってから行ってこようかな。
37
:
FK
:2008/12/10(水) 22:07:39
[男装の麗人]
6日夜、放映された歴史ドラマ(?)。数奇な運命をたどった女性・川島芳子の生涯を描く。――とは月並みな言い方だが、歴史にあるいは中国と日本という国に翻弄された女性というかいち人間を描く。私自身はまだそれほど興味を持っていなかったので詳しくは知らない。これを機に、といったところ。
それはさておき、なぜこのドラマに注目したかというと、ぶっちゃけた話、ということだが、その川島芳子の若い時を黒木メイサが演じているから! [風のガーデン]で初めて見て、その個性にひかれたからだ。結論から言ってこのドラマでの黒木の方が一段と魅力的であった。もちろんそれは露出時間が長いせいもあるのだが、彼女がこのような役柄を好んでいるからかも知れない。
38
:
FK
:2008/12/11(木) 23:15:54
2008年12月11日 (木曜) 「七瀬ふたたび」終了
NHKのドラマ「七瀬ふたたび」が今晩で終わった。「時をかける少女」に続いて筒井康隆の原作を観ることになった。いずれも見終わって心に重いものが残ることとなった。もちろん、いろいろと考えさせられることに。
「いつまでも(ずっと)友だちでいてくれる?」と七瀬がルリに言うセリフがやはり切ない。案の定、それは伏線で、彼女が瀕死状態になり、しかし助かって、ホッとするまもなく七瀬が実は相手の心の声が聞こえてくることを告白すると、「バケモノ」と罵られてしまうという悲劇。超能力者はどうしてバケモノにされてしまうのか。そんなことが気になった。あとまだ、いろいろあるが、まずは原作を読んでみようかと。
最後に、やはりヒロインが魅力的だった。そして彼女を取り巻く脇役も。全10回、観てしまった。
39
:
FK
:2008/12/19(金) 09:01:11
2008年12月19日 金曜 「風のガーデン」終了
とうとう「風のガーデン」が終わってしまいました。このドラマが放映される前に、すでに緒形拳は71歳で10月に亡くなってました。私自身は、彼に格別の思いをもってこのドラマを見ることになったわけではありません。気になる脚本家のホンだったからであり、そこに彼がいて、彼の最後の作品を見ることになったということです。
しかし良かったですね、彼の最後の演技。訥々とゆったりと人生最後を飾るにふさわしいものであったと思います。
18 :FK:2008/10/09(木) 08:59:24 にも書きましたが、彼の作品ですぐ思い出すのは『砂の器』・『鬼畜』そして『八甲田山』ですね。
俳優の死が一時代を画すということがあるとしたら、彼の場合もそういえるかも知れないですね。
40
:
FK
:2008/12/28(日) 23:44:16
『ブレーブストーリー』(宮部みゆき 角川書店 2003年 \5400)
ようやく読了。一年がかりで。なんせ1000ページのもの。
和製ファンタジーというところ。しかしなかなか難しい。
というのは要するに「魔界」やドラゴンが登場しないわけにはいかないからだ。純粋に(?)日本産のアイテムだけで構築するのは難しいということだろう。
また別の面から見ると、ワタルの成長物語。人生はかく、あるのだ、と。
アニメ版で観たほうが早いし分かりよいかも。そのあとこの大部の本に取りかかってもいいかもしれない。
DVD(アニメ)、本ともに手元にありますので、お貸しできます。
41
:
渦森六郎
:2008/12/29(月) 00:53:23
「純粋に(?)日本産のアイテムだけで構築」
そんなファンタジー小説ができたら面白いと思います。僕もちょっと考えてみよう。
42
:
FK
:2008/12/29(月) 19:06:03
2008年12月28日 (日曜) [ラースと、その彼女]LARS AND THE REAL GIRL(2007)
映画評を読んで、観たい映画を決めるのだが、これはその一本。本年最後の映画館での映画鑑賞ということに。
しかし、「参った」のひと言。こんな映画を作れるアメリカ人というのは実に不可解な人たちだ。あの軍事力や経済力をはじめとして偉そうにしているアメリカが、このような人の優しさをいっぱいに描いた映画を作れるのだから。悔しいけど日本映画にはまず望むべくもない。なぜなら日本社会がそこまで成熟してないからだ。(民主主義ではないから、といってもいいかも。それは飛躍しすぎるとしても、)宗教の社会における役割といった面からも見ることができる。
心に傷を負った人は、その傷を癒すためには同程度の、あるいはそれ以上の時間とまわりの力添えがなければならない。ラースを取り巻く人たちのあの無限の優しさは、言葉で表現できないほど素晴らしく、ただもう「参った」としか言いようがない。羨ましくもある。
表面的にはあの実に精巧な「美人」に目を奪われ、あらぬ事を憶測してしまうかもしれないのだが。いやだからこそ、あのラース役のキャラクター、どこまでいってもひたすら真面目な誠実な人柄が、ものを言うのだ。
またしても涙を禁じ得ない映画であった。DVDが発売されたら、みんなにも是非、観てもらいたい映画だ。
41 :渦森六郎:2008/12/29(月) 「純粋に(?)日本産のアイテムだけで構築」そんなファンタジー小説ができたら−−大いに期待します。『ハリーポッター』に負けないのを頑張って!
43
:
FK
:2008/12/30(火) 11:15:04
2008年12月28日 (日曜) [椿三十郎](2007)森田監督版
夜、テレビ放映されていたものを観る。これは言うまでもなく黒澤明監督のそれのリメーク版。
結論から言って、残念。黒澤へのオマージュでもあるのかもしれないが、あまりにも黒澤のをなぞりすぎの感。特に三船敏郎ならぬ織田裕二が演じる椿三十郎は、無理があった。三船の真似(というか、演出の問題だが)をせずに織田らしく料理し直してやればよかったと思う。人の真似・物真似はオリジナルにまず、敵わない。
なお椿三十郎をそれぞれが演じた年齢を調べてみると三船42歳、織田40歳である。若干のずれはあるだろうが。それにしても現実の貫禄の差は如何ともしがたい。その理由はやはり織田が三船をなぞるからだろう。織田のオリジナリティが欲しかった。ただこれは森田芳光監督の指示だったかもしれないので、本人の責に帰するわけにはいかないが。それにしても私はやはりこの監督が合わないということだろう。
2008年12月30日 (火曜)
本日、深夜10chで 2:19--5:17(実質31日)に放映される映画はお薦めです。私が若い頃一度観たきりの映画ですが。[愛と哀しみのボレロ]です。
44
:
FK
:2008/12/30(火) 20:58:59
2008年12月29日 (月曜) [日本沈没]
こちらもリメーク版。小松左京の原作ははたして読んだのかどうかも忘れたくらい古いもの。ヒロインの柴咲コウがなかなか良かったので、彼女のファンにとってはひろいものだろう。それ以外ではやはりB級映画としか言いようがない。実はこのDVD、定価を大幅に下回って売られていたのだが、それもむべなるかな、であった。
手元にありますので、お貸しできます。
2008年12月30日 (火曜) [父と暮せば](2004)
広島の原爆を扱った作品だった(知らなかった)。原作は井上ひさしの戯曲。二人芝居か。宮沢りえが好演、父親役は原田芳雄。
原爆で生き残ってしまった(!)人たちの苦悩を描いたものといえるか。生き残り、さらに自分だけが幸せになっていっていいのかという自問が、自らを苦しめる。まさにトラウマか。
それを解消(?)させるのに、亡き父親が亡霊となって(?)登場し、四日間、二人で対話しながらそのトラウマを解消していく、という筋立てなのだろう。原爆を扱った佳品・佳作として推奨したい。
VHSで手元にありますので、お貸しできます。
45
:
FK
:2009/01/01(木) 23:51:29
2009年 1月 1日 (木曜) [どら平太]
今日のお昼にやってたのを録画。夜、早速観る。市川崑監督・役所広司主演。山本周五郎の短篇『町奉行日記』が原作。やはりカットがあるようで不自然なシークエンスがあり、残念。
しかしあり得ないファンタジーが、やはり描かれている。そう、やはり山本周五郎なのだ。あと殺陣のシーンはやはり少々、無理っぽいおもむき。それと悪役の三人が義理と人情・義侠心からどら平太に屈服(?)していくというのは、なかなか難しいのでは。
いまから原作を読んで、そのあたりを。
46
:
FK
:2009/01/02(金) 19:02:11
2009年 1月 2日 (金曜) [ウォーリー]
久しぶりにディズニーのアニメを。予告で観て、なかなか良さそうと思い。ただ、一緒に行く分には振られて、ひとりで鑑賞!
お正月とはいえ、客の入りはあまり良くない。映画の性質上、子ども連れが目立つ。(ちらっとこの東宝シネマズ西宮OS、つまりガーデンズ内の映画館全体の入りもあまり良くないと、聞こえてきた。真偽の程は分からないが。)そういえば映画のお終いの頃暖房が切られていてか、寒くなってきていた。
要するにこの[ウォーリー]は是々非々、といったところ。つまり予告で期待したほどではなかったけど、お勉強としては結構、考えさせられる。授業で使えるかな、といったところ。ただ大音響ばかりが続くので、この点は疲れた。
予告で見に行こうと思わせられたのは、表情のないロボットなのに、いかにも人間らしい表情を表現していたのからであった。あと細かく言えばきりがないが、29世紀のお話しで、地球はもうボロボロ。宇宙船でみんな宇宙空間に待避しているといった設定。いろいろ無理っぽいところもあるが、「現代社会」の勉強にはオーケーか。何より、惹きつけて見せてくれるので。
47
:
FK
:2009/01/03(土) 22:54:13
2009年 1月 3日 (土曜) [害虫](2002) HARMFUL INSECT
テレビの録画。昨年の「篤姫」の宮崎あおい、というところから放映されたのだろう。彼女の15才の時の作品。彼女はすでに4才から子役としてスタートしていたそうだ。13才の中1を同い年の蒼井優とともに演じていた。二人とも今に比べればずっと子どもっぽい。
正直言ってよく分からない映画であった。現段階では私にその読解力はない。もう一度観たら分かるのかも知れないが、芸術というのは感性の問題で、分からないものはずっと分からないものかもしれない。
あえてひと言いえば、人間存在というものの不可解さ、か。もっと単純に言えば、思春期の女性の心の遍歴・惑い・不安・悲しみ...といったものの混在か。
48
:
FK
:2009/01/05(月) 10:46:03
2009年 1月 4日 (日曜) [K-20 怪人二十面相・伝]
西宮北口ガーデンズの東宝シネマズで観てきました。「高校生友情プライス」の三人と(笑)
実はこの映画、事前にいろいろ何を観に行こうかと調べてたときには、はなからオミットしていたのです。ところが、この映画を、ということで指定されたので(?)なかばあきらめ気味で観に行ったわけです。
ところがところが、どうでしょう。オープニングでいきなり、参ってしまいました。これは凄いことになるな、という予感がしました。そして、そのとおりの展開でした。これは、なかなかの映画でした。スタントもきっちり面白く見せてくれ、松たか子演じるお嬢様も、ありえないけど面白く、一気に最後まで見せてくれました。
ネタバレしないようにオープニングだけ紹介すれば「臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。」と、例の1941年・昭和16年12月8日午前6時のラジオの臨時ニュースが流れるのだが、ただ内容は少し現実の歴史とは違っていて、そこからこの怪人二十面相が登場することになるのだ。
ということで、細かな瑕疵はあるが、授業で使ってみたい気がする。
49
:
FK
:2009/01/05(月) 19:47:50
2009年 1月 5日 (月曜) [大菩薩峠](1960)
昨年、録画しておいたもの。第一部。(第三部完結編まである。)ほぼ半世紀前の市川雷蔵主演の時代物。ニヒルな剣士・机竜之介のお話。原作の小説は、文庫で全20巻に及ぶ中里介山の作品。未完。未読。
この映画は何より「市川雷蔵」という俳優を見る・知るだけでも価値のある作品か。30代でガンで早世したのが惜しまれる。人間の顔は人それぞれで千差万別。そんな中で魅力的に造形されたいい顔を持っている俳優だと思う。ただ素顔はきわめて平凡であった。
50
:
FK
:2009/01/06(火) 22:47:27
2009年 1月 6日 (火曜) [愛と哀しみのボレロ]
2008年12月31日に放映された映画[愛と哀しみのボレロ]をお薦めでも紹介したが、今夜、ようやく観ることができた。1981年の作品であり、日本封切り直前の試写会で観たのが最初だった。まず懐かしい。
何と言っても圧巻はラスト10分ほどのジョルジュ・ドンが踊るラベルのボレロ。途中から女声、そして男声とオーケストラの音に声が重なり盛り上がっていく。このシーンを観るだけでもバレエファンには垂涎ものだろう。
ストーリーは、実は悲しいもの。第二次世界大戦から始まって各地での人間模様・人生模様が描かれていく。戦いが終わって20年。そこまで描かれてきた人たちの子どもたちも含めて映画の主舞台でもあるパリのエッフェル塔が見える場所にユニセフのチャリティーで集まってきて、それぞれが演じ、その関係者たちがそれを見守る。――戦争の悲惨さをまた別の角度から描いたものでもある。戦争反対を声高に言わなくても、それは伝わってくるのだ。
VHSで手元にありますので、お貸しできます。
51
:
FK
:2009/01/07(水) 22:07:49
[おもひでぽろぽろ]
1991年のアニメであった。脚本・監督は高畑勲で、製作プロデューサーが宮崎駿、スタジオジブリの作品。タエ子の表情や夜のシーンなど、アニメ技術のすごさを見せつけられる。
主人公のタエ子は27歳。小学校5年に記憶が帰り、そのシーンが現実の大人のタエ子と入れ替われ立ち替わり現れるように映画は展開していく。
*
人というのは何かにこだわって生きているものなのだと思う。ひとそれぞれで中身は違うにしても。
そしてその処理が上手くできないと、いつまでもそれにかかずらってしまって、今、目の前の人生をきちんと送れなくなってしまうのだろう。
ラストは小学校5年のタエ子と大人のタエ子が列車の中に登場する。もちろん大人のタエ子には小学校5年のタエ子は見えていない。そしてもう見えなくなるのだろう。
大人のタエ子はようやく脱却していくのだ。それがハッピーエンドなのかどうかは、誰にも分からないが。
52
:
FK
:2009/01/11(日) 22:00:06
2009年 1月11日 (日曜) [ぼくの神さま](2000年 米)
録画したままで観てなかった映画。ナチスドイツを批判し指弾する作品は多いが、この映画も基本的にはそう。ただ宗教、キリスト教とユダヤ教とのからみがあり、ユダヤ人であるから苦しみながらもカトリックを装って子どもだけを生き延びさせようというところから話が始まる。
ポーランド、1942年。11歳の男の子・ロメックはヴラデックとトロという男兄弟とその両親の家に預けられ、ここでの彼らとの何ヶ月間が描かれている。幼いトロはあたかも十字架に架かったキリストを彷彿とさせるような役割を演じていくのだが、この点が単なるナチス批判の映画と違うところか。
宗教的な比喩・暗喩などはわからないので、十分にこの映画を理解したことにはならないかもしれないのだが。どんな位置づけになるのか、専門家の意見が欲しいところだ。
それはともかく、反戦映画としてそれだけでも十分だろう。
53
:
渦森六郎
:2009/01/14(水) 23:47:24
『チェ 28歳の革命』
今年はキューバ革命50周年らしい。キューバ革命におけるカストロと並ぶリーダー、チェ・ゲバラを描いた二部作のうちの一つ目だ。
ついに観てきた。この映画の存在を知る少し前から、マイブームが「キューバ革命について調べること」であったので、丁度いいタイミングである。
なかなか良かった。。俳優陣が役にハマっていたし、キューバ革命戦争でゲリラ活動中のチェと、革命後のキューバの大使として国連の会議に出席するチェとをカラーとモノクロの映像で交互に描いてたのが面白かった。理想の革命戦士としてのチェと、政治家としてのチェを対比しているのかもしれない、などと考えてみる。しかしまあ、国連総会でのチェのアメリカ批判は壮快であった。うーん、やはりかっこいい人なのだなあ…などといったことばかり言っていたら、それはなんだかカストロの思うつぼのような気がしないでもない。いかんいかん、疑わねば。英雄ほど、えげつないことをしてるものなのだ。
さて、そんなことを思い、これからも「キューバ革命について調べること」をますます張り切って続けていこうと心に決めつつ、僕は映画館を出たのだった。
54
:
FK
:2009/01/17(土) 20:48:36
2009年 1月17日 (土曜) [ロレンツォのオイル/命の詩](1992)
生徒のAさんからのお薦めで、借りたもの。この題名からして意味不明で、何やら取っつきにくい感じがしたのだが、なんせお薦めだったので。「命の詩」は邦題で付け加えられたもの。
さて最初のシーンはアフリカで、いよいよもって何が始まるのかと思っていたら、舞台はアメリカは首都ワシントンに移っていよいよメインテーマが始まる。ALD(副腎白質ジストロフィー)と呼ばれる難病に罹った男の子ロレンツォとその両親のお話。実話だということ。
ひとりでも病気の人がいると、家族のみんなはそれにかかり切りになり実に大変な状況になる。それはお年寄りや小さな子どもの場合もその程度の差はあるが、それぞれに大変だ。この映画の場合は主として両親であるが、その格闘・奮闘ぶりはとてもとても。
しかし最終的に、親の愛情のなせるわざか、医者ではない素人の彼らが治療への道筋を見つけ出すというわけである。いろいろと考えさせられることはあるが、まずは感じることでいいだろう。そこから各自がどのように行動していくかを考えれば。なお、吹き替えもあったが、英語音声で観た。
55
:
FK
:2009/01/22(木) 13:38:30
2009年 1月22日 木曜 [長生き競争!]
年末にテレビで放映されたものを忘れていて、今日、観た。原作の小説(黒野 伸一 著)の存在すら知らなかった。
予想以上にジーンときた。何度も涙を誘われた。おそらく小説も脚本もいいのだろう。ベタといえばベタなのかもしれないが、分かっていても見事にのせられて感動させられる。内容が76歳の「お年寄り」たちということもあり、私にはよりなじみやすかった(?)ということかもしれない。
二十歳の女の子(石原さとみ)が登場して、狂言回しをするわけだが、やはり若さはいいなとまず率直に思ってしまう。もちろん最後にどんでん返しがあるのだが。そして人と人との出会いの摩訶不思議さ・運命的なもの、そんな人生でのあり得べき様々なことが私の胸に迫ってくる。加齢によるものだけとは思わないが。
そう、人間は生まれ変わり、生まれ変わりして縁のある人たちとの出会い(と別れ)を繰り返していくものなのだ。
なお演ずる老俳優たちはさすが、というべきなのだろう。うまいものだ。佳い作品だったと思う。
56
:
FK
:2009/01/24(土) 19:59:05
2009年 1月24日 (土曜) [誰も守ってくれない] 今日から公開
期待通りか、それ以上の出来の映画だった。オープニングからしてすごいと思わせられ、あまりのことにこちらの心もぐさぐさにされ、あまりのひどさに涙ぐんでしまうのだった。
これまで忘れられていた視点なのだろう。加害者側の家族たちのこと。この映画の場合、容疑者は主人公(妹・志田未来)の兄で、あと父・母。この家族がこの少年による殺人事件によって崩壊し、さらに日本社会の陰湿な社会的制裁を受けていくのだ。
その中にあって容疑者の妹を世間から守っていく、というのをメインに話が展開していく。ネット社会のすさまじさが印象的だ。人間というのは、どこまでも非人間的になれるものだ。もちろんその一方で、人間はやはり人間による優しさや絆(この場合、主として家族ということになる)によって生きていけるのだということを実感させられる。
佐藤浩市と志田未来の演技が、私たちをぐいぐいとその世界に引っ張っていく。佳作といっていいだろう。
57
:
FK
:2009/01/26(月) 23:06:03
2009年 1月26日 (月曜) [そうか、もう君はいないのか]
2009年1月12日月曜よる9:00放映。出演者は城山三郎に田村正和、奥さん・容子に富司純子というキャスティングで。
この絶妙な題名にどうしても惹かれて録画、先ほど見終わった。それにしても先立たれるのは辛い。
ドラマとしては、それほど上出来の部類にはならないかも知れないが、田村も富司も上手いと思う。
「仕事と伴侶」が大事と息子に言わせているシーンがある。その通りだと思う。人生の必須アイテムだろう。仕事は実は他の何でも人それぞれでいいのだが、伴侶はそれしかないだろう。いずれ別れが来るのは分かっているが、そしてその死別のあとは心の中で生き続けさせていくしかすべはないのだが。
葬儀というものは、真に悲しみたい人のためのものではないことが、このドラマでもうかがい知れる。逆にこう考えればいいか。つまり、あまりに悲しみを悲しむと人として死んでしまう、廃人と化してしまうおそれがあるので、その気を紛らわせ真に悲しむことを許さないための思いやりの儀式・形式なのだと。ともかく生き残った・残された人々の為のまさにセレモニーなのだろう。
VHSで手元にありますので、お貸しできます。
58
:
FK
:2009/02/03(火) 21:21:05
2009年 2月 3日 (火曜) [ありふれた奇跡]
毎木曜日夜10時からの連続テレビドラマ。山田太一脚本。
この題名からして、すごいなーと思わせられる。初めて耳にしたときからずっと今も、考え続けている。この言葉の意味を。
なんせ「奇跡」というのはそう簡単にあるものではなく、人生においてもそうそう出会えるものではない。その「奇跡」をつかまえて「ありふれた」とするのだから、これは一体何なのだ! といったところだ。
私たちの日常は、すべて偶然のように見えることの連続であるとも言える。しかし、実はそれらはすべて必然なのだ。そう、必然なのだ。ただそこにほんの少し偶然が混じっているために必然だということを忘れてしまっているのだ。
奇跡もそうだろう。毎日のことは実は奇跡的なすごいことの連続なのに、それと気付かずに当たり前のこと・あって当然のこととして看過しているのだ。つまり「ありふれた」こととして、その重大性や奇跡的であること気がつかないのだ。
[ありふれた奇跡]は、日常生活の中の奇跡を私たちに示唆してくれるのだ。
VHSで手元にありますので、お貸しできます。
59
:
渦森六郎
:2009/02/11(水) 21:40:13
『チェ 39歳別れの手紙』
何かを変える、ということは難しい。なかなか理解もされないもので。
さて、「28歳の革命」に続いて観てきた。チェという人は、おそろしく不器用な人なのだった。本気でラテンアメリカ全土の革命を目指して、自分でわざわざ過酷なボリビアのジャングルに出かけて、うまくいかなくなって、結局殺された。自他ともに認める夢想家なのだった。
映画としては、僕は前作より良かったと思う。終始、静かな悲壮感と迫力に満ちていた。
60
:
FK
:2009/02/12(木) 20:51:25
『チェ 28歳の革命』『チェ 39歳別れの手紙』
http://che.gyao.jp/
観たい気がする。しかし、しんどそう。しかし、観ておかねばならないような。
どうせなら、二本を同時に続けて観れたらいいのに、と。湊川公園のパル・シネマあたりだったらやるかもしれない。それまで待つか。
61
:
FK
:2009/02/19(木) 20:43:46
2009年 2月19日 (木曜) ブラック・ビューティー/黒馬物語(1994) BLACK BEAUTY
日本では未公開の映画をDVDで、準備室で観る。観客三名。
馬好きのAさんのお薦め。たしかに生き生きと走る躍動する馬の姿は美しい!
ストーリーは19世紀末のイギリスでのお話し。イギリス社会というものを垣間見ることが出来る。
内容は感動もの! 実に人間と馬とは相性の良い仲間同士なのだと思わせられる。そういえば犬もそうか。そして「犬馬の労」という言葉もあったな、と。
62
:
FK
:2009/02/23(月) 21:38:25
2009年 2月23日 (月曜) 新しく入手したDVD
[百万円と苦虫女]、[レインマン]、[虹の女神」−− 手元にありますので、お貸しできます。
まもなく入手−−[蟲師]、[ミヨリの森]
あとの入手予定は[おくりびと]は3/20頃、[火垂るの墓]は3月末、[きみの友だち]は4月初め、[イキガミ]は4/25頃。
63
:
FK
:2009/03/03(火) 22:27:39
2009年 3月 3日 (火曜) [ミヨリの森]
漫画原作のアニメ。主人公のミヨリの声を蒼井優がやってるというところから、この映画に着目。たまたまこのDVDが50%引きで販売されていたので、ラッキーとばかりに購入。蒼井優の声だけ、ってのもなかなか良かったですよ。
内容は自然破壊(ダム開発)に対する子どもたちや森の精霊(?)たちの抵抗とでもいえるのかな、そんなお話しに現代的な話題、両親の不和・離婚や学校でのいじめ、恋愛の失敗による自殺などが。また授業で紹介できるかも。
漫画(全3冊)もDVDもお貸しできます。
64
:
FK
:2009/03/04(水) 22:54:09
2009年 3月 4日 (水曜) [座頭市物語](1962年 大映)
勝新太郎の代表作として有名なシリーズの第1作。モノクロ。96分。
あらかじめおことわりの言葉があったが、現在では使用できない用語がいくつか出てくる。差別に関する言葉だが、実は主人公に差別されるもののつらさを吐露させるシーンがあり、これは授業で使えるというか、勉強になる教材になるなと思った。
時代劇は白黒にかぎるなー、と思わせられる。丁寧に作られている。なおこのシリーズは第26作まであるとのこと。人気があった理由が少しわかったような気がする。公開時、私は小学校6年くらいだから、その時は観ることはなかったと思う。今にして、というわけだ。
2009年 3月 4日 (水曜) [亀は意外と速く泳ぐ](2005)
蒼井優がお目当て。テレビで放映されていたのを録画したもの。主演は上野樹里。
内容は、何と言っていいのか分かんないようなもの、私には。とりあえず授業には使えないけど、蒼井優が面白いので。以上。
DVDにダビングしましたので、お貸しできます。
65
:
FK
:2009/03/11(水) 22:37:09
2009年 3月11日 (水曜) [続・座頭市物語]
先週に続き、第二作。京都テレビ。感想は先週同様で、しっかりしたカメラワークで作られているな、と。また音楽もなかなか格好良い! 斎藤一郎という人。
だんだんと面白くなってきて、次の作品を観たくなってきた。昔のは良かった!
66
:
FK
:2009/03/16(月) 20:53:05
2009年 3月16日 (月曜) [チェンジリング](2008) CHANGELING 142分
クリント・イーストウッド監督の作品。映画評を読んで観に行くことに決めたもの。久しぶりの洋画。半信半疑であったが、これまた凄い作品であった。DVD買って、授業でも観てもらいたいくらい。やや長尺ではあるが。
題名の「チェンジリング」はぼんやりと今はやりの「チェンジ」に関係することくらいだろうと思うだけで、調べもせずに映画を観た。観てあらためて疑問が湧いてきて帰ってから調べてみた。いろんな含意があるようだが、例えば「取り替え子」。接尾語の「ling」は人、たとえば愛しい人のことをダーリンdarlingというような。
内容としてはありふれた題材なのかもしれないが(子どもの行方不明事件)、いろいろなことを考えさせてくれる結構ハードな映画であった。母親の愛情・父親の無責任、警察や政治家とその権力行使、精神病院と精神科医の果たす役割(治安維持的側面)、キリスト教会や市民の民主主義的な思考と逞しい行動力、死刑という刑罰の是非(絞首刑のシーンがある)等々。
何からでも勉強になることがあるだろう。なお時代は1930年前後であり、当時の女性の服装と帽子に特色が見られて興味深い。主役を演じるアンジェリーナ・ジョリー(母親クリスティン・コリンズ役)とがっちりした脇役によって良い映画になっていると思う。観ておいていい映画だろう。
67
:
mlk
:2009/03/17(火) 10:12:03
>>66
久々の書き込みです!
チェンジリング私も見ました。
最初は「怖い話系かな〜」と軽い気持ちで友達と見に行ったら、予想外に重たい映画でしたね;(しかもハッピーエンドじゃない…)
これが実際に起きた事件だと知ってビックリし、見終わってから自分で色々調べてみましたが、実際の事件は映画よりも残酷だったみたいでなんだかショック受けました。。
でもいい映画だと思います!
68
:
FK
:2009/03/17(火) 13:36:47
2009年 3月17日 (火曜) [チーム・バチスタの栄光]
先だってテレビから録画しておいたものを観た。早速、あれっと思ったのは女性主人公がいる! つまり田口公平が田口公子に変身、ならぬ設定替えをされていて驚いた。やはり映画的にはこれが面白いのだろう。
心臓手術のシーンはあまり眺めていたくはないが、本物らしく描かれているのだろう。白鳥がキザっぽく描かれているのも仕方がないか。女・田口は小説の主人公である男・田口に似るようにとぼけた・抜けた感じに演出してあるようだ。
ま、医療を話題にしたミステリーという娯楽作品として楽しめるか。
69
:
FK
:2009/03/17(火) 23:14:18
2009年 3月17日 (火曜) [おくりびと]
今日、DVDが到着、早速、観た。なるほど。やはり人の死は厳粛であり、その前には私たちは口を閉ざすしかない。
人の死、それはすなわち生きるとは、との問いでもある。人の死に関わる仕事が不浄とされる理不尽さ。はっきり言って差別の存在。母と子・母と息子、父と子・父と息子との葛藤・相克。夫婦の愛情。性同一障害の本人と家族の大変さ。といったテーマも含まれている。
死んでしまえば終わり、だからさっさと・とっとと遺体を棺桶に入れ、火葬してしまえばいい。そんな考え方もあるだろう。しかし残された者からすれば、死に化粧を施された美しい姿で葬られていくことが幸せなのだ。物理的に処理すればいいというものではないわけだ。
そのように考えていく、この仕事の大切さが分かろうというものだ。こんな仕事をする人たちがいることすら知らなかった。
DVD、お貸しできます。
70
:
FK
:2009/03/19(木) 21:50:53
2009年 3月19日 (木曜) [蟲師]
原作は全10巻の漫画。それを映画化したもの。不思議な世界・想像上の世界を具象化している。漫画の第1巻を読んだだけで、これは何かあると予感させるものがあった。切っ掛けは例によって蒼井優が出演しているところからなのだが(笑)
精神世界のことを私たちに分かりやすくするためには、何らかの具象化が必要なわけだが、仏教なら仏像として具象化するように。それがここでは「蟲」(むし)であったりするわけだ。日本と日本人精神世界を探る試みと言ってもいいのかも知れない。
ともかく、まず観てみることだろう。そして考えること。
DVD、お貸しできます。
2009年 3月19日 (木曜) [白昼堂々](1968年)
こちらは渥美清に惹かれて購入した中古ビデオ。監督は野村芳太郎。知ってる俳優としては、倍賞千恵子・藤岡琢也・有島一郎・田中邦衛・フランキー堺。
ゲラゲラと楽天的に笑える作品ではなく、きわめて社会派的な作品と言えよう。戦後の日本の経済復興をになってきた石炭産業が斜陽化し、庶民の仕事が奪われ社会から排除されていく。そんな中でのやむを得ない生きるための生業がスリなのであった。
結末もハッピーエンドになりようがないのだか、拘置所で看守からタバコをすってみんなで吸うシーンで終わっている。これが精一杯だったろう。
VHSで手元にありますので、お貸しできます。
71
:
FK
:2009/03/20(金) 20:22:46
2009年 3月20日 (金曜) クロード・ルルーシュ[男と女]
彼の代表作[男と女]はすでにVHSで持っていたが、先だってDVDでも見つけ購入。
この作品は1966年のものだが、その37年後のインタビューというものを今日観た(DVDを買った理由)。いくつかなるほどと思うことがあった。将来、この方面を目指す人は知っておくといいだろう。
まず、俳優に脚本は読ませない・見せない。いきなり最後までのストーリーを教えてしまうようなことはしてはいけないと言うのだ。次にカメラリハーサルもしないということ。俳優の演技は最初のものが新鮮でいいものだから、リハーサルをして繰り返しているとダメだというわけだ。一度で撮っていく。どうしても二度三度と撮るなら、撮る角度を変えるとのこと。
もう一つ、カメラというか撮影は自らやるということ。臨機応変にその時のベストを撮るためには自分で撮るのが良いということだ。たしかに私もこれまでそんな疑問は感じていた。つまり監督というのは自ら撮らないことによりカメラマンに分からせるためにリハーサルを何度かしなければならないことにもなるし、また突発的な良い演技を落とさずに写し取ることも難しい。監督自らが撮るのがベスト、というわけだ。
あと撮影シーンのメイキングを観ていると、照明にも気をつかっているのが分かる。最近のはというか、黒澤の映画を念頭に置いているのだが、他の映画ではどうも光の扱い方に無頓着なようで気になる。
別に主役の女優アネーク・エーメのインタビューもあったが、彼女は監督に最初に出会ったときの第一印象が大事だ、と。それが良ければ映画の内容は問わず出演する、と。ファースト・インプレッションですべては決まる。これは私たちもふだん経験するところだ。授業での最初の出会いとか。
VHS・DVD、ともにお貸しできます。
72
:
FK
:2009/03/21(土) 13:38:41
2009年 3月21日 (土曜) [男と女]/2
今日は本編を観た。大昔に観たきりなので、こんなシーンがあったのか、との思いや懐かしさをいっぱい感じながら観たのだった。フランシス・レイの音楽とともに不朽の名作である。
そうかハッピーエンドだったのか。ずいぶん前に観たわけで、すっかり忘れていた。カラーとモノクロが入り交じっているのだが、実は予算の関係からとのこと。基本的に室内はモノクロ、外がカラー。
それにしても俳優というのは、眼の力が大きいとあらためて思わせられる。この女優アネーク・エーメの眼がすごい。そういえば柳楽優弥([誰も知らない])も黒木メイサもそうだ。しかし実は俳優に限らずひとってのは、やはり「目は口ほどにものを言う」というか、そのひとの魅力のほとんどは「眼」がになっているのだなと気がつかされた。
73
:
FK
:2009/03/24(火) 21:54:06
2009年 3月24日 (火曜) [フライ,ダディ,フライ]
エーーっとしか言いようがない! ホント、何でーーっとか、どうしてーーっとかの声が出てしまう。――見終わった時の率直な感想。
さらにHPでこの映画の作品情報を検索してさらに驚いた。なんと脚本は原作者(原作は小説)! あんなにも素晴らしい! 小説がどうしてこんな映画に堕してしまうのか、と嘆息していたのだが。そして脚本家は辛いよな、原作の小説が良すぎるんだ、と思っていたらなんと脚本が原作者によるものとは! 一体どうなってんだ。原作小説の良さはどこにいったんだ、と憤慨するばかり。
最近観た映画で、ここまで期待して観た映画はないのに! あまりの落差にますます憤慨するばかり。(映画を先に観ておけば良かったのかも?!)
いろいろあるけど、私が期待した授業に、というのは、主人公の在日朝鮮人のこと。このことがあまり触れられず、この小説の良さの一つが失われているということ。もちろん、おそらく映画化に際して、激しいメッセージは嫌われたからかもしれない可能性があるのだが。つまり商業ベースにそのようなことはマイナスになるから。
ま、ともあれ、一度ご覧あれ。DVD、お貸ししますので。
74
:
FK
:2009/03/27(金) 21:35:12
2009年 3月27日 (金曜) [火垂るの墓]
DVD [火垂るの墓]が到着しました。夏の映画が今ごろ発売というのは、季節感がずれててちょっときついかも。売れるのかな?
DVD、お貸しできます。
75
:
FK
:2009/03/27(金) 22:07:32
2009年 3月27日 (金曜) [ジョーズ](1975年)
スピルバーグの出世作[ジョーズ]を準備室で、来てくれた二人と一緒に観ました。先だって放映されていたものの録画。大昔に観たものでかなり忘れていた。思い出すシーンもあれば初めて観るようなシーンもあった次第。
映像だけだときれいな海のシーンが、ジョン・ウィリアムズの音楽のおかげでドキドキする危険海域に変身するわけで、あらためて音楽の凄さを思う。
今から見れば、鮫がやや作り物っぽいなとは思いましたが、今でも十分、新鮮さがあると思いました。一度は観ておくといい映画でしょうか。
なおこの後、シリーズ第4作まであるのだが、私は観ていません。どうなのでしょう?
76
:
FK
:2009/04/01(水) 22:09:21
2009年 4月 1日 (水曜) [きみの友だち]
DVD [きみの友だち]が到着しました。去年観た映画が今ごろ発売というのは、感動が薄れてしまってて売れるのかなと心配になる?
DVD、お貸しできます。
77
:
FK
:2009/04/03(金) 20:33:33
2009年 4月 3日 (金曜) [犬と私の10の約束](2008)
テレビで放映されていたもの。さほど期待していたわけではないが、その「10の約束」が面白いなと、新聞広告で見たときに思った。
細切れでビデオを観たのだが(もともとテレビ用にカットされているはずだが)、なかなかベタでも泣かせるな、案外いいな、と思った次第。やはり動物と子役!
DVDに録画してありますので、お貸しできます。
78
:
FK
:2009/04/14(火) 21:59:37
2009/4/14(火)[キャッチ ア ウェーブ]
どんなものかと録画しておいた映画。それを何回か細切れで観、今日見終えた。加藤ローサは何度か見ているのでおなじみ。若者がサーフィンにあこがれ、と同時に女の子に恋して、といった青春もの。ま、軽く楽しんだらいいのだろう。難しいことは言わずに。
79
:
FK
:2009/04/18(土) 18:27:04
2009年 4月18日 (土曜) [スラムドッグ$ミリオネア]
言わずと知れた今年のアカデミー賞受賞作品。どんなもんだろう、と思いつつ横目でにらんでいたが、どの評を見ても「観るべし」といったところなので、ついに屈して(笑)観てきました。
まあまあ、そのド迫力! その凄さ、いやスッゴサ!! もう度肝を抜かれました。これこそが映画なのだと思わせられました(錯覚としても)。もう、もう是非この映画は観に行くべきです、と絶叫調になってしまいます(笑) 授業ででも見せてあげたい、と。
映画には淡々とじっくり良い映画だなと思わせられるものもあれば、そう最近では[ラースとその彼女]なんかですね、この[スラムドッグ$ミリオネア]のように圧倒的な映像(カメラアングルの新鮮さ・凄さ)、圧倒的な音楽、そしてあまりに苛酷なインドの現実が、私たちを二時間、めいっぱい惹きつけます。喉が渇いても飲み物を口にすることも忘れ、あくびをすることもなく(笑)、横にいる人のことも忘れ(笑)スクリーンをひたすら見続けました。
映画というものはこんなにもすごい力を持っているのだと、あらためて思わせられました。そして日本の映画に比し、世界の映画というのはすごいところまでいっているのだな、と。そう、[おくりびと]も吹っ飛んでしまいますね。(もちろん、これにはこれの良さもありますが、B級かな、もしくはA’かな。)
80
:
渦森六郎
:2009/04/18(土) 19:49:16
『フィッシュストーリー』
FK氏大絶賛の「スラムドッグ…」は、まだ観ていないけれども、どうも今から紹介する映画は「スラムドッグ…」の前では吹き飛ばされそうな予感がしなくもないけれども、とりあえず書く。
原作は伊坂幸太郎の同名小説。
ストーリーは説明しづらいのだけれども、つまり、30年以上前に売れないバンドが発表していた幻の曲が巡り巡って、あげくの果てに世界を救う、という話。申しわけない、わかりづらくて。ただ、あんまり書いてしまうと観る時に楽しみがなくなってしまいそうなので。
地味だけど、荒唐無稽でもあり、でも計算されてて、ちゃんとオチがついてて、たのしかった。
81
:
FK
:2009/04/22(水) 22:46:07
2009年 4月22日 (水曜) [ジャンヌ・ダルク](1999) THE MESSENGER: THE STORY OF JOAN OF ARC
ダスティン・ホフマンが出演している映画をこのところ続けて観ているが、その一本で、しかもいずれ世界史の授業でみんなに観てもらうかもしれないので、その準備としてもなのだが、観た。
長い。157分。基本的に暗い。15世紀の人物というか、最終的に19歳で火刑に処されるジャンヌ・ダルクの短い生涯を描いたもの。キリスト教、英仏間の戦争、政治家や軍人・司祭などのキーワードで勉強することになるか。いろいろ考えさせられるが、一つだけ。やはりジャンヌ・ダルクがかわいそう、と。もちろん、もしかしたら本人は幸せな気持ちの中に死んでいったのかも知れないが。
キリスト教のことが分からないと、この映画を本当に理解したことにはならないような気がする。それは永遠に不可能だろうが。
82
:
FK
:2009/04/27(月) 19:25:34
2009年 4月27日 (月曜)
[イキガミ]、本日入手。手元にありますので、お貸しできます。
83
:
FK
:2009/05/06(水) 15:00:04
2009年 5月 6日 (水曜) [名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)]
劇場版を初めて映画館で観た。やはり大画面と大音響は迫力があり、一年遅れ(?)で小さなテレビでちまちまと観ているのとは大違い。ただテレビ版ともマンガ版とも絵が少し違うのはよくあることか。また脚本的にそれってどうなの、というところもあるが、それを言うのは野暮というもの。コナンになりきって(笑)純粋に! 楽しむのが一番。
ということで、楽しんできました。
84
:
FK
:2009/05/13(水) 20:07:24
2009年 5月13日 (水曜) [トロイ]
[トロイ]はブラッド・ピット主演の2004年のアメリカ映画。163分。
伝説上のトロイ戦争を扱ったもの。トロイの木馬でも有名。今から3200年ほど前の歴史の勉強に参考になればと思い。
服装や武器・戦い方などの時代考証が為されていると信じて、授業で観てもらうために。
それにしても戦いというのは実に残酷なものだ。正視に耐えないのだが、がんばって観てもらうしかない。これが人間の歴史なのだから。
VHS・DVD、ともにお貸しできます。ただし、日本語吹き替え版。
85
:
FK
:2009/05/24(日) 22:25:30
2009年 5月24日 (日曜) [恋におちたシェイクスピア]SHAKESPEARE IN LOVE 1998年
ビデオ。名前だけは知っていて観る機会のなかった映画。もう10年前のものとなっていた。コメディタッチのラブストーリーといったところか。
恋はある意味相手を選ばないものだけど、本当にそこまでシェイクスピアがご立派な人で恋される人だったかどうかは、同じ男性として疑問を呈しておきたいところ(笑)
でも女性、アカデミー賞主演女優賞をとっているわけですが、たしかに良い。魅力的だ。やはり私は女性が良い演技をしている映画の方がいいですね。
あと16世紀のイギリスの劇場のことがわかって興味深い。日本の江戸時代のそれと似ているような気がする。まず場所としては狭くてまさしく言葉通りのかぶりつきもそれと理解できる。1階の舞台のすぐ前の観客席は土の床で(まさしくグランド・フロア)客は立ったまま、つまり立ち見席。だからイギリスでは1階のことをグランド・フロアと呼び、2階がファースト・フロアという言い方になるのかな、と思った。
あと女性が出演できないというのも共通している。日本では野郎歌舞伎だが、あちらでも男が女役を、ということ。やはり風紀紊乱てなことの理由のようだ。権力からしたら劇というのは劇薬にもなりうるからなのか?!
86
:
FK
:2009/05/29(金) 22:37:48
2009年 5月29日 (金曜) [地上(ここ)より永遠に](1953) FROM HERE TO ETERNITY
なんともすごい題名の映画。だから私でもこの映画の存在だけは知っていた。初めて今夜DVDで観た次第。モノクロ。アカデミー賞受賞作品でもあるが、ま、私からすればB級映画か。
1941年のハワイが舞台。アメリカ陸軍の宣伝映画の趣きもある。ラスト10分くらいのところで、日本軍による真珠湾攻撃がある。
観ていて気になるのは、やたらタバコを吸うこと。昔の映画ほどそのようで、もしかしたら煙草会社が映画制作にかんでいるのかとも思う。脚本的にいくつかそうかなと思うところも私的にはあるが、基本は娯楽、エンタテーメントだから、そうめくじらたてずに楽しめばいいのかもしれない。それなりに人生の勉強にもなることだし。
なお何が永遠なのかは観る人によって違うだろう。愛なのか、軍隊なのか、国家なのか。そもそも永遠なんて可能なことだろうか、とか。やはり小うるさく考えてしまう。
87
:
FK
:2009/06/05(金) 17:51:39
2009年 6月 5日 (金曜) [ティファニーで朝食を] BREAKFAST AT TIFFANY'S (1961年)
言うまでもなくオードリー・ヘプバーンの作品。監督はブレイク・エドワーズ、原作はトルーマン・カポーティ。音楽はヘンリー・マンシーニであり、挿入歌「ムーン・リバー」があまりにも有名。
これまで有名な宝石店ティファニーのお店の前で彼女がパンを食べるシーンは観たことがあるにはあったのだが。実際はコーヒー(だろう)も飲んでいた。そして後半で実際にお店の中にお客として入っていくシーンも。その時の応対した男性店員は、もちろん俳優であろうが、そんなことからこのお店が日本ででも有名になったのだろう。
内容はいろいろあるが、ネコが出てくるのと、月並みだが男女の愛情についてのやりとりではフムフムと思わせられる。単語としては 「belong to」何々と言っていたようだが、人間というのは相手やまわりの人との関係性の中で生きているのであるから、そのなかで帰属するというか、属する、あるいは服属する的なことも大なり小なりはあるものだ。それらをすべて否定していては生きていけない。彼らにあっては、それは愛しあっていけない、ともに生活していけない、ということになるか。
B級映画であったとしても、私はオードリの魅力と、ネコの役者ぶりと、音楽と題名の素晴らしさで、後のことはもうすべて捨て去っても、それでいいなと思ってしまう。そんな映画であった。
88
:
FK
:2009/06/06(土) 23:00:03
2009年 6月 6日 (土曜) [長い長い殺人](2007年)
宮部みゆきの原作。宮部は好きなので全部読んでいる。もっともSFっぽいものは、苦手なのだが。映画としてはまずまずのものか。
さて、この[長い長い殺人]、趣向が面白いというか奇抜。つまり登場人物の持っている財布が「語る」のである。たしかに財布というのは、それを持つ人と常に行動をともにし、ある意味すべてをお見通しなわけだ。その口(?)からしゃべらせるというのは、なかなかのもの。もしかしたら世界のミステリーにはすでにそんな例があるのかも知れないが。
俳優では、「キャットストリート」の谷村美月、「怪人二十面相伝」の仲村トオルが出ていて懐かしかった(?)
原作はどうだったか、また読み返してみたい。
89
:
渦森六郎
:2009/06/13(土) 15:39:56
『グラン・トリノ』
前々から行きたいと思っていて、ついに観てきた。クリント・イーストウッド監督、主演の最新作だ。
主人公は、朝鮮戦争帰りの元兵士の老人。妻に先立たれ、息子夫婦からは煙たがられる、孤独で偏屈なじいさんである。そんな彼が、ある日、不良グループにからまれていた隣家の姉弟を助ける。この姉弟は、タイや中国あたりに住む、モン族という部族の出身。そして、老人と姉弟の交流がはじまるのだが…。
もう、とにかく観てくれ!としか言いようがない。イーストウッドさん、すごい。こういうことができてしまうのが、アメリカ映画の良い所なんだろうな、と思う。元兵士の老人や、モン族という部族が抱える血なまぐさい歴史的な背景なんかも、しっかりと織り込まれていて、でも過剰になっていない。この映画に登場する何もかもに意味があり、それらが絶妙なバランスで動いている。
まあ、書くのはこのくらいにしておこう。こんな紹介文読んでるより、何も言わずに観たほうが早い。こういう作品を自分の手で創って、世に送り出すことができるのなら、僕は悪魔とだって取引してもいいとさえ思ったのだった。
90
:
FK
:2009/06/13(土) 21:50:14
2009年 6月13日 (土曜) [グラン・トリノ]
観に行こうと思っていたのですが、逃してしまった映画です。そこまで言われると、観に行かないわけにはいきませんね(笑)
クリント・イーストウッド監督といえば、[チェンジリング]のDVDが7月に出るようです、購入予定。
91
:
FK
:2009/07/18(土) 16:01:33
2009/7/18(土)[シェルブールの雨傘]
調べてみると1973年に観ている。もちろん映画館で。今回はその懐かしいのをDVDで。
やはり、こんなのだったのか、との思いをする箇所が幾つもある。というかほとんど覚えてなかったという方が正確だろう。
くどくどしたシーンは少なく、さっさと場面を切り替えていく。テンポが良いということか。結ばれなかった恋人との再会のラストシーンぐらいもっと情緒纒綿とやってくれてもよさそうなものなのに、と思うくらいあっさりしている。あの有名なメロディラインがやや大きめに流されていたのが救いか。
全編、音楽に乗せてセリフが語られるという形式は、新鮮であり面白かったことを、今でも思い出す。主演のドヌーブが思っていたほどには、この映画では美人ではなかったことにも気付かされた。少々、落胆した次第(?) 最初は16歳の少女役でスタートし、ラストの再会の場面でも22歳くらいの人妻の役なのだが、当時彼女の実年齢は18歳くらい。そんなこともあるかもしれない。
いずれにせよ、青春時代に感動して観た映画。それを三十数年後に観るのだ。最初の感動がそのまま残っている方が不思議なのだ。
遠い昔、ラストシーンは、おそらく涙いっぱいに観たことだろう。23歳だった。
DVD、お貸しできます。
92
:
FK
:2009/08/10(月) 23:21:44
2009年 8月10日 (月曜) [最後の赤紙配達人]
今夜、9時からのドラマ[最後の赤紙配達人]をいま見終わった。どんなものか一応チェックしておこうという程度で観だしたのだが、良くできた作品であった。
主人公の25歳から40歳までを吉岡秀隆が演じており、いい感じであった。ドラマの合間に実写フィルムや、村人のそれぞれの今や、亡き人の残された家族たちが登場して効果的であった。そしてなんと、最後の最後に、この主人公西邑(にしむら)氏104歳が登場するのだ!
ドラマでは召集に関する資料を燃やせと言われてやや悩むシーンが描かれているが、最後の本人へのインタビューでは確信的に残さねば、という姿勢であったことがうかがえた。大したものだ。大した人がいたものだ。内容は悲惨でしんどいのだが、見終わってさわやかでもあった。ぜひ授業で使いたいが、録画できていない、残念(別の番組とバッティングしていたので)。
93
:
FK
:2009/08/29(土) 21:10:54
2009/8/29(土)[明日への遺言」
大岡昇平の『ながい旅』を原作とする映画。蒼井優もチョイ役で。
原作は未読なので、映画だけの感想になる。内容的には良くて、戦争に反対する映画の一つとして位置づけられる佳作であろう。
市ヶ谷でのA級戦犯の裁判に比べ、ややかげに隠れた感のある横浜でのBC級戦犯裁判であった。米軍による無差別爆弾攻撃とそれを実行した兵の扱い。すなわち捕虜になるのか、戦犯になるのか。そんなやりとりが展開されていくさまは、丁々発止の裁判ものをみる思いであった。ただあくまでも「政治的」ではあるが。
軍人・中将である岡田資(たすく)のセリフは必ずしも分かりよいものではなく、若い人たちに、あるいは戦争についての知識をあまり持たない場合、その専門用語になんら解説はない訳なので、分かりよいとはいいにくい。
多くの司令官など軍人の中での高官たちが、その責任を回避すべく自己弁護と部下への責任転嫁をしていく中で、そのあまりにまともな責任を取る、という行動をとった彼がぎゃくに脚光を浴びるのだ。もしそうだとしたら、何とも悲しい話しではある。
主人公には藤田まことがキャスティングされている。熱演なのだろうが、不満もある。まず年齢だ。この裁判時、中将・岡田は58歳、そして絞首刑は59歳である。つまり俳優・藤田は歳がいきすぎているのだ(撮影時、74歳)。若々しい岡田の写真(何歳時のものかは不明だが)を見るにつけ、ややギャップを感じる。つまり裁判時、本当はもっと精悍な姿であったのではないかと推測され、藤田の場合はやや枯れた悟りきった感じに演出されているわけだ。それは小泉監督の狙いなのだろうが。
あと発声・抑揚が私にはすこし違和感を感じさせた。岡田は鳥取生まれで、陸軍大学を出ているのと、軍人であることからその特有の話し方があったかもしれない。藤田は東京生まれではあるが、京都育ち。脚本のせいもあるが、不自然を感じるところがあった。たたメイキングを観ていると、藤田のは長台詞で大変であったようで、その点考慮すべきなのかもしれない。概して、証人としての台詞なので長くなるようで、蒼井優も田中好子もそうで、蒼井はNGシーンも紹介されていた。
あと途中で気がついて驚いたのは、どうも似ていると思っていたら、やはりそうだったということ。つまり検事役の俳優が実はあのマックィーンの息子だったのだ。実によく似ている。あと、弁護士役も格好いい。つまり裁判長を含めたこの三人のキャスティングはなかなか見事だった。最後に忘れてならないのは岡田の妻を演じた富司純子である。上手いものだ。前作[フラガール]でもそうであった。
DVD、お貸しできます。
94
:
FK
:2009/09/10(木) 19:36:59
2009年 9月10日 (木曜) [ジュノ JUNO ](2007年 アメリカ)
生徒さんから借りた映画DVD。16歳の女子高生ジュノが妊娠・出産。その間、中絶・養子縁組などの可能性もあったりして、ある意味ドタバタ。たしかに映画の紹介HPには「ジャンル コメディ/ドラマ/青春 」とあった。
男性(男子)には身につまされる思いも? ただ女の子は強い。やはり妊娠・出産という難事業をこなす女性は! ま、そんな言い方をすると叱られるかも知れないが。
95
:
FK
:2009/09/15(火) 20:31:21
2009年 9月14日 (月曜) [始皇帝暗殺]
世界史の教材の一つとして、この映画を観た。授業に使えるところはないか、という観点からばかり観ているものだから、結局、この映画は何を言わんとしていたのかがつかめなかったという情けない次第。もちろん、時間の制約で(準備室で観たので)細切れで観たせいもある。
それでも何とか、秦の始皇帝がその夢(?)を語り、隣国・韓を攻めるシーンにいたる7分間ぐらいが授業で使えそうなのが分かった。全部で146分もあったのだが。
しかし、人の命の軽いこと! どんどん人が殺されていく。こういうのは、たとえ映画であっても、見るに堪えないものだ。現実はもっと凄まじかっただろうし。やはり歴史の勉強は大変だ。
96
:
FK
:2009/09/18(金) 20:06:31
2009年 9月17日 (木曜) [ボンベイ](1995年 141分)
インド映画。1992年から翌年にかけてのヒンドゥー教とイスラーム教の宗教対立からくる暴動事件を、若い二人の恋愛・結婚とからめて描く。
やはりインドの映画というのは、歌と踊りがつきものなのだと思わせられる。主人公たちも歌い踊る。魅力的だ。
それにしても惨いものだ。宗教の違いからくる結婚の禁止から始まり、殺しあいまで。主人公がみんな同じインド人ではないか、と叫び事態を収拾していくのだが。また真の敵は別におり(政治家)であり、宗教がそれにからみ憎悪が増幅されていく、と説得するのだが。
最終的には「同じインド人」というナショナリズムに頼って解決するしかないのだろう。宗教上の対立は深刻だ。
VHS・DVD、ともにお貸しできます。
97
:
FK
:2009/09/20(日) 20:49:39
2009年 9月20日 (日曜) [千と千尋の神隠し]
厳密に言うとラストまできちんと観たのは今回、レンタルDVDで初めて。というのも前回テレビ放映されたときはラストの15分をテープ切れで観られなかったから。
ということで、「顔なし」(No Face)のこともお終いにはきちんとしてあったのでホッとした。「顔なし」のキャラは、現社や倫理の授業でも使いたいような良い内容を含んでいる。なぜ彼(おそらく?)が金(きん)をばらまいたり、食い散らかしたりするのか。そんなところが、比喩的にある意味分かりやすく描いてある。人は人によってのみ満たされるのだ、との思いをあらたにする。
あと千尋がどこまでも優しい、というのもなかなかのもの。人間てそんなに他人に対してずっと優しくあれるものではないのだから。それは自分に失うものがないからできるのだろうか。何かを得ようとは思わないからできるのだろうか。
ファンタジーとしての他の作品と比較すると、その入り口はこの作品の場合はトンネルであったこと。『ナルニア国ものがたり』だと衣装ダンスというわけだ。あと名前に関しては『ゲド戦記』を思い出させる。白い竜は『ネバーエンディングストーリー』等々。
98
:
FK
:2009/09/29(火) 20:00:04
[蟲師]アニメ版 Vol.1
実写版はすでに観ているが、アニメ版は高くて手が出ず、このほどようやくレンタルショップで見つけて。アニメは高いとは聞いていたが、DVD 一枚にたったの2話。50分。これはひどい。too expensive である。
幸い中身は良くて、全部観たいと思った次第なのだが。
99
:
FK
:2009/10/26(月) 20:59:39
2009年10月26日 (月曜) [ザ・メッセージ]
授業用の映画[ザ・メッセージ]をようやく見終わりました。3時間の大作で、ほとんど唯一のマホメットを描いた映画。偶像崇拝は禁じられているので、映画の中にも彼の姿は一切出てこない。俳優たちの視線の先に彼がいるということで、話が進行している。最後のメッカに入場していくシーンでは、らくだに乗っているかのようなカメラアングルがとられていた。
さて3時間にわたって観て、授業で使えそうなところを選択したのだが、結局一コマ目の授業では、オープニングとエンディングのそれぞれ15分あまりずつを採用。次の時間には、迫害されるシーンと戦闘シーンなどを。
イスラームについてかなり詳しく丁寧に説明がなされていると思う。ただ、それでもやはり宗教というのは難しい。所詮、学んで分かる、というものではないのかもしれない。つまり信仰してみないと分からないのかも。
それでも歴史の学習なので、どうしてイスラーム国家がその版図を広げることができたのか、その理由を授業でみんなと考えたいと思ってる。
VHS・DVD、ともにお貸しできます。
100
:
FK
:2009/10/27(火) 22:38:34
2009年10月27日 (火曜) 「楽屋―流れさるものはやがてなつかしき―」(1977年)
戯曲「楽屋」をDVDでまた観た。蒼井優が出ている。現代の戯曲、それも清水邦夫のそれはなかなかに難解で、一度観ただけでは結局何も分からなかった。誤解していた。今回二度目で、彼女たちがどうやら幽霊(?)で、実在の役者は一人っきりだったような、そんなことが分かってきた。最後、大団円はチェーホフの「三人姉妹」そのままの台詞で終わっているのではないかと思う。未確認だが。
チェーホフの「三人姉妹」「桜の園」は二十代の頃、劇場に足を運んで観たものだ。懐かしい。
DVD、お貸しできます。
101
:
FK
:2009/10/28(水) 20:23:32
2009年10月28日 (水曜) [クルセイダーズ]
十字軍を扱った映画。教科書の、あるいは歴史書の字面で、その所業の負の側面を知ってはいても、それはとても実感の湧いてくるものではない。その点、絵空事ではあってもそれなりに時代考証がなされて作られた映像、つまり映画はそれなりに役立つものだ。私たちの想像力を助けてくれるものだ。
ヨーロッパの歴史はキリスト教なしには語れず、必ずそのあたりの勉強をせざるを得ないわけだが、それはなかなかに辛いものだ。戦闘シーンや庶民への暴行略奪シーンは、正視できるものではない。しかし、歴史の現実を知り、そして思い知るためにも、この手の学習は欠かせないのだ。
全編2時間ほどの中から、授業では4,5カ所、トータル20分ほどを観てもらうことにする。
DVD・VHS、お貸しできます。
102
:
FK
:2009/10/30(金) 20:50:26
2009年10月30日 (金曜) [アイ・ロボット]
ロボットを異人種や異質な人びと・異端者・反政府の立場の人などと置き換えて考えてみるといい。ロボットいや彼らの存在は、実に不気味であり、到底フレンドリーな隣人と考えることはできないだろう。不信と恐怖の念が横溢し、冷静な判断ができず、社会は大混乱に陥るかも知れない。――そんな怖さを感じさせる映画であった。観ておいていい映画だろう。
DVD、お貸しできます。
103
:
FK
:2009/11/18(水) 20:00:43
2009年11月18日 (水曜) [小公女セイラ]
いま放映されているテレビドラマでは、[ドクター・ハウス]、[相棒]、そしてこの[小公女セイラ]を欠かさず観ている。
一度、このドラマについて考えておきたいと思いながら、今日まで来てしまったのだが、ついいましがた今週分(第五話 11月14日 土曜)を見終わったばかり。そこで少々、感想などを。
*
脚本家の岡田惠和(おかだよしかず)氏のセリフの面白さは、特に院長(樋口可南子)とその妹(斉藤由貴)とのやりとりに顕著で、とっちめられた妹が部屋に戻ってアルコールとともにくだをまくシーンは毎回の定番のようで楽しめる。それは結局、深刻な内容とのバランスをとる役割を果たしているわけだが、あらためてこのドラマ[小公女セイラ]が喜劇であることを思い出させてくれるようだ。
これを喜劇と言うには異論があるだろう。たとえば11月13日(金)付、朝日新聞夕刊・「記者座談会 ホンネdeドラマ」では、まず見出しに「純真さにイラッ」。4人の記者が話しているのだが、トップを切った女性記者がこの「イラッ」とくる、と。
喜劇を観てイラッとくる人は珍しいので、この記者には、この[小公女セイラ]を喜劇として観ることは不可能なのだろう。つづけて言う。「(記者自身が)きっと大人になって、「誰にでも親切で寛容」というのは、自己評価の高さ、すべての者を足元に見下す傲慢さの裏返しに他ならないことにきづいてしまったからでしょう」、と。
私など、わーっ、すごい読み方・見方があるものだと驚かされる。人間に対する見方がシビアすぎて・否定的すぎて、ついていけない。
*
続いて二人目の女性記者は、「脚本の岡田惠和は意図的に「正義感や純真さのいやらしさ」を浮かび上がらせようとしていると思う。でも、それがどこに行こうとしているのかが、よくわからない」。
私は、これまた妙な読み取り方だな、と違和感を感じてしまう。そもそも脚本家は、その意図をペラペラしゃべったりはしないものだから、観る方がドラマを観て、自分で考えるしかないものだ。当然、良くも悪くも誤読の余地があるわけだ。
そもそも「正義感や純真さ」そのものが「いやらし」い、のではない。認識の相違か。さらに「それがどこに行こうとしているのか」など、妙な話で、脚本家はアジテーターでも宗教家でもないのだ。原作を読み取り、それをドラマとして実現させていくのが使命なのであって、それ以上でも以下でもない、ということだ。思想色の強い宣伝映画が、いかに芸術からかけ離れたものになるかは周知のことだ。
*
次に再び最初の女性記者が、「セイラをいじめればいじめるほど自分が見下されている気がして」「むしろ傷つけられているのは学院長らの方にも見える。現代に、「小公女」を具現化するには、こんな無自覚的確信犯の“悪魔”にするしかなかったのかもしれない」とまで、言いつのる。
いじめる側の方が、その社会的地位は別としても、精神的・人間的に劣位にあるのは自明のことであり、その裏返しとしての攻撃性がいじめとして表出してくるわけだ。にもかかわらず「むしろ傷つけられているのは」という記者の考えには、賛成できるものではない。
原作を私が読んだのは11才の折り、48年前のことなので、今は詳細は知らない。ただ原作は原作であり、ドラマは今、現代のドラマなのだから、もっと素直に・率直にこのドラマを観る方がいいのではないかと思う。どうしてセイラが悪魔となって周囲の人たちに処していかねばならないのか。動機がないように思うが。
*
ついでようやく男性記者が発言する。「ほぼ同意だけど、そんな見方をするのは、自分の根性がひねくれているからかも......と思わないでもない。」とやや引いた見方を述べる。私もその通り、ひねくれているよ、と言いたいところだ。その後「「どんな境遇でもがんばる」セイラの理想論を否定するようなドラマにはできないわけだから」と。
いまは戦時中でもなければ、「おしん」の時代でもないのに、時代に鋭敏な感覚を持つ脚本家がそんな陳腐なお題目を唱えるものだろうか。かりに「どんな境遇でもがんばる」ことを訴えたいドラマだったとしても、それはそもそも「理想論」なのかどうか。
そんな難しい話ではない。現実の世界では、みんなどんな境遇ででもがんばっているのだ。セイラだけを理想化するほどの、甘い現実ではないのだ。
*
楽しんで観てきていたのに、こんな記事を読んで水を差された次第。それなら、いよいよ授業(現社か倫理など)で取り上げて、生徒たちと議論してみようか、という気になった。
104
:
FK
:2009/12/05(土) 21:55:51
2009年12月 5日 (土曜) [蒼き狼 チンギス・ハーン]
1998年の中国映画で、日本では未公開のもの。授業用に中古のVHS、日本語吹替版を購入(110分)。
知ってるようで知らなかった(私だけかもしれないが)テムジンの半生を描いたもの。その不思議な・奇跡的な出生から(その前に母親となる人が父・エスゲイによって略奪され、それが後の伏線ともなっている)、人質にやられ、裏切りによる父の暗殺、結果として一族からの追放の後、成長したテムジンが復讐して軍旗を奪い返し、しかし、より強大な勢力(メルキト族)に妻を奪われ、母親を人質にして兵を義兄弟から借り、一年余の後、メルキト族を攻撃しこれを滅ぼし、妻も奪い返すが.....まもなく、その兵を借りた義兄弟が以前から交流のあったタタール族とともにテムジンを攻めてくる。これに勝利したテムジンは1206年モンゴルを統一し、チンギス・ハーンと呼ばれるようになった、とここまでの映画である。
何もかもが珍しかった。風景・服装・髪型・パオ・ものの考え方等々。戦闘シーンは刀や槍・弓などが見られた。基本的には肉弾戦のようだった。もっともあとでウィキペディアを見ると、まずは弓からのようだ。
それにしても自然も何もかもが苛酷なようだ。そんな中から生まれたモンゴル帝国、まだまだ分からないことだらけだ。
VHSで手元にありますので、お貸しできます。
105
:
FK
:2009/12/14(月) 23:27:57
2009年12月14日 (月曜) [アルセーヌ・ルパン]
ルパンの生い立ちからその死(?)までを。
小学生の折にルパンものを読んだ以来なので、こんな内容だったのかな、というのが正直な感想。
そんな簡単に宝石が盗めるのかな、とか、なぜそんなにまで宝石に魅了されるのかな、などと思った。
ルパンとは何か? あらためて小説を読んでいきたいと思った次第。
DVD、お貸しできます。
106
:
FK
:2009/12/17(木) 21:50:38
2009年12月17日 (木曜) [アンドリューNDR114](1999年)
アイザック・アシモフ原作、ロビン・ウィリアムズ主演のアメリカ映画。原題は BICENTENNIAL MAN。200歳の人間(男)、といったところか。今夜、サンテレビで放映。以前にもやってたような気がするが、今回初めて観る。
ロボットを描くことによって、人間とは何か、人間が人間たり得る根拠は何か。愛とは何か、人を愛するということはどんなことなのか。長生きあるいはその延長上にある不老不死は、果たしてしあわせなのかどうか。そして結局はその死までの限られた時間を精一杯生きるところに、人間としての生がある、等々。
授業の倫理とか現社で取り上げたいようなテーマの数々で、考える素材を提供してくれる良い映画であった。
107
:
FK
:2009/12/22(火) 20:55:04
2009年12月22日 (火曜) [エリザベス]
1998年のイギリス映画、124分。エリザベスには「宗教上のささいな違い」と言わせているが、カトリックとプロテスタントとの違いはどうなのだろう。分からない、知りたいと思う。ともかく、表面的にはその宗教上の理由での殺し合いということにもなるのだ。[王妃マルゴ]ではそれが大虐殺のシーンとして描かれているが、このエリザベスではメアリー女王がプロテスタントの信者を火刑に処しているシーンが冒頭に出てくる。彼女はずいぶん火刑にしているようだ。ところが悪性腫瘍によってまもなく死亡、ただその時にエリザベスはロンドン塔に幽閉されていたというわけで、なかなか危うい環境にあったわけだ。そして何よりのポイントは彼女エリザベスはプロテスタントであったということ。
彼女の有名な言葉「私は英国と結婚した」はこの映画のラストに置かれている。
VHSで手元にありますので、お貸しできます。
108
:
FK
:2009/12/26(土) 20:07:55
2009年12月26日 (土曜) [クロムウェル]
民主主義の歴史はイギリスから、とは知ってはいたが、その経緯については無知だった。この映画はそのプロセスを教えてくれる。
議会が国王の専権を押さえる、というだけでも凄いことなのに、さらに国政を担当していくことになるのだが、まずは国王にそれを認めさせるまでの歴史がまさに内戦として闘われるのだ。結果として国家に対する反逆罪で国王を斬首するにいたるわけだ。国王といえども国家のためには屈せざるを得ないわけだ。
国王に対する裁判では、国王であるチャールズが王権神授説を述べるくだりが出てくる。なるほど、やはりそういうことかと思った。しかし、議会の要請による法廷は死刑判決を下すわけだ。違反すれば国王といえども、というところだ。凄まじい歴史である。
ただ、その国王処刑の後、民意を代表しない議会は腐敗していき、ついに再びクロムウェルが立ち上がり議会を解散する。つまり、当時の議会は民による選挙ではなかったわけで、あらためて民衆から選ばれた代表からなる議会の重要性が認識される。
彼、クロムウェル自身はもはや国王を必要としない共和制的な考え方をしていたようであるが、一般はやはり「国王」という利用価値のある存在を求めるようである。クロムウェルの死後三年にして、国王が「復活」する。140分。
DVD、お貸しできます。
109
:
FK
:2009/12/30(水) 00:03:01
2009年12月29日 (火曜) [ガリレオ]
昨日、今日とテレビで再放送されていた[ガリレオ]を観る。東野圭吾の小説として『容疑者Xの献身』を読んだのが[ガリレオ]との出会いので初めで、当然これまで放映されたときには観ていなかった。生徒さんから貸してもらい、いくつか観たのだが、この二日で10時間くらい観たか。
なかなか魅力的な主人公で、頭脳の明晰さと世間離れしているところとが、相まって面白く観ることができるのだろう。普段、なかなか論理的に考えるということに慣れてない私たちにとって、良い刺激ともなるのだろう。
それが物理なのか何なのか分からなくても、ミステリーの謎解きの主要素が科学的に説明できること、というわけだ。理論的な説明には、煙に巻かれるだけだけど、単純に楽しむことができる。
110
:
FK
:2009/12/30(水) 22:50:36
2009年12月30日 (水曜) [サンセット大通り](Sunset Boulevard )
1950年のアメリカ映画。ビリー・ワイルダー監督の作品。110分。主演はグロリア・スワンソン。往年の大女優、という知識だけでこれまで観たことはなかった。こんな人だったのか、といったところ。相手役の売れない脚本家は若かりし頃のウィリアム・ホールデン。
ストーリーはよくある話、ということになるか。かつてのスタートしての名声にその後の生涯も引きずられていく大スターの哀感と悲惨を描く。映画の結末・ラストシーンから最初に戻ってその脚本家がナレーションしながら、映画を進行させていくという趣向。
それにしても、映画の中身とスワンソンを取り巻くそれまでの現実をシンクロさせていて微妙な趣がある。
なおこのDVDは著作権切れのため500円。惜しむらくは映画字幕がないことだ。
111
:
FK
:2009/12/31(木) 14:09:30
2009年12月31日 (木曜) [グラン・トリノ](GRAN TORINO 2008年)
117分、アメリカ映画。監督・主演クリント・イーストウッド。
グラン・トリノとは、車の名前だった。たしかになかなか格好いい。これを見て、かつての日産のセレステという車を思い出した。私のなかでスタイリングの良い車は少ない。日本車では他にいすず・ピアッツァ、外国車ではシトロエン・BX、そしてメルセデス・ベンツ190。この映画のDVDの特典に過去のアメリカ車が紹介されていたので、私も思いついたことを。
さて中身はなかなかシリアスであった。日常茶飯のトラブルだといえば、その通りなのだが。小さなトラブルでもその解決は難しい。まして暴力が介在してくるので。
人を殺すこと、この苦悩を朝鮮戦争以来もったまま生きてきた主人公。それと対比されるような若者たちは、ラオスあたりの民族である「モン族」。彼らがもう一方の主人公である(彼らの親たちはベトナム戦争に参加しているだろう)。
オープニングは妻の葬儀のシーンで、老いた主人公は一匹の老犬との一人暮らしになる。二人の息子とその家族との間の溝は大きい。さらに近所づきあいも、隣家がこのモン族の家族であり、仲がいいわけではない。こんな状況から隣家の人たちとのトラブルやら交流が始まっていく。
そういうエンディングがあるのか。あるいは、そういうエンディングしかなかったのか、と思わせられる。[チェンジリング]とはまた違った趣のある映画であった。
DVD、お貸しできます。
112
:
FK
:2010/01/01(金) 22:49:26
2010年 1月 1日 (金曜) [ベンジャミン・バトン 数奇な人生](THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON 2008年)
167分! 長い。もう少しくらいカットできなかったのか、とまずそんな感想を持った。それはともかく、このF・スコット・フィッツジェラルドの原作は1920年代のものというから驚かされる。私は山田太一の『飛ぶ夢をしばらく見ない』の映画化されたものを観て知っていたので、このアイデアはけっして突飛なものではなかった。いちいち、アラを言えばきりがないが、赤ちゃんから始まり、赤ちゃんに終わるというところは、なかなか徹底している。
さてそんな奇抜な(?)ことよりも、映画そのものはひとりの人生を描いたものであり、この点ではそう突飛でも奇抜でもないだろう。
こんなあり得ない設定を創作することにより、ふつうなら見えてこないものが見えてくる。気付かないこと・見過ごされることが、気付かれ見過ごされない。そんないい点がある。
DVD、お貸しできます。
113
:
FK
:2010/01/02(土) 23:39:24
2010年 1月 2日 (土曜) [深夜の告白]( DOUBLE INDEMNITY )
1950年の[サンセット大通り]同様、ビリー・ワイルダー監督のアメリカ映画、こちらが先で1944年の作品。106分。やはりモノクロ。原題は「倍額保険」ということで、保険金詐欺を扱ったもの。一連のフィルム・ノワールの代表的な作品の一つ。音楽はミクロス・ローザ。
確かにここには「ファム・ファタール」(運命の女、危険な女)が登場する。そして映画の進行は先の作品同様、最初に最後へのシーンをもってきて、その主人公にストーリーを語らせるというもの。観客は犯人や殺人の手口などをすべて先に見せられているので、ある意味、共感してヒヤヒヤしながら結末まで付き合うことになる。
なかなかフワッとしたところのない映画なので、疲れるといえば疲れる。このような映画を観るというのは、「映画の歴史」を見る感じがする。
114
:
FK
:2010/01/04(月) 23:24:42
2010年 1月 4日 (月曜) [戦争と平和](WAR AND PEACE 1956年)
えー! まさか、まさか、こんな代物だったとは!
あまりのひどさに呆れかえってしまった。戦争シーンもお粗末。せめてこれくらいは授業でも使えるかと思っていたのだが。こんな映画、B級以下!
監督もやる気がおきなかったのかもしれない手抜き映画だ。208分、そう実に3時間28分もかけて!
オードリ・ヘップバーンのための映画であることは間違いないが、その彼女を引き出すために大根役者のメル・ファラー(当時オードリ・ヘップバーンの夫)を本来、格好いいはずのアンドレイに!?
昔、セルゲイ・ボンダルチュク監督のソ連版[戦争と平和]を映画館で観ているので、よけいその落差のひどさがこたえる。
とまれ、オードリ・ヘップバーンのファンには垂涎ものの映画の一つだろう。本当に魅力的だ。ただ、そのためにしょうむないところを延々と観なければならないのはつらい(笑)
お薦めはしませんが、DVD、お貸しできます。
115
:
FK
:2010/01/06(水) 17:20:37
2010年 1月 6日 (水曜) [無敵艦隊](FIRE OVER ENGLAND 1937年)
87分。エリザベス1世の治下、強国スペインとの対立そして対決。今からすればそのイメージは、英国の方がスペインよりも強国であるかのように思えるのだが、当時は逆。原題通りである。
イギリス映画であるし、制作されたその時代からみて、愛国的な映画にならざるを得ないわけだ。端的にまとめればエリザベス女王万歳の映画か。ただ彼女の人間的な側面として、その老い・老醜を描くのではあるが。
このDVDを入手する前に調べて分かってはいたのだが、その海戦シーンはあまり感心できたものではなかった。セリフで気になるのは、女王に対する忠誠・服従といった英国のためにという愛国心を宣揚するような言葉である。あるいは「敵を人間として扱うと」自分たちの不利益になるといったセリフである。宣伝・洗脳の映画である側面もないとはいえないだろう。
俳優ではローレンス・オリヴィエとヴィヴィアン・リーであるが、彼は当時30前で役柄としてキャンキャン喚く若者役であり、彼女の方は1939年の[風と共に去りぬ]とはまた違ったきれいさがみられた。やや蓮葉な感じの役柄、当時23歳くらいか。
DVD、お貸しできます。
116
:
FK
:2010/01/07(木) 21:58:23
2010年 1月 7日 (木曜) [ドクトル・ジバゴ](DOCTOR ZHIVAGO 1965年)
ララのテーマとしてあまりにも音楽が有名で(作曲はモーリス・ジャール)、そのせいでか映画の内容のしんどさを忘れさせてしまうほど。
時は、第一次世界大戦からロシア革命を中心にその前後の歴史を背景に、ドクトル・ジバゴを取り巻くふたりの女性との愛情物語、ということになるのか。
ともかく寒くて暗くて陰惨で憂鬱で等々、およそ明るい話題のないシーンの連続である。だからよけいララのテーマがきいてくるのだろう。そして私のみる限り、この映画でいちばん光っているのは「ラーラ」(ララ)だ。皮肉的な見方をすれば「女は弱し、されど母は強し」的な描き方ではあるが。
この原作であるパステルナークの小説は1957年当時のソ連では発禁とされており、時代もアメリカとの冷戦のさなかである。ロケ地も主にスペインだとのことだが、当然のことだ。ロシアの地で撮影できるはずはなかった。また、アメリカ・イタリアの合作映画ではあるが、政治的な背景がなかったとはいえないだろう。宣伝映画っぽいところを私は感じた。
DVD、お貸しできます。
117
:
FK
:2010/01/19(火) 20:34:11
2010年 1月19日 (火曜)[プラダを着た悪魔] (THE DEVIL WEARS PRADA 2006年 アメリカ)
テレビで放映されていたものをビデオで録画しておいた。うかつなことにまったくどんな映画か知らなかったのだが、コメディ・ラブロマンスといったところか。面白く観ることができた。
ただ、お終いでアンディが(私の思うところだが)簡単にその職を辞めてしまうところは解せなかった。ミランダたちには彼らなりの大変さや悩みがあるわけで、その果てに出てきた片言隻語をとらえて、辞めてしまうというのは、ちょっといただけない感じ。ま、若者だから仕方がないか。
それにしても化粧やファッションで変わるものだ、と。
118
:
FK
:2010/02/06(土) 22:10:34
2010年 2月 6日 (土曜) [君たちに明日はない](NHK 全6回)
今夜は第4回目。上手い作り方をしていて、楽しみなドラマに仕上がっている。もちろん、中味的にはつらいものがあり、そうそう笑っていられるものではないのだが。
主人公の村上真介役の俳優は、はまり役だろう。脇役の女性・芹沢氏もいい。会社を経験してないから、真実は分からないが、そうだろうな、ぐらいは感じ取れる。しかし、こんなことやってたらダメだろうなと思う。やはり会社主義しゃかいなのだ。
原作の小説は読んでいるのだが、新しくその第三作目が出ているようだ。
119
:
FK
:2010/02/15(月) 21:38:03
2010年 2月15日 (月曜) [ミルク](MILK 2008年 アメリカ 128分)
昨年公開された映画[ミルク]を観る。「牛乳」などという変な題名の映画だなと思ってた程度の認識であった。伝記映画であり、ゲイの公民権を守るために活動した人物(ハーヴィー・ミルク)であったとは知らなかった。1930年生まれで1978年に48歳で暗殺されるその最後の8年間を描いたもの。
なぜゲイがそこまで差別されるのか。キリスト教から来るものなのか。その思想的背景を考えたいと思った。人間の愛には、異性に対するものと同性に対するものとがあっても、なんら不思議はない。にもかかわらずその絶対数が少ないゆえにか、迫害されるのだ。
1978年といえば、私は28歳。その頃、アメリカでゲイの人たちの運動が報じられていたような気もするが、ミルクについては覚えがない。死亡欄にベタ記事が載っていたかも知れないのだが。
それにしても、死後30年にしてその伝記映画が作られるということに、様々なことを考えさせられる。歴史は少なくともその事件から30年以上は経たないと評価すべきではないとの考え方があるが。
120
:
FK
:2010/02/16(火) 22:56:09
2010年 2月16日 (火曜) [墨攻](2006年 133分 中国・日本・香港・韓国合作)
まず音楽がいい。迫力満点である。そして10万人の兵対一人の戦い、というのも。一気に観てしまえる。
墨家の思想が結局どういうものであったのか。その国の支配権を簒奪してでも平和をもたらそうというものであったのか。単に戦いに勝つための戦術を教授するためだけのものだったのか。そんなことを考えさせられる。そして、なんとそれが、なんと紀元前370年頃の話なのだ。
攻城のシーンを見ていると洋の東西を問わず、の感あり。人間は同じようなことを考えるものだと思う。それにしても最後は、人心の掌握というか、人々の心をひきつけていくということは至難のことである、と。だからたいていは安直に暴力に頼るのだろう。民主的なやり方というのは本当に難しいものだ。
DVD、お貸しできます。
121
:
FK
:2010/02/18(木) 22:54:44
2010年 2月18日 (木曜) [愛を読むひと](THE READER 2008年 124分 アメリカ・ドイツ)
後半は授業に使えるか、と思いつつ観た。ナチに協力した女性看守たちが法廷で裁かれていく様からは、戦争や戦争犯罪について考えさせられる。
20年あまりの服役の後、いよいよ釈放となったときに、なぜ自殺してしまったのか。なぜ彼女が文盲でその書類を書けるはずがなかったことを、裁判で明らかにしなかったのか。そんな疑問を持ちつつ見終わった。
それにしても、いつまで経ってもナチについのて糾弾の映画は、後を絶たないようだ。難しい。
122
:
FK
:2010/02/23(火) 14:23:23
2010年 2月23日 (火曜) 『テレビ作家たちの50年』(日本放送作家協会 編 NHK出版 2009年 \2000)
ざっと流し読み。それにしても、私はテレビを余り観てきたとはいえないな、とあらためて思う。
初めてテレビが家に入ってきて印象深く残っているのは大相撲中継。その後、観ただろうと思われるものは、『チロリン村とくるみの木』・『ひょっこりひょうたん島』・『番頭はんと丁稚どん』・『てなもんや三度笠』・『ズバリ!当てましょう』・『鉄腕アトム』・『月光仮面』・『ボナンザ』・『怪傑ハリマオ』・『ローハイド』・『バットマスターソン』・『ペリーメイスン』・『ララミー牧場』・『コンバット』、ここまでが小学生から中学生の頃だろう。
大人(?)になってからは、とんと観なくなった。ただ『8時だヨ!全員集合』は子どもたちと一緒に観たおぼえがある。
あと『題名のない音楽会』・『11PM』・『ザ・ベストテン』・『ふぞろいの林檎たち』・『國語元年』、さらに飛んで『北の国から』・『丘の上の向日葵』、最近では『おせん』・『相棒』・『正義の味方』・『小公女セイラ』・『君たちに明日はない』。『不毛地帯』は、いまとりためているので、いずれまとめて観たい。
私にとってテレビとは? といったところだ。職業生活に入ってからは授業用の教材と娯楽、ということで観てきたのだろう。それにしても、あまり観てこなかったように思う。テレビを観ていたら、本が読めないからだ。それに若い頃は、家に帰っても教材研究という授業の予習に時間を取られていたから。もっとも今から考えたら、それらの準備はややムダだったかも知れない。
123
:
FK
:2010/02/25(木) 20:52:58
2010年 2月23日 (火曜) 『世界の映画ベストセレクション』(渡辺祥子 近代映画社 1999年 \3700)
1955年から1998年までの読者ベストテンと批評家のそれとを特集したムック。この本は○Bのスタンプを押されて\1200で購入。
ほとんど私の映画人生(?)と重なるので、丁度良い本であった。年代によってベストテンのうち8本くらい観てるときもある。そしてぎゃくに一、二本か、まったくない年も近年に近づくほどある。ぐーっと観る時期もあれば、まったく観ない時期もあるということ。映画との相性もあるだろうが。
このところDVDが安価に手にはいるようになったせいもあるが、無性に昔観た映画を再び観たくなってきている。もうそろそろ人生を振り返る時期に入ったからなのかも知れない。
124
:
FK
:2010/02/27(土) 22:16:32
2010年 2月27日 (土曜) [君たちに明日はない](NHK 全6回 今日、最終回)
楽しみに観ていたドラマがまた一つ終わった。会社経験者のパートナーに言わせたら、そんな甘いものではないということだが。
最終回では、単にリストラだけではなく、そのリストラの際に収集した情報から、その人に適した再就職先を斡旋する部門も同じ会社内に作って、という話。第一回目から狂言回しのようになっていた平山氏も、ここでうまく決着をつけさせている。
(これで思い出したのは『烏金』(西條奈加 光文社 2007年 \1400)のこと。これは単なる金貸しではなく、借金が返せなくなった人にその金を返せる算段まで相談に乗るということをやるのだった。)
最終回なので、これまで出てきていた未解決(?)のことの決着も計られている。それでも謎のままに終わったこともあるが。
それにしても私も含め人生経験の少ない・知らない者にとって、これはいいお勉強の教材になるかも知れない。とりあえず取りためてあるので、いずれ。(参照、118. 2010年 2月 6日 (土曜) [君たちに明日はない])
125
:
FK
:2010/03/04(木) 22:23:01
2010年 3月 4日 (木曜) [モハメド・アリ かけがえのない日々](WHEN WE WERE KINGS 1996年 88分)
ドキュメンタリー。彼がボクサーであり、アメリカでの徴兵拒否により、収監されたことは知っていた。今回この映画で彼の考え方の片鱗がうかがえた。
それは特段、変わった思想というわけではなく、素直に純粋に考えたらそういう結果になった、ということかもしれない。
この映画は1974年の世界ヘビー級タイトルマッチ・フォアマンとのザイールでの試合を中心としている。この試合にあたっては、アリもやはり恐怖心というものを持っていることに気付かされる。その自分の心と如何に戦い克服していくか。逆説的にいうと、やはり恐れを知らない人間ではダメだということか。そして作戦・戦術を十二分に考えて試合にのぞむということ。当たり前だが、やはり大切なことだ。
あとアフリカ黒人の踊りや歌も挿入されていて、何ともいえない力強さを感じさせられる。
アリ流に言えば、アメリカ黒人も頭の中は白人。そのでんでいくと日本人も頭の中は欧米人、というところかもしれない。
126
:
FK
:2010/03/10(水) 19:39:53
2010年 3月10日 (水曜) [ラストラブ](2007年 日本 110分)
田村正和が主演、ジャズの演奏家(テナーサックスか)。そして題名の通りのラストラバーに伊東美咲。テレビ放映されていたものを録画して。
私には伊東美咲は[椿山課長の七日間]のイメージであり、田村正和は[古畑任三郎]のイメージなので、やや困惑を感じながら観た。
所詮は、という言い方は失礼だが、余命何ヶ月の癌に冒されている老いたジャズメンと27歳の若さいっぱいの美女との....、といったところか。あまりにもありふれたストーリーの作品なので、映画的にどうのこうのというのではなく、秋のニューヨークの情景であるとか、田村正和や伊東美咲の演技を楽しんで、涙を流せばいいのだろう。
127
:
FK
:2010/03/15(月) 22:21:03
2010年 3月15日 (月曜) [華氏911](FAHRENHEIT 9/11 2004年 112分 アメリカ)
名前は聞いていたが、ようやく観ることに。マイケル・ムーア監督の作品。レンタル。
良くできていると思う。見方によれば愛国・反戦映画でもあり、歴史・政治宣伝映画でもあるか。
いくつかなるほどと思わせられる台詞があった。たとえば、戦争の目的は勝利ではなく、その継続にある、とか。無知と貧困が上流階級を守る。貧しい人々がその命を愛国心の名の下に提供して、豊かな人々とその人たちのためにある「自由な社会」を守るために戦争へ行く、といったこと。一度しか観てないし、メモをその時取らなかったので、大体のことだが。
最後で議員たちにその子息をイラクへ、とパンフを渡すシーンは見事なものだった。子細は忘れたが、誰かが次のような法律を作ることを提案していた。すなわち戦争を開始するにあたっては、真っ先に為政者の家族を参戦させねばならないといった内容であった。
128
:
FK
:2010/03/16(火) 20:07:30
2010年 3月16日 (火曜) [母べえ](2007年 日本 132分)
山田洋次監督作品は意外と観ていない。[下町の太陽][幸福の黄色いハンカチ][遥かなる山の呼び声 ]ぐらいか。今作は吉永小百合主演もさることながら、私のお気に入りの志田未来が出ていたことに気がついて録画し、今日、見終わった。
このところ見終わって涙するような映画を観てなかったせいか、母べえこと吉永小百合が老齢で亡くなるシーンでは涙が出てきた。またそのときのセリフがいい。普通なら死んで先に逝ってしまった人たちと天国で会えるね、というわけだ。ところが母べえには「生きている間に会いたかった」と言わせているのだ。それが真実だろう。戦争で理不尽にも命を奪われた人たちとのことである。
十分に反戦映画であった。(一つ、1941年12月8日の朝の臨時ニュースは本物の録音ではなく、映画用に新たに作ったもののような気がする。その理由は、「米英軍」と言わずに「アメリカ・イギリス軍」と言っていたから。そういうバージョンも1941年12月8日のニュースにあったのかもしれないが)
DVDに録画してありますので、お貸しできます。
129
:
FK
:2010/03/23(火) 22:01:12
2010年 3月23日 (火曜) [華氏911](映像特典 91分 アメリカ)
去る15日にレンタルで観た[華氏911](FAHRENHEIT 9/11 2004年 112分 アメリカ)、これは授業でも使えると思い、中古のそれも映像特典付き二枚組のそれを購入。
まず日本の私たちには目に触れることのない映像がいくつもあった。「イラク・サマラの目撃者」というスウェーデン人記者による映像は戦争と兵隊と人々の悲惨さを十二分に描いている。目をふさぎたくなるようなシーンがある。
また、ブッシュの記者会見の模様やライスの公聴会での発言などが収録されており、新鮮であった。
インタビューの方では「アラブ系コメディアン」のそれが面白かった。「9.11」をネタにしているのだが、日本でもアメリカでも笑いの取り方には共通点があるようだ。どれくらい世界レベルで普遍的なのかは分からないのだが。
ということでこのDVDも、お貸しできることになりましたので。
130
:
FK
:2010/03/29(月) 18:16:23
2010年 3月29日 (月曜) [ラビリンス/魔王の迷宮](LABYRINTH 1986年 102分 アメリカ)
子ども向けファンタジー作品か。主人公である姉とまだ赤ちゃんの義理の弟・継母との関係からファンタジーが始まる。登場人物は魔王役のデヴィッド・ボウイと主役の女の子、当時14歳だったそうだが、ジェニファー・コネリー。あとはマペットと呼ばれる操り人形。
小さな子どもたちに、友達は大事にしなければならないよ、きょうだいは仲良くしなければならないよ、といった教育的なところがあるが、これなしではダメなのだろう。ともかく女の子の冒険譚を楽しめばいいか。
131
:
FK
:2010/04/09(金) 22:24:42
2010年 4月 9日 (金曜) [薔薇の名前](THE NAME OF THE ROSE 132分 フランス/イタリア/西ドイツ 1986年)
授業で修道院の風景を見てもらうために使ったことがある。今日、観るのは二回目。最初はどうしてもストーリーを追ったり、授業で使えるところはないか、といった見方をしてしまったのだが、今日はミステリーとしても楽しめた。
もっとも、基本的には暗い映画ではある。キリスト教にまつわるおどろおどろしいこと、魔女であるとか異端であるとかが出てくるので。そして火刑シーンも。
「笑い」を忌み嫌い拒否する感覚は、私たちには理解しづらいところだが、その宗教者たちからしたら立派な理屈があるわけだ。宗教というものは難しいものだ。信じるものからしたら当然のことが、無信仰のものからしたら集団ヒステリーのように見えるから(特に異端審問など)。
VHSで手元にありますので、お貸しできます。
132
:
FK
:2010/04/20(火) 21:59:42
2010年 4月20日 (火曜) [ワルキューレ](VALKYRIE 2008年 120分 アメリカ/ドイツ)
トム・クルーズ主演。ヒトラー暗殺計画の最後のそれを映画化したとのこと。昨春、公開時に生徒たちが観てきた、といっていたもの。今にしてレンタルで。
なぜ祖国ドイツのためにヒトラーを暗殺しなければならないのか。そのあたりの必然性はあまりこの映画からは伝わってこなかった。前提としてヒトラー=悪、という図式があるのかも知れない。しかし、暗殺という手段のせいか、私はいまひとつ共感できなかった。他に方法があったかと、問われると困るが、それにしても暴力には暴力、というところが、気になって主人公たちに味方できなかった。
ただそれでも、ほとんどなすすべもなかった日本に比べると大したものだとは思う。その原動力は何なのだろう。やはり神の存在があるのだろうか。
音楽はなかなか迫力があった。
133
:
渦森六郎
:2010/04/21(水) 01:54:09
「ただそれでも、ほとんどなすすべもなかった日本に比べると大したものだとは思う。その原動力は何なのだろう。」
僕もよく分かりませんが、原動力云々というよりも、そもそもヒトラーのように暗殺目標になる人物が日本にはいなかったようにも思います。ドイツには、とりあえずヒトラーという象徴的な人間がいた、というのが大きいのだと思います。「こいつさえ倒せば」という目的が、はっきりしていたとでも言いましょうか。日本では、「誰か首謀者がいて、みんなを引っぱっていった」というよりも、誰からともなく、いつのまにか集団で歩き出していたようなイメージがあります。みんなが、「なんだかよく分からないままに」取り返しのつかない状況に入り込んでいってしまっている。戦争が終わったあとで、「誰がやりだしたのか、原因は何だったのか」ということを、「そういえば誰も知らなかった」という状況だったのではないでしょうか。日本は、そういう極めて特殊な性質をもった国だったのかもしれないとか思ったりしました。だからいまだに、あの戦争に対する共通の合意みたいなものが、曖昧なのではないかと。
すみません、頭がこんがらがってきました。そろそろやめにします。
134
:
FK
:2010/04/22(木) 22:09:57
2010年 4月22日 (木曜) [キングダム・オブ・ヘブン](KINGDOM OF HEAVEN 2005年 145分 アメリカ)
[グラディエーター]のリドリー・スコット監督の作品。
はじめの一時間ほどが、いまひとつよく分からなくて、とうとう諦めて、あとは戦闘シーンを中心にざっと流して、観た。
十字軍の面々に対し司教が異教徒を殺すことを正当化しているわけで、このあたりもなかなかついて行けないところだ。
エルサレムでの攻防シーンではこれまで観てきた城攻めと同じようなやり方が見られた。それにしてもサラディンが20万人の軍隊を率いて、とは途轍もないことだ。
宗教の問題は、どこまでいっても理解できないものが残る。あとエルサレム王がハンセン病で亡くなっていくシーンがあった。
135
:
FK
:2010/04/28(水) 19:23:59
2010年 4月26日 (月曜) [トリック 劇場版](2002年 119分 日本)
この日曜日に放映されていたものを録画で今夜、観た(CMをカットすると正味98分くらいになっていた)。神さまや宗教のことを考えるヒントになるかな、と思いながら、つまり授業に使えそうだなと思いながら面白く観た。主人公役の仲間由紀恵がいい。
神様かどうかをチェックするのに、透視やトランプの手品のようなものを使うところは傑作だが、ある意味宗教の奇跡というのはそういったものかもしれない。そもそも奇跡を起こすことと、宗教の正しさの証明との間に相関関係があるとは思えないが。その程度の理解しかないということか、宗教に関して。
それはともかく、エンタテーメントとして楽しめるものだった。
調べてみると2000年からテレビで放映されていたようで、まもなく10周年記念の映画が封切られるとのこと。
136
:
FK
:2010/05/02(日) 20:51:19
2010年 5月 1日 (土曜) [ダ・ヴィンチ・コード](THE DA VINCI CODE 2006年 149分 アメリカ)
単純に(?)ミステリーとして読めばいいのかも知れない。その際のアイテムがキリスト教にまつわるもの、ということで。
しかし、あまりにもその宗教というものの持つ仰々しさ・おどろおどろさなどに目を奪われてしまうのも事実だ。テレビ放映なので、かなりカットされてあるようで、そこはやはり不満が残るところではあるが、こんな映画だったのか、と分かればいいのかもしれない。当時、ずいぶん物議をかもしたものだから。
イエスには奥さんや子どもがいたのかどうか。本当に彼は何を考え、話していたのだろうか。それを類推するのも小説家の仕事かも知れない。
137
:
FK
:2010/05/02(日) 20:52:02
2010年 5月 2日 (日曜) [アレキサンダー](ALEXANDER 2004年 173分 アメリカ)
授業用に中古を購入。全32章をピックアップして観た。
私の素朴な疑問はなぜインドあたりまで征服の旅に出なければならなかったのか、ということ。たしかに占領地で略奪したものをマケドニアに送り、その繁栄を支えたのかも知れないが。
その征服のありさま・戦争のありようを映像で観ることによって学習の一助にするつもり。そして最後、独裁者としての顔が目立つようになり、離反されていき、病死していく様までを。
DVD、お貸しできます。
138
:
FK
:2010/05/04(火) 11:20:11
2010年 5月 3日 (月曜) [さらば夏の日](1970年 80分 フランス)
ようやくDVDになり入手した。懐かしい映画。私の青春の映画だ。ちょうど二十歳になる年の、夏前に神戸で試写会で観た。ルノー・ベルレー主演の甘くほろ苦い青春の一コマを描いた映画で、まあB級映画なのではあるが、その頃の私にはドンピシャだったのだろう。
しかし、40年前に観たまま、ついに今日まで観る機会がなかった映画で、感慨無量であった。細部はすっかり忘れており、ラストも(当然ながら)ハッピーエンドであったことも忘れていた。ひたすらフランシス・レイのあの音楽によってこの40年間、記憶に残してきていたのだ。
139
:
FK
:2010/05/09(日) 07:28:17
2010年 5月 8日 (土曜) [ボウリング・フォー・コロンパイン](2002年 120分 カナダ)
単なる銃規制の問題ではなく、本質的な問題を提起・提示しているようだ。
銃による死者が一万人を超えるというアメリカ合衆国、それが何故そのようになってしまっているのかを分析。一言でいうと日常的な「恐怖心」「猜疑心」の植え付けだろう。
この映画のなかでアメリカ合衆国の歴史をアニメで簡潔に紹介しているが、なかなか分かりよい。納得させられる。そもそも彼らの先祖がアメリカの地へ入植するところからして常に暴力・迫害などの脅威・恐怖にさらされてきたということだ。その後もアメリカ本土でネイティブと、さらに黒人との関係のなかで恐怖心は強まるばかりで、とうとう銃を手放せないような心理状況・社会状況に追い込まれてきたということだ。
もちろん、いまやマスコミや政治家がその恐怖を助長するのだ。彼らと会社経営者の利益のために。
DVD、お貸しできます。
140
:
FK
:2010/05/10(月) 23:06:39
2010年 5月10日 (月曜) [善き人のためのソナタ](DAS LEBEN DER ANDEREN THE LIVES OF OTHERS 2006年 138分 ドイツ)
ベルリンの壁が崩壊する7,8年前の東ドイツの有り様が描かれている。自由がなく特権を持つものが存在し、芸術をふくめ何もかもを支配する。実に息苦しく、観ていて息が詰まりそうであった。辛い映画である。
しかし、独裁国家の常として、このような社会が生み出されることは、歴史の教訓として知っておかねばならない。もちろん単純な独裁国家に限らず、見かけは民主国家に見えてもその実態は柔らかいファシズムに覆われている場合もある。
この主人公のような「心」を持つ人が、当時の東ドイツに存在し得たかどうかは疑問だが、そうであってほしいという願望は理解できる。
所詮、人は恐怖と甘い汁に打ち克つことは難しい。そして私も、私たちもそのような状況に置かれたら簡単に転ぶかも知れないのだ。実に怖い映画、いや怖い現実を突きつける映画である。
141
:
FK
:2010/05/24(月) 16:49:49
2010年 5月24日 (月曜) [シッコ](SICKO 123分 2007年 アメリカ)
アメリカ合衆(州)国の凄まじい一面を見ることとなった。医療とその健康保険の問題である。日本ですら国民皆保険が当たり前なので、まして先進国・超大国アメリカがそうではないなどとは夢にも思わなかった。しかし、ないのだ。
自己責任という美名のもとで、端的に言えば保険会社のビジネス機会の提供のために作ってこなかったわけだ。それがアメリカ国民の下層階級にどんなむごい仕打ちをすることになるかが、縷々描かれている。恐怖を感じるほどであり、まさにテリブルであった。
なお、シッコとは病人の意味の俗語であった。これも是非とも授業でみんなに見てもらいたいと思った。
142
:
FK
:2010/05/24(月) 22:10:33
2010年 5月24日 (月曜) [サウンド・オブ・ミュージック]
[サウンド・オブ・ミュージック]のメーキングを観る。一時間ほど。
もう四十年もまえになるだろう。この映画を映画館で観たのは。そして映画館でだから、そう何度も観たとは思えない。今こうしてメーキングを観ると、映画作りの大変さや役者たちのありようがうかがえて興味深い。
それにしても若い頃、この映画を観て魅了されたことを昨日のことのように思い出す。私にとってはやはり名画だったのだろう。その後、歴史を学んでいくうちには、政治的な色合いがやはりあったことに気付かされはするのだが。
あと舞台でのそれが一部紹介されていたが、やはり私には映画の方がいいようだ。それにしても懐かしい映画だ。授業に使えるとしたら、現社では「勇気を持って」「もうすぐ17歳」とか、世界史ではナチスのこととか、いろいろに。全部は長いので厳しいが。
143
:
FK
:2010/05/28(金) 23:13:57
2010年 5月28日 (金曜) [トーク・トゥ・ハー](TALK TO HER 2002年 113分 スペイン)
何とも不思議な映画だった。オープニングからしてそうで、モダンバレーの悲痛な感じのデュエットから始まっている。実はその場面で本作の主人公の男性二人を隣りどうしの席の観客にして、これからの絡みを連想させるものだった。
音楽はやはりスペインということでギターか。独特の雰囲気を醸し出すものだ。いい感じであり摩訶不思議なワルツ調の音楽もあった。
原題は「彼女に話しかけなさい」というわけで、植物状態になった人に話しかけなさいということ。そんなふうに付き合っていく・大事にしていけばいずれ意識が戻って、というわけ。
そしてそのように大事にされたバレリーナのアリシアは覚醒し、そのようにはされなかった女闘牛士リディアは死んでいく。
悲劇としては、アリシアを愛したベニグノは、アリシアの覚醒を告げられずに絶望して自殺してしまう。このところは、安直な連想ではあるが「ロメオとジュリエット」を想起させる。
なるほど、愛と孤独を描いた作品ということになるのか。
144
:
FK
:2010/06/14(月) 22:16:44
2010年 6月14日 (月曜) [キャピタリズム マネーは踊る](CAPITALISM: A LOVE STORY 127分 アメリカ 2009年)
マイケル・ムーア監督の資本主義を真っ正面から告発・弾劾する映画ということになるか。よく「血も涙もない」という常套的な陳腐な言い方があるが、アメリカの銀行が庶民の住宅をローン返済が滞り未払いということで没収し、追い出す様はまさにそれであった。
そんな銀行に対し彼のアメリカでもリーマンショックの後、救済策として税金が投入されている。かつてのバブル後の日本同様に。何故? どうして? との市民の問いかけは虚しい。そこでマイケル・ムーアの登場となるのだが。
キリスト教の司祭がインタビューで登場するが、彼ははっきりと資本主義は悪だと言う。そしてもし家の没収の場にイエスがいたら、彼は両者の間に立ちはだかるだろう、とも。いまや再びイエスは資本主義の敵となるのだろうか。
エンドロールの間に流れる歌がなかなかいい。イエスが何故、誰によって殺されたのかと、歌うのだ。
145
:
FK
:2010/06/19(土) 21:49:56
2010年 6月19日 (土曜) [春との旅](2009年 134分)
仲代達也と徳永えり([フラガール])を主人公に、脇役がまたすごくて大滝秀治・菅井きん・田中裕子・淡島千景・柄本明・美保純・香川照之など。
この監督の映像はアップと長いセリフに特徴がある。どちらもなかなか難しいことだろう。しかしベテランの俳優人たちはそれをやってのけ、観る側にリアリティと迫力を感じさせる。
ストーリーを読んだとき、『リア王』のような話かなと思った。たしかに身を置く場所がなくなった仲代が彼の兄・姉、そして二人の弟を訪ねていくわけだ。孫娘を演じる徳永えりは[フラガール]でなじんでいたが、今作で主演ということになるか。
この二人の服装は祖父を黒に、孫娘・春を赤として分かりやすく(?)している。ある意味共通するのはその歩き方だ。祖父は足を痛めてひきずるかのように歩く。孫は子どもっぽく(といっても19歳)ぎこちなく、ある種、剽軽にもみえる歩き方をする。もちろん演出の結果だろう。何かしら映画に、そして彼らの人生にリズムをつけている感じ。
この映画では、こうるさくいうと日本の家族の問題、その家族の縛りの中にあって個が確立できていないという問題が如実に出ていると思う。
それにしても不思議なのは、身内は厳しく、他人こそが優しくできるということ。皮肉なことだ。
久しぶりに映画館で映画を観たが今回は初めてのシニア料金の行使(?)であった。良い映画を観ると、なるほど生きる力を与えられるように思う。
146
:
FK
:2010/06/22(火) 17:51:32
2010年 5月 9日 (日曜) [新参者]全10回
ドラマ「新参者」を観ている。なかなか面白い。面白い趣向といえるか。毎回違う出来事を扱いながら基本は第一回目の殺人事件がある。東野圭吾の小説。阿部寛に黒木メイサなど。
2010年 6月20日 (日曜)
とうとう終わってしまった。犯人は二三回前の頃から、もしかしたらこの人か、と。ただその動機を読み違えていたのは伏線をきちんと認識しておかなかったから。ま、私にはしては上出来か。
それにしても楽しませてもらった。すべて録画したのでDVDにコピーしておくつもりだが、番組の最期にもうそのDVD-BOXの発売(10月)がアナウンスされていた。
昨日観た映画[春との旅]の音楽も良かったが、この[新参者]も良かった。
147
:
FK
:2010/06/23(水) 21:12:17
2010年 6月22日 (火曜) [蟲師 メイキング]
[蟲師]のDVD-BOXを入手。早速、お気に入りの蒼井優の部分から観ていく。
制作秘話というか、VFSというのかいわゆるCGを多用して出来上がっている作品なので、その作り方の紹介部分は興味深かった。
『蟲師 全10巻』(柳原友紀 講談社 2008年 各\620)は2009/5/20(水)に読了し、その映画化は「 70 :FK:2009/03/19(木) 21:50:53 2009年 3月19日 (木曜) [蟲師] 原作は全10巻の漫画。それを映画化したもの。不思議な世界・想像上の世界を具象化している。漫画の第1巻を読んだだけで、これは何かあると予感させるものがあった。切っ掛けは例によって蒼井優が出演しているところからなのだが(笑) 精神世界のことを私たちに分かりやすくするためには、何らかの具象化が必要なわけだが、仏教なら仏像として具象化するように。それがここでは「蟲」(むし)であったりするわけだ。日本と日本人精神世界を探る試みと言ってもいいのかも知れない。ともかく、まず観てみることだろう。そして考えること。」としてすでにアップした如く。
このメイキングで蒼井優は何回も観ることによって分かってくるものがあるようなことを言っていたが、その通りのような気がする。もちろん、この映画に限らずそうともいえるのだが、特にこれはそういう意味では難解(?)なので。
148
:
FK
:2010/06/24(木) 21:20:37
2010年 6月24日 (木曜) [禁じられた遊び」
授業用にと久しぶりにいくつかのシーンを観た。小学校時分に観たのが最初で、もちろん泣いた。その後、二十歳前後でも一度観ている。ただこの時はもうさほど感動しなかったことを覚えている。ではいまならどうか? もう一度きちんと最初から観てみたい。
なおラストシーンの「ミシェル」と呼びながら駅舎の中をゆくシーンはもっと時間的に長いと思っていたのだが、あっという間に「Fin」だった。
149
:
FK
:2010/06/26(土) 22:33:17
2010年 6月26日 (土曜) [ダージリン急行](THE DARJEELING LIMITED 2007年 91分 アメリカ)
ロード・ムービーということになるようだ。ついこの前観たばかりの[春との旅]もそうだった。この映画ではジャーニー(journey)と言っているが、「旅」というのは人生を考えさせるのにもってこいのシチュエーションなのであろう。
ただ正直言ってこの作品は文化の違い・考え方の違いを思わせられることしきりで、あまり理解できるものではなかった。そこまでして兄弟の仲を元どおりにしようとするところなど、欧米的というよりも日本的な感じがする。また長男が弟たちに支配的・指示的であるのもそうだ。
なんとなく分かるような気がするといえばいえるが、といったところ。なお題名のように列車のシーンはいろいろと面白かった。
なおピーター役は[ヴィレッジ]に出ていた俳優だった。というか[船上のピアニスト]の主役といったほうが通りがいいか。またインド人で子どもを亡くした父親役をしていたのは[スラムドッグ・ミリオネア]の取り調べの警官の俳優であった。
150
:
FK
:2010/06/27(日) 22:36:59
訂正。昨日の[ダージリン急行]で「なおピーター役は[ヴィレッジ]に出ていた俳優だった。というか[船上のピアニスト]の主役といったほうが通りがいいか。」としたが、これは[戦場のピアニスト]の間違い。頭では分かっていたのに変換では別の映画のにしてしまった次第。
2010年 6月27日 (日曜) [真夜中まで](1999年 110分 日本)
和田誠監督。スラップスティックとは少し違うが、ドタバタコメディ。わずか二時間弱の間に物語が始まり、終わる。ジャズ好きにはたまらない映画と言うことになるのかも知れない。トランペットを中心にしたクィンテット。
151
:
FK
:2010/07/09(金) 05:10:08
2010年 7月 9日 (金曜) DVD中古[K-20 怪人二十面相・伝]・[男たちの大和]入手
授業をしていて、やはりほしいと思いDVD中古[K-20 怪人二十面相・伝]と[男たちの大和]を購入。昨夜、あらまし授業で使いたいところをチェックする。映画はオープニングが大事で、監督も力を入れ、趣向を凝らすところでもある。そのまま授業に使えるのはありがたい。
[K-20 怪人二十面相・伝]ではうまい具合にオープニングからの10分あまりがいい。「臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。」と、有名な1941 年・昭和16年12月8日午前6時のラジオの臨時ニュースが流れるのだが、じつは現実の歴史とは違っていて、そこからこの怪人二十面相が登場する。
[男たちの大和]ではタイトルが出てくるあたりから、当時の記録フィルムを交えたシーンが授業にいいか。あとは時間さえあれば戦艦大和の再現された艦内とか、銃後の家族との団欒シーンとか、出撃・戦闘のシーンなどもある。
DVD、お貸しできます。
152
:
FK
:2010/07/11(日) 20:57:44
2010年 7月10日 (土曜) [ハンマーセッション]・[美丘]
[ハンマーセッション]は今日からの8時台の新ドラマ。志田未来が出ているのをチェックして。
なかなか面白い。主人公の詐欺師(?!)が進学名門高校の先生となり、生徒の志田未来が狂言回しを演じるようだ。この先生役は先日終わった[新参者]にも少し出ていた。今度は主役であり、ガラッと変わったキャラクターを演じる。なかなか器用なようだ。
そしてもう一つ9時台のそれが[美丘](みおか、女性の名前)。こちらの男性主人公は[小公女セイラ]で志田未来と共演していた彼(林)であった。
ストーリーは余命もの(?)というか、昔の映画でいえば[ある愛の詩]だろう。最初のシーンはスケート場か屋上かの違いで、やはり彼女を回想するところから始まる。そういえばどちらも大学生だった。
[新参者]が終わって観るドラマがないと思っていたところ。新たな楽しみができた。今後、土曜の夜、8-10時はテレビの前、ということになりそうだ。
153
:
FK
:2010/07/16(金) 23:24:58
2010年 7月16日 (金曜) TV[うぬぼれ刑事]
今夜の番組で蒼井優が出ているのが分かったので見てみた。見終わって、あんないつもの蒼井優の笑顔で「詐欺師」なのかな、と。詐欺師というのはそういうふうにできるものなのかな、と。
たしかに被害者(?)が、それ相応の満足を得ているので、ある意味その騙し取られたとされるお金も、それ相応の対価といえなくもない。詐欺師というのもそのように考えれば、なかなか馬鹿にしたものではない。束の間の幸せを与えるものだとしたら、それはそれで善行なのかも知れないのだ。もっとも、いま流行の振り込め詐欺などは論外だ。
それにしてもこのドラマ、ドタバタ。スナックでの数人による言葉の掛け合いは、かなり凝っていて面白いと思う人には、マニアックで面白いのだろう。来週のゲスト出演は樋口可南子、面白いかも。
154
:
FK
:2010/07/19(月) 18:14:46
2010年 7月18日 (日曜) TV[GM 〜踊れドクター]
新番組[GM 〜踊れドクター](2010年7月18日 - 9月、TBS日曜劇場)を観た。総合診療科の医者たちの話。
始まってもまもなくこのドラマは、日本版[ドクター・ハウス]かなと思った。今後、どのように展開されていくか分からないが。ただ題名の通り、元ダンサーの主人公が踊るシーンがあるので、今後もこれが一つの売りになるのだろう。
多部未華子は[夜のピクニック]でシリアスな役を演じていたので、そのイメージが強くある。基本的には暗いトーンの子だが、今作では狂言回し役でもあり明るい演技をしている。まだ始まったばかりだが、来週以降も見てしまいそうだ。
155
:
FK
:2010/08/06(金) 09:36:43
2010年 8月 5日 (木曜) [レミーのおいしいレストラン](RATATOUILLE 120分 アメリカ 2007年)
アニメ。最近みた[ウォーリー]と同じピクサーの作品。
しかし文化の違いなのか、ドブネズミをシェフに仕立てるという発想。私たちの先入観としては、どうもネズミは不衛生で、およそ料理に関係させるなど想像だにできないことなのだが。
ともかく、いろんなムリがあるが、それはそれ。エンタテーメントとして楽しめばいいのだろう。観ていて思ったことは、以前読んだ『至福の味』。所詮、人はどんなにおいしいものを食べても、帰り着くべきところ、すなわち「至福の味」は同じなのだろう。
ラスト、「レミーのおいしいレストラン」では一階では人間たちが、天井ではネズミたちがおいしそうに食事をしているシーンであった。
156
:
FK
:2010/08/06(金) 21:37:40
2010年 8月 6日 (金曜) [機関車先生](123分 日本 2004年)
録画しておいたのを観た。場所も瀬戸内海ということで[二十四の瞳]を連想させるが、こちらは男性教師。剣道ができるがそれがもとで声が出なくなったという設定。これを最近では[君たちに明日はない]でも主役をしていた坂口憲二が演じる。監督は[きみの友だち]の廣木隆一。
例によってノーカット版ではないので、やや唐突なところが残るが、大筋はわかる。なんにせよ小学校の先生はいいなと思わせられる。高校ともなるとこうはいかないだろう。臨時の教師だったのでまもなく別れが来る。お定まりの別れのシーンは陸と船とで交わされるが、やはり泣かされてしまう。
その際の子どもたちの手話での「ありがとう」は、[フラガール]での先生と生徒たちとの駅での別れのシーンを思い出させた。こちらは手話というのではなく、フラの表現なのだが。
教師志望者は観ておいていい映画の一つだろう。
157
:
FK
:2010/08/09(月) 15:28:33
2010年 8月 9日 (月曜) [シェフとギャルソン、リストランテの夜](BIG NIGHT 109分 アメリカ 1996年)
イタリアからアメリカへの移民の兄弟が経営するイタリア料理店。兄は職人肌の料理人、妥協を許さない。弟は経営を担当するが火の車。そんな状況下で女性との楽しい(?)やりとりや、先輩実業家との確執などが出てくる。最終的にブラザーフッドが快復するのだが、その後はどうなることやら。ビッグナイトが明けた朝の簡単な食事のシーンで終わる。
なかなか面白かった。タバコを吸いまくるのには辟易だが、作られた年代もあるだろう。
158
:
FK
:2010/08/21(土) 16:53:21
2010年 8月20日 (金曜) [天井桟敷の人々](第一部:犯罪大通り 第二部:白い男 LES ENFANTS DU PARADIS、CHILDREN OF PARADISE 195分 フランス 1945年)
「午前十時の映画祭」と題して50作品を毎朝一回限り、各一週間くらい上映するという企画。その一つを初めて観てきた。なかなか足が向かなかったが、結果からいって良かった。今後も観ていきたい。
この映画は一言でいえば、やはりフランス映画であることからして(?)ラブストーリーである。男女の愛情であるが、難しいものだ。愛の理想型と愛の現実型(?)とでもいえるか。愛は素晴らしいものだが、一方で荷重なものでもあるのだ。いろいろと考えさせられる。
159
:
FK
:2010/08/21(土) 16:59:40
2010年 8月21日 (土曜) [太陽がいっぱい](PLEIN SOLEIL 122分 フランス/イタリア 1960年)
こんなにも悲しい映画であったとは!
ラストシーン、ヨットの碇を巻き上げていくシーンは意外と短いカットだった。記憶のなかではもっと長いと思っていたのだが。その時、彼はビーチで酒を飲みながら太陽がいっぱいだ、というわけである。このシーンはたしかに印象的・象徴的だ。
大体、映画というのは貧しい人たちだけではなかなか成立しない。やはりとんでもない金持ちやらパトロンやらがいないと話が作りにくい。そんな中で、この作品は金持ちと貧しい青年とを対比させる。青年(アラン・ドロン)の深謀遠慮はとうとう実現しなかったが、何やら哀しみの残るB級映画であった。
ニーノ・ロータの音楽はとてもいいのだが、映画のなかではあのメロディが流れている時間は、これまた意外に短かった。
160
:
FK
:2010/08/23(月) 20:59:31
2010年 8月23日 (月曜) [バベットの晩餐会](BABETTES GASTEBUD 102分 デンマーク 1987年)
英語では「BABETTE'S FEAST」ということになる。バベットというフランス人女性がデンマークの寒村に落ちのびてきて、牧師の二人娘といってもすでに年老いているのだが、その二人とともに住むことになる。そこでの14年間の生活の感謝の気持ちとしてご馳走を提供するというもの。その食事会の終了とともに映画も終わる。お終いに芸術論も。
料理としてはフランス料理が出てくるのだが、その知識がないので、その素晴らしさ等々については分からない。しかし材料費などで作中、話題になる「1万フラン」が掛かっているとのこと。19世紀終わり頃の話である。
寒村でのつつましい宗教的な色彩の強い日常生活が色濃く描かれている。キリスト教に理解の浅い私などは、違和感をもってしまうところだ。
それにしても歳月の経過と、年老いていく人たちのありようは、人生というものを感じさせる。何が幸せなのか、人生とは如何に生きるべきなのか、等々。
161
:
FK
:2010/09/23(木) 19:49:20
2010年 9月14日 (火曜) ドラマ三本
日常的にあまりテレビは観ない方だ。しかし、ドキュメンタリーやドラマは、授業に使えるかもしれないということで、少しはチェックしている。
そろそろ今のクールの最終回となるのだが、土曜日に二本、日曜日に一本観てきた。
日曜日の一本は[GM 踊れドクター]。おそらく[ドクターハウス]の日本版を目指したものだろう。それに踊ることを組み合わせたところに工夫があるのだが、それが成功したかどうかは難しいところ。来週で最終回となる。
ただ、それでも本家本元の[ドクターハウス]のように、患者の病気についてスタッフがブレーンストーミングで考えていく様は見応えがある。授業でも使えたらと思う。
土曜日の二本は、まず余命ものの[美丘](みおか)であるが、人生を考える上でのいい教材になるだろう。命の大切さ、などと百万言費やすより、このようなドラマを観た方が分かりよいだろう。
いまひとつの[ハンマーセッション]は、これも来週で最終回となるのだが、ここまで観てきて気がついたことがある。ようやく気がついたというべきだが、実はこのドラマはある種のユートピアを描いているのだということ。
ドラマは毎回、いまの高校生たちが遭遇するような事件をテーマにしている。例えば万引き・援助交際・父親との桎梏・年上の女性への恋慕等々。その解決方法は、ある場合は陳腐なまでにありきたりであったり、逆に突拍子もない非現実的なものであったりして、ドラマとして楽しませてくれる(狂言回しとしての志田未来が好演)。
それらを通して、その背景にある教師と生徒たちとのやりとり・人間関係が、実は表面的なそれとはうらはらに、実に深く・あたたかく・心地よいものであり、そして残念なことに現実にはあり得ない、まさにその架空の学園とクラスと主人公の教師はユートピアであるこの空間にしか存在しえないものであることに気付かされるのだ。
大袈裟になるが、涙が出てくるほどうるわしい・あってほしいものなのだ。現実は、荒涼たる学校のありさまに、そのギャップの大きさに愕然とさせられ沈黙させられるのだ。
これもちょうど高校が舞台でもあるので、授業に使えることだろう。
162
:
FK
:2010/09/25(土) 21:29:51
2010年 9月25日 (土曜) [アマデウス](AMADEUS 158分 アメリカ 1984年)
もっと早く観ておけばよかった。こんな作品だったとはつゆ知らず、今まで放置してきていた。DVDはとっくに入手していたのに。こんなこともあるので、入手した映画はどんどん早く観ていくことにしよう。
さてなぜこれまで観なかったのか? それはひとえに喧伝されていたアマデウスのケラケラ笑いのせいである。それにより私のなかに形成された予断により、この映画を私から遠ざけさせたのだ。こんな良い映画だったのかと、後悔しきり。
内容はサリエリの視点からの回想という、さほど珍しくはない、よくある手法で展開されている。これが流れの中で時折、挿入されることでアクセントにもなり、観る側も映画の中での現実に引き戻される。
それにして悲劇はサリエリである。なまじ才能があり、そのためにアマデウスの天才を見抜くことができ、評価することができたからである。わずか6歳年下の下品な男に神は、その愛と天才を与えたのだ。
この映画は、その事実を知ることのできる能力は持ち合わせていたが、その彼を凌駕するだけの天賦は神から与えられるこのなかった男の悲劇なのだ。残酷な話だ。そして私などその音楽を楽しむだけの才しか与えられなかったものは、ある意味、幸せなのだと気付かされる。平凡であることの幸せなのだ。
アマデウスより30余年長く生きたサリエリは、どのような思いで、どのような人生を送ったのだろう。人生は悲劇であり、喜劇である。
ほぼ全編に流れる音楽を聴いていて思う。アマデウスの音楽は、生きている! サリエリたちの古くさい音楽に対して強烈に生き生きとしているのだ。彼自身は必ずしも幸せな人生ではなかったかもしれないが、その音楽は生きていることの幸せを謳歌しているといってもいいかもしれない。
もう一度、彼のすべての音楽を聴き直してみたいと思った。(もちろん、いまだ聴いたことのない曲も数多くあるだろうが。)
163
:
FK
:2010/10/13(水) 21:47:51
2010年10月13日 (水曜) [正義の味方]
すでに放映済みのTVドラマ[正義の味方]のDVDを購入し、五夜に分けて観た。驚いたことというか、気がついたことはテレビ放映ではカットされていたシーンがあるということ。つまり放送時間に合わせていくつかのシーンがカットされていたということだ。
なるほど、考えてみればそれほど不思議なことではない。余分目に撮影しておけば、いざというときにも都合がいいわけだし、それに何より脚本段階で、そうそう精緻に放映時間ピッタリに作ることは、これもまた難しいことだろう。やはり余分目に撮影しておくのが常道だろう。
そんなわけでテレビでは観られなかったいくつかのシーンを楽しむことができた。ただ問題が一つある。高いのである。この五枚組のDVDは定価で1.8万円、私の購入価格でも1.3万円ほどになる。ちなみに中国製のこの五枚組のDVDは3600円である。もちろん送料が必要でかりにそれを支払っても5000円少々で手に入るのだ。パッケージなどはおそらく日本製の方が格段に良いはずだが、もし映像としてだけなら中国製の輸入品で十分なのではないか。けちくさい話だが、こんなことも思った次第。
それにしても[正義の味方]は、面白い。主役の志田未来も山田優も、そして脇役陣もコミカルに演じていて、絶品である。役者としてみると佐野史郎がやはり上手い。向井理は滑舌というか発音の点でこれからかな、というシーンがあった。
[正義の味方]というのは現実には存在しないし、またそう簡単にあってもらっても困る存在だ。だからこのドラマはその逆説の面白味もある。
それにしても良いドラマや映画というのは、最後は脚本が上手いからということにつきるのかもしれない。
164
:
FK
:2010/10/20(水) 20:18:42
2010年10月20日 (水曜) [霊能力者 小田霧響子の嘘]
日曜の夜のTVドラマとして始まった。原作はやはりコミックとのこと。ビデオで録っていたのだが(10月10日初回分)、観るのが今日になってしまい、結果的に第二回分を見逃す。
なかなか良いではないか、授業に使えるではないか、というところ。このところ詐欺師とか嘘とかのものが目につく。まずは蒼井優の[4つの嘘]であり、[ハンマーセッション]、そしてこれ。
コメディタッチで面白く観ることができ、その中にもペーソスというか、少しホロッとさせるところが組み込まれていて、なかなかのものだ。
主役の石原さとみもなかなか芸達者。相棒(?)となる狂言回しの刑事役にはなんとついこの前[美丘]で深刻な顔した医者役であった男優。
次回からは毎週録画で観ることにしよう。
165
:
FK
:2010/10/23(土) 08:52:59
2010年10月22日 (金曜) [黄金の豚 会計検査庁 特別調査課]
水曜夜のTVドラマとして始まった。録画しておいたものを観た。篠原涼子が主役でタンカを切るシーンが小気味良いか。実際に似たようなお役所があるが、どうなのだろう。国民の税金、ということで視聴者の関心が高まればそれだけでもみっけものかもしれない。
なかなか上手く作られていて、しかも私たちにも分かりやすくしてくれている。授業にも使えそうだ。もちろん、実際にはこんな官僚たちはまず存在しえないのだが。
さらにこの主役が詐欺罪で仮釈放となっている、という設定もなかなかなもので、[ハンマーセッション]といい世の悪と戦っていくためにはなまなかなことでは無理なので、つまり素人では難しいので「詐欺師」の登場ということになるのだろう。
166
:
渦森六郎
:2010/10/24(日) 22:38:35
2010年10月24日 【Q10】
さっきYou Tubeでドラマを観ていた。
「Q10」(キュートと読む)である。脚本家が、あの名作「セクシーボイスアンドロボ」の木皿泉だったので、これはぜひともチェックしておかねばと。
高校三年生、深井平太(佐藤健)がある日学校の理科室で女の子の姿をしたロボット、Q10(前田敦子)と出会い、そこから彼女の面倒を見る羽目になってしまうという話。
まだ第一話を観ただけだが、今後の展開が楽しみである。うーん、やっぱり木皿泉は本物だ。
「みんな知らないふりをしてくれる。これって、冷たいのかな、それとも優しいのかな」「両方だよ」みたいな台詞をさりげなく入れてくる。にくい。木皿節炸裂。
「大声で叫べば必ず誰かが助けにきてくれる。それが、人間のルールです」。授業料が払えなくて、悩んでいる平太の同級生に対するQ10の台詞だ。ロボットだからこそ言える(言わせることができる)、まっすぐな台詞である。もちろんなかなか現実はそういうわけにはいかないのだけれども(と、人間の僕は考えてしまうし、ドラマの中の平太や同級生もそんなかんじのことを言う)、しかしやっぱり言っとかなければならないことである、という気がする。
ロボットという媒体を通して、我々が言いたいけれどもなかなか言えないようなことを、バシッと言ってくる。だが、決して暑苦しくなったり説教くさくなったりしない。ロボットだから、なせる業か。
というわけで、とにかく設定が巧みなのである。設定を活かしきる脚本家だと思う、木皿さんは。たぶん、活かしきって、このドラマを完結させてくれるんだと思う。Q10は何者なのかとか、わけありっぽい教師とか、生徒とか、そういった謎もちりばめてあるし、次回以降に期待できる展開である。昨今、数少ないオリジナルの脚本で、笑いと涙と寓意と警句と謎を盛り込んだ力のあるドラマになるのではなかろうかと期待している。
167
:
FK
:2010/10/27(水) 23:19:04
2010年10月27日 (水曜) [黄金の豚]第二回
今日は二回目。ラストシーンの乗り込んでタンカを切るところの脚本は今ひとつ分かりづらかった。その場への必然性にやや弱いものがあった。やはり警察相手はやりづらいのかもしれない。なら、警察相手のはもっとあとの回に回した方が良かったか。
それにあの敬礼のポーズは好きになれない。あの行為は私たちを思考停止させる。人間が馬鹿になるみたいな感じである。その装置の一つかもしれないとこれを書きながら気がついた。それは「ハイルヒトラー」を想起するだけでも十分だろう。
今日、上海から中国製のDVDが届いた。[小公女セイラ][Dr.コトー診療所][わたしたちの教科書][北の国から Vol.1-Vol.12]。
168
:
FK
:2010/10/31(日) 20:12:47
2010年10月31日 (日曜) [Dr.コトー診療所]
[Dr.コトー診療所]のDVDを観だした。今日は第二話と三話。ホロリとさせられる。どうも涙もろくなってきたのか、この手のにすぐ涙ぐんでしまう。世の中が殺伐としていて、いい話がないせいかもしれない。
それにしてもDr.コトーこと吉岡秀隆ははまり役・当たり役だ。漫画のイメージがあるにしてもベストのキャスティングだろう。看護師役の柴咲コウもいい。
吉岡秀隆といえばなんといっても[北の国から]だろう。中島朋子とのきょうだい役は忘れられない。つまり彼にはわるいが、彼の生涯でこの二作があるだけで名前が残るといってもいいのではないかと、と。それくらい、良いと思う。
それにしても、こんなにも医者が描かれるのはなぜなのだろう。かりにDr.コトーが良い医者なのだとしたら、世の中には良い医者が少ないからなのか。このドラマといい[パッチアダムス]といい、これらを観て医者を志した人は少なくないと思うが、どうなのだろう。全20枚、まだ二枚目。先は長い。
169
:
FK
:2010/11/11(木) 21:06:53
2010年11月11日 (木曜) [Q10]
「166 :渦森六郎:2010/10/24(日)」で【Q10】が紹介されていた。まったく気がついてなかったので早速録画して観てみた。1週分ではどうかと思い、2週分を(第3,4回)。
脚本家の木皿泉というのも初見で、ネットで調べてみた次第。このドラマ、評論家にも好評のようで、朝日新聞11月10日付け「きょうのテレビ」面のコラム「キュー」で島崎今日子氏が、随所にちりばめられた台詞に参ります、といったふうなことを書いている。
さて私だが情けないことに、もはやここに描かれている「高校生活」についていけないのだ。感覚があわなくなっているのだろう。
渦森氏の言う「まっすぐな台詞」も、もはや私には「濃すぎる」のだ。ふんだんに散りばめられているということは、そのドラマを見ている間ずっと緊張(謹聴)していなければならない感じになってくるのだ。これは決してくさしているわけではなく、私が他のゆるいドラマになれきっているせいだろう。観る方にも力が必要なドラマのようだ、ということ。若くないと観ることのできないものがあるという、そんな気がする。ということで白旗をあげることに。
170
:
FK
:2010/11/17(水) 23:18:39
2010年11月17日 (水曜) [フル・モンティ](THE FULL MONTY 93分 イギリス 1997年)
イギリス映画らしいイギリス映画。最後のストリップシーンは、私にとっては懐かしいトム・ジョーンズの歌声に乗ってのものだった。
欧米社会はたとえ失業しても職の流動性が高いので、日本ほど深刻ではないとの情報があったが、現実はなかなかそうはいかないようだ。やはり深刻だ。意外と救いがないのに驚いた次第。いずこの国も労働者にはきついということだ。一夜だけのショーのあと、彼らがどうなっていたのやら、気にかかるところだ。
それはともかくこの映画でも子役が良い。主人公の息子であるが、彼が狂言回しとなっている。離婚した父親への愛情も十分感じられ好感が持てた。
171
:
FK
:2010/11/20(土) 22:29:37
2010年11月20日 (土曜) [わたしたちの教科書]全12話、DVD-BOX
11月16日 (火曜)
昨日から[わたしたちの教科書]を観だした。何のことはない、いじめによる女子中学生の自殺事件のようなのだ。教科書がどう関係するのかと思っていたら、彼女のそれに「死ね」などの書き込みがあったというわけ。ドラマ展開というか構成にやや無理を感じもするのだが。
11月18日 (木曜)
今夜も続きを観る。いよいよ法廷での場面に。すさまじいものがある。そして弁護士の仕事というのがいかにダーティなものかということがよく分かる。裁判に勝つためには、清く正しくとはいかないのだ。
しかしそれにしてもよくこんなTVドラマが作られたものだ。そしてスポンサーがついたものだと思う。裁判で「いじめ」を立証するのは難しいと思う。あと4話どういうふうに展開するのだろう。
11月20日 (土曜)
全12話を見終わる。重い。人間がいて、集団ができて、そこで生活があるかぎりトラブルが起き続ける、常にそして永遠に。そんな中でも痛ましいのが、この学校でのいじめだ。ドラマは思わぬ展開をみせるのだが、そして亡くなった明日香(志田未来)の姿が親友の口から紹介されていくのだが。
雨木副校長(風吹ジュン)は、学校の問題は学校で解決する、と何度も口にしていたが、一見、そのように思わせられてしまうが、実はそうではないだろう。学校の中だけで、というのがそもそもの間違いのスタートなのだ。ただ日本社会の現状では、学校に対するそこまでの理解がないので、学校側はどうしても守りに入ってしまう。つまり隠したり、開き直ったり。
本当の意味での民主主義や個の独立が形成されないかぎり、なかなか難しいだろう。
172
:
FK
:2010/11/20(土) 22:31:44
2010年11月20日 (土曜) [リトル・ダンサー](BILLY ELLIOT 111分 イギリス 2000年)
これも炭鉱町が舞台で1980年代のイギリスはサッチャー首相の時代。古き良きイギリスが失われていく政治情勢のもとでの話。労働者階級の男の子がその才能を見いだされ苦労しながらもロンドンのロイヤルバレエ学校へ。そして十余年後、晴れの舞台に登場するところで終わっている。
ネットのコメントを見ると好意的・感動的に観ている人が多いようだ。私などはどうしてもイギリスの階級社会のくささ・息苦しさが感じられて嫌だ。日本と違い階級が違えば、そんなことは夢にも思わない、といったことになるわけだ。その点、日本は経済的な問題さえ解決できれば(これはこれで問題だが)、階級差による差別やプレッシャーはまずない。
単に成功物語として観るだけでは、この映画のことを語ったことにはならないと思う。
173
:
FK
:2010/11/27(土) 22:22:09
2010年11月27日 (土曜) [どろろ](2007年 138分)
これはいうまでもなく手塚治虫の漫画が原作のもの。妻夫木聡が「百鬼丸」を、柴咲コウが「どろろ」を。あと中井貴一・原田美枝子・原田芳雄中村嘉葎雄・瑛太・土屋アンナが登場する。
様々な評があったが、やはり私も「微妙」といっておこうか。もちろん楽しめるのではあるが、映画の常としてできあがった作品は、原作とは違うものと割り切っていないとだめだということだろう。
漫画では出てくる百姓一揆など、庶民はあまり登場しない。何よりも豪華俳優と特撮などで楽しんでもらおうということかもしれない。
身体の48カ所を魔物に奪われて生まれてくる、という異様な設定からしてその授業での利用には問題なしとしない。ただ即物的に身体的なハンディとして差別的な見方をするのではなく、一つ一つ問題・課題を解決しながら成長していくという青年の成長物語として捉えてもいいのではないかと思う。つまり48カ所を精神的なそれともみていくわけだ。
とはいえ、なかなか授業で利用するのは難しいようだ。ならば、テレビアニメではなく、こちらの実写版のほうはわりあい気安く観ることができるかもしれない。とまれ、一度は現社の授業でも紹介したいものだ。
174
:
FK
:2010/11/30(火) 17:48:18
2010年11月29日 (月曜) [心の糸]
NHKのドラマスペシャル「心の糸」(去る27日放映)を観た。番組欄で見
て、もしかしたら授業に使えるかもしれないと思い録画しておいた。何でもか
んでも授業に結びつけるのはどうかなと自分でも思うが、教師現役の間は仕方
がないだろう。
そして、これは録画しておいて良かったと思った次第。手話で話し合う母子
が主人公。小さい頃からのピアノレッスン、狭い公営住宅にグランドピアノ。
レッスンを受ける息子とそれに期待をかける母。期待に応えようとしてつぶれ
そうになる息子。そんななから新しい道へ。
手話を中心に進行するテレビドラマに接する機会が少ないので、これは貴重
な作品。授業でも紹介したいものだ。
なお12月19日夕刻に再放送とのこと。
175
:
FK
:2010/12/10(金) 20:02:49
2010年12月10日 (金曜) [クリスマス・キャロル](A CHRISTMAS CAROL 69分 アメリカ 1938年)
古いモノクロの映画。短いのでサッと観てしまう。どうしても1970年のイギリスのものと比較してしまう。そちらはカラーだし、楽しい音楽も挿入されていて、しかも改心していくシーンもなかなか凝っている。技術的にも進歩しているせいだろう。差は歴然だ。
ということで新しい方に軍配が上がるが、このモノクロのもこれはこれで味わいがあると言えよう。いずれにせよ感心させられるのは原作の巧妙さ。単純と言えば単純なのだが、キリスト教の称揚のための作品として上手くできている、と観るたびに思う。
176
:
FK
:2010/12/11(土) 20:38:40
2010年12月11日 (土曜) [秘密]
全九回のTVドラマが終了。東野圭吾の原作ではどうなってるのか、読んでないので分からないが、何か釈然としないまま終わってしまった。腑に落ちない、落ち着かない感じのままに。
最後にどんでん返しをもってきたのだろうが、それがいまいち納得できないのだ。(途中はなかなか面白い・興味深いとして観てきたのだが。)つまり全部母親である直子の演技だった、というのでは騙されたようでつまらない。母子が同じ身体の中で入れ替わる、という発想が面白いのに、最後になって実はそうではなく全部ひとりの自作自演でした、では!
しかし志田未来は良かった。すっかり大人っぽくなっていて、演技で変わるものだと思わせられる。しかもラストは花嫁姿というか、ウェディングドレス姿の25才なのである!
ただ25才に見せるために化粧が施されているが、それはあまり志田未来らしさはない。他の女性とそう変わるものではなかったのは意外であった。
177
:
FK
:2010/12/13(月) 22:34:30
2010年12月 6日 (月曜) [ハルとナツ]
[ハルとナツ]の第一話を観る。辛い。ブラジル移民は本当に「ブラジル棄民」だったのだろう。橋田壽賀子の脚本はうまいものだ。
トラホームのためナツはブラジルに行けなくなるのだが、当時はそれほどまでに恐れられていたのか。時代は昭和初期、1930年代から始まる。昭和恐慌というか大不景気の折、北海道の農民の次男三男が口減らしでブラジルへ「夢」を無理矢理(?)持たされて神戸から出発していく。
その神戸でのハルとナツの別れのシーンは、涙なくしてみられるものではない。根本的には政治が悪いのだが、この歴史状況は何とかできなかったのだろうか。
*
2010年12月 7日 (火曜) [ハルとナツ]第二話
去るも地獄残るも地獄というが、まさにそのような過酷な現実だ。北海道とブラジル。
そんな中でこんな印象的な、しかし悲劇的なシーンがあった。ハルが駅留めになっているはずの手紙を遠路はるばる取りに行ったシーンでブラジル人駅員が言う。「ここはブラジルだ。ポルトガル語で話せ」。
かつて私もフランスへ行ったとき、地下鉄で切符を買う際も同様の反応を駅員に見せつけられた。「ここはフランスだ。フランス語で話せ」、と。
日本人くらいかもしれない、外国語で話しかけられても「ここは日本だ。日本語で話せ」、と言わないのは。お人好しというべきか、優しいというべきか。しかしなんと言われようと、国際的ではないと言われようと、日本のやり方のほうがいいと思う。
*
2010年12月10日 (金曜) [ハルとナツ]第三話
太平洋戦争開戦のため、帰国ができなくなるどころか、それまでのアメリカ人地主からの借り地も追い出されるという過酷な運命が。ようやくの終戦の後もブラジルにおけるいわゆる「勝ち組」と「負け組」の対立が始まる。これはいまよく使われる意味ではなく、太平洋戦争に日本が勝ったのだと信じる人たちを「勝ち組」というわけだ。そして敗戦の現実を認めた人たちが「負け組」であった。悲惨なものだ。それまで助け合ってきた日本人同士が争うことに。
*
2010年12月12日 (日曜) [ハルとナツ]第五話(最終回)
とうとう観てしまう。感動的なドラマだ。歴史の、人々の歴史の重みがその背景にあるからだろう。
一人の生涯をその時代時代によって三人の女優で描いていくので、三代にわたる大河ドラマといったおもむきがある。実は私たちも、自分の生涯で何人かの俳優で演じられるような人生を生きているのかもしれない。
ブラジルでの大変な生活は、まさに筆舌に尽くせぬものがあるようだ。私たちは歴史の学習でその片鱗を知るしかないが、このブラジル棄民(移民)の歴史もその学習の一ページから落としてはいけないものだと感じた次第。
178
:
FK
:2010/12/16(木) 20:18:02
2010年12月14日 (火曜) [評決](THE VERDICT 129分 アメリカ 1982年)
てっきり観ていたと思っていたのだが、観てなかったようだ。どうかなと思いながら見始めたのだが、どんどん引き込まれて最後まで観てしまった。さすがに作り方が上手いということか。
ポール・ニューマンも57歳ということで、やや老いがみえるが好演。弁護士のタッチする世界は人間の欲望渦巻く世界であり、私などにはとてもやっていけない異次元だ。医療ミスをつく裁判であるが、まずは示談交渉から入り、それが決裂して裁判ということに。陪審員は12名。相手側の弁護士による反対尋問は、まさに恫喝のような物言いで、なみの神経では持ちこたえられそうにない。現実とはいえ、醜い世界ではある。映画は勝訴するのだが、苦い勝利の味がするようだ。
179
:
FK
:2010/12/16(木) 20:18:56
2010年12月15日 (水曜) [同じ月を見ている](2005年 106分 日本)
黒木メイサが出ている映画ということで検索していたら、テレビ放映されたので録画。原作はこれまたコミックであった。土田世紀。
女ひとりに男ふたり、という人間関係というか、友情関係。これまたよくあるパターンでさほど珍しくはない。そしてお定まりのように、男性ふたりのうちの片方が、もう片方にその愛を譲る、ということなのだ。屈折した愛情というか、もうひとりの男性への友情のなせるわざなのか、なかなか難しいところだ。
本当のところ、女性がどちらをより愛しているのか、はたまた男女の愛情ではなく、友情のままなのかは分からないのだが。(とりあえず結婚するようだが。)
ハードボイルドっぽいストーリー展開で、それは若者向けなのかもしれないが、私などにはもうしんどい。生前の岸田今日子の姿を懐かしく見ることができた。
2010年12月15日 (水曜) [GOEMON](2008年 128分 日本)
ロードショーの折、これを観ようか迷った覚えがある。結局、このほどテレビ放映されたもので観ることになった。ごく普通の時代物と違い、現代的なコスチュームに近代的な城郭や室内装飾、そして特撮的なアクションなどに驚かされる描き方であった。そこに面白さを感じ映画館で観ようとしたのではあったが。
最近よく見る(Q10)福田麻由子も茶々役で出ていた。大きくなってからの茶々役は広末涼子であったが、なかなか変わった雰囲気の魅力があった。
テレビではCMもあって本来の長さからかなりカットされていたようで、流れが理解できなかったところがあった。テレビ放映の限界だが、授業用に一部分を紹介するということでは、これでよしとするしかないだろう。
2010年12月15日 (水曜) [黄金の豚]
[黄金の豚]が終わった。今、見終わった。しんどい内容をかなりかーるく見せようとしていて、それなりに評価できるTVドラマであったかと思う。
最後にナレーションで現実の会計検査院へエールを送って終わってるところが、苦肉の策なのか何なのか、へーっと思った次第。またこのドラマで扱った内容は実際にあったことに基づいているとも。
台詞では「正義は腐るが、愛は腐らない」などと、なかなかのことを。
180
:
FK
:2010/12/16(木) 23:09:02
2010年12月16日 (木曜) [真実の行方](PRIMAL FEAR 131分 アメリカ 1996年)
リチャード・ギア主演で弁護士役、良い方の弁護士のようだ。この事件も国選弁護人となるところを自ら買って出て、ということに。容疑者アーロン役のエドワード・ノートンが好演というか、不気味さをよく出していた。
弁護士も教師も容疑者や生徒を信じてこそ、事が始まるところは同じだと思った。そして最終的に、騙され裏切られたりすることがあるのも同じようだ。
そういえば[相棒]にもこのようなストーリーがあったような気がする。人を信じるというのは難しいことだ。人生観の相違ということになるが、まず信じるか、まず疑うか。人それぞれであっていいと思う。私はまず信じようとするタイプのようだ。
181
:
FK
:2010/12/30(木) 16:10:59
2010年12月27日 (月曜) [JIN -仁-](2009)
二夜連続のうち、第一夜を結局、最初から最後まで観てしまう。医者ものだが、現代からタイムスリップして江戸の幕末へ、という趣向。なかなか面白い。歴史を変えてしまうかもしれないというおそれを抱きながら・悩みながらという設定。なるほどと思ったのは、自分はこの時代の人間ではないので、という建前でその今の現実を主人公・南方仁が生きていないということとその意味。死人のようだと坂本龍馬に言わせている。いつどこにあっても、その場で精一杯生きていくことの大切さを知らされる思いだ。
第二夜をビデオで観た。SFのタイムスリップものとしては、宮部みゆきの『蒲生邸事件』、荻原浩の『僕たちの戦争』を思いだす。自分がそこで何かをすることによって歴史を変えてしまうかもしれない、というスリル(?)と苦悩を感じながら展開していく。なまじ歴史を知っているものだから、どう行動すればいいのかと迷ってしまうのだ。主人公も目の前の苦しむ患者に対し、150年先の知識と技術を使っていいのかと悩むのだ。たとえばペニシリン。
このテーマは、人間が歴史を作るのだということをあらためて認識させてくれる。そして冷静に考えれば、一人の人間の行為・行動は実はさほど大げさに考えるほどのものではない、ということにも気付かされるのだ。人間の力は偉大でもあるが、その反対に些少でもあるのだ。過大視も過小視(?)もしないことだろう。
さてドラマの方は未完で、なるほど予告があったわけで、来春、完結編が放映されるとのこと。
182
:
FK
:2010/12/30(木) 16:57:17
2010年12月30日 (木曜) [扉は閉ざされたまま](80分 2008年 日本)
石持浅海の原作による黒木メイサの映画。彼女のファンにはこたえられない一本だろう。原作の小説は積ん読状態。でもこの映画を観るかぎりいろいろ疑問がわいてくるので近々読んでみたい。
テーマ的には臓器移植や児童買春の問題が出てくる。
183
:
FK
:2010/12/30(木) 22:23:31
2010年12月30日 (木曜) [ハリーとトント](HARRY AND TONTO 1974年 117分 アメリカ)
1975年に公開されているが、当時、観たのかどうか定かでなかった。今日、レンタルで観てみて、やはり観てなかったかな、と。テレビでは1980年に吹き替えで放映されているようだが、もちろん記憶はない。
さて映画は、猫が主役ということで、猫の登場する代表的な映画と言えるだろう。主役のアート・カーニーは当時56歳くらいで72歳の役を演じたようだ。そしてアカデミー主演男優賞を獲得している。
映画としてはロードムービーであり、下敷きにしているのは彼の『リア王』であろう。まず長男のところへ、次いで娘・次男と三カ所ではあるが。結局どのような選択をするのか、というところだが。
老いてからの自立という問題もあるが、私には何よりも退職後の生き方・時間の過ごし方として参考になるところがあった。いずれ私も直面するのだ。
184
:
FK
:2010/12/31(金) 23:13:26
2010年12月31日 (金曜) [きみがぼくを見つけた日](THE TIME TRAVELER'S WIFE 110分 アメリカ 2009年)
原題の通りでタイムトリップする男性と彼の奥さんになる女性とのお話。彼女の年齢でいうと6歳からスタートし、39歳頃までか。
タイムスリップが本物らしくしてある。それは消えるときに着ていた服はその場に残されていき、タイムスリップしたところには裸で登場するというわけだ。おかげでまず服を調達しなければならず、警察官に追いかけられることになるわけだが。
問題はタイムスリップを意識的に行えないことだ。いつどこへというのがさっぱり分からないので困ることになる。その子どもアルバには、ある程度、調節できるという設定にしているが。
やはり時間旅行は想像上のことだけでいいようだ。実際にあったら、それはそれは大変な事だということ。
185
:
FK
:2011/01/05(水) 23:26:46
2011年 1月 5日 (水曜) [休暇](2007年 115分)
吉村昭の小説『休暇』が原作。死刑制度、死刑囚、刑務官が主人公といえる映画か。平穏な平和な庶民の日常生活とそのささやかな幸せ、その対極にある独房の無味乾燥・非人間的なところが際立つ。死刑制度について静かに語る映画とも言えよう。
死刑については、その執行シーンが出てくるが、実際の有り様は昨年初めてその執行場所が公開されたわけで、映画では若干違っているのは致し方ない。
あえて難点を言えば、この特別な一週間の休暇というものが制度的にあるのかどうかは別として、忌引きや結婚休暇は保証されているはずで、志願して支え役をやり、この「特別な一週間の休暇」を獲得することはなかったのではないかという点である。それとは別に、日本的な休みが取りにくいという状況が背景にあるとする考え方もあるのだが。これは些少のことなので。
なお配役は刑務官に小林薫、死刑囚に西島秀俊であった。映画の中でもタバコがたくさん吸われているのが気になったが、これが現実か。もっとも小林薫は実生活でもヘビースモーカーらしいが。
186
:
FK
:2011/01/06(木) 21:58:20
2011年 1月 6日 (木曜) [HINOKIO ヒノキオ](2004年 111分 日本)
多部未華子が工藤ジュンを、[正義の味方]の本郷奏多が岩本サトル、つまりヒノキオを。これは小学高学年の子どもたちの友情物語か。父親を失っているジュン、母親を失っているサトルなど家族のこと。引きこもりのこと。TVゲームの世界のこと。友情など人間関係のことなどが描かれる。
いずれにせよロボットであるヒノキオを通して、サトルが外界と、あるいはジュンたちとふれあいながら、現実の生活に立ち返ってゆく物語だ。
ジュン役の多部未華子が、最初は男の子役なのかと勘違いさせられた。ヒノキオ(サトル)もそのように思っていたようだ。ラストは転校していくジュンと、ヒノキオ+サトルが去りゆく電車(に乗っているジュン)に別れを告げる。
ロボットのヒノキオが、見慣れるまで違和感があるが、見ていくほどにある種かわいいキャラに見えてくるから不思議だ。途中、クラスの優等生がネットでヒノキオたちロボットが戦争用に使われている、との記事を見つけ、ヒノキオがパージされるシーンもあった。たしかにロボットは今後ますます戦争に供されるのかもしれない、と不安を感じさせられた。
ちょっと面白い小さな作品であった。もちろん多部未華子ファンのための映画でもあろう。
187
:
FK
:2011/01/11(火) 19:46:45
2011年 1月10日 (月曜) [恋はデジャ・ブ](GROUNDHOG DAY 101分 アメリカ 1993年)
なかなか面白かった。なるほどジャンルもコメディになっている。二月二日、聖燭祭の一日が何度も繰り返される、というある種のタイムスリップのお話でもある。何度も、つまり朝の6時の目覚まし時計とともに同じ一日が繰り返されるのだ。したがって主人公もだんだんと学習して、その都度の対応に変化が見られるわけだ。ただ天気予報士としてテレビカメラに話しかけるのだが、何度も何度もはさすがに嫌気がさしてきて、テレビクルーともトラブルとなったり、とコメディになっていくわけだ。そしてラブロマンスもきちんとある。
しかし深読みしたら、もし毎日が同じことの繰り返しでしかないとしたら、どうだろう。耐えられるだろうか。先の事が分かっているのでギャンブルとかでは、得するかもしれないが、同じ事が毎日続く、いや同じ一日しか存在しないというのはSFであり、そして恐怖であろう。
そういった意味でなかなか面白い発想の映画だと思う。携帯電話がないと思ったら結構古い映画であった。
188
:
渦森六郎
:2011/02/03(木) 19:06:37
2011年2月3日(木) 「殺人の追憶」(2003年 130分 韓国)
韓国映画はやはり面白いのだと思った。これまで「トンマッコルへようこそ」や「息もできない」を観たけれど、二つとも当たりで、今日観たこれもすごい映画だった。
監督は、ポン・ジュノ。1986年、軍事政権下にあった韓国で実際に起きた連続殺人事件をもとに、この映画はつくられている。
田舎の農村で、若い女性ばかりを狙った連続猟奇殺人事件が起きる。捜査にあたったのは、地元の叩き上げ刑事と、首都・ソウルから派遣されてきた頭脳派刑事。全くタイプの異なる二人は、ことあるごとにぶつかり、失敗を重ねながらも、やがて真犯人へと近づいていく…。
まずサスペンス映画として、非常に面白い。130分はそれなりに長い時間だが、二転三転する犯人さがしは、最初から最後まで飽きずに観ることができた。そして、もうひとつ重要なのが、劇中の韓国は軍事政権下にあるということだろう。そういった背景も手伝って、この映画は単なるサスペンスものではない、独特の緊張感や暗さを帯びた仕上がりになっている。当時の韓国社会の、というか軍事政権下の社会の雰囲気みたいなものを感じることもできる映画であるとも思う。
189
:
FK
:2011/02/12(土) 22:37:41
2011年 2月12日 (土曜) [怪傑ハリマオ](1960年 放映日 1960/04/05〜1961/06/27 放映時間 19:00〜19:30 放映曜日 火曜日 よみうりテレビ)
今回観たDVDは[怪傑ハリマオ ソロ河の逆襲編1](75分)。
懐かしいテレビ放送だ。こうして記録を調べてみると夜7時からのゴールデンアワーの放映だったとは意外だった。子ども向けなのでもっと早い時間帯かと、そして一年以上も続いていたのも意外だった。内容はともかく、ただひたすら懐かしいの一語に尽きる。
ストーリー展開や演技・アフレコのレベルは決して高くはない(今からみればだが)。むしろ、よくこんな程度のもので毎週見つづけたものだと当時10歳の私のことを考えてしまう。もちろん楽しみに観ていたのは間違いない。
ともかく今となっては、懐かしいというのみで、小学生の自分自身に再会したような気分になれただけで十分だろう。だから全作を観ることはこの先もまずないだろう。この一枚で、納得した。そして再会も果たしたので。
それにしても三橋美智也が歌う主題歌は、名曲だ。忘れることはない。
190
:
FK
:2011/02/28(月) 21:56:32
2011年 2月28日 (月曜) [洋菓子店コアンドル](2010年 115分 日本)
蒼井優、ということで観に行ってきた。この11日に公開されていて、そろそろ終わりといったところのようで、この映画館でも今日は一日一回のみの上映。
小さくて、ちょっといい作品であった。描かれているのは、時間的にもおそらくひと月を少し過ぎたぐらい(一回給料をもらうシーンがあった)。
若者・臼場なつめの人生と中年(江口洋介)・十村遼太郎の人生が二本の大きな糸として描かれる。といっても短時間のことなので、それほど深くはないのだが。あと江口のりこの演じる佐藤マリコが脇役で良かった。主人公が引き立つにはやはり脇役の存在が大事ということだ。
劇中「職人が手を抜いたらお終い]という台詞は、耳が痛かった。しかし、何でもそうだが、仕事は大変なものだ。好きであればまだしも、そうでないとつらい。
191
:
FK
:2011/03/16(水) 23:09:23
2011年 3月16日 (水曜) [美咲ナンバーワン!!]
今夜の第10話でお終い。どんな終わり方をするのかと楽しみにしていたが、まずは穏当な、つまりハッピーエンディングにしてあった。お茶の間に登場するTVドラマだから、現実的なシビアな結末にはならないだろうとは思いつつも、であった。
いずれにせよユートピア物語だ。過去にどんな職業であったとしても、教師になってはいけないわけがない。ここでの主人公はキャバクラ嬢であった。そこからくる世間の偏見を前提にしたドラマであったが、子どもたちにはそのような偏見はなかったのかもしれない。一度、生徒たちに聞いてみたいものだ。
[ごくせん]と比べるむきがあったが、なるほど世間の偏見の目で見られるという主人公の前提は同じといえば同じだが、美咲の場合は暴力や権力を背景に持たない。この点にヤンクミとは大きな違いがある。
たしかに世の中のことは、暴力や権力なしに実効を上げることは難しい。しかし、そういった力を持たない美咲が、素人っぽく頑張るところに感動させられるのだ。
192
:
FK
:2011/03/20(日) 21:10:34
2011年 3月19日 (土曜) [ジャスティス](2002年 HART'S WAR 125分 アメリカ)
今日、午後に放映されていたもの。二時間枠でCM付きだからかなりカットされているだろう。
原題はアメリカ青年・ハートの戦いということだが、邦題の「ジャスティス」というのは少し違うような気がする。ただ昨年来のサンデル教授の正義について語ろう、というこの影響で放映作として選ばれたのかもしれない。
内容的には正義がどうのこうのというのではなく、1944年12月、ドイツ軍の捕虜になったアメリカ兵士たちのお話。収容所近くの軍事工場を爆破するのが一つの目的であったようだ。ハート自身はそれとは関係なく、利用される。あと黒人差別が軍隊内部でもひどいというところが描かれている。
それにしても、いつまでたってもアメリカという国は、ナチスドイツを糾弾するような映画を作り続けるものだ。
193
:
FK
:2011/03/28(月) 21:11:30
2011年 3月28日 (月曜) [わたしを離さないで](NEVER LET ME GO 105分 イギリス/アメリカ 2010年)
佳い作品だった。佳作である。
しかし怖い作品である。臓器移植から派生する問題は多々あるが、これは極端な例と言えるかもしれない。もちろん現実には、これは行われていないはずなのだが、もしかしたらと思わせられるところにじわっと恐怖が湧いてくる。原作を読みたくなった。
また別の角度からみると、学校というところの恐ろしさもうかがえる。まさに監獄と同じなのだ。「境界から出てはいけない」とされ、出た男子生徒は殺されて木にくくられていたし、女子生徒は学校に入れてもらえずに餓死した、と。そんな脅迫がなされている。
主演女優のキャリー・マリガンがいい。
194
:
FK
:2011/04/01(金) 22:29:24
[ごくせん](第一シリーズ 2002年 全12話)
2011年 3月12日 (土曜) [ごくせん]
レンタルDVDで、1-3話を観る。なるほど。仲間由紀恵はやはりなかなか良い。やくざと言わず任侠業としているのは、TVドラマにおけるルールだそうで。
たしかに[美咲ナンバーワン!!]に似ているところもある。それもそのはずで、作ったスタッフは共通しているとのこと。しかし、二番煎じという非難をするより[ごくせん]が良くて、その作品に対する敬意から作ってみた、としてもいいのではないか。オマージュ、というやつで。
なるほど[ごくせん]は視聴率が良かったようで、その続編も作られたわけだ。学校もののコメディなのだが、やはりこれもユートピア物語だ。
[金八先生]よりよほどいいと思うのだが、それを言うためにはこちらもきちんと観てみないと、ということ。いずれ。
2011年 3月25日 (金曜) [ごくせん]7.8.9話
[美咲ナンバーワン]で観たシーンがあった。つまりやはり[美咲ナンバーワン]はこの[ごくせん]のオマージュだということだ。
それにしてもこの[ごくせん]は脚本も演出も上手いものだと思う。さぞかし視聴率も高かったろう。仲間由紀恵の当たり作といえるだろう。
2011年 3月31日 (木曜) 夜、[ごくせん]10.11話を観る。やはり上手いものだ。
2011年 4月 1日 (金曜) [ごくせん]
最初のシリーズの最終話まで見終わる。ほんとにおとぎ話だ。現実はほんとにひどいものだから。そして私としては金八先生よりよほどヤンクミの方が良い。
ということで授業でも使いたいので、いまアマゾンで中古のVHS No.1を注文した。出てくる暴力も、喧嘩と暴力は違うということから(ヤンクミの主張)考えてみればいい。世の中は目に見える見えないの違いはあれ、所詮、暴力支配なのだから。
なかなか熱くさせてくれるドラマであった。
195
:
FK
:2011/04/15(金) 19:28:53
2011年 4月14日 (木曜) [パリ20区、僕たちのクラス](ENTRE LES MURS THE CLASS 128分 フランス)
学校ものの映画ということか。フランスというのは、やはり権威主義的な教育を基準にしているのかと感じた。規律を教え込む。日本の学校も実は同じだが、あいまいな中にそれを実現しようとしているようだ。
いろいろなことが考えられる。13〜14歳の男女24人を相手に授業での丁々発止のやりとりは面白い。あれくらい活発にディスカッションに参加してもらえれば、授業も面白い。
教師で気になったのは、生徒の教師に対する態度や言葉遣いに対する厳しさだ。私なんかだと、そんなにまでもこだわらない。一過性のものだとして見過ごすようなことまで、一つ一つ指摘し、修正・やり直しをさせる。ただ体罰といった暴力はない。
なおフランス語の原題は、「壁の間」ということらしい。
196
:
FK
:2011/04/21(木) 22:12:39
2011年 4月16日 (土曜) [誘拐ラプソディー](2009年 111分 日本)
荻原浩の小説が原作。コミカルなお話を映像化するのはなかなか難しいものだ。子役が上手い。やはり動物と子どもには、大人の俳優が食われてしまう、ということだ。
教訓的なこととしては、父子関係についての一家言があった。
2011年 4月16日 (土曜) [TOKYO!](2008年 110分 フランス/日本/韓国)
まず蒼井優の出ていた「シェイキング東京」を観る。
次いで、あとの二人の監督の分を観る。どちらも微妙、といったところ。普通に理解する、というのが難しい。
2011年 4月18日 (月曜) [真木栗ノ穴](2007年 110分 日本)
原作の小説は読んだが、きっかけはこの映画の主役を演じる西島秀俊に興味があったからだ。この俳優を知ったのは、『神聖喜劇』をあつかったテレビ番組で彼がその一節を朗読をしていたからだ。以後、最近ではTVドラマ[スクール!!]があったし、よく見てみればあちこちで出演している。
その一つがこれで、映画を観る前に原作が入手できたのでまず読んだわけだ。
いろいろと深読みもできるだろうが、まずはジャンルとしてのホラー、ということでもいいだろう。それにしても作家というのは、大変な仕事である。妄想と現実生活とを最低限両立しなければならないのだから。だから、ときに破綻を来す人も出てくるのだろう。
2011年 4月19日 (火曜) [人のセックスを笑うな](2007年 137分 日本)
やたら長い。映画の紹介を読んでみると、この井口という女性監督は、このだらだら感を好むようだ。分からないではないが、やはりやや冗長に思えてしまう。
原作の小説を読んだときもそうであったが、この題はやはり少し違和感がある。英語でも記されていて、ドント・ラーフアット・マイ・ロマンスとあるのだ。ロマンスには必然的にセックスも含むのが常識ではあるが、この題のために青年の年上女性に対する憬れ・恋心といったものを描いた小説・映画であることが分かりにくい。
なおこの映画も、まずは題に惹かれた面もあるが、何といっても蒼井優が出演していたというのが大きい。
2011年 4月20日 (水曜) [17歳の肖像](AN EDUCATION 2009年 100分 イギリス)
[わたしを離さないで]の主演女優キャリー・マリガンがここでも主演であった。ということで早速、観た次第。まもなく17歳になろうという16歳の学生役。真面目でそれ故つまらない学生生活を送る彼女の前に、秘密めいた大人の世界の魅力をその男性がもたらす。それが、あるいはそれも、原題の通り「教育」であったのかもしれない。
青春のある時期、派手な世界・バラ色の人生を夢見てしまうことはあるものだ。そこからうまく元の世界・生活に戻れるかどうかが、問題だが。
197
:
渦森六郎
:2011/04/25(月) 23:30:37
2011年4月25日 【マルモのおきて】
昨日たまたまテレビをつけていたらこのドラマが始まったのでなんとなく観ていたら、結局ぜんぶ観てしまった。
独身のサラリーマン(阿部サダヲ)が、ガンで亡くなった親友の遺児2人(芦田愛菜と鈴木福)を預かって育てる、という話。なぜか人間の言葉をしゃべる犬も登場する。この犬は何者なのかも気になる。
素直な脚本の、良いドラマだと思う。まだ1話を観ただけだが、なんだか好感がもてたので、これはちょっと「当たり」かもしれない。
あと、子役の芦田愛菜と鈴木福がおそろしく上手いのでびっくりした。この2人を観るだけでも価値があるかもしれない。
198
:
よしこ
:2011/04/26(火) 00:01:59
私もマルモのおきて観ました。
阿部さんはお芝居を見て、好きだったのと
兵庫県出身の天才子役、芦田愛菜ちゃんが出ているので
見逃すものか!!!!!と観ていました。
そしてやはり子役は素晴らしい(そして恐ろしい)なぁと思いました。
ソフトバンクのお父さんは普通に感じるんですが
あのワンコはなぜか違和感が・・・
199
:
渦森六郎
:2011/04/26(火) 00:55:52
>ソフトバンクのお父さんは普通に感じるんですが
>あのワンコはなぜか違和感が・・・
声の違いですかね。僕もソフトバンクのおじさん声のほうがしっくりきてると思うし、好きです。
下手に可愛くしようとすると、駄目なのかもしれません。
200
:
FK
:2011/04/26(火) 21:05:46
マルモのおきて、はまた出遅れてしまいました。まだ観てません。5月1日の第二話からみてみます。
2011年 4月26日 (火曜) [アメイジング・グレイス](AMAZING GRACE 2006年 118分 イギリス)
これは大英帝国を賛美する映画だと、つくづく思った。見終わったとき、ある種の感動と悔しさから涙が少々。
人口が少なく国土も狭く資源もない国が、どのようにして栄華と繁栄を誇れる国になり得るか?
それは搾取しかない、と大英帝国の歴史は教えてくれるのだ。それが奴隷貿易であり、植民地政策であり、その巧妙な外交政策なのだ。
小ピットの名前はかろうじて覚えていたが、ウィリアム・ウィルバーフォース(岡田准一に似ている?)という奴隷貿易廃止に尽力した政治家は初耳であった。いろいろ問題はあっても、このような猪突猛進型の政治家は貴重な希少な存在だ。こんな人間が存在しうるところに大英帝国の強さがあるのだろう。日本にはいない、と慨嘆してしまう。
授業で黒人奴隷については映画[アミスタッド]を使っているが、この映画では奴隷貿易船の内部や黒人奴隷に使われていた鉄の鎖なども見ることができる。そしてその船の悪臭も画面から想像されるように描かれている。
(2006年の映画なのに日本公開が今になってしまったのはなぜか? ただちょうどこの時期、日本の政治がある意味ぼろぼろなので、絶好のタイミングでの公開ともいえるか。)
なお題名にもなっているこの人口に膾炙した曲は、映画の中で二度ほど、効果的に出てくる。
201
:
FK
:2011/06/08(水) 21:54:56
2011年 6月 8日 (水曜) [東京原発](110分 日本 2002年)
前々から気になっていた映画。見ず転で購入。まずまずの作品だった。いやもう少しほめてもいいだろう。いま折しも福島原発事故以来、様々な情報を獲得しているので、この映画における説明が的確であることがうかがえるのだ。しかもコメディになっているところがすごい。
核ジャックのところはややトーンダウンする。むしろ動きの少ない都庁会議室でのやりとりがいい。これはひとえに実力ある役者たちのおかげだろう。たいしたものだと思う。
それにしてもこのタイミングで、この映画は是非授業でみせたいと思う。
202
:
FK
:2011/06/14(火) 18:31:07
2011年 6月13日 (月曜) [ヒトラーの贋札](DIE FALSCHER、 THE COUNTERFEITER 96分 ドイツ/オーストリア 2007年)
収容所でのユダヤ人を描くものの一つということになるか。敵対国の経済撹乱のために贋札を大量に印刷するというもの。まずポンドであり、ついでドルであった。このナチの作戦に協力することを良しとしないブルガー(原作者でもある)と他のユダヤ人との葛藤が描かれる。そんな中で冷静に(一度だけその冷静さを失わしめるほどの仕打ちを受けたのだが)強かに生きるのが主人公のサリーである。
贋札工場(?)でも常に音楽が流れていたが、それは実際なのか、映画だからなのか。重苦しい内容だから、そのように多用されたのかもしれない。
どうしてこんなにも易々とユダヤ人たちはやられてしまったのだろうか。この歴史の勉強も必要だし、してみたいとも思った。
203
:
FK
:2011/06/14(火) 18:40:51
2011年 6月14日 (火曜) [奇跡](128分 日本 2011年)
[誰も知らない]の是枝裕和監督の新作。映画評(日経新聞夕刊)でも星五つ(満点)ということで期待して観てきた。
ひとことで言うと、その世界にのめり込むことはできなかった。もう少し丁寧に、その世界に浸れるようにしてほしかった。
九州新幹線の開業に合わせての映画ということで、3月12日(土)の初日、その上りと下りの一番列車がすれ違うときに何か(奇跡)が起こるということから映画の題名は[奇跡」なのだ。なんともベタな題名だなと思う。もっとベタにするなら[九州新幹線の奇跡]か。HPによると決して九州新幹線のプロモーション映画ではないと記されている。しかしやや長く感じられる鹿児島中央駅前のカットなど、やはりそのきらいを感じてしまう。
それにしてもやはり映画制作の自由度が制約されてしまっているのではないか。いろいろごちゃごちゃして不自然な感じや訳の分かりにくいところも私にはあり、残念なことに冷ややかに観てしまう自分自身であった。私の前席の老夫婦は後半の途中で帰ってしまった。
原因はこの主役である子役にもたれかかってしまったからではないか。かれらにゆだねすぎて監督の仕事ができてなかったのではないか(素人が偉そうに言うのだが)。彼ら前田兄弟は演技のしすぎで(柳楽優弥とは逆で)、それが功を奏したとは私には思えなかった。小器用な子役が自然でない演技を演じていたような感じだ。彼らが悪いのではなく、そこはやはり監督の責任だろう。残念な一作であった。
あと[スタンド・バイ・ミー]のオマージュなのかなと気が付いたが、HPによるとやはりそのようだ。それと「奇跡」の意味として、家族四人が一緒に生きていけること、といった素朴なささやかなことが実は「奇跡」なのだということ、そんなふうにあった。そのとおりだと思う。そういえば山田太一のTVドラマ[ありふれた奇跡]を思いだす。
204
:
FK
:2011/06/28(火) 11:48:19
2011年 6月28日 (火曜) [鈴木先生]全10話
昨夜の放送で終了。ラストシーンはどうなるのかと少しやきもきさせたが、やはりTVドラマの常としてハッピーエンドであった。そして教師をやってる人間には「だから教師はいいものだ」と思わせ、これから教師になりたいと思っている人には大いなる期待をもたせるものだ。
10週間にわたったので初期のころのは忘れている。原作の漫画のほうは、全11巻中、二巻まで。これから残りを読んでいきながら、TVドラマのことも思いだし、いろいろと考えてみたい。
この[鈴木先生]は、これからの時代の教師像の一つの典型かもしれない。
205
:
FK
:2011/07/06(水) 23:05:32
2011年 7月 6日 (水曜) TVドラマ[ブルドクター]が始まる。
なかなか面白い。お気に入りの志田未来も今日のところは端役だがしっかり存在感がある。主人公の二人の女性はそれぞれに面白い。それにしてもなかなか社会性のある問題を取り上げている。つまり不審死というか変死というかで、解剖されずに済まされる例が日本では大多数ということ。この人権を尊重されることのない日本らしい実例である。それに対する警鐘ともなるかもしれない。大いに期待したい。
206
:
FK
:2011/07/07(木) 23:22:41
2011年 7月 7日 (木曜) 新しいTVドラマ[それでも、生きていく]第一回をみた。
主人公のふたりのキャラは浮世離れした感じでスタートしていて、これは何が始まるのか、といったところだった。それがだんだんと彼らの関係が分かり、背景となる事件のことが分かっていき、重くなっていった。もちろんフィクションとしているが、神戸の少年Aの事件が、そこにはあると思われる。被害者の父親はその後の一生を悔いの中に生き、そして死んでいった(柄本明が演じている)。瑛太は殺された女の子の兄であり、やはりその日の悔いを残しながら、今を生きている。一方、加害者側の家族たちも少年Aの家族であるというだけで、数々の憂き目(父親が投書により会社を馘首される等)にあっていく。女主人公(満島ひかり)は、少年Aの妹であった。
207
:
FK
:2011/07/09(土) 22:36:00
2011年 7月 9日 (土曜) [ドン・キホーテ]
新番組。これまた重い社会性のあるテーマを扱ったTVドラマだ。見始めるまでは、山中恒の『おれがあいつであいつがおれで』のようなものとおもい、期待してなかったのだが、そしてこの二人が入れ替わるシーンはなかなか難しく、ちょっと無理っぽかったのだが。
しかし見ていくうちに児童虐待という悲しくも重い、解決の困難な事象を扱っていることが分かり、引きこまれていった。重い内容であるからこそこの二人の人間(児童福祉司とやくざの組長)がセットされたのだろう。一方はインテリでひ弱なタイプであり、法を遵守する枠内にいる人間である。もう一方は人間の汚さというか現実を知り、法を遵守していたら何ごとも動かない・できないことを熟知した人間であり、実力行使を是とする人間だ。
私たちも日常、法治国家に住みながらも、法の無力さや無意味さに切歯扼腕・隔靴掻痒の思いをしているわけだ。それをドン・キホーテよろしく、この二人は、互いにやむを得ず協力し合って、ある種の解決を模索するのだ。現実には不可能なようなことをやっていくのではないか、今後も。ただ題名のドン・キホーテのごとく、それは見果てぬ夢であることは予測されるのだ。つまり最初から、かなうことはないユートピアを描いていくドラマなのかもしれない。
松田翔太は[イキガミ]とは大違いの雰囲気。それが高橋克実の組長と入れ替わると、眉根にしわを寄せ、がに股歩きでいかにもという雰囲気を出している。
授業で使えそうなのは、虐待された6歳の子の言い分・母親に対する情を訴えるシーンとか、児童相談所がどのような活動を大変な中しているか等々。
208
:
FK
:2011/08/24(水) 20:56:53
2011年 8月23日 (火曜) [東京物語](136分 1953年)
言うまでもなく小津安二郎の代表作、原節子が出ていることでも有名な作品。今回、初めてきちんと観ることになった(部分的には、紹介されたものを観ていた)。
カメラアングルやカットの余韻の長さ、モンタージュするシーンの選択などなるほどと思ったり違和感を感じたりと、いろいろあった。
人物の話し合うシーンは定石として次のように撮っている。人物Aと人物Bが出会う。話が始まるとまず人物Aをカメラ正面で撮りながら話をさせる。次いで人物Bをやはりカメラ正面で撮りながら話をさせる。そして次に両者を一画面に入れた状態の斜めからのアングルで撮る。長くなると両者を別の角度から撮る。さらに長くなるとふたたび人物Aを正面から、次いで人物Bを正面から、そして両者を、という具合だ。
私が強く違和感を感じたのは、カメラ正面からの撮り方だ。役者が相手の役者に対して話しかけるのではなく、カメラに向かって話しかける。カメラに話をさせるのだ。観客を正面に見据えてしゃべるということになる。私たちは初め、これを観てドキッとさせられることだろう。余程の意図がないかぎり観客に話しかけるようなカメラ目線をとる映画は少ない。どうもこれが私には強い違和感をもたらし、偉そうに言うなら成功していないと思うのだ。
原節子も正面からまともに見るよりも、やや斜めからの顔の方がより美しく見える。さらに何にもまして大事だと思うのは、そのほうがより自然な表情で演じられるということだ。当の役者はどう感じていたか分からないが、それが小津独特の方法だとしても私にはいまいちであった。
とまれ、カットの切り替えが頻繁であり、撮影にはずいぶん時間が掛かったことだろう。
ストーリーとしてはきわめて単純で、ある意味「リア王」的な感じもした。実の子どもたちではなく、義理の嫁がいちばん優しく対応してくれるというところ。そして妻の葬儀のあと最後まで尾道におり、彼女の東京への帰京をもって映画は終わるのだ。それはまた、映画の最初のシーンに戻っているともいえるのだが。
ともかく今はまだ見終わったばかりなので、これからまた考えてみたい。日本映画の歴史の中で最高峰といわれる作品なのであるから。
209
:
渦森六郎
:2011/09/29(木) 01:47:55
2011年9月28日(水)
「美しい夏キリシマ」と「父と暮せば」
今日は授業サボって池袋の新文芸坐という名画座で二本立て観てきた。
この映画館では、最近亡くなった原田芳雄の特集をずっとやっていて、今日はその最終日。
映画の前に、柄本明・佑親子(そっくり)のトークショーがあった。柄本明けっこう好きなので、これは嬉しかった。
今日は「美しい夏キリシマ」と「父と暮せば」の二本立て。いずれも黒木和雄監督。
「キリシマ」は、終戦間際の宮崎県霧島が舞台。そこに住む地主(だと思う)一家と周りの人々の人間模様。柄本佑のデビュー作。原田芳雄は主人公(柄本佑)の祖父役で出ている。
「キリシマ」もなかなか良かった。だがその後で観た「父と暮せば」。これがすごい。
こちらは1948年の広島が舞台。被爆した父娘の話。父を原田芳雄が、娘を宮沢りえが演じている。
被爆し、大勢の友人を失いながらも、自分だけが「生き残ってしまった」ことに罪悪感を抱き続けながら生きている宮沢りえと、そんな娘を見守る原田芳雄(じつは彼には秘密があるんだが、それは観てのお楽しみ)。この映画は、ほとんど全編、二人の会話だけで進んでいく。
なのに、引き込まれた。台詞と、二人の俳優の力。本当に素晴らしい。
泣きました。鋼鉄の涙腺を持つ男と言われた僕が。高校時代に友人たちから「ドライ」と言われて顰蹙を買ってた(笑)僕が。びっくりした。映画を観て泣いたのは、小1以来のことだ。
まあこんなすごい映画に泣かされたのなら本望です。
「父と暮せば」のような、「生き残ってしまった」と思っている人々に語りかける物語は、たぶんこれから長い間必要とされることになるだろう。未曾有の震災があったのだ。悲しいことではあるけれど。
とりあえず、このへんで終わり。僕がつたない感想並べても、あんまり意味はない。とりあえず、観てください。「父と暮せば」。
210
:
FK
:2011/09/29(木) 07:18:35
2008年12月30日 (火曜) [父と暮せば](2004)
広島の原爆を扱った作品だった(知らなかった)。原作は井上ひさしの戯曲。
二人芝居か。宮沢りえが好演、父親役は原田芳雄。
原爆で生き残ってしまった(!)人たちの苦悩を描いたものといえるか。生
き残り、さらに自分だけが幸せになっていっていいのかという自問が、自らを
苦しめる。まさにトラウマか。
それを解消(?)させるのに、亡き父親が亡霊となって(?)登場し、四日
間、二人で対話しながらそのトラウマを解消していく、という筋立てなのだろ
う。原爆を扱った佳品・佳作として推奨したい。
211
:
渦森六郎
:2011/09/29(木) 11:10:00
すみません、過去のスレッドをチェックしていませんでした。かぶっちゃいましたね。「父と暮せば」。
212
:
FK
:2011/09/29(木) 13:19:10
重複はまったく問題なしでしょう。一覧性のないブログだし、いいものは何回も見たりしますし、そのつどその時々の感動を書き連ねることがいいのではないでしょうか。
「美しい夏キリシマ」は知ってはいますが、そして好きな石田えりが出ているので見たいとは思っています。また、いずれ。
213
:
FK
:2011/09/30(金) 18:02:30
2011年 9月29日 (木曜) [ラストキング・オブ・スコットランド](THE LAST KING OF SCOTLAND 125分 アメリカ/イギリス 2006年)
悪名高いウガンダのアミン大統領を描いた作品。軽薄な青年医師が政治に巻き込まれていき、多くの犠牲のうえに何とかウガンダを脱出するところまで描かれている。
一概にアミン大統領たちを非難することはできない。彼を利用した白人と白人国家の責任は重大だ。しかし、これが歴史の現実なのだろう。歴史のプロセスとして必ず通過しなければならない過程なのかもしれない、残念ながら。
観ていて不愉快になる内容だが、無理してでも観ておくといいということか。
214
:
FK
:2011/10/01(土) 22:11:01
2011年10月 1日 (土曜) [英国万歳!](THE MADNESS OF KING GEORGE 111分 イギリス/アメリカ 1994年)
この手の映画は基本的に嫌いだ。無理して観た。
ラストシーンでジョージ3世が息子に言う。すべて、これに尽きるだろう。
「私たちは家族のモデルになるのだ 笑顔を見せ 手を振れ 幸せに見せろ それが仕事だ」
215
:
FK
:2011/10/03(月) 21:49:03
2011年10月 3日 (月曜) [英国王のスピーチ](THE KING'S SPEECH 118分 イギリス/オーストラリア 2010年)
[英国万歳!]同様、これまた好んでは観たくない映画。ある種、政治宣伝映画なのだから。
この映画から何を感じ、何を得るかは、もちろん各人の自由だが、この手の映画が流行る・人気があるというのは私にはあまり面白くないところだ。たとえ、それらがすでに過去の「歴史」となっていても。
ロイヤルファミリーを必要とする国家・国民というのは、私はノーサンキューだ。
一つ、中味とは違う話だが、どんな表現なのか聞き取れなかったところをチェックしたかったのだが、このレンタルDVDには英語字幕が付いてなくて残念であった。販売用のには付くのだろうか。
216
:
渦森六郎
:2011/10/08(土) 01:27:09
2011年10月7日(金)「ヒポクラテスたち」(126分 1980年)
監督は大森一樹。
京都の医大生たちの、卒業するまでの最後の一年間を描いた映画。彼らの日常を、ときにユーモラスに、ときにほろ苦く描く。
主演の古尾谷雅人がとても良い。堺雅人と松田優作を足して二で割ったような、飄々とした演技が魅力。恥ずかしながら、古尾谷氏のことは先ほどこの映画を観て初めて知った。観たあとでちょっと調べてみると、2003年に45歳で自殺している。あまりにも若い。惜しい。
ともかく、『ブラックジャック』と並ぶ医療モノの傑作ではないかと思った。
ちなみに、手塚治虫本人が一瞬出演している。それを探してみるのも面白い。
217
:
FK
:2011/10/08(土) 06:46:48
2011年10月 8日 (土曜) [ヒポクラテスたち]
懐かしい映画が紹介されました。痛切というか哀切というか、そんな思いが今でも残っています。数年前、授業でもとおもいVHSのそれを購入したものです。
それにしても私がかつて観てきた映画を、次の世代(?)が、あとを追うように観ていくなど、歴史を感じさせられます。
218
:
FK
:2011/10/27(木) 20:33:58
2011年10月25日 (火曜) [ラストマネー 愛の値段]
全7話、終了。「生命保険の正体」などとホームページに書いて大丈夫なのかと(NHK)。この問題も触れてはならないタブーであったのかもしれない。
そもそもどうなんだろう、この「生命保険」というもの。これがあったおかけで助かった人もないことはないだろう。しかし、このようなものが世の中に存在することによって、犯さなくてもいい罪を犯し、殺されなくてもいい人が殺されているというのも事実だ。
保険というものの成り立ちからすればどうなのだろう。本質はいずれにあったのか。ひとえに使う側にかかっているということなのだが。あと何より気になるのは、若者がなにも考えずに安易に生命保険に入ってしまうことだ。
それにしても最後の愛、そしてその愛の値段が、保険の金額ということか。
このドラマも社会に一石を投じるものであったといえるか。
219
:
FK
:2011/11/08(火) 20:08:18
2011年11月 8日 (火曜) [弁護士のくず]TVドラマ 全12話 2006年の再放映
シリアスになりがちなこの手の法廷ものを豊川悦司が弁護士・九頭(くず)として、真面目一筋の新人弁護士(伊藤英明)とコンビでおちゃらけながら展開していくというもの。
人生というものは、必ずしも真面目に事に当たるだけでは解決できないということ。多角的に、つまりより人間的にその事象にあたらなければいけないということ。そんなことを大人のドラマとして描いている。
キャバクラが毎回出てくるのも、大人向けのサービスかもしれないが(?)、授業でみせるにははちょっと困るシーンでもある。途中から九頭が我が子と目される女の子を預かることになり、父娘としてドラマに変化を出している。母親こそ出番はないに等しいが、世の中というのは大人だけで構成されているわけではない。子どもの存在を忘れてはいけないということだ。
ドラマ中、何度も九頭に正義や真実が必ずしも裁判で勝つわけではない、と言わせている。裁判に勝つことと、ものごとの真実や正義がいずれにあるかは、残念ながら違うということだ。私自身、一時、弁護士志望になりかけたことがあるが、やはり向いてないようだった。教師でよかったと思っている。
220
:
FK
:2011/12/06(火) 16:49:40
2011年12月 3日 (土曜) [ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実](ONE DAY IN SEPTEMBER ブラック・セプテンバー ミュンヘン・テロ事件の真実(DVD題) 91分 スイス/ドイツ/イギリス 1999年)
1972年のミュンヘンオリンピックの時の事件。イスラエルの選手村が襲われ選手たちが殺されたもの(11名)。犯人は8名。そのうち生き残った三名が事件後ハイジャック事件の取引で解放される(裏取引か)。そして内二名はイスラエルによって暗殺(?)され、最後の一人が映画に登場し、語る。
表面的に事件をなぞるだけでは真実は見えてこない。マシンガンによる遺体はさすがに正視できるものではないようで、ぼかしが入っていた。血まみれの床、散乱した物などはその凄惨さを物語る。
政治というのは非情なものであり、その主体である国家にすり寄る者は簡単にその命を奪われてしまう。犠牲として本人の意志とは別に捧げざるをえなくさせられるのだ。特にオリンピックという国家的名誉を担う人たちはなおさらだ。気の毒とはいえ、国家から利用されることは自明のことであったわけだ。
客観的に考えたら犯人たちの要求であるイスラエルとドイツにおける政治犯二百数十人の解放は簡単なことだ。しかしイスラエル国家は歯牙にもかけないのだ。何が大事なのか! 何を守ろうとするのか。
このパレチスナとイスラエルの問題の黒幕である国は、息をひそめたまま何も語らない。そこにこそ目を向けなければならないのだが。授業でも使いたいものだ。
221
:
FK
:2012/03/03(土) 22:02:20
2012年 2月21日 (火曜) [ミリオンダラー・ベイビー](MILLION DOLLAR BA
BY 133分 アメリカ 2004年)
おなじみクリント・イーストウッドの監督作品。ボクシングというものにか
ける情念の違いを感じる。ボクシングの魅力(魔力?)が貧しいものたちを駆
り立てるかのようだ。自ずからそのプロセスは悲愴であり、その結末は悲惨と
なるのだ。見ていて辛いものがあるが、映画の中で言わせているように、それ
なりの彼らなりの幸せというものがそこにもあるのだ。いや、そう信じなけれ
ばやっていけないということ。
教会に通う主人公がおり、神のことも出てくる。最後の決着への伏線とも言
えようか。あとアイルランド系ということで、ゲール語とか緑色のガウンとか
が出てくる。
222
:
FK
:2012/03/13(火) 22:01:23
2012年 3月13日 (火曜) [イヴの総て](ALL ABOUT EVE 138分 アメリカ 1950年)
なんといっても主役のベティ・デイヴィスが貫禄だ。この女優を最初に知ったのは映画[八月の鯨]であった。最晩年の作品。それに比べれば当時40才過ぎであり、さらに若いときの写真を見ると迫力のある美人であった。
ストーリーは凄まじい。大女優と言えども人間であり、人間的な悩みや不安にかられる。一方、若くてこれからのし上がっていこうとする女優は、手段を選ばない。嘘偽りを巧みに使い、人に取り入っていく。もちろん、そうするしかないのかもしれないのだが、悲しいところだ。そしてラストシーンは、同じ手段でのし上がっていこうとする女優の卵が、鏡の前で悦に入るシーンなのだ。
223
:
FK
:2012/03/20(火) 22:07:22
2012年 3月20日 (火曜) [僕と彼女とオーソン・ウェルズ](Me and Orson Welles 2009年 イギリス 114分)
結構面白かったが、日本未公開。日本の映画ファンならおなじみのオーソン・ウェルズなのにどうして、劇場公開されなかったのだろう。
しかし芸というか、芸術というのはある意味残酷なものだ。他人の容喙をゆるさず、ひたすら己が信ずるところを邁進していくわけだ。そして、その成功の陰には、死屍累々。
主人公の彼はまだ何も知らない高校生、まもなく18才になろうというところ。大人たちに囲まれて翻弄されているということになるか。
オーソン・ウェルズが言ってた台詞に「客は役者の本音を見抜く」(主旨)というのがあったが、その通りなのだろう。私ごときでも授業に対する姿勢など、生徒たちはすっかりお見通しということだ。やはり一生懸命やらないとだめということか。
224
:
FK
:2012/04/16(月) 10:36:14
2012年 4月15日 (日曜) [獣医ドリトル](TVドラマ 全9話 2010年)
再放送を録画しておいて。これもまた原作はアニメ。
それにしても「獣医はビジネス」がキャッチフレーズというか、口癖のように何度も主人公に言わせている。もちろん「獣医もビジネス」の一つに相違ないのだが、そう言わざるを得ないところに、飼い主や一般の我々のペット観の問題点が浮き彫りになるということか。
「獣医はビジネス」というわりには、結構、真面目な作品であるといえる。
動物をそれこそ人間のペットとして、慰みものとしてしか考えないような人が多いということ。小学生のイノシシに対する話(第6話)で出てきたように、猫かわいがりで本当のところを理解できてない例。安直に安楽死をさせようとすること、等々。
「命を大切に」と声高に言っても効果がないのは自明のこと。実際に動物たちとの付き合いをすることによって学習でき理解できていくのかもしれない。
225
:
渦森六郎
:2012/04/18(水) 21:24:15
2012年4月18日(金)「アーティスト」(2012年 フランス 101分)
現在公開中の作品。
この時代に、あえてのモノクロ&サイレント映画。面白かった。
舞台は、ちょうど映画がサイレントからトーキーへと移行する1920〜30年代のハリウッド。
サイレント映画のスターだったジョージは、トーキーへの変化についていけず、あくまでサイレントにこだわり、没落していく。それに反して、かつて彼が見いだした新人女優ペピーは、トーキー映画のスターとして大女優への階段を上っていく。しかし彼女は自分を見いだしてくれたジョージのことを忘れてはいなかった…。
シンプルなストーリーで、テンポも良い。映画のお手本のような作品だった。そして、サイレントからトーキーへと移行した当時の感覚を、我々に追体験させてくれるつくりになっている。これはDVDではなく、劇場へ足を運んで観たほうがいいだろう。
226
:
渦森六郎
:2012/05/01(火) 21:46:55
2012年5月1日(火)「リーガル・ハイ」
フジテレビで放送中のドラマ。古沢良太脚本、堺雅人主演。
詭弁をあやつる不敗の弁護士が主人公の法廷ドラマだ。堺雅人のコメディアンぶりが素晴しい。
それにしても、弁護士は大変な仕事だと思う。ストーカーだろうとクレーマーだろうと、とにかくどんなメチャクチャな要求をする被告であれ、とにかく依頼されたら弁護しなければならないのだ。どうにかして、その人が無罪であるという理屈を組み立てなければならない。
そのあたりをコミカルに描いている古沢脚本の上手さも見所。
227
:
FK
:2012/05/18(金) 10:29:16
2012年 5月14日 (月曜) 今、放映中のドラマから
一番は[リーガル・ハイ]だ。初回は堺雅人という役者の演技に参ってしまい、なじめなかったが、今は楽しめるし授業でも使えそうと思っている(著作権や日照権)。
授業でといえば、[開拓者たち]はもちろん、[カエルの王女さま]もなかなか良い台詞がある。前者は国家というものについてじっくりと考えさせてくれ、後者は人生に対する向かい方について応援してくれる。
娯楽としては[鍵のかかった部屋]がいい。一緒になぜ密室かと考えられるのもいい。同じ推理ものでは[三毛猫ホームズの推理]には期待していたのだが、残念だった。事件といえば[家族のうた]が視聴率の低さから途中打ち切りになるとのこと。実はこれは一度も見なかったのだが。
ドラマの主役を誰がやるかということは、それこそ視聴率のポイントにもなるのだろう。[開拓者たち]の満島ひかり、[カエルの王女さま]の天海祐希、[テンペスト]の仲間由紀恵。さらに武井咲の[Wの悲劇]、剛力彩芽の[未来日記]、谷村美月の[たぶらかし]などもいい。
単発ものでは宮部みゆきの4つの小説がドラマ化され放映中。尺が長いのだが、授業でも使えたらと。
今年の私の授業は、あいにくと世界史がなく、逆に現社・政経・倫理が結構あるので、視聴覚教材としてはヴィヴィッドなテーマでは「クローズアップ現代」、「海外ネットワーク」が役立つ。そして生徒たちの興味をひきつつ様々な問題を考えていくきっかけになるのがTVドラマである。
今、放映中のものはもちろん、再放送ものや昔見た映画などからもどん欲に教材になるものをチェックしている。一例をあげるなら[ドラゴン桜]や[女王の教室]のそれぞれ第一回の数分間のシーン(いずれも先生の台詞だが)を、それこそ第一回目の授業、なぜ勉強するのかといったテーマで見せた。
現社・政経ではあと昨年の[家政婦のミタ]を初めとして、[クロサギ]・[ラストマネー]・[ティーンコート]などといくつも授業で取り上げたいドラマがある。日本社会の現実や諸相といったものを知るのに役立つだろう。
日本史Aでは[開拓者たち]や[坂の上の雲 二〇三郄地]・[タイムスクープハンター]などもある。沖縄のところで[テンペスト]も使えるかもしれない。
228
:
FK
:2012/06/10(日) 20:57:58
2012年 6月 9日 (土曜) [深呼吸の必要](123分 2004年)
長田弘の詩集の題名を映画の題名にしている。
それぞれ何か屈託を持った・持たざるを得なくなった人たちが、あたかも吹き寄せられるかのように南の島に集まってくる。仕事はサトウキビの収穫。
香里奈が主役級だが、あと長澤まさみがまだ16,7才で高校生役で出ている。
ある意味日本的な映画だ。収穫作業が期限に間に合いそうにない状況下で、世話になっている老夫婦のために頑張って仕上げるというところ。良いところとしては、人間がダメになりそうな時、自然のもとに一旦回帰することが必要というか大事だということ。そういったことを暗示する。ただそれぞれの登場人物の過去や屈託はあまり紹介されない。観る者の想像力にまかせるのだろう。
229
:
FK
:2012/06/27(水) 07:52:52
2012年 6月26日 (火曜) [リーガル・ハイ](TVドラマ 全11話)
今夜で終了。前回から公害問題であったが、最終回はその一年後、その折の内部告発者についての裁判で、しかもこれまで一緒にやっていた古美門研介に対し、新垣結衣が敵側に回るという設定で面白くしてある。現実的な弁護士というものについて分かりやすくていいかもしれない。
つまり事の是非・真犯人かどうかが問題なのではなく、金を積まれて依頼されたらその依頼人の利益のためにのみ頑張る、というわけだ。社会正義の実現でも何でもない。当然、私利私欲の一語に尽きるわけだ。
ともかく真面目に誠実にコツコツやっても世の中では通用しないと痛感させられる。法律を味方にし、他人を徹底的に攻撃していかないことには裁判をはじめとして世間では「勝つこと」はできないということだ。正義がいずれにあるかはほぼ関係ないと言うことである。
最後の弁論で新垣結衣に理想論を言わせているが、あっさり敗訴。人間の欲望・執念の強い方が、そして徹底的に人を信用しない者こそに勝利の女神がほほえむということを思い知らされるのだった(私たち視聴者も)。
ということで、後味の悪いラストであったが、それにもめげずに新垣結衣扮する黛弁護士は頑張っていくところに救いがあるといえばあるのかもしれない。何にせよ教育の世界に生きる私などにはとうてい太刀打ちできることではない。
今期TVドラマのなかでもっとも見応えのあった作品であった。もっとも最終回は、「やはり、そうか」と現実の厳しさを突きつけられるものではあったが。
230
:
渦森六郎
:2012/06/27(水) 17:55:34
2012年6月27日(水)『リーガル・ハイ』について
傑作でしたね。
僕もこのドラマには色々と考えさせられたので、感想を書き留めておきたいと思います。
もちろん、最終回の裁判だけに関して言うと、あの企業による報復人事は不当であり、あきらかに内部告発者(田畑智子)は気の毒な被害者です。
しかし、あの裁判の結末は、法というものが健全に機能した証でもあったと思います。もちろん法は万全ではない(ドラマよりも残酷な泣き寝入りの事例はいくらでもあると思います)。しかし、最後に古美門(堺雅人)が言っているとおり、我々人間にはいまのところ法に依拠して、徹底的に論理的になることしか、「間違い」を小さくする方法はないのだと思います。
黛(新垣結衣)的な「正義」や「道徳的な正しさ」や「情」は、一歩間違えると場合によっていかようにも解釈が可能なとても不確定かつ危険なものです。最近の橋下人気や公務員バッシングや「絆」という薄っぺらなスローガンなどは、「情」の負の側面が表出したものだと僕は見ています。法や理屈が、暴走した「情」に押し切られて機能停止してしまった時、最終的に現れるのが、ファシズムなのではないでしょうか(「情」の暴走の危険性については、同じ古沢良太脚本の『鈴木先生』でも描かれていました)。
古美門の「理」、黛の「情」、いずれも諸刃の剣であることには間違いない。ただし、どちらが「まだマシ」な剣かと考えた時、僕は前者を選びます。
『リーガル・ハイ』が描いていたことは、「現実の厳しさ」ももちろんそうなのですが、それ以上に、「徹底的に論理的に物事を考えることの重要性」だったのではないかと思いました。
231
:
渦森六郎
:2012/07/29(日) 02:07:19
2012年6月27日(水)『おおかみこどもの雨と雪』
『時をかける少女』『サマーウォーズ』の細田守監督の最新作。
現在公開中なので、これから観に行く人もいるだろうから、内容にはあまり触れないけれども、これは傑作。
「おおかみおとこ」と恋に落ちたヒロイン・花が、彼との間に生まれた2人(2匹?)の子供を育てる話だ。
朝ドラ『カーネーション』と並んで、21世紀的な想像力の先駆けになる作品ではないだろうかと個人的には思った。
232
:
渦森六郎
:2012/08/30(木) 22:52:45
2012年8月21日(火)『桐島、部活やめるってよ』
現在公開中の作品。
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『クヒオ大佐』の奇才・吉田大八監督の最新作。原作は、朝井リョウの同名小説。
とある高校のバレーボール部キャプテン・桐島が突然退部したことによって何らかの影響を少しずつ受けていく高校生たちの様子を描いた群像劇である。
原作小説を読んだ時はあまり印象に残らなかったのだが、映画は吉田監督によって換骨奪胎された新たな『桐島』になっていて、非常に面白かった。まるでそのへんの高校に定点カメラを設置したかのようなリアリティと、鼻血が出るほどの映画的興奮。
神木隆之介、大後寿々花、橋本愛など、出演陣がまた素晴しい。日本映画界の未来は明るい!と叫びたくなるほど。
まだ8月だが、ひょっとするとこれは今年1番の作品に出会ってしまったのかもしれないと思った。
233
:
FK
:2012/10/02(火) 12:42:12
2012年10月 1日 (月曜) [歩いても 歩いても](STILL WALKING 114分 2007年)
是枝裕和監督作品。本の方は買ってあったのだが未読。先にテレビ放映されたものを。
こんな作品だったのかと。佳品。カットも少なく(数分、おそらくエンドロール)ほぼ丸々放映されたようだ。昔の映画を知っていたら、この作品がそのオマージュなんだろうなと。家族を描いた作品の現代版。
阿部寛と夏川結衣のコンビがここでも見られる。また監督とYOUも[誰も知らない]で。YOUと樹木希林との会話・演技も細かく、そのやりとりが面白い。
ちょっと難しいけど、観ておいていい作品だろう。
「人生は、いつもちょっとだけ間にあわない」という台詞が印象的か。
234
:
FK
:2012/12/18(火) 22:41:49
2012年12月15日 (土曜) [ドクターX 〜外科医・大門未知子〜](全8話 2012年)
米倉涼子の人気で視聴率が高いのかなと思っていた。最終回を見終わった今、少し違うことを考えた。彼女の外科医としての行き方は、まさに破天荒で日本社会ではとても受け入れられがたいものがある。しかし彼女はその実力と人生観で堂々と生き抜いていく。嫌なものは嫌と言い、おかなしなことはおかしいと言い、すべきでないことはせず、すべきであることは何があっても遂行する。
そんな生き方に視聴者は拍手喝采するのだろう。ということは、みんなも今の日本社会のあり方が決していいとは思っていず、むしろ彼女のようなあり方こそが本当なのだ分かっているからかもしれない。(実はみんな本来あるべき理想を持っているのだということに気付かされたことは収穫であった。)
そうはいっても誰でもがそのように実行できるわけではない。そこでこのドラマでスッとして、また明日からはこの現実の中で生きていくしかない、となるのかもしれない。
235
:
渦森六郎
:2013/07/05(金) 17:54:19
2013年7月 5日 (金) 『立候補』(100分 2013年)
下北沢の小さな映画館で観た。
選挙において「泡沫候補」と言われる人たちを追ったドキュメンタリー作品。「スマイル党」総裁のマック赤坂氏を中心に2011年の大阪府知事選挙(「大阪維新の会」の松井一郎氏が圧勝した選挙)を戦った「泡沫候補」たちの人間像が映し出される。
「泡沫候補」と言われながら、野次を浴びながら、それでも300万円もの供託金を支払ってまで、負けると分かっている選挙に出続ける人々。我々は彼らを笑う。「変な人だなあ」と。しかし、そもそも「マトモ」とはどういうことか。人気のある政治家なら「マトモ」なのだろうか。立ち上がることも、声を上げることもしない我々に、彼らを笑う資格があるのだろうか。この作品は、そして登場する人々は、そんなふうに観客に問いかけ、頭の中を引っ掻き回してくる。
この映画を観たあとは、もう彼らを「泡沫候補」などと呼ぶことはできなくなるだろう(もちろん、それは彼らに票を入れるとか、彼らに賛同するとかいうことではないけれども)。
印象的な場面をひとつ挙げておくと、マック氏が「同じ供託金300万円を支払っているにも関わらず、メディアにおける候補者の扱いに差がありすぎる」と選挙管理委員に抗議するシーン。日本の選挙システムは「実質的な制限選挙」と言われるが、そのことを端的に表しているシーンだった。他にも見所はたくさんあったが、あまり書いても楽しみがなくなってしまうので、このくらいで。
笑えて泣ける、そして「常識」を揺さぶられる、傑作だった。
236
:
アンリ
:2014/04/14(月) 16:31:30
2014年 4月7日(月)
白ゆき姫殺人事件
上映時間:126分
原作は湊かなえさんの「白ゆき姫殺人事件」です。
この映画は、人の死というものから始まる、現代社会の闇が描かれていると思います。
私はこの映画を観て、恐怖を感じました。
それは、この映画がTwitterというSNSの社会が描かれているからです。
顔が見えないSNSという世界では、誰もが被害者になりかねないからです。
そして、誰もが加害者になりかねないという恐ろしさが潜んでいるからです。
顔が見えないだけに、人の本性というものが露わになるからだと思います。
それと、この映画は女性の裏の顔が描かれていると思います。きっと誰しもが、あるものなのでしょうが、その裏の顔がこの映画ではキーパーソンになっていると私は思います。
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