これらの知見は、より大きな患者集団で臨床試験として確認する必要があるが、今回の成果から、がん免疫療法の主要な副作用の1つが糞便移植によって治療できる可能性が明らかになった。
Fecal microbiota transplantation for refractory immune checkpoint inhibitor-associated colitis
We report the first case series of immune checkpoint inhibitors (ICI)-associated colitis successfully treated with fecal microbiota transplantation, with reconstitution of the gut microbiome and a relative increase in the proportion of regulatory T-cells within the colonic mucosa. These preliminary data provide evidence that modulation of the gut microbiome may abrogate ICI-associated colitis.
論文情報:【ACS Central Science】Photo-induced ligand release from a silicon phthalocyanine dye conjugated with monoclonal antibodies; A mechanism of cancer cell cytotoxicity after near infrared photoimmunotherapy
関西医科大学の清水(小林)拓也教授らの研究グループは、京都大学、熊本大学との共同研究により、プロスタグランジン(PG)の受容体の立体構造を世界で初めてX線結晶構造解析によって解明した。PGが関与する急性・慢性炎症やがんなどの様々な疾患に対する、有効性が高く副作用の少ない治療薬が期待される。
PGは、特異的な受容体に結合して急性炎症の発赤や熱感、腫脹、痛みなどの局所反応から、発熱、倦怠感、食欲不振などの全身反応まで幅広く関与する。アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬は、PG合成酵素を阻害することで、生理活性物質である一連のPGの生合成を抑えて効果を発揮する。近年は、PGの慢性炎症作用やがんへの作用が注目され、基礎研究ではアスピリンによる様々ながんの発症・進展の抑制作用が報告されている。現在、受容体を基盤にPGの良い作用を促進し、悪い作用を抑制する選択的な薬物「スーパー・アスピリン」の開発が期待されている。
研究では、まず昆虫細胞を用いてPGの一つであるPGE2の受容体(EP3とEP4)を大量に発現。次に、EP4に対してはPGE2-EP4シグナルを阻害する抗体をEP4に結合させ、「脂質立方相法」と呼ばれる方法を用いて結晶化した。さらに、京都大学と千葉大学が開発した「理論的耐熱化予測法」を利用し、結晶の分解能向上に成功。EP4拮抗薬が結合したEP4と抗体の複合体の立体構造とPGE2が結合したEP3の立体構造を解明した。
今回、多くの薬物の開発が期待されている標的分子・プロスタグランジン受容体の「形」が原子レベルで解明された。今後その立体構造を基に慢性炎症、がん、精神疾患などに対して、有効性が高く副作用の少ない治療薬の探索・設計が可能になると期待される。
論文情報:【Nature Chemical Biology】Ligand binding to human prostaglandin E receptor EP4 at the lipid-bilayer interface
北海道大学は11月7日、新規がん治療法である光免疫療法の治療メカニズムに関する研究を行い、光免疫療法では、近赤外光が狙った細胞上にある「デス・スイッチ」をONにして選択的に殺すことができることを証明したと発表した。この研究は、同大大学院薬学研究院の小川美香子教授(JST戦略研究推進事業さきがけ研究者兼任)、米国国立がん研究所の小林久隆主任研究員らの研究グループが、株式会社島津製作所、名古屋大学高等研究院・大学院医学系研究科の佐藤和秀S-YLC特任助教(JST次世代研究者育成プログラム)らと共同で行ったもの。研究成果は、米国の「ACS Central Science」に掲載されている。
Inovioは、がんと感染症の治療を変革するDNA免疫療法およびワクチンの発見、開発、商品化に重点的に取り組む後期バイオテクノロジー企業である。Inovio独自のプラットフォーム技術は、次世代の抗原シークエンシングとDNAデリバリーを応用し、標的疾患に対する免疫反応を活性化する。この技術は生体内でのみ機能し、標的の疾患と病原体に対する強力で完全に機能するT細胞と抗体反応を、絶え間なく活性化することが実証されている。Inovioの最先端臨床プログラムであるVGX-3100は、HPV関連子宮頸前がんの治療薬として第3相試験に入っている。また、HPV関連がん、膀胱がん、膠芽細胞腫を標的とした免疫腫瘍プログラム開発が第2相試験中で、B型肝炎、ジカ、エボラ、MERS(中東呼吸器症候群)、HIV用のプラットフォーム開発プログラムもある。パートナーおよび共同研究者には、MedImmune、Regeneron、Roche/Genentech、ApolloBio Corporation、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウィスター研究所、ペンシルベニア大学、パーカーがん免疫療法研究所、CEPI、国防高等研究計画局(DARPA)、GeneOne Life Science、Plumbline Life Sciences、ドレクセル大学、国立衛生研究所(NIH)、HIV Vaccines Trial Network、国立がん研究所、米軍のHIV研究プログラム、ラバル大学が含まれている。詳細については、https://www.inovio.com を参照。
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