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はじめましてマイセルフネットワークです

13知的障害関係者:2012/11/13(火) 00:15:31
■娯楽ではなくケアとしての性
荻上 事業は具体的にどのように進めていきましたか。

坂爪 はじめは「傾聴サービス」を東京で開始しました。これは、キャバクラからヒントを得たものです。キャバクラは、基本的に、若くて綺麗な女の子と、お酒を飲みながら、楽しく会話ができることを売りにしている業態ですが、この、キャバクラの「売り」である、相手の話を親身になってきく=「傾聴」というコアの部分だけを抽出してサービス化し、さらに、今の社会で最も傾聴を必要としているであろう、高齢者向けサービスとして展開すれば、社会性のあるサービスにできるのではないか、と思いついたんです。

つまり、「性産業の社会化」事業を始める前の試作として、「キャバクラの社会化」をやってみよう、と考えたわけです。

実際にやってみると、高齢者の話を聴く側=リスナーをやりたいという人が殺到して、メディアでも取り上げられました。でも3年ぐらいでうまく回らなくなりました。

荻上 その失敗の本質は本にも書かれていましたね。

坂爪 はい、利用者が全く集まらなかったんです。リスナーを応募してくる人自体が、誰かに話を聞いてほしい人だった。つまり、会話をしたい人にとっては、お金を払って自分の話を聞いてもらうより、お金をもらって誰かの話を聞くほうが、会話もでき、お金ももらえて、一石二鳥です。当事者のニーズを掴むのもなかなか難しいんだなと痛感しました。

荻上 そのときはどうやって人を募集したんですか?

坂爪 ウェブサイトに広告ページを作ったり、地域の公民館でチラシを配ってもらったり、雑誌の取材を受けて記事を書いてもらうといったことを主にやっていました。

荻上 利用料はどれくらい?

坂爪 スタッフと利用業者が話し合って決め、仲介料を払うという形式です。

荻上 なるほど。それから、射精介助の事業に至るまでには、どのような経緯があったのでしょうか。

坂爪 とにかく障害者の性に関する情報を集めようと思って、まずは、このテーマに関する情報サイト作りをはじめました。「障害者の性」や「性の介護」について、文献を集めて情報をアップし、現場にもぐるためにヘルパー2級の資格も取得。訪問介護の会社で半年間アルバイトして、現場のデータを収集しました。

荻上 そのとき集めたデータで、ニーズは確かにあると。

坂爪 ニーズを確信したというよりは、バイト先では夜の8時から朝の6時まで、おむつ交換をしてまわったので、同じ陰部に対するケアであるおむつ交換を応用してやれば、うまく事業を回すことができるんじゃないかという、システム面での気付きがあったというのが一つ、です。

また、その会社の「高齢者の尊厳と自立を守る」という経営理念からも、性のケアを「障害者の性欲処理」ではなく、「障害者の尊厳と自立の保護」という観点から捉える、という新しい視点を得ることができ、とても参考になりました。

障害者専用の風俗店の調査も行いましたが、所在地や代表者氏名は全て非公開であり、利用者も、実際にいるかどうかわからないところが大半でした。

そして、最も疑問に思ったことは、「障害者専用」と銘打っているにもかかわらず、利用対象となる「障害者」の定義や区分を明確にしていない、つまり「誰のための、何を目的としたサービスなのか」が、完全に曖昧になっていたところです。

当然、身体障害と知的障害では、性に対するニーズも、ケアの方法も異なりますし、同じ身体障害という区分の中でも、先天性の障害と、中途障害では、また別のケアが必要です。にもかかわらず、そういった点を明記しているところは全く無く、ただ「障害者であれば誰でもOK」と宣伝しているだけ。つまり、障害者福祉の現場を全く知らない人が、思いつきでやっているだけ、といった状況でした。

そうした様々な先行事例の研究をしていくうちに、障害者にとって、「性的娯楽や、性欲処理のための支援」ではなく、「ケアとしての性的支援」が大事であることに気付き、ホワイトハンズでは、自力での射精行為が困難である、男性重度身体障害者に対象を絞った「射精介助」に焦点を当てたケアサービスをやろうと決めました。


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