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百物語改め四十四話ラジオ

329名無しの百物語さん:2009/09/01(火) 00:26:04 ID:SO8Ru5cs
37/隙間さん

僕が少し前に体験した話をしようと思います。
いきなりですが、僕の家系には霊感が強い人は一人としていません。
しかし僕には兄と弟がいて、兄は神経質なとこもあり、何故か霊感が強いのです。
そんな兄が部屋を替えてから、しきりに深夜に起きてくるのです。
僕は夜型なので、よく起きてて分かるのですが。

ある日、珍しく家族全員で食卓を囲んでいるとき、兄は咄嗟に言いました。
「霊がいるんだよ。」
と。
家族全員で、その発言には大爆笑でした。しかし兄の顔色は変わることなく、淡々と話し始めたのです。
「あらゆる隙間から何か白い靄が見える。」
と。
さすがに笑えなくなりました。
しかし僕は興味津々だったわけもあり、兄から直接色々な話を聞いたのです。
ただ面白いとだけ思って聞いていたので、僕は兄の話す「あらゆる隙間から見える白い靄」を「隙間さん」と呼んで、学校の友達に話したり、楽しんでいました。
そして数日後にはもう「隙間さん」の話しをすることもなくなり、兄も笑うようになっていたので忘れかけていました。

そんなとき、僕の携帯電話が夜遅くに鳴りました。
電話は特に仲が良かった女友達からでした。
中学卒業以来だったので話には花が咲き、いつの間にか深夜を迎えていました。
僕は、その友達が霊を恐がると知っていたので、「隙間さん」の話をしたのです。
案の定、その友達は泣き始め、僕は楽しくて仕方がありませんでした。
深夜にも関わらず、大きな笑い声をあげている中、兄が起きた音を久々に聞いたのです。
「あぁ、悪いことをしたな…」
などと思い、兄に謝りに部屋を出ようとすると
「出るな!!!!!」
と普段からは考えられない程の似合わない怒声を兄があげたのです。

兄を尊敬している僕は、素直に言うことを聞いて布団の中に戻りました。
兄が部屋に戻る音が聞こえ、多大な疑問が残る気持ちを抑えながら電話越しの友達に謝ろうとしたら、電話は切れていました。
「明日、謝るか。」
と思って、開きっぱなしの窓に手を伸ばすと、窓際にある本棚から白い腕が覗いていました。
もちろん驚きを隠せる訳もなく、僕は尻餅をついてしまいました。
そして白い腕を凝視している内に、混乱は恐怖に変わっていました。

しかし目を離すことができずにいると、白い腕が這いながら覗いてる部分を広くしていっているのです。
やがて肘らしき関節が見え、
「あ、やばい」
なんて思っている内に、今度は肩まで見えるようになり、しかし僕にはどうすることもできず、ただ腰を抜かして見つめているしかできませんでした。
そして髪らしき黒い部分が見えてきて、
「あ、あ、」
なんて心の中で言っていると兄が音もたてずに部屋に入ってきたのです。
兄は得体の知れない何かに僕より近付き、ずっと目を向けていました。
すると何かは、ゆっくりと窓際の壁と本棚の奥へと入っていったのでした。
兄は何も言わず、そこで雑魚寝をし始め、腰が抜けていた僕も、いつの間にか眠っていました。

恐くて部屋で寝れない気持ちに整理をつけた後日、兄に話を切り出してみましたが、
「お払いに行ってきた。」
とだけ言って、あとは兄の異様な雰囲気に何も言えず、それで終わりました。
それから数日経っても、あの時の何か、もとい「隙間さん」は現れませんでした。
しかし、あれから兄は家族と一緒に食卓を囲むことはなくなりました。
それがまた恐くて仕方ない毎日です。


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