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百物語改め四十四話ラジオ

249その:2009/08/31(月) 21:53:01 ID:KUA7elBk
25/花子さん

小学校5年生の冬でした。
当時、「花子さん」や「人面魚」など、小学生が喜ぶ怪談話がブームでした。
私と友人も例外ではなく、お昼休みに「トイレの花子さん」を試したくなりました。
というのも、私の母校には怪談エピソードが多く、
「音楽室のピアノが勝手に‥‥」
「肖像画がちがう‥‥」
などエピソードが多かったのです。
だけど昼間だし、人も多いし、まさか、と思っていました。
私の母校では
「3階女子トイレのドアを32回たたくと花子さんがでる」
というのがルールです。
まさかと思いつつ、でも怖いからトイレの中に入らず、出入り口に一番近いドアを32回ノック。

コンコンコンコン…。

シーン。

ほらね、何もないよ、と言って帰ろうとした瞬間。
一番奥の扉が、キー‥‥パタ‥‥、と動いたのです。

私たちが叩いたのは、一番手前。
開いたのは、一番奥。

一番奥は、用具入れの扉です。
もちろんほかに、人はいません。
手前から奥まで、3個の個室を挟んでいました。
一瞬、友人と顔を見合わせ、一目散に教室へ。
ほかの友人に一部始終を話し、今度は10人以上で、同じトイレへ向かいました。
そして同じ状況で、同じことを試してみました。
でも、扉が開きません。
気のせいだったのかな、 と笑って帰ろうとしたとき。

「○○ちゃん(私の名前です)、 背中に手のあとがついてる!」

私の真っ白なトレーナーの真ん中に、人の手とは思えない、もみじのような形をした手跡が残っていたのです。

泥のような茶色で、とがった指先。
アンバランスな指の長さ。
そして、影が残るほど強く押された跡でした。
もちろん、そんなに強く押された覚えはありませんでした。


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