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8thgin yats\etaF 1 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/25(金) 23:15:101.表現を逆にする 2.肯定文を否定文(またはその逆)にする 3.名詞を入れ替える 4.キャラを入れ替える 5.突然場面を切り替える ※名前欄かメール欄に入れ替わったキャラ、あるいは元ネタの場面のどちらかを入れる事 前スレ 7thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1126791828/ 過去スレ 6thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1121553839/ 5thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1115519595/ 4thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1109402588/ 3thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1105058355/ 2thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1100704160/ 1thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1092275302/ 関連スレ 月姫ネタ総合スレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1062166843/ (型月と関係ないキャラとの入れ替えはこっちで) 【型月・竹箒】月姫のセリフを改造するスレ【総合】http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1064922153/ (セリフだけを改変する場合はこっちで) 体は剣で〜を改変するスレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1075780913/ (UBWの呪文だけを改変する場合はこっちで) 自作SS・絵晒しスレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1074693014/ (文章の多くをオリジナルが占める場合はこっちで) あと、原文を探すのに役に立ったり立たなかったりするスレとして お気に入りの台詞を上げるスレ ※ネタバレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1062860575/
2 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/25(金) 23:25:35乙カレイドルビー
3 名前: ざぶーんへの道 投稿日: 2005/11/26(土) 02:31:14 「あ。そうだ、セイバーも連れて行っていいかな」 またとない機会だ。 こんないいこと、俺だけではつまらない。 「……どういうこと?それ」 「だって、ひとりじゃつまらないじゃないか」 「ひとり……?」 「だからみんあんでぱーっと華やかにやろう。セイバーだけじゃなく、桜やライダーも呼んで」 我が家の面々を指折り数える。 「イリヤの常冬の城も温泉はあっても、ああいつも寒いんじゃプールはないだろうし、誘えば喜ぶかも。 あ、そうなると藤ねえも呼ばないとへそを曲げるよな、ふむ」 「ちょっと、衛宮くん」 「ああそうか、気がまわらなくて悪かった」 「はぁ、気が回らないにも程があるわよ」 「美綴や蒔寺たちも呼べってんだな。もちろんさ、賑やかなのはいいことだ」 「ちがうでしょ、この唐変木!」 「む、なんだ、片付けもちゃんとするから俺たちがプールで遊んでいる間、遠坂はずっと家の中で休んでてくれていいんだぞ?」 「――――――」 何が気に入らないのか、むーっと黙り込む遠坂。 「あー……うん、確かにちょっとうるさくはなるかも。でも、折角のプライベートプールだろ?まわりの迷惑を気にせず騒げるんだから、羽目を外して外じゃできないコトも色々やっちゃえるワケだし」 公共の場ではできないもんな、プールの中でやったり、乱交パーティーしたり。 おー、考えただけで楽しくなってきた。 「な?ちょっといいだろ、そういうの」 「わけないでしょーーーーーっ!何考えてるのこのケダモノーっ!!!!!」
4 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/26(土) 02:50:27うは、いいケダモノ。
5 名前: ライダー→黒セイバー『not,』 投稿日: 2005/11/26(土) 04:39:46 堕ちた騎士の王が地に身を横たえている。 午前二時。 或る一つの、殺し合いが終わった。 舞台は大聖杯を擁する、深山の大空洞。 空を揺らす哭き声がここまで届いてきている。 「――――――」 乱れた呼吸を正しながら、彼女は聖杯について思考する。 彼女の目的は、ただひとつ、この願望機の入手だった。 二度目の聖杯戦争。 その過程、予知しえない異変(イレギュラー)によって、彼女は主を裏切り黒の聖杯に鞍替えしたのだ。 そこに、特別な感情はない。 国を守る為に戦うと決めた時、彼女は決まって機構になる。 感情を停止させ、最善である方策を行うだけの機械と化す。 なので、この夜の少年との戦いも、彼女にとっては面白くもなければ詰まらなくもない、ただの過程(そうじ)に分類される。 ……なのに。 一体いつから、それ自体に、意味を見出していたのだろう。 「――――――、――――――」 乱れた呼吸を整える。 主が自分に課した使命は、少年の崩壊によって完了した。 後は身体の回復を待つだけ、どちらが勝とうと関わりなく聖杯は私が手に入れる。 それでこの世界が滅びようと。 自身の願いを叶える。いつだって敵国の犠牲を許容したように。ブリテンを守る為ならばこの身が地獄に堕ちても構わない。 ……ソレは自らの迷いで反転した騎士王。 ただ一つの信念の為に他の自分を棄却する。 「―――、え?」 だから、不意をつかれた。 登場人物はもう全員出揃ったのだから、もう誰も出てこないと思っていた。 だから―――広間にふらりと現れた少女に、 (■■■がバーサーカーから守った少女) 彼女は、激しい憎悪を感じたのだ。 「………………、ハ」 戸惑いと殺意はすぐ消えた。 確かに彼女も関係者だった。 それがたまたま、イレギュラーで聖杯から弾かれただけの話だ。 余計なことをされては困る、それにしても■■■に救われた命を大切にしないとは。 必殺を誓う。 聖杯の前に立ち塞がる、くだらない障害だったと彼女は認識し、 「―――よくはないわ。 貴女がどのような英雄で、これがどのような状況であろうとも。貴女は、■■■を殺したのよ」 塞ぐ予定の口が、歌うように、彼女の罪を告げていた。 「――――――」 立ち上がった。 傷は塞がりきらず、どくどくと、どくどくと。
6 名前: ライダー→黒セイバー『not,』 投稿日: 2005/11/26(土) 04:41:41『あ―――ああ、あ―――』 喉がはりつく。 乱れた呼吸が酸素を求める。 見ていると目眩がする。 ああ、なんて醜い、ヒトのカタチを象っただけで自身を勘違いしているクダラナイニンギョウ―――! 「……堪えがきかないのね。我慢できないのなら、どうぞ好きにして結構よ。 だって―――自分でも解っているから、私に襲いかかるのでしょう?」 胸を裂く声。 ……そう。まだこの胸には感情(よぶん)がある。 なのに彼女は、それをなかったことにして、もう目の前に在る聖杯だけを考えていた。 『―――、……』 違う、と首を振る。 薄汚れた髪が灰のようにのたうち回る。 彼女は、必死に。 サーヴァントとして当然の行為だと。自分の譲れない願いがある、と訴えた。 「譲れない願い……貴女は子供の駄々をまだこねてるの? 大した欺瞞ね。貴女はこれっぽっちも、それが正しいなんて感じてないクセに」 切開して、王の内にこもる少女を外気に晒させる。 ……そう。彼女は、自身の願いが間違っていることに気づいている。 ――置き去りにしてきた物の為にも、自分を曲げる事は―― 「まあ、立派な国の奴隷(サーヴァント)ね。 けど―――その迷いで、貴方は自分のマスターを裏切った」 『っ、――――――!』 大気は猛毒。少女は一歩ずつ踏み寄ってくる。 足ではなく言葉で。距離ではなく心を。 認め始めている彼女に、最後の杭を打とうとする。 「……何度も繰り返して、いい加減疲れたでしょう。 ここで楽にしてあげる。正直、私の中の"彼"も飽き飽きしてきたところだし」 虚空から現れた投影(つるぎ)が射出される。 狙いは正確。騎士王は血と肺腑をまき散らして串刺しにされる。 「認めなさいセイバー。 ……貴女は、本当は嘆いている」 (この運命を、恨んでいる) 「貴女は、本当は喜んでいる」 (あの撃ち合いを、楽しんでいた) 「貴女は、単に」 (別に、何の理由もなしで) 「間違った願望以上に、シロウの方を大切に思ったのよ」 騎士王は倒れない。 黒い甲冑は、血で黒く黒く染まっていく。 「機械に徹したところで、奪った命の重さは変わらない。 目を伏せたところで、無くなった命は消え去らない。 フタを閉めたまま生きていたら―――いつか、自分の想いさえ間違えてしまう」 『ッ、――――――!!!!』 目障りだった。 この人形が何者かなど気にならないぐらい、目障りだった。 だから、黙るように殺した。 暴発寸前の、星の剣を解放した。 歓声をあげそうになった。 この少女は―――今まで手にかけてきたどんな人間より、八つ当たりして気持ちがいい……! フレアは空洞そのものを消滅させて駆け抜けていった。 もうこれで喋れまい。 そう安堵して、もうこれ以上は殺せないのだと残念に感じて、 「……これで理解できたでしょう。 サーヴァントは、サーヴァントに相応しい場所に戻りなさい」 『――――――』 ようやく。 ■■■を守りたくて守りたくてたまらなかった、自分の本心に気がついた。
7 名前: ライダー→黒セイバー『not,』 投稿日: 2005/11/26(土) 04:44:26 それはすこしまえのおはなしです。 せいはいというたからものをさがしてせかいを旅するおうさまはある日、せいはいがあらわれるという殺し合いにさんかしました。それはふたり一組でなければ、さんかできなかったので赤毛のしょうねんとかのじょは契約をかわしました。 そう、おうさまはなんとおんなのこだったのです。でもおうさまはおうさまです。みなにきらわれるほどかんぺきにおうさまをこなしていました。それはもうりゅうよりもつよいのです。 けれども、しょうねんはおんなのこが傷つくのがいやだったのでおうさまをかばいました。 『いや、そういう事じゃないんだ。なんというか、初めてセイバーの素顔を見たっていうか、セイバーがちゃんと女の子なんだって実感できて、良かった』 それはおうさまが、うまれてはじめていわれたことばでした。 『これから一緒に戦ってくれるか。俺にはセイバーの助けが必要だ』 なんてすばらしいのでしょう。 おうさまはとてもよろこんではりきったのです。 あなたのつるぎになると。国にすべてをささげていたおうさまはそういったのです。 おうさまはさみしくなくなりました。 せいはいを巡るたたかいもじゅんちょうでした。おうさまはひゃくにんりきでがんばります。 とちゅうからゆらゆら漂う黒いまじょがあらわれましたが、おうさまには問題ありません。なぜなら、赤毛のしょうねんがいたのですから! 『すまない――――シロ、ウ』 ですが、なんととちゅうでおうさまはまけてしまったのです。 おはなしとしてはだめですが、ころしあいなのだからしょうがありません。赤毛のしょうねんはおうさまがしんじゃうところもみれませんでした。 そして、おうさまはしぬまえに黒いまじょののろいにかけられてしまいました。のろいのちからはまじょのしもべになるというもの。しぬこともゆるされないのです。 さいごにおうさまは力をふりしぼって。 そういえば、ここには。 まだ果たされていない誓いがあるとおもってしまいました。 おうさまとしょうねんのたたかいはここでおわりです。 そのさきにはどうしようもなくかなしいおはなししかありません。
8 名前: ライダー→黒セイバー『not,』 投稿日: 2005/11/26(土) 04:46:21「は―――はぁ、は―――」 乱れた呼吸で、血まみれの手のひらを見る。 真っ赤で真っ黒。 せめてもの救いはこれが全部自分のものだということだろう。 「………………………………なに、を」 呟く。まだコトバが発音できたのが、未練のようで苛立たしい。 「………………………………わかりきった、コトを」 ぼんやりと、薄くなっていく手のひらを見つめる。 ……そんなコトは分かっていた。 霊核が潰されたのだから座に帰る。 この醜い泥の姿で、自分の末路は、そういうもので終わると。 ―――対峙は約束されていた。 彼女がそれでも聖杯を望み、少年が聖杯を救うことを望んだ時、この終わりは決まっていた。 『―――アーチャーの剣。私の剣を真似ないのですか、シロウ』 その結末(きおく)を、彼女は知らない。 結果が出た時には、心の鎧に閉じ込めていた。 だから、苦しくはない筈なのに、 『――――どうして。俺は、おまえと戦えてる』 たぶん、そうだったんだろう、と。 考えるだけで、両目をえぐり取りたくなる。 『……やってみなくちゃ判らない。次はもっと強く打ち込む。あと五回の内、一度でもおまえを上回れば、それで』 アンリマユの受肉を前に、自ら■■■たちは現れた。 ■■■は聖杯を救う為に、この死地へとやってきた。 『■■■。余力を残してどうするのです』 ■■■は歌うように。 以前と変わらぬ親しみを込めて、私に悪態をつく。 『――――セイバー、おまえ』 私は不満そうに。 以前と変わらぬ厳しさを以って、■■■に忠告する。 『■■■。貴方にとって、私はその程度の存在ですか』 ぎゅっ、と■■■は瞳に力を入れる。 最後の切り札を以って私を打倒する為に。 人の手に余る奇蹟を、愛する聖杯を救う為に成し遂げようと。 『――――投影、開始(トレース・オン)』 ―――少年は想う。 何かもかもが零れ落ちていく中で、ただひとつ忘れなかったものを。 『……なんだ。ここで死んだら何にもならない、なんて事はなかったんだな』 無くしたものは戻らない。 この最果ての国の少年の家で、穏やかな日常を過ごすのだと夢見た彼女は、少年の最強の必殺に最高の一撃で応じ、 『セイ、バー――――…………!!!!!!』 過ぎ去った日々は戻らない。 この泥の底辺から抜け出して、いつか彼と黄金に似た草原を駆け抜けるのだと夢見た彼女は、かつてのように懐かしい声をかけ、 『は……あ――――強くなりましたね、■■■』 返答は、ない。 愚直なままの少年は、こうして、 〈最後まで、美しい剣のアリカタで〉 生きたまま、鋼の機構となった。 別離をへた剣と担い手は、こうして、互いを殺しあう悲劇(けっか)となったのだ――― 「ぁ――――――あああ、あ―――」 何に憧れていたんだろう。 何を持っていたかったんだろう。 大切なものが許されなかった彼女だから、ユメだけは必ず守ってきたというのに。 殺してしまった今では/変わり果てた今では、 これっぽっちも思い出せない。 「――――――は―――あ―――」 消滅は止められない。 このままでは最後に残った聖杯さえ得られず消滅する。 あるいはこの身を犯した泥が聖杯と認定されるかもしれない。 そうなれば戦場を駆けた騎士王ではなく、少年を殺しただけの剣士として守護者になるだろう。 「――――――」 浸蝕は止められない。 ……どうしようもないし、どうでもいい。 魂だけとなって、堕ちこんでいく。
9 名前: ライダー→黒セイバー『not,』 投稿日: 2005/11/26(土) 04:49:19「―――、………………」 “彼女”の意識が途絶えていく。 ……やり残した事があった気がするが、もう届かない。 彼女はおとなしく、聖杯探索の終わりに合わせて、目を閉じようとして――― 「…………、誰だ?」 見知らぬ何かが、自分を覗き込んでいる事に気がついた。 「……私が見えるのか? ―――そうか。オマエも、負けたのだな」 ソレは、どこかで聞いたような、初めて聞くような声で、安堵するように呟いた。 嘆息を含んだ口、憐憫を伴った眼差し。 ……無性に苛つく。嗜虐心が沸き立てられる。 彼女の体が健在なら、すぐさま切り伏せて首を掲げたいほどに。 「む……いや、違うか。 このままでは"本体"にも影響が及ぶか。オマエ、自分が何者かの自覚はあるか?」 自覚……? 覚悟はないが、事実として認められる。 今回で聖杯入手はなり、堕ちたままの自分が契約通り守護者になる。 「なるほど、潔さだけは変わらないな。 だが、オマエは守護者の定義を知らないようだ。 一つ教授しよう。ソレは欲望(エゴ)の為に他者を搾取するのではなく、理想(エゴ)の為に世界を作り変える社会不適応者だ。人間社会を真っ向に、ハシからハシまで否定する御伽噺。ただいるだけで人類を間違っていると糾弾する夢物語(ノーブル・ファンタズム)。 それが守護者というものだが―――それが今の自分だと言い切れるか?」 「―――それは、違う。初めから、私は」 初めから、自分の世界(くに)を守ろうとしただけ。 だから、罪も背負えたし、感情も殺し続けられた。 ……やりなおしは望んだが、それも嫌われ者の王でなければ皆が一致団結したのではないかと思ったからだ。 まあ、今はどうでもいい。 聖杯を求めて何もかもを売り渡して、気がつけば誓いを立てた■■■に仇為した。 ……結局のところ、最後の最後にひとつだけ守り通してきたものも落としてしまった間抜けなのだから。 「―――ハ」 見透かしたのか、ソレは笑った。 心底おかしいと。心底憎らしいと。 何もかもを投げ捨てようとする彼女を、ハンパ者と蔑むように。 「―――オマエは、オマエが踏み躙ってきたモノを、殺した小僧の死もなかったことにするつもりか」 「―――、―――」 一刻も早く消えてしまいたかった彼女が、崖の縁に手を伸ばす。 違う、それは違うのだと、みっともなく手を伸ばす。 「……それは、どう、いう」 「わからんか? オマエに殺されたモノは、オマエが背負わなければどこにもいけない。 それは誰であろうと例外はない。否定はできん。 どれほど苦しくとも向かい続けなければならん。その生も、その死も、確かに意味があったのだと証明する必要がある。その先に悲劇の克服は存在する。 故に肝心なのは―――オマエが、奪ってきたモノに対してどう答えようとするのかだ」 「……それ、は?」 淵にかけた腕に、ほんのわずかな力が籠もる。 残る全てを総動員した力は、絶望的だった。 彼女を引き上げるには足りない。 どう足掻いても、このまま彼女は黒化するのみ。 その末路を、ソレは嘲笑いながら見下ろして、 「―――では問おう、ブリテンのアーサー王(ウォー・ロード)。 オマエは、その心に。 戦うべきものが、まだ欠片でも残っているか」
10 名前: ライダー→黒セイバー『not,』 投稿日: 2005/11/26(土) 04:51:35 ―――望むものなどない。 けれど、強く願うユメがあった。 “―――戦うと決めた。何もかも失って、みんなにきらわれることになったとしても” その通りだ。たとえ、やりなおしても、置き去りにした少女は滅びの王の道を選ぶだろう。 私が未来を見てもその意志を変えなかったように。 だから聖杯でも望む物は与えられない。 どんなに王が国を守ったところで、国は王には答えない。 …………けれど。 そんな私にも、まだ守りたいものがあったのだ。 ……サーヴァントは自分に近いマスターに召喚される。 それは聖杯を手に入れるためだけの特殊な英霊であるセイバーも例外ではない。 彼女は、少年が自分と同じ運命を持っていたからこそ、召喚に応じたのだ。 いずれ悲劇に押し潰される運命を持つもの。 決まりきった結末に対峙する、傍迷惑なだけの愚者同士として、現世に縁を結び合った――― 『あ―――、ぁ―――』 だから。 あの少年だけは、自分と同じ末路を辿らせない。 自分はもうどうあっても終わっているが、自分と同じ運命を持つ少年の剣になる事はできる。 叶えられなかった国の平和。 償えなかった私の裏切り。 それでも。 ―――遠く置き忘れてきた、愚かな少女がただ一度見たユメを、守ろうと思ったのだ――― 「―――、……え?」 呆然と手のひらを見る。 変貌は裏返り、彼女はいつかの彼女に戻って消えていく。 「……何、故……?」 「これが聖杯(のぞみ)ではないからだろう。 ―――愚直ではあるが。その誇りを捨てなければ、オマエは間違いなく英雄だ」 何処からか声が聞こえる。 間近にいるだろうに、その姿はもう見えない。 「さて、これで解決したな。 オマエの後悔は永遠について回るが、その誇りがある限り守護者になる事はない。 ―――その苦悩と同じように。永遠に、こちら側に来るコトはない」 気配が遠ざかる。 影にしか見えないモノが、赤い背中を見せて去っていく。 「―――待ってください。貴方、は」 血を吐きながら呼び止める。 「ク、さすがにしつこいな騎士王。大した執念だが、今回は大人しく諦めておけ。 次の聖杯戦争で他のオマエが、今のオマエの聖杯(のぞみ)を手に入れればいい。 ……私が言うのもなんだがな。マスターとサーヴァントの契約は、果たされるべきだろう」 ソレは自嘲気味に笑いながら消えていく。 ……彼女は、最後に。 今の“誰か”が、よく知っていた少年に見えた。 「―――そう、ですね」 大きく息を吐く。 何かにすがろうとした腕を下ろす。 「……本当。私は、いつまでたっても愚かです」 今度こそ瞳を閉じる。 彼女は死に行く事より誇りを取り戻した事に安堵して、 「今度こそ誓いを果たします、から……契約してもらえるでしょうか、シロウ」 少女(つるぎ)としての望みを口にし、美しいカタチのまま、この世界から消滅した。 "Heaven's feel5"end.――――Next."Heaven's feel5" 「―――問おう。貴方が、私のマスターか」 闇を弾く声で、そう言った。
11 名前: ライダー→黒セイバー『not,』 投稿日: 2005/11/26(土) 04:55:42えーと、その、なんだ。スパークスライナーハイ、アフターは知ってます。 流石にこれは言っておかないとやばいだろ、ということで…そのごめんなさい。
12 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/26(土) 05:48:17いや、でもいいよ 泥が聖杯と認定されるかも〜みたいなくだりとか 実際あるかどうかは知らんが上手いと思った
13 名前: 士郎→NEETセイバー ギル→ライダー 投稿日: 2005/11/26(土) 09:58:35「最優のサーヴァント?戦うのが仕事ですって? おかしな事を。この半年戦闘の一つも無かったではありませんか。 人間とは労働がなくては生を謳歌できぬ獣の名です。この身は剣だという言い訳は、働くことのできぬ怠け者の戯言にすぎません。 ―――セイバー。あなたの理想とやらは、醜さを覆い隠すだけの言い訳にすぎないのです」 「――――――――」 ……止まる筈の腕を、上げた。 からの茶碗と、待ち構えてる士郎。 おかわりを求めるようにあげられた片腕は、あの日の、輝いていた剣とは別物だった。 ……何が気に入らないのか、誰かが怒っている。 耳を覆う非難は、世界中の人間の、説教のようでもあった。 無職の願い。 ニートの理想。 そのユメは叶ってはいけないと蔑む誰か。 ……そう、その通りだ。 この思いは怠け心。 誰かに養ってもらうという生活が、楽だったからそのままでいただけ。 故に、自身からこぼれおちた労働意欲などない。 この身は士郎の剣にならなければならないと、言い訳のような理由で、ずっと働かずにいた。 だから無職。 そんなニートは結局何の威厳も無い。 もとより、誰に威張れるかも定まらない。 だが。 だが、それでも楽しいと感じたんだ。 これは自分から生じたものじゃない。 士郎に養ってもらう自分の生活の中で感じただけの飾り物だ。 あれから、自分の役割は空っぽだった。 誰もが平等に働いて、自分では何一つ稼がなかった。 自分なんてそんなものだと諦めるしか、目の前の虚無感を抑えられなかった。 ――――だから。 だからこそ、その生活に憧れた。 自分ではそれしかないから、その尊さに涙した。 いけないのか。 自分は働かないから、それは無職なのか。 無職だから、ここにいてはいけないのか。 ――――違う。それはきっと、違うと思う。 「あ――――――――ぁ」 無職でもいい。 叶ってはいけない理想でも叶えるだけ。 もとより届かないユメ、はや辿り着けぬ理想郷。 ―――なら、今の生活がニートだとしても。 そこにある物だけは、紛れもない本物だろう。 「―――そうだ。そんなこと、とっくに」 無職でいることはできないと。 自分で働かなければ稼ぎはないと、解っている。 王ではなくなったから、それが現実なのだと理解してる。 その上で、そんなものが理想にすぎないと知った上で、なお理想を求め続けた。 働いて終わり、ではなく。 自分を養う為に働かせて、それが最悪であっても、それでも―――自分は働かない幸福を求め続ける。 無職などこの世にはいないほうがいい、と。 ニートとは無価値な人の別名だと。 そんな悟ったような諦め(言葉)が、正しいとは思えない……! その果てに、アーチャーはここに辿り着いた。 おまえが信じるもの。 おまえが信じたもの。 その正体がニートだと男は言った。 それでも、そう言った男こそが、最期までその無職を貫き通したのだ。 ……ならやっていける。 無職のまま、ニートのままでも構わない。 だいたい、そんな事を気にするほど複雑な感情はもっちゃいない。 そう、茶の間で独り思った。 自分一人だけ養ってもらえるなら、その座に安住しようと。 こんなこと、考えるまでもなかったんだ。 狭窄な自分の世界。 もとより自分ができるのは、剣をもって戦うことだけなんだから―――― ――――そう。 この体は、硬い剣で出来ている。 ……ああ、だから多少の非難には耐えていける。 アルトリアは、最後までこのユメを張り続けられる。 ……磨耗しきる長い年月。 たとえその先に。 求めたものが、何一つないとしても。 「―――士郎、おかわり」 「っ――――!?」
14 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/26(土) 11:27:50スパークスライナーハイアフターってなにさ
15 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/26(土) 12:32:53>>14 「スパークスライナーハイ アフター」でググれ
16 名前: 有彦→士郎 ななこ→駄目剣 投稿日: 2005/11/26(土) 15:04:28 休日の朝、曇った頭を抱えて台所へ入った。 今日は確か、朝のうちにキャスターが料理を教わりに来る予定だった筈だ。なんでも家にいる小姑が鬼のように味にうるさく、一回ぐらいは黙らせてやりたいから特訓させてくれ、とのコトだ。 「なにやってんだかなあ、キャスターも」 ともかくハラが減ったのでメシを作ろう、と冷蔵庫を開ける。 「ぶっ―――――!」 とたん、頭の中が真っ白になった。 眠気もぶっとんだ。 理由を言えば冷蔵庫の中身は空だった。 「あー……、藤ねえは昨日いなかったから、セイバーか?」 バタン、と冷蔵庫を閉じて、台所から離れる。 「セイバー、もしかしてまた冷蔵庫あさった?」 和室で眠っていたセイバーに声をかける。 「なっ!? いったいなんの根拠があってそんなコトを!?」 がばっと布団を跳ね飛ばすセイバー。 ……セイバーは人を真人間に更生させる、などと野望をもっていながら、放っておけば食事時以外はずっと寝ている。更生が必要なのは間違いなく彼女のほうだろう。 「いや、まあ違ったら良いなあとは思うんだけど。今日は客が来るっていってたろう、ちょっと買い物に出てくるから、来たら暫く相手しててくれないか」 「はい……? あ、これはシロウではないですか。朝早くからお勤めごくろうさまです」 寝ぼけているのか、深々とおじぎをしてまたも眠りにつこうとする。 「あのな、まあ、まだ朝飯用意できてないし、寝ててくれても構わないんだけれど」 とは言え今日は、遠坂も桜もうちにいなかったりする。いたらいたで困るのだが、仕方ないのでともかく起こす。 「う、うう。シロウ、あまり揺さぶらないで下さい。眠っていないとおなかが減るじゃないですか」 「なんとも返答しづらいんだけれど。出来るだけ早く用意はするから、取り敢えず頼まれてくれないか」 「仕方ないですね。そこまで言われては、応えないわけには行きません」 「ああ、うん。それは助かる」 「私は貴方のサーヴァントですから。それはそうと、感謝なら形で表していただけるとよりありがたい」 「……ああ、善処はする。」 セイバーはサーヴァントとしてのあり方というものを完全に忘却しているような気がする。まあ、今更言っても仕方のないことだ。 「取り敢えず居間のほうで待っててくれないか。さっきも言ったけど、もうじき客が来るんだよ」 「はい、居間ですね。あそこはテレビがあるので、適当な番組でも見て時間を潰すコトにします。お客様が来たときのために、鍵は掛けないでおいていただけるとありがたいです」 「……あのな。一見従順そうに見えて実は俺の言い分なんてこれっぽっちも聞くつもりがなかったりする?」 「え……? いえ、そんなコトはありませんよ? ただ玄関まで出迎えに行くのも面倒ですので、そうしておいていただければ助かるなあと」 「…………あー、どこから突っ込めばいいものか――――」 と、そこで呼び鈴が鳴り響いた。 「って、もう来ちゃったか。セイバー」 「……解りました。この身は貴方の剣となると誓った、従うより他はありませんね…………はあ」 「―――えっと、なんか凄く不安なんだけど、大丈夫だよな?」 「何を言うのですか、シロウ。私の能力が信用できないとでも?」 「――――――――いや、何と言うか」 已む無く、諦め気味に首を振る。 「良いでしょう、これもシロウの為だ」 満足げな笑み。 セイバーは英霊のくせに見返りのない善行、というものが嫌いらしい。 二度目のチャイム。 「ああ、ちょっと待って――――!」 セイバーの相手をしていたら日が暮れる。多少でなく不安が残るが後はセイバーに任せる事にした。 昼過ぎになってキャスターは帰っていった。 これなら勝てる!と喜び勇んでいたが、明日にでもリベンジ大失敗、と泣き付いてくるコトだろう。
17 名前: ホロウ サイカイ→だめ剣とだめ士郎、(1/3) 投稿日: 2005/11/26(土) 16:56:20―――嫌な目にあいました。 目覚めればアインツベルンの森の中。 樹木越しの光は頼りなく、肌に当たる地面はかなり冷たい。 「………しまった。またやられてしまいましたか」 恐怖のバーサーカーとイリヤスフィールは立ち去り、気が抜けてまた気絶。 毛布なしで眠るには辛い場所です。 「昨日の夜は、ふむ―――」 まだ怪我の癒えない頭を動かす。 昨夜は盾一号(アーチャー)をバリケードにして、ついでに盾二号(シロウ)にも犠牲になってもらおうとして、 蹴り飛ばしたら令呪を使われて身代わりにされたので、命乞いをしていたら殺されずにすんだのでした。 「……いたた、ひさしぶりに働いたら筋肉痛が辛いですね……もうじき魔力が回復するでしょうから、 再生能力を活性化しておかないと」 傷ついた体を労わって一息つく。 体の再生は今日中に終わる。 まだしばらく時間はかかるが、それは完治させる場合だ。 逃走したシロウを見つけ出し問い詰める分にはもっと早く出発してもかまわない。 「シロウときたら、今回は令呪を使用してから逃げたのですから…… まったく、どんな教育を受けたら女性を平気で犠牲にできるような男になるのでしょうか」 間違いなくキリツグの教育でしょう。ともかく、シロウの責任を追求するのは イリヤスフィールに命乞いのことをばらされる前でないとうやむやにされてしまいます。 誇り高き騎士王として、いや一人の女性として最低の男を見逃す訳にはいかない。 意識を集中すると令呪へのラインが感じられました。焦っている様子が手に取るように分かります。 探索の手がかりは、まだ十分残っているようですね。 戦術を学んだことのないシロウの、逃亡ルート。それを当然のように先回りして、 「おや、おはようシロウ。今朝は遠出の用事でもあるのですか」 シロウの強張った顔に、微笑みかけた。 「シロウ?どうしたのです、黙りこくって。何か心にやましい事でも?」 二週間前。まだ初めてバーサーカーと戦っていた頃に、似たような事がありました。 それを、 「……心根がなっていませんね。まったく、また私を敵の前に突き飛ばしたのですから。 シロウ、他者を身代わりにしてでも生き残ろうという心構えは立派ですが、 それで男の尊厳を失っては本末転倒だ」
18 名前: ホロウ サイカイ→だめ剣とだめ士郎、(1/3) 投稿日: 2005/11/26(土) 16:57:10ああ。どうやらシロウは男として半人前なのですね。 女を知ってからまだ十日ほど。 少年、そう容易く成長はできないということですか。 「聞いているのですかシロウっ。いいですか、体を許した女性がともに戦っている以上、 男には女を守る義務がある。 不誠実なやり口が続くようでは私にも考えがあります」 そうでした。 ほかに適任がいない以上、私の命はシロウが守護しなければいけないのです。 それは無論の事。 「セイバーの考えって、どんな?」 「シロウが一番嫌がることを。いくら言っても私を守らないのですから、女性として その甲斐性を疑わざるを得ない。シロウが悔い改めないというのなら、今日からでも 一人部屋にしてもらいましょう」 「む」 私は笑顔で当然の提案をする。 私は夜はシロウと共に過ごしている。 リンと部屋割りを決める際、 「女として男であるシロウから身を守りたい。シロウと同衾なんて気持ち悪い」 と徹底的に拒絶したのですが、聖杯戦争中はいつアサシンが来るか分からないし、 身辺警護の必要あり、という事で承諾させられてしまった。 それが十日ほど前の話。 以来、私は純真な乙女にふさわしくない不潔な夜を過ごしているのである。 「―――反省した。次からきちんとセイバーを守る」 「結構です。……まあ、この条件が効果覿面というのは私としては複雑ですが、 これも私の安全の為。プライバシーがないのが不満ではありますが、 シロウが私を必要とするのでは仕方がない」 シロウは渋々と私を守ることを誓う。 当然です。男として当然の義務に、異議を申し立てる男はいない。 ですが、復唱させるのを忘れていた。 ここで、きちんと心に刻ませないと。 「シロウ」 「もう一度です。私の奴隷となることを誓いなさい」 「……さすがに俺は、お前に奴隷になれとは言ったことなかったな」
19 名前: ホロウ サイカイ→だめ剣とだめ士郎、(1/3) 投稿日: 2005/11/26(土) 16:58:00気がつけば、シロウは目前にいた。 少しまずい。抵抗しても、きっとぎりぎり間に合わない。 「……令呪発動だ。この誓いをお前にやり返してやる」 魂が引き抜かれる。 怠惰なNEETの心が労働意欲に満ちる。 支えをなくして、自分の体が落ちた。 自らの発言に飲み込まれる。 私は死に物狂いで、 「――、あ」 否定された、女尊男卑のことわりを持ち出した。 権利がある。権利があるので、なんとか令呪に反抗した。 それで夕食が半分ぐらい減ったけど、ただ仕事をするよりはましだった。 「やしないなさい。私を、だって」 突っ立ったままのシロウに剣を伸ばす。 が、怠けていた腕はもう動かなかったので、喜んでいたシロウを脅せなかった。 「あ……ねえ、養って。 わた、し、働くと、負けだって、思ってるから……」 何が言いたいのか自分でも分からない。 ただ、手近にいる男に貢がせられないのが悲しくて悲しくて、余計に分からなくなった。 シロウは立ち去っていく。 自分の騎士の誇りを持って、何度でも繰り返す。 「待っ、て。……わたし、勝組なの……勝組なの……勝組なの……勝組な、の」 その反抗も、3日ほどでできなくなった。 またも三日坊主。 私の意思力は、こんな時でも頼りなかった。
20 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/26(土) 18:18:09最後の勝ち組連呼に噴いたwww
21 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/26(土) 20:15:47令呪で即自害させてぇぇぇ!!
22 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/26(土) 20:27:23 ___ /⌒! 丶 ` ' √ ___(__(.ク \从// ` ;∴ ! | ∧_∧、 ( ̄\ ; , - - 、 丶>>?? ! | ´Д`) / )/ノ, ノ ) ! ` ` ⌒) / / '/// ̄ ⌒) ヽ / / . ' / / ' / イ | 丶 / /ゝ/ / /| / | | ∨ / ./ ./.| | | | ∈テ丿 / ⊂.J| ) し`⊃ ヾ
23 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/26(土) 20:33:12“ただ、シロウ。アレの相手をするという事は、最も困難な道を 行くということ。 それを、今から胸に刻んでおいてください” 女の死は無意味だった。 その献身とて、男を変える事はできなかったからだ。 だが、それを無価値にする事を、男は嫌った。 ───答えを出す事を、永遠に止めたのだ。
24 名前: 七夜→アンリ 投稿日: 2005/11/26(土) 20:47:05「潔く逝くものはまた速やかに逝く。 安心して消えるがいい士郎。オマエの後釜はこのオレが座ってやるよ」
25 名前: セイバー→磨耗一直線な真面目士郎『フェイト/ステイナイト』 投稿日: 2005/11/26(土) 22:56:16NEET剣の最終日の決戦なりよ 「懲りぬ男よ。何度やっても無駄だと判らぬか」 ギルガメッシュに疲労の影はない。 彼にとってみれば、この戦いはあくまで余興だ。 初めから勝つと判りきったものに、緊張も疲労もある筈がない。 「はあ――――はあ――――は――――」 だが士郎にとっては違う。 彼にとって、勝利の可能性は今しかあり得ない。 敵が本気になる前。 ギルガメッシュがエアを取り出す前に斬り伏せなければ、倒されるのは自分の方だ。 故に無理を承知で、余力など考えずに猛攻を続けてきた。 今のように敵を追い詰めたのも一度や二度ではない。 だが、それでも―――あの男が持つ宝具の壁を、突破する事は叶わなかった。 「まだ続けるのか。サーヴァントに信を置くのはいいが、それも限度があろう。今頃あの贋者(フェイカー)は言峰に勝ち組などと喚いておろう。もはや、おまえが戦う理由はなかろうよ」 「……セイバーは、やればできる。働いたら負けだなんて理想(ニセモノ)で、皆を見殺しにしたりしない!」 「それも時間の問題だ。おまえは言峰を知らぬ。アレの切開は贋者(セイバー)の心なぞ紙のように切り裂こう。おまえならいざ知らず、あのようなNEETが一分と持つものか」 「―――――――」 「おまえは我には勝てぬし、あやつは働かん。 配役を誤ったな。おまえが聖杯に挑んでいれば、この戦いはおまえの勝利だったろうに」 黄金の騎士の目は笑っていない。 彼は存外本気で言っているのだろう。 ―――だが、それは否だ。 衛宮士郎にとって、その選択こそが間違いである。 「―――まさか。これが正しい選択だ。俺はお前なんかに負けないし、きっとセイバーだって最後くらいは働いてくれる。 まだ出てもいない結果を期待するとは、英雄王の名も地に落ちたというものだ」 「――――ほう。減らず口を言うだけの体力は残っていたか」 ―――空間が歪む。 ギルガメッシュの背後に点在する宝具の数が、目に見えて増していく。 “――――――――来るか” 干将莫耶を握り直す。 ……実を言えば、手はあるのだ。 一つだけだが、あの黄金の騎士を打倒する手段はある。 “――――――だが、それには” 幾つかの条件が揃わなければ成功しない。 いかにエアを破ったところで敵に余力があれば防がれ、肝心のエアを破る手段も、もう一度直撃を受けてみなければ判らない。 “――――エアを受ける……? まさか。いかに固有結界を発動しようと、アレを受けては立ち上がれない” しかし、それ以外に勝利する手段はない。 その細い糸をどう引き寄せ、どう紡ぐか。 本来ならばセイバーが最も優れた選択を“直感”し、彼女がそのイメージ通りに戦うだけだ。 だが、ただの一度もそのセイバーが働くことはなかった。 労働の意欲があまりにも薄く、士郎の養育に全てを頼っているからだろう。 「――――――――っ」 だからこそ己が戦わなければ。 自らの誇りなどなく、怠惰を抱いて溺死しそうなセイバーにさっさと悲願成就してもらう為にも―――ここで、この男に膝を屈する事はできない。
26 名前: セイバー→磨耗一直線な真面目士郎『フェイト/ステイナイト』 投稿日: 2005/11/26(土) 22:58:18(中略) ―――光で眩んでいた視界が闇に埋れた。 もし彼の意識があったのなら、それが黒いNEETだと見て取れただろう。 「――――――――」 NEETは一瞬だった。 だがそれはNEETなどではなく、小さな、砂の粒ほどの脱落の群れだ。 NEETは彼の体をくまなく浚っていき、その不快感で、彼の意識は覚醒した。 「あ――――」 吐息が漏れる。 意識が戻って、始めに感じたものは痛み。 外套で守られていなかった肌は焼かれ、体のあちこちは貫かれ切り裂かれ、無惨な姿を晒している。 “そう、か――――俺、は――――” エアの前に、破れたのだ。 ギルガメッシュの宝具に追い詰められ、防ぎきる事も出来ず、エアによる追い打ちを受けた。 投影品(エクスカリバー)でかろうじて相殺したものの、体の損傷は激しすぎる。 魔力を動員せずとも傷は塞がっていくが、聖剣の鞘の加護とて、今すぐ彼を復帰させられまい。 ―――そこへ。 「ここまでだシロウ。よもやその体で、まだ敗北を認めぬなどと言わぬだろうな」 傷一つない甲冑と共に、ギルガメッシュが歩み寄る。 「………………」 倒れたまま、衛宮士郎は敵を見上げた。 今の彼には何も出来ない。 この男が望めば望むだけ、彼の体は汚されるだろう。 「……ギルガメッシュ。今の、NEETは」 にも関わらず、彼にはそれが気になった。 今の極光。 境内の奥から一瞬だけ世界を覆った、あの黒いNEET。 ……考えたくはないが。あのNEETは、セイバーを襲った物だったのかと。 「今のNEETか。おまえならば判ろう。アレは極大の呪いだ。 言峰が聖杯から直接呼び出したのだろうな。聖杯の中にはこの世の全ての労働を呪う、などというモノがあるのだそうだ。 先ほどから見えているあの汚濁はな、聖杯から漏れている残りカスにすぎん。 その本体を出されたのだ。おまえのセイバー(NEET)とて、もはやこの世にはおるまい」 「――――そんな。そんな、事、は」 倒れた体に力を込める。 ……動く体でない事は、士郎も判っていた。 だが、ここで倒れている事など、彼に出来よう筈がない。 「嘘だ―――セイバーは生きている。まだ、ちゃんと―――」 確かに、サーヴァントとの繋がりを感じている。 とても弱く、今にも消え去りそうな火ではあるけれど、食っちゃ寝は生きている。 ならば行かなければ。 相手がそんな、考えもしていなかったモノだとしたら、セイバーだけでは太刀打ちできない―――― 「く――――っ――――!」 その現状認識だけを頼りに、彼は四肢に力を込める。 「あ――――く、あ…………」 それも無意に終わった。 いかに聖剣の鞘とは言え、彼を復元するにはまだ数分の時間を要する。 「もはや手遅れだ。大人しくしていろよシロウ。 おまえが何をしようが、じき聖杯は溢れ出す。十年前の再来だ。ただし、此度の儀は我ではなくおまえに与えられたものだがな」 赤く燃える空を見上げ、黄金の騎士は口元を釣り上げる。 「喜べシロウ。アレを浴びれば、おまえも我と同じになれる。この世で唯一、王と対等である存在になれよう。 まあ尤も―――我のように自我を保てるとは限らんが」 「な――――」 衛宮士郎は呆然と敵を見上げる。 アレが極大の呪いである事は士郎にも判る。 確かに魔力の束としては破格であり、あれだけの貯蔵があればどのような魔術でも使える。……おそらく自分でさえ、不可能はなくなるだろう。 だが、それは諸刃の剣だ。 アレは人をNEETにするだけのもの。 あんなものを浴びれば、いかに英霊とて自分が自分でなくなってしまう。 「…………」 それで、気づいた。 目前のサーヴァント。 人類最古の英雄王と言われるこの騎士は、十年前あの汚濁に飲まれている。 ならば―――― 「ギルガメッシュ、お前は――――」 彼は、既にNEETなのか――――
27 名前: セイバー→磨耗一直線な真面目士郎『フェイト/ステイナイト』 投稿日: 2005/11/26(土) 23:00:02「――――ほう。そう思うか、正義の味方」 愉快げに笑い、衛宮士郎を見下ろすギルガメッシュ。 その顔は狂っているようでもあり―――この上なく、この男に相応しい貌だった。 「侮るな。あの程度の呪い、飲み干せなくて何が英雄か。 この世全ての怠惰(NEET)? は、我を堕としたければその三倍は持ってこいというのだ。 よいかシロウ。英雄とはな、己が視界に入る全ての人間を背負うもの。 ―――この世の全てなぞ、とうの昔に背負っている」 「――――――――」 その答えに、衛宮士郎は微かに息を飲んだ。 ……彼は、この英霊とは絶対に相容れない。 傍若無人な考え、天地には我のみという強大な自我、他者を省みぬ無慈悲な選定。 それは彼の信じた理想の道とは別の物、交わる事さえない信念だ。 それでも、この男は王(ホンモノ)だった。 衛宮士郎とて断言できる。 いかなサーヴァントと言えど、あの極大の呪いを浴びて自我を保てる者は、この男以外にはおるまいと。 「―――うむ。そうだな、泥を飲ませるのはいいが、それでNEETになられては愉しみがない。どれ、今のうちに友誼を結んでおくか」 「っ――――!」 「ギルガメッシュ、貴様――――!」 「なんだ、手荒く扱われるのは趣味ではないか? ならば馴れておけ。男との友情に出し惜しみはしない主義でな。気の向くままに奪い、与えるだけだ」 「っ――――!」 逆さ吊りにされたまま、衛宮士郎はギルガメッシュを凝視する。 「……ふん。マスターとしてサーヴァントに操を立てているワケか。くだらんな。たかが令呪の縛りで、その誇りをくれてやっていたとは」 「―――それは違う。勘違いをするなギルガメッシュ。 俺は誰にも従わない。初めから、この体にそんな自由はないんだ」 「……ほう。では、どうあっても我の友にはならないと言うのか」 赤い瞳が衛宮士郎を射抜く。 そこに、人間らしい感情は一切ない。 逆らえば殺す。どれほど執着した物であろうと、従わぬのなら殺すだけ。 それがこの英霊の本心、ギルガメッシュという男の真実だ。 「――――――――」 その視線から逃れる事なく、士郎はギルガメッシュを一瞥する。 「―――ギルガメッシュ。俺は誰の友にもなれない。 俺は既に人類の道具だ。この身は、人である前に剣なのだから」 誰に言い聞かせるでもなく。 ただ、まだ胸に残っている荒野の残響を抱きながら、彼は言った。 「は、何を言うかと思えば! 笑わせるなシロウ。英雄(ちょうえつしゃ)にとって、人類とは己の娯楽にすぎない。労働を持って社会に答えぬならば、NEETなどという余分は不要なのだ。 まったく――――シロウよ。そんなだから、オマエはセイバー(NEET)にいいように使い捨てられるのだ」 未熟さを嘲笑う黄金の騎士。 「――――――――」 ……それで、彼の心は固まった。 「ああ、その通りだ。―――だが英雄王。 そんなだから、アンタは友の一人もいないんだ―――!」 猛る気合。 士郎は全身をバネにして、残った片足でギルガメッシュの顔面を蹴り飛ばす―――! 「な――――!?」 ギルガメッシュの指が離れる。 士郎は逆立ちのまま体を反転させ、腕の力だけで大きく跳んだ。 「親友を足蹴に!? おのれ、どうやら本格的に夕陽の決闘がしたいらしいなシロウォォォォオ…………!!」 彼は目を閉じて、心を見る。 “セイバーに言いように使い捨てられる” ……そんな事、今更だった。 セイバーを召喚してしまい、英霊との闘いを何度も何度も潜り抜けてきた。 その、一度だって彼女が剣になってくれたことはない。 自分の有能さを誇りながら、しかし―――常に食っちゃ寝するだけだった。 ならばやるべき事は一つだけ。 万に一つほどの勝算がなくとも、ここで立ち止まる事はできない。 この身に、まだ財産が残っているうちに。 一刻も早く、彼女に願いを叶えさせなければならないのだから。
28 名前: セイバー→磨耗一直線な真面目士郎『フェイト/ステイナイト』 投稿日: 2005/11/26(土) 23:01:26(中略) ――――そうして。 エアの断層を前にして、彼の“宝具”が展開された。 「な――――に――――!?」 彼の目前に放たれ、四散したものは、紛れもなく聖剣の鞘だった。 如何なる神秘で編まれたものか、鞘はエアの光を悉く弾き返す。 否、防御などというレベルではない。 それは遮断。 労働の汚れを寄せ付けない妖精郷の壁、この世とは隔離された、辿り着けぬ一つの世界。 聖剣の鞘に守られた衛宮士郎は、この一瞬のみ、この世で最強のNEETに成り下がる。 この世界における最強の守り。 五つの魔法すら寄せ付けぬ、何者にも侵害されぬ究極の一。 故に、鞘の名は“全て遠きNEET郷”。 アーサー王が死後に辿り着いてしまった、彼の王が夢見た、はや辿り着けぬNEETの理想郷―――― 「――――――――」 背筋に走る死神を、ギルガメッシュは確かに見た。 だが間に合わない。 振り下げたエアは回転を止めず、ギルガメッシュ自身、跳び退く事すらままならない。 当然である。 よもや―――よもやこれほどの茶番、これほどの嘲弄が込められたNEETが放たれようなどと誰が思おう……! 「ぬぅぅぅ……!! おのれ、そのような雑種(NEET)で―――!」 「――――――――」 駆け抜ける赤い外套。 士郎の体に防具はない。 己を守る鞘を解除し、その分の魔力を彼は手にした剣に籠め―――― 「“約束された――――”」 「シロウォォオオオオオオ――――!!!!!」 英雄王の絶叫。 それを目前にし、 「“勝利の剣”――――!」 渾身の一撃を以って、剣は黄金の騎士を両断した。 振り抜かれた黄金の剣。 体勢を立て直す力も、今は無いのか。 士郎は剣を下げたまま顔を上げず、 男は切り裂かれたまま、自身を打倒した少年の姿だけを見た。 「――――――――」 風の音だけが、境内に響いている。 洪水のようだった光の波は、その面影さえない。 二人の親友は何の言霊も口はしに乗せず、ただ、決着という別離に身を置いた。 「――――――――、」 そうして、男は息を漏らした。 だらりと下げた腕をあげ、目前の少年を確かめるように、彼の頬を指でなぞる。 「―――憎らしい男だ。最後まで、NEETを許容するか」 黄金の甲冑が薄れていく。 血を流し、肉の感触を持っていた英雄王の存在が消えていく。 「だが許そう。救おうとする姿勢こそ、美しくもある」 指が滑る。 上がっていた腕が、力無く地に落ちる。 「ふん―――ならばこそ、我がおまえに敗れるは必定だったか」 不機嫌に舌を鳴らす。 そうして、最後に。 「ではなエンキドゥ(シロウ)。―――いや、中々に愉しかったぞ」 口元に皮肉げな笑みを作り、黄金の騎士はかき消えた。
29 名前: NEET剣、磨耗一直線な真面目士郎『黄金の別離』 投稿日: 2005/11/26(土) 23:03:40 ……戦いは、終わったのだ。 もう誰も傷つく事はないし、誰も失う事もない。 マスターはいなくなり、サーヴァントもその役目を終え、この世界から姿を消す。 既に判っていた事だ。 長い階段を、彼女を引き摺って歩いてきた。 別れはもう済んでいる。 あとはただ、最後の幕を下ろすだけだ。 「――――――――」『NEET』を見上げながら、ようやくの安堵の心で待ち続ける。 ……そうして、彼女はやってきた。 「……聖杯を破壊してください。エクスカリバーは勿体無いですから」 そう告げて、彼女は歩き出した。『NEET』から吹き付ける強風を物ともせず、一歩一歩下がっていく。 「――――――――」 やっと解放されるからか。 俺は静かに剣を構え、黒い『NEET』へと視線を向ける。 ……その元凶を、眺めていた。 血が滲むほど拳を握りしめ、唇を噛んで、口からこぼれてしまいそうな気持ちを殺して、NEETの呪いを眼に焼き付ける。 そうして。 「シロウ、いい加減にしてください。早く帰って、貴方の料理が食べたい」 後ろから、彼女は、まだまだ居座ると言った。 聖杯を破壊すればセイバーは消える。 だが―――この聖杯を自らの手で否定したセイバーは、まだこの地に留まれる。 セイバーは、聖杯に固執したからこそサーヴァントとなった。 だというのに、彼女は次の聖杯を探しにいかないという。 ―――ここで聖杯を破壊してしまっても。 彼女は永遠にNEETのまま、衛宮邸に居座るというのだ。 「――――シロウ。今日は戦勝に鯛がいいのではないですか」 セイバーの声。 それを聞く度に叫び出しそうになる。 ―――帰れ、と。 さっさと英霊の座に行ってくれと、見栄もプライドも捨てて、剥き出しの心を叫びたくなる。 「――――――――」 だが。 それは、死んでもしてはいけない事だ。 正義の味方を目指してる。 誰一人零してはいけないし、目指した先に何一つないのも解っている。 それでも、最後までその理想を張り通した背中を、俺は知っている。 磨耗し、それでも戦い抜いた姿勢に憧れた。 全てのNEETを養って、傷だらけになりながらも、社会復帰させた自分がいた。 ―――それを美しいと感じ、守りたいと思ったのなら。 その生涯を、一時の感情で台無しにする事は、できない。 理想を目指し、正義の味方として生きてきた。 何がなくなろうとそれは変わらず、後を継ぐと誓った時から、自分は剣以外の何者でもなくなった。 それが俺の誇り。 最期に、己の信じた道が間違いではなかったと迎える為に、地獄を走り続けた。 衛宮切嗣という養父の夢。 自らの人生を捨てて正義の味方を選んだ心。 戦うと。 その最期が報われない物だと知らされても、なお剣を執り、理想を守ったのだ。 ―――何年も。 おそらくは死ぬ時まで続いたその誇りを、喪う事だけは、してはならない。 「――――ああ。今日は、みんなで大騒ぎしよう」 万感の思いを籠めて告げた。 ―――溢れる光。 空に穿たれた『NEET』は光の線に両断され、跡形もなく消滅した。
30 名前: NEET剣、磨耗一直線な真面目士郎『黄金の別離』 投稿日: 2005/11/26(土) 23:07:07 あたりには何もない。 何もかも吹き飛んだ山頂は、まったいらな荒野に変わっていた。 遠くには夜明け。 地平線には、うっすらと黄金が射している。 「――――っ」 左手が痛む。 最後の令呪が消えていく。 ―――それで。 これからがあるのだとようやく受け入れた。 「――――これで、終わったのですね」 「……ああ。これで終わりだ。もう、何も残ってない」 「そうですか。では私たちの契約もここまでですね。貴方の剣となり、敵を討ち、御身を守った。 ……この約束を、果たせて良かった」 「……そうだな。セイバーはよくやってくれた」 それで、当たり障りのない言葉がなくなった。 セイバーは遠く、俺は彼女に振り返る。 朝日が昇る。 止んでいた風が立ち始める。 永遠とも思える黄金。 その中で、 「最後に、一つだけ伝えないと」 強く、意思の籠もった声で彼女は言った。 「……ああ、どんな?」 精一杯の強がりで、いつも通りに聞き返す。 セイバーの体が揺れる。 彼女はまっすぐな瞳で、後悔のない声で、 「シロウ――――貴方を、愛している」 そんな言葉を、口にした。 風が吹いた。 朝日で眩んでいた目をわずかに閉じて、開く。 「――――――――」 驚きはなかったと思う。 視界に広がるのは、ただ一面の荒野だけ。 駆け抜けた風と共に、騎士は階段を駆け下りていた。 現れた時と同じ。 ただ潔く、面影さえ残さない。 「ああ――――本当に、おまえらしい」 呟く声に悔いがある。 失ったもの、残ったものを胸に抱いて、ただ、昇る光に目を細める。 忘れえぬよう、どうか長く色褪せぬよう、強く願って地平線を見つめ続けた。 ――――遠い、朝焼けの大地。 彼が駆け抜けた、不毛の荒野に似た。 …心が折れた。NEET剣と言峰の決戦はたのんだ。
31 名前: マテリアル衛宮切嗣 投稿日: 2005/11/26(土) 23:34:46「女の子は鳴かせるコト、後で得するよ」
32 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 00:38:58ここに出てきた改変キャラが総登場したらえらい事になりそうだなw
33 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 00:56:29最近、書き込む長さの見切りつけるのに失敗するのが流行ってるのか?
34 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 00:57:04執事士郎 ワカメ慎二 ナインライブズ使うイリヤ ナインライブズを破る藤ねえ NEETセイバー ヘタレアーチャー(…答えは得られなかった。大丈夫かな遠坂? 俺、これから頑張っていけるかな? ) コルキス神拳キャスター 私を殺した責任取ってもらうんだからバーサーカー ギル⇔宝具 とかが出てくる聖杯戦争……、戦争にならねえなこりゃ。
35 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 01:58:47あとは英語のでいないアーチャー……ってあれはヘタレアーチャーかw サラリーマン死徒とか、外道凛とか外道桜とか アサシンのサーヴァント『山門』とかw いっかい、ガチでギルガメと戦ってたハサンもいなかったか?
36 名前: 『tale』yori 投稿日: 2005/11/27(日) 02:11:33 聖杯。奇跡の生贄としてカタチを持ったマキリの少女はそう呼ばれました。 大魔術の受け皿である彼女には、けれど一つの欠陥があって、だんだんと心を喪くしていったのです。 『この世全ての悪』。願う望みを殺戮によってしか叶えられない聖杯は、初めから間違っていたのでしょう。 必要でないしすてむにふりわけられる容量はないのですから、少なくなっていくのは当たり前です。 それでも少女は毎日の日々を大事に大事に過ごします。 ワルモノだった蟲の王様がいなくなった後、頑張って頑張って、衛宮家を侵すあくまたちと戦いました。 ですが。 「えーと、人気投票の結果を見たら変身しそうです。かなり高い確率で」 「次もライダーに負けたら、もう何するか自分でもわかりません」 冬木市にはもう誰もいません。
37 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 02:27:57>36 確定なのか? いや、確定だな、うん。
38 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 11:19:39桜がパワーアップしたぶんライダーもパワーアップしたからな。 桜もライダーも出番があるというよりもでしゃばりスギ(はっちゃけすぎな)な気がする。
39 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 16:57:09>>38 ライダーは過去話とかで上手くバランス取ってるから プラスに働いてると感じる人のが多いんじゃね?
40 名前: 剣ルート、柳洞寺に攻めるかどうか 剣→我様な剣 投稿日: 2005/11/27(日) 16:57:47「私が教えられる事はそれだけです。 ―――では結論を。マスターがいると判明したのですから、 とるべき手段は一つだけだとは思いますが」 「―――」 セイバーの言いたい事は分かっている。 敵の居場所が判明したのなら攻め込むだけだ、 と彼女の目が言っている。 しかし――― 「わたしはパス。 どうにも罠くさいし、正直それだけの情報じゃ動けないわ。 相手のホームグラウンドに行くんなら、せめてどんなサーヴァントを 連れているのかが判明するまで待つべきよ」 「……残念ですね。凛とアーチャーならば先駆けの栄誉を与えてやっても良いと思ったのですが」 「あなたの手には乗らないわよ。こっちのアーチャーが本調子じゃないことをいいことに 両者共倒れを狙いたかったんでしょうけど、しばらくは傍観するわ」 「使えない奴ですね……それではシロウ、私たちだけで寺院に赴きましょう」 「―――」 セイバーは当然のように言う。 だが、それは。 「―――いや、俺も遠坂と同じだ。俺まで盾として利用できると思わないほうがいい」 「な……貴方までそんなことを言うのですか……!? バカな、今まで聖剣の鞘で体を保護してやっていたのは何の為だと思っているのです! 偉大な英霊たる私が判断を下した以上、喜び勇んで捨石になるのが凡人というものでしょう!」 「―――お前の性格は分かっちゃいたが……でもな考えてみろセイバー。 柳洞寺にいるマスターがそこまで用意周到なヤツなら、絶対に罠を張っている。そこに何の策もなしで 飛び込むのは自殺行為だ。 遠坂の言うとおり、せめてアーチャーが回復するまで待つべきだと思う」 「そのような危険は想定しています。初めからなんの被害なしに勝利を得ようなどと思ってはいません。 敵の剣がシロウを貫こうと、鞘の加護さえあれば生きながらえる。 どのような深手を負おうと、私の為になるのであれば喜ぶべきではないですか!」 「な―――バカ言うな、怪我をしてもいいなんて、そんな話があるか! 鞘の加護があるのはいい。けどそんな生贄にされるのは馬鹿げてる。 ……俺はマスターとして、サーヴァントのためにそんな割にあわない奉仕をしたくない」
41 名前: 剣ルート、柳洞寺に攻めるかどうか 剣→我様な剣 投稿日: 2005/11/27(日) 16:58:39そう、間違いなくセイバーの言うとおりにするのは自殺行為だ。 セイバーの頭の中では、何かしら俺が喜んで奉仕するという思い込みがあるはずだ。 それを逆手に取るつもりで行くのはいいが、事前の準備なしで挑むのは自殺行為に他ならない。 いくらセイバーが傍若無人っていっても、戦闘中には俺に構ってはいられない。 盾にされそうになっても、その瞬間――― 盾にしかえすというのなら、俺は無事に生還できる。 「……何をいうかと思えば。 いいですかマスター、私は貴方達凡人とは格の違う存在、偉大なるアーサー王です。 敬意を失って忠誠心を忘れるなど、私のマスターには許しません」 「―――ああ、許されなくてけっこうだ。セイバーが俺を危険にさらすんならなんどでも身代わり にしてやるからな。 ……それが嫌ならいい加減今の自分が使い魔だってことを自覚しろっていうんだ。まだランスロットに 裏切られた理由が分かりきってないんだろ、おまえは」 「私が偉大であることに変わりはありません。愚かな部下の馬鹿な行いを理由に私の価値を見誤るなどと、 そのような腐った目は不要です」 セイバーは傲慢な態度をくずさない。 「っ―――」 ああもう、どうしてこんなに言っているのに分からないんだこいつは……! 「ああそうかよ。けどな、そう簡単に頷けるか。 以前だってそれで俺はバーサーカーに犯られちまっただろう!?人を生贄にしてイリヤに見逃してもらって、 しかも俺が弄ばれるのをイリヤと呑気に見学なんて真似を繰り返すつもりか!? 冗談じゃない、俺はあんな、無残に犯されるなんて二度とご免だ……!」 「―――」 そうして。 すぐに言い返してくるだろうと思っていた彼女は、わずかに頬を染めて、 「……それはそれで楽しめたのですが、私とイリヤスフィールは」 同じことが起こることを期待するように、そんな言葉を口にしていた。
42 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 17:19:56士郎が……wwww NEET剣とはまた違った風味で良いな
43 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 17:21:33ちょwww犯られたのかよwww
44 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 18:18:36……つーか、この時点で正体ばらしてる!?w
45 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 18:29:47我様な剣だけあって、傲慢とうっかりも継承しているなw
46 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 18:41:07この我様セイバーはソッチなのか?ソッチの気があるのか?
47 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 18:42:43夏と冬に有明いって変なブースに並んだりしそうだ… イリヤと一緒に…
48 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 19:05:02そりゃ「王には人の気持ちが分からない」とか言われて城を出て行かれるわな
49 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 20:24:32部下を徹夜で並ばせたり購入ノルマ定めたりしたんだろうな。
50 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 20:54:33中世や古代では男色は極普通の文化であったわけで・・・ バサカも美男子を戦場に連れてってるみたいな記述は一杯あるわけで・・・ つまり何が言いたいかというと 『 や ら な い か 』
51 名前: 『夜の聖杯戦争』バゼ&アンリ → トラ◇ぶる道中記 (1/2) 投稿日: 2005/11/27(日) 21:22:08 ……ゆっくりと意識が浮上する。 体が鉛になったかのような倦怠感と、再び呼吸が出来る事の充実感。 もう何度も通過した蘇生の儀礼。 あの忌まわしい死の淵から、私はまた帰ってきた。 いや、帰ってきてしまった。 「―――なん、で」 どうしてなのか。 私は今度こそ、あの言峰戦まで辿りついたのに……!? 「敗れてなんていない…… 私たちは、まだ一度しか負けていなかった、のに」 蘇生した後は視力が落ちる。 明かりのない部屋はよく見渡せない。 いつもの椅子にアンリマユはおらず、彼は部屋の隅で やっぱり『風雲!イリヤ城 〜とつげきアインツベルン〜』を解こうとしている。 「よう、目が覚めたかマスター。生き返った気分はどうだ?」 「――――――」 いつもの挨拶。 私たちが敗れ、スペシャルメニューのタイトル画面に戻ってきた時にかわされる、いつも通りの確認事項。 「アヴェンジャー……私は、私たちは、一体どうしたのです。言峰に敗れて、それから―――」 その先の記憶がない。 七戦目、言峰に敗れてからの記憶がない。 「それからって、ここに戻ってきたんだよ。 そんなの言わなくても判るだろ。もう何度も経験してるんだから」 彼の姿は影になって見えない。 気配だけが伝わってくる。 ニヤリと。人間を苦しめて愉しむ、悪魔みたいな笑い顔。 「アンリマユ……! 答えなさい、これはどういう事だ……! 私たちはバーサーカーとの対戦をスキップした。 セイバーもアーチャーも、強い対戦相手はみんなスキップした! 後は言峰を倒すだけだった……! なのに、なのにどうして、またタイトル画面に戻っているのです……!!!!」 ダン、と拳でソファーを打ち砕いた。 死後硬直で動かない体を、怒りだけで突き動かす。 サーヴァント……アンリマユは、部屋の隅から動かずに私を見つめて、笑っている。 「何故も何もないだろマスター。 言ったハズだぜ、オレたちは『トラ◆ぶる道中記』を永遠に続けられるんだってな。 バーサーカー戦までスキップを連発したところで、言峰に負ければ元通りさ。 アンタが殺されちまえばタイトル画面に戻る。 例外はない。オレたちが令呪で対戦相手をスキップする戦法を取るかぎり、この七回戦を繰り返すんだ」 「な」 「―――それをさあ、今さら何故なんて言うなよマスター。 そりゃ身勝手だろ? アンタは何度死のうがコンテニュー画面に戻ってきた。 何度負けようが一からやり直す事が出来た。なのに文句なんて言わないでくれ。 アンタは―――そんな都合のいい事に何の疑いも持たず、今までさんざん頼ってきたんだから」 ケラケラと笑う。 「っ…………!」 立ち上がろうとして床に膝をつく。 まだ足が動かない。 ……情けない。 アヴェンジャーの挑発に乗って激昂する私も、まだ血の巡っていない体も、まるで未熟な子供のようだ。
52 名前: 『夜の聖杯戦争』バゼ&アンリ → トラ◇ぶる道中記 (2/2) 投稿日: 2005/11/27(日) 21:25:18「……アヴェンジャー。貴方はこう言うのですね。 私たちが敗れた回数だけではない。 令呪による対戦スキップと敗れた回数が3回を超えれば、強制的に『トラ◆ぶる道中記』のタイトル画面に戻ってしまう。 ……最初の四戦では死なないかわりに、最初の四戦しか存命できない。 それが―――私が得た、不死身のルールなのだと」 「大当たり、実に的を射ている! そっか、はじめっからそう説明すれば良かったんだな!」 ひゅう、と口笛を吹いて、大げさにはしゃぐサーヴァント。 「………………」 無論、そんな説明では納得は出来ない 訊かなければならない事は山ほどある。 まず――― 「どうして令呪は三つしかないのです。それが貴方の能力の限界だからですか?」 「さあ? 理屈なんざ知らねえよ。ま、一つじゃなくて良かったんじゃないか?」 「……言峰戦から先に行くには、令呪スキップ戦法に頼らなければいいのですか?」 「さあ? これはサーヴァントがメインのゲームじゃなくて、主にサーヴァントと契約したマスターがプレイするゲームだ。 なんとかするのはオレじゃなくてアンタだよ」 「―――では、令呪を使い切らないように言峰戦まで勝ち抜けばいいのですか? そうすれば言峰戦でコンティニューが出来ると?」 「さあ? まだ試してないが、それで言峰に勝てればいいな。 このままだと、オレたちはずっと『トラ◆ぶる道中記』から抜け出せない」 「――――」 ギリ、と歯を噛みしめる。 要領を得ない、いや、真剣に答える気がないアヴェンジャーに対してではない。 “オレたちは、ずっと『トラ◆ぶる道中記』から抜け出せない―――” 私は今まで、面倒な対戦相手は令呪でスキップしてしまえばいいと思っていた。 けれど実際は令呪はコンティニューにも必要という制限が存在し、今回ようやく、その限度に引っかかったのである。 三つ。 三つの令呪を使い切らずに他のマスターたちを倒す事は可能か否か。 「―――不可能だ。三つでは、どうやっても」 六人のマスターを倒す事はできない。 今回、いや前回のバーサーカー戦が限界だ。 あの戦い自体が幸運に見舞われた戦いだった。 開始時に既に役が出来てたことが一回、適当に二、三枚の札を切ったら何故か花見酒やら猪鹿蝶やらが発生したこと数回。 もう何度も繰り返した私たちが出くわした中で、考え得る最高のラッキーパターンだったのだ。 それでも言峰には勝てなかった。 花札のルールを覚えない運任せの戦法ではどうあっても、ギルガメ&ランサーの物量展開に押し流されてしまう。 「ではやり方を変える……? 馬鹿な、それこそ」 花札力に物を言わせた力任せなど出来ない。 そもそも―――トラぶるモードに必須とされる『ラインの黄金』は、花札のルールに熟知してなければてんで使いこなせやしないのだ。 やはり令呪の一つはアインツベルン、もう一つはセイバー。 残り一つはどうやっても無限の剣製で押し切られるアーチャーに使う? まさか。その心構えのままで挑み、いきなり間桐慎二で敗れた事など一度ではない。 ……それに、敵はこれだけではない。 ラスボスは未だ正体不明で、それが言峰であるなどとは断言出来ない。 あり得ない奇跡が起きて言峰に勝利した後、未だ姿さえ見えない、ラスボスを倒さねばならないとしたら――― 「……なんてこと……これじゃ、まるで」 『トラ◆ぶる道中記』を続ける為だけに、ずっと花札を続けているようなものだ。 花札自体に強くならない限り言峰戦は越えられない。 じゃあ、いっそチート(ry ――― 「どうしたマスター。なんか言いたい事でもあるのか?」 「え―――いいえ、目眩を起こしただけです。蘇生して間がないので」 ……駄目だ、それだけはできない。 解決策はただ一つ。 花札のルールを覚えないまま、私は『トラ◆ぶる道中記』をクリアしなければならない。 三つだけという令呪の縛りを、もう不可能と判っているのに、打破しなくてはならないのだ。
53 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 21:43:28ルール覚えろよ……
54 名前: 見知った子供 士郎→セイバー 普通のギル→へたれギル 投稿日: 2005/11/27(日) 22:12:28「おはようございまーす!」 「…はい?」 思わず、間の抜けた返事をしてしまう。 「あれ?この時間だともうこんにちは、ですか?それじゃあやり直しますね。どうも、こんにちはお姉さん!」 「あ、はい。こんにちは」 とりあえず、挨拶を返す。 にぱ、と嬉しそうに笑う金髪の少年。 「―――」 知らない。 本当に記憶にない。 トリスタンたちならともかく、見ず知らずの少年に挨拶をされる覚えはなく……しかも公園からここまで、 わざわざやってきてくれた……きっと会ったことがある筈、と頭を巡らす。 「申し訳ありません。私は貴方と出会った記憶がありません。以前にどこかでお会いしましたか?」 「あれ、覚えてませんか?」 きょとん、と驚く金髪の少年。とてつもない罪悪感が湧くのだが、思い当たる節がない。 「うーん、そっかぁ。お姉さん信じられないだろうし、いきなりじゃ無理ないですね。 けど、もう何度も会ってますよボクたち。その時はちょっと服装とか違ってたみたいですけど」 「服装が違っていた?」 否。衣服の違い程度で、これだけ特徴がある上に礼儀正しい少年を忘れる筈はないのですが…。 「んー、服っていうより格好かな。まあ、その時のコトはボク自身、他人事みたいな感じなんですけど。 同じだけどあんまり接点ない、みたいな」 ますますわからない。少年は仕方がないなあ、と顔をしかめる。 「じゃあヒントをあげますね。ボク、きっとお姉さんが一番嫌いな人間です。 その分類で思い当たる人って少ないでしょ?お姉さん、嫌いな人は人並みにいるけど、ボクは群を抜いて嫌われてます」 少年の声に嫌味はまったくない。 自分が嫌われていると分かっているのに、なお純真な笑顔を向けてくる。 血のような赤い瞳がまっすぐに見つめて―――って、まさか…? 赤い瞳と金の髪をした”群を抜いて嫌い”な男なら、一人だけ心当たりがある。 「―――あ」 まったく関係ない。まったく関係ないのだが、なんとはなしに、この少年と外見……というより、パーツが似ている 男を思い浮かべてしまった。 「―――もしかして、あの男、現世で子を生したとか……?」 「残念ながらボクの肉親はとっくの昔に死んでいます。ボク自身、兄弟とか伴侶には憧れますけどね」 邪気のない、天使のような笑顔。 「あ、でも安心してください。セイバーさん。セイバーさんは今のボクの趣味じゃないですから。 まあ、負かされたらあんがいコロっといっちゃうかもしれませんけど、とりあえず恋愛対象ではないです」 「――――――」 酷い頭痛がする。 つまりあれですか。 この金髪の少年は、その、 「本人ですよ。なんでも、 『今の状況は児戯に等しい。付き合っていられるか』 って若返りの薬を飲んだみたいです。本当はセイバーさんがお兄さんにゾッコンなのが悔しかっただけみたいですけど」 「―――馬鹿な」 少年が言った言葉は耳から耳へ流すとして。 有り得ない。有り得る筈がない。シロウの料理がマズくなるくらいに、絶対に有り得ない。 何がって、あの男の少年時代がこんな将来有望な少年の筈がない……っ! 「お姉さん、本当にわかりやすい表情するなあ。まあ、いろんな人に聞いてみたけど同じ反応でしたから、ボクが 悪いんだってわかってます。 ……ほんと、なんでみんなに嫌われるようなコトするかなあ」 だからツンデレとか言われるんですよねきっと、と溜息をつく少年。 「あ、みんなが呼んでる。 それじゃ、お姉さん、また今度。ボクはいいんですけど、あんまりお兄さんとラブラブしないで欲しいんですけど、 んー、やっぱりそうしてくれた方がいいのかな。 そうしてくれると、ボクはこのままでいられますから」 それじゃあ、と礼儀正しくお辞儀をして、階段を駆け下りていく少年。アイドルの帰還に喜ぶ子供たち。 その様子を呆然と眺めながら、とにかく、あの少年がギルガメッシュ本人だという事を記憶した。 …もちろん、納得など欠片もしていないのだが。
55 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 22:52:59「……琥珀さん。シキを狂わせたのは君なんだろ?」 「はい」 「秋葉に血を与えていたのも、秋葉を人間でなくすためだったんだろ」 「はい」 「シキに間違えた話を教えて、俺じゃない無関係な人間を襲わせたのも」 「はい」 「子供のころ遠くから俺たちを眺めていたのも、翡翠じゃなくて君だった、琥珀」 「はい」 「あの時、秋葉の注意を逸らさせたのも!」 「はい」 「俺に、シキの始末を促したのも!」 「はい」 「おかげで全部俺の思惑通りになったよ、琥珀」 「えっ!?」
56 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 23:35:49>>55 ちょwwww
57 名前: コンプティークQ&A 投稿日: 2005/11/27(日) 23:41:41Q.TYPE-MOON他作品で、アルバ以外に志貴より貧乏なのは誰ですか? A.一対一、収入が極めて平均的なものであるなら…という前提でいきます。二十七祖のほぼ 全員、軋間紅摩、蒼崎青子。防衛戦だが生活になる、というのであればシンジ。式、士郎の主 人公コンビは志貴には及びません…でも、「両儀式」ならシンジクラスまで下がるかも。
58 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/27(日) 23:56:47>>55 志貴… こわい子!
59 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 00:18:24>>55 ギガワロスwwwwwww
60 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 00:22:18>>51 >>52 タイガー吹いた
61 名前: 慎ちゃんと海 慎二→ギルガメッシュ 投稿日: 2005/11/28(月) 01:02:49 「おーい、ギルガメッシュー」 「……………………………………」 「なにやってんだー?セイバーならこないぞー?」 「……うるさいぞ雑種、俗人が王に話しかけるとは何事か。 どーせな、我は色物キャラに貶められてしまったのだ。子供の頃のほうが利口だと言われるし、セイバーとの 絡みシーンはないし、釣りに来たと思えば贋作者などに敗北するし!」 「どうだ雑種、雑兵の出番○×回に対して青年体の我は2回だぞ? 有り得ぬ、片手でも指が余るなど正直配分がおかしくないか? というよりも、王より優れた狗など存在せぬー」 そのまま港の隅っこに移動するギルガメッシュ。 ……本気で凹んでいるのか、そのままだんごむしのように丸まってしまった。 ゲートオブバビロンに引きこもりかねない勢いだ。 その後ろ向きな勢いに不覚にも涙が止まりません。 「な。バカ言うな、負けるなギルガメッシュ、立ち上がれギルガメッシュ! そーゆー自分の色物具合にまったく気づかない、まわりの空気をこれっぽっちも読もうとしないのが おまえの強さだった筈だ……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりする。 「……断る、我は疲れた、もともと我ぁ誠実な性格だったのだ。それを周りのくだらぬ雑種どものせいで捻じ 曲がってこの有様だ。 我も言峰も、あの不気味な骸骨サーヴァントも間桐も、このように隅で悩んでるのが性に合っているのかもしれぬ」 ますます閉じこもるギルガメッシュ。 まー、こんな見晴らしのいい場所で目立つ格好(金髪+新しいお気に入り)のまま引きこもる辺り、ギルガメッシュ はやっぱり大人物なんだと思う。 「……さっさと余所に行かぬか、雑種。 我は運命の相手を待っているのだ。 我がセイバーと婚姻を決められる最後のチャンスなのだ。 セイバーを連れていない雑種などに用はない」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 うーん。セイバー、ギルガメッシュが目撃されたらしいから行かないって言ってたけど。 ちょっとだけ、相手してあげるように進言してみようか。
62 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 01:58:07「あ、イリヤちゃん」 十時前の、まだ人気のない城でぽつねんとイリヤちゃんが立っている。 「おめかししてる……ってワケじゃなさそうね」 イリヤは手ぶらで、ぼんやりと外を眺めていた。 「おーい、イリヤちゃーん」 「……………………」 「なにやってるのー? 誰か待ってるのー?」 「……うるさいなあ、ほっといてよ。 どーせね、私は嫌われ者なのよ。どこ行っても出番はないし、あったところで色物だし、プールに行けばヘンなのに絡まれるし!」 「わかるタイガ、キャスターのCG×枚に対して私3枚よ? うわー、脇役に負けてるって正直調整おかしくない? つーかぁ、姉より優れた弟など存在しねー」 そのまま港の隅っこに移動するイリヤ。 ……本気でテンパっているのか、そのままドクウサギのように丸まってしまった。 ダンボールがあったら頭から被りかねない勢いだ。 その後ろ向きな勢いに不覚にも涙が止まりません。 「な。バカ言っちゃダメ、負けるなイリヤちゃん、立ち上がれイリヤちゃん! そーゆー不遇な扱いにまったくへこたれない、まわりの空気をこれっぽっちも読もうとしないのがおまえの強さだった筈だーー!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりする。 「……いや、疲れたの、もともと私は陰湿な性格だしね。正しいアインツベルンの血を引いてるのよね。 リズもセラも、バーサーカーも、こーゆー風にはじっこで悩んでるのがお似合いなのね」 ますます閉じこもるイリヤ。 まー、こんな豪華な所で引きこもるあたり、イリヤちゃんはやっぱり大物だと思う。 「……いいからさあ、さっさと余所に行ってくれない? 私は運命の相手を待ってるの。 私がヒロインになる最後のチャンスなのよ。 手ぶらのタイガに用はないの」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 うーん。なんか、今の私では処置なしの気がする。 その内、気が向いたらまた寄ってみよう。
63 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:15:12いやしかし、Fateって >まわりの空気をこれっぽっちも読もうとしないのがおまえの強さだった筈だーー! こーゆーのばっかかよw
64 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:19:50>>63 唯我独尊キャラ多いからな。 サーヴァントは英雄だけに言うに及ばず、凛は勿論そうだしイリヤはああだし 慎二独尊系だしトラは暴走だし士郎も譲れないところは梃子でも譲らないし。 そうじゃないといえば桜はそうと言えるかもしれんが、黒化したらくすくすごーごー。 ……ダメだこりゃ。
65 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:20:18スキル・空気読みのランクがC以上なのは アーチャーとランサーとライダーぐらいじゃなかろうか。
66 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:22:47アーチャーもだめだろう 結構我侭だしフィィィイッシュ!!!!!!だし
67 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:25:06空気を読むのとソレに対して対処するのは別だからな。 対処までしてるのはライダーとランサーか。弓は読んでるけどしてない系。 あとリズは結構上手いと思う。空気を読むのは
68 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:27:10譲れないところがあるから士郎も駄目っていうなら、ライダーもじゃないか? 桜を第一に考えるから、桜自身が大事に思っているものでもばっさり捨て去れる あたり。
69 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:29:41葛木と小次郎もアウトだな。こいつらは空気読む読まないの問題じゃない。 ハサンが最後の良心だ。
70 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:31:44お前らなぁ……一番空気を読むスキルに長けているのが後藤君だということに、 そろそろ気づけって。何せエーテライトも使わず、雰囲気だけで凛の心情を 限りなく正確に読み取る能力の持ち主だぞ?Aランク級の実力だ。
71 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:32:14ハサンは空気読みすぎて、そもそもFDから(ry
72 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:35:44>>70 空気読むのとはまた別だろそれw
73 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:36:02ハサンは気配遮断持ちだからな。空気を読むどころか空気になれる勢いだ。 ―まあ、それゆえにホロウでは空気と化してしまったわけだが
74 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:36:58>>70 プロローグでは、かなり空気読めてない男だったがw
75 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:46:23虎に殺される運命を回避できなさそうだったしなw
76 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 02:49:35↓ここらで空気を読んで新ネタをプリーズ↓
77 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 03:33:08 空気は険悪。 強い殺気は季節の感覚を麻痺させる。 沈黙は胸に痛く、イリヤの声が恐怖を増大させる。 文句の付け所のない絶対絶命のシチュエーション。 午後の散歩を好むお爺ちゃんやマラソンに励むスポーツメンの心臓麻痺させそうな郊外の城は、しかし。 この上なく漢な二人によって、ギチギチの緊迫空間になっているのであった……! 「―――少しでいいわ。一人でアイツの足止めをして」 遠坂の言葉。 頼れる背中がキラリと光る、あの褐色の男に間違いなく“死ね”と言った……! 「フ、賢明だ。凛たちが先に逃げてくれれば私も逃げられる。 単独行動は弓兵の得意分野だからな。ところで後ろの男、理想を抱いて溺死しろ」 「うるせえな、なんでテメェにそんなこと言われなきゃいけないんだ。この理想は決して間違いなんかじゃないんだ」 「はっはっは。借り物の理想で偽善を口走るか。 未熟者のライフスタイルではそんなところだろうよ、と、手が滑ったぁぁぁあ!」 「だからやめろってのこのコピーバカ! 魔力がもったいないだろう魔力が!」 「ふ。腕のなさを棚に上げてもっともらしい言い訳をするとは落ちたな衛宮士郎。投影が勿体ないなら固有結界に切り替えればいいだろう。 もっとも、未熟者であるおまえに無限の剣製のなんたるかが理解できるとは思えないが、おっとすまないね、また手が滑ったぁぁぁぁあ!」 ヒャッホー、と歓声をあげて俺を襲う赤い弓兵。 ……そりゃそうだよなあ。 好きな女の子に死ねって言われちゃったら、そりゃやけくそにもなるよな……。 「…………てゆーか、なにそれ」 ……いや遠坂、お前のせいだぞこれ。 左右ともに騎士王ばりにキメキメの絢爛な双剣、悪趣味な赤い外套は金に糸目をつけない99%シルクの高級品。 ズボンは最新技術の結晶、十六箇所の隠しポケットによるブレなしガタなしおまけに救難信号完備の安全仕様ときたか……! 「……すごいなあ。コレ、最高峰の投影技術だ……」 赤い男の装備はギルガメッシュの創世の剣と同等か、あるいは凌駕するほどの逸品なのだ。 データさえ入力しておけばほとんど無限の剣製がやってくれるという、もう魔術を行使しているのか固有結界を無詠唱で展開しているのか判断のつかないハイテクぶり。 その他各種オプションもすべて最先端の高級品。 あの装備のお値段、一括で二十万とんで三千円というキチ○イ沙汰だ。 ちなみに、言うまでもなくぜーんぶ投影によるバッタもんである。 「はっはっは。この分では夜明けを待たずして勝負がつくな! 軽い準備運動で始めたのだが様子を見るまでもない。 ところで凛、時間を稼ぐのはいいが―――別にこの小僧を殺してしまってからでも構わんのだろう?」 「はいはい、できるもんならやってみなさい。そん時は二度とアンタをへっぽことは呼ばないわよ」 「そうか、では期待に応えるとしよう。 ふふ、こんな形で貴様と雌雄を決する時がこようとはな……! イリヤはどちらのものか、ここでハッキリさせてやろう!」 ノリノリのアーチャーに、いいからさっさと足止めしてくんねえかなあ、という遠坂。 ……ほら、言わんコトじゃない。 ヘンなコト口にするからヘンに壊れてしまうんだ。 俺達二人の邪魔をしないよう、セイバーはこっそりと城を後にする。 どうかあの女がセイバーからハングリーに改名するようなコトがありませんように。
78 名前: 慎ちゃんと海 verセイバー 投稿日: 2005/11/28(月) 03:34:18「あ、セイバー」 十時前の、静かな道場の端に、ぽつねんとセイバーが座っている。 「精神統一してる……ってワケじゃなさそうだな」 セイバーは正座ではなく体育座りでぼんやりと神棚を眺めていた。 「おーいセイバー」 「……………………」 「なにやってんだー? 今日は鍛錬の約束とかしてなかったはずだけどー」 「……シロウ、ほうっておいてください。 どうせですね、私ははらぺこ王ですよ。どこに行っても何かを食べてますし、あらゆる話題が食ですし、 真面目に戦ってみればサーヴァントでなくマスターにやられてますし!」 「どうですかシロウ、ライダーやキャスターの嬉し恥ずかしイベントに対して私の食以外イベントは ○回ですよ!? なんですか、すぐに思い当たるイベントが殆ど無いと言うのは正直調整おかしくないですか!? というか、メインヒロインよりも出張っているサブキャラなど存在してはならない」 そのまま道場の隅っこに移動するセイバー。 ……本気でテンパっているのか、そのままモブキャラと化してちぢこまってしまった。 ライオンがいたら乗りかねない勢いだ。 その後ろ向きな勢いに不覚にも涙が止まりません。 「な。バカ言うな、負けるなセイバー! 立ち上がれ! そーゆー腹ペコ王扱いにも全く動じない、俺の財布と食費の増大をこれっぽっちも読もうとしないのが お前の強さだった筈だ……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりする。 「……もういいです、疲れました。所詮私は人の心がわからない王なんです。正しい型月メインヒロイン の系譜を継いでいるんです。 真祖の姫も私自身もまだ見ぬ次回作のヒロインも、こーやってシナリオを経る度に出番が減っていくのが お似合いなんです」 ますます閉じこもる まー、こんな明るい光が差している場所でしかもフルアーマーで引きこもるあたり、 セイバーはやっぱり大物だと思う。 「……いいですよ、さっさとあちらに行って下さい。 私は追加ディスクを待っているんです。 メインヒロインに返り咲ける最後のチャンスなんです。 食事も作っていないシロウには用はありません」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 うーん。なんか、今のでは俺処置なしの気がする。 その内、適当なお菓子でも手に入れたらまた来てみよう。
79 名前: 後日談(+修正α) バゼ→言峰 カレン→子供ギル 投稿日: 2005/11/28(月) 07:30:14「…………しかし、なんだな。 こう見ると似てるよな、アンタらって」 「どこがですか?」 「どこがかね?」 「どこがって、一言じゃあ言いにくいんだが、」 悪党らしいというか。 「ほら。似合いすぎだろ、そういうの?」 「「――――――」」 言峰はギルガメッシュ(子供)と無言で頷き合うと、のっそりと畳から立ち上がる。 「唐突だが、何か簡単なゲームをしよう。 私が勝ったのなら、今何を考えたかを自供してもらおう」 「事と次第によってはお仕置きですね。 ……雑種の分際で未来の王たるボクに逆らうなんて。串刺しにするところです、このハーレム野郎」 「―――待て。いま、ものすごい問題発言しなかったかそこのちびっこキング!」 「あ。 いや、気にしないでください。 今のは、日頃ボクが思ってきたお兄さんのイメージですから」 …申し訳なさそうに、今のは本心だから気にしないでくれ、とフォローするギルガメッシュ。 流石。最初のイメージはいい子ちゃんでも、やっぱり中身はギルガメッシュだったらしい。 「無償、とは言わない。 衛宮士郎、おまえが勝ったのなら、今日は大人しく立ち去るとしよう。魅力的な条件だと思うが?」 「…魅力的ねえ」 断った瞬間宝具とマーボーが飛んでくるのは魅力的な条件とは言わないけどな。 「…いいよ。だいたい理解した。要するに、負けたら殺されるってコトだろう?」 ひでえ条件である。 「だがまあ、俺が勝ったら帰ってくれるっていうのは破格な条件だ。よし、受けよう。 ゲームは……やっぱり花札かな?」 「それでは勝負にならんだろう。何せ、こちらにはギルガメッシュがいるからな」 「そんなコトしてたら魔術師のお姉さんたちとセイバーさんが戻ってきちゃいますよ。 ……そうですね。正義の味方と悪の親玉らしく、じゃんけん一本勝負というのはどうですか?」 「…………色々言いたいところはあるが、俺は構わないぜ。言峰は?」 「良かろう。若干こちらが不利ではあるが、ハンデというコトにしておこう」 「なんか、全然俺が有利に感じられないんだけど。 まあじゃんけんなんて運なんだけどな。 あ、俺は絶対グーを出すから」 「ふむ、いいのかね?我が身は仮にも神に仕えている。 偽りなど口にしようものなら、裁かれるぞ」 「全然神に仕えているように見えないぞ、エセ神父。 言っとくが、後出しは問答無用で負けだからな」 「いいですか?では、ボクがジャッジします。 準備はいいですね?最初はグー、じゃんけん、」 「ぽんっ!」 こちらは宣言通りグー。 言峰は……よく最初に捻くれ者が出すと言われているチョキ…! 予想通り、性格の捻じ曲がった神父のことだから、絶対にチョキでくると思……あれ? 「―――”王の財宝”―――」 ちょ、何後ろから援護してんのこの金ぴか子供―――! 「―――ボクはコトミネを援護しないなんて言ってませんから。 じゃんけん、いけぇ―――!」 「……ふう。我らの勝ちだな、衛宮士郎。 出し方はともかく、私が出したのはチョキではなくパーだからな」 ……そりゃ後出しの上に、指じゃないから無効じゃないか? 蔵の中から出した黒鍵3本を指に挟んでパーなんて。 「……先に作戦を練っておいて良かったですね、コトミネさん」 「ふむ……蔵から出すときにもう少しスピードを落とせないか。私の命が危うい」 「ふ、ふふ……ここに来る前に、作戦練ってたのかよ、おい(ガク)」 お目汚しスマソ 最後のオチガビミョ
80 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 07:41:53>>51-52 いや、笑ったよw
81 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 08:10:35>>77 パロネタに元ネタを合わせるとは…恐ろしい子…! わざわざ手が滑ったぁぁぁぁあと繰り返す馬鹿に糞ワラタ
82 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 11:02:43てかバーサーカーとイリヤほったかしでじゃれあいかよw
83 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 12:43:33>>77 え、エクスカリバー並に豪華な干将莫耶ってどーよ。あとさり気にイリヤ争奪戦?>>78 だ、大丈夫! 次の作品のメインヒロインはきっと、きっと…!!
84 名前: リーマン死徒VS真祖の姫君2 投稿日: 2005/11/28(月) 15:44:51 道路を駆けぬける。 眼鏡の少年の猛攻は途絶えた。 真祖の姫君まで、距離にして三十メートル。 ヤツなら三秒とかからず詰める。 ―――故に。 勝敗は、この三秒で決せられる。 思考は冴えている。 自身の戦力は把握している。 営業成績、勤務態度、上司の接待、以上によって手に入れた今月の給料、 電話代、ガス代、擦り切れた靴を買い換えよう、そう言えば家賃まだ払ってなかった。加えて親からの仕送り。 外回りで鍛えた足腰、会話経験、肉体強度。訂正、肉体強度の読み込みは失敗。運動不足による筋肉痛はいつも通り。 固有結界”有給休暇”による攻撃は不可。 先日甥っ子が遊びに来たときに使い果たした。有給をとることはできない。 使用できるものは自分の経験か、そこから派生した話術のみ。 訪問販売を行う場合、販売品目に最も適した家庭を"過去の経験"から検索し訪問するする。 だが注意せよ。 訪問販売は諸刃の剣。 一度でも行使すれば、それは自らの―――― 「――――――――」 呼吸を止め、全力を脚に叩き込む。 把握するのは使える技術だけでいい。 注意事項など先刻承知。 もっと前へ。 あの道を越えて、私は、この商品を売りつける―――― 「――――商品、選択」 観察する。 対象となる姫君を慎重に観察する。 左手を広げ、まだ現れぬ架空の鞄を握り締める。 桁外れの商品。 サラリーマンではその商品を売ることはできない。 だが―――私ならば、その商品を確実に販売しよう。 「――――――――、ぁ」 壊れた。 パシ、と音をたてて筋肉の一部が破裂する。 筋肉は流出する運動に耐え切れず瓦解。二十代だというのに四十代の親父みたいにみっともない。 「――――――――行きます」 心配など無用。 疲労した肉体は栄養ドリンクで24時間戦える。 我が専心は訪問販売にのみ向けられる。 「!」 気付かれた。 収束する殺意。 こちらの突撃を敵と見なし、白い姫君の眼が動く。 白い、凶(まが)つ星のようだ。 姫君は笑い声をあげながら、自らの敵を討ちに走る。 ―――戦姫。 戦いの最中、彼女は変わってはいなかった。 アレは、未だ私の存在など眼中にない。。 目は恋人を見、恋に落ちて、私に二度の死を迎えさせ、その後、己の恋人と遊ぶことを考えている。 ――――――――――、一秒。 「――――――――」 走りくる姫君は一撃では止まらず、通常のキャッチコピーなど通じまい。 ただの商品では届かない。 限界を超えた商品でなければ、あの姫君は購入しない。 故に――― 「―――"その人生は、無限の残業でできていた"」 左手には鞄。 鞄に納められたゴム紐をはじめとする様々な商品を動員して、この場を乗り切る―――― ――――――――――、二秒。 目前に迫る。振り上げられる爪。 激流と渦巻く気勢。 閉じられるドアを一足を挟んで抑えこみ。 顔を見 笑顔を見せ 玄関へ入り 名刺を差し出し 鞄を下ろし カタログを広げ ジョークを交え、商品説明をし、 その八節に狙いを定め、 「全工程想定完了――――化粧品の1年定期購入契約など如何でしょうか、遊園地のチケットもつけますよ――――!!」 その爪が振り下ろされる前に、おすすめの商品と特典を叩きつける―――!
85 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 16:03:16「あ、ハサン」 十時前の、静かな洋館の庭の端に、ぽつねんとハサンが座っている。 「暗殺しようとしてる……ってワケじゃなさそうだな」 ハサンは立っているのではなく体育座りでぼんやりと庭を眺めていた。 「おーいハサン」 「……………………」 「なにやってんだー? 今日は暗殺の予定とかしてなかったはずだけどー」 「……魔術使い殿、ほうっておいてください。 どうせですね、私は名無しですよ。どこに行っても誰にも気付かれないし、格好良いシーンは無いし、 真面目に戦ってみれば卑怯者呼ばわりされますし!!」 「どうですか魔術使い殿、他のサーヴァントの出番に対して私のイベントは0回ですよ!? なんですか、いくら人気があまり無いとは言え、正直調整おかしくないですか!? というか、戦争なのに、ああいう戦い方が『卑怯』呼ばわりされるのは正直納得いかない」 そのまま庭の隅っこに移動するハサン。 ……本気でテンパっているのか、そのままモブキャラと化してちぢこまってしまった。 誰かが通りかかっても気付かないくらい風景に溶け込んでいる。 その後ろ向きな勢いに不覚にも涙が止まりません。 「な。バカ言うな、負けるなハサン! 立ち上がれ! そーゆー扱いの悪さにも全く動じない、王道少年漫画的ノリをこれっぽっち理解しようとしないのが お前の強さだった筈だ……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりする。 「……もういいです、疲れました。所詮私は”名無し”なんです。正しい暗殺者とダークヒーローの系譜を継いでいるんです。 ネロ=カオスも私自身もまだ見ぬ次回作の悪役も、こーやってシナリオを経る度に扱いが悪くなっていくのが お似合いなんです」 ますます閉じこもる まー、こんなじめじめして暗い場所でしかもマントに仮面装備で引きこもるあたり、 ハサンはやっぱり暗殺者だと思う。 「……いいですよ、さっさとあちらに行って下さい。 私はSSを待っているんです。 メインに返り咲けなくても渋い脇役くらいにならなれそうな最後のチャンスなんです。 王道少年漫画の主人公には用はありません」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 うーん。なんか、今のでは俺処置なしの気がする。 その内、適当な暗殺対象でも見つけたらまた来てみよう。
86 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 17:14:41慎二
87 名前: ランサーズヘブン2を本編と混ぜる 投稿日: 2005/11/28(月) 17:38:08空は曇天。 強い殺意が、体感温度を低くさせる。 怒声が耳に響き、荒い吐息だけがそれに僅かに抵抗している。 文句の付け所のない絶好の死地。 自殺をしたがってる桜や、 財宝をたんまりと持ってるギルガメッシュのストレス解消財になりそうな アインツベルンの城は、しかし。 この上なく対照的な二人によって、ギチギチの険悪空間になっているのであった…! 「って、武器投影してるぅ……!?」 バーサーカーの正面。 頼れる背中がキラリと光る、あの褐色の男は間違いなく遠坂のサーヴァント……! 「フ、命1個目ヒット。よい木偶だ。面白いように武器が当たる。 ところで、後ろのマスター。今日それで何投影だ?」 「うるさいな、なんでテメェに答えなくちゃいけないんだって。 うるさいから他の奴に聞けって」 「はっはっは、カリバーンが八本だけか。時代遅れの投影ではそんなところだろうよ、と、 2命目ヒィィィィィット!!!」 ※ヒットとは、バーサーカーの命を奪ったという意味です。殺害、抹殺、滅命等とお考え下さい。 「だからうるさいってのこの磨耗した正義の味方かぶれ! 獲物(バーサーカー)が逃げるだろうが、獲物が!」 「ふ、腕のなさを他人の所為にするとは落ちたな、エミヤシロウ。 獲物が逃げるのならば、弓による射撃に切り替えればいいだろう。 もっとも、理想を抱いて溺死しそうなおまえに弓のなんたるかが理解できるとは思えないが、 おっとすまないね、3命目ヒィィィィィィィィット!!! ヒャッホー、と歓声をあげる赤ジャケットの男。 ……おかしいなあ。 殺戮に酔う大人を見るのって、こんなにも苦々しいものだったっけ…。 「…………つーか、なんだありゃ」 そもそも、俺たちは大ピンチではなかったのか。 上下ともギルガメッシュばりにキメキメの鎧と兜。 悪趣味な剣は投影の糸目をつけない99%エアのEX宝具。 投影した武器は固有結界の結晶、16個のEXランク宝具による、 憂いなし恐れなしおまけに遥か遠き理想郷による高速防御式と来たか…! 「いいなあ。アレ、セイバーの宝具だよなあ……」 赤い男の投影した宝具の面々はバーサーカーの暴力と同等か、あるいは凌駕するほどの力なのだ。 投影さえしておけばほとんど宝具がやってくれろという、 もう戦いに来ているのか宝具の調子を見に来ているのか判断の付かない贋作ぶり。 そのほか各種防具もすべて最強級の宝具。 あの宝具のお値段、一括で手に入れる事など不可能というキチ●イ沙汰だ。 ちなみに言うまでもないが、全部投影によるバッタモンだ。 「はっはっは。この分では夜明けを待たずして勝負がつくな! 軽い準備運動で戦い始めたのだが様子を見るまでもない。 なあリン、別のこのサーヴァントを倒しても構わんのだろう?」 「…あ、あったりまえじゃない…!」 唖然としつつも、マスターとしての威厳を失おうとしない遠坂。 「よく言ったリン。 ふふ、こんな形でアインツベルンと雌雄を決する時が来ようとはな……! どちらがサーヴァント最強か、ここでハッキリさせてやろう!」 ノリノリのアーチャーに、バーサーカーがいいようにやられている現状に涙目のイリヤ。 ……ほら、言わんコトじゃない。 ヘンなコト口にするからヘンなのが寄ってくるんだ。 三人の邪魔をしないよう、遠坂とセイバーをつれてこっそりと城を後にする。 どうかあの男が調子こいて、俺まで殺しに来るコトがありませんように。
88 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 19:39:30>>87 アーチャー強すぎ!これで実は内心焦っているとかだったら、渋くていいんだが。
89 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 19:41:38アーチャーがいい感じに壊れているなw
90 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 20:09:26アーチャーがノリノリのうちに凛とセイバーとあれするわけですね
91 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 20:17:58イリヤとバーサーカーが真剣に可哀想…
92 名前: 弓釣り道中記 ノーマルモード 慎二→アーチャー 凛→士郎 投稿日: 2005/11/28(月) 20:32:07「ヒャッホー!!! 次なる獲物3人目ヒイィイィィィット!!!」 「あ、アーチャー?な、なんだよいきなり。 今は街のパトロールで忙しいんだ。嫌味なら後にしてくれないか?ていうか色々おかしいぞオマエ」 「ほう。街のパトロールとは穏やかじゃないな。 どうしたのだ衛宮士郎。何かあったのかね?」 「スルーかよ。まぁいいけど。 それが俺もよく分からないんだ。 ……なんか、手当たり次第釣り勝負を吹っかけてるヤツが出たって話で」 「ハハハ、それはただの変質者ではないかね衛宮士郎。 そんなコトよりどうだ、これから釣りでも。 さっきから手当たり次第に声をかけているのだが、たいていは断られてなフィイイイッシュ!!!」 「って犯人はオマエかーーー!」 花札勝負→釣り勝負
93 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 20:43:02Archer?
94 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 20:45:17 そうして、両者の戦いは終わった。 釣り尽くし、殲滅しあった彼らの戦いは、赤い騎士の逃亡で幕を閉じたのだ。 絢爛を誇っていた港は一変していた。 床は千々にひび割れている。 海は幾つにも割れている。 舫フックは陥没し、砕かれたコンクリは砂礫となって風に散った。 空間は破壊し尽くされ、港にかつての面影は無い。 ならば、時間さえかしいでいると言えるだろう。 夥しい破壊の跡は、つい二時間前の風景すら思い出させないと言うのだから。 「――――――――」 その廃墟の中心に、相応しい暇人が座っていた。 この世の終わりみたいな顔のそれは、涙を流してうなだれている悲哀の人。 言うまでもない。 釣り最強のサーヴァント、ランサーである。 もはや港に、かつての平穏はない。 その空間は焦げ臭く、至る所に穴が開いている。 傷のない箇所など、この港には存在しなかった。 一、船は溶解しかけている。 二、床には大量のサバがぶちまけられている。 三、クロダイはかろうじてまだピクピク生きている。 四、カレイとヒラメの区別がつかない。 五、タコからは大量にスミが流れている。 六、イナダが釣り尽くされている。 ランサーは動かない。 当然だろう。 それは、どう見てもこの世の終わりだった。 戦い自体は、半刻で決着がついていた。 ただあまりにも意外すぎる結果に、ギルガメッシュは我を忘れた。 本来ならすぐさま逃げた獲物を狩りたてに行かねばならないというのに、呆然とこの惨状を見つめていたのだ。 「―――信じられぬ。なんだというのだ、ヤツは」 忌々しげに呟く。 ここで行われた戦いは、英雄王にとって屈辱以外の何物でもなかった。 彼は最強である。 数いる英霊の中でも原初の宝具を持ち合わせている英雄王に対抗できるモノなど、それこそ一人か二人のみだろう。 それを、どこの英雄とも知らぬ正体不明のアーチャーが拮抗した。 あの赤い騎士はギルガメッシュと互角に渡り合い、結果、今まで誰も成し得なかったランサー泣かしを成功させたのだ。 ―――そんな事は許されない。 ギルガメッシュにとってみれば、道ばたの虫に心臓を刺されたようなものである。 本来踏みつぶし、情けを乞わせるだけの相手に追い詰められるなど、最強を自負する彼の自尊心が許さない。 「おのれ、頭にくるわ! あのような下郎にコケにされるなどと、なぜ王のために働かなかったのだランサー!」 「――――――」 ランサーは答えない。 答える余裕などないのか、その必要性を感じないのか。 ランサーは佇み、心傷の回復に専念する。 ……彼にしてみれば、今回の戦いはあまりにも異常だった。 彼にとって"釣り"は、釣った魚の数を求めるものではない。 竿を持ち、糸を垂らしながら海の様子を眺めて楽しむものである。 故に、釣りにおいて誰かと争うことなどありはしなかった。 神話の時代、偉大な英雄であった彼に釣りで泣かせた者はいない。 にも関わらず、それを二人のアーチャーが成し遂げた。 赤と金のアーチャーは致命傷に近い純度のフィッシュを、実に六度行ってきた。 その全てが異なる手段だったのは言うまでもない。 たとえ最高純度のフィッシングテクニックであろうと、たかだか釣りでそう大した被害が出るはずもない。 ……異常だというのなら、それこそが異常だった。 それほど釣りへの最強の自負を持つ英雄であるのなら、まず海を愛する筈である。 だがアーチャー達の争いは、結局、港を粉砕しても終わらずじまいだった。 真に驚くべきは、アングラーとして矛盾したその有り方であろう。 「――――――――」 ……ランサーの眼孔に、わずかな光がともる。 彼らがまっとうにサーヴァントとして勝負していたのなら、この戦いを"惜しい"と嘆いただろう。 コピーバカであれ軟弱王子であれ、彼らは得難い難敵になり得るはずだった。 彼らの理性が壊れていなければ、心ゆくまで武技を競い合い、充実した時間を過ごせただろうに。 「……許さん。許さんぞ。よくもここまで我を侮辱してくれたな……!」 ギルガメッシュの声が響く。 わずかに灯った理性の光は、それでかき消えた。 今のギルガメッシュはランサーにとって疫病神にすぎない。 型月ファンの望み通り、敵に油断し、慢心するだけがその役割。 「もう待てぬ! 心の傷は治ったのかランサー!」 「――――――――」 答えるまでもない。 なんなら衛宮士郎との約束、バゼットと闘う前の肩慣らしに、貴様らの心臓を貰い受けよう。
95 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 20:56:17>>94 やべえ、不覚にも最後の一行、カッコいいと思っちまったw
96 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 21:59:25静かに落ち込み、なおかつブチ切れているなw
97 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 22:06:36>>85 待っているのが公式のなにかですらなくSSというところに乾杯。
98 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 22:09:19>>94 ミミちゃんとかはどうなったんだろうか?
99 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 22:55:36>>94 惨状の解説読んで笑い止まんなくなったw
100 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 23:41:04魚類の死体の山々の中心でうなだれているランサー想像して吹いたw
101 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/28(月) 23:43:08>>94 GJ! ランサー つд`)
102 名前: 見知った子供 士郎→セイバー ギル→モードレッド 投稿日: 2005/11/28(月) 23:48:41「おはようございます」 「…はい?」 思わず、間の抜けた返事をしてしまう。 「あれ?この時間だともうこんにちは、ですか?それじゃあやり直しますね。どうも、こんにちはお姉さん」 「あ、はい。こんにちは」 とりあえず、挨拶を返す。 にぱ、と嬉しそうに笑う金髪の少年。 「―――」 知らない。 本当に記憶にない。 トリスタンたちならともかく、見ず知らずの少年に挨拶をされる覚えはなく……しかも公園からここまで、 わざわざやってきてくれた……きっと会ったことがある筈、と頭を巡らす。 「申し訳ありません。私は貴方と出会った記憶がありません。以前にどこかでお会いしましたか?」 「あれ、覚えてませんか?」 きょとん、と驚く金髪の少年。とてつもない罪悪感が湧くのだが、思い当たる節がない。 「うーん、そっかぁ。お姉さん信じられないだろうし、いきなりじゃ無理ないですね。 けど、もう何度も会ってますよ私たち。その時はちょっと立場とか違ってたみたいですけど」 「立場が違っていた?」 否。立場の違い程度で、これだけ特徴がある上に礼儀正しい少年を忘れる筈はないのですが…。 「んー、立場っていうより年齢でしょうか。まあ、その時のコトは私自身、他人事みたいな感じなんですけど。 同じだけどあんまり接点ない、みたいな」 ますますわからない。少年は仕方がないなあ、と顔をしかめる。 「じゃあヒントをあげますね。私、きっとお姉さんが一番見たくない人間です。 その分類で思い当たる人って少ないでしょ?お姉さん、見たくない人は人並みにいるけど、ボクは群を抜いて直視したくなさそうです」 少年の声に嫌味はまったくない。 自分が厭われていると分かっているのに、なお純真な笑顔を向けてくる。 翡翠のような緑の瞳がまっすぐに見つめて―――って、まさか…? 緑の瞳と金の髪をした”群を抜いて見たくない”な男なら、一人だけ心当たりがある。 「―――あ」 まったく関係ない。まったく関係ないのだが、なんとはなしに、この少年と外見……というより、パーツが似ている 男を思い浮かべてしまった。 「いや、けど―――そんな、あなたは、死んだはずだ」 「残念なことに母上に殺されましたね。親子とか兄弟に憧れてたのに」 邪気のない、天使のような笑顔。 「あ、でも安心してください。母上。母上を不幸にする気はないですから。 まあ、またあんがいコロっとやっちゃうかもしれませんけど、とりあえず叛乱対象ではないです」 「――――――」 酷い頭痛がする。 つまり。 この金髪の少年は、その、 「本人ですよ。神父が、 『今の状況は茶番に等しい。付き合っていられない』 って召喚を行なったみたいです。人事ながら他人の気がしません」 「―――馬鹿な」 ありえない。ありえない。何かの間違いだと言って欲しかった。 あの男の少年時代を見せられるなんて……っ! 「『母上』は、本当にわかりやすい表情をしますね。まあ、いろんな人に聞いてみたけど同じ反応でしたから、ボクが 悪いんだってわかってます。 ……ほんと、なんでかみんなに嫌われてるんですよね」 ランスロットとか、王妃とか、侵略のとかもあるのに、と溜息をつく少年。 「あ、皆が呼んでる。 それでは、『王』よ、また今度。私はいいんですけど、あんまり少女として過ごさないほうがいいですよ、 んー、やっぱりそうしてくれた方がいいのかな。 そうしてくれると、私は生きていられますから」 それじゃあ、と礼儀正しくお辞儀をして、去ろうとするモードレッド。 「あっ―――待って、それはどういう意味……」 「すみません。お教えできません」 不義の息子が階段を駆け下りていく。 アイドルの帰還に喜ぶ子供たち。 その様子を呆然と眺めながら、ずっと、あの子を貫いた瞬間を思い返していた。 SSもどきになっちゃったなー
103 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 00:03:57全米が震撼した
104 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 00:22:07>>94 >四、カレイとヒラメの区別がつかない。 吹いたw
105 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 01:14:35>>102 ああ、確かにSSに使えそうなネタだな。 それはそれとして、GJ!
106 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 03:42:04「行け……! 近寄るモノはみんなぶっ殺せー、姉ちゃん!」 「姉ちゃんではありません、セイバーです!」 それは爆音だった。 もはや常人ではありえない爆音をあげ、金髪の少女が弾け跳ぶ。 「っ―――、ゲロス……!」 応じて駆け抜けるトリスタン少年。 セイバーは空中のボールを胸でトラップしつつ着地する。 舞い落ちてくるセイバーと、その落下地点めがけて縦一文字に疾走するトリスタン少年。 ―――大地が振動する。 落下する隕石を押し止めるように、トリスタン少年はセイバーを迎え撃った。 ―――それは、神話の再現だった。 陽光に包まれた広場の中、二つの影は絶え間なく交差する。 セイバーは、ただ圧倒的だった。 踏み出すドリブルが旋風なら、撃ちだすシュートは瀑布のそれだ。まともに受ければトリスタン少年とて致命傷に成り得るだろう。 それを正面から、怯む事なく最大の力で弾き返すトリスタン少年。 嵐のように振るわれる一撃に対し、全身全霊の一撃をもって弾き返すのだ。 そうでなければ両腕ごと両断される。 間断なく繰り広げられる無数のシュートは、その実、トリスタン少年にとって一撃一撃が致命たり得る弾丸だった。 絶え間ない衝突の音。 射程距離が違う。 速度が違う。 許された身体能力が違いすぎる。 トリスタン少年に許されるのは、受けきれないシュートを腕に当て弾き、軌道を変更する事で、身体ごと粉砕されないようにするだけだった。 喩えるのなら、セイバーは壊れたピッチングマシーンだ。 四方八方に撃ちだされる音速は、周囲のモノ全てを容赦なく粉砕する。 腹にでも受けてしまえばそれで終わりだ。 耐える事など出来ず、弾丸の威力に巻き込まれて血と臓物をぶちまけるだろう。 ……そんなモノに生身の人間は立ち向かえない。 受ければ死ぬだけなら受けるわけにはない。 だがトリスタン少年は回転の内に身を置き、退く事をしなかった。 ならば削られる。 キーパーグローブが火花を散らし、皮の破片が零れていくのは当然だ。 彼は常に、一秒後には即死しかねない渦に身を置いている。 「――――――――」 それに、ただ息を飲んだ。 太古の昔。 竜という魔獣に立ち向かった英雄たちは、誰もが彼のようだったに違いない。 戦力が違うのなど百も承知。 それでも、彼らは千載一遇の機会に賭けた。 人間を凌駕する巨大な暴力。 唯一の隙が生まれるまでただ防ぎ、そして―――そんな奇蹟など起きず、当然のように息絶えた多くの戦士。 二人の戦いはまさにそれだ。 目を奪うほど絢爛(けんらん)な戦いは、しかし。 一撃毎に傷ついていくトリスタン少年の敗北しか、結末を用意していなかった――― 「―――はッ!」 雄叫びが大地を揺らす。 セイバーのシュートは大気を裂き、受け流すトリスタン少年を弾き飛ばす。 その度にトリスタン少年のグローブは欠け、地面に叩きつけられようとして―――地に膝をつける事なく、勇猛にセイバーへと突進する。 ……それも既に限界だ。 トリスタン少年の呼吸は乱れて、体の動きも目に見えて衰え始めている。 セイバーのシュートチャンスを潰す、どころの話じゃない。 おそらくあと数撃で、トリスタン少年はあの弾丸の前に粉砕される―――― / 「三枝…………!」 セイバーのシュートがトリスタン少年を薙ぎ払う。 それは致命傷だ。 トリスタン少年の体は腰から粉砕され、その肉片が宙に舞った。 「いや―――違う……!?」 宙に舞っているのはグローブの皮だけだ。 セイバーが薙ぎ払ったのはトリスタン少年のグローブのみ。 少年はあえて隙を作り、セイバーに大振りをさせ―――温存した全ての力で、最速の飛び出しを見せたのだ……! 「おおっ!」 セイバーのシュート体勢がグラついた。 完全に懐に入ったトリスタン少年から逃れる術はない。 彼は両目を見開き、セイバーの蹴りに怯えることなく、渾身の力でボールを掴み取る―――! 「――――!!」 そうして、そのまま。 「全員あがれぇっ!!」 間髪入れず、本命の攻撃(カウンター)が繰り出された。
107 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 03:44:59ミスった。訂正 >セイバーのシュート体勢がグラついた。 →こぼれ球を撃ち返そうとしていたセイバーのシュート体勢がグラついた。
108 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 11:00:31しょ……少林さっかー
109 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 11:13:15あーそう言われるとそうだなこれw
110 名前: エミヤ→七夜 士郎→志貴 投稿日: 2005/11/29(火) 11:42:04 廃墟となった影絵の街。 全てが影のように重なり合うこの場所が、お互いの死地となる。 「来たか。随分と遅い到着だったな、遠野志貴」 冷め切った声が響く。 聞き慣れた声は目前から。 同一のビルの間、影の境目に、その男の姿があった。 黒い学生服は遠く、男の姿は影絵を背に、ただ俺の前身を待っている。 だけど見える。 その細部にいたるまで敵の姿を確認できる。 それは、暗い目を持ったあの男とて同じだろう。 遠野志貴によく似た殺人鬼。 殺人鬼でありながら殺戮でなく、遠野志貴のみを 殺そうとする矛盾した存在。 無骨なナイフを手に、獣の如き速さで蜘蛛の如き跳躍を 可能とする異能だった。 ……その正体に、自分だけ気づかなかった。 技術とは才能ではなく、鍛錬の繰り返しでのみ研ぎ澄まされるモノ。 鍛錬した覚えがないというのなら、それは自分がそれを覚えていないということだ。 「ようやく気づいた。俺なんかにこんな化け物じみた動きが出来るワケがない。 コレは、元々」 「そう、コレは七夜が滅びる前に志貴が身に着けたモノ。 この世にはもう存在しえない、七夜の暗殺技術だ」 それの使い手が二人いるという事自体が、矛盾だった。 彼の言う通り、志貴が遠野志貴になる前にその技術を学んだというのなら、コイツは。 「―――悪夢とはその人間が最も恐れるモノの具現だ。 朱い月がアルクェイドのそれのように、その人間と悪夢は自分同士でなければならない」 「――――――――」 それが正しいのなら、答えは一つだけ。 俺が最も恐れるモノ、悪夢の具現が同一人物というのなら、 コイツは―――― 「そう。俺はお前なんだよ志貴。 お前が最も恐れる悪夢というのは、瓜二つである俺以外はありえん」 「――――――――っ」 それはもう消え去った記憶。 家族を奪われ、その相手が誰か分からぬまま、 遠野の屋敷でシキに殺された。 ……だから、それが答えだ。 ヤツが俺の悪夢だというのなら、その正体は一つだけ。 ――――七夜志貴 七夜の自分。 俺が恐れ、人外の者を殺す時のみ暗い闇の底から浮上する 亡者が、目の前にいる殺人鬼の名前だった。
111 名前: 士郎→凛 タイガー→弓 投稿日: 2005/11/29(火) 17:06:13 「ショック! 二週間かけて考えた自分殺しの策略が、たった数分で水の泡か!」 ざぁ、と足下から風化していく赤い弓兵。 古来より、怪異にはこれを撃退する決まり事(システム)が存在する。 ウォシュレット使った剣霊よろしく、皮肉屋で現実主義者に見えたこの守護者も、揚げ足を取ることでびっくらこくのだ……! 「おーのーれー。だが忘れるな遠坂凛、わたしは何度でも蘇る! 英霊エミヤがいるかぎり、この世に報われない守護者がいる限り星幽界からVトールで現れる! ……おお、なんという人の業……! 罪深きもの、汝の名はあかいあくまなりぃぃぃい…………」 『英霊エミヤが答えを得た!』 「まあ、なんつーか……やっぱり士郎だったか」 とりあえず、これに懲りてしばらくは姿を現さないだろう。 セイバーも手に入れたし、テキトーに供養してからウチに帰るとしよう。
112 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 17:31:17どんなクイズ内容だったんだろう……
113 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 17:36:08エミヤが得た答えが気になる・・・
114 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 17:45:30>>106 これだけ戦えれば本物のトリスタンも草葉の陰で泣いているだろう
115 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 18:01:15>>110 ありそうでなかった組み合わせだな。 GJ。
116 名前: 十年前の真実 剣⇒ダメ剣 投稿日: 2005/11/29(火) 18:48:27 「っ―――このバカ、いい加減目を覚ませ……! 王としての責務があるんだろっ、セイバーはこうして聖杯戦争に 参加してるんだから、後は自分でやるべき事をやればいいんだ―――!」 「――――」 「それ以外の目的なんて認めない。セイバーは本当は強いんだろ? ならさっさと戦って、聖杯を手に入れて、ニートなんて辞めればいい……! 願い事があるんなら、今更諦めたりするな。 自分を変えたいんなら、明日には、明日こそ、とか言ってないで今から 変われってんだ―――――!」 ……セイバーは答えない。 彼女は小さく溜息をついた後、 「シロウ、しつこいです。その話は、もう止めてほしい」 きっぱりと、俺の言葉を拒絶してテレビの電源をつけた。 「それに、聖杯を手にすれば願いが叶う、と言う訳でもありません。 アーチャー……あのサーヴァントは聖杯を手に入れたから残っている訳では ない。なぜなら前回の戦いで聖杯を手に入れられる筈が無いのですから」 「……? セイバーはそれはどういう――――」 「無いものは手に入れようがないでしょう。 あの日。街が炎に包まれた時、聖杯は破壊されたのです。 ―――私と、私のマスターであった衛宮切嗣によって」 「衛宮、切嗣、だって……?」 「はい。十年前、前回の聖杯戦争における私のマスターは彼でした。 その頃の私は、救国の志に燃える立派なサーヴァントでした、 ……そのようにあからさまに不審な顔をされると困るのですが。 切嗣は一流の魔術師でした。私情を切り捨て、人質を取るなど非道とも される手段も躊躇なく取り、的確に他のマスターを殺していきました。 実際、私の力などほとんど借りずに切嗣は一人で戦っていました」 「なっ――――切嗣が……」 「そして、私は悟ったのです――――人は働かなくても生きていける、と」 その目はどこか遠い過去を見るように穏やかなものだった。 「考えてみれば、戦いさえしなければここは衣食住が安定している。 わざわざ過去をやり直して、あの満足な食事も得られぬ生活に戻るなど 考えられません。ですが切嗣は私抜きでも戦い続け、そして聖杯を 手にする所にまで辿り着いたのです」 「流石の私も聖杯を手に入れられては過去に戻らざるを得ません。 そこで私はこの楽園を守るべくアーチャーに向かって聖剣を放つフリ をして、聖杯を木っ端微塵に破壊したのです! まさか、その余波で街があんな事になるとは思いもしませんでしたが。 ……さて、解っていただけでしょうか? 私がこのようなニートになった 原因は衛宮切嗣のせいであり、その養子であるシロウには私は養う責任 があるのだという事を」 「ああ、よく解った」 こいつに何か期待した俺が馬鹿だったって事が。 左手の令呪が熱を帯びる。 「令呪において命じる―――地獄に落ちろ、セイバー」
117 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 18:50:22筋金入りのneetだな…
118 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 19:16:45まさかNEETセイバー誕生にはこんな裏話があったのか!
119 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 19:19:02なんつうか貴様にはNEETという言葉すら生ぬるいという感じだな
120 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 19:36:22今まで駄目な子の話だと思ってたんだが今回はちと黒いなw
121 名前: ロア→不屈な士郎、アルク→NEETセイバー 投稿日: 2005/11/29(火) 19:38:54―――それは、いつだったか。 薄暗く、魔の槍の使い手に襲撃された、衛宮家の土蔵で。 殺戮者に抗うこともできずに死を待っていた少年を救ってくれた一人の剣士の姿。 それだけが、心を凍らせた彼の魂に、焼きついている。 本来は年端もいかない少女に過ぎず。 ただ己が国民への救済をおこなうと決めた信念だけで聖杯にすべてを賭けた少女。 諦めることも知らず、聖杯を得る為にただ馬鹿みたいに死後を世界に売り渡した少女。 台所には今にも空にならんとする白い冷蔵庫。 何ども今月の食費がピンチだということを伝えようとした昨日の今日で、 冷蔵庫を漁る彼女の姿だけは、俊敏だった。 その姿を、彼は、救いようがないと感じた。 生まれて初めて。 おそらく、いや、生涯にただ一度のみ。 ――――衛宮士郎は、NEETの救済に絶望をした――――
122 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 19:40:51つーかさ、令呪で命令すればいいじゃん。ニートを辞めろ×3
123 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 19:42:29令呪は瞬間的な命令には有効だけど、曖昧で長期的な命令にはあまり有効ではないからなあ。 多分三日坊主×3回で終わるな。
124 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 19:46:16もしくはこうなる > 言葉がない。 > セイバーは今日この日この時ようやく。 > やる気を出して、全力を出して、己が最優を証明したのだ。 > 最優であるからこそ、令呪に逆らうことも出来るのだと、俺への当てつけのように。 > ……目眩がする。 > その労力をなぜ、おまえは正しい方向へ使おうとしないのか―――
125 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 19:49:00なんかこのスレをずっと見てたら、本編の真面目なセイバーに違和感を感じるようになった。
126 名前: サイカイの水辺の王様 投稿日: 2005/11/29(火) 20:40:44 気持ちのいい朝の、いつも通りの風景。 それを当然のように噛みしめて、 「おや。おはようございますシロウ。今朝は少し寝坊ですか」 彼女の笑顔を、見つめていた。 「シロウ? どうしたのです、黙りこくって。 私の顔に何か?」 半年前。 まだ寒かった頃に、こういうコトもあった。 それを、 「……顔色が優れませんね。まったく、また土蔵で夜を明かしたのですか。 シロウ、鍛錬を欠かさぬ心構えは立派ですが、それで体を壊しては半人前だ」 ああ、だって俺はまだ半人前なんだよ。 聖杯戦争からまだ半年。 人間、そう容易く成長はできないんだ。 「聞いているのですかシロウっ。 いいですか、凛に留守を任されている以上、私には貴方を監督する義務がある。 不摂生が続くようでは私にも考えがあります」 そうだった。 遠坂がいない今、我が家の風紀はセイバーが監督しているのだった。 それは、ともかく。 「セイバーの考えってどんな?」 「シロウが一番苦手な事を。 いくら言っても守らないのですから、監督として身近で指導をするしかない。 シロウが悔い改めないというのなら、今日からでも部屋をシロウの隣りに移しましょう」 「む」 笑顔で恐ろしいことを言う。 セイバーの部屋は離れの和室にある。 俺の部屋の隣りから引っ越す際、 「お断りします。住居を変える理由がありません」 なんて頑固振りを発揮したが、戦いは終わったのだし、 身辺警護の必要なし、というコトで承諾してもらったのだ。 それがちょっと前の話。 以来、俺は健全な成年男子にふさわしき心の平穏を取り戻したのである。 「―――反省した。明日からきちんと自分の部屋で寝る」 「…………そうですか。鈍感ってのは、時としてどうしようもない不摂生を生み出すんですね」 「セイバー……? な、なんだ、そのジトっとした目は。 俺はただ、土蔵で夜を明かしただけだぞ」 「それがいけない。シロウの自己献身には慣れてますが、さすがに今朝のはどうかと思いました」 シロウは当然のように自分の事を勘定に入れない。 ので、まずはその性根を奪うとするヨ。 「あ、あれ……?セイバー……?な、なんだその手の動きは。 まるで昨夜夢に観た第8のサーヴァントみたいじゃないかっ……!」 一番、蒼のコース行きます。 ままならぬ円卓の騎士代表として頑張るヨ。 「ま、待て、今朝のは少々やりすぎた、謝るからっ! ああ、ライダーを驚かせようとしてちょっと自転車を弄り回した俺がおとなげなかった! 今度は真面目に、誠心誠意を持って自分の部屋で寝るから、うおっ!?」 よーし、マウントとりましたー! 「!!!!!??? セイバー、服、服をなぜ脱がす……!!!!?」 バタバタともがく女子寮の家主。 意外と逞しい体をふんじばって、まずは女の恐ろしさを叩き込む。 よしよし。 あとはゆっくり、この正義の味方に乙女ゴコロというものを味わわせてやりましょう。
127 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 21:09:09>>126 これ、なんてエロゲ?
128 名前: 凛ちゃんと海 慎二→凛 士郎→ルヴィア 投稿日: 2005/11/29(火) 22:37:30「あら、ミス・トオサカ」 十時前の、まだ人気のない港にぽつねんとミス・トオサカが立っている。 「釣りをしている……というワケでもなさそうですわね」 ミス・トオサカは手ぶらで、ぼんやりと海を眺めていた。 「ごきげんよう、ミス・トオサカ」 「……………………」 「なにをしているんですの? 誰か待ち人でも?」 「……うるさいわね、ほっといてちょーだい。 どーせね、わたしは嫌われ者なのよ。本編ででしゃばりすぎたせいでロンドン追放されたし、色物扱い約束されてるし、気分転換に時計塔に行けばアンタに絡まれるし!」 どう思うルヴィア、あっちじゃみんなでわいわいやってるのにわたしだけ除け者よ? すごいわ、一度も出番ないなんて正直調整おかしくない? つーか、姉より目立つ妹など存在しないってーの」 そのまま港の隅っこに移動するミス・トオサカ。 ……本気でテンパっているのか、そのままだんごむしのように丸まってしまいました。 ダンボールがあったら頭から被りかねない勢いです。 その後ろ向きな勢いに不覚にも涙が止まりません。 「な。バカおっしゃらないで下さい、負けないでミス・トオサカ、立ち上がりなさいミス・トオサカ! そーゆー自分の傲慢さにまったく気づかない、まわりの空気をこれっぽっちも読もうとしないのが貴女の強さだった筈です……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりする。 「……やーよ、疲れたわ、もともとわたしゃ間抜けな性格なのね。正しい遠坂の血を引いているのね。 お爺さまも父さんも、桜も、こーゆー風に自分のうっかりで墓穴掘ってるのがお似合いなのね」 ますます閉じこもるミス・トオサカ。 まあ、こんな屋外で引きこもるあたり、ミス・トオサカはやっぱり野蛮人なんだと思います。 「……いいから、さっさと余所に行ってくれない? わたしは桜の手紙を待ってるのよ。 わたしが衛宮ファミリーのチャンプに返り咲ける最後のチャンスなのよ。手ぶらのルヴィアに用はないのよ」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 やれやれ。どうやら、今の私では処置なしのようですわね。 その内、彼女宛の手紙が届いたらまた寄ってみましょうか。
129 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 22:48:01>>128 なんでだろう 手紙を出すのが躊躇われるw
130 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/29(火) 22:48:16×傲慢 ○傍若無人 に訂正。
131 名前: monster. ライダー→シエル 投稿日: 2005/11/29(火) 23:51:43「・・・・・・遠野くん。いい機会です、ひとつ忠告しておきましょう。 わたしは化け物です。貴方が幻視した通りの、人々に恐れられた吸血鬼だったんです。 この手は血に汚れている。かつてわたしは故郷の町で多くの人々を引き裂き、例外なく食い尽くした。 こうして今普通の暮らしをしているからと言って、それを否定することはできません」 「・・・・・・ロアの話は知ってる。けどあれはそいつがとりついただけだろ。 先輩はいつだってそれを抑える側だったじゃないか」 アルクェイドに殺されたのも、教会の人間に殺され続けたのも、先輩の咎じゃない。 シエル―――エレイシアという少女は、むしろ最初から被害者だったはずだ。
132 名前: 間桐家の人々 桜→士郎 慎二→だめ剣 その1 投稿日: 2005/11/30(水) 00:08:31○月○日 晴レ ☆ 今日の出来事。 セイバーが一時間前から今で茶碗を鳴らしている。 今度から、食事の時間は事前に伝えておこう。 ○月○日 晴レ ☆ 今日の出来事。 セイバーがレトルト食品をそのまま食べている。 今度から、レンジの使い方をメモにして渡しておこう。 ○月○日 晴レ ☆ 今日の出来事。 セイバーが際限なくお替りをする。 今度からうちのエンゲル係数をを伝えておこう。 ノートにはちょっとした覚え書きが続いている。 「何よ。しごくまっとうな日記じゃないの」 「そうですかぁ?」 「そうよ、実に士郎らしい。士郎、この日記の通りに注意してくれたんでしょ?」 「あーそういえば、色々小言を言われたような気がしますが。今日は九時に夕食ができるからとか、 レトルトはチンしなきゃ駄目だとか、居候、三杯目にはそっと出しとか。 ふふふ、うるさいので忘れていました」 「あなたね、そりゃ士郎が拗ねるのも当たり前よ。それでも健気に家事をやってるんだから、 士郎に悪いところなんて無いじゃないの。セイバーがヘンに怖がるからこっちもつられたけど、 士郎はいつも通りよ。約束通り、これからはセイバーも家のコト手伝ってやること」 「ふう、極めて遺憾ですが約束ですからね。いいでしょう、あれが私の気のせいだと言うなら 手伝うことを前向きに検討することにやぶさかではありません」 渋々交換条件を受け入れたかに見えるセイバー。士郎の部屋に忍び込み、あまつさえ日記を見るという 暴挙を犯したけど、結果がこれなら……って、あれ? 「何ですか凛、幽霊でも見たような顔して。脅かしっこはナシですよ」 「―――」 無言で項をめくる。ノートにはまだ続きがあったみたい。
133 名前: 間桐家の人々 桜→士郎 慎二→だめ剣 その2 投稿日: 2005/11/30(水) 00:09:53○月○日 晴レ ☆ 遠坂がどうしてうちの士郎はこう物覚えが悪いのかしら。 こんなことなら、アーチャーのほうが役に立つわね、と愚痴をこぼす。 ―――魔術の腕が上がらなくて、遠坂には申し訳ないと思う。 ○月○日 晴レ ☆ セイバーがまるで食事量を減らさない。ちょっと理由が分からない。 聞いてもハラペコハラペコハラペコと繰り返すだけだ。どうすればいいんだろう。 ○月○日 晴レ ☆ 遠坂が夜中にガンドを撃ちまくる。敵襲かと思ったら寝ぼけて連射しているだけだった。 それでもちゃんと駆けつけると、やっぱりアーチャーのほうが使えるわね、と繰り返す。 どうすればいいんだろう。 ○月○日 晴レ ☆☆ セイバーが家から出ようとしない。ちょっと理由が分からない。 聞いてもNEET!NEET!NEET!と繰り返すだけだ。本当にどうすればいいんだろう。 ○月○日 晴レ ☆☆ セイバーがまるで働こうとしない。 今まで理由を考えていたけど、もしかして理由なんて無いのかも知れない。 ○月○日 晴レ ☆☆☆ セイバーが「働いたら負けかな、と思っています、シロウ」とか目を輝かせている。 本当に何を言っているんだろう。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆ セイバーが桜に飯を作らせては、まずいと言って泣かせている。 王って奴らはどうかしていると思う。俺もちょっと考えを改めようと思う。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆☆ 今日のNEET。 食事中に舌打ちする。どうかと思う。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆☆ 今日のあくま。 勝手に俺の預金を下ろす。止めて欲しい。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆☆☆ 今日のNEET。 一日中寝ている。次は無いと思う。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆☆☆☆ 今日のNEET。 せっかく紹介したバイト先をボイコット。許せない。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆☆☆☆☆ 今日のあくま。 俺の名義で借金する。許せない。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 今日のNEET。相変わらず働かない。許せない。 今日のNEET(許せない)今日のNEET(許せない)今日のNEET(許せない)今日のNEET(許せない) 今日のNEET(許せない)今日のNEET(許せない)今日のNEET(許せない)今日のNEET(許せない)
134 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 00:30:49桜の日記と違って、後半もなんだかんだで 至極真っ当な意見な気がするのは気のせいだろうかw
135 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 00:44:10えーと、これって普通に泣けるんですけど。っつーか凛ひどすぎ。ただの犯罪者じゃん。
136 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 00:54:35>セイバーが「働いたら負けかな、と思っています、シロウ」とか目を輝かせている。 クソ笑ったw セイバー…
137 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 01:32:44 四時限目が終わって、教室は賑やかなお昼休みを迎える。 うちの学校は学食もあるので、教室に残る生徒は半分ほど。 ちなみに、残った生徒の大部分は女子である。 うちの学食は大雑把な味付けなので女子に受けがよろしくなく、結果として、 「あ、あの、遠坂さんっ……!よ、良かったらお昼ご飯一緒に食べませんか……!」 なんて、女の子同士で仲良くお弁当、というコトになる。 「ありがとう三枝さん。けどごめんなさい、私今日は学食なんです。今朝は寝過ごし てしまって、お弁当を作る余裕がなかったものですから」 「あ、や、そうなんですか。……ごめんなさい、そうとも知らず呼び止めてしまって。 私、余計なコトしましたね」 しゅん、と申し訳なさそうにうなだれる三枝さん。 上品で大人しい生徒の多いA組の中でも群を抜いてなぜか私に構ってくれる優しい 人だ。 「余計なコトだなんて、そんな事はありません。今日はたまたまだから気にしないで。 また明日、これに懲りず声をかけてください」 にっこり、と本心からの笑顔で返す。 ――――と。 「な――――」 不意に、口の中に何か突っ込まれた。 何か、柔らかくて甘い感じの――――って卵焼き!? 「えへへ。間接キス、しちゃった」 「っっっっ……!!!? ささ三枝さん……!」 私の慌てっぷりがおかしかったのか、三枝さんは私の口にに突っ込んだ箸を一舐め した三枝さんは、 「―――うん。それじゃ、そういうのを抜きでお昼ご飯一緒に食べませんか……!」 いたずらに、これ以上ないって仕草で笑って、こっちの頭をグラグラにしようとした。
138 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 01:35:24HAではむしろそういうケはブラックパンサーのほうにあると判明したわけだがw
139 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 01:35:49三枝さん怖ッ!
140 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 02:15:49三枝のせりふを読んでみて、「話聞いてたのかお前!?」という感想を持ったのは俺だけではないはずだ。
141 名前: 「not.」改変 投稿日: 2005/11/30(水) 05:18:06 午前三時。 今夜も、一方的な御奉仕が始まった。 舞台はいつも通り、人気の絶えた衛宮邸。 手段はそれこそ満遍なく、瞬間瞬間の気分で切り替える。 巨大な釘のような××で串刺しにされる。 机を支えにして絞×する。髪を巻きつけて圧迫する。 時にやりすぎてドロドロになる。 気まぐれに手で掴んでみる。そのまま頭を握り締める。 犯り方は多種多様だ。 近頃読んだコミックの真似をして、大型の張り型をあてがい、後ろから押し貫きもした。たまたま、近くの主の部屋に手頃なモノがあったのだ。 「―――――――――」 乱れた呼吸を正しながら、彼女は満足するか続行するかを思索する。 彼女の目的は、たしか、この戦況の調査だった。 再開された争奪戦争。 彼の本命と現況を探るため、彼女は彼の夢を跳梁していたのだ。 成果はそれなりにはあるようだ。 ……あるサーヴァントは隣室から監視を続けるも、ついぞきっかけを掴めなかったが。 彼女には一つだけ、他の恋敵たちより大きな違いがあったのである。 夜に徘徊する衛宮士郎。 誰も気が付かないフリをしていた彼を、彼女も始めから知覚していた。 その真意を探る為、彼女は単身で布団から抜け出し、こうして毎晩毎晩調べ続けている。 それは、主への義務感だけではない。 興味のあることへ何らかの行動を起こす時、彼女は決まって積極的になる。 感情を剥き出しにして、行うと決めた事を行うだけの動物と化す。 なので、この夢枕の逢瀬も、彼女にとっては義務でもなければ詰まらなくもない、大事な時間に分類される。 永遠に終わらない奉仕だ。 退屈もせず感動極まる作業として、彼女は成果が出るまで夜を過ごす。 ……なのに。 一体いつから、それ自体が、目的になっていたのだろう。 『ライダー?何処にいるの、もう夕食の時間だよ?』 それは、何度目かの仕事のあと。 『ほら、早く出て来て。藤村組の人たちから美味しそうな物をいただいたの。冷めない内に食べましょう』 彼女はいつものように、家の中で忙しなく働く士郎の姿を捜し求めて、 『……?ヘンな匂いね……ライダー、そこにいるの?』 彼を、起こさず。 その身体を、その身体を、その身体を――― 『……ライダー? 貴女、そこで何をしているの……?』 うずくまって、××を啜っていた体が、ビクリと震えた。 ……………………思い、出したくもない。 あの時。 いつだって穏やかな主の姿は、昔取った杵柄で真っ黒で―――
142 名前: 「not.」改変 投稿日: 2005/11/30(水) 05:20:03 ―――破綻は約束されていた。 彼女が衛宮士郎と出会った時から、この展開は決まっていた。 それは日増しに育っていった。 まず体が求めて、次に心が揺れて、最後は在り方も崩れていった。 桜を助ける為に、その為に近付こうとしただけなのに。 ついには、その桜すら、自分を阻む恋敵にすぎなくなった。 『あ―――、あ―――』 この結末を、彼女は知りたい。 この頃には目的も建前もなく、ただ彼と戯れるだけの世界に逃げていた。 いや、そもそも、これは不心得者の乱行であって、桜のサーヴァントであった彼女には関係のない事だ。 だから、苦しくはない筈なのに、 『あ―――、あ―――!』 たぶん、そうだったんだろう、と。 考えるだけで、かおを覆いたくなる。 ―――彼女は想う。 自分を愛した彼は泡沫の夢、現世の彼は決して、自分を選んではくれないだろう、と。 「ぁ――――――あああ、あ―――」 誰を愛していたんだろう。 何を待っていたかったんだろう。 大切なものが少ない彼女だから、数少ない目的だけは必ず守ってきたというのに。 「――――――は―――あ―――」 結末は変えられない。 このまま、主に見限られたサーヴァントとして消滅する。 そうなれば全て終わりだ。 これからは衛宮家の一員としてではなく、人を守る英霊として召喚されるだろう。 「――――――」 結末は変えられない。 ……合わせる顔もないし、返す言葉もない。 届く喧騒は送り囃子のようだ。 裏切り者の自分の名前を、それとは知らず呼んでいる。 「―――、………………」 “ライダー”の意識を閉じていく。 ……やり残した事があった気がするが、もう届かない。 彼女はおとなしく、姿が消えるのに合せて、目を閉じようとして――― 「…………、サクラ?」 見知った彼女が、自分を覗き込んでいる事に気付いた。 「わたしが分かる? ―――そっか。ライダーも、先輩を好きになっちゃったんだ」 桜は、いつも聞いているような、初めて聞くような声で、静かに笑いかけてきた。 「―――そんなの、今更。始めから、私は」 始めから、惹かれていたのだ。 それを理性やら立場やらで擬態していただけ。 ……こんな風に主を裏切るのだから、自分の本性は不忠者に過ぎないのだ。 だからどうでもいい。 彼を訪ねて夢に忍び込んで、気がつけば逢瀬に没頭した。 ……そんな愚者は、いずれこうして、化けの皮を剥がすのだから。 「―――ふふ」 なのに、桜は続けた。 薄々は気付いていたと。 やっぱりわたしのサーヴァントだと。 座に還るのを覚悟した自分を、似たもの同士だと親しむように。 「……それは、どう、いう」 「わからない? わたしを助けてくれるライダーと、先輩が好きなライダー。 それはどっちも本当で、どっちも否定は出来ないでしょう。 望みに優劣なんかない。どっちが大きいか、どっちが大切なのかはその場その場で変わるもの。 肝心なのは―――ライダーが、どうしたいかっていう話」 縮こまる私を、桜は真顔で見据え、 「―――聞くけど。 ライダーは、本当に。 このまま消えちゃってもいいの?」
143 名前: 「not.」改変 投稿日: 2005/11/30(水) 05:23:09 ―――望むものなどない。 けれど、強く想うヒトがいた。 “どんなことになっても、俺が桜を守る。 俺は、桜だけの正義の味方になる” 彼の誓い。例えあの時人間であろうと、私は、聖杯と化す桜を私は助けられなかった。 初めから桜を救う術などなかった。 そして望む願いもない。 どんな力を手にしたところで、かつて全て食い殺したものなど、手元には何も残せない。 …………けれど。 そんな桜を、助けることが出来たのだ。 ……サーヴァントは自分に近いマスターに召喚される。 召喚の為の触媒が弱いものなら尚更だ。 彼女は、少女が自分と同じ運命を持っていたからこそ、召喚に応じたのだ。 いずれ怪物になる運命を持つもの。 被害者のまま加害者になる、おぞましい化け物同士として、現世に縁を結び合った――― 『あ―――、ぁ―――』 だから。 桜だけは、自分と同じモノにはしたくなかった。 自分はもうどうあっても変えられないが、自分と同じ運命を持つ桜を守ることは出来た。 叶えられなかった私の幸福。 償えなかった私の罪業。 ―――あまりに無謀で愚かな、けれど奇跡を起こした少年の背中に、深く深く焦がれたのだ――― 「―――、……サクラ」 ぼんやりと手のひらを見る。 力は注がれ、彼女は彼女のままここに在る。 「……何、故……?」 「家族だからでしょ。 ―――複雑だけど。先輩を好きって言うんなら、ライダーもわたしの同士です」 廊下から声が聞こえる。 間近にいるだろうけど、その姿はここからでは見えない。 「あーあ、これで独り占めは無理になっちゃったな。 わたしは先輩とずっと一緒にいるし、ライダーもそのつもりなんでしょ? ―――じゃ、わたしと同じ。ずっと、わたしと一緒ね」 気配が遠ざかる。 影しか見えない少女が、ぶんぶんと手を振って呼びかける。 「―――待って。サクラ、」 困惑しながら呼び止める。 「もう、しつこいわよライダー。大した意地っ張りだけど、今日のところは大人しく来なさい。 で、寝る前に先輩に謝っておいて。 ……ほら、わたしが言うのもなんだけど。やっぱり寝込みを襲うのは駄目だと思うの」 桜はくすくすと苦笑しながら去っていく。 ……彼女には。 今の少女が、いつかの女神に見えた。 「―――そう、ですね」 大きく息を吐く。 所在無く下ろしていた腰を上げる。 「……本当。私はいつまでたっても敵わないのですね」 遠い南の島を想う。 彼女は許してもらった事より主の成長に微笑んで、 「すぐ行きます、から……待ってください、サクラ」 戻れなかった筈の道を、確かなカタチのまま、その背に従った。 To be continued →『キビシスの裡』
144 名前: さっちんと路地裏 投稿日: 2005/11/30(水) 19:40:13「おや、さつき」 十時過ぎの、人気のない路地裏にぽつねんと弓塚さつきが立っている。 「死徒狩りをしている……というワケでもなさそうですわね」 さつきは血まみれの手で、ぼんやりと壁を眺めていた。 「こんばんは、さつき」 「……………………」 「なにをしているんですか? 誰か待ち人でも?」 「……うるさいわね、ほっといてちょーだい。 どーせ、わたしは嫌われ者なのよ。 どこ行っても出番はないし、あったところで色物だし、初めて遠野君と一緒に帰れば吸血鬼に噛まれるし!」 「どうなのよシオン、都子ちゃんの出番○×回に対してわたしは都子ちゃんに体当たりされる1瞬だけだよ? 有り得ないでしょ、そのまま倒れたまんまなんて正直おかしくない? というよりも、わたしより優れたツインテールなんて存在しないってー」 そのまま路地裏ステージの隅っこに移動するさつき。 ……本気でテンパっているのか、そのまま吸血鬼のようにしゃがみこんでしまいました。 ダンボールがあったら頭から被りかねない勢いです。今度持ってきましょう。 その後ろ向きな勢いに不覚にも涙が止まりません。 「な。バカ言わないで下さい、負けないでさつき、立ち上がりなさいさつき! そーゆー自分の薄幸さすらネタにする、まわりの空気を読み過ぎて出てこないのが貴女の強さだった筈です……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりする。 「……いやだよ、疲れたよ、もともとわたしは後ろ向きな性格なの。正しいシナリオ無しヒロインの運命を継いでいるの。 次回作のイリヤさんもカレンさんも、桜さんも、こーゆー風に自分のルートがないのがお似合いなの」 ますます閉じこもるさつき。予測済みですが。 まあ、こんな日の当たらない所で引きこもるあたり、さつきはやっぱり日陰者なんだと思います。 「……いいから、さっさと余所に行ってくれない? わたしはReACTを待ってるのよ。 わたしがヒロインに返り咲ける最後のチャンスなのよ。手ぶらのシオンに用はないのよ」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 やれやれ。どうやら、今の私では処置なしのようですね。 いつか、月姫のリメイクが出たらまた寄ってみましょうか。 その未来は閉ざされていますが。
145 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 19:47:51さっちん……不幸な子! がんばれ!俺は応援しているぞ!人気投票で投票したことはないけど!
146 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 19:52:11シオンにまで完全否定されてるけどがんがれ、超がんがれ
147 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 20:06:56さり気なく桜を不条理にけなしているのが許せんw
148 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 20:24:42>>まわりの空気を読み過ぎて出てこないのが貴女の強さだった筈です……! クソワロタwwwww 言われてみれば確かに、月姫といわず、きのこ作品全部通して人並み以上に空気が読めるのはさっちんくらいのものだわなwwww
149 名前: 士郎→アーチャー 言峰→バーサーカー 投稿日: 2005/11/30(水) 20:38:09“――――――――” 斧剣が叩きつけられる。 何を投影して受け止めようと同じこと。 外側も内側も区別の無い破壊を旨とした一撃は、容赦なく衝撃を通してくる。 戦いは、圧倒的だった。 こちらの剣製は躱され、弾かれ、引き込まれて、敵の攻撃をまともに受ける。 ガイン、とバーサーカの斧剣が干将・莫耶を打つ度に、霊体が真白に切り刻まれる。 それは敵によるダメージではなく、傷ついた宝具を直し、書き換えようとする、投影による消耗だった。 “――――――――” 霊核を守る。 霊核だけは魔力による再生が利かない。 霊核に直撃されては一撃で終わる。 こっちの宝具が通らない以上、双剣でなんとか霊核への攻撃だけは防ぎきる。 痛覚はとうに麻痺し、視覚も、じき死に絶える。 霊体に伝わる損傷は、ただ、回路からの消耗だけだ。 ヒビだらけの斧剣は、私の干将・莫耶をくまなく粉砕していく。 それを修復しようと魔術回路が躍起になり、結果―――― 何もかもが、白くなる。 存在も意識も、戻れないところまで白く。 “――――――――” もう、考える事でさえ、消耗を伴う。 薄れていく身体を守ろうと刃が投影される。 それと引き換えに魔力が削られていく。 終わるのは、どちらが早いのか、もう、 「っ――――ぐ、ふっ…………!」 ヤツの斧剣も砕け始めている。 それを無視し、顔を狂気に歪めながら敵は私を打ってくる。
150 名前: 士郎→アーチャー 言峰→バーサーカー 投稿日: 2005/11/30(水) 20:38:57“――――――――” 突き出される斧剣を躱して、干将で斬りつける。 十二の試練に弾かれる。 同時に莫耶に衝撃。身体を薄れさせる消耗に堪えて、もう一撃。 “――――――――” まだ。 まだ動ける、もう動けない、これで、これで最、 “――――あ” 「あ――――」 効いた。今のは、効いた。 体の痛みなんてなくなった筈なのに、体中が、痛みで泣きそうになっている。 吹っ飛ばされた体は、崩落したシャンデリアにぶつかって、城外への脱落を、かろうじて免れた。 “――――ぁ” 「、あ」 ――――。 立てない。 投影だけでこの消耗なら、霊体を再生しようとする魔力の負担は、想像を絶する。 消える。 あと一秒で消耗に耐え切れず枯渇し、何も考えられなくなる。 ――――その前に眠ってしまえ、ば。 このまま目を閉じれば、それは。 「終わったようね。バーサーカー、頭を潰しなさい」 敵が歩み寄ってくる。 ……もう走る必要さえないと判断したのは主従ともに同じ。 私は既に、何もしなくても一分後に消えてもおかしくない。 なら――――、もう――――
151 名前: 士郎→アーチャー 言峰→バーサーカー 投稿日: 2005/11/30(水) 20:39:52“あ” 何を誓った。 おまえは、誰を逃がすと誓ったんだ。 “あ、” 別れ際に。 遠慮はいらない、と彼女は自分を信頼してくれた。 “あ、あ” 何を失わせた。 歪な夢の為に彼女に何を失わせた。 “あ、ああ――――” 敵が近づいている。 無防備な私の頭を潰そうと、歩を進めててくる。 ――――冗談じゃない……! 私は負けない、あの狂戦士には目的なんてない、イリヤスフィールに従うのはヤツにとって当然のように守ってきた在り方なだけだ……! けど私にはある、 目的がある、 こいつをぶちのめす理由、勝たなくちゃいけない理由がちゃんとある――――! “ああ、あ――――あ」 どのくらい泣かせてきたのか判らない。 私の知らないところで、 はずっと泣いていた。 笑っていたのは皆の前だけで、ずっと一人で泣いていたんだ。 「あ――――、お」 ……そうだ。 だからこそ、守らないと。 が妹を救えないという現実、 が防げない■■■■の末路、 が思い返す後悔、全部から、守るんだ。 私の歪んだ生き方を正そうとしてくれた少女。 輝かしい未来を捨ててでも、私を幸せにすると言った彼女が――― ―――私以外の誰かと、いつか、幸せになれるように。 その為にはおまえが邪魔だ。
152 名前: 士郎→アーチャー 言峰→バーサーカー 投稿日: 2005/11/30(水) 20:40:50「お―――おお、オ――――」 ――――失せろ。 おまえが存(い)たままだと、遠坂は生き残れない――――! 「オオオオオぉおおおお――――!!!!!!」 「■■■■■■■■■■――――!?」 「あ、あああああ――――!!」 一撃。 俺の頭を潰しに来た敵の顔面に、ありったけの剣群を撃ち込む。 「な、アーチャー、貴方、まだ――――!」 「バーサーカー――――――!」 二撃。 三撃。 四撃。 五撃。 六撃。 七撃――――! 「は、はあ、は、ガ―――ッッッッッ!!!!!」 投影、投影、投影、投影……! これが最期、ここを逃したら本当に後がない、この奇跡、この好機に、残った魔力を全てつぎ込む――――! 「っ――――、あ……!!!!!!」 飛んだ。 相打ち覚悟の壊れた幻想をあっさりと流され、強烈なのをぶち込まれた。 「あ、が、ぐ――――!」 ちくしょう、そうだよ、そう何度も殺させてなんてくれねえよ、あいつの方が何倍も強いんだから、 俺の反撃なんて苦もなく流してとどめを刺しに来るに決まってる――――! 「は――――。あ――――!」 ああ、それがどうした……! 実力差は覆らない。 そんな都合のいい話はない。 飛ばされ、蹲る俺の頭を潰そうと敵がやってくる。 負ける。負ける。負ける。負ける。 それは判りきった自明の理。 それでも、まだ、この体は動くんだから――――! 「トレース、」 立ちはだかり、覆い被さる敵の影。 それに、言う事をきかない足―――ああ、右足はホントにピクリとも動かない―――に火をつけて体を起こす。 このままでは終わらない。 こんな足では躱しきれない敵の一撃。 一秒後に来る死を、全力で迎撃しようとし――――
153 名前: 士郎→イリヤ 言峰→アーチャー 投稿日: 2005/11/30(水) 20:41:52「―――、オン」 目の前にいる弓兵が。 聖剣を投影しかけたまま、届かなかった姿を見た。 「……ここまでか。単純に、魔力の差が出るとはな」 弓兵は自らの足元に視線を落とす。 色も無く透き通ったそこは、本来、足があるべき個所だ。 ……魔力の差。 あの森に逃れていった遠坂のマスターよりも、わずかに、私の適正の方が高かったのか。 「おまえの勝ちだイリヤスフィール。その体が何年保つかは知らんが、生命がある限り生きるがいい」 弓兵は以前のまま。 教会からの帰り道で戦った時と同じ、皮肉げで、そして何故か暖かな声で告げる。 「――――アーチャー」 「おまえが最後の聖杯だ。 一族の悲願を前にし、その責務(のぞみ)を果たすがいい」 最後の聖杯。 その言葉は深い重みを持ちながらも、弓兵はやはり、変わらぬ声で言い捨てた。 当然だ。 この男は最期だろうと変わらない。 消えていくこの瞬間さえ、正体不明な謎のサーヴァントであり続ける。 「―――ええ。散々てこずらせてくれたお礼よ。容赦なく、あなたのマスターを殺してくる」 「―――――――、」 最期に弓兵は笑ったのか。 聖杯としての機能を強めていく私の眼は用を成さず、 契約する者(セカイ)もなく、弓兵は今度こそ、この苦界から消えていった。
154 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 21:09:02「じゃあもう一回、初めからやり直すぞ。 ア、アン……リは、どんな用件でうちに?」 「おお。実は折り入って相談したいことが二つあってな。 貴様ならちょうどいいかな、と」 「は、相談事……?」 「サ、サーヴァントが、先輩にですか?」 「俺はもう聖杯戦争とは関係ねぇ。 今回のはあくまでも俺個人の問題……いや、俺が個人として成り立つためのことだ」 「? ……なんか大事っぽいな……いいよ、力になれるかどうかは分からないけど、話ぐらいは聞いてやれる」 「おう、聞け。 で、一つ目の相談なんだが――」 ごくり、と喉を鳴らす衛宮邸の人々。 アンリは髪をいじりながら、 「――実は、俺は無職なんだ」 「………………はい?」 「わからねえか。 マスターがいねぇんだ。魔力の供給がねぇんだ。日々暇を持て余してるんだよっ!」 「………………」 ……俺、わりとサーヴァントに理想持ってたのかなぁ…… なんか、凄く悲しい気持ちになってきたなあ。 「えっと……ようするに、マスターを紹介して欲しい、と言う事ですか?」 「簡単に言えば。 適切なアドバイスがほしーんだよ」 「なにそれ。テキトーにマスター捕まえればいいじゃない、キャスターみたいに」 「できるならやってる。 しかし……俺は……自分がどんなマスターに向いているか、これっぽっちもわからないんだよ……!」 「……そうだよなあ。生前から人付き合いとかないからな、アンタ」 ……なんか、一気に場の親密度が上がったなあ。 あれだけ怖がっていた桜も、親友を見るような目になってるしなあ。 「えーと……なんだ、アインツベルンとか定番じゃないか? イリヤでいいなら紹介できるけど」 「却下。 ここ数日調べてみたが、あのメイドは俺を嫌っている。 敵意のあるヤツと殺しあわないのは、俺の最も苦手とするところだ」 「……キャスターのサーヴァントはどうでしょう?」 「……それは俺も考えたが、一般人と一緒にいるのは苦手で……こう、呼吸するより先に殺してしまうというか」 「だよな。殺人鬼は立場ないからね、今」 まあ、だからこそ今欲しいんだよね、君の刃。 「あ、じゃあカレンさんのサーヴァントとかどうでしょう! お2人とも黒くてピッタリですよ?虐待は……何とかごまかすとしてですねっ」 「サクラ。 殺す」 「……アンリは派手目に見えて地味だからな。 あんがい、サクラのサーヴァントとかお似合いじゃないか? 影の中で、適当にボーっとして、暇になれば外にも出れる」 「――――――」 「……ずいぶんとアンリさんに詳しいのね、衛宮くん」 「え? あ、いや、なんとなくそう思ったんだけど……なんでだ?」 まあ、細かい問題は置いておいてだ。 マスターが欲しい、というアンリの悩みはサーヴァントとして当然のことなのではあるが、 「そもそも、どうしてマスターが欲しいと? アンタ、魔力持ちだろ。 聞いた話じゃ、魔力でいっぱいのジュラルミンケースを三つも持ってたって言うじゃないか」 バゼットから聞いた話だ。 アベンジャーのクラスはイレギュラーである分、聖杯からの魔力供給はべらぼうなのだとか。
155 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 21:18:28よく分からないけど アンリとハサンが衛宮家にこれから居候することになるのは分かった
156 名前: 後日談 槍→コトミー 投稿日: 2005/11/30(水) 21:33:29「……以上です。 私たちは競争相手としてうまく噛み合っていたと理解できたハズですが」 「………………」 「――――――」 「……その微妙な顔はなんですか、カレン、士郎君」 「…………別に」 「……ああ、別に」 「……あのですね。 そこは「奪ら(わか)れてもー♪ 好きな人ー♪」と返すところでしょうに」 「……そういうのがいいとは趣味の悪い(ぼそっ)」 「っ……!」
157 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/11/30(水) 21:51:40>―――私以外の誰かと、いつか、幸せになれるように。 いかにも士郎らしいと思った。GJ!
158 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/01(木) 00:13:19>>149-153 おお、燃えた。途中で一瞬士郎の言葉遣いに戻ってるところが泣かせる。
159 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/01(木) 10:14:36>>まあ、だからこそ今欲しいんだよね、君の刃。 殺人鬼だからなあ(笑
160 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/01(木) 14:08:15>144 > ダンボールがあったら頭から被りかねない勢いです。今度持ってきましょう。 トドメさす気満々かよ!w
161 名前: 110の続き エミヤ→七夜 士郎→志貴 投稿日: 2005/12/01(木) 17:05:56「人外である奴等と生きる? 笑わせるな。 お前は退魔だ。否定を繰り返し続けようと、いずれは殺人衝動に身を任せて奴等を狩る。 そんな男が幸せに生きるなど、思い上がりも甚だしい―――!」 七つ夜が奔(はし)る。 罵倒(ばとう)をこめたそれは、かつてない勢いで繰り出された。 「――――――――あ」 その、怒濤のような剣戟を目の当たりにして。 俺はここで死ぬのだと、八年前のように受け入れた。 叩きつけられる衝撃。 流麗だった閃鎖は見る影なく、ただ、力任せに打ち付けられた。 「は――――」 受けた左腕が震える。 七つ夜を握った指は、その衝撃で折れた。 遠野に帰ってきてからずっと共にあった七つ夜も、わずか一撃で亀裂が入る。 「――――――――」 死んだ。 初撃で既に瀕死。ならば迫る次弾を受けきれる道理はない。 「――――――――あ」 だというのに。 心が折れかけているというのに、体は全力で否定する。 それは違うと。 ヤツの言葉を認めるのも、ここで死を迎えるのも違うのだと、賢明に訴えるように。 ――――顔をあげる。 眼は機能していない。 眼球は敵も線も写さず、ただ、ヤツの記録だけを流してくる。 ……その中で。 親友であり兄弟であった人に殺される自分の姿があった。 ……聞こえるのは七つ夜の響きだけじゃない。 ヤツは。 その一撃の度に、自らを罵倒する。 「そうだ、家族というカタチが綺麗だったから憧れた!」 繰り出される七つ夜を七つ夜で受ける。 七つ夜に罅が入る。せめて折れぬよう必死で力を受け流す。 「故に、一族の仇の元で過ごした。これを間抜けと言わずなんという!」 でも七つ夜はもう限界。 ……胸が、痛い。 瀑布(ばくふ)の如きヤツの剣戟ではなく、その言葉が、遠野志貴の心を裂く。 「この身は他人である家族に馴染まなければならないという、強迫観念につき動かされてきた。 それが道化だと思う事も、殺人鬼である自身の否定だと気づく事もなく、ただ過ごし続けた!」 ―――繰り返される否定。 それが届くたび、心は戦闘を放棄しかける。 体はとっくに、重撃に耐えられずリタイヤしたがっている。 だというのに。 そのリタイヤしたがっている体は、なお必死になって、ヤツを否定し続ける。 「だが最後は別離した。それが宿命だ。 否、もとより、七夜たる俺達が何故人外である奴等と共に生きようと思ったか―――!」 「ぐ――――!」 弾き飛ばされる。 アルクェイドもかくやという一撃は、たやすく俺の体を弾き飛ばす。 「――――――――」 なのに、踏みとどまった。 無様に背中から瓦礫に落ちる一撃を、懸命に耐えきった。 倒れれば。 倒れれば起きあがれないと、体が頑なに転倒を拒否していた。 「ぁ――――はあ、あ、げ――――ぅ…………!」 骨ごとずたずたになった右腕を地面に突き立て、体を預ける。 体は前のめりになったままで、起こす事さえできない。 俺の切り札である線が俺の体にしか奔ってないのにも、正直まいった。 「は――――あ、はぁ、は――――…………!!」 右腕を杖がわりにして、前に倒れ込む体を必死に押さえる。 その姿は、たとえようもなく無様だ。 端から見れば、ヤツに土下座しているようにもとれるだろう。 「―――その願いは破綻している。 誰も殺さない殺人鬼、人外と共に生きる退魔、なんと無様か。 そんな夢を抱いてしか生きられぬのなら、その魂、極彩と散れ」
162 名前: 110の続き エミヤ→七夜 士郎→志貴 投稿日: 2005/12/01(木) 17:06:42 故に、遠野志貴はここで死ね。 否、遠野志貴の人生に価値なし、とヤツは言い捨てた。 「……………………」 武器は折れかけ、体は立っている事自体が無駄。 対して、ヤツは傷どころか呼吸さえ乱していない。 ――――ここに勝敗は決した。 いや、そんなものは初めから決していた。 遠野志貴では、七夜志貴に敵う道理なんてない。 ……だけど、それは間違いだ。 実力差がはっきりとしていたのなら、こんなバカげた小競り合いになる事はない。 負けていたのは、俺の心。 自分が間違っていると気付き、ヤツは正しいと受け入れた心が、弱かった。 負けていたのはそれだけ。 なぜなら、ずっと―――― 「…………けんな」 「なに……?」 なぜならずっと―――この体は、お前には負けないと訴えていた。 覚えている。 アルクェイドの、先輩の、秋葉の、翡翠の、琥珀さんの、みんなの笑顔を―――― 「ふざけんな、てめぇ…………!!!!」 「――――――――」 届く。 必ず届く。 壊れているなら壊れていないところを使えばいい。 有るモノ全てが壊れたのなら無い部分を総動員しろ。 体(おれ)がまだ負けていないというのなら、その奥、まだ手つかずの領域に手を伸ばす――――! ぶつん、という頭痛。 コンマの刹那。おそらく最後になるだろう、ヤツの風景を見た。 理解には至らなかった。 だが、痛みだけは教訓として知れたと思う。 ……七夜として生まれ、親友に殺された殺人鬼。 そこに秘められた感情を、今は判らずとも。 お前に代わって、その思い出を貰っていく。 「―――――――、七夜」 志貴の言葉は志貴を傷つける。 それを承知で、お前は俺を殺す事を決めた。 深く暗い廃棄所の底で、そんな事しか出来なくなった。 なら。 お前が俺を否定するように。 俺も、死力を尽くして、自分の悪夢をうち負かす――――! 「――――七夜、志貴」 知らず、呟いていた。 顔をあげる。 死にかけの体を奮い立たせる。 ごくん、と、喉につまった血の塊を飲み下す。 体中を塗りたくっていた線が、薄くなっていく。 「貴様、まだ」 「―――そうだ。そんなのが夢だなんて、そんな事」 そんなこと、とっくの昔から知っている。 それでも、それが楽しいと思うから信じ続けた。 叶わない夢、有り得ない理想だからこそ、駆け続けた。 たとえ叶わなくとも。 駆け抜けたその先、いつか、楽しかった日々として振り返る事が出来ると。 「そうか、秋葉の共有能力……! 貴様、そこまで奴等と共にありたいか……!」 七つ夜を構える。 そんなの当たり前だ。けどそれだけじゃない。 俺は、ただ、 「―――お前には負けられない。誰かに負けるのはいい。 けど、自分には負けられない―――!」 ずっと、みんなを殺さない遠野志貴を張り続ける――――!
163 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/02(金) 10:53:19>>161-162 GJ!
164 名前: 志貴→バゼット 秋葉→言峰 投稿日: 2005/12/02(金) 11:05:20ぎい、と音をたてて扉が開く。 傷だらけの体をひきずって、ようやく封印指定の魔術師の住処から出てきた。 「――――――」 外には言峰がいた。 私が突入してからずっとここで人形共が入らないように守ってくれたんだろうか。 ……今の自分には、もう、何もわからない。 「どうやら、もう終わったようだな。思ったよりも時間がかかったが―――――む、その体―――」 ……言峰が驚いている。 どうして。 何に驚いているのかさえ、もう、考えたくない。いや、考えられない。 任務が終わり、彼と別れた後のことなんて想像できない。 「―――――――」 言峰は無言で息を飲むと、つかつかとこちらに近づいてきた。 「とにかく手当てを行う。歩けるか?」 「………………」 ああ。生きているんだから、歩くことぐらいはできる。 「手当てを行うから場所を移動しよう。それと少し体を温めねばいかんな」 言峰は私を抱えて森の中に入っていった。 ―――彼は私の怪我を治し、食べ物を作ってくれたあげく、血液を流した体が冷えぬよう上着まで貸してくれた。 その間、私は一言も、口にすることなんか、できなかった。 「それでは、私は戻る。君はゆっくり休んでいくがいい」 何も聞かず。 言峰は静かに立ち去っていこうとする。 行ってしまう。 私が、ただ一人、尊敬できた、ひと。 ―――そう思った瞬間、彼の腕を掴んでしまった。 そのまま背後から抱きしめる。 ……強く。 ただ独りになるのが耐えられず、彼の体温を感じたかった。 「ことみ―――ね」 無心で抱きしめる。 ……言峰は何も言わない。 すぐに引き離してくるはずなのに、震えている私の体を拒絶しない。 このまま―――ただ、こうしているだけで、よかったのに。 「私は、弱い」 そう、告白して。 自分の弱さから、言峰に逃げた。 「……苦しいんです……貴方のように、独りで生きることが、私にはつらい」 ぐっ、と救いを求めるように言峰を抱きしめる。 言峰からの答えはない。 まるで私の弱さを嫌うように、彼は私から体を離した。 「……バゼット。君に何があったかは知らない。そして私が聞くべき事でもないだろう」 「――――」 「私には何も答えてやることはしない。君の問題は君だけが解決すべきことだ。 だから―――そのようなことで、私に甘えるべきではないな」 ……言峰の言葉は本当に、その通りだ。 そして、私はようやく、自分の心を取り戻した。 「……すみません。今夜のことは忘れてください」 「…………」 言峰は答えず歩いていく。 そのままここから立ち去ろうとして、ピタリ、と彼は立ち止まった。 「―――何故そのようなことを口にしたか聞かないが。 私は君と共闘している時、不安を全く感じない。封印指定を相手にしているにも関わらず、いつ殺されるか分からないというのに、自分が死ぬということを想像できない」 「―――――――」 「そして、仲間は皆、斃れたが私は君と組んでいる限り、死ぬことは無いだろう。 ……独りで生きていくことはつらいと言ったが。少なくとも、君を必要としている者はここに一人居る」 「―――だから、あまり悲観的になるべきではないな。 君を必要とする人間はいつか現れるものだ。……それをわずかでいいから覚えておくといい」 彼は振り向かずにそう言った。 「言峰―――――」 「私からはそれだけだ。 ……鈍いバゼットのために言い直してやると、これ以降の任務の時も頼りにしているという事だ」 「は、はは―――そうですか、よく分かりました。でも、本当は私が居なくても大丈夫なくせに」 言峰の言葉にようやく言葉を返せた。 珍しく人を気遣う言峰は、嫌味のない笑顔をうかべる。 「ふむ。それではまたいつか。次に会う時はそんな顔で出迎えてくれるな」 言峰は去っていった。 私は―――近くの木の幹に体を預け、包帯だらけの自分の体を眺めて、肩に掛けた上着を軽く握り締めた。 「は――――あ」 深く。 心のつかえが降りたように、深く溜息をつく。 「……ありがとう、言峰」 精一杯の感謝の念を籠めて、そう呟いた。 ……意識が落ちる。 疲れきった体と心が、急速に眠りにおちていく。 その狭間で、思った。 自分は、大丈夫だ。 少なくとも彼がいて。 それを待っている自分が居るかぎり、私が孤独を感じることはないんだから、と―――
165 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/02(金) 12:55:25>>164 この時点では本心からこの台詞を吐いているんだが、 聖杯戦争始まったら躊躇無く、バゼットの令呪片腕ごと奪い取るんですねw
166 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/02(金) 13:17:49それが言峰クオリティ
167 名前: フォレスト バゼット→ギルガメッシュ 投稿日: 2005/12/02(金) 21:39:01女預言者は語った。 この日、森に現れた野人はあらゆる冒険、あらゆる苦難を王と共にするだろうと。 この土地、この時代が海に没するその日まで、民も国も女神でさえも、彼に代わることはできない ウルクに知らぬものなく。 彼が愛さぬ民はおらず、彼が誇らぬ友はおるまい。 斧の唸りは王の守りとなり、 鎖の響きは神の雄牛も震えさせる。 友情篤き神造の英雄。 その手に掴むは友の手のみ。 命を終える刻ですら、友を裏切ることはない。 ……だが心せよ、ウルクの王よ。 星の瞬きのように、その友は迅く燃え尽きる。 何よりも篤き友情と共に。彼は誰よりも速く、地平のかなたに没するのだ―― 「……そうして、我は自分から野人の元へ使者を遣わしたのだ。 一人のドルイドが、その日に我が見た夢の内容を占った。 川瀬に映った未来は不吉なもので、今日森に現れるものは無二の親友になるかわりに、 誰よりも早く命を失くすというものだった」 「集まった民たちはみな恐れて動かなかったのに、占いに関心のなかった我は迷うことなく 王宮に駆け込んで、いますぐ使者を森へ送るようにと言ったのだ」 「民はさんざん我を止めたのだが我は聞かず、ついに使者は送られた。 その後の話は神話通りだ、ウルクの王の英雄譚は知っておるだろう?」 三度目の共闘の夜。 夜の静けさに耐えられず、我は聖杯戦争と無関係の話をした。 故郷の昔話を、なんとなく口にしていたのだ。 「いや、そちらの話には疎くてね。聞き覚えがあるのは名前までだ。 寝物語に語ってもらう分には構わんが、さて。本題は別の所にあると見た。 ……そうだな。おそらく、お前はその野人の行動に苛立ちを覚えてしまった。 こうして英霊になった今でも、彼の友情を怖がっているのだろう?」 陰鬱に笑って、神父は我を見る。 「――――――」 …この男に隠し事はできない。神父は容赦なく我の心を見透かしてしまう。 本来なら処刑するところだ。けれど我は、この男に心を暴かれると逆に安心できたのだ。 「恐れているわけではないが、エンキドゥが何処に着目していたのかがわからない。 その日生み出された野人は最高の力を持って生み出されるが、何よりも暴君を誅する 使命を与えられていたはずだった。 なのにエンキドゥは決闘中に足を踏み外した我に、何の戸惑いもなく手を差し出し “人が人を助けるのは当然のことだ”と告げたのだ」 「我が理由を尋ねても一切答えず、とにかく当然のことだの一点張り。 そうして友情を深めていったのだが、エンキドゥには使命に反した後悔も不安もないのだ。 使命などどうでもよく、冒険の日々の喜びだけで満ちていて、生れ落ちた理由が いつの間にか消えているようだった。 ……正直、我にはエンキドゥが何をみていたのかがわからない」
168 名前: フォレスト バゼット→ギルガメッシュ 投稿日: 2005/12/02(金) 21:40:37 短命の運命は恐ろしいが、その代償としての自由を良しとしたのか。 自由だけに目を奪われて、短命の運命には気を配らなかったのか。 それとも――― 「自由か短命か、どちらに重きを置いたのか知りたいと? ……さて。聞いた限りではそのどちらでもないように思えたが。」 「どちらでもない……?エンキドゥは使命に背いて我に手を差し出したのに?」 「決意したのではないよ。使命があり、その内容を吟味していながら野人は 手を差し出したのだろう? なら、野人は最初からその運命を知っていたのだ。 きっと自分はそういう風に生きると。そんな確信があったからこそ、お前に 手を差し伸べたのではないかな」 「――――――」 生まれた時から確信していた。 野人は神の与えた使命を恐れず、それを自分に与えられた責務ではないと放棄した。 ―――そうだ。我が怖かったのは、我が悲しみを見出したのはその一点。 使命の放棄とわかっても手を差し出した潔さではなく。 そもそも、そんな報われない生き方を変えようとすらしなかった親友を、我は 畏れていたのだ――― 「……まいったな。我は何度もエンキドゥと冒険したのに、そんなことも判らなかった。 ……エンキドゥとお前は、何処か似ているのかかも知れぬな」 「失敬な。私はそこまで考えなしではない」 「―――な」 目を疑う。 気に障ったのか、神父は拗ねるように呟いた。 初めてみた、人間らしい感情だったと思う。 「なんだ。異論があるとでも?」 「あ、いや、今のは失言だった。我が言いたいのは生き方の話だ。 エンキドゥに確信があったように、お前も人生に確信を持っている者だから」 「―――ほう。確信とは、どんな?」 「マーボーしか必要としていないところ。 お前には、最後までマーボーだけで生きていく覚悟がある。 ……本当は三食マーボーでもかまわないのだろう。 栄養バランスが悪いから他の食事も摂っているだけで。」 「――――――」 もう一度、陰鬱に神父は笑った。 その肯定は少し―――分かっていたことでも我には辛かった。
169 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/02(金) 21:57:09落としどころが美しいな、うむGJ
170 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/02(金) 22:09:27辛(から)かった、か
171 名前: 鬼哭がいい タイガー→ギル 投稿日: 2005/12/02(金) 22:11:01第1問 『Fate』第一回人気投票、ぶっちぎりの一位はギルガメッシュである。 1、そうそう。書き下ろしイラストはいまでも冬木美術館に飾られている 2、というか、十位まで全て彼が占めていた 3、十三位でしょ、誤字っすか? 第2問 時代は英雄王である 1、当然だ、疑いようがない。 2、否。むしろ時代がようやく追いついた。 3、………まあ、慢心するのはデフォですよね 第3問 『Fate』には第四の隠しルート『英雄王のドキドキ油断戦闘七連戦』が存在する 1、七連戦といわず全戦闘そうである 2、さらに隠しとして、慢心戦闘八戦目がある 3、七連戦なんて油断してちゃもたないですよ。 第4問 『Fate』のヒーローはギルガッメシュである 1、当然。英雄王ルートのエンディングこそトゥルーである 2、どこのthgin yats\etaFスレですかそれ。 第5問 このネタスレのヒーローはギルガメッシュである 1、それ以外考えられないでしょう 2、そこまでにしとけよ慢心王 「く……こ、この未熟者がっ!! うう、そんな、そんな嘘をだな、この我が見逃すと思っているのかっ雑種……! あま、甘く見てもらっては困る、うう、そんなおべんちゃらにほだ、ほだされる 我ではないのだッ……!! ないのだが、ああもう、ひどいなぁこの問題!」
172 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/02(金) 22:36:143,3,3,2,1で。 >3、………まあ、慢心するのはデフォですよね これが妙にツボッた。
173 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/02(金) 23:07:38ギルガッメシュに噴いた
174 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/02(金) 23:20:00ギル様が子供たちに好かれる理由が分かったような気がする
175 名前: 士郎→ランサー、桜→アンリ キャス子→カレン 投稿日: 2005/12/02(金) 23:31:41あの時。 一瞬だけ、目の前の男の姿が揺らいで見えた。 「そうだよな、女はそんなのがいいよな!ボクシング・バカみたいなのはダメだよな!」 「ぼ…ボクシング・バカ?誰だ、それ」 どこかで聞いたことがあるような。 「もちろん、マっ………ば、ばっ……ば、バーサーカーさんだっ、 そういう奴がライバルコンビに居るんだよ! 人呼んでボクシング・バカって」 はぁ、そういう渾名を持つ奴は聖杯戦争に必ず一人はいるものなんだ…… ついバゼットのコトかと。 まあ、アンリがマスターであるバゼットの陰口をこぼすハズがないのだがっ。 「あら、どんな娘なんです?」 「ひどいんだぜ、ボクシング・バカは、みんな彼女に騙されているんだっ」 俺も被害者なんですよ、というオーラを放って話すアンリ。 ……むう。そのライバルコンビのお嬢さん、よっぽどアンリに酷い仕打ちをしたんだろうなぁ。 「名門の出身で、すごい美人で。……胸もあるけど。 協会一の優等生で秘かに宝具も持ってて、精神年齢はすごいドジな13歳なのに、 公衆の面前では鎧を被って、余裕綽々に振舞ってる魔術師ぶりっこなんだ!」 「へえー」 そんな歩く人間凶器みたいな奴が二人も三人もいるのか。 世界は広いっつーか、女は怖いっつーか。 「おまけに外国をまたにかけるキャリアウーマンで、やりたい放題アンサラーでフラガラックと ばかりに、ぶいぶいいわせまくるんですよ!?」 「ふうん……結構な仮面の被りっぷりね。 そんな人がマスターなんて大変ねアンリマユ」 「そ、そうなんだ! 無駄に巨乳だから、俺も騙されちゃうんだよ、使いもしないのに!」 「アンリ、胸はともかくその、続きを……」 「あ、ああ、胸のことは置いておくとして―――」 「本当は子供みたいな性格で、まわりにいる人とか、思わず構っちゃった人とか、もうタイヘンなんだ。 でも文句なしに高性能なんで、保護者の人たちは何も言えないと言うか泣き寝入りというか。 その人なくして虚構の楽園は保たれないというか…オレもランサーもそういうバゼ…じゃなくて ボクシング・バカが好きっていうか…」 「…それは、他人事じゃないな」 ところでさっきから面白い比喩してるなアンリ。 「け、けど、一番問題なのはだな、このままじゃつまらないことになるってことなんだ! オ、オレだって、できるなら一度くらい人を助けてみたいのに!」 「あら。あなたを殺そうとしてるのに?アンリマユ」 「そ、それでもだっ! えっと、そのボクシング・バカも近頃は慣れちゃったといいいましょうか、四日間を 繰り返しているのになんか楽しんでいるみたいなんだよ。 でも、やっぱり現実逃避はよくない!そういうのはすごくダメットだと思うんだ!」 それが何を指してのことなのか、彼にわかる筈もない。 ただ、 「“そういうのはすごくダメットだと思うんだ!”」 その男の愚痴には彼にも覚えがあったのだ。
176 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 00:04:15>>「あ、ああ、胸のことは置いておくとして―――」 ココクソワロタwwwwwwwwww
177 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 00:04:39>「ふうん……結構な仮面の被りっぷりね。 そんな人がマスターなんて大変ねアンリマユ」 ここにカレンのキラーパスがあるんだな。誘導じんもn
178 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 00:17:00>「“そういうのはすごくダメットだと思うんだ!”」 素直にワロタ
179 名前: 働く槍さん→アトゴウラ 投稿日: 2005/12/03(土) 00:20:50 美綴がうれしそうに笑っている。 美綴とは穂群原に入学以来のつきあいだが、こんな女の子っぽい仕草を見るのは 初めてだ。 「じゃあこれはサービス」 驚く美綴に、一厘の花が渡される。 「あの、これは?」 「戦友を想うアンタへの心づくしだ―――見誤ったかな、飴色の花は気に入らないか?」 「えっと、その、そうじゃなくて…少し驚いただけで」 「そういえば名前聞いてなかったな。俺のことは……ま、ランサーとでも呼んでくれ 今はそれで通ってる」 「は、はい。あ―――あたしの名前は……」 「―――微笑ましい。貴方の話術は、時に殺意を覚えるほど洒脱で軽妙だ」 「ひょわああああああああああああああっっっ!?」 「バ、バゼット?」 「さて。今から貴方を殺す訳ですが」 「え―――?」 怯えるように花を構える。 そこに以前の気迫はない。 「待て――待ってくれ、俺は――アンタと戦う理由はない。 アンタだって、俺と戦う理由は」 「あります。貴方は私が召喚したサーヴァントだ。 召喚したマスターである私は管理責任がある。 私は今、貴方を殺す為にここにいる」 坊主が笑う。 その通りだと笑っている。 「ちが――お、俺はアンタとは戦わない……! そうだ、アンタとは戦わない、アンタとは戦わない、アンタとは戦わない……! だって、だって――アンタは、もう俺のマスターじゃない――、よな……?」 「知りません。貴方のような猛犬を野放しにした覚えはない」 一言に付す。 槍兵は糸の切れた人形のように膝をつき、 「―――“後より出でて先に断つもの(アンサラー)”」 球体が展開する。 ある呪力、ある概念によって守られた神の剣が槍兵の心臓に狙いを定め、 「“斬り抉る戦神の剣(フラガ・ラック)”――――!!!!」 槍兵は切り抉られる心臓に顔をしかめ、 「ああ、しかし―――どうしてこう、いい女にばっかり縁がないのかねぇ」 これも潔い、というべきなのか。 ランサーは“あー、かっこつかねぇ”などととぼやきながらあっさりと退場した。
180 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 00:32:44っちょwwww退場すんのかよwwww
181 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 00:34:15>怯えるように花を構える なぜそこで花を差しださんのだ。目の前に13才の恋に恋する乙女がいるんだぞw
182 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 00:50:03>坊主が笑う。 >その通りだと笑っている。 何気に外道だな士郎
183 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 01:06:56もうどうしようもない、諦めろって意味の渇いた笑いだろ 士郎じゃ手出しできなかったんだよ
184 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 01:31:32士郎のカラがちょっと剥がれかけてるの、か? あるいは半年前の復讐か 女を口説いたのでバイトをクビになったってのはこのことだな
185 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 04:40:26>「知りません。貴方のような猛犬を野放しにした覚えはない」 ああもう、ラブいなぁ! 最高!!
186 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 11:31:33>これも潔い、というべきなのか。 潔くねーw
187 名前: 午後の光 投稿日: 2005/12/03(土) 12:59:28 桜が息を切らせてこっちに来た。藤ねえはともかく、 桜まで喘ぎまくってるというのは珍しいというか、対処に困る。 「どうしたんだ、一体」 「その、イリヤさんが逝っちゃったので今度はバナナを淹れようとしたら、 藤村先生がつまみ食いしちゃってて。 第一格納庫、第二格納庫、防災用のバナナまでぜんぶ……!」 根こそぎだな。それで追いかけられてるのか。 「でも、人里に降りてきたハラペコタイガーがバナナを荒らした程度でこんな大騒ぎしなくても……」 逃げ出す前にお説教をして、藤ねえのバナナからフォローしてもらって終わりだ。 「それが、セイバーさんの分も食べちゃってて、イリヤさんが指摘したら、 ダラダラ汗を垂らして、ほてりがさめるまで身を隠すニョホって逃げ出したんです……」 「一刻も早く捕まえてくれ。イリヤには俺のバナナをだしとく」 「それが、バナナに入ってるアルカロイドブフォテニンのありがたみをわたしが語って聞かせたら、 イリヤさん、思いのほかムキになってて」 「いやそれ麻薬」 「サクラー、タイガ逝たー! いま屋根でよがってるー」 庭の方からイリヤの声がする。……って屋根? 「え、あ、はい今行きます。そんな訳で、先輩すいません ―――ちょっとライダー、そんな荒縄(含手綱)なんて持ち出してどうするのー!?」 サンダルをひっかけて、庭に降りていく桜。 とりあえず、何をしようとしているのか怖いのでライダーの方は見ないようにする。 「それにしても……」 あんのじょう猛獣狩りの様相を呈してきた。 これ以上騒ぎになる前に、俺も手伝って終わらせておいた方がいいんだろうな
188 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 13:52:03ちょっと待てwwwww
189 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 14:23:12藤ねえのバナナについて詳しい説明を求む。
190 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 14:43:56>イリヤには俺のバナナをだしとく ごめん。アレな想像しかできねえ。
191 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 15:03:23何この不思議時空
192 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 15:04:56 .┌┐ / / ./ / i | ( ゚Д゚) |(ノi |) | i i \_ヽ_,ゝ U" U .┌┐ / / ./ / i | ( ゚Д゚) |(ノi |) | i つ彡 \_ヽU,ゝ U彡U .┌┐ / / ./ / i | ( ゚д゚ ) |(ノi |) | i i \_ヽU,ゝ U" U
193 名前: ランサーズヘブン⇒セイバーズヘブン 投稿日: 2005/12/03(土) 16:14:12 空は快晴。 強い日差しは季節の感覚を麻痺させる。 文句の付け所のない絶好のロケーション。 午後の散歩を楽しむお爺ちゃんやマラソンに励むスポーツメンの 清涼剤になりそうな冬木の公園は、しかし。 今まさに、盆と正月が一緒に来たかのような賑わいを見せていた……! 「って、凄く増えてるーーーー!!?」 誰が、いや何が増えたのかは言うまでもない。 監督の如くスター選手軍団を率いるその姿は紛れもなく……! 「うおー、すげえー! ギルー、あいつベッカムか!? ベッカムだな! うおーベッカムーーー! サインくれよー!」 「ギルのボール、金ぴかでかっこいいなー。バカっぽいけどー似合うなー」 「……うそだろ、本物のトリスタン!?」 「ギルー、今週のジャ○プどこー?」 「はっはっは。騒々しいぞ雑種ども。この程度、驚く程の事ではあるまい。 それはともかく、ジロウ、色紙と言わずシャツでもボールでも好きなだけ サインを貰うがよい。イマヒサ、当然の事を言うな。金とは王にのみ許さ れた色なのだからな。しかし資格はともかく、その嗜好は良し。 これでガリガリさんを買ってくるがよい。 ゲロス、我は贋作に価値を認めん、無論本物だ。 カンタ、ジャ○プは我が読み終わるまで待て」 「……誰?」 えーと。 あえていうなら子供達の……ヒー……ロー……? というか正気かあいつは。 あのスター軍団の全員の年俸、合わせて○○○億というキチ○イ沙汰だ。 それが公園に集結しているのである。 「しかし拍子抜けだな、最強を名乗る者がいると聞いて、 こちらも最強の軍団を揃えたというのにまるで話にならんな! 所詮は王とは名ばかりの剣を振るう事しか能のない猪武者、 真の王たる我とは比べるべくもない!」 あっはっは、と愉快そうに笑うヒーロー。 ときおり、子供たちに髪やらイヤリングやら引っ張られたりする。 「くっ、相変わらずの物量作戦か。しかも金に糸目をつけぬスター軍団 の来日とはな。 ……失望だ。他人の栄光に頼るとは見下げ果てたぞ、英雄王……!」 負けじと気炎を吐くセイバー。 「……だが甘かったな、英雄王。私と彼らの絆はたかだかウン十億の スター選手が山ほど来た所で揺るぎはしない! さあ、あんな連中無視して試合を始めましょう! ……どうしたのです? さあ始めましょう。 私は今日も前線(フォワード)ですよ、私の突進を止められるものなら 止めて……来ないと本当に試合を始めちゃいますよ、私一人で。 ほら、コウタ。そのようなサインが欲しいなら私のをあげましょう。 私のサインなど、どこに行っても見つからない究極の品ですよ。 何故なら、私のかの有名なキング・アーサ……聞こえてすらいないのか。 ほら、ゲロス。そのような偽者に関わってはなりません。 私の知ってるトリスタンはもっと弓と返り血が似合う人物ですよ。 ふんぬ……ダメだ、私の力を持っても引き剥がせない」 「おーい、セイバー」 「………………………」 「なにやってんだー? サッカーしないのかー?」 「……ほっといてください、シロウ。 どーせ、私はただ物珍しいだけの外国人だったんです。 川に迷い込んだアザラシや二本足で立つレッサーパンダと同じです。 本物のスターが来日したら忘れられる一時の流行モノなんです」 「なっ、何を言ってるんだセイバー。負けるなセイバー、戦えセイバー。 セイバーだってホントは超有名人じゃないか。 アーサー王とエクスカリバーの伝説は誰でも知ってるほど有名だぞ……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりもする。 「どうせゲームとかででしょう? 私の伝説を普通に知ってる人の方が 珍しい。もういいです、私みたいな時代遅れはコーンウォールの城のよう に風化して誰からも忘れられるか、博物館に飾られる運命なんです」 ますます閉じこもるセイバー。 ついにアヴァロンまで取り出して本格的に引き篭もり始めた。 「……夕飯の時間になったら呼んでください」 「………………」 うーん。なんか、今の俺では処置なしの気がする。 その内、腹が減ったら勝手に戻ってくるだろう。
194 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 16:22:15これは流石にひでえwwww
195 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 16:26:53>川に迷い込んだアザラシや二本足で立つレッサーパンダと同じです。 >どうせゲームとかででしょう? >その内、腹が減ったら勝手に戻ってくるだろう。 セイバー色々とカワイソスw しかし全て否定できないのもまた事実ッ…!
196 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 16:47:18こんなことしてたらそりゃ仲良くなれんわ英雄王w
197 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 17:24:01嗚呼。 セイバーヘブン 失われた楽園 よ、せめて妖精郷で永遠なれ―――
198 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 19:57:18「……バゼットさんが力の強敵とすると、カレンは知恵の強敵よ」 「士郎もね、油断してるといつのまにか玉に手かけられてるわよ」
199 名前: アチャ腕開放シーン 投稿日: 2005/12/03(土) 20:03:18 立っている。 この強風の中であいつが立っている。 立って、向こう側へ行こうとしている。 ―――当然のように。 赤い外套をはためかせ、鋼の風に圧される事なく、前へ。 「 ああ、あ」 顎に力が入った。 ギリギリと歯を鳴らした。 右手は、とっくに握り拳になっていた。 赤い騎士は俺など眼中にない。 わずかに振り向いた貌(かお)は厳しく、この風に飲まれようとする俺に何の関心もない。 ヤツにとって、この結果は判りきった事だった。 衛宮士郎ではこの風には逆らえない。 理想を裏切り、手に余る望みを抱いた男に未来などないと判っていた。 ヤツの言葉は正しい。 溜めに溜めた罰(ツケ)は俺自身を裁くだろう。 だというのに、ヤツの背中は。 蔑むように、信じるように。 “────戦うのなら14へ。引き返すのなら14へ進め。” 「──────、な」 背中が心に直接語りかけてくる。 あまりにも未知の言語の為、何を言っているかはまったく分からなかったのだが、
200 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 20:09:44>>199 Heavens Feel完www
201 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 20:15:48>>199 まあ、実際戦っても引き返しても14行きなわけですが
202 名前: 腕開放 投稿日: 2005/12/03(土) 20:25:48 飛んでいる。 この風の中であいつは飛んでいる。 飛んで、向こう側へ消えようとしている。 ―――当然のように。 赤い外套をはためかせ、鋼の風に吹き飛ばされて、彼方へ。
203 名前: タイガー→ゾウゲン イリヤ→シンジ 投稿日: 2005/12/03(土) 20:27:18ウム、こんばんわ。 ご近所付き合いで養子に出されたお主を改造して後継させる心霊ワールド、マキリの蟲蔵じゃ。 助手のワカメ一号だ。 しっかし、人生注意一秒傷物一生。 常識の通じない家系に養子に出すときは、死を覚悟してから向かうべきじゃな。 そのとおりだね。けど桜、僕の一突きで泣き出すなんて鬱陶しいんだからもう。 と、それはいいとして、今回の養子はわりかしマトモじゃな。正気が残ってるなど珍しいのう? そうだね。なにか物足りない感じだ。 …………いじるかの? …………いじりますか? よし、これより改造手術を行う! 何かの手違いで逆らわないように、まずはチンコ蟲の蟲蔵へ放り込む! サー、イエッサー! よし、インスタントにオペ終了! どうかね遠○桜くん! 全身を犯された気分は! だが君の意思を尊重し、最後の改造、脳寄生は止めておいた! おいた! さあ、このまま自主的に我らマキリの一族となるか、 洗脳されてヨゴレ聖杯となるか! 君の意思で決めたまえ! ドガガガガガガ た、たいへんですお爺様! 養女が移植された聖杯の力を使って、呪層結界を展開しました! ぎゃー、おお暴れです! 屋敷が破壊されます! わ、我々は自らの手で最凶のヨゴレヒロインを生んでしまったのではないでしょーか! しまったぁーーーーー! まずは脳寄生からしておくべきじゃったかー! ぎゃー! フツーはまず脳寄生から始めると思いまーす! 「はっ……!?」 なんか、ひどいユメを見たっていうか、今のはまさか並行世界……!?
204 名前: ブロードブリッジトラぶるモード Last Interlude 投稿日: 2005/12/03(土) 20:39:38 Last Interlude 無色地獄に垂れる蜘蛛の糸。 宙にかかる凶兆に急き立てられ、海の底からワカメたちが這い溢れる。 今宵は刻限。 この戦いを始まりに戻す、花札道中記の終焉である。 “見テ 見テ 見テ 見テ――” 蜜に群がる虫のようだ。 ワカメたちは輪廻解脱を迎えんとする自身を彩色する為、海底より蘇る。 “ウヒョー クカカ コココ キイキイ――” これより先の戦いはない。 ワカメは際限なく増殖し、よどむ事なく街を覆い尽くしていく。 “ショミン ショミン ショミーン――!” 即ち、カレらこそ阿鼻叫喚。 この道中記を埋め尽くすために顕現した、“己を蘇えらせる”という意思を持った地獄である―――
205 名前: ブロードブリッジトラぶるモード Last Interlude 投稿日: 2005/12/03(土) 20:42:06「――すげえ。よくやるな。いい年こいて恥ずかしくねえのかな、アレ」 遥か上空。 二千メートル以上の高みにかかる階段を見上げ、彼は淡々と呟いた。 「……何もかもデタラメだが。 少年漫画趣味もあそこまで徹底するなら、文句を言う方が野暮なんだろうな」 やれやれと肩をすくめる。 原始的で芝居のかかった大道具だが、ああいったことには見応えがある。 天を二分する石の階段。 石階段を、車田調で駆け上がっていく剣道着とブルマ。 そんな、今どき笑い話の中でしか見かけない物語を見上げているのだ。 地上の状況が絶望的なものであったとしても、口元がほころぶのは致し方ない。 「―――それにしても、数がちょっと多すぎねえか……?」 橋を支える鉄骨の上に陣取りながら、彼は視線を新都の方角に戻す。 新都は闇に沈んでいる。 道中記の終わりを迎え、町は急速に変貌しつつある。 明かりは消え、人々は消失し、町の生気は凍りつく。 この場、この時刻。 存在しているのは花札道中記に参加した者たちだけ。 今まで混ざり合う事のなかったトラぶるモードとのーまるモードが入れ替わり、出会わなかった者たちが交差する。 現実と空想、実と不実の接合面。 このわずか一時間ばかりの合間こそが、トラぶるモードとのーまるモードを隔てる境界線――― 「―――それは分かっていたことだが。 ここまでの事は、想定していなかったな」 カレ等は半刻も経たず新都を覆い尽くした。 ……人間にとって、無限とは比喩である。 いかに多く、いかに人の推量範囲を超えていようと、物事には限度がある。 無限とは認識の限界が生み出した言葉にすぎない。 だが―――目の前のモノは、そういった“数え切れない”ものとは違う。 カレ等は真実“無限”なのだ。 果ての無い増殖連鎖。 一である時点で結末となった終末の軍勢。 何人たりとも止められない、自らを死滅させるブレーキのない自殺回路。 狂った生態系の結末が、この地上を埋め尽くす――― 「五百、六百……いや、視認できるだけでもう千は超えているか―――」 かき集めたありったけの花札、相手の取り札を奪う槍の感触が、今は少しも頼りと思えない。 これでは数分程度の足止めも出来まい。 カレ等はまたたく間に橋を陥とし、深山町にそびえる柳洞寺を覆い、願いの星を貪り落とすだろう。 「ちっ――――――」 終末を目前にして、彼は強く歯を合わせる。 地上が地獄であり、天が笑い話の世界であるなら、彼の立つ場所はアトゴウラ。 まだどちらにも行ける領域に身を置いて、遠い海の終わりを凝視する。 宙にはまっすぐ刻まれた飛行機雲。 眼下には果てる事のない毒草の群。 どちらに身を置くべきかと言えば、それは――― 「迷うコトなんてないな。 勝者は得る、敗者は失う」 両手の花札を握り締める。 これより、空を見上げる事はない。 彼は自らに課した役割通り、この境界を守り通す。 だが――― 「は―――――――、っ、ふ―――」 正しく呼吸を刻む。 地上を見つめれば見つめるほど、やる気がなくなっていく。 だらけた両足にいつもの軽やかさはなく、肩は得体の知れない疲労感で力が抜けている。 「―――、っ―――!」 色の無いワカメたちの行進が始まる。 境界を突破される。 その前に、あの先頭部隊をなぎ払う。 なのにやる気が出ずに、この一歩が踏み出せない。 「……っ、ああもう面倒臭えな―――!」 ごん、と握りこんだ槍が鉄骨を打つ。 初めから面倒ごとであるのは承知していた。 この場に立った以上、後はもう、根気の続く限り戦うのみ。 「――――――。突き穿つ―――」 石の如き両足を動かして、眼前の群に一歩踏み出す。 後退はない。 あと一歩踏み出すだけで彼は死地に飛び込む事になり、
206 名前: ブロードブリッジトラぶるモード Last Interlude 投稿日: 2005/12/03(土) 20:43:01 「―――ふむ。普段は血気盛んな貴様が、肩の力が抜けすぎではないか?」 「いや、戦うのなら皆殺し、というのは実に私好みではある」 「……え?」 その、あまりにも聞き慣れた声に、ものの見事に出鼻をくじかれた。 「―――おいおい。 皆殺しってどういうことだよ。 これでもアルスターでは割と慈悲深いこともあったんだぜ……」 緊迫していた心が解ける。 彼は足を止めて、振り向かずに悪態をつく。 「いや、言葉通りの意味だが」 「それになぜ私たちを呼ばない。 お前は毎日は一人気ままにバーサーカーのように暴れまわっていたのだろう。 慈悲が働くのはその後の話だろう?」 「―――へっ」 遺憾ではあるが、実にその通りだ。 そう、やるときは徹底的にが彼の方針。 何日持ちこたえるだの、境界を防衛するなど、 そんな受身の戦略は、そもそも彼にはやり飽きたことなのである。 「……なるほど、やるからには殲滅戦ってコトか。 ここは宝具ナシモードじゃなくて宝具アリの修羅モードだった。 ……失敗した。そんなコトを間違えてちゃ、そりゃやる気もなくなる」 ぐるん、とのびやかに槍を回す。 状況はアルスターの決戦場、戦えるのは自分だけ、一兵逃せばサヨナラゲーム。 自分だけの戦場にいた槍兵は、しかし。気合も新たに、敵札を、盗みとる方針に切り替えた。 「にしても多すぎるか。 負ける気はしねえが、さすがに取りこぼしは出る―――よし、いざとなったら橋ごと沈めちまうか!」 「……待て、やる気がでたはいいがハメを外しすぎだ。隠蔽工作をするのは私なのだぞ。 橋を壊せば収拾がつかなくなる」 「見たところ雑草どもは単純だ、橋が落ちれば川を渡って新都になだれ込むぞ。 だが橋があるかぎりは、ここだけを通り抜けるはずだ」 「うっ……わ、分かってるとも。景気づけに言ってみただけさ」 ちぇっ、と不満げに舌を鳴らす。 ここまで大事になったのなら橋の一つや二つ、大破させた方が絵になるのにと言いたげに。 「まったく、そういうところは詰めの甘いところだな、お前は。 生前では戦術的な見方は身に付かなかったようだな」 「今まで必要なかったもんだからな。 そっちだって、計画性の欠片もねえ物量作戦じゃねえか」 「我は王の立場に合わせたまでだ。今は偶々、気が向いたまでのことよ」 「それは奇遇だな。わたしも偶々、監督役らしいことをしようと思っただけだ」 益体のない会話に、ふっと口元がひころびる。 眼前には、橋の中頃まで進軍したワカメたち。 火ぶたを切るには、ここが最後の機会である。
207 名前: ブロードブリッジトラぶるモード Last Interlude 投稿日: 2005/12/03(土) 20:47:10 「―――よし。付き合ってもらおうか、アーチャー」 「ふむ、これも箱庭の中の余興のうちというもの。 これでようやく―――」 「――― 久々の原典の供物。一切の加減なしで、使えるというものだ」 現れる一品物の衣装。 現れた花札の原典は彼らを守るように、その王の財宝たるコウ札を裏返す。 その花札にどんな意味があるのか、問いただすまでもない。 その札は使われるに相応しい場所、倒すべき敵とある時だけ。 今までの平凡な日々を思い起こす。 これより一瞬。 夜明けまでのわずかな時間だけであるが、彼らは、のーまるモードを駆け抜けた姿に戻ったのだ。 敵を見据える。 花札の回転数は中頃にまで抑え、自分の内面と向き合う。 なにしろ先は長いのだ。 あの、宙にかかった月が消え去るまで、彼らはこの橋で戦い抜かなければならない。 「―――初撃はアーチャーだ。アーチャーの宝具で札の要所を抜き取った後に、札を集める。 後は持久戦。ランサーはここから花札を奪い続け、私は橋の上から嫌がらせだ。 何か問題はあるか、ランサー?」 「ああ、今のお前なら異論はない」 「我とランサーの二段構えでも抜け出る者が出てくるだろうが、それは無視だ。 我の戦いは大軍の殲滅。 細かい取りこぼしなど、王の考えることではない」 この布陣を突破するモノが何匹出てくるか分からない。 この橋を渡らず、川を渡って深山町に向かうモノもいるだろう。 だがそれは何千分の一の話。 その程度の例外は、階段を行く当事者たちに解決してもらわねば。 「……まあ、俺たちだけってワケではないだろうし、細かいのは他の連中に任せるとするか」 宝具が魔力を宿す。 彼はしなやかに、最短の手順で槍に秘められた魔力と魔術を開放する。 「その心臓、貰い受ける!」 白く染め上げられた地上に、大輪の花札が咲く。 開幕を告げる宝具の光。それは地上の星となって、ソラにかかる道筋を照らしあげ―――
208 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 20:49:42>>202 アーチャー・・・
209 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 20:53:51>>204-207 GJ! …………続きを期待してしまってもよろしいかな?
210 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 20:59:21きのこ降臨すんのかよwww
211 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 20:59:31>>204-207 ショミン噴いた
212 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 21:03:04無限のワカメの内、数十体はコンティニューで俺が産んだものだな
213 名前: ワカメ→マーボー 投稿日: 2005/12/03(土) 21:15:48 ―――時はきた。星の覇権を賭けた愚者の戦いを始めよう。 貴方は選ばれた桜の味方衛宮士郎。 世界の転覆を企む“この世全ての悪”アンリマユの棲む洞窟へやってきたのだが、 『弓兵の腕の呪い』によって記憶と肉体を侵食されてしまった! しかし宿命は待ってはくれない。 悲嘆にくれる貴方の前に、以前協闘した折に死んだ筈のゴッドファーザーマーボー三世が現れた……! 戦うならこのまま下へ。引き返すなら1へ進め。 「──────、な」 なにかが心に直接語りかけてくる。 あまりにも古い言語の為、何を言っているかはまったく分からなかったのだが、 「な、なんてコトだ……!このシーンがHFルートで、なんだか今がラストバトルで、 その勝者は聖杯を思い通りにできるだと……!!!?」 とまあ概要はおおむね掴めた。 「はっはっは!うひょークカカコココキイキイ! その通りだ選ばれた切嗣の息子よ!ああ待っていた、 オマエを待っていたぞ私の宿命のライバルの息子よ!」 「貴様、何者―――!?」 「ハハハハハ! 何者かだと?何者かだと?何者かだとぉ? 分からないか、そうともわからないだろうなマーボーな私! すごいぞ気持ちワルイぞー! 見ろ見ろ衛宮士郎、この世全ての悪とか人間の負の想念とか、 そういうのが溢れてもうタイヘンだとも!」 吹きすさぶ風、荒れ狂う魔力、激震する大聖杯。 そしてドクンドクンと脈打つアンリマユ。 いろんな意味でこの世の終わりとも言える光景がいま惜しげもなく大展開。 くっ……このふってわいたアーマゲドンに星も激動しているというのかッッッ!!!!? 「ま、まさかオマエは―――言峰、綺礼……!!!? バカな、オマエは確かに死んだ筈だ!」 「死んでおらぬわー! いや、人間的にはほとんど壊れていましたが、だからこそ地獄から蘇ったのだ勇者エミヤよ! ククク、この世全ての悪、アンリマユの力が私を生き残らせたのだ。 んー、見て欲しいものだな、この滾る黒い心臓」 「まあいいや。 ともかく俺たちは聖杯に選ばれた戦士なんだな!? なんか宿命のライバルなんだな!? 俺は桜の為に、オマエは世界を滅ぼす為に戦うんだな!?」 「ナイスリアクション!話が分かるではないか衛宮士郎! さてはこういうノリ好きだなキサマ!」 「おう!結構ヤケだけど勝ったり負けたり泣いたり見栄張ったりthgin yats\etaFとか大好きだ! そんなワケで行くぞ言峰…! オマエだけは絶対に許さないッッッッ!!」 「ク―――吠えるではないか衛宮士郎。 だが今日は私の方が強い、覚醒したライバルの力を思い知るがいい……! 行くぞ衛宮士郎! ここでアンリマユを生誕させて私の人生(ターン)エンドとするッッッ!」
214 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 21:27:56HF最終決戦がまるでタネなしのスイカバーだ……
215 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 21:32:52それはそれで美味しいけど、一味足りないって事かい?
216 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 21:39:35言ってることとやってることはHFと同じなのに、 どうしてこんなに楽しそうなのかなコイツラは
217 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 21:39:57>>205 男坂混じってるw
218 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 21:41:00>>217 俺もそこで噴いた
219 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 21:44:09>>189 「……『俺のバナナ返せよー』」 「はッ」 「……『あれー取れねえーっかしいなあ』 ……『うわ、うわ、うわ』」 「ううう……うううう……」 「…………シ…… シロウに何をしたのよ、タイガッ!」
220 名前: ブロードブリッジトラぶるモード 弓凛みっくすりみっくす 投稿日: 2005/12/03(土) 22:03:36鋼鉄の剣がワカメ達を粉砕する。 タネ、タン、赤タン、カス。 そのいずれかを的確に、かつ瞬速で打ち抜く花の札。 相手が亡者の群というのなら、立ちはだかるは正義の味方の具現。 海底より這い出たワカメどもを、死を以って再び地獄に叩き落す………! 一呼吸に三札取得。 無限の剣製によって投影された札は鉄剣となってワカメの髪を拭きとばす。 だが浅い。 色をなくし出番をなくしながら、ワカメの凶笑は止まらない。 もとより亡者、その動きは心脳にあらず怨念のみ。 残基を消滅しつくすまで、コンティニューに狂走する────! 「────凛」 「お礼はいいわよ、アーチャー。フっても怯まない、殴っても駄目な相手じゃ、分が悪いわよね」 戦場に合わぬ軽やかぬ声。 数センチに満たぬ宝石に月光を映し、魔術師は亡者の群へと踏み進む。 振るわれるガンドは機関銃のように。 ワカメ達は吹き飛ばされた後、ようやく相手にもされていなかった事を知るだろう。 「さすがに手足を断てば動けないみたいね。 アーチャー、面倒だけど足を狙うわよ。 常に優雅であれの家訓には反するけど、慎二相手には丁度良いわ……!」 「――――」 宝石魔術師と投影魔術師。 あり方は違えど、魔術師として研ぎ澄まされた両者に言葉は不要。 交差し、巻き込みながら敵を圧倒する剣と宝石。 背中を合わせ、目まぐるしく戦場を駆けながら、二体の魔術師がワカメ達を圧倒する………! 「それで、どうするのアーチャー? このままじゃ埒があかないわよ。どう、いっそ大本を潰しに行かない?」 「ふん、宝石の使いすぎで首が回らない君が言う事じゃないな、凛。 第一、そこまで手を貸す義理なんてないな。私はこの場所を守れればいいだけだ。 恥知らずにも私の神殿に土足で上がりこんでくる塵芥に、身の程を弁えさせるだけだ」 絶え間なく現れる色のないワカメ。 それは海底から生じ、多くは深山町に向かい、群より押し出されたワカメ達は港まであふれ出した。 それを嫌ったのは他ならぬアーチャーである。 自分の身を守るだけなら、港から出てマアスターごと遠坂邸に閉じこもってしまえばいい。 魔術師でないワカメを寄せ付けぬ結界など、遠坂邸の結界で事足りる。 だが────どのような気まぐれか、彼は理に合わぬ事をした。 進軍の途中、たまたま踏み入った黒い染み。 それを一つ足りも許さず、悉く薙ぎ払った。 結果、カレ等はこの場所にも障害がいると認識し、港に集いだしたのだ。 「当然だ。聖杯などどうでもいいが、この港に踏み入ったからには私の敵。 ────遠慮なく斬り払ってくれよう、間桐慎二。 それがお前の望みであったのだろうし────」 虚空に浮かぶ巨大な歯車。 港を守るには十分すぎる、むしろ釣り場を破壊しかねないほどの剣群を放ちながら、 「────正直な話、できるならもっと釣っていたかった、私の八つ当たりと知るがいい────!」 港を守る弓兵は、柳洞寺を目指すワカメたちこそを串刺しにする。 いかに無限と言えど、失った数を瞬時には戻せない。 固有結界の如き一撃は阿鼻叫喚に綻びを作っていく。 ……されど、溢れ出るワカメは止まらない。 下界は半ばワカメどもに覆い尽くされている。 この場所は何があろうと守りきり、あの橋も不落のまま朝を迎えるだろう。 「……だが、深山町はどうにもならんか。 頑張っているようだが、あいつはここまでだな―――」 憧憬か憎しみか、弓兵は皮肉げに町を見通す。 その視線は町の北部。 針の穴ほどの空白を保っている、なつかしい武家屋敷に向けられていた。
221 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 22:18:01港って、橋はw
222 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 22:32:46>>221 アングラーだしw 続編だと思うし橋はマーボー一味が守ってるんだろう
223 名前: ブロードブリッジトラぶるモード 食いしん王万歳 投稿日: 2005/12/03(土) 22:46:48 衛宮邸を飲み込むワカメの波。 いかに正義の味方・衛宮士郎と言えど、単身で波を打ち払う事は出来ない。 それが一度きりであるのなら、宝具の一撃でなぎ払うか、無限の剣製をもって針鼠に貶める事も出来ただろう。 だが敵は無限なのだ。 宝具や固有結界は魔力を大量に消費する。 一時的に優勢になったところで、疲労で動けなくなっては 抗う事さえできなくなる。 「シロウ、後ろ……!」 セイバーの声に反応し、士郎の剣が流れる。 弾けあうカスと猪。 後方に跳んだところで逃げ場はない。 塀を越えて侵入したワカメたちは、怨みでもあるかのように士郎へと襲い掛かる。 彼の投影魔術を以ってすれば、カス札の一つや二つは容易くかいくぐろう。 だが密集したカスは茨の如く、槍衾となって士郎を取り囲む―――! 「セイバー……!?」 止まらぬ筈のシロウの手札が急停止する。 今の宝具は彼の剣、セイバーの手によるものだ。 セイバーとて英霊、本来ならば宝具行使の一度や二度は驚くに値しない。 だが―――いま行なわれた宝具は、セイバーにとって忌むべきもの。 彼女の取り札を不可視化する、対人戦でなければ役立たずな禁呪ではなかったか。 「使うな、セイバー! 風王結界という宝具など、俺たちにはまだ早い……! カレ等は俺が迎撃する、お前は室内でMPを維持してくれ!」 従者を案じる声も、ここでは度し難い隙となる。 足を止めた正義の味方へ殺到する亡者の群れ。 「約束された――――勝利の剣っ!」 雲霞の如き侵入者を切断し、灰と成し、飲み込んでいく黄金の閃光。 あれこそは彼女が持っていた、英霊としての面。 星の光をもって作られた神造兵装、収束した魔力を以って空間ごと対象を切断する、 ダメージを3倍に増幅するアーサー王の聖剣である。 「セイバー……!」 「大丈夫です、これぐらいなら扱えます……! 心配は無用ですシロウ、私だって、伊達に半年も、シロウ相手に食っちゃ寝してないんですからっ……!」 震える足、宝具の反動で鳴ってしまいそうなお腹を抑えて、自らを鼓舞するように あまり自慢にならない台詞を振り絞る。 「――――」 儒者の意思を尊重して抗戦を続けるべきか、セイバーを抱きかかえてこの町から離脱すべきか。 今ならまだ間に合う。 彼女の宝具なら朝までの間、妖精郷で夜を明かせる。 しかし――― 「シロウは自分の守りに専念を。中に入ってきたのは私が切り伏せます……!」 士郎には、自ら戦場に赴き、凛々しく踏みとどまるセイバーの姿が頼もしくもあったのだ。
224 名前: ブロードブリッジトラぶるモード 食いしん王万歳 投稿日: 2005/12/03(土) 22:48:47 本来、セイバーには宝具を扱えるだけの魔力量はない。 彼女は自らの闇、ハラペコ属性の一部を表層に押し出す事で、 一時的にハラペコ属性を保有するヒロインとして機能している。 それは残り少ないヒロインとしての部分を押し潰す行為だ。 あの状態の彼女は、些細な心の傾きで“腹の虫”を鳴かしかねない。 それを最も恐れ、恥じている彼女が、前に出て歯を食いしばっている。 「シロウ宝具を使います!―――風王結界!」 思えば。この抵抗は回避できるものだったし、そもそも回避するべきものだった。 街を覆う、ある男の残骸たち。 夜な夜な徘徊していたソレ等が堰を切って溢れだした事を、セイバーは即座に感知していた。 だが応戦することはない。 これは眠ってしまえば通り過ぎるもの。 いつも通り夜食を貪り、朝を迎えれば干からびて消えるものなのだ。 「風王結界―――くっ、兵糧攻めですか……………!」 花札を繰り返すごとに苦しげになっていく。 その血を吐くような口上が ――負けない―― 弱々しくも、力強く聞こえてくる。 「……ないと。わたしは、ここに……!」 この夜。 終末を迎えた零時、気がつけば衛宮邸には彼と彼女しかいなかった。 進む者と守る者。どちらも何も告げず、彼女らだけを残し、それぞれの場所に足を向けていた。 ――負けない―― それを知った時のセイバーの失意は目に余った。 また独り。 食卓の前に置いて行かれる事で、自分だけが食ってばかりいる無職者と見られていると落胆した。 「っ、は、はぁ、は―――このぉ、まだまだ戦えるんですからぁあ……!」 そうして選んだ。 この場に留まる事、自らも戦う事。 この、大切な誰かの場所を、 「―――そう。私は働かないんじゃない。 わたしは信頼されて、ここで働いていないんですから――――――!」 叶わなくても、台所だけは最後まで守り通すと。 このちっぽけな奮起を、従者愛しさで摘み取る事が どうしてできよう―――! 「―――まあ、実際食ってばかりな無職な訳だけど」 「だめー! くじけそうになる発言は禁止ーーー! ほら、シロウー、杯! 月と合わせて月見酒ができるから……!」 虚空を飛んでいく月見酒。 食いしん王は雪崩のような襲撃者達を迎撃する。 その背中を守る健気な料理人。 残された少女は一人の騎士として、群がるワカメ達と対峙する。 取るに足らない彼女たちの花札は、おそらく、あと一時間は保つだろう。 たった一時間。 これは対極には何の影響ももたらさないひと飛沫。 少女の決意はいずれ汚濁に飲み込まれる。 不幸だったのは、カレ等に知性が無かったこと。 もし知性があったのなら、ワカメどもは必死の抵抗をあざ笑う前に、ここを攻め落とす価値はないと前線に向かったのだから。 体力、魔力ともに未だ半分を残していながら、少女は終着に追い込まれていく。 無理もない。 この圧倒的な数、刈れども刈れども尽きぬ悪意の天幕。 魔力の前にお腹が減るのは、当然の帰結だった。
225 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 22:51:32>>222 いや、新都まで突破されてるじゃん。という話。 つーか、海から沸いてるならワカメは深山町向かってるんだな
226 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 23:16:11花札ネタブームだなオイ! とても楽しい
227 名前: カレン1 投稿日: 2005/12/03(土) 23:25:24「じゃあ、全部偽物ってコトなのか?」 瞬間、唐突に死にそうになった。 全部偽物、と。 そう口にした途端、尿意だけで死にかけた。 まるで布団中の熱が、一気に冷めてしまったように。
228 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 23:39:52花札ネタアツイな。GJ!!
229 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 23:47:58やっぱりセイバーはNEETなのかwwwwww
230 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 23:51:11それ以外の何をセイバーに望むというのだね君は
231 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/03(土) 23:58:29あほ毛 + NEET + はらぺこ = セイバー
232 名前: ブロードブリッジトラぶるモード 洋風建築 投稿日: 2005/12/04(日) 09:33:03土砂降りの中にいるようだ。 嘲笑と殺意の雨あられの中、遠雷とも地響きともつかぬ終末の音が聞こえてくる。 ワカメの群れだけでは飽き足らず、洗脳探偵じみたメイドまで放たれたのだ。 「あ、ぁ―――セイ、バー――――――」 逃げろ、と形作る噛み締められた唇。 こうして奮戦は荼毘に付す。 願わくば、愚昧だった彼らの決意が、今際の悲鳴に貶められぬよう。 そして、 「あれ……この声?」 そして。 「メイドドラグーン――洗脳しなさい、リーゼリット」 新たな導き手の元に、その愚昧さが、心強いものに変わることを。 「タネ 、タン 、カスで、3文」 吹き荒れる洗脳不思議銃。 セラとリズは障害を思う存分切り崩し、一払いごとにワカメ達を巻き上げ、 容赦なく衛宮邸の塀を破壊する。 「ば────」 士郎の絶句も当然だ。自分の家なんだし。 それはもはや味方ですらない。 現れた青メイドと黒メイドとは、ただ破壊するだけの存在なのだから。 「セ、セラ、リズ……!?ど、どうしてここに!?」 「どうしてといわれましても、とても見てられなかったものでつい立ち寄りました。 個人的にはどちらが勝っても宜しいのですが――」 「このまま、ちょっと、不公平」 何か企んでいそうな悪辣な笑み。 今もワカメ達を洗脳しながら、メイドはイリヤ城にいる時のようだ。 「ふ、不公平だと………もしかしてセラは、この敵の事を何か知ってるのか?」 「いいえ、これしきの事などいちいち気にも留めてはおりませんが。 わたくしが言いたい事は、イリヤスフィール様の事でして。 さっきから見ていると、無駄な宝具の使い方ばかり。 ここだけ守り通しても駄目なのです、エミヤ様。 だから脇役のゴトウ様よりも出番が無いのです」 「――――なんでさ?」 セラの言葉は士郎の心を真っ白にした。 呆気に取られて目が点になったのだが、ともかく────折れかけた剣がひょこっと首を起こしたのだ。 「セ、セラ、それはどういった……」 「受けに回っているかぎり勝てないということです。 知っているのですか?トオサカ様は真っ先に最前線に移動して、一番いいところを独り占めしているのですよ。 ここで無駄に魔力を使うより、ずっと劇的な高得点を稼がれるでしょう」 「む、……それは高得点というより、一番厳しい状況なんだろ?」 「同じ事です。ですがトオサカ様も結局は守っているだけなので、 ここは一気に本拠地を叩いて挽回といきませんか? その方が効率的ですし、なにより―――」 「……えっと……脇役よりポ、ポイントが高い、か?」 「その通り。リズたちは、行く。 辿り着ないかも、でも、イリヤだけに、任せるのダメ。 シロウは、どうする?一緒に、行く?」 「────」 言葉による返答はない。 彼は躊躇した後、静かに息を飲んでメイドを見返した。 「それでは、いざ、参りましょう。 さあ、たった一度きりの見せ場ですリーゼリット! 遠慮はいりません、立ち塞がるモノは皆、壊し、アインツベルンの強さを見せ付けておやりなさい!」 花札をサイカイする青黒メイド。 「■■■■■■!!」 ワカメはメイドの洗脳の導くまま、上がり役を投げ捨てこいこいを選択する。 向かうは源泉。 辿り着く保証もなく、彼女達は海草増える養殖場を目指していく。 ………たとえ、その目的が果たせずとも。 彼女達の行動が、今度こそ飛沫でなく、波紋となって大局を揺るがすようにと。
233 名前: 指圧の奥義は真心です 投稿日: 2005/12/04(日) 11:10:18「はぁ……ん……んっ……んん……」 怪しい雰囲気の声が聞こえる。 居間のあたりか? 「この声は遠坂だよな……何やってんだ?」 女の子が日中から艶声を出してはいけません。 ……いやまあ、遠坂はもはや単なる正ヒロインっていう存在じゃないけど。 「……こうしてキャラはシリアスさをなくしていく……」 きのこを筆頭とするライターにイロモノ度を上げられないようにするのは突出した属性を持たないのがコツ、と過去作品でイロモノにされたヒロインは言っていたらしい。 しかしセイバーは複数属性なのに着実に腹ペコさのみを増していく…… で、居間には案の定遠坂と―――アーチャー? 「む、貴様」 「士郎だー、きもちいいわー、んんー」 「ネタかマジかどっちかにしろ」 響く声、うねるあくま。 一体アーチャーが何をやってるのかと思ったら……肩もみ? 「む……マスターが疲れていたようなので、肩を揉んでいる」 「アーチャーは優しいわー、こんなに気が利いて。まったくこんな執事が欲しかったのよねー」 ……気持ちいいのだろう、すっかりだらけている。 絵のタッチが緩んできて、そのままものじ絵になってしまえ。 「そうか?私みたいな皮肉屋な執事はいても……」 「だって、士郎みたいな執事を持ったら我が儘で、肩揉んでくれないんだもん」 それは事実誤認だ、遠坂。 自分がこれまでに俺達に何をさせたのか忘れてる。 「ロンドンに行く前、さんざん俺に揉ませたじゃないか?」 「……そんなコトもあったっけ?」 「あった。俺の肩もみテクは、遠坂の肩で更に鍛えられた」 セイバーは肩揉もうとすると妙に嫌がったからな。凝らない体質なのかも。 で、だるい肩こったーと絡んでくるのが遠坂で、死闘の結果揉まされたのだ。 「そういえば、聖杯戦争中もよく遠坂の肩を揉まされていたな…」 「そうだった。せっかく士郎も力が付いてきて、いい感じに肩の下の凝りをこりこりーって出来るようになったのに……私は悲しかったわ」 そうかそうか、とアーチャーが呆れる。 ……俺は遠坂の肩を揉むために弟子(及びサーヴァント)になったんじゃなかったはずだ。まったく。 「そうだった……我が事ながらよく耐えた」 「うん、あの頃は嫌がってたけど、やり始めると真剣だったわ」 一旦請け負った以上は、遠坂がいいと言うまできっちりしていた。 途中で疲れたなんて、だらしないことは言えない。 「ほら、士郎ってこんな風だからねー。いつ頃かな、肩揉みしてくれなくなったのは」 「……覚えてない」 「流石にルヴィアに肩揉んでとも言えないからねー、最近コリコリで」 「そうか。む、ここ、凝っているな」 「ああっ、そこそこ、ふにゃー、ぁぁぁー、あああー」 段々だらしなくなってくる遠坂。 ……そんな関係ではこれっぽっちもないはずのだが。なんとなく、音声だけ聞くとえっちだ。
234 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/04(日) 15:22:42>>232 メイドひでーw
235 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/04(日) 19:51:43「ありがとう―――先生の体、良かった。」
236 名前: ブロードブリッジトラぶるモード チェリー・ブロッサム・セルシアン 投稿日: 2005/12/04(日) 20:27:40彼等の奮戦を以ってしてもまだ足りない。 安穏と倦怠と、日常に座して積み重ねてきた代償はそれほどに重く深い。 故に、抵抗するにはあと一手。 ワカメを阻んでいる幾組ものマスターとサーヴァント。 その全てに匹敵するだけの力なくして、夜明けを迎える事はない。 ……虫のいい話である。 この、多くの者が眠りに落ちた夜の何処に、そんな救い手があるというのか。 ワカメたちは高らかに勝利を合唱する。 コレデヤット色ツキダ。 柳洞寺に続く道、聖杯を望む頂上へ向けて笑いながら疾駆する。 だが。 「────ストップ。いい時間なんですから、もう少し静かにしてくれませんか?」 「ご近所は寝静まっている時間なのに、これじゃあうるさくてのんびり散歩もできませんよ」 ここにありえない勢力が存在する。 橋を抜け出し、いざ柳洞寺を目指そうとするワカメ達。 カレ等は知るまい。 この町を覆う自分達が大波であるなら、彼女は大悪。 敵対する者、邪魔をするものを喰い殺す、暴虐の化身である事を。 その女性は、おかしな闇に包まれていた。 足下には呪いの泥。 振り回される釘付きの鎖は蛇の様にくねり、女性と群がるワカメたちを隔たらせている。 「何処に行こうとしているのかは訊きませんが、こんばんは」 「先輩のいる町で、こんな夜更けに大勢で徘徊するなんて、近所迷惑ですよ兄さん」 彼女たちはいたって平静だ。 この、黄泉から溢れでた群を前にして、臆するところは微塵もない。 無慈悲で、あくまの様な貌は、むしろ──── 「別に興味なんかありませんが。 それより、リーダーはいないみたいですね?どの兄もこの兄もコンティニューが生み出した兄ばっかり」 「困りましたね、こういうのは元凶を叩けば解決するんですが────」 それはどのような生態変化か。 単体の目的しか持たぬソレ等は、急速に結束を固めつつあった。 一つはやはり目的のため、 この先、あの柳洞寺を陥落するには、ここで暴力を束ねなければいけない、という直感。 そして一つは──── 「────全員が兄さんなら仕方がありませんね。 面倒ですけど、兄さんたちみんなにお仕置きしてあげましょう」 そして一つは。発生より初めて感じた、目前の敵に対する恐怖から。 ワカメがざわめく。 少女たちを取り囲む輪はより広く、より密度を増していく。 見れば校庭はワカメたちで埋まっていた。 半年前の聖杯戦争において鮮血の神殿となった学校はまたも地獄と化していく。 「……ふむ。一匹みたらなんとやらっというヤツですね。 ……リンとシロウはよくやってますが、相手の性質が悪かったようですね」 「まったく――間桐の男というのは魔術師というより病気の類です。 その髪型なんて、私の一番嫌いなモノじゃないですか」 ワカメは山となり、四方から少女たちを押し潰そうと積み上がる。 飲み込めば終わる。 この正体不明の義妹とて障害に過ぎない。 侵略する側とされる側、その関係は変わらないのだ。 「ここに来た理由が分からないんですか? ええ、昔から名誉や自尊心を求めるモノには常套でしてね。 本当、この暗黒神殿に誘われてよく集まりましたね」 「兄さんにはすぎた贅沢ですけど、今夜は遠慮はなしですよ。 ……ああ。兄さんたちがショミンショミンと謳うというのなら―――」
237 名前: ブロードブリッジトラぶるモード チェリー・ブロッサム・セルシアン 投稿日: 2005/12/04(日) 20:31:34 彼女の頬が邪悪に歪む。 高揚と嘲笑。 頭上を覆い尽くす屍の山。 裁決は、ここに下った。 侵略者達はスコールの様に、絶え間のない散弾となって彼女を八つ裂きにし、 「────良い様ですね。狂い死にながら枯れなさい雑草────!!」 その罪を根絶する為。 深海の侵略者達を上回る暴虐となって、鮮血の神殿が降臨する────! 生命活動、否、存在事項を許さぬあらゆる呪いが、闇の聖杯の前に乱れ集う。 地獄を謳うワカメどもに、圧倒的な真実が荒れ狂う。 「―――出番ですライダー。 貴女とて不本意でしょうが、なに、これもラスボスとしての勤めです」 「ええ、ペガサスを駆るものとして、一つ教授するとしましょう……!」 彼女の言葉に従い、騎兵が天を駆け、影の巨人が軋みを上げる。 これこそあらゆる善悪二元論の原典、人間が生み出した悪の具現、霊長の抑止力の反英雄。 カレ等がショミンと謳うなら、彼女は地獄を作り上げる。 まだ聖杯にアンリマユが残っていた時。その座は泥と呪い、悪心と悪魔が入り乱れる地獄であった。 その苛烈さは語り継がれる記憶に在らずとも、目に見えぬ遺伝子に刻み込まれている。 ……そう。 地獄とは、善性を証明したがる人間が作り上げた、原初の悪性そのものだと。 「地獄の蓋を開きます。存分に謳いなさい兄さん。 ええ、退屈はさせません。私もこんな気紛れは一生に一度あるかないかです」 「宝具の出し惜しみはしません、夜明けまで命を賭して持ちこたえなさい……!」 暴虐の中心は無風などではなく、紛れもなく奈落の穴。 この領域に踏み込んだワカメたちは、溶解するように在るべき無へと還っていく。 黒桜が創る地獄に、阿鼻叫喚如きが耐えられようか。 柳洞寺に向かいつつあったワカメの大軍は、ここに壊滅する。 それは花札と呼べるものではなく、文字通り、ラスボスによる天罰そのものだった。 彗星は止まらず、今も黄泉路を開いている。 学校に上陸した一つの群れは、本編HFのノリの一人によって掃討された。
238 名前: お風呂の勇者 投稿日: 2005/12/04(日) 21:31:31「よし、じゃあ頭に近い方からいくぞ」 「お任せします……ん」 ひんやりとしたシャンプーに驚いたのか、秋葉が身を固くする。 髪に染み込ませる様に押し広げ、指でこしょこしょと泡立てた。 「すごい髪の量だな、こう手にとってみると」 「ええ、水を吸うとそれに重みが増しますから」 「うわあ、大変だな。これをいつもひとりで洗うのは手間だろう?」 「ええまあ……あ、兄さんもう少し手荒にこすってくれて構いませんよ。それに、手が疲れたら途中でやめてくださっても構わないんです……残りは、自分でやりますから」 秋葉は照れているのか何時にも増して饒舌だった。 「ばか。俺だって兄貴だからな、こう言うときくらい甘えてくれればいいんだ」 「――――っ」 二人だけの大浴場、わしゃわしゃとシャンプーで髪を擦る音と岩の上から湯が勢い良く落ちる音だけが響く。 ――――それにしても、こんな高級そうな温泉宿を貸切なんてどうも現実感がない。 「………………。私の身体は、そんなに見苦しいですか」 「は?」 「いえ、なんでもありません。兄さんはその……アルクェイドさんやシエルさんのような……」 そのまま黙り込む秋葉、どうやらアルクェイドやシエル先輩と並ぶと自分の体つきが貧相に見えて自信がなくなると言うことらしい。 「そんなの気にするなよ、それに俺は秋葉の髪を洗うのは十分楽しいぞ?」 「私の髪がですか――――ん」 他人の髪を洗うなんて始めての経験だし、髪の量も洗い甲斐がある。 「秋葉は?」 「え?」 「誰かに髪を洗ってもらうのって気持ちよくない?」 「それは……ふ……んんー……」 秋葉が漏らす声を間近に聞きながら、指の腹で頭皮をゆっくり優しく揉む。 猫を撫でるときのように指のテンポを色々変えて、秋葉の反応に興じた。 「ええ……兄さんに洗ってもらうのは気持ち良いです」 「そうか、じゃあ良かった」 「けど、一言だけ言っていいですか?」 「ん、どこか痒いところでもありますかございますか、お客様?」 ふざけてそんな言葉を返した、秋葉は上機嫌で今なら笑って許してくれそうな気がしたからである。 「………………兄さんの、えっち」 「――――――っ!?」
239 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/04(日) 21:39:46ぐおおお…これは…
240 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/04(日) 21:43:05うう、俺、どのスレをのぞくよりも、ここを見るのが楽しみだ。 花札ネタも最後があるんだろうし、その次は、これかっ
241 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/04(日) 21:53:42>>本編HFのノリの一人によって掃討された。 ほんとだ。一人だけ濃厚にHFノリだ。ギル様のポジションは誰にも無理だろうと 思ったけど「雑草!」の一言で納得してしまった俺ガイル。
242 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/04(日) 22:40:32桜こそ真の雑草のクセに
243 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/04(日) 22:45:11(´・ω・`)ぶち殺すぞ
244 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/04(日) 22:47:51ヒューマン
245 名前: ミミック遠坂 LV3 投稿日: 2005/12/04(日) 23:26:18「……すまん、遠坂。俺、気が利かなくて」 「……え?」 出来るだけ真剣に。ここで恥ずかしがったら遠坂はもっと恥ずかしい筈だ。 「単純に時間のコトしか考えてなかった。 ……いや、こんな話はここまでにして、今は出ることだけを考える。見てろ。こんな箱、 さっさと抜け出してやる」 これが精一杯の対応だった。 どうしても意識してしまうが、下手に誤魔化すより何倍もいい。 「う、うん……そう、よね。 わたしも、ちょっと気にしすぎてた」 「はは。俺は鈍感だからな。それぐらいでちょうどいいよ」 「……そうでもないわ。ちょっとだけ、見直した」 「そっか、良かった」 ほっと気が緩む。 遠坂の雰囲気が柔らかくなったからだろう。 俺は、つい 「でも、そういうことなら言ってくれれば良かったのに。 俺、遠坂のなら一回や二回こぼさずに飲み干したぞ?」 フツーに、墓穴を掘ってしまいました。
246 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/04(日) 23:40:04―――何ということでしょう 匠はなんと聖杯に聖水を注ぎ込み始めたではありませんか
247 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/04(日) 23:46:24>>245 そーゆーのは士郎は言いそうにないが、志貴辺りはナチュナルに言いそうではある
248 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/04(日) 23:49:57それは不当な偏見だな。今夜のベッドで追求しよう。
249 名前: 常夜の橋・左 投稿日: 2005/12/05(月) 00:19:32「―――すみません、誤解でした」 どうもっす、と胸に組んだ両腕を下げながら一礼する。 中国拳法のみならず、空手まで始めたらしい。 「……いや。すごいぞ遠坂。全身を使い切った理想的な右フックだった。 頬骨にヒビ入ってるかもしんない」 ふっふっふ。 口にはしないが、気持ちだけじゃ勘弁できねーと視線でアピール。 ::::ヽ、;::;:;:;:;:;:;:;:;:, ...:'´.::::::::::::::`ヽ、.::::::::::::::: | ;:;:;:::ゝ;::;:;:;:;:;:;/.:::::::::::::::::::::::::::::: \.:::::::::::. i | ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.`ヽ、.::::: l | ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::|::::::::::::::::::::::::::::::::::、--==`、, ,,,l | ;:;:;:;:;:;:;:;:;:゙;:;:;; |::::::::::::::::::::::::::::'.:::::`.. (/”="_/ ;:;:;:;:;:;:;:;:;: :;: |::::::::::::::::::::::::::::: `-'´;::"~:. i ;:;:;:;:;:;:;:;:;:; ;: |:;:;:::::::::::::::::::::::. '´.:::::::::::. | ;:;:;:;:;:;:;: ::; l; |:;:;:,::::::::::::::::::::'' ..::::::::::::::::::.. | ;:;:;:;:;:;:;: ; |V:;:;:;::::::::::::::::'' ..:::::::::::::::::::::. | , -------------- ;:;:!i:;:;:;: ' l:::::;:;:''::::::::::::'....::::::::::::::::::/´::::::::::::. | l ;:;:!i:;::;:; i |:,:;:;'':::::::::::::::::::''iiilll|l|ll|llll|liiii,,:::::::::. | lだ、だからゴメンってばっ。 ;:;: ;:;:;:;: /i!::;:;:::::::::::::::::,,iiiiiiillll|ll||ll||ll||l|lllllii-- '´ .l今のは全面的にわたしが悪かったですっ。 ;:;:;:;:;:;:;! /::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::l゙゙゙゙゙゙゛゛ _j東西南北中央不敗でしたっ ..:;:;:;:;:;:i /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::''/  ̄ ̄ l ヽ:;:;:;:;:!/i,,、:::::::::::::::::::::::::::::::::::.' | ` ‐------------- :::::ヽ;:/i||iiiii,,::::::::::::::::::::::::::::::::::. | 珍しく平謝りな遠坂凛。 この赤いあくまは人を困らせるコトを趣味としているが、 反面、うっかりミスで人を困らせてしまうと途端にマスターアジアに変貌する。
250 名前: 最後の台詞を笑って言ったのか泣いて言ったのかは各自の判断で 投稿日: 2005/12/05(月) 13:31:47「――――――――」 ぎり、という音。 「……遠坂……?」 一歩前に出た遠坂は、まるで悔いるように、強く歯を鳴らした。 「……アーチャー、聞こえる?」 静かな声で、振り向かずにそう呟いて。 「―――少しでいいわ。一人でアイツの足止めをして」 自分のサーヴァントに“死ね”と言った。 「――――――」 アーチャーは答えない。 「無茶だ……! 正気か遠坂、アーチャー一人じゃバーサーカーには敵わない……!」 「わたしたちはその隙に逃げる。アーチャーには、わたしたちが逃げきるまで時間を稼いでもらうわ」 俺の意見に耳を貸さず、遠坂は指示を続ける。 それは冷徹な、感情を殺した声だった。 「……………アーチャー、わたし」 何かを言いかける遠坂。 それを。 「ところで凛。一ついいかな」 場違いなほど平然とした声で、アーチャーが遮った。 「………いいわ。なに」 伏目でアーチャーを見る遠坂。 アーチャーはバーサーカーを見据えたまま、 「了解した。地獄に落ちろ、マスター」
251 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/05(月) 13:57:26過去スレのどれかで見たな。これ
252 名前: アーちゃんと森 投稿日: 2005/12/05(月) 15:21:18「あれ、アーチャー」 夜明け前の、いつも人気のない森にぽつねんとアーチャーが立っている。 「足止めをする……というワケでもなさそうだけど」 アーチャーは手ぶらで、ぼんやりと森を眺めていた。 「ねー、アーチャー」 「……………………」 「なにしてるの? 戦いに来たんじゃないの?」 「……うるさいなあ、ほっといてくれ。 どーせね、私は嫌われ者なんだ。召喚直後の私への第一声が「アンタ、なに」だし、 見張りをしてても声すら掛けてくれないし、今こうして捨て駒にされてるし!」 「どうよイリヤ、私に死ねと言っておいて、セイバーとは今頃ニャンニャンしてるんだぜ? すげー、こんなあからさまな贔屓してくれるなんて正直おかしくない? つーかぁ、私より優れたサーヴァントなど存在しねー」 そのまま大木の根っこに移動するアーチャー。 ……本気でテンパっているのか、そのままだんごむしのように丸まっちゃった。 ダンボールがあったら頭から被りかねない勢い。 その後ろ向きな勢いにバーサーカーも涙が止まりません。 「な。バカ言わないで、負けるなアーチャー、立ち上がれアーチャー! そーゆー不遇な扱いにまったく挫けない、まわりの空気を読みすぎて自分のルートまで引っ込んでるのが貴方の強さだった筈よ……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりする。 「……やだね、疲れたね、もともとオレぁ陰湿な性格なんだね。正しいエミヤの血を引いてるんだね。 爺さんも衛宮士郎も、座にいる私の本体も、こーゆー風にはじっこで悩んでるのがお似合いなのね」 ますます磨耗していくアーチャー。 まー、こんな見つけやすい場所で引きこもるあたり、アーチャーはやっぱりさびしんぼなんだと思う。 「……いいからさあ、さっさと私と戦ってくれない? 私はUBWのルートを待ってんだよ。 私が主役になる最後のチャンスなんだよ。 このルートに用はないんだよ」 ちっちっ、と挑発される。 「………………」 うーん。でも、UBWの私にはますます出番が無い気がする。 今度のファンディスクの、虚ろな平穏に期待しよう。
253 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/05(月) 15:36:07でもFDでも出番ないのよね
254 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/05(月) 15:51:06そもそもお前に正しいエミヤの血なんて流れてねえよw
255 名前: セイバー→言峰 士郎→ランサー ライダー→ギルガメッシュ 投稿日: 2005/12/05(月) 17:49:19「ランサー、これはなんだろうか」 声に振り向くと、言峰は冷蔵庫の一角にある発泡スチロールのケースを指差していた。 蓋に“生もの・要冷蔵”と書いたラベルが張ってあるからには、魚か何かだろう。 「中身は……外道マーボーか」 「そのようだな」 「――――――」 箱から取り出そうとしたのだが、刺激が強すぎて、うまく目視できない。 「随分と活きがいいなこいつ」 「これを昼食にするのはどうだろう。鮮度が落ちる前に食した方が良いと思う」 確かに、こういうものは日を置かずに食べたほうが美味しいに決まっている。 「そうだな、そうすると何を作るかな―――ってどうした言峰、そんな離れた所で」 何故か言峰は台所の隅っこからこっちを見ていた。 「ランサー、本当にそれを食べるのか」 「ああ、そうしようと思ったんだが……何かまずいのか?」 「いや、その―――」 言峰の態度は明らかにおかしい。 何が原因なのだろうと考えれば、やはり俺の目を潤ませているこいつが第一容疑者としか思えない。 「―――もしや、おまえは外道マーボーが苦手なのか」 図星だったらしい。 「え、冗談だろ言峰。麻婆豆腐は美味そうに食ってたじゃないか」 留守番のお礼に麻婆豆腐を買ってきた時は、何の問題もなく食べてたじゃないか。 「ま、まさか……あの皿に盛られていたのは、そのどろどろしてちくちくしてあかあかとした、異界の外道だったと言うのか!?」 「どろどろしてちくちくって……」 まあ、そう言えなくもないが……なんか、憎しみすらもってないか、外道マーボーに。 「なんて事だ―――ランサー、おまえという者は」 わなわなと震えながら鬼気迫った目で睨んでくる。もしかして本気で怒ってるのか? 「待て言峰。本当に外道マーボーが駄目なのか? 今までも散々食ってただろ」 「ま、まさか麻婆豆腐の言う麻婆というものが、あのマーボーなどとは思わなかったのだ! ……なんという事だ。あの斬っても斬っても祓えなかった異界の外道を、私は口にしていたと言うのか……!」 異界の外道って、そんな大げさな。
256 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/05(月) 17:53:32>どろどろしてちくちくとしてあかあか ウニ?
257 名前: ブロードブリッチトラぶるモード 筋肉少女隊 投稿日: 2005/12/05(月) 19:06:08―――かくて、幕間はここに終わる。 無制限の軍勢をもって圧勝する筈だったワカメどもは、 しかし、最後には一つ一つの士となりつつも、ついに山への梯子へ辿り着いた。 あと一手。 この山の階段に足をかけ、駆け上がってしまえば願いは成就する。 “ショミン ショミン ショミン ショミーン――!” 夜の街を疾駆し、柳洞寺を視界に収め、頂上を見上げるカレ等の怨嗟に喜びが混じり始める。 それは勝利を確信した歓喜。 生き残りを果たした安堵。 がどれほど進んでいようと構わない。 到達してさえしてしまえば、カレ等は階段をかけあがり、色付きのワカメを迎えるのだ。 “――――、――――、――――、――――?” ……しかし。 あらゆる障害を突破した何千匹目かのソレは、かすかな違和感に首をかしげる。 もはやカレ等は到達した。 柳洞寺はその時点で真っ白に、カレ等の怨念で白く染まっていなくてはならない。 されど柳洞寺はいまだ暗黒。 白い光点は地上を這ったまま、柳洞寺の周りに点在しているのみである。 “――――、――――、――――、――――?” 疾駆するワカメ達が足を止める。 柳洞寺は静かな、音一つ上げぬ視えない結界に包まれ、正面からの侵入しか許さず。 駆け集ったカレ等は、その威風の前に立ち尽くすのみ。 刮目し覚悟せよ幾多の残骸。 汝らが目にするは黒鉄の巨人。。 白と紫の装束に身を包んだ、汚れなきロリッ娘の具現。 ────ここに。 終わりにして絶対不落の、真なる守り手が存在する。 柳洞寺を包み込む不可視の守りこそ、彼女の聖杯の証であるアインツベルンの魔術。 辿り着いたワカメたちはざわざわと色めき立つ。 カレ等に残された手段はただの一つ。否、初めからそれ以外の方法など、カレ等にはありはしないのだ。 ワカメが群となって、目の前の障害ににじり寄る。 本能が敗戦しか感じ取ってないとしても、侵略のみがカレ等の証 「────あなた達が何者であろうと、どうでもいいわ」 巨人は動かず。 士郎ストラップのついた剣の輝きには僅かたりとも濁りはない。 彼女は天を見上げず、ただ目前のワカメを見据えるのみ。 「立ち去れとは言わないわ。 ここはもう一人の私の望みにして、タイガの信念を叶える場所。 その怨嗟が、この希望を望まないというのなら、互いの立場は明確ね」 紡ぎだす声は厳しく。巨人の貌は穏やかだった。 そこにどれだけの想いが込められているかなど、余人には知る由はない。 ────巨人が、彼女たちに何も告げなかったように。 彼女もまた、その在り方を、胸の内で認めたように。 「……ここは花札道中記を勝ち抜いた者のみが至る梯子よ。 私も敗者だし、あなた達には踏み入る資格すらないわ。 それが傲慢だと呪おうというのなら────」 ………迷いはない。 幕を下ろすのは彼女だけでない。 この夜戦うもの全ては。 自ら望んだ未来のために、この幻想を打ち棄てて──── 「いざ、死力を尽くして来るがいいわ。 イリヤスフィールの名にかけて、狂いなさいバーサーカー―――!」 鉛の巨人が色の無い海草を撃ち消していく。 地上にも煌めく星がある事を、宙を行く虎ブルマが知りえたかどうか定かではではない。 幕間はこれにて閉幕。 街はいまだ色のなく胎動しているが、何よりも強い陽射が、いずれ闇を払うだろう。 地上で戦う者たちの中で、ソラを見上げる者は絶えた。 各々の意思、各々の再会、各々の別離がこの夜の内に終わるのだ ……そして。 とうに役目を終えた心が、境界にあって緩慢に、終わろうとする道中記を見届ける。 もう、口にする感慨もない。 外を目指して輝く逆しまの箒星。 頼りなく寄る辺なく、それでも、なんとか終着まで届いた蜘蛛の糸を見送ろう――― 夜明けは近い。 道はああして、今も確かに続いている。
258 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/05(月) 19:18:33GJ!!!!!!!! つうかこれ普通に熱いな。 花札改変でここまで熱くなれるとは思わなかった。 残るは傍観者ランサーと、メイン二人、それにダメット代行の4人か。 頑張ってくれ!
259 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/05(月) 19:59:33だめセイバー読んでて気づいた。 藤ねえでさえ働いている。家に金入れないけど。
260 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/05(月) 20:15:43気付くのが二年ほど遅いぞ
261 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/05(月) 20:25:59>>258 残りから考えて見送るランサー役はキャス子一家かと思ったが、>>257 の最後の方で明記されずに流されてないか?
262 名前: ブロードブリッチトラぶるモード 教師と夢見る若奥様(+1) 投稿日: 2005/12/05(月) 20:42:53はーい、みんな元気かなー? 人間誰しも勝ち目がないのはイヤよね? だからちょーっと日和っただけなのに、何の因果かコンティニュー地獄の虜。 気がつけばキャスター組を忘れていた貴方を慰めるQ&A、キャスター道場の時間よ! えー、ただいま、柳洞寺石階段前ではイリヤスフィールとバーサーカーさんが戦っております。 メストラとブルマは車田ごっこしてるし、アサシンは門でお地蔵さんだし、もうこの寺の風紀はどうなっているのか! 昨今の魔術師はルールがなっていなくて、若奥様悲しいわ。 さて、クライマックスを直前にしてデッドしまくってるキミ! 君子危うきに近寄らずはいい言葉だけど、世の中避けてばかりじゃゴールには辿り着けないわ。 コンティニューして、自爆覚悟で修羅モードに挑むべし! 物語はほんっとーにクライマックス直前。 長かった夜ももうじき明けようとしています。 ブルマの願いは果たされるのか? メストラが隠し持つ心の野心とはなんなのか? そしてキリなく増えるワカメを倒す手段とは……!? 次回最終話『ブロードブリッジトラぶるモード トラぶる血夜呼零怒』 ここまできたらノンブレーキでエンディングまで駆け抜けちゃってほしいわねー
263 名前: ブロードブリッチトラぶるモード トラぶる血夜呼零怒 投稿日: 2005/12/06(火) 00:07:16「ショック! 二週間かけて考えた花札ネタが、たった4日で全滅か!」 ざぁ、と足下から文字ズレしていくAA。 古来より、怪異にはこれを撃退する決まり事(システム)が存在する。 エア使ってこいこいする英雄王よろしく、無敵かつ無尽に見えたこのワカメも、 コンティニューの終了と挑戦の選択を間違えることで崩壊するのだ……! 「おーのーれー。だが忘れるなダメ教師、僕は何度でも蘇る! 花札道中記がある限り、この世にネタがある限りタイトル画面から白ブリーフで現れる! ……おお、なんという人の業……! 罪深きもの、汝の名は冬木の虎なりぃぃぃい…………」 『教師と若奥様組は考えつかなかった!』 「まあ、なんつーか……やっぱりセイバーちゃんみたくNEETのたぐいだったか」 とりあえず、これに懲りてしばらくは姿を現さないだろう。 虎じまの星も手に入れたし、テキトーに供養してから道場に帰るとしよう。
264 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/06(火) 00:36:20つーか、ホロウでは慎二さえ働いている。家に金入れないけど。
265 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/06(火) 00:38:17つまり俺は慎二未満のいらない子
266 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/06(火) 00:38:17間桐家は超絶金持ちだし、現在進行形で資産運用中じゃん。 幾ばくかの遺産しかない、バイト学生と同じにしてはダメだ。アレは坊ちゃんだ。 セイバー。働けよ。
267 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/06(火) 00:55:05ブロブリ道中記乙! 綺麗に纏まってるんじゃないか。
268 名前: お風呂の勇者>ヘブンズフィールラストシーン 投稿日: 2005/12/06(火) 04:21:10 「あ……先輩、動かなくなっちゃった」
269 名前: 教会の人々 投稿日: 2005/12/06(火) 19:07:04○月○日 晴レ ☆ 今日の出来事。 ランサーが一時間前から食卓で皿を鳴らしている。 今度から、食事の時間は事前に伝えておこう。 ○月○日 晴レ ☆ 今日の出来事。 ランサーが鯖を生のまま食べている。 今度から、ガスか包丁の使い方をメモにして渡しておこう。 ○月○日 晴レ ☆ 今日の出来事。 ランサーが際限なくお替りをする。 今度からうちの家計事情を伝えておこう。 ノートにはちょっとした覚え書きが続いている。 「何よ。しごくまっとうな日記じゃないの」 「そうか?」 「そうよ、実にあの人らしい。言峰神父、この日記の通りに注意してくれたんでしょう?」 「あーそういえば、色々小言を言われたような気もするが。今日は九時に夕食ができるからとか、 青魚は調理しなきゃ駄目だとか、居候、三杯目にはそっと出しとか。 ははは、うるせぇから忘れてたぜ」 「あなたね、それじゃあの人が拗ねるのも当たり前よ。それでも健気に家事をやってるんだから、 言峰神父に悪いところなんて無いじゃないの。ランサーがヘンに怖がるからこっちもつられたけど、 言峰神父はいつも通りよ。約束通り、これからはランサーも家のコト手伝うこと」 「はあ、極めて遺憾だが約束だからな。いいだろう、あれが俺の気のせいだってんなら 手伝うことを前向きに検討する」 なんだかんだで交換条件を受け入れたと見えるランサー。教会の秘密の地下室に忍び込み、あまつさえあの人の日記を見るという 暴挙を犯したけれど、結果がこれなら……って、あら? 「何だよカレン、亡霊でも見たような顔して。脅かしっこはナシだぜ」 「―――」 無言で項をめくる。ノートにはまだ続きがあったみたい。
270 名前: 教会の人々 投稿日: 2005/12/06(火) 19:08:35○月○日 晴レ ☆ ランサーがどうしてうちのマスターはこう性根がひん曲がってんのかね。 こんなことになるまでもなくバゼットのほうが役に立つ、と愚痴をこぼす。 ―――戦果が上がらなくて、ランサーには申し訳ないと思う。 ○月○日 晴レ ☆ ギルガメッシュがまるで浪費癖を改めない。ちょっと理由が分からない。 聞いてもザッシュザッシュと繰り返すだけだ。どうすればいいんだろう。 ○月○日 晴レ ☆ ランサーが夜中にゲイボルグを撃ちまくる。敵襲かと思ったらストレス解消に連射しているだけだった。 それでもちゃんと駆けつけると、やっぱりバゼットのほうが頼れる、と繰り返す。 どうすればいいのだろう。 ○月○日 晴レ ☆☆ ギルガメッシュが倉から出ようとしない。ちょっと理由が分からない。 聞いてもザッシュザッシュザッシュと繰り返すだけだ。本当にどうすればいいのだろう。 ○月○日 晴レ ☆☆ ギルガメッシュがまるで働こうとしない。 今まで理由を考えていたけど、もしかして理由なんて無いのかも知れない。 ○月○日 晴レ ☆☆☆ ギルガメッシュが「この程度の貯蓄、食い潰せなくて何が英雄王か」とか目を輝かせている。 本当に何を言っているのか。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆ ランサーが私に飯を作らせては、まずいと言って泣かせている。 赤枝の騎士って奴らはどうかしていると思う。私もいい加減考えを改めようと思う。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆☆ 今日の金ピカ。 食事中に舌打ちする。どうかと思う。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆☆ 今日の狗。 勝手に私の預金を定期に変更する。止めて欲しい。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆☆☆ 今日の金ピカ。 一日中倉に閉じこもっている。次は無いと思う。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆☆☆☆ 今日の金ピカ。 せっかく紹介したバイト先をボイコット。許せない。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆☆☆☆☆ 今日の狗。 私の名義で募金する。許せない。 ○月○日 晴レ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 今日の金ピカ。相変わらず働かない。許せない。 今日の金ピカ(許さない)今日の狗(許さない)今日の金ピカ(許さない)今日の狗(許さない) 償え償え『死んで』償え!!!!!!!
271 名前: 大追跡 キャス子→バゼット 士郎→アンリ 投稿日: 2005/12/06(火) 20:45:35「なあバゼット? ちょっとオレ、まだこの追跡行の要点が飲み込めてないんだけど……」 「――――――」 反応なし。 「おいバゼット」 「――――――」 更に反応なし。 「ねえ、ダメットったら」 …………ッッ!! 肘が!左腕の!鳩尾に!オレの! 「……ッ……マ、マスター?(裏声) スーツ姿の凛々しい、マイ、マスター?」 「おや、なにかいいましたか?アンリ」 「ええとさ…… オレたち、なんでこんなストーキングプレイに夢中になってるのか、もう一回教えてほしいんだけど」 「 こ ん な こ と ?」 襟首をひっつかまれ、広場のオブジェの影に引きずり込まれる。見据える瞳が、青白い炎をともす。 「物覚えの悪いサーヴァントですね。一目瞭然でしょう。 あの姦婦を見張っているのです。ランサーの身に、いかなる不幸や間違いも降りかからないように!」 だからそれが一番わからないんだっての。 「いや、でも、だよ?あそこにいるのは、カレン・オルティシアだけど?」 「ええ。だからこそ、保護者であるあなたにこうして監視してもらっているのですが?」 保護者とか監視とか。カレンは18歳以下か。 まあ設定から年齢考えると否定できないけど。 問題は別のところにあって――― 「となりにいるの、クー・フー・リンだろ?」 「いかにも、クランの猛犬です」 「…その、降りかかる『不幸や間違い』って?」 「たわいない。むろん男女が共にいれば起こりうる、至極もっともな状況を指して言いましたが。 アンリには心当たりがあるでしょう?」 「つまりそれって―――」 「ハッ、ランサーが建物の奥へ!さあ、歩いて!」 「痛てててっ」 「待て、落ち着けバゼット。 いいか?オレが知る限り、この冬木市で、いや、もしかすると笛糸製品全部で、『いい女』やら 『濡れ場』やらといった単語から縁遠い英霊はどなたですかって言ったらそりゃもう、あちらに おられるクー・フー・リン氏だから」 「―――っクしョイッ!くぁ〜」 「ランサーに比べたらさ、まだ衛宮士郎の未来の姿のほうが現実味があるというか」 「―――ックシ!18匹目フィィィイッシュッ!!」 「ぬ、贋作者め!ええい我はともかく我のロッドを侮るなよ!さあ電撃ガマ○ツよファイトだ!」 「あれ……?おかしいな、どっちもどっち? いいや、ともかくそのくらい非現実的(ヴァーチャル)だってことだ!」 ―――と、むやみに力説してみたものの、バゼットの瞳にはまったく理解の色がない。 「あのランサーを人畜無害と言い張るつもりですか? ですが現にっ、こうして二人の逢瀬を見せ付けられている以上はっ、これっぽっちも安心できません!」
272 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/06(火) 21:06:38ちょwまだ釣りしてんのかよ贋作者と王www
273 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/06(火) 22:43:39>>271 名前が微妙に間違いまくっているのは仕様ですか?
274 名前: 271 投稿日: 2005/12/06(火) 23:06:05仕様。割と適当に書いたしどこが間違ってるかも自分ではよくわからん。 次に投下するのでもうやめることにする
275 名前: プロローグ怪談 A氏→T氏 投稿日: 2005/12/06(火) 23:07:41 翌日、アーチャーが時間稼ぎによって亡くなった事を、T氏は知った。 令呪が消えていく感覚は初めてのものだった。 昨日の深夜、×××(アーチャー)は×××××(バーサーカー)を死闘の末刃物で6回殺害。 敵マスターである○○○には一度も斬りつけないまま、消息を絶ったという。 昨夜のことを尋ねるイリヤに、T氏はひきょうと思いながらも「眠っていたからわからない」と答えた。 イリヤは礼儀正しく去っていく。その背中に、T氏は一つだけ質問をした。 「あの、アーチャーはどうなったの?」 イリヤはわずかに眉をよせて、 『あなたの令呪も消えてるし、死んだことに間違いないはずなの。戦闘時の傷も致命傷だと思うし』 ただ、と。 居心地が悪そうに、白い少女は呟いた。 『魂がないのよ。何処にも。 聖杯である私の中にも、逃げ出した後の森の結界にも』 話は簡単だった。 アーチャー(赤マント)はバーサーカーに斧剣で斬りつけられた後、森に逃げ出したらしい。 だが、森から英霊が移動した形跡はない。 血痕は廃墟の前で途絶えていたという。 『なぜ廃墟の中に入らなかったのかしらね。 いえ、そもそもどうして廃墟内にいた貴方たちに助けを求めなかったのかしら。 いくら衰弱していたからって、助けを呼ぶくらいはできたでしょうに』 T氏には、廃墟では三人とも取り込み中だったからだ、とは言えなかった。 イリヤが去り、玄関に一人残されたT氏は想像する。 午前二時。狂化したバーサーカーから逃れて森にでたものの出口はなく、 崩れかけた肉体で這いずって、必死に廃墟にたどり着いた弓兵の姿を。 結局。 弓兵の魂は最後まで救われなかった。 それから数日。 深夜、ある時間になると決まって妙な音が聞こえる事に、T氏は気づいた。 物音自体はとても小さい。意識しなければ聞こえないほどのボリュームだ。 それが何であるか、T氏はしばらく考えもしなかった。 風が窓を揺らしているのだろうと納得することにした。
276 名前: プロローグ怪談 A氏→T氏 投稿日: 2005/12/06(火) 23:08:43 音は毎晩やってくる。 ――― 、 ――― 消え入りそうなほど小さいクセに神経に障る音。 それが窓からではなく玄関から響く声だと気づいて、T氏は、玄関に足を運んだ。 どなたですか、とインターフォンに呼びかける。 (―――――の―、―――――の―) 返事はない。 けれど。 (―――う―――、―き―――――) あれだけ小さかった声は、T氏が玄関に着いた途端―――《―――う―の―、ひき――――め》 鼓膜が破れそうだった。エントランスには誰もいない。声は止まらない。 T氏は覗き窓に眼球を近づける。誰もいないのではない。この角度では見えないだけだ。 声は止まらない。何を言っているか理解できない。 覗き窓のすぐ下。視界の底になにか、 赤い、布をかぶった何かが、地べたを這いずって――― 彼女は玄関を押し開けた。 そこには何も、誰もいなかった。 耳障りな、頭蓋に反響する声も聞こえない。 当然だ。こんなバカげた話がある筈がない。初めから、声も赤い布もなかったのだ。 あ、あはは、は。 笑いと安堵が混ぜこぜになる。 冷え切っていた体が急速に温度を取り戻していく。 ただの幻聴だ。 どうやら思いの外、自分はあの事件を気にかけていたらしい。 気づかないうちに罪の意識でも感じて、身勝手な被害妄想を生んでいたのだ。 それももうない。 この扉を開けた時点で、全ては終わったのだから。 ふう。 額の汗をぬぐって玄関を閉める。 鍵を閉めて顔をあげる。 瞳孔が拡大する。 廊下の真ん中になにか 赤い外套を被った、 見覚えのある死体が、 それはなにかを伝えたいようだった。 理由もなく、聞いたら死ぬ、とT氏は確信した。 闇に沈んだ唇が開く。 ナイフでくり抜かれたスイカみたい。 弓兵は血まみれの声で、 《────戦うのなら14へ、引き返すのなら14へ進め》 「──────、な」 弓兵が心に直接語りかけてくる。 あまりにも古い言語の為、何を言っているかはまったく分からなかったのだが。
277 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/06(火) 23:18:32オチで爆笑 何故そうなる
278 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/06(火) 23:25:46いいね。「14へ」ネタには少し飽きてきてたけど、上手く処理すればまだまだ活きるな。
279 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/06(火) 23:27:51むしろオチが弱いような。 途中までは上手いと感心させられたんだが。
280 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/06(火) 23:40:11アーチャーせつない アーチャーせつないよ
281 名前: 常世の塔 士郎→遠坂 弓→アナザー遠坂 投稿日: 2005/12/06(火) 23:57:54 ああいう、関わった女性の大半に無意識にフラグを立ててしまう恋人に危機感を覚えないのは人間として間違ってると思う。 「どうなのよそのヘン。他人事じゃないんで、そこだけはハッキリさせてほしいんだけど」 『必要に応じた場合のみよ。どれほど年月が経とうと根本的な独占欲は変わらないっての。原因はあの節操なしよ。 ……まあ、アレだわ。正義の味方的に、割と手軽にコネクションを築けるのは長所だと思っておきなさい』 「む」 お互いなんとも言えない感じで黙り込む。 思っておきなさい、というあたりに共感(シンパシ)ってしまうわたしたちであった。 「よし、今の話はなかった事にしましょう。珍しくお互いの為になるわ」 『賢明ね。……忠告しておくけど、倫敦に行く事になったら彼と一緒のときにルヴィアと出くわすのは避けること。橋より塔が鬼門よ。特に、街の名前を冠してる塔は命にかかわるわ』 「貴重な忠告ありがたいわね。……で、その運命って変えられるの?」 『さてね。努力次第で先送りぐらいは出来そうだけど。自己の運命というものは、自分の努力だけでは変えられないそうよ』 決定的な変革には人様の手を借りるしかないという事らしい。 ……問題は、その鬼門とかいう塔において、遠坂凛の行動に関われそうな人様こそが、遠坂凛をたたき落とす発端となる節操なし予備軍という事なのだった。 「それ忠告になってないわ。死刑宣告しないでよ」 『あら、心構えはできるでしょう。夏の倫敦の風は厳しいわよ? スカイダイビングは達者になっておくことね』 実に愉快そうに笑ってくれる。おのれ、もう他人事だと思って。
282 名前: 怪談『〜が怖い』改変 投稿日: 2005/12/07(水) 00:02:19 『中華が怖い』と、彼女は言った。 深山町マウント商店街、四川料理の泰山。 それが彼の贔屓の店だった。 彼女の名は――そう、仮にM氏としよう。 M氏は外見はともかく内面は十三歳の乙女で、儀式が始まるまえに街にやってきた。 生まれて初めての聖杯戦争、生まれて初めての英霊召還、生まれて訪れた知らない街。 武闘派な性格をしたM氏は理想像から考えると微妙な本性の英霊に戸惑いながらも、 冬木の街に少しずつ順応していった。 頭だけ書いてみた。続きを書こうかともおもったが、これはこれですでにオチがついているような 気もする(w 続きをやりたい人がいたら好きにいじってちょ。
283 名前: ブロードブリッジトラぶる あとがき 投稿日: 2005/12/07(水) 20:41:28と、いうわけで終了。この結果に後悔はない 個人的には食いしん王組に力を入れた ただ、メイド組を入れた時点でキャスター組があぶれるということに、もっと早くに気がつけばよかった だからキャス子の花札は、誰か、カタチにしてやってくれ
284 名前: 慎ちゃんと港 慎二→受付 投稿日: 2005/12/07(水) 22:25:52「あ、オクタヴィアさん」 十時過ぎの、もう人気のない受付にぽつんとオクタヴィアさんが座っている。 「仕事をしている……ってワケじゃなさそうだな」 オクタヴィアさんは肩を落としながら、ぼんやりと給料明細を眺めていた。 「あのー、オクタヴィアさん」 「…………………………………」 「なにやってるんですか?誰か待ってるとか?」 「……うるさいです、ほっといてください。 どーせ、私は巻き込まれキャラですの。どこに行っても 騒動だし、行かなくてもお給料が減りますし、気分転換に旅行すれば アオザキのケンカに巻き込まれるんですのー!」 「どう思いますミスタ・エミヤ、今月の騒動○×回に対して減給30%なんです。 すごいと思いませんか、ただの受付ですのに給料が減るって正直いやがらせ?じゃないでしょうか というか、私よりお給料安い人など存在しないです」 そのまま机の上に突っ伏してしまうオクタヴィアさん。 ……本気でテンパっているのか、そのままだんごむしのように丸まってしまった。 ダンボールがあったら頭から被りかねない勢いだ。 その姿に自分を重ねてしまい不覚にも涙が止まりません。 「な。バカ言わないでください、負けないでくださいオクタヴィアさん、立ち上がるんですよオクタヴィアさん! そーゆ不遇な扱いに段々慣れていく、まわりの空気にこれっぽっちも関係ないところで不幸になるのが オクタヴィアさんのキャラだった筈……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりする。 「……いやです、疲れたんです、もともと私はこんなキャラです。 シロウクンに名前で呼んでもらえない運命なんです」 ますます閉じこもるオクタヴィアさん。 あー、こんな人通りのある場所で引きこもるあたり、 オクタヴィアさんもやっぱり魔術師なんだなと思う。
285 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/07(水) 23:09:49>>284 正直、萌えた。 その他キャラスレを見た後だから特に。
286 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 00:01:11>>284 を見て気付いた オタクヴィアじゃなかったんだ
287 名前: アンリ→腕① 投稿日: 2005/12/08(木) 15:17:30 決して幻ではない。 だが幻でなくてはおかしい。符合しない。あまりにも有り得ない。 そう、バゼットの左腕の袖から出ているのは、 「……ようやく晩飯だな。 せっかくのご馳走だ、我慢はなしで行くぜマスター」 ―――黒い、のっぺらぼうのサーヴァントの上半身、だ。 「な―――貴様まで、食事を行うのか……?」 セイバーの驚くべき場所は違う。 袖から出ているサーヴァントはコンパクトなサイズだった。 異状なまでの存在感と、腹話術の人形ぽっさ。 ……見ているだけでなんか和む。 あんな“何か”を左手に寄生させる事も、共に食事する事も、まして寝るときも一緒など、決して、バゼット以外に出来る事ではない。 のっぺらぼうの影、アヴェンジャーがニヤリと笑う。 表情など無いのに、セイバーのご飯を狙っていると感じられた。 「さあ食事だ、あまりこっちのものに手は出すなよマスター。 エビフライとは相性がいいんだ。ソースなんぞかけなくても、十分美味く喰える」 「―――いいでしょう。ですが油分ばかり採らないように。貴方が食べたものの栄養はこっちに来るのですから。ちゃんとサラダも食べなさい」 がたん、とバゼットの背後から音がした。 鉛色の球体が転がっている。 どう見ても食器にとれないソレは、バゼットの背後、斜め後方に浮遊し、停止した。 魔術協会で行われているテーブルマナーと見るべきなのだろうか。 水晶は鈍く光りながら、バゼットを守るように浮遊している。 「食事を開始します。箸を取りなさいセイバー。ぼんやりしていると私のサーヴァントが、貴方の分まで食べる」 アヴェンジャーは右手にフォーク、左手にスプーンを構える。そして箸でシュウマイを突き刺すバゼット。 「―――え」 ちょっとまて。 アヴェンジャーのキャラはそんなのではない筈だろ――― 「―――待った。アヴェンジャー、おまえは、」 「は。ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははあはあはあ、ははははははははははははいただきます!」 俺の制止を無視するように、いや、無視するために、大仰に雄叫びをあげるアヴェンジャー。 ヤツはネコアルク先割れスプーンを逆手に構え、料理の海へとダイブする。 「っ……!負けるわけには、シロウは下がって……!」 影の食事に応えるセイバー。ていうか下がったら俺が食えないじゃないか。 止める間もなく、二人のサーヴァントは食事を開始した。 セイバーとアヴェンジャー。 この居間の食事風景は団欒というより、人?と獣の格闘を思わせた。 人?はセイバー。獣はアヴェンジャーである。 ここの食事はただ料理を口に運ぶだけにとどまらず、手に持った食器を使った攻防にまで発展していた。 アヴェンジャーの持つフォークは食器というより武器に近い。 それに先割れスプーン。大小の違いがある食器を二つ、左右それぞれに構えてセイバーのご飯を掠め取ろうとする。 「ヒャ、ハーーー!」
288 名前: アンリ→腕② 投稿日: 2005/12/08(木) 15:18:41 デタラメな、マナーなんて考えない栄養摂取。 箸を構えたセイバーの手数が一なら、アヴェンジャーの手数は三か四。食欲で敵わぬ獣は、その持ち前の敏捷さでセイバーのご飯を狙いにかかる。 それは、一種の悪夢だった。 アヴェンジャーの食べた量は決して少なくない。 目まぐるしく標的が吸い込まれていく影、間断なく奔る二つの銀光。 熱に浮かされたかのような健啖精神。 今でも十分すぎるほど食ってる。 だが次の一品。更に次の一品と、アヴェンジャーは速度を上げていく。 「ハッ、ハッ、ハッ、ハ―――!」 怒りに震える他の住人。カレンしか手をつけてないマーボー。いいかげんにしろー!と、悲鳴をあげる俺。 それら一切を無視し、アヴェンジャーは料理の咀嚼に没頭する。 美味い。今のが無くなればより美味いものを。 多く。今のが少ないのならより多くのものを。 己の体に限界はない、いや、バゼットの体の限界など知らない、と。 それは、 後の報復を厭わない狂躁、脳を冒された獣そのものだ。 「―――――ええと」 こめかみを押さえる。 ……コレは何かの冗談なのか。 ワカメのように膨れ上がる食欲が、ヤツの姿を曖昧に変えていく。 膨れ、なお加速していく食欲が、残像となってアヴェンジャーの体を目視できない。 「ハッ、ハッ、ガ、ハヒ、ヒ、ハッ―――!」 開始時よりも何倍もの速さでセイバーのご飯を狙うアヴェンジャー。 絶え間のないフォークの嵐は、しかし。 その全てを、セイバーの箸に弾かれていた。 通常、人は小型の動物と争いなどしない。 だが今回に限り、その関係は崩れていた。 無論、圧倒的に有利なのは人?であるセイバーだ。 いかにアヴェンジャーが速度を増そうと、それは最期までセイバーに届かない。 そもそも体の大きさが違いすぎる。 アヴェンジャーにとって、セイバーは全て遠き理想郷に見えるだろう。 自滅上等、復讐を覚悟したオーバーイートを以てしても、アヴェンジャーはセイバーに及ばない。 「YA―――HOOOOOOOOOOOO!!!!!」 獣が吠える。 敵わないと、届かないと知りながらも破滅へと突き進む。 セイバーは防御に徹していただけでなく、タコの入ってない料理を見極めてもいた。 ……コイツに全部食べて貰おう。 敵も大食い、苦手なものは彼に押し付けるべし、とアンリの暴走を許していたのだが、それもここまで。 アンリに他のものを渡す必要はないと判断し、セイバーは反撃を開始する。 ……ただ、気になるのはバゼットだ。 左手を遊ばせて、春巻きを食っている。 いずれバゼットのご飯もアンリの標的になるかもしれないのに、なぜ余裕なのだろうか。 あの―――背後の球体は、なんに使うつもりなのか。 「はっ―――!」 セイバーの箸が閃く。 これ以上の私の栄養を横取りされるのは癪だ、と勝負を決める一閃。 その箸が、奇形のフォークに絡め取られる。 「……箸砕き(フォーク)……!?」 あのフォークは、本来あのように使用する。 アレは食べ物を突き刺す為のものでなく、隣の人の食事を邪魔する為の牙なのだ。 「ハッ、ようやく釣れたなヒャッホーーー!」 と、窓の外で歓声を上げるアーチャー。 右のフォークでセイバーの箸を受け止めたアンリは、残る左のスプーンでセイバーの唐揚げを狙いにいき、 「―――、は?」 跡形もなく、両手の武器を粉砕された。 箸を止めた右のフォークも、 唐揚げを狙った左のスプーンも、 セイバーの一息で分子分解したのだ。
289 名前: アンリ→腕③ 投稿日: 2005/12/08(木) 15:19:45「――――――」 上段から刺し穿つせいばーの箸。 「デ―――デタラメな食欲だなテメェ―――!!」 自分のことを棚にあげながら使用していない他人の箸を取りにいくが間に合わない。 「ガ―――!」 横取りを受け獣が嗤う。 それは今度こそ、今まで手を付けられていなかったバゼットとアンリのご飯を、文句なく略奪し、 茫然自失、完全にトラウマにする悪夢を見せ、 「ぎゃ、があ、ひあ、あ――――――!」 “偽り写し(ヴェルグ)” 「ア―――ギ、ギギ、ヒハハハハハハハハハハ……!!」 “記す万象(アヴェスター)……!” 敵の宝具を、発現させた。 「っ……!?は、ぐううう……!?」 ご飯を奪ったセイバーの腹が鳴る。 ……悪夢だ。 あれだけ食ったセイバーは、まるで腹八分目だとでも言うように腹を押さえている―――!? 「これは、呪い―――いくら食べても、お腹一杯にならない嫌がらせか……!」 崩れかかる体を懸命に堪えるセイバー。 「ハ、さすがはハラペコの英霊、半分当たりだ。 ご明察の通り、今のはメシを奪われた嫌がらせだ。 名を“偽り写し記す万象”。傷を受ければその傷を叩き返す、ある意味最高の宝具でおまえの幸せに水をさしたんだよ」 「アヴェスター……?ゾロアスターの教典を何故食事中に……?」 「………………確かに必要ねぇな。 まあ、いいや。 とにかくセイバー。おまえの魂に写した胃袋の隙間はまっとうな食いもんじゃ満たされねえ。その空腹はな、オレが腹いっぱいにならないかぎり満足できはしねえのさ」 影が嗤う。 「なんて余計なことをー!」という住人の声を無視しながら、まだ食い足りないサーヴァントが卓上から離れていく。 「しかしまあ、もう食うものがない。おかげでオレが腕に戻るまであと数分。 一方、この後のデザートがあればおまえは満腹になる。そのままオレが消えてからデザートにありつければいいんだが―――」 静観していたバゼットが動く。 彼女の右手にアンリがいそいそと革手袋を嵌める。 「―――ぼんやりしてる余裕はねえワケだ。 出し惜しみは止めとけよそこの小僧。うちのマスターは待つことが大の苦手だ。 ……下手な時間稼ぎは、よしたほうがいいよ?」 セイバーの体に力が戻る。 アンリの挑発がきいたのか、それとも冷蔵庫にあるケーキに気付いたのか。 「―――侮るな。この程度の呪い、乗り越えられないで何が英雄かアヴェンジャー」 セイバーの食い気が露わになる。 もはや食べる人は二人、場所は対面。 二人は冷蔵庫に近い俺を睨み、デザートを催促してくる。 「シロウ、早くデザートを―――! 急いでください、敵マスターに動きがある……!」 バゼットの背後に浮かぶ球体が帯電している。 何のつもりかは判らないが、バゼットはあれで食べるつもりらしい。 ―――そんなもの。 慎二で、ノーコンテンニュークリアするのと同じだろうに。 「―――分かったから落ち着けセイバー……いくらなんでもバゼットが全部一人で平らげるわけないだろ」 持ってきたケーキが消えるのは、それこそ瞬間だった。 もはや耐えられない、というのもあるだろうが、彼女の食事は一秒とかからない。 一度手を出せば、その速度と威力はFate中随一である。 こと大食いにおいて、セイバーに勝るものは他の話の人々である。 そんな人が正面に座られては、人間の扱う魔術など何であろうと通用しない―――! 「“いただき―――」 振り上げられるせいばーの箸。 その輝きを前にして、 「“後より来て先に割り込むもの(アンサラー)”」 囁きかけるように、女魔術師は右拳に息吹をかけた。 「―――マンモス―――!」 触れるもの全てを胃袋に送り込む光の箸。 その先制に明らかに遅れるカタチで、 「“斬り抉る戦人の箸(フラガ・ラック)”―――!!」 バゼット・フラガ・マクレミッツの宝具が発動した。
290 名前: アンリ→腕④ 投稿日: 2005/12/08(木) 15:21:06 からん、と木の落ちる音がする。 セイバーは健在。 だが、灰燼と帰す筈の風景も、また健在だった。 「――――――――――――」 セイバーは箸を皿に突き立てた状態のまま、空の皿を睨んでいる。 ……約束された筈の、己が食事を受け取る事なく。 呆然と、白い皿上の虚空を睨み続けていた。 皿には一点の孔。 力の収束した、レーザーが穿った跡。 小石ほどの傷、フィルムに焼き付いたような黒点。 それが、ケーキを食した傷痕だった。 「っ、う―――」 ……バゼットに視線を移す。 今の一撃で革手袋は焼け落ち、女魔術師は一度に大量のクリームを摂取した為か吐き気を催しながら、右手に付いたクリームをチロリと舐める。 球体は一度きりの使い捨てなのか、一撃を放った後、鉛の色を失っていた。 先制したセイバーの箸と、遅れて打ち出された光の剣。 先に手を出したのは間違いなくセイバーだった。 だがフラガラックは箸を上回る速度で射出され、セイバーのケーキを奪っただけでなく、それを平らげて見せた。 ……それがあまりにも不可解すぎる。 どのような魔術理論で行われた奇跡なのか、人智では及びもつくまい。 読み取れる事は一つだけだ。 あの球体はハラペコキャラに匹敵し、誰よりも早く食べ物を入手できる、究極のテーブルマナー――― 傷一つない、いや、心に大きな傷を残したまま、セイバーの体が消えていく。 ……バゼットがご馳走様を言い、腰を上げる。 俺は―――どんな反応してよいのか、動けないでいる。 バゼットは居間から出るつもりだ。 せめて、何か一言でも文句を言おうと肺に空気を貯め、 「え?」 バゼットはこれが当然の出来事だというように、あっさり廊下に出ていった。 「おい――――――」 思わずその背中を追う。 そこに、 あの黒いサーヴァントがバゼット服の袖から上半身だけ伸ばして目の前にいた。 「四十点だな」 肩口から切り裂かれ、返す刃で首を横一文字に切断されたかのようなショック。 どさり、と倒れる音が鼓膜に入る。 地面は近く、連続してぽた、ぽたと涙が流れ落ちていく。 「明日の夜には再びセイバーも復活するだろう。 それまでに料理の腕を鍛えるがいい」 「同感だな、先ほどの料理見たところ塩がききすぎている。焼き加減も気配りが足りない。さらにあの煮物は風味が飛びすぎている。八角を入れるのならタイミングに気を付けろ」 黒いサーヴァントといつの間にか背後に立っていた赤いサーヴァントは、本気でそんな事を口にした。 アーチャーはいつもの事だとして、 アンリはバゼットに腕にされた事の憂さを俺で晴らしているわけじゃないだろうな。 ……ああ、意識が断線する。 みんなは泣く泣くマーボーを食っている。 間違えた食事風景は、こうして。 改善されることなく、次の夜に繰り返されるのだ。
291 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 15:24:35リアルタイムで見たwwww士郎気の毒すぎるwwwwww とりあえずセイバーとアンリとダメットは桜さんに行儀が悪いと叱られてきなさい
292 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 15:34:12・・・美鳥の日々?
293 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 15:44:33バロスwwwwwwアーチャー何やってるんだwwwwwww
294 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 15:59:11度を超えたヴァカ共だ
295 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 17:41:11ばか! 笑いすぎて死ぬかと思ったじゃないか
296 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 18:16:48やべえ、さっき対決見たばっかだよwwwwwwww
297 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 18:30:31なんかバゼットさんが慣れない物を咽喉から下して、 えずきながらも必死に手についた生クリームを舐めとろうとしている…… これはなんてエロゲ?
298 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 18:41:56> あのフォークは、本来あのように使用する。 > アレは食べ物を突き刺す為のものでなく、隣の人の食事を邪魔する為の牙なのだ。 それフォークじゃねぇ。(笑)
299 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 18:42:05これは笑った。なんなんだこの不思議対決は!
300 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 18:57:32>>287-290 さいこー!
301 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 19:05:02>>298 ネコアルク先割れスプーンですからw
302 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 19:52:34>>彼女の右手にアンリがいそいそと革手袋を嵌める。 いいコンビだなコイツラ つーかかわいいよアヴァンジャーかわいいよ
303 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 22:09:11ttp://takotakonet.sakura.ne.jp/ilust/akatakosp/akatakosp-1415.gif これか。 アンリテラモエス
304 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 22:59:31>誰よりも早く食べ物を入手できる、究極のテーブルマナー らんま1/2のグルメデフォアッグラを思い出したW
305 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/08(木) 23:02:46>>304 愚か者め、あれは自分の食べ物をさりげなく他人に食べさせるという、 セイバーたちがもつテーブルマナーとは真逆に位置する究極の一だ。
306 名前: 氷室鐘の考察(致死量) 投稿日: 2005/12/08(木) 23:29:42「それは、どんな?」 「それは・・・・・・その、実に言いづらいのだが。 なあ衛宮。私たちは今まで、こんなに気安く話せていただろうか? そ、それこそ、これではほら、なんだ」 恋人同士みたいじゃないか、と。 いたずらに、これ以上ないって仕草で笑って、こっちの頭をグラグラにしてくれた―――
307 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/09(金) 01:07:39こっちの反応しとけばフラグ立ち切ったのになぁw
308 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/09(金) 01:37:19氷室ルートキタ 彼女が何故陸上で走り高跳びを選んだかがポイントだ
309 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/09(金) 09:51:22あー、あの瞬間フラグ立ったよ!と狂喜乱舞したのに。 エクリプスで氷室のエロスが見れると思って勃起したのに。 俺の素直クールが……
310 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/09(金) 10:12:26さすが士郎だ フラグを折ってもなんともないぜ
311 名前: タイガー道場 アトゴウラ版 投稿日: 2005/12/09(金) 14:35:02 衛宮邸に続く交差点で私たちは落ち合った。 シロウは約束を守ったのだ。 「なんだ、時間よりちょっと早かったな」 まるで大事なモノを削ぎ落としてきたかのような声。その姿は普段着のまま。 でも、シロウのその姿を見るのは半年ぶりだ。 ……ああ、そうか。 あの戦いが終わって、もう半年も過ぎていたのね。 「それで、どう戦うの。相手の戦法は知ってると言ってたけど、対策はあるの?」 私がかつて敗れた敵サーヴァントの切り札、タイガー道場をどう封じ込めるかが勝負所になる。 「いや、タイガー道場は封じられない。あれはよく出来た固有結界だ。真っ正直に戦えばまず負ける。 こと固有結界の中でなら、タイガー道場は最強の一つと言っていい」 シロウは語る。 タイガー道場を破る手段はない。アレは死んだモノを叩きのめし根源に還す、死者埋葬専用の処刑授業だと。 故に、タイガを倒すのならタイガー道場からの接近戦は挑まないこと。 シロウの最期の切り札を使用して、接近戦を挑めば固有結界の効力も半減すると言うのだ。 「それだけなの?」 「それだけだ。俺の固有結界をぶつけ合わせれば、タイガー道場とは打ち消しあう。 ま、向こうは好きに虎竹刀を使えるんで、宝具なしじゃちょっときついんだけどな」 その戦い方でも敗走はない、とシロウの目が告げている。 ……考えてみれば、シロウは魔術師でありながら接近戦に長けている。 戦士としての基本能力でタイガを上回っている以上、堅実に戦えば勝利し得るのだ。 だが。 「藤ねえとは宝具でケリをつける。 すぐに済むから、イリヤは離れて様子を見てろ」 タイガー道場は破れない。 そう断言しておきながら、シロウはあの竹刀に挑むと言った。
312 名前: タイガー道場 アトゴウラ版 投稿日: 2005/12/09(金) 14:37:03 門をくぐり、仮初めの道場へ。 月光は鈍く、見上げると少しだけ目が濁った。 今夜は月が暗いのか、星が近いのか。 手を伸ばせば虚空をかき出せそうな暗天の中、二つの人影が、わたしたちを待ち受けていた。 何度めかの同景。 ブルマを従えた虎は、今まで通りにやってきた獲物を見据え、 「――――――」 幽霊でも見たかのように、シロウを凝視していた。 シロウは虎を意識する事なく、千里眼で敵との間合いを計っている。 距離にして約三メートル。 竹刀をぶつけ合うのに適した間合いまで歩き、赤い聖骸布に手をかけた。 「投影開始(トレース・オン)」 聖骸布を解き放ち投影魔術を発動させる。 虎柄の竹刀を投影したものの、他にこれといった魔術の働きは無い。 シロウはその場所から一歩も動かず、ブン、と一度だけ左手を払う。 ――かかってこい、と。 名乗りもあげず、戦意だけを示している。 「弟子一号――アレは、何よ?」 ブルマに問うタイガ。 「何ってシロウじゃない。一目瞭然じゃないの」 「そんな筈はない。あんな士郎は、今まで見たことなかったわ。 アレは何処の士郎なのイリヤちゃん。 セイバールートでもない。リンルートでもない。 イリヤルートでもキャスタールートでもホロゥルートでもない。 アレは――」 「それこそ一目瞭然でしょ。 ねえ、師しょー。あの聖骸布を見て、まだ何も分からないの?」 ケラケラとブルマが笑う。 この時。 あの虎は戦意を見失っていた。 現れた敵を見て、自分でも分からない理由で、泣き出す一歩手前だった。 ――シロウの、非情な言葉が刺さるまでは。 「おい。今からアンタと戦う訳だけど」 「え――?」 怯えるように虎竹刀を構える。 そこに以前の気迫はない。 「待って――待ってよ、わたし――士郎と戦う理由はない。 士郎だって、わたしと戦う理由は」 「あるだろ。アンタは道場を護る為に此処にいる。 来る者を全て倒すまで戦いは終わらない。 アンタは今、俺を倒す為にここにいる」 ブルマが笑う。 その通りだと笑っている。 「ちが――わた、わたしは士郎とは戦わない……! そうだ、士郎とは戦わない、士郎とは戦わない、士郎とは戦わない……! だって、だって――士郎、わたしのコト――覚えて、る……?」 「忘れたな。アンタみたいな姉を持っていた記憶がない」 一言に付す。 タイガは糸の切れた人形のように膝をつこうとし、 「――じゃあ、士郎はわたしの敵なのね」 糸の助けでなく、自らの力で踏みとどまった。
313 名前: タイガー道場 アトゴウラ版 投稿日: 2005/12/09(金) 14:39:20「そうだ。この竹刀、タイガー道場の道場主なら意味が分かるだろう」 「プロトタイプ虎竹刀。 ……この道場主の証である、虎竹刀の原典。 ――TYPE-MOONの倉庫に封印された、大妖刀だ」 その言葉こそ、シロウの持った竹刀の真価だったのか。 タイガは虎としての貌を取り戻し、シロウは竹刀を両手に握る。 ……大気が凍る。 シロウを持つ宝具が、主の呼び声を今か今かと待っている。 遠く3メートルの彼方には、虎ストラップの竹刀を振り上げるタイガの姿がある。 あの竹刀こそ藤村大河の秘奥、固有結界"タイガー魔方陣"の産物。 その性能を知るシロウにして、破る事能わじと言わしめた究極の固有結界(リアリティ・マーブル)。 だが、そう公言して尚、手を緩める事はなく。 「――――――"体は剣でできている"」 シロウの腕に力が籠もる。 投影ではない。衛宮士郎は自らの体さえ剣と化し、 「――――――"この身は虎でできている"」 固有結界が展開される。 担い手の魔力、人々の尊い幻想で編まれた虎の剣がシロウの頭部に狙いを定め、 「――――――"全投影工程完了―――――是、初期設定虎竹刀"―――!」 一閃と同時に明かされる必殺剣。 先制はシロウの虎柄の竹刀"プロトタイプ虎竹刀"。 「―――甘く見たわね士郎……!」 迎撃するは妖刀"虎竹刀"。 二人の戦いに様子見はない。 両者は最大の一撃を以って、目前の敵を粉砕する……! 虎と剣が衝突する。 一撃は共に必殺。 タイガに剣を防ぐ術はなく、シロウには剣を躱す技はない。 しかし。宝具の正面激突という条件であるならば、タイガが傷を負う事はない。 ほんのわずか。 ほんのわずかの宝具の担い手の差が、片方の一撃を消滅させる。 妖刀虎竹刀。 この竹刀が叩くのは頭にあらず。 それはあらゆる死者を根源に還す、必殺の妖刀である。 真に恐るべくはその特性。 当たった瞬間に死が確定する。 虎竹刀は叩いたモノを『タイトル画面』に叩き返してしまうのだ。 その結果がどうなるか。 どれほどの宝具を持っていても、死者にその力は振るえないように。 死んでいるものに、反撃の機会はない。 虎竹刀とはその事実を誇張する道場剣法。 運命を歪ませる概念の呪いである。 それはあらゆる死者を無に還す必滅の妖刀。 生死を武器にした、相討無効の虎のトリック。 そして。 その必殺は、"虎竹刀"も例外ではなく――― 「――――――」 発動した虎の幻想が迫る。 一度発動した"虎竹刀"を破る手段はない。 タイガにタイガー道場での真っ向勝負を挑んだ時点で負けなのだと、シロウは熟知していた。 "虎竹刀"に負けないモノは存在するが、それは現在の道場には存在できない。 シロウは始めから、この結末を理解した上で戦いに望んだのだ。
314 名前: タイガー道場 アトゴウラ版 投稿日: 2005/12/09(金) 14:41:35 あの時。 一瞬だけ、目の前の少女が揺らいで見えた。 「――言いたくはなかったんだけど。 切羽詰ってるの。時間制限があるとは思ってなかったし」 それが何を指しての事なのか、彼に解る筈もない。 ただ、 「お願いシロウ。このままだとつまんない結果になるの。 ■■■がそういう風になるのは――イヤなの」 その少女の愚痴は、彼にも覚えがあったのだ。 遠い昔の話だ。 『――私は、先輩に殺してもらいたかったんです――』 穏やかな声で、武家屋敷の主は、祈るように微笑んだ。 ―――それは奇しくも、英霊の左腕を貰い受ける昔語。 その女は、もはや人間ではなくなっていた。 魔力に秀で、影の魔術に精通し、人と英霊と亡霊を喰らいすぎた。 少年がただ一人護ろうとした女は、もう、自分で死ぬ事さえできぬ運命だった。 冬木の町はいずれ現世から切り離され、死者の国に成り果てる。 人の身で聖杯に近づきすぎた人間への報酬は、現世でも幽世でもない場所への追放だったのだ。 「まいりましたね。こうなる前に死んでおけばよかった」 花に囲まれた武家屋敷の庭で女は笑った。 彼の好きな穏やかな笑いだった。 まだ少年の域を出ない正義の味方は、最短の道のりで彼女の家に辿り着いた。 それでも―― 「先輩がもう少し早く助けてくれればね。いや、若い頃が懐かしいです」 儚げに女は笑う。 少年は半人前の正義の味方として受け止め。 「悪かった」 自分なりに、生き急いできたつもりだったが、 「どうやら、寄り道がすぎたようだ―――」 ……一人の男として、愛した女に悔いを残した。 虎の竹刀が、衛宮士郎の魂を根源に吹き飛ばしていく。 「っ……………!」 しばし忘れていた激痛に死の感触を思い出す。 剣を吐き出していく五指に力を籠める。 ―――衛宮士郎は、多くの悔いを残している。 思えばツギハギだらけの人生だった。 ナニモノもナニモノの代わりには成り得ないが、 それで救われるモノがいるのなら、果たせなかっただろう彼女への悔いをここで晴らそう。 口端にのぼるは守護の誓約。 衛宮士郎は剣で覆われていく体に顔をしかめ、 「ああ、しかし―――やっぱり、藤ねえには勝てっこないよなぁ」 今更ながら、己が縁に愚痴を言った。 「取った……………!」 そうして、虎は勝利を確信した。 敵の一撃を上回る速度で命中する虎竹刀。 この瞬間、敵は『死者』となり衛宮士郎の死は確定する。 それがこの世の理。 生死という絶対の秩序に護られた、当然の帰結である。 「―――、え?」 だが知るがいい"デッドエンドのアドバイス要員"。 概念は概念によって破られる。 虎の天敵は、このタイガー道場にも例外なく存在するという事を。 「――――――」 破裂した。 虎竹刀の名を持つ一撃は虎竹刀をすり抜け、タイガに着弾した瞬間、 額を綺麗に叩き割り軽快な音を立てた。
315 名前: タイガー道場 アトゴウラ版 投稿日: 2005/12/09(金) 14:42:48「ぁ―――これ、は」 破裂する。 痛みと驚きが、閉じ込めていた記憶をブチ撒ける。 タイガー道場が純粋に死者を埋葬する固有結界ならば、この初期設定虎竹刀こそはその道場の産物の剣の原典。 真名を以って放った瞬間、この虎竹刀も"死者を根源に還す"という概念を持つ。 ならば―――発動後、術者の死を確定させても無駄なこと。 死者を根源に還すという概念を持った虎竹刀は、術者が死亡したところで、 その責務を果たす為に疾駆する。 ……ああ、そうだった。 この敵が誰だったかは、即死寸前の頭では解らないけれど。 これは女と少年の姉弟喧嘩。 この人は世界でただ一人、自分が最後まで見届けなければいけない相手――― 「藤ねえに、別離(わかれ)は言っていなかった」 気がつけば、少年は目前にいた。 少し遠い。せいいっぱい手を伸ばしても、きっとぎりぎり届かない。 「……忘れていた。俺は、藤ねえの所には帰れなかった」 虎竹刀が砕けて霧散する。 ガランと硬いモノが地面に落ちる。 力をなくして、タイガの体が落ち、受け止められた。 自らの道場にが消えていく。 タイガは死に往く瞳で、 「―――、あ」 すぐ目の前に、剣の身体を見つけた。 思い出がある。 思い出があるので、なんとか手を伸ばして抱きしめた。 それで切り傷がいっぱいできて痛くって、冷たく硬い手触りが悲しかった。 「知ってるよ。これ、だって」 剣の体を抱きしめたまま顔を見上げる。 が、目はもう見えなかったので、その顔を見ることはできなかった。 「あ……ねえ、待ってよぅ。 わた、し、しろうのこと、待っていたかっ、た」 何が言いたいのか自分でも分からない。 ただ、顔が見えないのが悲しくて悲しくて、余計に分からなくなった。 タイガの命が消えていく。 女は悲しそうな目で、悲しそうに繰り返す。 「待っ、て。……わたし、待ってた……待ってた……待ってた……まっていたかっ、」 その声も、十秒ほどで停止した。 都合一分。 衛宮士郎の予告は、痛ましいほど正確だった。 「あー、最悪だ」 タイガの死体に抱きしめられ、重い溜息をつくシロウ。 鉄の意志だけで剣だらけの体を支えている。 「――――――」 ……ともあれ、勝敗は決した。 残るはタイガを呼び出したマスター、ブルマのみ。 そのヤツもタイガを失った今、大した力は持っていないだろう。 「見事だったわ。 で、私とやる気力は残ってるの、シロウ?」 「残ってる……と言いたいけど、ほら、なんだ。 これ以上の姉弟喧嘩は無理そうだな」 シロウの体が薄れていく。 ……エミヤシロウとフジムラタイガの戦いは相打ちになる。 お互いに虎竹刀を食らい、シロウだけが生き残る道理はない。 「悪いな。後は任せる。 だいたい、俺の仕事はここまでだろ、イリヤ?」 後は、妹分の仕事だ、と。 シロウは"あー、相変わらず藤ねえだったなぁ"などとぼやきながら、あっさりと退場した。
316 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/09(金) 16:18:31重っ! でも、あのルートだと確かに藤ねえは置いてけぼりだったな。 なんだか妙に良かった。
317 名前: 橙ちゃんとゲヘナ 投稿日: 2005/12/09(金) 22:02:35「ぬ、蒼崎」 開戦前の、まだ人気のないロビーにぽつねんと蒼崎が立っている。 「邪魔を企てている……というワケでもないようだな」 蒼崎は手ぶらで、ぼんやりとロビーを眺めていた。 「蒼崎」 「………………………」 「……うるさいなあ、ほっといてくれ。 どーせね、私は狂言回しなんだ。どこ行っても出番はないし、あったところで説明係だし、 気分転換に弟子をからかっていればヘンな赤いのに絡まれるし!」 「どうなんだアラヤ、ほぼ全ての事件の黒幕であるおまえに対して私は解説役だぞ? すごーい、『知っているのか雷電ー!?』的な役割って正直調整おかしくない? つーかぁ、姉より優れた妹など存在しねー」 そのままロビーの隅っこに移動する蒼崎。 ……本気で打ちひしがれているのか、そのまま大極印のように丸まってしまった。 根源があったら到達しかねない勢いだ。その後ろ向きな勢いに不覚にも滂沱と涙が流れる。 「愚にもつかぬことを言うな蒼崎、立ち上がれ蒼崎! そのような不遇な扱いに全く気づかぬ、まわりの空気を微塵も読もうとしないのがおまえの強さだった筈だ……!」 などと、こちらも勢いで叱咤激励する。 「……やです、疲れました、もともと私ぁ陰湿な性格なんですー。 正しい蒼崎の血を引いてるんですね。お爺さまも父さんも、父さんの弟も、 こーゆー風にはじっこで悩んでるのがお似合いなのさ」 ますます閉じこもる蒼崎。 これほど地獄に近い場所で引きこもるあたり、蒼崎はやはり大人物なのだと思う。 「……いいからさ、さっさと余所に行ってくれない? 私は運命の相手を待ってるんだよ。私が主役になる最後のチャンスなんだよ。 手ぶらのアラヤに用はないんだよ」 しっしっ、と追い払われる。 「……………」 うーむ。とどのつまり、今の私では処置なしと見た。 その内、気が向いたらアルバを寄こそう。
318 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/09(金) 22:19:59俺の中で荒やんのLvが少し上がった
319 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/09(金) 22:47:53>>311-315 >固有結界"タイガー魔方陣" 妙に受けた。やっぱタイガー魔法瓶の駄洒落なんかな。 そのままギャグで行くかと思ったら、えらい重く終わったな。
320 名前: 306 投稿日: 2005/12/09(金) 22:54:40思ったよりも氷室女史が好評なのに感激。 本文中の「衛宮」を「■■」にして、タイトル「衛宮士郎→俺ら」とでもしとくだったか。 〜〜〜〜〜〜以下続編〜〜〜〜〜〜 「――――――、は」 弛緩していた意識が、急に軋んで凝結する。 普段共にいる少女たちには失礼だが、少女の非日常性とかけ離れたコトバに、 驚きを通り越して感動してしまったのだ。 「な、なんだ、いきなり涙など流して。 私は君に告白したんだ。泣きたくなるような話などしていないぞっ」 「あ、いや、ああ、ちがう、悲しくて泣いてる、んじゃなくてだな」 俺も平凡な生活がしたいなぁ、と本気で絶叫したいのだ。 「・・・・・・まあいい、性急な回答を求めた私が愚かだった。 衛宮、君はこの問題に対しどう答えるかを思考しつつ、君の養い口たちの 買い物を続けるといい。 私はこれ以上の冒険は止め、蝉菜マンションに帰るとしよう」 「あ」 引き止めるヒマもない。 氷室は蒔寺もかくや、という勢いで公園の出口へ走っていく。いや、歩いていく。 「それではごきげんよう。 なお、今後有事の際は私は君に付くコトにした。君の問題は私の問題でもあると思うといい」 「げ。回答待ちなのに積極行動宣言かよ。おい、ちょっと待てよ氷室!」 「それが素直クールの醍醐味だろう。さらばだ衛宮」 さささー、歩きながらも走行ばりのスピードで去っていく氷室鐘。 ・・・・・・不覚。 眼前に横たわる食費の問題について、さっそく協力してほしかったのだが。
321 名前: 士郎→琥珀 慎二→翡翠 投稿日: 2005/12/09(金) 23:39:10「あ、翡翠ちゃん 」 十時前の、私たち以外誰もいなくなったお屋敷の廊下にぽつねんと翡翠ちゃんが立っています。 「お掃除してる……ってワケじゃなさそうですね――」 翡翠ちゃんは手ぶらで、ぼんやりと窓を眺めていました。 「おーい、翡翠ちゃーん」 「……………………」 「なにしてるんですかー? お掃除を始めるんですかー」 「……もういいんです、ほうっておいてください。 どうせですね、私は斜陽キャラなんです。人気投票が進むごとに順位は下がりますし、ファンディスクは色物属性がつくし、格ゲーになればヘンな偽者が出ますし!!」 「どうですか姉さん、姉さんが二位に対して私は六位ですよ? 五位落ちなんて正直調整をおかしくないですか!? というか、メイドより優れたツインテールなど存在しません」 そのまま廊下の隅っこに移動する翡翠ちゃん。 ……本気でテンパっているのか、そのまま瞳をぐるぐる回しています。 志貴さんが現れたら「お部屋をお連れいたします」とかいいかねない勢いです。 その洗脳な勢いに不覚にも涙が止まりません。 「な。バカ言っちゃいけません、負けちゃだめ翡翠ちゃん! 立ち上がれ翡翠ちゃん! そーゆー酷い扱いをまったく無表情で真面目にこなす、まわりの空気をひっくり返す洗脳パワーが翡翠ちゃんの強さだった筈です……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりします。 「……嫌です、疲れました、もともと私は引きこもるキャラなんです。正しい巫淨の血を引いているんです。 母さんも、霧絵さんも、こーゆー風に閉じこもって悩んでるのがお似合いなんです」 ますます閉じこもっちゃいます。 まー、こんなに落ち込んでお目々がぐるぐるしてるところだって、翡翠ちゃんはやっぱり可憐だと思うんです。 「……もういいです、さっさとお台所に行ってください。 私は月姫商業版リメイクを待っているんです。 私が浮上できる可能性が出る最後のチャンスなんです。 妹相手にハァハァしてる姉さんには用はありません」 しっしっ、と追い払われちゃいました。 「………………」 うーん。なんだか、今の私では処置なしの気がします。 その内、安全なアッパー系のお薬が出来たらまた来てみましょう。
322 名前: ha中盤→SN(セイバー帰還後) 投稿日: 2005/12/09(金) 23:57:07「世話になった。また明日な、遠坂」 客間を後にする。 遠坂はすぐに返事をせず、密かに息をついてから、 「ねえ。人のいない家って、静かね」 カゲロウのような笑顔で、俺の気持ちを代弁した。
323 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 00:01:30切なっ…!
324 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 00:49:11慎ちゃんと海シリーズも生徒会室で脱がせるシリーズみたいに結構人気だな やはり単純に起承転結がうまくなってるし、文的には短いから 最低限の労力で作れるからだろうか。 見た感じ面白くできるし
325 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 01:36:46>>320 ステキー! でも告白はしてないよな。フツウに。
326 名前: アルクェイド→有彦 投稿日: 2005/12/10(土) 02:04:11「あのな、遠野。あんまし人のこと無視しちゃいけないぞ。無関心は時に人のココロを傷つけるのだ」 「へえ、そりゃあ初耳。じゃあさ、傷つけるなんて言わず、いっそ即死させられる方法ってないか? 教えてくれたらお礼にその場で試してみるから」 「……ひどいな遠野。なんかいつになくキツイんじゃない、今朝は?」 「ブルー入ってるって言ったろ。他のヤツにはともかく、オマエにだけは優しくしてやる余裕がないんだ」 「ふーん。他のヤツには優しくするんだな、遠野は」 「基本的に俺は誰にでも優しいんです。ただ昔から例外が一人いますが」 「あはは、それって俺のことだー」 「……わかんないヤツだな。いまのは皮肉で言ったんだ。誉めたんじゃなくて悪口を言ったんだぞ、俺」 「そんなことないよ。俺は志貴の例外ってことだろ? 俺、そうゆうの嫌いじゃないんだ」 まだ有彦は笑っている。 子供みたいに屈託のない、明るい笑顔。 「…………」 なんか、これ以上見ているとこっちの毒気が抜かれてしまいそうだ。
327 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 02:11:27ウホッ
328 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 09:36:35俺の脳がhaの蒔寺は歌月の有彦のポジションだったのだと悟りを開いた 寝不足って恐いな
329 名前: キリツグ→ミミック遠坂 投稿日: 2005/12/10(土) 15:54:23月の綺麗な夜だった。 自分は何をするでもなく、恋人である遠坂と箱の中にいる。 箱の中にいるのだというのに、湿度はそう低くはなかった。 宝石箱の中はわずかに肌寒いだけで、身を寄せ合うにはいいぐらいだった。 この頃、遠坂は口数が少なくなっていた。 あまり身動きせず、もじもじ震えていることが多くなった。 ・・・・・・今でも、思い出せば後悔する。 それが死期を悟った動物に似ていたのだと、どうして気がつかなかったのか。 「閉じ込められた頃、私はこの中からどうしても脱出なければならなかった」 ふと。 自分から見たら魔術師そのものの遠坂凛は、懐かしむように、そんな事を呟いた。 「なんだよそれ。ならなかったって、諦めたのかよ」 むっとして言い返す。 遠坂は悲しそうに笑って、遠い外を仰いだ。 「うん、残念ながらね。我慢ができるのは期間限定で、限界が超えるともうどうしようもなくなるの。 そんなことはもっと早く気がつくべきだった」 言われて納得した。 なんでそうなのかは分からなかったが、遠坂の言うことだから 間違いないと思ったのだ。 「そっか。それじゃしょうがないな」 「そうだね。本当に、しょうがないね」 相づちをうつ遠坂。 だから当然、俺の台詞なんて決まっていた。 「うん、しょうがないから俺が脱出してやるよ。 遠坂は女の子だからもう無理だけど、俺なら大丈夫だろ。 まかせろって、お前の場合は」 “――――俺が、おまるぐらい投影してやるから” 「ああ――――このボンヤリ頭」 静かに目蓋を閉じて、遠坂は■■■■■。
330 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 17:03:41>静かに目蓋を閉じて、遠坂は■■■■■。 逃げてー! 士郎逃げてー!
331 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 19:35:34>>329 おまえ、いったいどうしたらキリツグ→ミミック遠坂なんて入れ替え思いつくんだよww 天災だぞ、もはやw
332 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 19:54:41ふと思った。 あの宝箱に冷蔵庫収納して食べ物入れれば、 賞味期限がめちゃくちゃ延長できるな。
333 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 20:19:33そのネタはAltにあったな
334 名前: 天使とダイヤモンド 投稿日: 2005/12/10(土) 21:17:40 いのち 「チャンス!」「先制点もらい!」 仲間の歓声があがる。駆け抜ける足を休ませず、セイバーがうなずく。 ギルガメッシュも、先ほどのセイバーのシュートは目にしていた。 咆吼あげて迫る獅子の姿を前に、生きた心地もしないだろう。 「もう外しません」 前回よりもっと距離を詰めた場所から、シュート姿勢に入った。 自信のあらわれか。それともギルガメッシュに逃げる暇を与えまいという慈悲なのか。 「―――はッ!」 弓のようにひきしぼられた脚が閃(カリバ)る。 銃声のような乾いた音が、グラウンドに響き渡った。頬がびりびり震えている。 「う……わっ」 子供たちが耳を押さえ、その場に立ちすくむ。 ―――音速を超えた? 本気で蹴るって―――本当に本気だったのか。 だ、だよな。セイバーだもんな、ハハ…… もはやこれまで。最悪の事態すら観念しつつ英雄王の様子を確認する。 そこには分子単位にまで分解され、赤いガス状になった……
335 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 21:48:04>>334 で、これを"直"しちゃうSHIROUに続くと。
336 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 21:50:30「あれ、先輩」 雨の、イケナイ草がぼうぼうの倉庫にぽつねんと先輩が立っている。 「薬をやっている……というワケでもなさそうだけど」 先輩はペーパーを片手に、ぼんやりと麻を眺めていた。 「こんにちは、白純理緒先輩」 「……………………」 「なにをしているんですか? 誰か待ち人でも?」 「……うるさいな、ほっといてくれよ。 どーせ、僕は普通じゃないんだから。 どこ行っても出番はないし、あったところで男色物だし、強くなろうとしたら人殺しち ゃうし!」 どう思う黒桐君、荒耶さんが漢を上げまくってるのに対して僕はケダモノ呼ばわりだよ? 有り得ないでしょ、食べるなんてそんなことが僕の大元だなんて? というよりも、ラスボスよりインパクトのある中ボスなんて存在しないってー」 そのまま大麻畑の隅っこに移動する白純先輩。 ……本気でテンパっているのか、そのまま殺人鬼のようにしゃがみこんでしまった。 アッパー系の薬があったら浴びるように使いかねない勢いです。 その後ろ向きな勢いに不覚にも同情が止まりません。 「な。バカ言わないで下さい、負けないで先輩、獅子のように這い上がるんです先輩! 普通じゃないだなんてそんなこと言わないでください。生きているかぎり、どうしよう もないなんてそんな、コトないです……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりする。 「……いやだよ、疲れたよ、もともと僕はダウナーな性格なの。正しいダメな若者のステ レオタイプなの。 相川も湊啓太も葉山英雄も、こーゆー風に蔑まれて忘れられるがお似合いなの」 ますます閉じこもる先輩。まさかもうダウン系の薬をキめているのか。てかその人たち誰? まあ、こんな麻畑で引きこもるあたり、先輩はやっぱり薬中なんだと思う。 「……いいから、さっさと薬呑んでくれない? 仲間が欲しいんだ。 僕が独りぼっちじゃなくなる最後のチャンスなんだから。ただの人間には興味がありません」 さあさあ、と勧められる。 ―――だが断る。 「なんか、面白そうじゃないから」 白純理緒の表情が凍る。 やれやれ。どうやら、怒らせてしまったようだ。 いつか、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたらまた寄ってみようか。
337 名前: 336 投稿日: 2005/12/10(土) 21:53:24慎二→白純 多分わかるだろうけど念のため。 ごめんなさい、入れ忘れました………orz
338 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 21:56:15 ず、と音をたててアルクェイドの顔が沈んでいく。 さっきまではかろうじて見えていたアルクェイドの体のラインも、今では見えなくなっている。 ――――このまま。 ほうっておけば、アルクェイドはあの黒い液体に飲みこまれてしまうっていうのか――― 「こ―――のぉ……!」 自分の体をおおう液体を『視』る。 黒い死の線は、たしかにある。 「くっ―――!」 ずきり、と頭に走る痛みをこらえてナイフを走らせる。 黒い液体は、線を切られてそのままただの水のようなものになってしまった。 「よし………!」 荒い呼吸のまま立ち上がる。 ―――助けないと。 あの怪物からアルクェイドを助けないと。 でも、一体どうやって? 俺にはネロに近づく事さえできない。 アルクェイドだって―――あれだけ凄まじかったっていうのに、ネロを追い詰めることはできなかった。 そうして、くっ、と小さく息を吐き出した時。 「なっ――――!?」 一本の鎖が、俺の腕に巻き付いた。 「っ…………!」 呼吸が止まる。 腕に絡みついた鎖は容赦なく俺を、あの黒い液体へと引きずり寄せる……! 「あ、く……!」 手足に力を入れるも、まるで抵抗できない。 踏ん張った足は地面ごと、ズルズルとあの液体へと近づいていく……! 「もう――――あの裸コート、死徒程度では真祖を取り込めないって判らないの…………!」 「おまえ……!」 液体から這い出たソレは、紛れもなくアイツだった。 だが―――その体は所々が溶解している。 あの黒い液体は、取り込んだものを融かしていくのか……! 「く、この……!」 鎖を引きはがそうとするがビクともしない。 これは死の線すら視えない鎖だ。俺がどうあがいたところで外せる物じゃない……! 「あ、ぐ――――」 引き込まれていく……! このままあの液体に近づけば、俺もアイツと同じように飲み込まれる……! 「くそ、道連れにするつもりか……!」 「バカ、死ぬつもりなんてこれっぽちもないわよ……!! ちょっと踏み留まっててね志貴、私がここから這い出るまででいいから!」 「こいつ……!」 この期におよんでまだそんなあーぱー発言を……! 「ぁ――――く、まず――――」 だが、どうする。 鎖はどうやっても外れない。 このままだとアイツもろとも液体に飲まれる。 もしアイツが這い上がれたとしても、その時はコッチの体がばらばらになってしまう。 どちらにせよ、俺の命はないという事―――― 「っ……、は――――」 目眩がする。 体はもう踏ん張っていられない。 ……死ぬ。 最後の最後で、耐えられなかった。 なら、どうせ耐えられないのなら、力を抜くべきか。 そうすれば少なくとも、アイツと一緒にあの液体に飲まれて―――― 「―――って、舐めるな……! こんなコトでアイツを死なせてたまるか……!」 萎えかけた手足を奮い立たせる。 この体が千切れるのが先か、アイツの鎖が千切れるのが先か、それとも、アイツが這い出てくるのが先か。 どうなったっていい。こうなったら最後の最後まで全力で抗って、派手に散ってやろうじゃないか……! “……ふうん。貴方の勝手ですが、その前に右に避けてください” 「え?」 咄嗟に振り向く。 視線は遠く、背後にある街灯へと向けられる。 ――――すれ違うように、何かが通り過ぎた。 「貴女――――――――シ、エル」 ……鎖が外れる。 アイツは、最後に。 意外なものを見たような顔で、鎖を放していた。
339 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 22:15:43アルクェイドー!!
340 名前: 天使とダイヤモンド 投稿日: 2005/12/10(土) 22:20:25ジュース缶を手にした少年たちが、三々五々芝生に足を投げ出し小休止している。 またぐらをかく少年の横にセイバーが正座する。 ―――と、なにやらきょろきょろしている。 ふだんと違って、自分はスカート履きにあらずと気づいたらしい。 念入りに周囲を見渡したかと思いきや、おそるおそる、またぐらかきに挑戦してる。 ……どうだろ、あの満足げな表情。 木陰に頭をひっこめて俺は軽い喪失感をおぼえる。
341 名前: アンサー 投稿日: 2005/12/10(土) 22:39:06 「……間違い、なんかじゃない……!」 頭にあるのはそれだけだ。 遠坂凛がナビ下手でも、それだけが希望なのだ。 この道が正しくあってほしいと。 その感情は、きっと旅行者の誰もが想う願いだ。 だから引き返す事なんてしない。 何故ならこの道は、決して。 ―――寝起きのような崩れた顔。 不安も焦りも、 胸を穿つ全てを振り切って、 PAに立ち止まる事なく走り続けた、その――― 「―――決して、間違うはずないんだから……!」 言葉が、胸に突き刺さる。 地を吐うような速度で走る車と、メータギリギリなガソリン。 その歯車がかみ合わさったことで、あっけなく、車は山の中で停止した。 運転手士郎、ナビ遠坂。 いや、実際の話、士郎だったらナビいらずな気がせんでもないけど
342 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 23:26:13むしろ士郎やアチャはハンドル握ったら性格変わってスピード狂になりそうなイメージがあるだが、なぜだろう。 ライダーは車に関しては安全運転でまったり流すタイプとみた。
343 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 23:29:03士郎は弄るの好きっぽいしな。バイクいじったりしてるkら。 けど、車体に負担をかけない為に、余り無茶な運転はしそうにないかも。
344 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 23:36:41本編の「限界まで(限界を超えて)行けるとこまでつっぱしる」印象が刷り込まれてるんじゃね?>スピード狂のイメージ
345 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 23:40:33>>342 ライダーは交通法規より己の物理法則に従うタイプではあるまいか
346 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/10(土) 23:54:04車はドライブだから違うってことじゃねーの?
347 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 00:23:37>>338 鬼シエルGJ
348 名前: 言峰→ミミック遠坂 投稿日: 2005/12/11(日) 00:24:07 なんか、遠坂が我慢してる。 「――――――――」 言葉がない。 なんで箱の中に遠坂がいるのか。 なんであんな平行世界の魔法で出来た箱の中で我慢しているのか。 それもすごい決意で。 緊張に汗を流し、水などいらぬ、そんな余裕があれば少しでも堰き止めるわ、というブロードブリッジの如き気迫。 というか我を忘れてないか遠坂、我慢する迫力が尋常じゃないぞ。 もしかして紅茶か。 あの遠坂に食後の紅茶を飲ませたあげく、私ハ正シイトオサカノ血ヲヒイテルノといううっかりだというのか。 だとしたらまずい、遠坂もまずいが俺もまずい。 アレ、絶対やばげな量の水分が蓄積されてる。そうでなくちゃ説明できない。 「どうしたのよ、立っていてちゃ話にならないでしょ。座ったらどうなの」 青褪めた顔で遠坂は言う。 「………………」 用心しながら……いや、もう何に用心しているのか自分でもわからないが……ともかく用心しながら遠坂の隣に腰を下ろす。 「――――――――」 じっと遠坂の動きを観察する。 ……ヤバい。遠坂の容量、残るは二十分が臨界だ。 こいつ、ホントに4日目まで我慢しきる気か……と、喉を鳴らした時、不意に遠坂と眼が合った。 「――――――――」 「――――――――」 沈黙が支配する。 俺はいつものムッとした顔をして、 「おまるぐらい投影するぞ?」 「このボンヤリ頭――――!」
349 名前: 言峰→ミミック士郎 投稿日: 2005/12/11(日) 00:45:23そんなに、お前ら尿が好きか。 「――――――――」 じっと士郎の動きを観察する。 ・・・・・・凄い。このバカ、この2時間限界にきてるのに。 こいつ、ホントに箱から出るまで気付かないの・・・・・・と、喉を鳴らした 時、不意に士郎が咳き込んだ。 「――――――――」 「――――――――」 視線が合う。 士郎はいつになく開き直った顔でおまるを投影し、 「出すか――――――――?」 「出すか――――――――!」
350 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 01:14:54 終わりは、あまりにも速やかだった。 「私にはおまえを愛せなかった」 石造りの部屋に訪れ、男はそれだけを告げた。 死病に冒された女は笑って、立ち上がる事もできぬ細い、骨と皮だけの体で、 「―――いいえ。貴方はわたしを愛しています」 そう微笑んで、自らの命を断った。 止めようがなかったし、止めても意味のない事だった。 女は死病に冒されている。いずれ死ぬ身だ。もとよりそういう女を選んだのだ。 血に染まった女は、掠れていく意識で男を見上げて、笑った。 「ほら。貴方、泣いているもの」 無論、泣いてなどいない。 女には、そう見えただけの話だ。 貴方は人を愛せる。生きる価値のある人だと、女は死を以って証明した。 男は無言で部屋を去り、主の教えに決別した。 ―――そう。 確かに悲しいと思った。 だがそれは女の死にではない。 その時、男は思ってしまったのだ。 “なんという事だ。どうせ死ぬのなら、最後に一発やりたかった” 彼が悲しんだものは女の死ではなく、性交を愉しめなかった、という損得だけだった。
351 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 01:19:41ほんまにごっつい親父似だったんやなカレンw
352 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 01:52:50 ……音がした。 古い、たてつけが悪くて蝶番も錆びて無闇に重い、扉が開く音がした。 暗かった土蔵に光が差し込んでくる。 「――――っ」 眠りから目覚めようとする意識が、 「先輩、起きてますか?」 近付いて来る足音と、冬の外気を感じ取った。 士⌒/ヽ___ /郎_/____/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (゚д゚ ) 士⌒/ヽ-、__ノヽノ | /郎_/____/ < < (゚д゚ ) 士⌒ヽ /ヽ-、__ノヽノ | /郎___ノ ̄ ̄/____/ < <  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ( ゚д゚ ) 士⌒ヽ /ヽ-、__ノヽノ | /郎___ノ ̄ ̄/____/ < <
353 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 02:00:30>>352 おまwwwそれwwwwwwwwあそこ見てきただろwwwwwww タイムリーすぎてワロタwwwこっち見んなwww
354 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 02:49:23>>348 堰き止めるからブロードブリッジへの例えに噴いた
355 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 04:36:04>>352 元ネタなんだい?
356 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 07:42:38落書き@ふたばの748615.htmだなたぶん
357 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 08:20:36いや元々は2chのどっかの板だろう
358 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 09:15:53>>352 こっち見んなwww
359 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 11:51:21>>352 これは反則だろw
360 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 11:55:18>>352 こっち見んなってwww
361 名前: ゴルゴンの蔵 投稿日: 2005/12/11(日) 13:40:58 どれ、ちょいと土蔵の様子を見てくるか。 ここのところ整理ばっかりだったし、久しぶりに故障品の修理をするのも悪くない。 「―――!!!!!」 「ひぃいいいいい!!!!?」 「■■―――? ■■■■■■――――!!!!!」 (士郎? 調子が悪いので見て頂きたいと。 どこか緩んでいるのか、手で押さえていてもぐらついて心許ないのです。 これまで愉楽のままに手荒に扱い過ぎたせいなのか、 少し触れただけで張りが弱くなっているようで) な、な、なんだ、今の巨大な棒(かべ)はバーサーカーだったのか……ではなく! 「■■■―――!!!!」 ままま、ますます荒れるバーサーカー様。 「しゅしゅ、修理ってなにを……!? 無理、そんなのの修理なんてぜったい無理、というか俺がやったら駄目すぎる……!」 「■■■■■■――――!!!!!」 「ほら、そういうことはイリヤに……は縁が無いから、セラ……だって関係ないよなっ」 「■■■■■■■■■■■――――!!!!!!!」 「そうだ、桜だ! 桜が詳しくないハズがない! いまこそ桜が一番頼りになる時……! ああ、もう桜しかいない、桜でいこう!」
362 名前: 後日談 バゼット⇒だめセイバー 投稿日: 2005/12/11(日) 15:53:34 「―――実は私、無職なんです」 「……………………はい?」 「分かりませんか。 働き先がないのです。収入がないのです。 勤労意欲は欠片もありませんが、欲しい物は募る一方なのですっ!」 「……………………」 「…………何を今更」 「で……でも、働く気になったっていうのはいい事だと思いますよ」 ……俺、わりと英雄に理想持ってたのかなあ……なんか、すごく悲しい 気持ちになってきたなあ。 「なにそれ。テキトーにアルバイトすればいいじゃない、士郎みたいに」 「出来たのならとうにやってます。 しかし……私は、その……自分がどんな職種に向いているか、 これっぽっちも分からないのです……!」 「……そうだよなあ。働いた事ないもんなあ、セイバー」 「えーと……なんだ、ボディガードとか定番じゃないか? 藤村組でいいなら紹介できるけど」 「却下します。自分の命を危険にさらしてまでお金は要りません。 君子危うきに近寄らず、実に王である私に相応しい言葉です」 …………本気になったセイバーを倒せるヤツなんているのか? 「……駅前のファーストフード店の店員は? あそこならよっぽどの人以外雇ってもらえるわよ?」 「却下です。雑な料理は匂いすら嗅ぎたくありません。 他人に媚びへつらって金銭を得るというのは浅ましい考えです」 …………それが資本主義社会の現実なんだけどね。 「あの、そのキャスターさんが…………」 「却下! サクラ、あんまりふざけた事をぬかすと叩き斬りますよ」 …………キャスターの名前だけでアウトか、すごい嫌われようだな。 「そもそもどういう仕事をしたいのさ?」 「そうですね。最低限、月百万以上の高給で週休は2日以上が条件で、 生前の実務経験が生かせる政治家、主に衆議院議員が希望です」 「……………………」 「……………………」 「……………………」 「おや、ありませんか? 働く気があっても仕事がないのでは仕方ない。 これからもいつも通りの生活を送っても問題ないですね? 働く気はあるので私はNEETなどではないのですから」 三人の目線が合わさる。 皆無言のまま、頷きあう。 「セイバー」 「何ですかシロウ? 今日の夕飯はなるべく早めに…………」 「令呪に命じる、『仕事を見つけるまで帰ってくるな』」
363 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 17:30:20>>350 >>終わりは、あまりにも速やかだった。 すぐ上まで尿ネタのオンパレードだったのに突然こんな文章見たらついにダム決壊ネタキタか!?とか思っちゃうジャマイカ。
364 名前: 鮮赤&美沙夜⇒さつき&シエル 投稿日: 2005/12/11(日) 17:37:16似ている。似ている? 誰と、 誰が? けど、ただそれだけだ。 似ているだけ。わたし達は似ているだけだ。 望む形、ほしい物、そのための努力が、ただ、違う。 「……でも、貴女は利用しているじゃない。何も知らない救済キャラとして、別口として の票を知得留先生として得ている。それを貴女は見て見ぬふりで、好きだなんて口走って いる」 「それも、もうじき終わります。言ったでしょう、さつきさん。私達はギャグ担当を抜け 出したいのです。だから貴女の葛藤も理解出来る。 私なら―――貴女の望みを叶えてあげられる」 だから取り敢えずあのあーぱーをどうにかしましょう、と執行者は黒鍵を引き戻した。 弓塚さつきは、その黒鍵を見つめる。 決して許せない、仇のように。 「逃げれば? いまなら条件付きで見逃してあげるわよ、先輩」 心にもない事を口にする。 けど―――もし。もしそれが本当に出来るというのなら、わたしはシエル先輩を――― 「貴女が、わたしの亡くしたルートを取り戻せるなら」 ―――殺してでも、その順位を奪い取る。
365 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 17:38:43 終わりは、あまりにも速やかだった。 「私には我慢ができなかった」 白鳥を模したおまるに跨り、女はそれだけを告げた。
366 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 17:44:21>>362 ローリングターン! ● ヽ ヽ �堯菑 掘� /\_ ヽ | /\ ノ|> 〃  ̄\ \/ ∠● <\ _/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ジャーマンスープレックス!! 〃 〃〃 |/ ||/\/⌒\ 、○, ● /|_  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ジャンピングパワーボム!!! ||| ||| ● ||| ,'⌒| |⌒ヽ \=/ <ヽ|/> ヾ ○ 〃 <362  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ スコーピオンデスロック!!!! ●、 ≠^|^) /\|/\ ロープ!ロープ! / ヽ_∧○ノシ <362  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ これぞセイバースペシャル!!!!! (良い子の皆さんは絶対に 真似しちゃいけないのである)
367 名前: 藤ねえ→ミミック遠坂 投稿日: 2005/12/11(日) 17:51:08 「あれ?」 不思議そうに首をかしげる遠坂。 「――――――――」 俺は突っ立ったままだ。 ただ違うといったら、さっきまで遠坂が座っていた場所に水たまりが広がっていくという事か。 「あ…………ほんと?」 何がほんとなのかは知らないが、間違いなく真実です。 俺は投影したおまるの蓋を開けてさえいない。 あくまで広がっていく水たまりを前に、遠坂は固まったように動かない。 遠坂だって由緒正しい筋金入りの魔術師である。 その経験が、目の前の事態が次元違いだと悟ってしまったんだろう。 「……構えろというのなら構えるが。そこまでしなければ判らないコトぢゃないだろう」 「ぅ――――うう、はうはう、はう〜〜……」 遠坂はよろよろと後退し、へなへなと膝をついた。 「遠坂。起こったコトをなかったコトにはできない」 「――――う。う、ぐすっ」 がくり、と肩を落としてうなだれる遠坂。 それで大人しくなってくれたな、と思った瞬間。 「うわぁぁぁぁぁあああん! 士郎の前でおもらししちゃったーーーー!」 閉じ込められている俺が目眩を起こすぐらいの大声で、わんわんと泣き出してしまった。
368 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 18:01:56しょんべん女っ!
369 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 18:08:39ななんなんだ、この流れは。 尿 祭 り なのか
370 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 18:13:04>>367 ビギナーズ(はじめてのにょうどおぷれー)に続く!?
371 名前: たぅぁ→ひでぶ 投稿日: 2005/12/11(日) 18:24:43「ありえるわねー、士郎ったら桜ちゃんが優しいのを良いことに毎晩毎晩マッサージさせてるのねー、だからこんなに上手くなってるんだー」 「……ふ、藤ねえ!」 「そんなに赤くなっちゃって、士郎も桜ちゃんに全身隅々マッサージされたいのー?」 むふふふん、なんて笑ってる。 桜に肩揉まれたり、マッサージなんてされたら……ぎゃ、逆に緊張してコリコリになってしまう……! 「桜、な、なぁ?」 「隠さなくてもお姉さんには分かるわー……へぐっ!」 桜が真っ赤になって、一体なにを? 「いたたた、桜ちゃんそこ違う!」 「わ、わたしと先輩はそんなえっちなコトしてません!」 「あっ、さ、桜ちゃんそこ駄目、わたしの経絡秘孔をものすごい勢いで!」 「だから違うんです、先輩の身体を隅々まで揉んだりなんかしてません!」 「あたたたたたたたた、ほあたっ!?」 藤ねえが尋常じゃない悲鳴を上げている。 ―――桜、慌ててどこを突いているんだろう? 「ぐぐぐぐ、桜ちゃんもしやわたしを亡き者にっ!」 「せ、先輩も何か言ってください!」 「俺!?」 ……たいしたもんだなー、などとぼんやり眺めている場合じゃない。 「桜に揉まれたら気持ちいいと思うけど」 「え……あ……」 「ほーら、士郎だってされたがってるー―――タワば!」 調子に乗った藤ねえが、また締められている。 ……恐ろしい。遠坂同様、桜も怪しげな中国拳法をマスターしているのだろーか。 「いたた、たたた、ひでぶー!」 「……桜、それくらいにしてやってくれ……藤ねえ殺しちゃまずい」 「え……あ、すいません。 ちょっと力を入れ過ぎちゃいました」 なんて言ってるけど、解放された藤ねえは動かなくなった。 ……なるほど、桜に肩もみされるときは暴言を吐かないようにしよう。
372 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 18:40:21このスレって普段まったく見ないのに時々AA出てくるよなwwwそれも棒人間wwwwwww
373 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 23:21:46ギルガメッシュスレの761に触発されてやってみた。 シチュ的には、HFでギルが殺られてなくて、ライダーの代わりにギルに協力を取り付けたみたいな感じで。 柳洞寺の裏手、大空洞に続く洞穴の入口近くで俺たちは落ち合った。 ギルガメッシュは約束を守ったのだ。 「遅い。我を待たせるとは何事か」 相変わらずの王様発言だが、その姿は普段着ではない。 この男の武装した姿を見るのは初対面以来だ。 ……ああ、そうか。 ギルガメッシュと共同戦線を張って、結構時間は過ぎていたんだ。 「それで、どう戦うんだ。セイバーの戦法は熟知しているって言ってたけど、対策は立ってるのか?」 いまだ見ぬセイバーの切り札、エクスカリバーをどう封じ込めるかが勝負所になる。 「なに、封じること自体は難しくはない。エクスカリバーに限らず、宝具は発動する前に魔力を籠める必要がある。 故に、その隙さえ与えなければ、勝利するは容易い」 ギルガメッシュは語る。 威力こそ乖離剣に軍配が上がるものの、エクスカリバーの速度はその乖離剣をも上回る。アレは他の宝具の追随を許さぬ、“最速”の宝具だと。 故に、セイバーを倒すのならこちらもエアは使用しない事。 宝具を発動する隙さえ与えなければ、エクスカリバーの事を考慮する必要もないと言うのだ。 「それだけ?」 「それだけだ。エクスカリバーがなければアレの力は半減する。それでも優れた剣士ではある故、楽は出来ぬが」 その戦い方でも負ける事はない、とギルガメッシュの目が告げている。 ……考えてみれば、ギルガメッシュには宝具の原典が収められた“王の財宝”がある。 世界最古の英雄王が集めた無数の財宝。それを惜しげもなく魔弾として使う戦いを行えば、勝利し得るのだ。 だが。 「あの女とは我が信頼する宝具のみで決着をつける。 手出しは許さぬ。貴様は離れて様子を見ていろ」 無数の宝具による魔弾の射手となれば、勝利するのは容易い。 そう断言しておきながら、ギルガメッシュはあの剣に挑むと言った。
374 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 23:22:53 狭い通路を抜けて、大きく開けた空洞へ。 頬を撫でる風は生暖かく、あまりに生々しい生命の温かさに吐き気がする。 光苔(ひかりごけ)の一種か、洞窟はぼんやりとした緑色に照らされている。 視覚化できるほど垂れ流される魔力に満ちた洞窟の中、一つの人影が、俺たちを待ち受けていた。 桜も、臓硯も、アサシンの姿もなく。 ただ一人、黒く変貌したセイバーは、やってきた敵を見据え、 「――――――」 幽霊でも見たかのように、ギルガメッシュを凝視していた。 ギルガメッシュはセイバーを意識する事なく、その双眸で敵との間合いを計っている。 距離にして約十メートル。 剣を打ち合うには少し遠い間合いまで歩き、鍵剣を右手に持った。 「“王の財宝”」 己が宝具の真名を告げる。 蔵は開いたものの、現出している剣の柄は一つだけ。 ギルガメッシュはそのたった一つの柄を掴み、乖離剣を宝物庫から取り出す。 ―――かかってこい、と。 名乗りもあげず、戦意だけを示している。 「アーチャー―――何故、貴方が現界している」 「貴方が現界している筈はない。前回の聖杯戦争は聖杯が破壊されて終了した。 今回の聖杯戦争に呼び出されたとしても、私を除く六騎とは既に見えている。 ランサーも。アーチャーも。ライダーもキャスターもアサシンも。 では貴方は―――」 「吠えるな、セイバー。 今の貴様の囀りは、酷く癇に障る」 「な―――?」 「今の貴様は門番であり、我は貴様を排除する為に此処に来た。 ―――今、これ以上の理由は必要か?」 ギルガメッシュが哂う。 今の貴様は無様だと、セイバーを嘲笑っている。 「……確かに、私には関係のない話だった。関わりがあるのは、貴方が武装したという点のみ。 貴方が何者であろうと、剣を手にした以上、排除するだけだ」 「ああ。それで良い。 正直、今の貴様は、見るに耐えぬからな―――!」 その言葉が、開戦の合図だったのか。 セイバーは音もなく黒い聖剣の柄を握り、ギルガメッシュは乖離剣を右手で構える。
375 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 23:23:51 ……大気がうねる。 ギルガメッシュの持つ宝具が、主の呼び声を今か今かと待っている。 遠く十メートルの彼方には、黒く染まった剣を構えるセイバーの姿がある。 あの聖剣こそ、セイバー、アルトリア・ペンドラゴンの宝具、神造兵装エクスカリバー。 その性能を知るギルガメッシュにして、“最速”と言わしめた究極の斬撃。 だが、そう公言して尚、手を緩める事はなく。 「――――――黄泉路を開く」 英雄王の腕に力が籠もる。 ただの真名解放ではない。英雄王は己が宝剣に最大出力を命じ、 「―――“約束された」 刃は横に。 収束し、回転し、臨界に達する星の光。 黒色の太陽は、そのフレアを両手に携え、 「―――早々に無色の魂に還るが良い、セイバー―――!」 収束する魔力。 軋みをあげる乖離剣“エア”。 「―――甘く見たなアーチャー……!」 対するは黒き聖剣“エクスカリバー”。 英雄王と騎士王との戦いに様子見はない。 両者は最大の一撃を以て、目前の敵を粉砕する……! 互いの魔力が咆をあげる。 一撃は共に必殺。 英雄王は剣を防ぐ盾を展開しておらず、騎士王にも乖離剣を防ぐ盾はない。 しかし。同時発動という条件であるならば、騎士王の聖剣は、例え英雄王の乖離剣相手でも勝利し得る。 “約束された勝利の剣”エクスカリバー。 エクスカリバーの性能上、この宝具より速い攻撃はあり得ない。 所有者の魔力を “光” に変換し、収束・加速させる事により運動量を増大させ、神霊レベルの魔術行使を可能とする聖剣。 “光”を上回る速度の物体は存在せず。 そこから導き出される結果がどうなるか。 どれほどの実力を持っていても、死者にその力は振るえないように。 先に倒された者が、勝利する事はありえない。 エクスカリバーはその事実を誇張する神造兵装。 勝利を約束する最高峰の聖剣である。 そして。 その法則は、最古の英雄王といえども例外ではなく―― 「――――――」 エアを上回る速度でエクスカリバーに魔力が注ぎ込まれる。 乖離剣では聖剣の速度に及ばない。 エアにエクスカリバーを合わせられた時点で負けなのだと、英雄王は熟知していた。 騎士王の剣から先手を取れるモノがあるとしたら、時間を武器にした逆行の魔剣のみ。 率直に言えば、“光速より速いものは存在しない”という秩序を破るモノが、エクスカリバーの天敵と言える。 宝物庫からそのような武具を取り出せば、無傷で勝利し得る。 ギルガメッシュは始めから、その事実を知ったうえでエアを使うと決めたのだ。
376 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 23:24:39 遠い昔の話だ。 『―――私は、おまえに出会えて良かったと思っている―――』 穏やかな声で、神造の英雄は、祈るように微笑んだ。 ―――それは奇しくも、天の牡牛を討伐する昔話。 地上に解放された天の牡牛は、七年間の飢饉と破壊をもたらした。 ギルガメッシュはエンキドゥと協力して、見事天の牡牛を撃退する。 ―――その結末に、エンキドゥの死が待っているとも知らずに。 かの英雄王がただ一人友と慕った男は、神の命に逆らう事のできぬ運命だった。 人の身で神の獣を殺した事自体が罰であり。それを成した両名のどちらかは死ななければならない。 神造の者が神の獣を殺した事に対する罰は、神の命による衰弱死だった。 「まいったな。あの女神の魔性を甘く見ていたか」 病の床にありながら友は笑った。 彼の好きな豪快な笑いだった。 神の獣に、否、そもそもこの半神半人の王に関わらなければ、エンキドゥが死ぬ事もなかっただろう。 それでも――― 「悔いはない。私の生涯の中で、おまえに会えた事こそが、誇りだった」 そう言って、エンキドゥは息を引き取った。 ギルガメッシュは友の最期を看取り。 「冒険の日々も苦難の日々も」 目が覚めているだけで楽しかったあの日々を、 「共に過ごした我が友よ、永遠なれ―――」 ……一人の男として、無二の親友に別れを告げた。 騎士王の聖剣が光を放つ。 「っ…………!」 背筋に走る死神が見える。 萎えかける五指に力を籠める。 ―――英雄王はその生涯で、ただ一つだけ、悔いを残している。 輝かしかった道程。 国は栄え、神々でさえ目を逸らせない存在となり、神獣討伐すらやってのけた。 だがその代償に、一人の友を失った。 思えば寄り道ばかりの人生だった。 何者も何者の代わりには成り得ないが、それで救われる者がいるのなら、果たせなかった若さの悔いをここで晴らそう。 口端にのぼるは決意の冷笑。 英雄王は洞窟を染め上げる二つの極光に顔をしかめ、 「ああ、しかし―――どうしてこう、大切なものばかりこの手からすり抜けていくのか」 今更ながら、己が縁に愚痴を言った。
377 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 23:25:27「取った…………!」 そうして、騎士王は勝利を確信した。 聖剣に満ちていく魔力。 エアではエクスカリバーの速度を上回る事はできない。 彼らが対峙した瞬間から定められていた、当然の帰結である。 「―――、え?」 だが知るがいい堕ちた騎士王。 英雄王が最も信頼する宝具は乖離剣に非ず。 “天の牡牛”を捕縛した鎖。亡き親友の名を冠する対神兵装こそ、ギルガメッシュの切り札である事を。 「―――天の鎖よ!」 突如空中より現れた鎖は、空間そのものを束縛するようにセイバーを封じていた。 鎖はセイバーの両腕を締め上げ、あらぬ方向へとねじ曲げていく。 全身に巻き付いた鎖は際限なく絞られていき、黒い甲冑ごと、セイバーの腕を絞り切ろうとしていた。 「この程度の障害で……!」 勝敗で言うのなら、未だ騎士王に分がある。 神を律する為だけに作られた天の鎖では、神性のないセイバー相手にはその真価を発揮できない。 ほんの一瞬、動きを止められただけで、剣はすぐさま振り下ろされ、目前の敵を殲滅する。 ……だが。 欲したのはその一瞬……! 「天地乖離す―――」 主人の命に従い、三つの刃が音を立てて回転する。 エアが、風を巻き込む事によって暴風を作り出す。 「―――開闢の星」 エクスカリバーが星に鍛えられた聖剣ならば、エアこそはその星の原初の姿を識るもの。 圧縮され鬩ぎ合う風圧の断層は、擬似的な時空断層となって敵対する全てを粉砕する。 目を潰す閃光、耳を覆う暴風を伴って、エアの作り出す破壊の渦が、その責務を果たす為に疾駆する。 「貴様に、別離は言っていなかったな」 エアを振り抜いた体勢のまま、ギルガメッシュは呟く。 「ではな騎士王。―――いや、中々に愉しかったぞ」 暴風が通り過ぎる。 カランと硬いものが地面に落ちる。 括るものをなくして、天の鎖が地面に落ちたのだ。 「終わったぞ、雑種」 鎖を回収し、重い溜息をつくギルガメッシュ。 乖離剣も宝物庫へ戻し、無人となった空洞を見据えている。 「……これで良かったのか、ギルガメッシュ?」 「無論だ。後は好きにやるが良い。 だいたい、我の仕事はここまであろう?」 これも潔い、と言うべきなのか。 ギルガメッシュは“王としての責務は果たした”などと言いながら、あっさりと退場した。
378 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 23:29:22GJ! ギル様燃えすぎ
379 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 23:30:07燃えギルキター! 最高!
380 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 23:31:18>>373-377 ギル格好いいなあ。 こういうネタを見るにつけ、HFでのギル退場はやはり誤りだったと思う。 こんな良いキャラを何故……
381 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 23:33:15ギル様燃え━━━━━━(´ω`)━━━━━━!!!!!
382 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 23:35:43ギル格好良いよギル 唯、ギルが出た時点で、うっかり敗北を想像したのは俺だけじゃないはずだ
383 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 23:37:03エア < エクスカリバー に最後まで違和感が…
384 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 23:39:21>>383 そこは気にするな
385 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/11(日) 23:47:43威力:エア>カリバー 速度:エア<カリバー と考えれば問題ないだろ? 実際作中でもエア単体で正面から撃ちあって圧倒したんじゃなくて、セイバーが宝具弾を弾いている隙に取り出して体勢が整わないうちに撃ったんだし。
386 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/12(月) 00:07:43本編でもエクスカリバーと互角の宝具だとか言ってたし、用語集でも「エクスカリバーと同等か、それ以上の出力を持つ」って書いてあるしなー。
387 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/12(月) 00:10:05>>385 その解釈には異論がありまくるし、納得は到底無理。(セイバールート・橋でのギル戦他) つーかそもそもネタスレでそんな俺解釈は説明せんでいい。一言感想くらい流してくれ。
388 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/12(月) 00:55:38どうでもいいぐらい燃えた。 というかギル好きとしては、fate二次創作で間違いなく1、2を争うほど燃えた。 近頃の俺の心の名言が「冒険の日々も苦難の日々も〜」だったこともデカいかも。 ライダーも好きだが、本編をこれと取り替えても構わん。ってか代えてくれ。
389 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/12(月) 04:45:52>373-377 ぬ、濡れるぜ! 長編化や漫画化希望・・・といいたいけど短編で終わってこそ華かもしれんし・・・
390 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/12(月) 06:34:05ギル様燃えすぎるな、マジで。 ギル様板と言い、何があったんだ今日は
391 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/12(月) 14:07:28>387 >383と>387について一言どうぞ >そもそもネタスレでそんな俺解釈は説明せんでいい。
392 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/12(月) 14:54:30そんなことはどうでもいい。 鬱陶しいからネタを素直に楽しめないような設定厨や考察厨はまとめて黙るヨロシ。 そういうのは該当のスレでするアルヨ。
393 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/12(月) 15:35:30「僕は、ケダモノだ」 「―――ええ、そうですね」 「僕は、普通じゃない」 「―――そんな事、言わないでください」 「僕は、どうしようもない程きみが好きだ」 泣き出してしまいそうな、小さな告白。 「―――生きているかぎり、そんな、コトないです」 電波が跳んできて、カッとなってやった。 今では反省している。
394 名前: ロアちんと学校 投稿日: 2005/12/12(月) 19:42:38「む、蛇か」 十時過ぎの、人気のない校舎内にぽつねんとロアが立っている。 「人狩りをしている……というワケでもなさそうだな」 ロアは包帯だらけで、ぼんやりと壁を眺めていた。 「こんばんは、ロア」 「……………………」 「なにをしている? 真祖の姫君はどうした?」 「……うるさい、ほっといてもらおうか。 どーせ、わたしは嫌われ者なのだ。 どこ行っても出番はないし、あったところで色物だし、人気投票では無視されるし!」 「どうなのだ混沌、弓塚さつきの票数43票に対してわたしはまさかの0票だぞ? 有り得ないだろ、ニュースキャスターですら投票されてるのに正直おかしくないか? というよりも、ラスボスよりすぐれた中ボスなんて存在しないってー」 そのまま学校ステージの隅っこに移動するロア。 ……本気でテンパっているのか、そのまま吸血鬼のようにしゃがみこんでしまった。 ダンボールがあったら頭から被りかねない勢いだ。 その後ろ向きな勢いは、もしも私が混沌でなかったのなら涙が止まらなかったのだろうと思うほどだ。 「な。バカ言うな、負けるなロア、立ち上がれロア! そーゆー自分の嫌われ具合などとうに解っていたはずだし、 まわりの空気を読めないで18回も転生するテンションがお前の強さだったはずだ……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりする。 「……いやだよ、疲れたよ、もともとわたしは後ろ向きな性格なのさ。正しいストーカーの血を継いでいるのさ。 私の宿主になったエレイシアもシキも、子の弓塚さつきも、こーゆー風に好きな子を追っかけまわしてるのがお似合いなのさ」 ますます閉じこもるロア。 まあ、こんな日の当たらない所で引きこもるあたり、ロアはやっぱりねちっこいヤツだと思う。 「……いいから、さっさと余所に行ってくれない? わたしは真月譚を待ってるのだ。 わたしがラスボスに返り咲ける最後のチャンスなのだ。手ぶらの混沌には用はない」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 やれやれ。どうやら、今の私では処置なしのようだな。 今度、トマトジュースでも持って寄ってみましょうか。
395 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/12(月) 20:54:33>>394 ワロスww 畜生、この場面の改変多いのにやっぱり笑っちまうなぁ
396 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/12(月) 21:10:48>>393 ネタを書き込んでおいて同一レス内で自分の意見とか書き込むのはやめてくれ、萎える
397 名前: ミミック遠坂LV2・アナザー 投稿日: 2005/12/13(火) 00:10:33「えーと……110や119は不味いよな」 魔術師の工房に公権力の介入を招くのは良くない。 そうなるとこっちに向かってる美綴のケータイ……って、番号知らない。 思い出せ、電話番号……自宅、藤ねえの藤村組、あとは穂群原と柳洞寺と間桐邸……いや、穂群原と柳洞寺は却下だな。 コトがコトだ、助けを求められるのは魔術師だけだろう。 「電波、届くかな。 とりあえずは家にかけるぞ、それが一番間違いない」 セイバー、ライダー、桜、誰でも事情をすんなり察してくれるだろう。 『―――はい、間桐、あ、いえ、衛宮です』 そうして、わたしは目覚めた。 気だるさはなく、意識も体も、別人のように清々しい。 「――――あれ、先輩?」 いっしょに眠っていた筈なのに、布団にあの人の姿がない。 「先輩――――?」 誰もいない。 廊下はとても静か。 「先輩……先輩……?」 誰もいない。 温かな陽射し。 電話の呼び鈴が鳴り響く。 「え―――電、話……? あ、先輩、出掛けてたんですね……?」 受話器を取る。 清涼な空気を吸って、深呼吸。 『―――はい、間桐、あ、いえ、衛宮です』
398 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 00:11:27泣いた
399 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 00:13:23・゚・(つД`)・゚・
400 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 00:18:36よりにもよってこの時にかかってくるとは……
401 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 00:21:18うわ、これはキタ。キタよねーさん ノд`)
402 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 00:50:25ノーマルでは掃除だけに留まってたけど ここで電話取っちゃうと、毎日ご飯作って…嫌あああぁぁぁ。・゚・(ノД`)・゚・。
403 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 02:43:56な、桜好きの俺になんてことしやがる せ せつねぇぇぇ・゚・(ノД`)・゚・。 あんた最高だ!
404 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 04:24:15ちょっ・・・テラセツナス・゚・(ノД`)・゚・
405 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 06:02:30■■■■■■■■!・゚・(ノД`)・゚・
406 名前: ブロードブリッジ→ミミック遠坂 投稿日: 2005/12/13(火) 20:09:30 取るに足らない彼女たちの抵抗は、おそらく、あと一時間は保つだろう。 たった一時間。 これは大局には何の影響ももたらさないひと飛沫。 少女の決意はいずれ汚濁に飲み込まれる。 不幸だったのは、カノジョ等に脱出手段が無かったこと。 もし脱出手段があったのなら、彼女は必死の抵抗をあざ笑う前に、ここで我慢する価値はないと箱の外に向かったのだから。 体力、魔力ともに未だ半分を残していながら、少女は終着に追い込まれていく。 無理もない。 この圧倒的な水量、我慢すれども我慢すれども尽きぬ悪意の天幕。 気力の前に前立腺が麻痺するのは、当然の帰結だった。 土砂降りの中にいるようだ。 時間とストレスの雨あられの中、電子音ともファンファーレともつかぬ終末の音が聞こえてくる。 鈍感なボンヤリ頭だけでは飽き足らず、まじかるじみた杖まで放たれたのだ。 「あ、ぁ―――しろ、う――――――」 見ないで、と形作る噛み締められた唇。 こうして奮戦は荼毘に付す。 願わくば、愚昧だった彼女の決意が、今際の悲鳴に貶められぬよう。
407 名前: アンリ→ギル 投稿日: 2005/12/13(火) 20:58:58弓兵と言っても我は全く弱くない。世界中の伝承を見渡しても、我より強い英霊なんて存在しない。 イエーイ、アイムナンバーワン! ついてるねマスター、我より上はないぜ! いかに慢心しないかを考えるだけだから、作戦も立てやすいってもんだ。
408 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 21:17:08>>407 ……恐ろしいのは。 原作でも頭の中覗きゃこんな風に考えていそうな所だw
409 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 21:18:46やばい、クソワロタw
410 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 21:31:09でも油断しちゃうんだよね…我様…
411 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 21:50:46まあだからこそ愛されているわけだがw エンキドゥや国民のみなさんもそんなところに萌えてたのではなかろうか
412 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 21:52:02>いかに慢心しないかを考えるだけだから こんな謙虚な心は持ってませんw
413 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 21:53:14カリスマA+とは萌えの事だったのか。 それは確かに呪いだな。逆らえるはずもない。
414 名前: 週に二回の手入れですから 投稿日: 2005/12/13(火) 22:06:02文庫本を片手にライダーの部屋に向かう。 借りていた本が読み終わったので、返却と新しい貸し出しをお願いに行くのだ。 「ライダー、入るぞー」 「……………………………」 何事か、これは。 しげしげとライダーの毛を観察する遠坂と、 ややいやかなり困惑ぎみのライダー。 んで、なぜか部屋には秘密の花園チックな空気があったりなかったり。 「あ、衛宮くん。どうしたの? 障子を開けたままぼけっとつっ立っちゃって」 「……いや、俺は本を返しに来ただけなんだが ………………………………………………君たちはナニシテンノ?」 気持ちの整理がつかず、発音がロボットっぽい。 「ナニって見て分からない? ライダーキレイでしょ。だからつい、ね」 「――――――」
415 名前: アトゴウラ 立場反転 投稿日: 2005/12/13(火) 22:16:24 「それで、どう戦うんだ。相手の戦法は知ってるみたいだが、 対策は立ってるのか?」 英雄王の切り札、王の財宝をどう封じ込めるかが勝負所となる。 「いや、ゲートオブバビロンは封じられない。 あれは数ある宝具の中でも段違いだ。 真っ正直に戦えばおそらくセイバーでもまず勝てない。 ことサーヴァント同士の戦いにおいてなら、最強の一つと言ってもいい」 小僧は語る。 王の財宝を破る手段はない。英雄とは完結した物語の主人公であり、 その結末、英雄に死をもたらした物の原典を奴は全て保有しているのだと。 故に、俺では、俺の死でもあるゲイボルクを保有する奴には勝てない。 だが。 「アイツとは俺が決着をつける。 すぐに済むから、アンタは手を出さないでくれ」 王の財宝は破れない。 そう断言しておきながら、小僧はあの男に挑むと言った。 坂を上り、仮初の闘技場へ。 月光は鈍く、見上げると少しだけ目が濁った。 手を伸ばせば虚空をかき出せそうな暗天の中、二つの人影が、 俺たちを待ち受けていた。 何度目かの同景。 言峰を連れた英雄王は、今まで通りにやってきた敵を見据え、 「―――――――」 幽霊でも見たかのように、小僧を凝視していた。 小僧はギルガメッシュを意識する事無く、己の内へと意識を飛ばす。 ただ、その英雄王へと向けられたその眼は ―――かかってこい、と。 名乗りもあげず、戦意だけを示している。 「言峰―――アレは、何だ」 己がマスターに問うギルガメッシュ。 「何とは敵だろう。あれほどの敵意を向けられては一目瞭然だが」 「そんな筈はなかろう。あんな奴は見た事がない。 アレは何者だ言峰。セイバーでもない、ライダーでもない、アーチャー でもない、アサシンでもない、バーサーカーでもない、アレは―――」 「それこそ一目瞭然だ。判らないかギルガメッシュ。 あの男はサーヴァントなどではない。 ただの人間、おまえに倒されたセイバーのマスターだ」 それを聞いたギルガメッシュが嘲笑う。 既に戦意などない、象が蟻を踏み潰すのは戦いではない。 ―――小僧の一言が、英雄王の怒りに触れるまでは。 「おい、武具の貯蔵は十分か?」 「は―――?」 笑いが止まる。 そこにはもう、戦場独特の張り詰めた空気が流れている。 「我には貴様と遊んでやる理由などない。貴様とてマスターでなくなった 以上、戦う理由などなかろう」 「あるさ。おまえは聖杯戦争に勝つ為に戦ってんだろ。 敵を全て倒すまでは戦いは終わらない。 おまえは今、俺と戦う為にここにいる」 言峰が笑う。 その通りだと笑っている。 「もう一度だけ聞く。英雄王、武具の貯蔵は十分か?」 「―――そうか、貴様は我の敵か。その思い上がり、万死に値する!」
416 名前: セイバーとお茶を。 投稿日: 2005/12/13(火) 22:22:57「……んー、俺も眠れなくてさ。どうせ起きてるならセイバーとお茶でも飲もうかなって。 ほら、遠坂のヤツはなんか忙しそうだから」 思いつきで、嘘のない気持ちを口にした。 「お茶、ですか……? あと数時間もしないうちに、あの英雄王に挑むというのに……?」 「ああ。どうせお互い、緊張して休めないんだろ? なら付き合えよセイバー、とびっきりのお茶をご馳走するから」 強引にセイバーを誘う。 顔は真っ赤で、とにかく恥かしかったけど、それ以上にセイバーとお茶が飲みたかった。 「はい。喜んでお付き合いします、シロウ」 柔らかに頷くセイバー。 ―――そうと決まれば善は急げ。 台所に戻って、この日の為に買っておいた中国茶を美味しく淹れて、セイバーにご馳走しよう――― ―――で。 ぐい、とお茶を飲み干すセイバー。 どこか達観したような淡白さの後、 「おい、おかわりです。 美味しいですね、ここの中国茶」 ほら、と横柄に湯飲みを差し出すのだった。
417 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/13(火) 23:57:32……すまん。416はどういう点が面白いんだ? 俺にはわからなかった。
418 名前: 見知った子供 士郎→ランサー 投稿日: 2005/12/14(水) 00:16:20「???」 一瞬、ガキと目があった。 目のいい俺ならいざ知らず、あの距離から目が合う、なんてコトはこっちの錯覚だと思っていたんだが、 「あれ、こっち来る」 その子供は武器を構えて、一直線に海岸からやってくる。 「おはようございまーす」 「はぁ?」 思わず、真正面から攻撃を受けてしまう。 「あれ? この時間だともうこんにちは、ですか? それじゃあやり直しますね。 どうも、こんにちはお兄さん!」 「お、おう。こんにちは」 つられて反撃。 にぱ、と嬉しそうに笑う子供。 「−−−」 やばい。 やばいぐらいに記憶にない。 見ず知らずの子供に喧嘩を売られる覚えはなく・・・・・・しかもここまで、わざわざやってきた・・・・・・きっと会ったことがある筈だ、と頭を巡らす。 「だめだ、まったく覚えがない。すまん、前に会ったことあったか?」 「あれ、覚えてませんか?」 きょとん、と驚く子供。 うっすらと罪悪感が湧くのだが、悲しいかな思い当たる節は無い。 「うーん、そっかあ。お兄さん大雑把そうだし、いきなりじゃ無理ないですよね。けど、もうこれ以上ない関係ですよボクたち。その時はちょっと産まれてませんでしたけど」 「産まれてなかった?」 いや、さすがに産まれてないんじゃ、どれだけ特徴のある子供でも覚えようが無い・・・・・・。 「そう、産まれてないんですよ。まあ、その時のコトはボク自身、他人事みたいな感じなんですけど。 繋がっているけどあまり接点ない、みたいな」 ますます分からない。 子供は仕方ないなぁ、と顔を顰める。 「じゃあヒントをあげますね。ボク、きっとお兄さんが一番喜ぶ人間の子供です。 その分類で思い当たる人って少ないでしょ? お兄さん、縁は人並みにあるけど、それが続く人って少ないから」 子供の声に嬉しさはまったくない。 自分が喜ばれると分かっているのに、なお純粋に闘志を向けてくる。 血のような赤い瞳がまっすぐに見つめて−−−って、待てよ・・・・・・? 赤い瞳と青黒い髪をしたヤツなら、思いっきり心当たりがあるようなないような。 「−−−あ」 ぜんぜん関係ない。 ぜんぜん関係ないのだが、なんとなく、この子供と外見・・・・・・というか、パーツが似ているヤツを思い浮かべてしまった。 「いや、けど−−−もしかして、あの時にデキタのか・・・・・・?」 「残念ながらボクに父親はいません。赤枝の騎士団には憧れますけどね」 邪気のない、戦士の顔。 「あ、でも安心してください。母さんは一途ですから。まあ、いまは身持ちが硬いですね、とりあえず再婚する気はないみたいです」 「−−−」 ぶおぶおを身体が灼熱状態。 つまりなんだ。 もしかしてこの子供は、その、 「息子ですよ。なんでも 『もし子を成したのならコンラと名付けてアルスターに寄越してくれ』 って、他にも三つの約束したみたいですね。我が父ながら、豪快な人ですね」 「−−−そうか」 ありえないことではない。本気で望んだことだ。間違いでもなんでもなく、本当にそうなったということか。 なにがって、アイツとの子供が戦士の資質を欠くハズがない・・・・・・! 「お兄さん、わかりやすい表情するなあ。まあ、いろんな人に聞いてみたけど同じ反応でしたから、お兄さんが悪いんだってわかってます。 ・・・・・・ほんと、なんで強姦紛いのようなコトするかなあ」 我がコトながら、否、我が父だから難しいなあ、と溜息をつく子供。
419 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 00:47:07 「・・・・・・因果逆転。それがその槍の能力でしたね」 一歩踏み出す。四方には、撤退を阻むルーンが刻まれている。 「今更確認する事はねぇだろ。俺はおまえが呼んだサーヴァントだ。 この槍だって、おまえが良く知っているモノだ」 片手を右に。 何処からともなく現れた赤い槍は、担い手と認めるように容易くその手に収まった。 「だがな、敵を知り己を知れば百戦危うからず、なんて信じてるわけじゃねぇだろ? おまえの宝具が俺を凌駕するってんなら、悉くを叩き割って、その心臓を貰い受けよう」 前に出る。 目前には、最高の元相棒。 「いくぞ、名も知らねぇマスター、―――ラックの用意は十分か?」
420 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 00:54:15LUK(幸運)とフラガラックをかけてるのか。 うまいなあ。
421 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 01:08:59Luck!(幸運を) フラガラック(報復をッ!)
422 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 01:12:32何その黒騎士マクレミッツ
423 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 12:00:49確かに「意外ッ!それは宝具!」って感じではあったがw
424 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 12:46:01>>415 >>418 >>419 というか、続きは無いの?
425 名前: いい加減スレ違いではあるが浮かんじまったんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 12:48:53断末魔の一瞬! 士郎の精神内に潜む爆発力がとてつもない冒険を生んだ! 普通のマスターは追い詰められ窮地に陥れば 切り札に頼ろうとばかり考える だが士郎は違った!逆に! 「! なんだ こいつゥ!?」 ま・・・まさか!」 士郎はさらになんと! 「――投影、開始」 干将・莫耶で攻め込んだ! ――interlude なんです士郎? タイガが他人のおかずを奪って返さない? 士郎、それは無理矢理取り返そうとするからです 逆に考えるのです 「あげちゃってもいいや」と考えるのです ――interlude out
426 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 13:06:49>>425 貴様ァー! そいうのはあっちに落としてくれYo! やっとこさあっちもここ数日で書き込み盛り返してきたんだかRa!
427 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 13:23:08正直あっちがどこなのか分からないZe!
428 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 13:40:54つ ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1124460681/l100
429 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 14:12:18あー完全に忘れてたze
430 名前: 高級食材の罠 士郎⇒菜園に前向きな士郎 投稿日: 2005/12/14(水) 17:50:05 「ようやく気付いたのです、シロウ。 故郷の我が城に在りて、この衛宮の屋敷には欠けていた ものを―――それは菜園と家畜小屋です! さいわいにして庭にはこんなにも空間が…………」 「ハッ? もしや切嗣は、それを見越してこのような敷地を 確保したのでは!?」 「ない。誓って切嗣にそんなややこしい甲斐性はない。 まあ、百歩譲って家庭菜園ぐらいは手を染めてみてもいいけどさ、セイバー。 土壌の改良なんかも考えると収穫までに十年は掛かるぞ?」 「十年……それは長すぎる。こんな事なら早めに手を取り掛かるべき でしたね、例えば聖杯戦争中に……で、も―――」 それは遡る事、十年前。 切嗣に連れられてアインツベルンの城に行った時の事だった。 「この城には家畜小屋も菜園もないのですか。 これでは兵糧攻めを仕掛けられたら、ひとたまりもない」 「ああ、そうか。セイバーの時代の城は野城みたいなものだったからね。 大丈夫だよ。ここの倉庫には十分な蓄えが在るし、拠点はここじゃなくて 君を召喚したあの屋敷にするつもりだから」 「そうですか、それなら問題はありませんね」 「……でも菜園か。無駄に広いんだから、そういうのも悪くないかもな」 「ですが作るのに時間がかかっては意味は無いでしょう。 聖杯戦争が終わってから完成したのでは意味がない、そのような無駄な事 は避けるのが貴方のやり方でしょう、マスター」 「…………そうだね、今は勝つ事だけを考えよう」 「……あ、ああ、ああああーーーーー!!」 「どうした? セイバー」 「な、なんという事だ。あの時、私に十年先を見据える視野の広さがあれば! …………シロウ、あの過去を無かった事に出来ませんか?」 「セイバーが何で悩んでるかは知らないけど――――それだけは、出来ない」 がっくりとうなだれたまま、身動き一つしないセイバー。 どうやら今の俺に出来る事は何一つないようだ。 今度、大判焼きでも差し入れにいってやるとしよう。
431 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 18:15:31さすがに十年はかからねーかとw
432 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 18:16:39一度作ってしまえば何年かは続くと思うけど
433 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 18:22:11がっくりきたセイバーは当然つくセイバーであると幻視した
434 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 18:52:54てゆーか仲いいじゃん、切嗣とセイバーw
435 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 19:05:21成立した三回の会話ってのはこんな内容だったのかw
436 名前: 矛盾螺旋 投稿日: 2005/12/14(水) 19:22:14 「どんなに優れた能力・才能をもっていても、人間には自分に出来る範囲 以上の事は出来ない。自我があればあるほど、それを基とした天秤を 無視することは出来ないからだ。 だが両儀はそれを解決した。自身を度外視する欠落を有することに よってな。パソコンと同じだ。中身のないハードに必要なソフトを 放り込めば、その能力に適した式が誕生する。だからアレの混沌衝動は 「無」なのだよ。いくつもの人格をもち、思考も能力も 状況ごとに書き換えられるガランドウの人形―――それが、以前の式だ」 かちゃり、とテーブルに置いたコーヒーカップが鳴る。 「―――それじゃあ以前の式は…… 怪我や病気の治療にはナース、勉強を教えてくれる時は女教師、 泳ぐ時にはスクール水着、本を読む時には眼鏡っ子とか、 他にも幾つもの属性を備えていたって事ですか!?」 「そうだ」 「…………僕はなんて事をしてしまったんだ……」 「なんて顔をしている。壊したのはお前だろう。 精神異常者はな、自分を異常者などとは夢にも思わないから破綻しない。 アイツもかつてはそうだった。だがおまえという人間が気付かせてしまった のだよ、両儀式という在り方は異常なんだ、と。 ああ―――そうだな。確かに失われたモノはあまりにも大きい。 どうしても以前の両儀式を取り戻したいと言うのなら協力してやろうか?」 「是非!」 この時、両儀式が二人に感じた感情は畏れだった。 殺意からではなく、ただ純粋に自分の身を守る為に 今すぐ二人を殺さなければならないと直感した。
437 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 19:36:05あんた、天才だよ
438 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 21:09:32式が眼鏡っ子だとぅぉぅぉ!? 激萌えだ!
439 名前: 士郎→騎 凛→剣 槍→凛 投稿日: 2005/12/14(水) 22:42:12「お待たせみんな。本格四川風麻婆豆腐の次は、広東風芙蓉蟹よー♪」 「カ―――カニ玉……!?」 神経を一気に束ね、食欲を繋いでいく。 リンが持って現れた料理は紛れもなく卵料理だった。 「ライダー、離れなさい……! アレは私が引き受けますから、その間に貴方はあの激辛マーボーを……!」 「セイバー、離れて……! あいつは私が頂きます。セイバーはいったん麻婆豆腐を――――!」 「――――待ちなさい。ライダー、貴方卵料理しか食べないのはやめなさいというさっきの話、ぜんっぜん聞いてなかったようですね」 ぴたり、とカニ玉に向けた箸を下げ、あまつさえ私の鼻先に向けてくるセイバー。 が、そんな脅しをされても、こっちだって文句はありますっ。 「馬鹿言わないでください、忠告は聞かないとちゃんと断ったでしょう。卵を食べるのは蛇の役目です。あの麻婆豆腐はセイバーは二度目ですし、あれは私よりセイバーの方が向いている」 「そんなワケないでしょうっ! アレは劇物です、あんな味覚破壊兵器相手に王である私が立ち向かってどうするんです!」 「だからこそでしょう! 他の皆がアレを食してしまったらおしまいって判りませんか!? いいから、セイバーは遠くから援護していてくれればいいんです!」 「ばかなっ、援護なんてできるわけないでしょうっ! あいにくそんな庶民な食べ方なんて知りません。やるなら美味いものだけ食い尽くすに決まってるじゃないですか!」 「っ――――! 自分の美食王っぷりを開き直らないでください! だいたいどうしてそう、なんでもかんでも美味いものばかりに食い意地が張ってるんですか貴方は! たまにはもっと雑な料理で我慢したらどうです。リンがセイバーみたいな金食い虫は要らないもーんって言ってたの、あんまり無視できないませんよほんと」 「な、なんですってこのぉ――――!」 ……そうして、お互いがお互いを押しのけようと言い争うコト数分間。 どうしてこんな事になったのか、といい加減疲れたころ、はた、と。 カニ玉を、もきゅもきゅと一人で食い尽くしてしまったタイガに気が付いた。
440 名前: 夢の続き→後日談。 投稿日: 2005/12/14(水) 23:42:54「・・・・・・ああ、未練なんてきっとない。 俺たちのチームワークは最高だったんだから」 「・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・」 「−−−−−−」 「・・・・・・その顔はなんだよ、遠坂、イリヤ」 「別に。・・・・・・別離し(わか)れてもー♪」 「ええ、別に。好きな人ー♪」 「・・・・・・あのな。 セイバーは俺の理想なんだ。食費をいくらかけようが関係ないだろ」 「・・・・・・そういうのがいいクセに(ぼそっ)」
441 名前: 夜の聖杯戦争2 バゼット→凛 投稿日: 2005/12/15(木) 00:27:40「ドウシタ。イかなイのカ、マスター」 吐き出しそうな心臓を飲み込んで、前かがみのままの凛に振り向く。 今(オレ)の殺気で思い出したのか。 凛は、土蔵でオレを糾弾した時と同じ目をしていた。 「……まだ、私は半人前なのかしら。一番大事な質問を、どうして思い出さなかったのか」 何故もない。 思い出さないのは、思い出したくないからだ。 「答えなさい。あなたは、一体何のサーヴァント」 敵意の籠もった質問。 それに、オレは―――ようやく、恋人を待ちこがれた少女のようにニヤリと笑って、 / ̄ ̄ヽ / /~ ̄ヽヽ | .| | | |. | ・∀・| | <ア便座ー―――ウォシュレッTOのサーヴァントだよ ゝヽ .ノノ ヽ, ̄ ̄ ̄ ̄) 人 Y´ し (___) 憎しみと歓喜を漏らして、存在しない呼称(ク ラ ス )を告げた。 「ーーーーぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!」 あ、決壊した。
442 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 00:32:37発想は良し! あとは………………………………………………………ともかく発想は良し!
443 名前: 決戦 アーチャー→凛 投稿日: 2005/12/15(木) 00:44:20「見えているぞ、遠坂」 翻る筈のないスカートが翻る。 絶対に見える筈のない布地を認識する。 盗撮開始だ。今夜、あの布地を撮りきる……!
444 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 00:50:38>>441 一発ネタだが吹いたw ぜひそのサヴァが最優のサバであるセイバーを打ち倒すシーンを見たい>>417 実は俺もわからんが、俺の知らないシーンとの交換なのかも知れないと 思って黙ってた、月姫とらっきょは知らんので。 まあ面白い作品だったら元シーン知らなくても笑えたりするんだが。
445 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 01:12:43誤爆じゃねーの? 何処の改変かも書いてないし。 いや、もしかしたら忘れてるだけかもしれないんだけど。
446 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 02:05:25>>417 UBWのエロシーン前のシーン、 で、最後のとこだけHollowの5年目の客のシーンと混ぜてるな もうちょっと分かりやすいようにメル欄とか活用すると、見る側としても楽しめる確率が上がると思う
447 名前: GO!慎二OH→GO!復讐KI 投稿日: 2005/12/15(木) 08:39:28 ―――時はきた。星の覇権を賭けた殺人者の戦いを始めよう。 貴方は選ばれた殺人貴遠野志貴。 世界の抑止力として君臨する“真祖の姫君”アルクェイドの眠る千年城へやってきたのだが、 『直死の魔眼』によって脳と肉体を酷使してしまった! しかし宿命は待ってはくれない。 悲嘆にくれる貴方の前に、以前協闘した折に死んだ筈の復讐騎エンハウンスが現れた……! 戦うならこのまま下へ。引き返すなら1へ進め。 「──────、な」 なにかが心に直接語りかけてくる。 あまりにも古い言語の為、何を言っているかはまったく分からなかったのだが、 「な、なんてコトだ……!このシーンが月姫2で、なんだか今がラストバトルで、 その勝者は次回作の主人公になれるだと……!!!?」 とまあ概要はおおむね掴めた。 「はっはっは!うひょークカカコココキイキイ! その通りだ選ばれた殺人貴よ!ああ待っていた、 オマエを待っていたぞオレの宿命のライバルよ!」 「貴様、何者―――!?」 「ハハハハハ! 何者かだと?何者かだと?何者かだとぉ? 分からないか、そうともわからないだろうな吸血鬼なオレ! すごいぞ気持ちワリィぞー! 見て見て殺人貴、アヴェンジャーとか聖葬砲典とか、 そういうのが溢れてもうタイヘンだとも!」 吹きすさぶ風、荒れ狂う魔力、激震する千年城。 そしてニャニャニャと出番を待つネコアルク。 いろんな意味でこの世の終わりとも言える光景がいま惜しげもなく大展開。 くっ……このふってわいたアーマゲドンに星も激動しているというのかッッッ!!!!? 「ま、まさかオマエは―――エンハウンス……!!!? バカな、オマエは確かに版権的にボツになった筈だ!」 「ダンテじゃないのねー! いや、キャラ的にはほとんどボツッていましたが、だからこそ地獄から蘇ったのだ殺人貴遠野よ! ククク、the dark six、闇色の六王権の力がオレを生き残らせたのさ。 んー、見て欲しいものだな、この滾る復讐心」 「まあいいや。 ともかく俺たちは運命に選ばれた戦士なんだな!? なんか宿命のライバルなんだな!? 俺はアルクェイドの為に、オマエは吸血鬼を滅ぼす為に戦うんだな!?」 「ナイスリアクション!話が分かるではないか殺人貴! さてはこういうノリ好きだなキサマ!」 「ああ!結構ヤケだけど斬ったり刺したりバラしたりヤったり嘘予告とか大好きだ! そんなワケで行くぞ復讐騎…! オマエだけは絶対に残刑に処すッッッッ!!」 「ク―――吠えるではないか前作主人公。 だが今日はオレの方が強い、覚醒したライバルの力を思い知るがいい……! 行くぞ殺人貴! ここでアベンジャーを卍解させてオレの人生(ターン)エンドとするッッッ!」
448 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 08:44:22これはヤバイwwwww
449 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 09:16:00卍解クソワロタwwwwwwwww
450 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 09:46:01アヴェンジャーの卍解で>>441 になるんだなw
451 名前: 夜の聖杯戦争2 バゼット→士郎 投稿日: 2005/12/15(木) 13:31:40「どうした。イかないのか、マスター」 噴き出しそうな白濁を押さえつけて、つっ立ったままの士郎に振り向く。 今(オレ)の精気で思い出したのか。 士郎は、くそみそのトイレでオレを糾弾した時と同じ目をしていた。 「……やっぱり、俺は半人前だ。一番大事な質問を、どうして思い出さなかったのか」 何故もない。 思い出さないのは、思い出したくないからだ。 「答えろ。おまえは、一体何のサーヴァントだ」 怯えの籠もった質問。 それに、オレは―――ようやく、青年を待ちこがれた色男のようにニヤリと笑って、 _,r'´::::::::::::::::::::::::::`'、. / {::::::::rr-‐-‐'^i::::::::::::::i. ! ゙l'´゙《 __,,,ゝ:::r、:::::l | 阿部ンジャー ――― ト=r;、 ゙"rィァ‐リメ }:::::} ヽ ゙i`"l  ̄ ソ::::ヽ l′ いい男のサーヴァントだよ ゙i. ゝ^ , /ヾヾヾ、 ヽ, ヽ ゙こ´ / ヽ、 ∠_ ヽ、 /__,∠、 `'-、 ^ー―― `゙ク'゙´ ` ゙'、 ヽ / 〉 ヽヽ ィ ヽヽ _,,-'´::: ゙i / ` } / ,-ィ‐r'´´ / l __r'〈 ,ノ / ```l / l -‐ ´ ‐ '' ´ /l::: l ー'´ l 愛欲と性欲を以て、存在しない呼称(ク ラ ス )を告げた。
452 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 13:46:30バロスwwwwwww
453 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 14:02:00アベさん、大人気! けど、アベってかくとアベサダみたいで・・・。ま、いいか。
454 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 15:46:14ダンテじゃないのねー、になんか全てをかけてるな復讐KEY
455 名前: マスターの辞退+英雄の最期 投稿日: 2005/12/15(木) 16:59:33 「――――いいでしょう。令呪を使いなさいシロウ。貴方の決断だ、 私が口を挟む権利はない」 「――――え」 「気にする事はありません。私は今回のマスターとも信頼を築けなかった だけだ。貴方が令呪で契約を断てば私は自由になる。……この体を保てる のは二時間ぐらいでしょうが、その間に新しい寄り代を見つけるだけです」 淡々としたセイバーの言葉。 その覚悟に背中を押され、 「じゃあ……令呪において命じる。――――自害しろ、セイバー」 「が――――」 吐血する。 口元からこぼれる血液は、その胸元から流れる鮮血に比べれば、 遥かに微量だった。 「シロウ、貴方は――――」 漏れる声は、もはや聞き取れない。 セイバーの胸は自らの剣によって貫かれ、その心臓を完全に破壊していた。 「――――な、何考えてるのよ衛宮君!」 「……だって……だって怖かったんだもん。聞き分けの良い振りして、 あとで新しいマスターを連れて復讐にきたら怖いだろ!? 今いきなり襲ってきたんだぞ、次が無いとは言い切れないじゃないか!」 遠坂と口論している間にもセイバーは自らの血溜まりの中に沈んでいく。 「―――ああもう、これじゃあ役立たずになったアーチャー捨てて セイバーに乗り換える計画が台無しじゃない。 さすがのセイバーもこれだけの傷を負ったら助から……」 そこまで口にし、幽霊でも見たかのような唐突さで、 遠坂の言葉は途切れた。 遠坂の視線の先。 そこには、白銀の鎧を己の血で深紅に染めた騎士の姿。 「――――残念でしたねシロウ。 この程度で死ねるのならば、私は英雄になどならなかった」 大上段に構えたセイバーの剣がその姿を現す。 「親子二代に渡り、私の宿願を阻むか。 呪われた衛宮との因縁、ここで帳消しにしてくれる!」 「てったいてったい、一時撤退ーーーー!」 俺と遠坂は尻尾を巻いて教会の中へと飛び込む。 状況が分かっていないのか、神父が相も変らぬ不快な態度で出迎えた。 「おや、どうかしたのか衛宮士郎。 ここにはもう用は無いのではなかったのかね?」 「前言撤回だ。いますぐ俺を保護してくれ!」 「衛宮君がセイバーの逆鱗に触れちゃって、 セイバーが宝具を使おうとしてるのよ!」 俺達の説明に神父の顔色が一瞬にして変わる。 「――――セイバーの宝具だと? いかん、ここの教会など藁の小屋にもならん! 地下に避難せねば」 「一人で逃げるな、クソ神父! 監督役ならちゃんと保護しろ!」 「そうよ! 私の後見人ならちゃんと面倒見なさい」 必死にその体にしがみつく俺達の非難を受けながらも 神父はその脚を止める事はない。 「ええい、離せ。 他人の不幸は見ていて楽しいが、 自分が巻き込まれるとなると話は別だ!」 ……そうしてお互いがお互いを押しのけあって助かろうと 足掻く事数秒後、騎士王の末期の一撃が教会を直撃した。
456 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 17:09:36大爆笑よ 当然英雄王も巻き添えを喰うわけだ
457 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 17:11:13慎二優勝ルートだな
458 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 17:12:25ドイツもコイツもダメ人間だ
459 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 17:12:31てか地下室ってやばいモノがゴロゴロじゃあ………
460 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 17:30:51神父オモシロw
461 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 19:42:03>「じゃあ……令呪において命じる。――――自害しろ、セイバー」 ちょwwwwwwwwwwwwwwwおまwww
462 名前: トラvsライオン後の剣と虎の会話、藤ねえ→もてる士郎 投稿日: 2005/12/15(木) 20:03:27柳洞寺に攻め込むと言い張るセイバーを止めようとしているところだと思ってくれ ……結局、セイバーを“説得”できたのはそれから二時間後の事だった。 俺が「ちょっとだけ話がしたい」とセイバーと寝室に閉じこもって二時間が経ち、 出てきたころには会話もおぼつかない様子で「それでは…シロウに…なんでも…従います…」 と約束してくれたのだ。 その後、なぜか桜は終始赤面。 夜も遅いので藤ねえが桜を送ることになったのだが、桜は最後まで機会を逃さず、 ひたすら胸と腰の強調だけして帰っていった。 「それじゃ私も別棟に戻るわね」 …と。 そういえば、遠坂も遠坂でずっとこの調子だし。 「悪かったな。どうせプレイボーイじみた真似してるって思ってるんだろ」 「別に。ただ、貴方のしている事はまぎれもなくジゴロそのものよ。 そんな危険な事ばかりしてたら、いつか刺されるわね」 おやすみ、と腰を振って別棟へ去っていく。 「―――うほっ」 なんだかそそられた。 こっちも、今夜中に済ませるとしよう。
463 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 21:51:19もてるというか、ある意味外道。 下半身だけで聖杯戦争を制しそうな勢いだな。 ……この士郎なら、ライダー篭絡したり、キャスター寝取るぐらいはフツーにやりそうだ……
464 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 21:55:30>>463 そして「抱いて!」ENDに…。
465 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 22:12:00>桜は最後まで機会を逃さず、 >ひたすら胸と腰の強調だけして帰っていった。 さ、桜・・・・・ なんてこんな役どころな子!
466 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 22:17:12風雲!士郎城!だなww
467 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 22:19:01この士郎は末期の切嗣との会話で正義の味方云々じゃなく女性論について語り あったのだろう、多分…。 取り合えず桜は完璧に落としてるな。というかこの分だと上手くやればマジ 全員生存エンド狙えそうな予感だ
468 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/15(木) 22:20:59彼を管理する者は言った。 アレが道具たちを使う数少ない特権者であり、 この世は、人間でない人間によって治められている。 「くんくん、すごく嗜虐欲をそそる匂いがするわ。 死ぬ間際のお祖父さんが『世界を手玉にとるがよい!』ってヘンな遺産をくれた、あの日の夢を思い出させるような?」
469 名前: ちと失敗したのでもう一度 投稿日: 2005/12/15(木) 22:22:24廟は、ひたすらに清潔な空間だった。 鬼が棲むとも、阿鼻叫喚の地獄だとも噂されていた建物は、一点の染みもない白い世界だった。 **の言うことをきかなかったので生きたまま解体される廃棄品も、 **に恥をかかせたとかで脳だけ動物に移植されるとかいう罰の跡も、 **の慰めに集められたとかいう子供たちの肉詰め水槽も、 何も、何もありはしなかった。 それは確かに起きた事だが、此処とは別の場所の話。 **はこの清潔な空間で、 一点の罪の意識もなく、 退屈しのぎにもならぬ退屈しのぎとして、 ただ一口、今夜の食事のメニューを増やすだけの理由で、 何の関わりもない一般人の人生をお金に替える。 ―――助けてください。 死にたくない、逃がしてくださいという懇願を、汚らしいと愉いながら平らげる。 そうして、**らは意識さえしないが、搾取される者たちは最期に気づくのだ。 この人間と自分たちは、もとより言葉が違っている。同じ生物だけど心の作りが違っている。 食卓に並べられた料理の声など、人間には存在しないように。 **には、自分たち以外の人間の声は、一生涯届きはしないのだと。 それは廟だけに限った話ではない。 彼を管理する者は言った。 アレが道具たちを使う数少ない特権者であり、 この世は、人間でない人間によって治められている。 「くんくん、すごく嗜虐欲をそそる匂いがするわ。 死ぬ間際のお祖父さんが『世界を手玉にとるがよい!』ってヘンな遺産をくれた、あの日の夢を思い出させるような?」
470 名前: 士郎→シエル 投稿日: 2005/12/16(金) 00:35:36「あ、アルクェイド」 十時過ぎの、もう人気のない公園のベンチにぽつねんとアルクェイドが座っている。 「吸血鬼狩り……というわけでもなさそうですね」 アルクェイドは肉まんを片手に、ぼんやりと月を眺めていた。 「アルクェイド。ちょっといいですか?」 「……………………」 「人の話を聞きなさい真祖。遠野君と深夜の密会待ち合わせですか?」 「……うるさいなあ、あっちいっててよ。 どーせね、あなた達サブに勝ち目はないのよ。過去の人気投票も全部わたしがトップだし、 アニメ版も漫画版もわたしのルートだし、かくとーげーむ?のポスターも新キャラ一緒だけどメインはわたしだし」 「わかるーちえる、劇場版NECOARC含めれば作品最多出場レコードホルダーよ? うわー、色物マスコット属性も含めてすべてわたしの独壇場? つーかぁ、初代正ヒロインより優れたキャラなど存在しないのだー」 そのまま公園の中央に移動するアルク。 ……本気で調子に乗っているのか、そのままくるくると踊り始めた。 ブラックバレルが手元にあったら乱射してやりたい雰囲気だ。 その唯我独尊な勢いに相変わらず憎悪が止まりません。 「な。バカ言ってるんじゃありません、くたばれアルクェイド、引っ込め猫アルク! 遠野家ルートでは背中絵一枚しか出てこない、あれで本当に正ヒロインなのか疑わしいというのがあなたの立ち位置だったはずです!」 などと、こっちもわりと本気で罵声を送ったりする。 「……いや、疲れたの、もともと私は高貴なお姫様だしね。どこぞのパン屋の娘とは違うのよね。 尻メガネやナイムネや、その他の有象無象も、わたしと志貴の周りで滑稽に踊ってるのがお似合いなのね」 ますます増長するアルクェイド。 まー、こんな辺鄙な場所で図に乗っているあたり、アルクェイドはやっぱり天然だと思う。 「……いいからさあ、さっさと余所に行ってくれない? 私は運命の相手を待ってるの。 私と志貴の久しぶりの深夜のデートなのよ。 尻でかインドに用はないの」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 うーん。なんか、本っ気でトドメさしてやりたい気がする。 その内、遠野君の気が向いたら2、3度殺してもらいましょう。
471 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 00:39:24>遠野君の気が向いたら 向くのか?
472 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 01:02:41新鮮だwつか先輩不憫すぎw
473 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 01:05:39面白いなコレ。普通ならシエルが落ち込んでいるほうを書くもんなのに、あえて アルク有頂天バージョンを書いたか。 しかしまぁなんていうのか、微笑ましいほどむかつくキャラになってるなアルクェイドw
474 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 01:18:31姫君モエス&変化球GJw
475 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 06:54:11>遠野君の気が向いたら 向かないなw
476 名前: アトゴウラ+日常( I ) 投稿日: 2005/12/16(金) 10:15:27「待って―――待ってください、私は―――貴方と戦う理由はない。 貴方だって、私と戦う理由は」 「あるだろ。アンタは聖杯戦争に勝つ為に来た。 サーヴァントを全て倒すまで戦いは終わらない。 アンタは今、オレと殺し合う為にここにいる」 影が笑う。 その通りだと笑っている。 「ちが―――わた、私は貴方とは戦わない……! そうだ、貴方とは戦わない、貴方とは戦わない、貴方とは戦わない……! だって、だって―――貴方、私のコト―――知って、る……?」 「知らねえよ。アンタみたいな負け犬に覚えはない」 一言に付す。 女魔術師は糸の切れた人形のように膝をつこうとし、 ぎごん、と。 生物的にヤバイ音をたてて、バゼットはスッ転んだ。
477 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 10:32:23ダメットかわいいよダメット
478 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 11:19:57ちょww立ち直れなかったwwww
479 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 15:14:06そしてランサーとアベさんにバゼットコールされて立ち上がるんだな
480 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 17:28:21最後ギャグかよww バゼットは ほんとうに だめだな
481 名前: この世全ての悪 言峰⇒慎二 投稿日: 2005/12/16(金) 18:47:39 影が揺らめく。 大聖杯と呼ばれるクレーターの前。 赤黒い炎に照らされて、■■が立っている。 「――――慎二」 「やあ。随分と無様な格好じゃないか、衛宮」 この地獄に在って嬉々とした声。 生きているモノのいない世界で、慎二は俺の前に立ちはだかった。 「――――なんで」 「何で生きているのか、なんて聞くなよ。 マキリの魔術師は元々生き汚いのさ。 お爺様だってまだ生きてんじゃないのかな? その辺這いつくばってさ」 「―――何のつもりだ慎二。今更、おまえの出る幕なんか無い」 あいつがどんな手段で延命したかは知らないが、 慎二はもう、死に体だ。 生命の脈動を感じさせない体。 ……俺と同じ、返された砂時計のように、短い炎。 「だろうね。聖杯戦争は魔術師の戦争だ、最初から魔術師でない僕に 出番なんて在る訳が無い。だからさ、最後の見せ場を奪いに来たのさ」 「何を言ってるんだ! それは聖杯なんかじゃない、 持ち主の願いを叶える万能の釜なんかじゃないんだぞ」 「ああ、もちろん知ってるよ。これは世界中の人間を殺す呪いだってね。 だけどさ、大聖杯は壊れた訳でも無くなった訳でもないんだぜ。 この世全ての悪が誕生すれば第三魔法も起動するんだろ? もし、それを成し遂げたのが魔術師じゃなくて、ただの一般人だったら 協会や他の魔術師はどんな顔をして悔しがるんだろうなぁ?」 「……正気か慎二、そんな死にそうな体で何を言ってやがる。 仮に、おまえの望み通りになったとしても、おまえは―――」 「狂ってるのはおまえだろ! なんだよ、まともに魔術も扱えないくせに 聖杯戦争なんて殺し合いに首突っ込んできやがって! あげくの果てにその様だってのに……なんでそんな顔でいられるんだよ!」 その顔には先程までの余裕など欠片もない。 心の奥底に溜まったモノを言葉と一緒に吐き出す。 そして浮かび上がってきたのは、死に怯えた慎二そのものだった。 それで分かってしまった。 あいつは命を賭して挑んでいるんじゃない。 ただ一人で何の意味もなく、虫けらの様に死ぬ事に耐えられ なかっただけなんだ。 「――――退かないよな、退く訳ないよな、衛宮は。 ああ、そうか、ようやく分かったよ。 何で遠坂じゃなくて、おまえにこんなにも拘っているのか」 踏み出してくる。 俺もあいつも動ける時間は残り少ない。 「魔術師かどうかなんてどうでも良かったんだ。 僕が認めて欲しかったのは、お爺様でも桜でも遠坂でもなくて ―――きっと、おまえだったんだろうな」 だから、決着は迅速に。 「……認めていたさ、だけどおまえはそれを受け入れなかった。 おまえが本当に認めさせたいのは、おまえ自身だろ」 魔術戦になどなる訳がない。 お互いそんな余力など残っていないし、そもそも慎二は魔術師じゃない。 出来る事などこの拳を相手に叩きつける事だけ。 残されたものは技術も駆け引きもない、ただの殴り合いだ。 地を蹴り、一直線に慎二は俺を討ちに迫る。 「、は――――」 こっちにはそれだけの足がない。 腰を落とし、正面から襲い来る敵の胸元を見据え、 「、あああああああああ――――!」 避けようのないタイミングで、渾身の一撃を見舞わせる……。 「ぷげらっ!」 躱しようのないモノは当然の様に躱せない。 俺の渾身の一撃を受けた慎二は勢いそのままに吹き飛ばされ、 ごぎん、と生理的にヤバイ音を立てて頭から地面に着地した。 その後しばらく、ぴくぴくと痙攣を起こしていたがそれも止まった。 「じゃあな慎二、続きはお互い命があったらな」 かつての親友に別れを告げて、俺は再び大聖杯へと歩き出した。
482 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 18:52:35あっけなさすぎw
483 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 18:59:04オチが弱いのは、相手が慎二のせいか 強敵の存在があって、始めて光輝くからな、と真面目なコメント
484 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 19:18:18GJ 足と腕がくるかと思ってた
485 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 19:24:59>479 いや、ダメットコールだろw 「ダメットって呼ぶなー!」と叫びながらフラガラック乱射(三発しか撃てないけど)w
486 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 19:32:38そこで久々のHIZAとHIJIだろw
487 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 19:33:09ちょっ、その二人は混ぜ合わせたらヤバいだろwww>>481 返せ!前半で燃えた俺の感動を返せー!
488 名前: ランサー→イリヤ 投稿日: 2005/12/16(金) 20:11:08>>77 >>87 に敬意を表しつつ… 空は雲天。 暗い森は方向感覚を麻痺させる。 文句の付け所のない絶好の樹海。 風雲イリヤ城を象徴する森の奥に点在する白銀の城は、しかし。 今まさに、大聖杯と宝石剣が一緒に来たかのような賑わいを見せていた……! 「って、凄く増えてるーーーー!!?」 誰が、いや何が増えたのかは言うまでもない。 数ある宝具の原典を率いるその姿は紛れもなく……! 「うおー、すげえー! ギルー、あれグラムか!? グラムだな! うおーグラムーーー! 一本くれよー!」 「ギルギルー。鉛色の巨人、ぴくぴく動いてるよー。あたし 近づいていいかなー?」 「あれぇ、となりの兄ちゃんの干将莫耶安物だねー。ギルの 双剣のが金ぴかでかっこいいなー。バカっぽいけどー」 「ぎるー、今週のジャ○プどこー?」 「すごいー、いっぱい殺してるー! ねえギル、うしろ のお兄ちゃんに剣投げていいー?」 「はっはっは。騒々しいぞ雑種ども。まわりのオケラどもに迷惑であろう。 それはともかく、ジロウ、グラムと言わずデュラムもハルペーも持っていく がよい。ミミ、恐れる事はない。怒らぬから触ってみろ。 イマヒサ、当然の事を言うな。金とは王にのみ許さ れた色なのだからな。しかし資格はともかく、その嗜好は良し。 これでガリガリさんを買ってくるがよい。 カンタ、ジャ○プは我が読み終わるまで待て。 コウタ、あれは贋作者故な、尊大な心でぶつけてやれ」 「……誰?」 えーと。 あえていうなら子供達の……ヒー……ロー……? 「しかし拍子抜けだな、最強を名乗る者がいると聞いたが まるで話にならん! 所詮デカブツと贋作者、王たる我とは比べるべくもない!」 あっはっは、と愉快そうに笑うヒーロー。 ときおり、隣の慎二が髪やらワカメやら引っ張られてたりする。 「くっ、相変わらずの物量作戦か。しかも金に糸目をつけぬ原典軍団 の連射とはな。 ……がっかりだ。道具に頼るとは見下げ果てたぞ、英雄王……!」 子供たちに囲まれながら、負けじとバーサーカーをヒットする赤い男。 というか、お前が言うな。 「ほう?そういう貴様の贋作は王の財宝で連日品切れ の約束された勝○の剣ではないか。 面白い。知名度では劣るが我の剣は特注の中の特注よ。 どちらの装備が優れているか競い合ってみるか下郎……!」 「そ、それは伝説の天地乖離す開闢の星……!!! 黄泉路を開き地獄を再現する筈の剣を、なぜ貴様が……!?」 「それねー、ボクんちのお父さんのー。ギルがねー、ちょっぱってきたら遊んでくれるって言ったんだよー」 わーい、と波を打つ子供たち。 「■■■■■■■■■■――――!!!!」 「――――やだ。わたしこんなのやだよぅ、バーサーカー……!!!」 そして先ほどからイリヤを守ろうとする黒い巨人と、恥も外見もなく泣きじゃくってる白い娘。 「バカな……! いたいけな子供まで動員するとは、貴様 それでも英霊か……! ええい、その剣、勝者が手にするというルールでどうか!?」 「望むところよ! 貴様の贋作など要らぬが、それはそれとしてセイバーの剣は貰っておこう!」 「すげー! ギルと守護者の一騎討ちだ! こんなの メッタに見れないぜー! オレ父ちゃん呼んでくる!」 「負けるなー、やっつけろー! がんばれ赤い人ー!」 「デュランダルとか方天戟じゃなくてゲイボルク出してよゲイボルクー。 けど後ろの兄ちゃんみたいに体が剣になるのはカンベンな!」 「ねーねーぎるー。そんなのいいからさー、早くジャ○プ読んでよー」 もはや港にかつての平穏はない。 思いのほか子供好きな英雄王と、なぜか子供たちに人 気の赤い男。 そして。 「ね。イリヤちゃん、泣かないで?」 「…………お願い。私のバーサーカーを返して」 この世の終わりみたいな顔でうなだれるイリヤ。 「……帰ろう。ここはもう一般人の居ていい場所じゃない……」 城を後にする。 見上げた空の暗さにバーサーカーの末路を重ねる。 嗚呼。 失われる狂戦士よ、せめて思いでの中で永遠なれ――――
489 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 20:15:49乖離剣持ってる親父何モンだ
490 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 20:23:22すばらしい理不尽っぷりだ そして帰っておあげバーサーカー……
491 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 20:26:14外見ではなく、外聞であろう。
492 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 20:32:14>>489 エアじゃね? お母さんの名前はダムキナさん 子供の名前は、きっとマルドゥーク君だろう
493 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 21:31:31「天地乖離す開闢の星」って武器名だっけ?
494 名前: プロローグ 記憶障害(軽度)⇒(重度) 投稿日: 2005/12/16(金) 21:59:29 「―――ああもう、邪魔だこのおっ……!」 どっかーんと、ドアを蹴破って中に入った。 「…………」 で。 居間に入った瞬間、状況は私の理解を超えていた。 「うわあっ! と、と、と、遠坂? じゃ、じゃあ、ここは遠坂の家か?」 「…………はい?」 居間はメチャクチャになっていた。 何かが天井から落ちてきたのか、部屋は瓦礫にまみれており、 おどおどと挙動不審そうな赤い外套に身を包んだ男が一人。 「…………」 アレ、間違いなく下手人だ……じゃなくて、 「ちょっと! アンタなんで私の名前知ってるのよ?」 「――――それは……その、学園のアイドルだし……密かに憧れもして」 赤いのがごにょごにょとよく分からない事を口走る。 本当にこいつはサーヴァントなのだろうか? 英雄と呼ぶには迫力が無さすぎるというか。 だけど、こうしてるだけでもアレが桁違いの魔力を帯びている事が分かる。 「それにしても……遠坂、内装にはもう少し気を使った方が良い。 これじゃあ、まるで廃墟みたいだぞ」 男は自分の巻き起こした破壊の惨状を見渡す。 そして、その眼が柱時計で止まった。 「ああっ、もうこんな時間か! まずい、桜や藤ねぇが心配してるから 帰るぞ。こんな夜中に悪かったな遠坂、それじゃあまた明日学校で」 そそくさと玄関から出て行こうとするマイサーヴァント。 それが決定打だった。 思考停止しかけた頭に後先の事を考える余裕など無い。 三つの令呪。 聖杯戦争の要、サーヴァントを律する三つの絶対命令権が、 「いいから! 大人しく! 人の話を聞けぇ!!」 …………最悪のカタチで行使された。 「な……!? か、体が言う事を聞かない? な、何をしたんだ、遠坂」 「うるさーい! いい、アンタはわたしのサーヴァント! なら、わたしの言い分には絶対服従ってもんでしょうーーー!?」 「な、なんだとーーーーーー!?」
495 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 22:23:54ちょ、半生がまるごとスッポ抜けてるwwwwwwwwwwww
496 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 22:25:09>>494 あんがい幸せかも知れん、アーチャー……
497 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 22:25:27大絶滅! ついに蘇る古の石版に刻まれた覇王の伝説! → 大激突! ついに放たれる古の魔剣に刻まれた時の呪い! 「おや?」 広間には誰もいない。 たしか、ここにはアイツらがいる筈なのだが……。 「あれ、灯りが……」 どうした事だろう? あれほど絢爛豪華だったのに、広間は一変して深い闇に覆われてしまった。 「……なんか、いやな予感がするな……。大事になる前に戻らないと---」 ……いや。 行きがかった船だ、進むなら奥まで行かないと。 「おーい、誰かー。いるかー?」 っ、と流石に暗いな。 ……いくらなんでも不自然だな。 俺が広間に来た途端、いきなりシャンデリアが消えるなんてまるで罠--- 「っ……!? なんだ、コーバックが光出して……!?」 ―――時はきた。星の覇権を賭けた超越者の戦いを始めよう。 貴方は選ばれた姫君の護り手遠野志貴。 世界の闇に君臨する“死徒の姫君”アルトルージュの城へやってきたのだが、 『直死の魔眼』によって脳と肉体を酷使してしまった。 しかし宿命は待ってはくれない。 悲嘆にくれる貴方の前に、アルトジュールの黒騎士リィゾ=バール・シュトラウトが現れた……! 戦うならこのまま直死へ。引き返すなら悪魔へ進め。 「──────、な」 なにかが心に直接語りかけてくる。 あまりにも古い言語の為、何を言っているかはまったく分からなかったのだが、 「な、なんてコトだ……!この空間が魔剣の力で、これがラストバトルで、 勝者は存在し得ないだと……!?」 悪魔がおおむねの概要を流し込んでくる。 「ふ、ふっふっふ! はーハハハハハハハ! その通りだ真祖の守護者よ。ああ待っていた、 オマエを待っていたぞ私の呪いを打ち破る者よ」 「貴様、何者―――!?」 あまりの暗さに視界がまったく通らない。 広間の壇上からゆっくりと現れた人物は、劇薬のような哄笑をあげる。 「ハハハハハ! 何者かだと? 何者かだと? 何者かだと? 分からないか、そうともわからないだろうな悪魔を佩く私を。 すさまじい、美しい。 見よ見ろ守護者、真世界と真性悪魔、 そして姫への忠義に溢れて、もう止められん!」 吹きすさぶ風、荒れ狂う魔力、激震する古城。 そして轟音に崩壊する広間。 人の理解を超えた力に、この世の終わりとも言える光景がいま惜しげもなく展開される。 くっ……たかが剣一本に星も激動しているというのか!? 「ま、まさかオマエは―――黒騎士、リィゾ……!? バカな、オマエは確かに死んだ筈だ!」 「冗談はよしたまえ。 いや、確かにはほとんど殺されていましたが、だからこそ地獄から蘇ったのだ守護者志貴よ! ハハハ、時の呪いが私を生き残らせたのだ。見て解らないのか、この滾る悪性が」 アルクェイドを連想させる魔力の渦。 い、いったいどれだけの力を隠し持っている……!? 「なんなんだよ、その剣は……」 「ははは、気持ちはわかるがそう驚くほどのものでもないだろう そう、これを持つ私は私ではない 言うなれば、これまでの私がリィゾだとしたら、今からの私は唯の名無しだ。 いや、世の闇に生きる死徒だとしたら、真実の悪魔なのだ」 「……」 つまり吸血鬼すら止めたというコトだろうか。 人が想像できる範囲を越えている。 「なんだ、それは……。 いや、ともかく俺はアイツを護る。 宿命なんて関係ない。 俺はアルクェイドの為に、オマエはアルトルージュの為に戦うんだろう」 「良い気概だ。話が分かるではないか護り手。 さては血に餓えているなキサマ」 「ああ、くそっ! もうヤケだ。七夜の衝動とか魔眼の限界なんて知るか! 行くぞ黒騎士……! オマエだけは絶対に殺す!!」 「ク―――吠えるではないか人間。 だが今日は私の方が強い、覚醒したニアダークの力を思い知るがいい……! 行くぞ守護者よ! ここで魔剣を鞘から抜き放ち、私の手番(ターン)を終了とする!」 「さあ、殺し合おう護り手よ」
498 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 22:36:23シリアスとギャグの境界でタップダンスを踊っているような――そんな気持ちに、させられた
499 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 22:56:01>>494 めっちゃ続きが読みてぇ
500 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 23:04:33>>494 テラオモシロスw
501 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/16(金) 23:11:45なんかこっそりギャグ担当の千年錠もついてきてるな
502 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 00:30:00 男はパズルに没頭している。 私は覗き込むのを止め、ソファーに座り込む形で体を起こし、 「はっはっは! うひょークカカコココキイキイ! 待っていた、オマエが起きるのを待っていたぞ我が運命のマスターよ!」 脳内麻薬マキシマムな笑い声と共に、男は声をかけてきた。 「マス、ター……?」 呟いた自分の声にびくりとする。 「おまえは……私のサーヴァントなのか?」 頭痛に悩まされながら尋ねる。 「ふふふ、気持ちはわかるけどそう驚かないでほしいね。 そう、今までの僕は僕じゃあない! えーと、言うなればこれまでの僕が何の能力もないただの青年だとしたら、今からの僕は最弱のサーヴァント! いや、役に立たないゴミだとしたら、人の願いを叶える悪魔なのさ!」 ……直感する。 この男は私のサーヴァントかもしれないが、決して味方ではない。 近くに置けば主人に災いをもたらす疫病神の類だ。 「答えろ。おまえは、一体何のサーヴァントだ」 敵意の篭もった質問。 「ハハハハハハ! 何者かだって?何者かだって?何者かだってぇ! 分からないか、そうさ分からないよねゴージャスな僕! すごいぞ気持ちワルイぞー! 見て見てマスター、黒く染まった聖杯とかこの世全ての悪とか、そうゆうのが溢れてもうタイヘンさ!」 目眩がする。まるで泥酔後の朝だ。 ……酒に弱いクセに見栄を張って飲み明かしてしまうのは私の悪癖だが、不幸な事に、体内にアルコールは残っていない。 つまり、目の前の男は幻覚ではない。 「ノーリアクション? 反応が鈍いなマスター! さてはこういうノリ嫌いかアンタ?」 「……そうですね。ノリというよりも貴方は私が嫌いなタイプだ。 貴方の会話は、無駄な単語が多くて好ましくない」 「ク―――吠えるじゃんか人間凶器。 だが人間相手なら僕の方が強い、覚醒したサーヴァントの力を思い知るがいい……! 行くぞマスター! “偽り写し記す万象”の準備を完了してオレの人生(ターン)エンドだぜ……ッッッ!」
503 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 00:38:58このアンリはスゴクダメなアンリだ たぶんこの聖杯戦争勝利したのは慎二で、それをカラに被っていやがるな
504 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 00:39:51一撃必殺される準備は万全だなw 確かにターンエンドだ。
505 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 00:41:03アンリのハイテンションぶりとバゼットのローテンションぶりの対比が素晴らしい。 つーかワロタwwwwww
506 名前: 「―アトゴウラ―」 ランサー→凛 バゼット→士郎 投稿日: 2005/12/17(土) 02:11:34 衛宮邸に続く坂道で私たちは落ち合った。 遠坂凛は約束を守ったのだ。 「なによ、時間より早いじゃない」 憎まれ口を叩くが、その目は鋼のように硬い。 彼女のそういう姿を見るのは半年ぶりだ。 ……ああ、そうか。 あの戦いが終わって、もう半年が過ぎていたのか。 「それで、どう戦うつもりなの。私たちは彼の戦法を嫌になるほど理解しているけど、どう攻めるつもり? 私はアナタを援護して彼に隙を作るだけでいいの?」 近接戦を挑む以上セイギノミカタの切り札、"無限の剣製"をどう封じ込めるかが勝負所になる。 「いや、逃亡するだけならともかく、近接戦で"無限の剣製"は封じられない。それは貴方もよく知 っているでしょう。真っ正直に戦えばまず負ける。 こと接近戦の出し合いなら、"無限の剣製"は最強の一つと言っていい」 遠坂凛は確認する。 "無限の剣製"を破る手段はある。が、それはエミヤシロウの手には余る投影魔術が要求される。 故に、衛宮士郎を倒すのなら遠距離からの砲撃戦による攻撃に徹す事。 士郎自身がどれほど強力であっても、砲撃戦では負が悪いと言うのだ。 「……それを選択するの?」 「まさか。他にはこっちが接近戦さえ挑まなければ"無限の剣製"も充分に回避できる。ま、向こう は弓を投影できるから、宝石だけじゃちょっときついだろうけど」 その戦い方でも何とかなる、と遠坂凛の目が告げている。 ……好みではないが、確かに衛宮士郎には近距離戦に天与の才がある。 弓兵としての力がまだアーチャー程で無い今、長距離戦で戦えば確実に勝利するのだ。 だが。 「あいつとは剣でケリをつける。 すぐに済むから、イリヤは離れて様子を見てて」 "無限の剣製"は破れない。 そう断言しておきながら、遠坂凛はあの固有結界に挑むと言った。
507 名前: 「―アトゴウラ―」 ランサー→凛 バゼット→士郎 投稿日: 2005/12/17(土) 02:12:24 坂を登り、門を抜け奥の庭へ。 月光は鋭く、見上げると少しだけ目が焼かれた。 今夜は丘が明るいのか、星が近いのか。 手を伸ばせば星を掴めそうな満天の下、二つの人影が、私たちを待ち受けていた。 何度めかの同景。 ただ一人の妹を従えるセイギノミカタは、今まで通りにやってきた敵を見据え、 「――――――」 幽霊でも見たかのように、遠坂凛を凝視していた。 遠坂凛はセイギノミカタを意識する事なく、強化した目で敵との間合いを計っている。 ひいふうみい、よ。 距離にして約二十メートル。 宝石の解放に適した間合いまで歩き、自己の変革を唱えた。 「―――――Anfang……」 彼女の使う詠唱。言葉とともに光を帯びた魔術刻印が顕れる。 遠坂凛はその場所から一歩も動かず、スッ、と鞄から剣を取り出す。 ―――彼女の証でもある剣を見せ付けるように。 名乗りもあげず、戦意だけを示している。 「サクラ――アレは、誰だ?」 隣の女性に問う士郎。 「何ってマスターですよ。一目瞭然じゃありませんか」 「それはない。あんなマスターは、今までいなかった。アレは誰のマスターだサクラ。 セイバーでもない。ランサーでもない。バーサーカーでもキャスターでもアサシンでもライダー でもない。 アレは――」 「それこそ一目瞭然でしょう。 ねえ、先輩。あの刻印を見て、まだ何も分からないの?」 クスクスと桜が笑う。 この時。 あの少年は戦意を見失っていた。 現れた敵を見て、自分でも分からない理由で、泣き出す一歩手前だった。 ――遠坂凛の、酷薄な言葉が刺さるまでは。 「ねぇ。今からアンタを殺す訳だけど」 「え―――?」 怯えるように剣を構える。 そこに以前の気迫はない。 「待って――待ってくれ、俺は――お前と戦う理由はない。 お前だって、俺と戦う理由は」 「あるわよ。アンタは聖杯を手に入れて正義の味方になった。 聖杯で望みを叶えてもアンタの戦いは終わらない。 アンタは今、心を鉄にして、大を救うために小を零している」 桜が笑う。 その通りだと笑っている。 「ちが――おれ、俺はお前とは戦わない……! そうだ、お前とは戦わない、お前とは戦わない、お前とは戦わない……! だって、だって――お前は、俺の師匠ー――なん、だから……?」 「知らないわ。アンタみたいな無様な弟子を持った覚えはないわね」 一言に付す。 少年は糸の切れた人形のように膝をつこうとし、 「――ならば。聞こう、お前は俺の敵か」 糸の助けではなく、自らの力で踏みとどまった。 「そうよ。この宝石剣、貴方なら意味が分かるでしょう」 「……宝石にして魔法を実現するモノ。 如何な魔術師であっても、神秘に近いモノでしか打倒できまい。 ――俺たちの戦力が対等である、その証明だ」 その認識こそ、遠坂凛が見せ付けた魔術の真価だったのか。 少年はセイギノミカタとしての貌を取り戻し、遠坂凛は"宝石剣"を握り締める
508 名前: 「―アトゴウラ―」 ランサー→凛 バゼット→士郎 投稿日: 2005/12/17(土) 02:13:26 ……大気が澱む。 士郎の持つ固有結界が、主の呼び声を今か今かと待っている。 遠く二十メートルの彼方には、金色に輝く剣を構えるセイギノミカタの姿がある。 あの剣こそ衛宮士郎の秘奥、投影魔術の結晶"勝利すべき黄金の剣"。 その無敵を誇るセイバーの、破る事能わじと言わしめた英雄の持つ聖剣。 だが、そう公言して尚、手を緩める事はなく。 「――――――"Anfang"」 遠坂凛の腕に力が籠もる。 剣戟ではない。遠坂凛は渾身の魔力を剣に籠め、 「―――"Mywholelifewas“unlimited blade works”」 光がフレアとなって溢れる。 担い手の魔力、人々の尊い理想で編まれた選定の剣が臨界を越え、 「―――"Eine,Zwei,RandVerschwinden"―――!」 一閃と同時に紡がれる呪文。 先制は銀色の宝石剣"ゼルレッチ"。 「―――甘く見たな■……!」 迎撃するは選定剣"勝利すべき黄金の剣"。 二人の戦いに様子見はない。 両者は最大の一撃を以って、目前の敵を粉砕する……! 銀と金が衝突する。 一撃は共に必殺。 遠坂凛に剣を防ぐ盾はなく、セイギノミカタには魔法を躱す術はない。 しかし。宝具の正面激突という条件であるならば、正義の味方が傷を負う事はない。 度し難い。 度し難いほどの宝具の性能差が、片方の一撃を消滅させる。 それはあらゆる攻撃を無に帰す最強の聖剣。神霊域の魔術行使を可能とする冠絶した威力。 そして。 その必殺は、"宝石剣ゼルレッチ"も例外ではなく――― 「――――――」 失墜した人々の幻想が迫る。 一度発動した"勝利すべき黄金の剣"を破る手段は遠坂凛にはない。 衛宮士郎に魔術での真っ向勝負を挑んだ時点で負けなのだと、遠坂凛は熟知していた。 "勝利すべき黄金の剣"に負けないモノは存在するが、現在の二人には敵わないモノのみ。 遠坂凛は始めから、この結末を理解した上で戦いに望んだのだ。 あの時。 一瞬だけ、目の前の男が揺らいで見えた。 「――確かに俺は何か間違えている。けどいいんだ。 だって、誰かの為になりたいっていう思いが、間違えの筈がないんだからな」 それがどんな結末を呼ぶか、彼女には解っていた。 ただ、 「―――その道が。今までの自分が、間違ってなかったって信じている」 泣いている誰かを見たくないだけだ、と語った少年は。 永遠に、人間の泣き顔しか、見ることができなくなった。 遠い昔の話だ。 『答えは得た。大丈夫だよ遠坂。俺も、これから頑張っていくから』 そう、深く染み入るような声で、男は言った。 ――それは奇しくも、聖杯を巡る戦争のこと。 その男と少女が駆け抜けた夜明けにも似た夢物語。 男は気高い少女の姿に恋をし、少女は磨耗した男の信念を直してやりたいと思った。 「アーチャー。もう一度わたしと契約して」 弱々しく、言うべきではないことを彼女は言った。 彼は皮肉な笑みのまま返す。 「それは出来ない、君がセイバーと契約を続けるかは知らないが 私の役目はここで終わりだろう」 それは本当に二人とも意地の張り合いだけだったのかもしれないけれど、 「それよりも・・・あの男を頼む。見ての通り――――」 ……彼に、自分を頼むと、任されたのだ。
509 名前: 「―アトゴウラ―」 ランサー→凛 バゼット→士郎 投稿日: 2005/12/17(土) 02:14:14 黄金の剣が、遠坂凛の胸を切り裂いていく。 「っ……………!」 しばし忘れていた激痛に死の感触を思い出す。 崩れゆく五指に力を籠める。 ―――遠坂は、一つの悔いを残している。 思えば幸いな人生だった。 衛宮士郎という男を救おうと思った。その歪な心を直してやろうと思った。 果たせなかった彼との約束をここで晴らそう。 口端にのぼるは必殺の誓約。 遠坂凛は消し飛ばされる心臓に顔をしかめ、 「ああ、しかし―――どうしてこう、決心が鈍るのかしら」 今更ながら、己がうっかり癖に愚痴を言った。 「取った……………!」 そうして、セイギノミカタは勝利を確信した。 敵の一撃を飲み込んで光り駆け抜けるは勝利すべき黄金の剣。 この瞬間、敵の攻撃は無効化されマスターの消滅は確定する。 それがこの世の理。 威力という絶対の秩序に護られた、当然の帰結である。 「―――、え?」 だが知るがいい"セイギノミカタ"。 魔術は魔法によって破られる。 魔術を用い宝具を使おうとも、魔法はそれを勝るという事を。 「――――Welt、Ende」 破裂した。 第三魔法の名を持つ一撃は肋を貫通し、心臓ごと綺麗に消滅させて、大きな穴を開けた。 「ぁ―――これ、は」 破裂する。 痛みと驚きが、閉じ込めていた記憶をブチ撒ける。 カリバーンが純粋に最強の破壊を生み出す幻想ならば、この剣こそは究極の一を妥当した魔法剣。 呪文を以って放った瞬間、宝石剣は"魔法により成しうる奇跡"という概念を持つ。 なにより―――この剣こそ、二人が作り上げた投影魔術を象徴する片割れ。 勝利すべき剣では届かない、二人で紡いだ魔法の剣。負ける道理が見当たらない。 ……ああ、そうだった。 この敵が誰だったかは、即死寸前の頭では解らないけれど。 これは少年と少女の意地の張り合い。 この人は世界でただ一人、自分の度し難い曲がった信念を正そうとしてくれた相手―――
510 名前: 「―アトゴウラ―」 ランサー→凛 バゼット→士郎 投稿日: 2005/12/17(土) 02:15:00 「衛宮君に、別離(わかれ)は言ってなかったわね」 気がつけば、少女は目前にいた。 少し遠い。せいいっぱい手を伸ばしても、きっとぎりぎり届かない。 「……落し物よ。これは、アンタに返しておく」 宝石を地に落とす。 カランと硬い床に石が転がる。 力をなくして、正義の味方の体が落ちた。 自らの血だまりに倒れ込む。 正義の味方は死に往く瞳で、 「―――、あ」 地面に落ちた、自分を助けた宝石を見つけた。 思い出がある。 思い出があるので、なんとか手を伸ばして握り締めようと思った。 それで余命が半分ぐらい減ったけど、宝石の手触りの方が嬉しかった。 「知ってる。これ、だって」 倒れたまま遠い星に手を伸ばす。 が、腕はもう動かなかったので、ユメを掴むことはできなかった。 「あ……なぁ、待ってくれよ。 お、れ、これと同じの、学校で、ひろった」 何が言いたいのか自分でも分からない。 ただ、よぎった記憶が思い出せないのが悲しくて悲しくて、余計に分からなくなった。 少女は立ち去っていく。 少年は悲しそうな目で、嬉しそうに繰り返す。 「待っ、て。……おれ、憶えてる……憶えてる……憶えてる……おぼえて、」 その声も、十秒ほどで停止した。 都合一分。 遠坂凛の衛宮殺しは、痛ましいほど完璧だった。 「あー、最悪」 セイギノミカタの死体から離れ、重い溜息をつく凛。 鉄の意志だけで血まみれの体を支えている。 「――――――」 ……ともあれ、勝敗は決した。 残るは彼の守ってきた黒い聖杯。 そのヤツも士郎を失った今、大した力は持っていないだろう。 凛の体から命が零れていく。 ……セイギノミカタとその師の戦いは相打ちになる。 お互いの誇る秘術を食らい、遠坂凛だけが生き残る道理はない。 「悪いわね。後の始末は任せるわ。 だいたい、ワタシの責務はここまででしょイリヤ?」 後は、大聖杯(イリヤスフィール)の仕事だ、と。 凛は"あー、本当、心の贅肉ね"などとぼやきながら、その場でその命を止めた。
511 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 02:16:28↑に入れ忘れ ランサー→凛 バゼット→士郎 アンリ→黒桜 士郎→イリヤ です
512 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 02:20:04微妙にミスがあったけど、上手く出来てると思った。 いや、GJ
513 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 09:00:25ちょw 士郎が乙女チックな死に際なんだがw
514 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 14:44:47「だって、誰かの為になりたいっていう思いが、間違『え』の筈がないんだからな」 微妙に台無し 間違え間違い悲しいな
515 名前: メイドを巡る冒険 投稿日: 2005/12/17(土) 15:26:10「武ちゃん、入りまちゅよ」 「いいよー……はぁ、疲れた」 「はい、ご苦労さまでした。んー、やっぱり労働の後の一服はありがたいねー」 缶を受け取り、唇を付ける武ちゃん。 それほどに紅茶を待ちかねていたのでちゅか。 武ちゃんのシナリオへの点数評価の前に、デスクの上の服に気付いた。 「……ん?」 ずいぶん見慣れない洋服でちゅ。 黒のワンピースに揃いになった白いエプロン。 まるでこれは…… 「メイドの服みたいでちゅ」 「みたいだ、じゃなくてズバリ使用人のお仕着せ。 なんでこんなところに置いてあったんだか」 紅茶を啜りながら、武ちゃんもメイド服を見ている。 使用人……そうか、今でこそ武ちゃんは一人暮らしでちゅが、考えてみれば――― 「いたんでちゅか? 武ちゃんの家にメイドって」 「……月姫の頃はね。 TYPE-MOONが企業になる頃までずっと勤めた(脳内)家政婦さんも実家に帰っちゃって」 「このお仕着せもその時に処分したと思ったんだけど、ひょっこり出てきたんだ。 せっかく見付けたけど、どうしようかと思ってね」 「どうしようかって……着るんでちゅか?」 服である以上、用途はそれしかない。 「……ふーん、きのこってそういう好みなんだー」 「なんでそんな話になるんでちゅか。 服なら着るしかないでちゅ。飾っておいてどうするでちゅか」 「ふふふ、どうだか。 イリヤスフィールのメイドたちに違和感たっぷりの目を向けてたの、 あれはホムンクルスだったからじゃなくて、 あのメイド服が気に入らなかったからじゃないのぅ?」 「…………」 実にイヤなニヤニヤでちゅ。 あ、あれは単に、白装束に頭巾まで被るっていう、 武ちゃんの徹底ぶりに感心しただけであってでちゅねっ。 「な、ならアンタが着るんでちゅか、武ちゃん」 「冗談。TYPE-MONNのエロい人ある俺が、 どうして、使用人の服を、着なきゃ、いけ、な―――」 黙られた。
516 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 17:54:57あんたぁ、凄ぇよ。
517 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 17:56:28実は既にその作務衣の下にはッ
518 名前: 419の続き 投稿日: 2005/12/17(土) 19:07:20ちっと遅レスだが、>>424 に期待されてたみたいなんで作ってみた。 「はっ――――!」 繰り出される火のルーンに氷のルーンを合わせる。 互いの秘術は相殺し、大気に霧をまき散らす。 「おのれ、調子に――――」 アイツの右拳の先に鉛色の球が浮遊する。 「乗るなというのだ、英雄――――!!」 より早く、 地に突き立てた魔槍を抜き、一文字に薙ぎ払う―――! 「っ――――!」 後退するバゼット。 その間合いに踏み込み、さらに槍の柄で一閃する。 「ぐっ、何故だ・・・・・・! 何故打ち負ける、絶対反撃の宝具が・・・・・・!」 矢継ぎ早に刻まれる目くらましのルーンに槍を合わせる。 「はぁ――――はぁ、はぁ、はぁ、は――――!」 何も考えていない。 体も心も立ち止まれば止まる。 だから前に進むだけだ。 アイツが敵であるうちに、自信の全力を以って、渾身の力で打倒する――――! 「く―――やはり貴方は強い・・・・・・!」 この場での敗北を認め、バゼットは離脱する。 「逃が――――」 させない。 冷静に戻ってしまったら戦えない。勝負はここで、この熱が冷めないうちに付けなくては――――! 「すかってんだ、このヤロウ――――!」 「チィ―――――!」 避けられぬと悟ったのか、アイツは残った右腕で背後に転がした筒から宝具を引き出す。 だがこちらが速い。 『―――刺し穿つ死棘の槍』 勝負はついた。 黒い孔。 拳一つを飲み込めるほどの丸い孔が、 俺の目前――――バゼット・フラガ・マクレミッツの胸に、空いていた。
519 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 19:55:41>>515 どこぞのきの子を思い出した また書いてくれないかなー
520 名前: 515 投稿日: 2005/12/17(土) 20:27:10>TYPE-MONN おれバカスwwwwwwっうぇwwww 死のう
521 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 21:04:24言われるまで気づかなかった ……タイプモン吹いたw
522 名前: 慎二OH!→Heaven's Feel VS黒セイバー 投稿日: 2005/12/17(土) 21:04:27―――時はきた。聖杯の起動を賭けた人でなしどもの戦いを始めよう。 貴方は宿命に巻き込まれた魔術使い衛宮士郎。 大聖杯の眠る竜脈の中心柳洞寺の地下、アンリマユの眠る洞窟へやってきたのだが、 『守護者の腕』の移植によって心と体が狂いだしてしまった! しかし大聖杯は待ってはくれない。 アーチャーの腕の激痛に悩む貴方の前に、以前ともに戦った折に死んだ筈のサーヴァントセイバーが現れた……! 一人で戦うなら剣を投影、ライダーに任せるなら盾を投影せよ。 「──────、な」 なにかが心に残っている。 脳の言語中枢が削れていっている為、どういう意味なのかはまったく分からなかったのだが、 「な、なんてコト……!この変な黒いのがセイバーで、なんだかここが大聖杯直前で、 こいつを倒さないとは桜を救うことができないだと……!!!?」 とまあ概要はおおむね掴めた。 「はっはっは!うひょークケケケカカカカ! その通りですサクラを選んだHeaven's feelルートのシロウ!ああ待っていました、 ワタシのグッドエンドを待っていましたよきのこよ!」 「貴様、ホントにセイバー―――!?」 「ホホホホホホ! ホンモノかですって?ホンモノかですって?ホンモノかですってぇ? 分かりませんか、そうでしょうともわからないでしょうとも黒くなっちゃった私! すごいですよ気持ちワルイですよー! 見て見てシロウ、聖杯の泥とかサブキャラ(サクラ)の妬みとか、きのこの暴走とか そういうのが溢れてもうタイヘンですとも!」 吹きすさぶ風王結界、荒れ狂う魔力、激震する大洞窟。 そしてピーピーと口笛を吹いて他人のふりをするライダー。 いろんな意味で物語の終わりとも言える展開がいま惜しげもなく大展開。 くっ……このふってわいた製作期間の打ち切りにメーカーも修羅場っているというのかッッッ!!!!? 「ま、まさかオマエは―――セイバー……!!!? バカな、オマエはもっとメインヒロインっぽい真面目キャラだったはずだ!」 「ハラペコじゃないのねー! いや、キャラ的にはほとんどイロモノ化していましたが、だからこそボツキャラ化から蘇ったのだ主人公シロウよ! ククク、アルクエイド、遠野家ルートで出番がなかった前作メインヒロインの力がワタシを大食いキャラ化せたのです! んー、満足させて欲しいものですね、この滾る食欲を」 「まあいいや。 ともかく俺たちはFate/stay nightを終わらせるために選ばれた戦士なんだな!? イリヤルートとか藤ねえルートとかがないことをごまかすのが宿命なんだな!? 俺はサクラの為に、オマエは食欲を満たす為に戦うんだな!?」 「ナイスリアクション!話が分かるではないですかシロウ! さてはだいぶ脳がけずられてますねアナタ!」 「ああ!さっきまでお前と過ごした記憶が残ってたけど食べたり食べたり食べたりとかばっかのお前との思い出なんか知らん! そんなワケで行くぞイロモノ(メイン)ヒロイン…! オマエにはせめて最後に感謝の言葉を残すッッッッ!!」 「ク―――吠えるではないですか我がメシ使い。 ですが今日はお腹が減っていない分私の方が強い、満腹したワタシの力を思い知るがいい……! 行きますシロウ! ここで夕食の催促をしてワタシの間食(ターン)エンドとしますッッッ!」
523 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 21:07:13ダメ黒剣ー!?ww それは反則じゃよー
524 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 21:33:16満腹なのか腹ぺこなのかはっきりしろw
525 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 21:46:42>>そしてピーピーと口笛を吹いて他人のふりをするライダー。 そりゃあなぁ。 他人の振りもしたくなるよなぁw
526 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 21:46:56黒化してもダメセイバーっぷりに違和感なしかよ!w
527 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 21:57:06>藤ねえルートとかがないことをごまかすのが
528 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 22:05:55そりゃこんなにブッチャケれば思い出すことも許されないわな 色んな台詞がガツンガツンと心に響くゼ
529 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 22:16:55セイバー 黒でも青でも腹ペコでもかわいいよ セイバー
530 名前: セイバー→ランサー 投稿日: 2005/12/17(土) 22:35:54「橋の上の自動車道―――確かにここなら足場も視界も確かだが――」 「ランサー、十時の方角! 目標を確認しなさい!」 ―――ニ撃目。 射撃間隔は二十秒。 「確認した……! センタービルの屋上に狙撃手がいる……!」 さすがランサー。 今の一撃で敵の位置を確認してもらえたのは大きい。 「あのヤロウ、ここに来て、漸く弓兵の本分に立ち戻ったって事か……!」 ハッと、愉しそうにランサーが獰猛な笑みを見せる。 三撃目。 残る猶予はあまり多くない。 いずれランサーは膝を屈し、私は死ぬ。 それは、この戦法で導き出される、変えようのない結果だった。 ……アーチャーの狙撃は一撃ごとに力を増している。 ランサーに防がれる度、より多くの魔力を籠めている為か。 今のが二十五秒、おそらく次は三十秒。 この射撃の間隔がヤツの弱点だ。 一撃防いだ後、次弾を装填する前にこちらから打って出れば、 敗北は避けられる。 ―――だがどうする? 直線距離にして四キロメートル、道なりに向かえばその倍はかかるだろう。 ランサーの宝具を以てすれば対抗はできるが、ゲイボルクでは正確すぎる。 確実に心臓を目掛けて飛ぶ一撃では軌道が読まれる恐れがあるし、 そもそも相手はアーチャーだ。 投影によって宝具すら再現するヤツなら、宝具に対する防備もしている筈だ。 卓越した狙撃手に対して有効な手段は、接近してからの白兵戦。 しかし狙撃手に気付かれないよう近づくのは不可能だ。 ならば―――狙撃手が対応する前に、 超スピードをもって槍の間合いに肉薄するだけの事……! (ランサー!) パスを通して意志を伝える。 ヤツが鷹の目を持つというのなら、唇の動きで悟られてしまう。 勝負は一瞬だ。こちらの意図を読まれる訳にはいかない。 「―――可能だ。だが、オレの魔力だけでは足りない。 悪いが、アンタの魔力を足しても十分じゃ――」 「十分です。こちらにはコレがある」 左手には、一つだけ残った令呪。 「……! だが、それは最後の手段だ! それに、うまくいったところで誰がお前を守る!」 「その案には賛同しかねる、ここは一度撤退して――!」 「それこそダメです。そもそも退こうなどと、貴方らしくもない」 ランサーだけなら幾らでも持ち堪えられる。 けれど私がいては二人とも倒されてしまう。 矢避けのとて万能ではないのだ。ランサー自身に対してであればともかく、 私に向かって放たれたモノを防ぎ続けるには限度がある。 だが、この状況で後退など私とクー・フーリンの沽券に関わる。 故に、退くのではなく押し通す。 令呪を失うのは大事ではない。 重要なのは、敵を倒したという結果のみ。
531 名前: セイバー→ランサー 投稿日: 2005/12/17(土) 22:37:34―――四撃目。 猶予はもう残っていない。 「令呪でバックアップします。行けますねランサー」 時間がない。 毎度の事ながら、これでも最善のスピードだ。 「……まったく、本当にいい女だよ、アンタは」 大きく構えを落とすランサー。 その体勢は、力を溜める猟犬そのものだ。 「―――指示をマスター。この命はアンタのものだ」 槍が鎌首を上げる。 赤く灼熱する槍を握り、ランサーは自らの両足に全魔力を注ぎ込む。 「次弾に合わせます……! あと十五秒……!」 ラックを取り出す。 私がやるべき事はタイミングを合わせる事ではない。 難問は二つ。 令呪を解放した後にこそ、バゼット・フラガ・マクレミッツとしての真価が問われる。 「―――令呪、起動」 十秒。 令呪はサーヴァントの一時的な強化を可能とする。 その膨大な魔力を、サーヴァントの活力として変換する力技だ。 ランサーの肉体を満たす程の力。 伝説の時代、どのような絶望的な状況でも覆した赤枝の戦士が甦る。 令呪による命令は“飛行” 何の比喩でもない。文字通り、ランサーはここからセンター ビルの屋上めがけて“跳ぼう”としている。 ランサーには一息で五〇メートルもの距離を跳躍した前歴がある。 あの戦いの再現―――いや、移動を前方のみと限定するのなら、 あとは跳躍時の魔力を増せば飛行距離は向上する。 令呪の全魔力を“跳ぶ”事だけに使用すれば、この長距離をゼロにする事も不可能ではない……! 「聖杯の誓約に従い、第三のマスターが命じる」 五秒。 対するは無銘の弓兵。 投影した宝具を矢として使用する正体不明の英霊。 今度こそはと狙う鏃の名は『赤原猟犬』。 ―――修正、プラス五秒。 更に溜めが長い。限界まで引き絞った弦はランサーの魔力燃焼に対抗する為、 より力を増していた。 だから、問題はタイミング。 先に跳んでも、同時でも危うい。 ランサー自身が矢となる以上、アーチャーが矢を放つ前に跳んではランサーを狙い打たれてしまう。 故に狙いは射撃の直後。 ヤツが矢を放った瞬間、0,1秒の差でスタートを切る。 渾身の一撃を放ったアーチャーが次弾を装填する前に、 いや矢を放ち終わった直後の硬直に、 直接槍を叩き込む――― 互いの魔力が咆をあげる。 月を揺るがすような両者の対峙。 五。まだ早い。 三。緊張で令呪がもげそうだ。 一。ぎし、とヤツの指が狙いを定める。 ランサー……! 「行きなさい、あの敵を貫き殺せ――!」
532 名前: セイバー→ランサー 投稿日: 2005/12/17(土) 22:38:32衝撃をともなってランサーが解き放たれる。 タイミングは完璧だった。 だが―――令呪だけでは、この敵は突破できない。 欄干を揺るがす強風に視界を覆われながら、迫り来る魔弾を睨む。 時間が止まる。 秒に満たぬ空白、血管中に血液が失踪する。 令呪使用から実に一秒。 「、はっ―――、はっ」 緊張と恐怖で息が切れる。 右手が熱い。 ゼロ秒後の死が見えている。 「斬り抉る(フラガ)――」 握り締めた拳が音を立てて軋んでいる。 駆け巡る魔力、展開される宝具。 解放まであとゼロ秒、直撃まであと――― 「―――戦神の剣(ラック)―――!」 ―――その光景を、アーチャーは確かに見た。 呼吸する力すら右腕に終結させての一撃。 火花を散らす迎撃宝具。 罅が入り砕け散る逆光剣。 死を恐れぬ迎撃をもって、相手のマスターは一度きりの防御を成功させたのだ。 勝敗で言うのなら、未だ弓兵に分がある。 今のは渾身の一撃ではあったが、切り札ではない。 故に、逆光剣はその真価を発揮せず、弓兵の矢は弾かれたといっても健在なのだ。 矢はすぐさま翻り、女の額を直撃する。 ……そう。 矢を放った射手が、健在である限りは。 「―――第五射から二秒弱。 盾を出すどころか、剣を構える事も出来ぬとは。 ……少しばかり、本業に戻りすぎたようだ」 皮肉な話だ。 もとより弓兵らしからぬ弓兵がこの男のスタイルだった。 弓よりも双剣による接近戦を好んだサーヴァントは、 本来の戦闘方針に戻ったが故に、ランサーの一撃に対応しきれなかったとは。 「アーチャーの名に恥じぬ一投だった。 傍にあの嬢ちゃんがいたのなら、この結末にはならなかっただろうよ」
533 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 22:46:24ただ登場人物が変わっただけで、意外性にかけると思われ。 4km先の敵を『偽り写し示す万象』と『斬り抉る戦神の剣』で迎撃する アンバゼのコンビとかのが面白かった気がします。
534 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 23:00:55つかVS弓ならラックだけで倒せそうな気もするな>>533 アンリ死んじゃう!死んじゃう!
535 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 23:03:57固有結界なんか使わないし発動しねーだろ
536 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 23:16:29ランサーなら視認できる相手からの射撃はスキルで受けなかった気がするが、超長距離だから無理という前提か ランサーに守り任せてバゼットのフラガラックの閃光が空を駆けるのも面白かったんではないかと>>533 アンリじゃ無理ぽ。盾になるのが限か……そうかそういうことかダメット……!
537 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 23:25:34受けないわけじゃない 射線とかそういうのがわかるだけで避けたり防いだりはしなきゃならん
538 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 23:27:53予め知ってるか直感発動でもしないと一発目で脳漿ぶちまけるな
539 名前: アーチャー→アンリ士郎 セイバー→カレン 投稿日: 2005/12/17(土) 23:40:56「―――挿入から二秒弱。 おまえをイカせるどころか、外出しも出来ないとは。 ……少しばかり、本業に戻りすぎたようだ」 皮肉な話だ。 もとよりエロゲ主人公らしからぬ主人公がこの男のスタイルだった。 攻めよりも受けによるシチュエーションを好んだ主人公は、 本来の性交方針に戻ったが故に、興奮しすぎて対応しきれなかったとは。 「主人公の名に恥じぬ一突きね。(この早漏)」
540 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 23:42:55「恥ぬ」なのか? けど、GJ!
541 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 23:44:24>>531-532 はこうすればよかったんだ 五。まだ早い。 四。緊張で令呪がもげそうだ。 三。ぎし、とヤツの指が狙いを定める。 二。・・・・・・。 いフラガラックゥー!!! 衝撃をともなってフラガラックが解き放たれる。 タイミングは完璧だった。
542 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 00:00:04糞ワラタ 五秒は!五秒は待とうよダメット! どう見ても先出しです本当にありがとうございました DEAD BAD END ―― restart.
543 名前: 士郎→志貴 切嗣→アルク 投稿日: 2005/12/18(日) 00:16:28人殺しをした次の日に、その殺したはずの女はやってきた。 「こんにちは。わたしを殺した責任、とってもらうからね」 天真爛漫な笑顔を向けて言ってくる。 それはたまらなく冷たくて、とてもぞっとする声だったと思う。 「率直に訊くけど。路地裏で肉片になるのと、初めて会った人間に扱き使われるの、 どっちがいい?」 そいつは自分を生かしてもいい、と言う。 モシカシテアナタイイヒト? と訊いてみれば、紛れもなくちがうよ、なんて返答した。 ……とにかくほのぼのとしていて、危機感をわかせるヤツだった。 けどデッドエンドとそいつ、どっちマシかは、まあ、議論の余地はない。 それなら、とそいつのところに行こうと決めた。 「そう、良かった。なら早く葬式をすませないと。 これから常在戦場、一日でも早く馴れなくちゃいけないしね」 そいつは慌ただしく俺の荷物を投げ捨てた。戦士に穏やかな日常などないのだよ。 その飛距離は、七夜だった自分から見てもすごいものだった。嫌がらせか。 で、速やかに荷物をまとめた後。 「あ、大切なコトを言い忘れた。 死地に赴く前に、一つだけ教えなくちゃいけないことがあるんだ」 いいかな、と。 これから何処に逝く? なんて気軽さで振り向いて、 「―――――うん。 初めに言ってくとね、わたしは吸血鬼なんだ」
544 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 00:33:12まあ、そうでもなければ殺した相手にこき使われるなんてありえないよなw
545 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 00:33:59「―――問おう。貴方が、私のマスターか」 凛とした声で、そう言った。 「え……マス……ター……?」 問われた言葉を口にするだけ。 彼女が何を言っているのか、何者なのかも判らない。 今の自分に判る事と言えば―――この小さな、華奢な体をした少女も、 餌を漁りに来る虎と同じ存在という事だけ。 「……………………」 少女は何も言わず、静かに食卓を見つめている。 ―――その姿を、なんと言えばいいのか。 この状況、隣では藤ねえが隙あらばおかずを掠め盗ろうとしてくる状況を 忘れてしまうほど、目の前の相手は特別だった。 自分だけ時間が止まったかのよう。 先ほどまで頭を占めていた飢えた虎のことはどこぞに消え、今はただ、 目前の少女だけが視界にある――― 「サーヴァント・セイバー、召喚に従い参上した。マスター、食事を」 二度目の声。 その、マスターという言葉と、セイバーという響きを耳にした瞬間、 「――――っ」 左手に痛みが走った。 熱い、焼きごてを押されたような、そんな痛み。 思わず左手の甲を押さえつける。 それが合図だったのか、少女は静かに、可憐な顔を頷かせた。 「―――これより我が朝食は貴方と共にあり、貴方の夕食は私と共にある。 ――――ここに、契約は完了した」 「な、契約って、なんの――――!?」 俺だって主夫の端くれだ。その言葉がどんな物か理解したくない。 だが少女は俺の問いになど答えず、頷いた時と同じ優雅さで顔を背けた。 ――――向いた先は台所の片隅。 その奥には、未だ食材を蓄えた冷蔵庫の姿がある。
546 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 01:13:58>>545 見事。 この光景を見たアチャの感想を聞いてみたいところだな。 あと近くにいるであろう槍兄貴の感想も。
547 名前: 慎ちゃんと海 慎二→秋葉 士郎→志貴 投稿日: 2005/12/18(日) 01:33:14「あ、秋葉」 六時前の、まだ人気のないシュラインの屋上にぽつねんと秋葉が座っている。 「散歩に来た……ってワケじゃなさそうだな」 秋葉は手ぶらで、ぼんやりと三咲町を眺めていた。 「おーい、秋葉ー」 「……………………」 「なにやってんだー? 誰か待ってるのかー?」 「……うるさいです、ほっといてください。 どーせ、私はGなんです。どこ行っても足の踏み場はないし、 あったところですごい足跡残るし、気分転換に寮に泊まれば巨乳に絡まれるし!」 「どうです兄さん、羽居の胸90センチに対して私ななじゅうさ、さ、さ、 すげー、片手でも指が余る胸って正直調整おかしくない? つーかぁ、ペタより優れた胸など存在しねー」 そのまま屋上の隅っこに移動する秋葉。 ……本気でテンパっているのか、そのままだんごむしのように丸まってしまった。 ダンボールがあったら頭から被(かぶ)りかねない勢いだ。入ればだが。 その後ろ向きな勢いにお兄ちゃん不覚にも涙が止まりません。 「な。バカ言うな、負けるなG、立ち上がれG! そーゆー不遇な扱いにまったく気づかない、 まわりの空気をこれっぽっちも読もうとしない連中にもめげないのがおまえの強さだった筈だ……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりする。 「……いいんです、もう疲れました、もともと私は陰湿な性格なんです。 正しく遠野の血を引いてるんです。 父も、シキも、こーゆー風にはじっこで悩んでるのがお似合いなんです」 ますます閉じこもる秋葉。 まー、こんな見晴らしのいい場所で引きこもるあたり、秋葉はやっぱり大人物なんだと思う。 「……いいから、さっさと余所に行ってくれませんか? 私はとなみんZを待ってるんです。 私が主役になる最後のチャンスなんです。 手ぶらの兄さんに用はないんです」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 うーん。なんか、今の俺では処置なしの気がする。 逃げた琥珀さんを捕まえたらまた寄ってみよう。
548 名前: ―アトゴウラ― バゼット→秋葉 ランサー→志貴 投稿日: 2005/12/18(日) 01:47:16 遠野家に続く坂道で私たちは落ち合った。 遠野志貴は約束を守ったのだ。 「よ、シオン。なんだ、時間よりちょっと早いな」 軽口を叩くその姿はいつもの軽装である。 この男のナイフを握り締めた姿を見るのは半年ぶりだ。 ……ああ、そうか。 あの戦いが終わって、もう半年も過ぎていたんだ。 「それで、どう戦うというのですか。 秋葉の戦法は知ってると言っていましたが、対策は立っているのですか?」 いまだ見ぬ秋葉の切り札、檻髪をどう封じ込めるかが勝負所になる。 「いや、檻髪を封じるのは難しいな。あれはよく出来た異能だ。真っ正直に戦えばまず負ける。 こと切り札の出し合いなら、檻髪は最強の一つと言っていい」 志貴は語る。 檻髪を破るのは難しい。アレは見るだけで発動する、一方的な飛び道具だと。 故に、秋葉を倒すのならまず迅速な離脱、次いで死角からの奇襲。 秋葉の視界の外まで離れれば、檻髪の効力も半減すると言うのだ。 「それだけですか?」 「それだけ。こっちの姿が見えなけりゃ秋葉にだって視力に限界はある。 ま、向こうは好きに切り札を使えるんで、それでもちょっときついんだが」 その戦い方でも負ける事はない、と遠野志貴の目が告げている。 ……考えてみれば、志貴には生半可な魔術は殺され、 投げナイフや矢といった通常の遠距離攻撃はかわされる。 戦士としての基本能力で秋葉を上回っている以上、堅実に戦えば勝利し得るのだ。 だが。 「秋葉はマキでケリをつける。 すぐに済むから、シオンは離れて様子を見てろ」 檻髪には死角から奇襲。 そう断言しておきながら、志貴はあの檻に挑むと言った。
549 名前: ―アトゴウラ― バゼット→秋葉 ランサー→志貴 その2 投稿日: 2005/12/18(日) 01:48:07 坂を登り、仮初めの闘技場へ。 月光は鈍く、見上げると少しだけ目が濁った。 今夜は月が暗いのか、星が近いのか。 手を伸ばせば虚空(ソラ)をかき出せそうな暗天の中、二つの人影が、俺たちを待ち受けていた。 何度めかの同景。 黒い影を従えた遠野の鬼は、今まで通りにやってきた敵を見据え、 「――――――」 幽霊でも見たかのように、遠野志貴を凝視していた。 志貴は秋葉を意識する事なく、人差し指で敵との間合いを計っている。 ひいふうみい、よ。 距離にして約十メートル。 何があっても対応できる間合いまで歩き、ナイフの先を地面に向けた。 「―――身長57メートル」 何かの呪(まじな)いか。 意味不明な言葉をつぶやいたものの、これといった魔術の働きはない。 志貴はブン、と一度だけナイフを振る。 ―――かかってこい、と。 名乗りもあげず、戦意だけを示している。 「琥珀―――何よ、アレ」 影に問う秋葉。 「何って志貴さんですよ。一目瞭然じゃないですか」 「そんな筈ありません。あんな男は、今までいなかった。 アレは誰よ琥珀。 アルクェイド(巨乳)でもない。シエル(巨乳)でもない。 シオン(巨乳)でも髪の赤いの(巨乳)でも巨乳(羽居)でもない。 アレは―――」 「それこそ一目瞭然じゃないですか。 ねえ秋葉様。あの眼鏡を見て、まだ何も分からないんですか」 ケラケラと影が笑う。 この時。 あの少女は戦意を見失っていた。 現れた敵を見て、自分でも分からない理由で、泣き出す一歩手前だった。 ―――志貴の、非情な言葉が刺さるまでは。 「おい。今からお前にお仕置きする訳だが」 「え―――?」 怯えるように拳を構える。 そこに以前の気迫はない。 「待って―――待ってください、私は―――貴方と戦う理由はありません。 貴方だって、私と戦う理由は」 「あるだろ。俺は夜を明かす為に来た。 異常を全てなくすまで怪夜は終わらない。 俺は今、お前にお灸をすえるためにここにいる」 影が笑う。 その通りだと笑っている。 「ちが―――わた、私は貴方とは戦わない……! そうよ、貴方とは戦わない、貴方とは戦わない、貴方とは戦わない……! だって、だって―――貴方、私のコト―――知って、る……?」 「知らない。お前みたいなデカイのに覚えはない」 一言に付(ふ)す。 少女は糸の切れた人形のように膝をつこうとし、 「――――――では、貴方は私の敵ね」 つききれず、ロビーの床から顔半分ををのぞかせた。 「そうだ。この“四季の浅慮(アトシラネ)”、遠野家の者なら意味が分かるだろ」 「……その陣を布いた戦士に敗走は許されず。 その陣を見た戦士に、退却は許されない。 ―――我ら遠野家に伝わる、一騙討ちの大禁戒だ」 その言葉こそ、志貴の刻んだ魔術の真価だったのか。 少女は戦士としての貌を取り戻し、少年は飛び出しナイフを逆手に握る。
550 名前: ―アトゴウラ― バゼット→秋葉 ランサー→志貴 その3 投稿日: 2005/12/18(日) 01:49:01 ……大気が凍る。 志貴の持つナイフが、主の呼び声を今か今かと待っている。 遠く十メートルの彼方には、ロビーに半身が埋もれた少女の姿がある。 あの大きさこそそこのフードをかぶったナニ少女の秘奥、まききゅーSEX。 姉の実態を知る翡翠にして、処置なしと言わしめた究極の愉快礼装。 だが、そう公言されて尚、手を緩める事はなく。 「――――――本気なんだな」 志貴の腕に力が籠もる。 眼鏡をはずす。志貴は自らの体さえ槍と成し、 「覚悟して下さいね、■■■―――」 ドリルが展開する。 ヤな呪力、アレな概念によって守られた神の拳(アポカリプス)が志貴に狙いを定め、 「―――視えた―――!」 跳躍と同時に蒼みがかる眼。 先制は遠野志貴。 「―――蚊トンボのクセにっ……!」 迎撃する黙示録は“ドリル” “四季の浅慮(アトシラネ)”の誓いに様子見はない。 両者は最大の一撃を以て、目前の敵を粉砕する……! 線と面が交差する。 一撃は共に必殺。 少年には拳を防ぐ盾はなく、少女にはナイフを躱(かわ)す術はない。 しかし。無印という条件であるならば、少女が傷を負う事はない。 ほんの僅か。 ほんの僅かでも速く少女の拳が着弾したのなら、戦いはその瞬間に決するのだ。 ドリル。 この拳が斬り抉(えぐ)るのは敵の心臓にあらず。 今日こそ勝つぜというプレイヤーの意気込みをこそ両断する、必勝の魔拳である。 G-ATTACKモードの特性上、この対戦が最初に選択できるという事はあり得ない。 プレイヤーがアーケードモードを一度以上クリアしている事。 それこそがG-ATTACKモードの発動条件だからである。 選択は常にプレイヤーに。 故に、たとえドリルの一撃が敵を倒そうと、同時に敵はすぐにコンティニューする。 必殺の迎撃はその実、都合のよいルーチンになるまでコンティニューを繰り返す目安となるのだ。 しかし、G秋葉の拳はそれを覆す。 うっかり跳び蹴りをかましたところに、 吹き飛ばしてあげます吹き飛ばしてあげます吹き飛ばしてあげますっ! 蚊トンボのクセにっ! 相手がいかなガードをしようと更なるhit数をもって命中、絶命させる。 針の如く収斂(しゅうれん)されたhit数は、それ自体確かに誇るべきだろう。 だが真に恐るべくはその特性。 Final round。 G-ATTACKモードその二つ名の通り、因果を歪ませ、負け即終わりにしてしまうのだ。 その結果がどうなるか。 どれほどのコンボをもってしても、死者にその力は振るえないように。 先に倒された者に、反撃の機会はない。 G-ATTACKモードとはその事実を誇張するモード。 俺、目下十七連敗中。 それはあらゆる攻撃を無効化(キャンセル)する すごい hit数の 魔拳。 アポカリプスを元ネタにした、相討(そうとう)無効のなりたのトリック。 そして。 その呪いは、先にコマンド入力した志貴にも例外はなく―― 「――――――」 ドリルが迫る。 一度発動したドリルを破る手段はない。 直死の魔眼にドリルを合わせられた時点で負けなのだと、少年は熟知していた。 ドリルに負けないモノがあるとしたら、目からビームか、烏ワシャーのみ。 率直に言えば、“遠距離攻撃”がG秋葉の天敵と言える。 無論、志貴にそのような必殺技はない。 少年は始めから、この結末を理解した上で戦いに望んだのだ。
551 名前: ―アトゴウラ― バゼット→秋葉 ランサー→志貴 その4 投稿日: 2005/12/18(日) 01:49:51 あの時。 一瞬だけ、目の前の男が揺らいで見えた。 「―――言いたくないんだけどさ。 わりとせっぱ詰まってるんだ、こっち。タイムアタックがあるとは思っていなかった」 それが何を指しての事なのか、彼女に解る筈もない。 ただ、 「頼むよ。このままだとつまらない結果になる。 彼女がそういう風になるのは、イヤなんだ」 その男の愚痴は、彼女も覘いた覚えがあったのだ。 少し昔の話だ。 『よかった。なら約束してください。もし私が変わってしまったら、貴方の手で殺してくれるって』 すらりと。 まるで何でもない事のように、秋葉は言った。 ―――それは奇しくも、町に潜む鬼を打ち倒した昔話。 その少女は、もはや人間ではなくなっていた。 シキに狂わされ、血にのまれた。 変わった眼をした少年がただ一人愛した女は、もう、自分で死ぬ事さえできぬ運命だった。 遠野の者はいずれ遠野よりになり、戻れなくなる。 鬼の身で人を愛した者への報酬は、人世でも幽世でもない場所への栄転(ついほう)だったのだ。 「……だから、殺して。 いつか、私が変わり果ててしまった時、それまで私の事を愛していてくれたのなら、 私のために殺してください。 私が罪を犯すまえに。変わってしまった後も、 私が私自身のままでいられるように。 ……私が、遠野志貴の妹でいられるうちに」 陰鬱とした屋敷の離れで少女は笑った。 彼の好きな優しい笑いだった。 月明かりの下。 いつか一緒に話をした紅葉の木の下で。 秋葉は、ぼんやりと立ち尽くしていた。 それでも――― ―――殺して、ください くすくすと少女は笑う。 少年は少女を抱きしめ、 「どんな姿になっても―――俺はおまえに生きていてほしいんだ、秋葉」 ……そう願うことはいけないのか。 「―――けど、約束だもんな」 秋葉は離れない。 抱きしめたまま、秋葉の『線』にナイフを当てる。 ―――ナイフは音もなく。 おそらくは痛みさえなく。 「俺が、おまえの唯一人の相手だから、さ」 ―――優しく、秋葉の命を止めた。
552 名前: ―アトゴウラ― バゼット→秋葉 ランサー→志貴 その5 投稿日: 2005/12/18(日) 01:51:16 ドリルが、少年の胸を貫く。 「っ…………!」 しばし忘れていた激痛に高揚する。 崩れゆく五指に力を籠める。 思えば寄り道ばかりの人生だった。 何者も何者の代わりには成り得ないが、それで救われる者がいるのなら、 果たせなかった若さの悔いをここで晴らそう。 口端にのぼるは決意の冷笑。 少年は抉られる身に顔をしかめ、 「ああ、しかし―――どうしてこう、死ぬことにばっかり縁があるのかねぇ」 今更ながら、己が縁に愚痴を言った。 「取った…………!」 そうして、少女は勝利を確信した。 敵の一閃を上回る速度で命中するドリル。 この瞬間、敵の攻撃は『起き得ない事』となり逆行するように消滅する。 それがこの世の理。 当たり判定という絶対的な秩序に守られた、当然の帰結である。 「―――、え?」 だが知るがいい遠野の秩序を繰(く)る者。 概念は概念によって破られる。 ルールの呪いは、彼女自身にも例外なく存在するという事を。 パスパスパス―――――― 破裂した。 イナズマの如き発砲は衝撃波をすり抜け、被弾した瞬間、 注射器となって少女の内部に薬を浸透する。 「ぁ―――この、ナイフ」 破裂する。 痛みと驚きが、閉じこめていた記憶をブチ撒ける。 まききゅーSEXが巨大化させる呪いならば、このとなみんZこそは因果を逆転させる呪いの薬。 体内に注入された瞬間、となみんZは『アンチまききゅーSEX』という結果を持つ。 ならば―――やけを起こして、怪獣の真似事をしても無駄なこと。 巨体を元に戻す結果を持った薬は、発砲者が死亡したところで、その責務を果たす為に疾駆する。 ……ああ、そうだった。 この敵が誰だったかは、気絶寸前の頭では解らないけれど。 これはルールとルールの潰し合い。 この人は世界でただ一人、私が私に還れる相手――― 「お前に、別離(わかれ)は言っていなかった」 気がつけば、少年は目前にいた。 少し遠い。 せいいっぱい手を伸ばしても、きっとぎりぎり届かない。 「……忘れ物だ。これは、お前に返しておく」 刃先が仕舞われる。 カランと硬い音をたて地面に落ちる。 薬が効きだして、少女の体が縮みだした。 廃墟となったロビーに倒れ込む。 少女は意識が遠ざかる中、うつろな瞳で、 「―――、あ」 地面に転がった、飛び出しナイフを見つけた。 思い出がある。 思い出があるので、なんとか手を伸ばして握り締めた。 それで胸が少しぐらい減った気がしたけど、ナイフの手触りの方が嬉しかった。 「知ってる。これ、だって」 倒れたままポケットに手を伸ばす。 が、腕はもう動かなかったので、仕舞っていたお守りは取り出せなかった。 「あ……ねえ、待って。 わた、し、これと同じの、持って、る」 何が言いたいのか自分でも分からない。 ただ、ポケットにあるモノを見せられないのが悲しくて悲しくて、余計に分からなくなった。 少年は立ち去っていく。 少女は悲しそうな目で、嬉しそうに繰り返す。 「待っ、て。……私、持ってるの……持ってるの……持ってるの……持ってる、の―――」 その声も、十秒ほどで停止した。 都合一分。 十八度目の挑戦は、記録更新だった。
553 名前: ―アトゴウラ― バゼット→秋葉 ランサー→志貴 その6 投稿日: 2005/12/18(日) 01:53:03「あー、割りあわないな」 秋葉から離れ、重い溜息をつく志貴。 腰を下ろして血まみれの体を支えている。 「――――――」 ……ともあれ、勝敗は決した。 残るは秋葉の家政婦、フード姿の怪しい少女のみ。 そのヤツもGを失った今、大した力は持っていないだろう。 「お見事です。 で、わたしとやる気力は残ってますか志貴さん?」 「残ってる……と言いたいけど、ほら、なんだ。 こっちの問題で無理そうだな」 志貴の体が崩れ落ちる。 もとより志貴の体は欠陥だらけである。 ドリルを食らい、志貴だけ勝ち残る道理はない。 「悪いな、後は好きにやってくれ。 だいたい、俺の仕事はここまでだろシオン?」 これも潔い、と言うべきなのか。 志貴は“やばかったぁ・・・・・・。秋葉のヤツ、隠れて特訓でもしてるんじゃないだろうな・・・・・・?” などとぼやきながら、あっさりと気絶した。 「――――――」 ……しかし、これでどうなるのか。 あの夏を再現していたと思われる秋葉は倒した。 劇的な変化はないが、これで夜が明ければ“ワラキア”の縛りから解放されて――― 「まさか。秋葉様を倒したところで今夜は終わりませんよ。 なにしろ、わたしがいる限り何度でもGになりますから、秋葉様は」 影が笑う。 主人が倒されたというのに、フードをかぶった少女は何のペナルティもなく存在している。 「おまえは―――」 「まあ待ってくださいな、そう張り切らないでください。 せっかく秋葉様を倒したんです。とっておきのショウタイムが待ってますよー・・・・・・って!」 「……!」
554 名前: ―アトゴウラ― バゼット→秋葉 ランサー→志貴 その7 投稿日: 2005/12/18(日) 01:54:05 月が染まる。 いつの間にか、屋敷の周囲にはあの怪奇生物たちが集まっている。 “失敗にゃー 失敗にゃー 失敗したにゃー” 「くっ…………って、なんだ……? コイツら、全然やる気がない……?」 怪物たちはピクリとも動かない。 爛々と光る眼は、オレではなくあのフード姿の少女を見つめている。 ……他人の失敗を喜ぶ、下卑た歓喜に歪みながら。 “そうにゃー、そうにゃー、まあた、今度も失敗したにゃー” 「きゃ――――――――! お化け! 人類史上かつてないほどブサイクなお化け登場です――――――――!」 死に怯える死刑囚のような声。 ああ、イヤだ、と。 あの少女は本気で私に助けを求め、そして。 バリバリと、おぞましい異形に変形していった。 “照れるにゃ照れるにゃ。にゃーんか、キミとは気が合いそうな気がするにゃー♪” 「な―――おまえは、一体」 同じだ。 カレイドステッキの中の人と呼ばれた少女は、 フードを溶かされながら、あの怪物と同じネコ耳に――― 「え・・・・・・きゃ、きゃ――――――!? ちが、違うんですシオンさん、アレはただの猫又で、わたしの苦手なお化けですー!」 “おまえもなーかーまーにーなーれー” ガチガチと震えている。 琥珀だったモノは周囲の怪物たちに怯えながら、正気を失って叫び続ける。 「シ、シオンさん、どどどどうしましょう、ネコアルクさんがやってきますよぅ・・・・・・! “猫にゃ”いや――――――! “お探しの猫にゃ”探してません! “割烹着は人を脅かすのは好きなクセに、脅かされるのは苦手なのにゃ” 見えない見えないもう何も見みえない……! “攻めに回れば強く、受けに回ればベタ弱。萌え” やめてやめて、来ないでよぅ、コロシニキタラコロシテヤル……!!!!」 ……黒い影が、怪物たちに飲まれていく。 その儀式が済むまで、そう時間はかからなかった。 怪物たちは一匹ずつ減っていき、最後には新しい、 フードをなくした、ネコ耳メイドがうずくまっていた。 「 」 目があった。 ネコ耳は気まずそうに目をそらし、ズシャーアー! と屋敷の中へ逃げていった。 「――――――」 ……ロビーに残されたのは私一人。 秋葉は跡形もなく消えている。おそらく、自分の部屋に戻ったのだろう。 「……ネコ、アルク……?」 その言葉は聞き覚えがある。 真祖の姫。半年前の怪夜において、そう呼ばれた女性がいた。 ……残る断片は、もはやそれだけ。 夜が明け、終わりを迎えようとするその一日。 女性の待つ教室で、最後の道が示される―――
555 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 02:01:58ツッコミどころが多すぎてどこに突っ込めば良いかわからんとは このリハクの節穴の目を以ってしてもワケワカランとはこれいかに?
556 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 02:47:07> 少女は糸の切れた人形のように膝をつこうとし、 >「――――――では、貴方は私の敵ね」 > つききれず、ロビーの床から顔半分ををのぞかせた。 なんか俺初めてGがかわいいと思ったわ
557 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 02:50:58もうちょっとシンプルにするべきかな?
558 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 03:40:42で、語りは誰なんだ?シオンとしか思えんが一人称がめちゃくちゃで…
559 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 05:05:52なんつーか個人的にはアトゴウラ改変は味方ギル対黒セイバー以外のネタが 今ひとつ面白さが理解できないな… あれは面白いというかカコイイというものだったが。 なんだろうな、キャラ入れ替えは正しいのだけど、それによって元の台詞と 完全に違う台詞をいうことになってわけわからなくなってるからか。 でも最近ネタを書き込まない俺よりはるかに凄いと思うので頑張って下さい。
560 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 08:55:00なんつーか最近は単純な反転ネタが無くて寂しいなあ。
561 名前: じゃあ小ネタ(アンリ→ハサン) 投稿日: 2005/12/18(日) 10:14:32 英霊と言っても私は大して出番がない。ホロウ中のキャラを見渡しても、私より出番がない英霊なんて存在しない。 イエーイ、アイムナンバーワン! ついてるね主殿、これ以上底はないぜ! いかに桜に食われたかを思い出すだけだから、作戦も立てようがないってもんだ。 ……そもそも考えたくないんだが、純粋な人気なら私よりあの慎二の方が上なんじゃないのか実際。
562 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 10:31:00>>561 まさに 正鵠!
563 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 10:36:09>>561 あれ、なんだか目から汗が
564 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 10:41:43>>561 的を射たり!
565 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 10:42:39>>561 全イスラム圏が泣いた
566 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 10:51:52ハサンはしょうがないにしても、せめてジジイは出してやれなかったのか・・・
567 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 11:26:51>>566 『あー、臓硯FDに出てこないかなー。どう思うよ?』 『オレは出ないと思う。だってバグ爺さんだし』 『わたしたちも出ないと思う。……じゃなくて、いい加減諦めなよ。わたしたち、あの怪奇バグ爺さんにはもううんざりなんだから』 『ええー!? なんだよー、マキリの爺さんは最高だろう!? 身体はチ○コ蟲で出来てるんだぜ!?』 『んー、まあそれが得なのかどうかは個人の趣味嗜好だけどねー。本体がか弱い少女の心臓に居るってのは正直どうなのよ』 『きのこはどう思うー? おまえが書くかどうかで蟲爺が出るか出ないか決定するんだけどなー。つーかオレの為に蟲爺書いてくれぞなもし』 『あ、ずるーい! それなら奈須さんハサン書かない? 小次郎とのアサシン対決しよっ』 『対決しよっ、じゃねーよ真アサシン派がっ! ハサンなぞに蟲爺の出番は渡さん! そんなシチュエーションが見たかったら自分でシナリオ書けるようになってから言え』 『しっつれーい! シナリオぐらい書けますよーだ。あんなのetaFスレと似たようなもんだもん。ねー、そうだよね奈須さーん?』 「…………いや、それ違うでちゅ。 今の一連の流れ、何から何まで違うでちゅ。というより、あのコンビの出番なんてプロット段階からないでちゅ」 『『『『えーーーーーーーー!!』』』』 蟲爺派とハサン派がそろって口をとがらせる。 こんな時だけ抜群のコンビネーションなんでちゅよね、TYPE−MOONスタッフ。
568 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 11:37:57>>567 始めどこの場面のパロか分からなかったけど、上手いなw
569 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 11:50:26>>567 これはうまい
570 名前: スパイラル・ラダー 投稿日: 2005/12/18(日) 12:43:08「――――――」 階段を登る。 地上は遠く、ソラは近い。 夢の具現。誰かの願い。 求めながら与えられなかった全てが、一歩ごとに遠のいていく。 それは―――もう関わりのない、遠い彼岸の物語のようだ。 何度あの街を歩いたか。 何度日常を噛みしめたか。 知らない場所はない。 体験しなかった出来事もない。 初めは未知だった白紙は、繰り返す度に埋まっていった。 埋めれば埋めるほど光を喪っていった。 日常を愛するほど、新しい日々を求めるほど、オレは関心(かがやき)を喪っていく。 それは当然の帰結であり、初めから分かっていた事だった。 楽しみは充分すぎるほど出揃っていた。 新しい出来事は必要ない。 たった一種類の四日間でも、永遠に繰り返すという契約を守っていける。 なのにどうして、オレはしなくてもいい事をし続けたのか。 被(こうむ)った人格の影響だけではあるまい。 多分、飽きたのだ。理由はそれでいい。飽きたから終わらせたくなっただけ。 そうとでもしなければ 何もかも、放り出したくなってしまう。 「っ、―――、っ―――」 輪郭が歪む。 足を踏み外しそうになる。 フラガ ・ ラック 「―――大丈夫。貴方は、我慢でき「“斬り抉る戦神の剣”―――!!」なかったのね」 それを。 強く握り締める拳が、完全に否定した。
571 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 14:32:34>>570 ダメットォォォォォォ!!
572 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 20:42:53否。その記憶は、こうした今も忘れ得ない。 昔、ある出来事があった。 おそらくは10分もなかった光景。 されど。 その事ならば、たとえ地獄に落ちようとも、鮮明に思い返す事ができるだろう。 ……あの光景は、目を閉じれば今でも遠く胸に残る。 「なに、心構えはできるだろう。冬のテムズ川は厳しいぞ? 泳ぎは達者になっておけ」 実に愉快そうに笑いやがる。クソ、もう他人事だと思いやがって。
573 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 22:08:25―――時はきた。聖杯をかけた魔術師の戦いを始めよう。 貴方は選ばれた最後のマスター衛宮士郎。 目撃者の始末を企むランサーに心臓を貫かれてしまったのだが、 『ペンダントの魔力』によって復活してしまった! しかし宿命は待ってはくれない。 ピンチに陥る貴方の前に、セイバーが現れた……! 戦うのなら教会へ。引き返すのなら教会へ進め。 「――――――な」 何かが心に直接語りかけてくる。 あまりにも古い言語の為、何を言っているかはまったく分からなかったのだが、 「な、なんてコトだ……! この殺し合いが魔術協会公認の聖杯戦争で、 なんだか今日は開始日で、その勝者は聖杯を思い通りにできるだと……!!!!?」 とまあ、概要はおおむね掴めた。
574 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 22:11:56再編成型のSS書く時流用できそうだなwwwwwww
575 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 22:31:28セイバーが指先を額に触れたときに聞こえる、とか
576 名前: 言峰→カレン 投稿日: 2005/12/18(日) 22:59:03「ああ、来ましたか衛宮士郎。時間があったので、先に食事を進めていました」 なんか、シスターがマーボー食ってる。 「――――――――」 言葉がない。 なんでこの場所にカレンがいるのか。 なんであんな煮立った釜みたいな麻婆豆腐を食っているのか。 それもすごい勢いで。 額に汗を滲ませて、水などいらぬ、一度手を止めれば二度とさじが動かぬわ、という修羅の如き気迫。 というか意地になってないかあいつ、食べるスピードが尋常じゃないぞ。 もしかして嗜好が同じなのか。あの聖職者と変態を百年間ぐらい煮込んで合体事故のあげくワタシ外道エクスキューター今後トモヨロシクみたいな言峰と趣味どころか食事の嗜好も同じだというのか。 だとしたらまずい、この店もまずいがカレンもまずい。 あいつ、絶対言峰二世だ。そうでなくちゃ説明できない。 「どうしました、立っていては話にならないでしょう。座ったらどうです」 食べながらシスターは言う。 「………………」 用心しながら……いや、もう何に用心しているのか自分でもわからないが……ともかく用心しながら対面に座る。 「――――――――」 じっとシスターの動きを観察する。 ……凄い。マーボー、残るは二口分のみだ。 こいつ、ホントにアレを完食する気か……と、喉を鳴らした時、不意にカレンの手が止まった。 「――――――――」 「――――――――」 視線が合う。 カレンはいつもの無感動な目で俺を眺めて、 「あげませんよ――――?」 「要るか――――!」
577 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 23:09:34親父と違ってケチだな
578 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 23:48:53>>576 最後ナイス変化w
579 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 03:10:16>>567 TYPE−MOON女性スタッフに萌え
580 名前: 解放+デッドブリッジ(II) 投稿日: 2005/12/19(月) 09:29:37 左肩の拘束を解除する。 最後の一回。かろうじて死を押し留めていた、赤い布を引き剥がす。 ……気が遠くなる。 自分が無くなる前に、前へ。 言わなくちゃいけない言葉を、まだ口にできるうちに、桜を。 「先、輩」 「そうだ。罪の所在も罰の重さも、俺には判らない」 「っ……!」 肩と胸、右足と腹に影が突き刺さる。 ぎしゃり。 影は突き刺さらず、火花をこぼしてズレていく。 「けど守る。これから桜に問われる全てのコトから桜を守るよ。 たとえそれが偽善でも、好きな相手を守り通す事を、ずっと理想に生きてきたんだから―――」 前へ。 桜はもう目の前にいる。 「うそ――――先輩、からだ、が」 ……投影、開始。 思い浮かべるモノは一つだけ。 衛宮士郎に残った魔力を、全てその複製に注ぎ込む。 最後の投影。 契約破りの短剣を振り上げる。 桜の顔が、よく見えない。 「先、輩」 「おしおきだ。きついのいくから、歯を食いしばれ」 「―――――――――」 必死に息を呑む音がする。 そうして。 はい、と短く応えて、桜は自ら胸を差し出し――― 「――――――あれ?」 ど忘れした。 後は、何をすればいいんだっけ?
581 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 10:30:08>>580 そこでかあぁぁぁ!
582 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 12:52:26可能性的には十分ありうるところが笑えるwwwwwwwww
583 名前: 慎二OH!→バゼッTO! 投稿日: 2005/12/19(月) 13:54:59―――夜はきた。僕らの明日をかけた敗者の覚醒式を始めよう。 貴方は選ばれた最弱の奴隷アンリマユ。 永遠の夢を見たがる人間凶器バゼットの待つ逆月へやってきたのだが、 『ダメットの短気』によってフラグと展開を省略されてしまった! しかし聖杯は待ってはくれない。 途方にくれる貴方の前に、以前犯した筈のスカートハクトシヌルンデス二世が現れた……! 終わらせるなら14へ。続けるのなら1へ進め。 「――――――、な」 何かが心に直接語りかけてくる。 あまりにも無茶な展開の為、何を言っているかはまったく分かりたくなかったのだが、 「な、なんてコトだ……! このシーンが『天の逆月』で、 なんだか今日は四日目で、その勝者は明日を無様に生きるだと……!!!!?」 とまあ、概要はおおむね掴めた。 「止まりなさいアヴェンジャー。それ以上進めば貴方を殺します」 「貴様、何者―――!?」 あまりの殺気に歩を進められない。 聖杯の真下で凛と佇む謎の人物は、デッドオアデッドマキシマムな死線を向けまくる。 「―――ならここで殺すまでです。私の聖杯戦争において、貴方はもう取り込んだ。 私は私で好きにやります。貴方はその体で、望みを叶え続ければいい」 吹きすさぶエーテル風、荒れ狂う聖杯、激震する地平線。 そしてシッパイシッパイ喚く黒い犬。 いろんな意味でこの世の終わりとも言える光景がバゼットの背後に展開されている気がする。 くっ……この、ふってわいた災難に聖杯も激動しているというのかッッッッ!!!!? 「ま、まさかオマエは―――バゼット、フラガマクレミッツ……!!!? バカな、アンタは確かに死んだ筈だ!」 「なりません。この聖杯に空白がある限り、貴方は何度でも蘇る。 まだ見ぬ展開、まだ見ぬ未知こそが貴方の原動力だ。 このまま地上に戻って、二度とここへ訪れなければ永遠に続けられる。 ……そう。永遠に続けられるのに、どうして―――」 黒犬を連想させる敵意の濁流。 い、いったいどれほどのパワーアップを……!!!? 「って、ぜんぜん変わってねー!」 「貴方こそ。一度殺されなければ分かりませんか」 「……………………」 つまり殺る気マンマンというコトだろうか。 あと人の反応(ボケ)ぐらいちゃんと聞いといてほしい。 「まあいいや。 ともかく俺たちは聖杯に選ばれたコンビなんだな!? なんか運命のカップルなんだな!? 俺はまだ見ぬ明日の為に、オマエは昨日を繰り返す為に戦うんだな!?」 「その口ぶりでは、まだ諦めていないようですね。 ……アヴェンジャー。私には、貴方の考えが分からない。 たとえ同じことの繰り返しでも、ここなら私たちは生きていられる。私たちが願った通りの現実がある。 ……なのにどうして、自分で自分を、殺すような真似をするのです」 「おう! 結構マジだけど死んだり負けたり殴られたり嘲笑ったり左腕にされたりとか大好きだ! そんなワケで、行けよバゼット……! オマエだけは絶対に死なせないッッッッ!」 「同じ事です。私も貴方も、この願いが終われば消えてなくなってしまう。 ……私は嫌だ。死にたくなんてない。外の現実なんてどうでもいい。 貴方だって、元の無になんか戻りたくないでしょう……!?」 「………大丈夫かな。わたし、ちゃんとできてる?」 「できてる。ほら、台詞続けて」
584 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 13:58:31できてはいるが、台本の方に問題ありすぎだw 会話が噛み合ってるようで噛み合ってねえw
585 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 14:54:43無意味にキュートだなバゼッTO!
586 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 17:22:13>>583 合ってるようでズレてるセリフが実にいいw
587 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 17:47:46スカートハクトシヌルンデスは某SS…
588 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 19:41:35アンリが明らかにアドリブなのに律儀に台本読むバゼット萌え
589 名前: 桃源の夢 投稿日: 2005/12/19(月) 20:38:31本編は、ひたすらに真面目なストーリーだった。 鬼が棲むとも、阿鼻叫喚の地獄だとも噂されていた本編は、一点の染みもない美しい物語だった。 お昼のコンビニのレジ待ちで革手袋を嵌めるダメットも、 壁サークルでダメットも、ATMでダメットも、パチンコでダメットも、 自動改札でダメットも、帰省ラッシュでダメットも、じゃんけんでダメットも、 何も、何もありはしなかった。 それは確かに生まれたネタだが、本編とは別の場所の話。 き*こはその何でもアリな後日談。で、 一点の罪の意識もなく、 退屈しのぎにもならぬ退屈しのぎとして、 ただ一回、バゼットとカレンのベンチマークというだけの理由で、 必殺のバゼットの宝具をネタに替える。 ―――やめてください。 読みたくない、台無しにしないでくださいという懇願を、煩わしいと愉いながら筆を走らせる。 そうして、き*こらは意識さえしないが、設定厨たちは最期に気づくのだ。 この人間と自分たちは、もとより言葉が違っている。同じ生物だけど心の作りが違っている。 食卓に並べられた料理の声など、人間には存在しないように。 き*こには、設定厨の声は、一生涯届きはしないのだと。 それはホロウだけに限った話ではない。 彼を管理する者は言った。 アレが物語を作る数少ない異常者であり、 この物語は、人間でない菌類によって生み出されている。
590 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 20:43:09腹いてえw
591 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 21:45:57>>589 ある意味全米が泣いた
592 名前: トラブルモード 投稿日: 2005/12/19(月) 21:51:11「さてさて、教会に潜むキャス子と葛木を打ちのめした我らが主人公コンビ、セイバーと坊主。 サーヴァントは残り四人 アーチャーを倒す為、坊主はアインツベルン宮一階・エントランスの間を目指すのであった」 「急げ坊主。アーチャーに浚われた嬢ちゃんを救う為!日が登るまであと三時間! 嬢ちゃんの命はあと三時間…って、お前ら、俺の存在忘れてるだろ?」 「……なぁセイバー。なんか、玄関の横で俺たちが出てくるの待ってた暇人の全身タイツがいるんだけど知り合い?」 「いえ、一ミクロンも存在知らないです。 それより今からアインツベルン城へ向かいます、油断してはなりませんよシロウ!」 「任せておけセイバー!どんな相手だろうとこの投影で蹴散らすまでよ。 フーシュシュシュシュ(注・笑い)。 いざとなればBGMがエミヤになってぶっちゃけ勝利確定だぜっ!」 「フ、元マスターながら頼もしいヤツ……! よぅし、この勢いでアインツベルン城に殴り込みです!」
593 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 21:52:04ワロタw 俺設定厨じゃなくて良かったw
594 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 22:02:02>>592 >フーシュシュシュシュ(注・笑い)。 が、フィーッシュシュシュシュ(注・笑い)。 に見えた俺はどーすればいいんだろう。
595 名前: 592 投稿日: 2005/12/19(月) 22:10:55>>594 しまったーッッッ!!!そうしたほうがより自然だったのに改変し損ねた! やっぱ思い立って一気にネタを3つ4つ作ると一つ一つの作りこみが甘くなるな 589で592な俺だが残り二つはもう少し練りこんでから後日投下するわ。
596 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 22:13:41ワラタのに、その自己主張で一気に萎えた
597 名前: 後日談。 投稿日: 2005/12/19(月) 22:22:07「やる。封印指定の執行者はハンパないの。 ほら、見てみなさい」 「どうぞ、粗茶ですが……」 「ありがとう。本来、敵地では水や食べ物は口にしないのですが、 ここは敵地ではありませんから。 では、その証として―――んゴッ! ブボラッ!!」 「――――――――」 「……………………」 「―――――見た?」 「……まあ、なんだ。セイバーとは対極だってコトだけは分かった」 あと、遠坂がバゼットさんを苦手にしているコトも分かった。 ……いや、苦手というより、なんか尊敬しちゃってないか、もしかして……?
598 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 22:24:32>>596 同じく萎え。
599 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 22:33:21職人は無個性の自動ネタ生成機であれってか。
600 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 22:36:20>>599 2chではそれが当たり前だな
601 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 22:39:32>>599 作者の個性は、作品のなかで、熱く語るもんなんだよ。
602 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 22:52:04萎えたとかそれが当たり前とかいわれても困るが。 まあなんか気に障ったようですまなかった、これでもう書き込まないので許してくれ。 ていうか俺の叩きはもういいから他の人の作品にちゃんと反応してやってくれ。
603 名前: 翡翠トゥルー 琥珀⇒バゼット 志貴⇒槍 投稿日: 2005/12/19(月) 23:31:18 ――――記憶に障害がある。 医師の話ではこれから人並みに生活する事はできるが、過去…… 以前あった出来事の大半を思い出せなくなっている、とのコトだった。 それは思い出せない、というよりすでに失われてしまったもの。 だから、バゼットは俺の事も言峰の事も思い出せない。 ……以前のバゼットに戻れるなんていう事は、本当に、 絶望的なまでにありえない。 言峰に受けたダメージでそうなったのか、それともバゼット本人 の意思で閉じてしまったのかは分からない。 ただ、こうして目の前にいるバゼットは、体も心もバゼットのままで ただ、俺や魔術協会や言峰の事を全て忘れてしまっているだけだった。 「……申し訳ない。私はどうしても貴方の事が思い出せない。 ……少し、怖いですね。貴方が誰かも分からないなんて 本当に、私はおかしくなってしまったみたいです」 置いてけぼりにされた子供のようにバゼットはうつむいた。 その、不安しかない暗い顔は、あの強かったバゼットには遠すぎる。 ―――それでも。 俺は強く、バゼットの手を握った。 「いいや、心配するな。どんなに不安でも、俺がついてる。 ……あん時、アンタを守れなかった分、今度こそ俺がずっとアンタを守る。 これは誓いだ、ケルトの戦士は決して誓いを破らない」 きょとん、とした顔。 バゼットは呆としたまま俺を見た後、ありがとう、と祈るように返答した。 「あ――――、おう」 照れたように下を向いてごにょごにょと言葉を紡ぐ。 「……っと、それで何か必要なものあるか? 喰いたいものとか、欲しいものとか」 照れ隠しの言葉に、バゼットは小さく頷く。 「―――そうですね。食欲はありませんが、少し喉が渇いて……」 「ああ、じゃあこれやるよ。本当はもっと美味しいの煎れてやりたい んだが病院じゃな」 手に持った缶コーヒーを投げ渡す。 それを空中で受け取って彼女は笑った。 それは彼女にはなかった、穏やかな笑顔。 ―――バゼットはようやく。 目覚めて初めて、嬉しそうに微笑んだ。 ……記憶を失った事が良い事なのか、悪い事なのか、分からないが、 バゼットが築き上げた鉄の精神が失われた事は喜ぶべき事だと思う。 何せそれなら、あとはそんなものに頼らずに本当に強くなるしかない。 盛大な遠回りをして、彼女はようやく人並みの強さを得られるのだろう。 「――――――――」 だが、こんなにも青い空を見つめていると、どうしても思い返してしまう。 スーツで身を固め、皮手袋と鋼の意思で武装した女の姿。 ――――できることなら、 俺は、あのバゼットに強く生きて欲しかった。 ……それはもう叶わない望みだ。 だからそんな願いはこれっきりにしよう、として―――。 なんか、バゼットがプルタブに悪戦苦闘している事に気が付いた。 「……悪りい。片腕だって事忘れてた、貸してみな」 そう言う俺を無視してバゼットは必死に開けようと爪を立てる。 カリカリカリカリカリカリ……ブチッ! 「“斬り抉る戦神の剣”―――!!」 放たれた弾丸が缶を両断する程の大穴を開ける。 「む―――やはり狙って小さな穴を開けるのは難しいですね。 ランサー、もう一本お願いします」 ……甘かった。 記憶が無くなろうが鋼の意思がなかろうが、 こいつは間違いなくバゼットだ。 そんな些細な事で変わるような奴じゃなかったのか。 「おーけー、分かったよマスター。今度は開けてから渡すわ」 これからの事を想像して、ランサーは諦めとも楽しみとも達観とも言える ような表情で、盛大に溜息をついた。
604 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 23:44:59なぜか和んだ
605 名前: 参拝ですか? キャスター→バゼット 士郎→カレン 投稿日: 2005/12/19(月) 23:55:21 衛宮邸にやってくる。 住宅街を通り抜けると――― 「…………ごきげんよう」 玄関で、掃除をしている人影。 それがここの家主ならいいんだけど、よりによってこのバゼット。 スーツ姿で……怪しい。こんな人が昼日中から掃除をしているのは一体どういうコトかと。 「おや、カレンですか。今日はなんの用ですか?」 「……掃除するんですね、貴女も」 すこし意外だったので、訊ねてみる。 ……意外でもありませんね、ここの住人なのだから掃除くらいするのも。 「ええ、少し綺麗にしておこうと思いまして。何か文句でもありますか?」 「その格好で掃除をしているのは……まあ、構いませんが?」 他の格好―――たとえばセイバーの私服とか。 そちらのほうが違和感ありませんが、今度はどこの勘違いさんがお掃除しているのか、 という感じになりますね。 「何か文句でも?」 「いえ……そういえば、ここには暇人が居るではありませんか? 彼女に掃除をさせるとか」 衛宮家にはセイバーがいるではありませんか。 「…………はぁ」 目の前で、これ見よがしにため息を吐かれる。 「あの王(おんな)にそんな甲斐甲斐しさがあれば、こんな苦労はしていません」 「暇そうなのに」 「ええ、暇ですとも。なら掃除くらいはしなさい、と何度も言っているのですが」 「あのタダ飯食らい、口だけは達者なんですからっ。 “残念ながらこの身は王、自力では箸も持てぬ。なるほど掃除ですか、 頼まれれば異論はありませんが、それは貴女の流儀から外れるのではありませんか? 私(サーヴァント)が掃除することと、貴女(マスター)が箒を握ること。 『サーヴァントに求めるものは自己の管理と、有事における最大戦闘力だけです。 仕事は勿論のこと、家事手伝いをさせるなど三流のマスターでしょう』 素晴らしい。まったくその通りです。 貴女とは気が合いそうだ、メイガス。” ですって! どう思います、この物言い!?」 「………………」 色々、無職の悩みはあるらしい。 そしてセイバーの言い分は完璧だ。
606 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/19(月) 23:58:05もう、ここんとこのダメセイバーのダメダメっぷりは目を覆わんばかりだな。
607 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 00:02:22セイバーしっかりしなさい
608 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 00:03:18ダメットさんのダメっぷりは可愛げがあるけど、 ニート王のダメっぷりは、煮ても焼いても喰えんっていうか、奴は喰うか…orz
609 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 00:04:17>>607 その文の元ネタの人は、あんなに家事雑用頑張ってるのにそう言われちゃうんだよな……。
610 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 00:08:33えみやつよしだったらよかったのに
611 名前: ナショナルとレジャー 投稿日: 2005/12/20(火) 00:41:11「――――――な」 廊下の途中で、あってはならない魔力を感知する。 ……厳重に封(フタ)をされた毒壺から漏れ出した毒。 屋敷の向こう、離れから立ち上ってくるこの魔力は、間違いなく――― 「―――バゼット。トイレを使おうとしている―――!?」 崩壊したハズのウォシュレッTOを、再び動かしだそうとしているのか……!? 「一体どうして―――いや、何を今更……!」 バゼットが泊まっているなら、トイレに行くのも当然だ。 もう破壊されたものとして安心していたが、バゼットが“ウォシュレッTO”を修復できるとすれば―――!
612 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 01:25:08>>608 ダメットさんは堪え性がないだけで、基本的には勤労意欲が渦巻くかわいいお人だしな
613 名前: 青豹たい黒豹 悪質バージョン 投稿日: 2005/12/20(火) 03:26:40「おーい、氷室ー」 「……なんだ?衛宮はあの御仁と知り合いのようだが、危険な男なのか?」 「……それはまだ分からない。あれで気のいい男なんで、おかしな事にはならない と思うんだが…… なんだ、万が一というコトもある。 正直、そうなったら冬木市で助けられるのは六人ぐらいしかいない」 「……それは厄介だな。 では、ここで断った方が賢明か」 「―――いや。あいつを迎撃するとっておきの手段がある。もしおかしな風向きに なったらだな……」 ごにょごにょと耳打ちする。 「?本当にそんなコトでいいのかね?」 「いい。で、終わった後にその噂を教えてやってくれ」 「了解した。それなら私たちでも出来そうだ」 「おおーい、話はそれでおしまいかー?」 「ああ、後は好きにしてくれ」 「よーし、それじゃ行こうかお嬢さんがた! もうじき昼だしな、まずは腹ごしらえと行こう。当然こっち持ちでね」 「いいねー!あたしマッグ!マッグをお腹いっぱいおごってほしい!」 「あ……ありがとうございますっ!」 「ほう……なんとおあつらえ向きな」 仲良く公園を後にする四人。 去り際、氷室がビシッと指を立てていた。 ―――で。 ベンチで日向ぼっこするコト十分弱。 「「ぎゃあああああああーーーーー! ななな、なんてもん食わせやがるかぁあああ!」」 青空に、気持ちのいい悲鳴がハモッた。 だだだだだ、と闘牛もかくやという勢いで港方面に走っていくランサーと蒔寺。 「ふ。ふふふ、ふふふふふ……!」 氷室に耳打ちしたのは簡単なコトだ。 あいつがおかしな真似をしだしたら、適当な理由でハンバーガーでも食わせて、 「この挽肉には犬の肉が混ざってる」という噂を教えてやれ――― 「しかし……効果覿面なのはいいが、蒔寺まで誘爆か。同級生ながら恐ろしい女よ、 蒔寺」 今時こんな噂信じる奴なんていないだろう。 さて。 ベンチから腰を上げて、最寄りのファーストフード店に向かう。 ついでだ。冬木の豹たちの敗戦地で昼飯を摂るとしよう。
614 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 04:01:36>>613 蒔寺ぁぁ……! しかし違和感がないぞ!
615 名前: 士郎→偽志貴 ギル→志貴 投稿日: 2005/12/20(火) 06:35:13 ――――血の雨が降る。 生臭い血が地面に広がり、路地裏を一変させる。 後ろには死体。 無数の肉片が散らばった、惨殺空間が広がっていた。 「―――――――――」 その光景は、ヤツにはどう見えたのか。 学生服の少年は鬼気迫る形相で、目前の敵と対峙する。 「・・・・・・そうだ。過去を体験するんじゃない。 僕は、その人と同化する。 それが、僕に許された生き方だった。」 日の差さない路地裏。 誰一人通らない、都市空間の隙間。 あまりに多くの殺人が行われたこの場所で、その殺しを再現する。 それが、僕の世界になった。 過去視。 対象の過去を盗み見る超能力。 僕の異能力であり、自分が頼るただ一つの指標。 僕には全てがあり、おそらく何も無い。 故に、その名を“偽志貴” 多くの人間を見てきたモノが選んだ、唯一つの確かな答え―――
616 名前: 士郎→偽志貴 ギル→志貴 投稿日: 2005/12/20(火) 06:35:58「―――過去視。それがおまえの能力か・・・・・・!」 一歩踏み出す。 足元には、胸にナイフの刺さった女が倒れてる。 「驚くことはない。これはすべて真似事だ。 これまで、君がしてきたことだ」 片手を伸ばす。 女に刺さったナイフは、担い手と認めるように容易く抜けた。 「だがな、偽者が本物に敵わない、なんて道理はない。 君が本物だというなら、その君を消し去り、僕が本物の殺人鬼になろう。」 前に出る。 目前には、直死の魔眼をもつ殺し屋。 「いくぞ殺人貴――――さあ、殺しあおうか。」 「ち――――なに勘違いしてやがる、この殺人狂――――!」 敵は眼鏡を外し、古風なナイフを逆手に構える。 路地裏を駆ける。 異なる二人の殺人者は、ここに最後の激突を開始した。
617 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 06:36:15何気に余ったバーガーを士郎が頂く気マンマン
618 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 06:53:32>615-616はGO!慎二OHの方がしっくりきそうな予感
619 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 09:56:37 ―――時はきた。存在理由を賭けた殺人者の戦いを始めよう。 貴方は選ばれた殺人鬼、偽志貴。 未来の世界を見ることのできる晶ちゃんを解体すべく夜の校舎へやってきたのだが、 うっかりミスッて失敗してしまった! しかし宿命は待ってはくれない。 悲嘆にくれる貴方の前に、貴方の本物、トオノシキが現れた……! 戦うならこのまま14へ。引き返すなら1へ進め。 「──────、な」 なにかが心に直接語りかけてくる。 あまりにも古い言語の為、何を言っているかはまったく分からなかったのだが、 「な、なんてコトだ……!このシーンが幻視同盟で、なんだか今がラストバトルで、 その勝者は次回作の主人公になれるだと……!!!?」 とまあ概要はおおむね掴めた。 「はっはっは!うひょークカカコココキイキイ! その通りだ偽志貴よ!ああ待っていた、 オマエを待っていたぞオレの宿命のライバルよ!」 「貴様、何者―――!?」 「ハハハハハ! 何者かだと?何者かだと?何者かだとぉ? 分からないか、そうともわからないだろうな吸血鬼なオレ! すごいぞ頭ワルィぞー! 見て見て偽志貴、偽ビジュアル系とかへっぽこ着物姿とか、 そういうのが溢れてもうタイヘンだとも!」 吹きすさぶ風、荒れ狂う魔力、激震する校舎。 そしてニャニャニャと出番を待つネコアルク。 いろんな意味でこの世の終わりとも言える光景がいま惜しげもなく大展開。 くっ……このふってわいたアーマゲドンに星も激動しているというのかッッッ!!!!? 「ま、まさかオマエは―――シキ……!!!? バカな、オマエは確かにどのルートでもでどっか逝った筈だ!」 「志貴じゃないのねー! いや、人間的にはほとんど死んでしまいましたが、だからこそ地獄から蘇ったのだ偽志貴よ! ククク、ラジオ体操とか、下敷きにされた校舎の秘めた謎の力がオレを生き残らせたのさ。 んー、見て欲しいものだな、この滾る生命力」 「まあいいや。 ともかく俺たちは運命に選ばれた戦士なんだな!? なんか宿命のライバルなんだな!? 俺とオマエは次の出番の為に戦うんだな!?」 「ナイスリアクション!話が分かるではないか偽志貴! さてはこういうノリ好きだなキサマ!」 「ああ!結構ヤケだけど人に乗せられたりとか乗せちゃったりとか殺したりとか殺されたりとか嘘予告とか大好きだ! そんなワケで行くぞシキ…! オマエだけは絶対に残刑に処すッッッッ!!」 「ク―――吠えるではないか前作主人公の偽者。 だが今日はオレの方が強い、覚醒したライバルの力を思い知るがいい……! 行くぞ偽志貴! ここで一撃必殺ホイホイな勢いで貴様を串刺にしてオレのターンエンドとするッッッ!」
620 名前: 美綴弟と弓道場 投稿日: 2005/12/20(火) 14:00:09 「おや、美綴弟」 十時過ぎの、人気のない弓道場にぽつねんと美綴実典が立っている。 「八節を踏んでいる……というワケでもなさそうだな」 実典は手ぶらで、ぼんやりと間桐嬢の弓を眺めていた。 「ごきげんよう、美綴弟」 「……………………」 「ふむ、なにをしている? 誰か待ち人でも?」 「……うるさい、ほっといてください。 どーせ、俺は嫌われ者なのさ。 どこ行っても出番はないし、あったところで色物だし、間桐部長には氷室先輩と付き合ってると誤解されるし!」 「どうなのさ氷室先輩、衛宮先輩の八股が容認されてるのに対して俺はただの後輩扱い? 有り得ないだろ、いつのまにかねーちゃんまで喰われてるなんて正直おかしくないッスか? というよりも、女の子を何人も毒牙にかけてる正義の味方なんて存在しないってー」 そのまま弓道場の隅っこに移動する美綴弟。 ……本気でテンパっているのか、そのまましゃがみこんでしまった。 ダンボールがあったら頭から被りかねない勢いだ。 ………ふむ、実に絵になる。 その後ろ向きな勢いに不覚にも好奇心が抑えられない。 「ふむ。バカなコトを言っているな、負けるな少年、立ち上がれ少年! あのハーレムっぷりに堂々とイチャモンをつける、まわりの空気を読まないのが君の強さだった筈だが……!」 などと、こっちも冷静にエールを送ったりする。 「……いやです、疲れました、もともと俺は後ろ向きな性格なんです。正しい報われないキャラの運命を継いでいるのさ。 前作のロア先輩もシキ先輩も、弓塚先輩も、こーゆー風に好きな人に見向きもされないのがお似合いなんっす」 ますます閉じこもる美綴弟。本当に絵になる。 まあ、こんな間桐嬢の匂いのある所で引きこもるあたり、美綴弟はやっぱり報われないキャラなんだと思われる。 「……いいから、さっさと余所に行ってくれませんか? 俺は間桐部長を待ってるんっす。 俺が告白する最後のチャンスなんだ。氷室先輩に用はないんです」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 やれやれ。どうやら、今の私では処置なしのようだな。 彼がフられてどん底に落ちてから、また寄ってみよう。
621 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 14:10:10>というよりも、女の子を何人も毒牙にかけてる正義の味方なんて存在しないってー 正論だw
622 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 14:11:58女の子を何人も毒牙にかけている正義の味方はいないかもしれんが、英雄ならいるw つまり所詮士郎は節操なし(アーチャー)予備軍ということだ。
623 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 14:33:22ちょっwwwアヤコ喰われちゃってるw
624 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 14:38:30その、八股って誰だ? 凛、セイバー、桜、ライダー、綾子、イリヤ、セラ、リズかね?
625 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 14:43:21>>619 めた糞に吹いたw
626 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 14:46:52>彼がフられてどん底に落ちてから、また寄ってみよう。 トドメ刺す気かいw
627 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 15:03:01いや、 喰う気だ
628 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 15:08:08目指せ十五股! セイバー 凛 桜 ライダー 綾子 イリヤ セラ リズ 大河 ネコ バゼット カレン 三枝 氷室 蒔寺 2141236+Pで必殺技「プリーズヘルプミー」が発動。 ヒロイン総勢で敵を袋だたきにしてくれます。
629 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 15:14:29>628 否、断じて否! 50%の確率で、ヒロイン同士討ち! プレイヤーが巻き添えを食って大ダメージorz
630 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 15:19:04志貴周辺と違って士郎周辺は比較的仲良いからなー。
631 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 15:19:39>>628 この面子が昼ドラ真っ青な展開で士郎を奪おうと戦います。 騙まし討ち、寝取りは当たり前。下克上に躊躇いなんかない。 最終的に暴走したキャラが他のキャラ全殺しでEND。
632 名前: 白い呪眼+HF腕解放 投稿日: 2005/12/20(火) 15:22:19 「もう、判ってないんだから。 いい、今のシロウは籠の中の鳥なのよ? 生かすも殺すもわたしの自由 なんだから、あんまりわたし怒らせるようなコトは言っちゃダメ。 ……せっかく捕まえたんだもの。ここでシロウを殺しちゃうなんて、 そんなのつまらないでしょう?」 「な――――――」 玩具をせがむような彼女の声。 そこに、背筋が凍るほどの残酷さを感じ、ただ息を飲んだ。 「これで最後よシロウ。もう一度だけ訊いてあげる」 期待に満ちた目で俺を見上げ。 「シロウ――――わたしの物になりなさい」 拒否を許さない妖艶さで、イリヤは言った。 「――――おまえの物になれ、だって」 ありったけの力で歯を食いしばり、奥歯を噛み砕く。 「おまえこそ、俺の物になりやがれってんだ――――!!」 最後の力で思いの丈を全て吐き出した。 その返答が気に喰わなかったのか、 イリヤはさっくりと俺を片付けてしまった。 だけど後悔はない。 俺は決して―――間違ってなんかいないんだから。
633 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 15:25:40>>629 どさくさにまぎれてライダーが綾子を襲うと思う
634 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 15:55:14「おい、今からアンタを殺す訳だが」 「え―――?」 怯えるように拳を構える。 そこに以前の気迫はない。 「待って―――待ってください、私は―――貴方と戦う理由はない。 貴方だって、私と戦う理由は」 「あるだろ。アンタは聖杯戦争に勝つために来た。 サーヴァントを全て倒すまで戦いは終わらない。 アンタは今、オレと殺し合うためにここにいる」 影が笑う。 その通りだと笑っている。 「ちが―――わた、私は貴方とは戦わない……! そうだ、貴方とは戦わない、貴方とは戦わない、貴方とは戦わない……! だって、だって、―――貴方、私のコト―――知って、る……?」 「知らねえよ。アンタみたいなこらえ性のない奴に覚えはない」 一言に付す。 女魔術師は糸の切れた人形のように膝をつこうとし、 「――――――では、貴方は私の敵か」 糸の助けではなく、自らの力で踏みとどまった。 「そうだ。この”四枝の浅瀬”、ルーン使いなら意味が分かろうよ」 「……その陣を布いた戦士に敗走は許されず。 その陣を見た戦士に退却は許されない。 ―――我ら赤枝の騎士に伝わる、一騎打ちの大禁戒だ」 その言葉こそ、ランサーの刻んだ魔術の真価だったのか。 女魔術師は戦士としての貌を取り戻し、槍兵は呪いの槍を両手に握る。 ……大気が凍る。 ランサーの持つ宝具が、主の呼び声を今か今かと待っている。 遠く十メートルの彼方には、鉛色の球体を背に構える女魔術師の姿がある。 あの球体こそバゼット・フラガ・マクレミッツの秘奥、神代の魔術フラガラック。 その性能を知るランサーにして、破ること能わじと言わしめた究極の迎撃礼装。 だが、そう公言して尚、手を緩める事はなく。 「――――――その心臓」 槍兵の腕に力が籠もる。 投擲ではない。ランサーは自らの体さえ槍と成し、 「―――”後より出でて先に断つもの”」 球体が展開する。 ある呪力、ある概念によって守られた神の剣が槍兵の心臓に狙いを定め、 「―――貰い受ける―――!」 だがランサーは動かない。 「――――――」 「――――――」 一度発動したフラガラックを破る手段はない。 ゲイボルグにフラガラックをあわせられた時点で負けなのだと、槍兵は熟知していた。 だから動かない。いや、動けない。 ランサーが指一本でも動かせば、それが開始の合図となってしまうからだ。 十秒。 二十秒。 三十秒。 四十―――「“斬り抉る戦神の剣”―――!!」 「―――、え?」 だが知るがいい順序を繰る者。 フラガラックは順序を入れ替える迎撃礼装。自らが先に動いてしまってはその真価は発揮されない。 加えて、ランサーは宝具発動のタイミングを見切っていた。 一条の閃光を難なく避け、 「”―――刺し穿つ死棘の槍―――!”」 ランサーの宝具が、女魔術師の胸を貫いた。 「――――――」 破裂した。 イナズマの如き一刺は肋をすり抜け、心臓に被弾した瞬間、千の棘となって女魔術師の内部を殲滅する。 「ぁ―――この、槍」 破裂する。 痛みと驚きが、閉じこめていた記憶をブチ撒ける。 ……ああ、そうだった。 この敵が誰だったかは脳死寸前の頭では分からないけれど。 この人は世界でただ一人、私をダメットと呼んだ相手―――
635 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 15:56:36キャスターが哀れな敗者をお持ち帰りしていく様を幻視した
636 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 16:07:51「世話になった。また明日な、遠坂」 客間を後にしようとする。 遠坂はすぐに俺を引きとめ、艶やかに息をついてから、 「ねえ。誰もいないのって、いいわね」 雌豹のような笑顔で、俺の気持ちを代弁した。
637 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 16:10:13えーと、つまり「使用後」?
638 名前: 白い呪眼+HF腕解放 投稿日: 2005/12/20(火) 17:29:33 それはただの興味本意だった。 おかしな魔力の流れは感じたけど、別に害意を感じた訳でもない。 士郎が鍛錬場所に使っていると聞いていたから、 ちょっと覗いてみたくなっただけ……それだけだった。 そうして土蔵の中へと足を踏み入れた直後、急激な違和感に襲われた。 そこには魔術に関わる物は何もなかった。 あったのは家電製品やそのガラクタと、 そして、そのカタチを装った全くの異物が存在した。 姿こそ同じだが、魔力で編まれたソレは異質そのもの。 それら異物が幾重にも配置され、この土蔵は異界と化していた。 「投影魔術……いえ、そんなはずは」 ありえるはずがない、カタチとして残る投影など存在する訳がない。 ――――と。 「いや――――よく来てくれた、遠坂」 突然。 背後から、親しい友人に挨拶をするかのように、 バン、と両肩を叩かれた。 「―――――――!」 あまりのコトに体が硬直し、振り向く事さえ出来ない。 だが、背後に立つ男が何者なのかは見るまでもなかった。 衛宮士郎。 この家の主、目の前の異界を作った男、 そして――――今、最も出会ってはいけない悪魔。 「まったく間が悪いよな。そろそろおまえが来る頃だと思ってさ、 紅茶を買いに行ったのが拙かった。 ほら、前はろくな紅茶を出せなかっただろ? 俺なりに気を使ったつもりだったんだけど、入れ違いになったな」 「―――――――――――」 声が出ない。 両肩にはずっしりと重く、士郎の手が置かれている。 「だけど不法侵入は感心しないな。そんなコトをすると見なければ いいものを見てしまう事だってあるんだぞ。 例えば、そう。お互いの同盟関係や師弟関係を白紙に戻さざるを得ない 真実を知ってしまうとか」 士郎の声は、聞いた事もないほど愉しげだった。 背後に立ち、私の両肩に手を置いた衛宮士郎は間違いなく笑っている。 「――――――――」 だから。 それが、喩えようもなく恐ろしかった。 弾けるように両肩に置かれた手を振り払い、前へ飛び退き、 士郎へと振り返る――――! 「士郎、あなた――――!」 ポケットに手を入れ、宝石を取り出す。 瞬間。 首筋に冷たい感触が奔った。 それは、どうみても剣先だった。 「マスター、油断しすぎです。彼女は貴方より優秀な魔術師なのですから」 「ああ、すまないなセイバー。少し興が乗りすぎたようだ」 セイバーを信頼していたのか、士郎は何一つ動じていない。 「ああ、しかし残念だよ遠坂。俺としてはもう少しこの関係を楽しんで いたかったんだが、君は本当に人の努力を無駄にするのが得意なんだな。 せっかくバーサーカーに斬られてまでみせたというのに」 口ではそう言っていても、その表情に残念などという気持ちは欠片もない。 「マスターの責任もあるでしょう。工房に鍵も掛けずに出かけるなど」 「いや、それは仕方ないさセイバー。師弟関係を結ぶ以上、工房がある なら見せなければならないし、下手に鍵を掛ければ疑われる可能性もあった」 「……ああ、そういう事なの。ずっとへっぽこ魔術師のフリして、 私を騙していた訳ね。セイバーと反発していたのも演技だったなんて。 何が一つしか魔術が使えないよ! わたしを馬鹿にして!」 「さすがは遠坂、話が早くて助かる。 だけどね遠坂。魔術が一つしか使えないのだけは本当の事なんだ。 強化も投影も、その魔術が劣化した一つのカタチにしか過ぎない」 「―――――――――え?」 今、この男は、愉しげに何を、口にしたのか。 「―――――貴方。今、なんて」 「俺が使える魔術など一つしかない、と言った。 おまえもここに足を踏み入れた瞬間、感じたはずだ、 まるで別の世界に迷い込んだような違和感をな」 「―――――――」 そうか。覚えがあると思ったのは、そういう事か。 ここの空気は、あの公園と同じで、 これは、あの時アーチャーが口にした言葉。 「…………固有結界」 「そうだ。それが衛宮士郎が唯一使える魔術だ」 わたしの答えに満足するかのように士郎は笑った。
639 名前: 638 投稿日: 2005/12/20(火) 17:32:34失敗しました、上のは 『スパイラルラダー 士郎⇒凛 言峰⇒士郎 槍⇒剣』です。
640 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 17:42:21>>638 何この暗黒面に堕ちた士郎 …………カッコイイじゃねえか
641 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 18:06:09鉄心ルーートの士郎がこんな感じか?
642 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 18:20:29というか丁寧語なのが妙にアチャっぽいぞ
643 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 18:28:48>>638 なぜか士郎が吉良吉影に見えた…
644 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 18:37:12>>634 都合40秒、槍兵の予言は痛ましいほどに正確だった ところでこのネタ前スレでなかったっけ?
645 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 18:37:42あったな
646 名前: タイガー→バゼット、士郎→ランサー 投稿日: 2005/12/20(火) 18:42:01「?」 神父の奇襲に面食らったのか、バゼットはぼんやりと立ちつくしている。 そこに炸裂する、神父の斬撃――――! 「……?」 不思議そうに首をかしげるバゼット。 「――――――――」 神父は突っ立ったままだ。 ただ違うといったら、さっきまでバゼットの左腕だった肉塊と令呪を持っているという事か。 「あ…………ほんと?」 何がほんとなのかは知らないが、間違いなく真実だった。 神父は微笑みを崩してさえいない。 あくまで笑みを絶やさない神父を前に、バゼットは固まったように動かない。 バゼットだって執行者に選ばれた魔術師である。 その経験が、目の前の相手に裏切られたのだと悟ってしまったのだろう。 「……令呪にて命ずる。私への主替えに賛同せよ、ランサー」 「ぅ――――うう、はうはう、はう〜〜……」 バゼットはよろよろと後退し、へなへなと膝をついた。 「―――令呪の効果は覿面だな。認めてもらえたか」 「――――う。う、ぐすっ」 がくり、と肩をおとしてうなだれるバゼット。 そのまま大人しくしてれば、生きててくれるかな、と期待した瞬間。 「うわぁぁぁぁぁあああん! 裏切られた上にランサーとられちゃったーーーー!」 回りにいる人間が目眩を起こすぐらいの大声で、わんわんと泣き出してしまった。
647 名前: パゼット→凛 アンリ→アーチャー 投稿日: 2005/12/20(火) 18:44:11結局のところ、聖杯戦争における戦闘はサーヴァントを倒す、という事になる。 サーヴァント打倒なくして、マスター殺しは成立しない。 だがサーヴァントは人間がどうこう出来る相手じゃない。 だからこそ、私も本気で乗り気じゃないワケだが手を貸すと言っているのだ。 が。 「いいえ、マスターとサーヴァントを引き離す必要なんてないわ。サーヴァントなら、わたしが倒す」 揺るぎのない自信と根拠で、凛は断言した。 「それより質問があるの。 殺されたのが港なら何度でも甦る、と言ったけど、それは何かの代償が必要なの? たとえば、わたしの魔術回路が失われていくとか、貴方の宝具には使用回数が決まっているとか」 「ん? いや、代償はないよ。君から取り立てる物は一切ない。我が属性は竿。魚がいる限り何度でも甦る。 君は安心して、納得いくまで続ければいい」 「……確認した。あなたと契約している限り、わたしは負けないという事ね」 そうそう。ま、勝てもしないんだがね。 「となると、残る問題は一つだけだけど……いえ、ここまで好条件だというのにそんな不満を口にするなんて、何を考えているのよわたしは」 「? なんだねいきなり。他に聞きたいコトでもあるのか?」 「っ……。その、つまらない事を訊くけど。 死亡した場合、こうして蘇生できるのは素晴らしい。反則と言っていい特典よね」 「でも、その。蘇生する際の、あの掛け声は消せないものなの? いくら死から逃れる為とは言え、この先もあの叫びを通過するかと思うと、二の足を踏むというか、」 「は? なにそれ、蘇生するとき怖い思いでもしてるのか?」 「こ、怖い訳じゃないわよ……! 不快で気味が悪いだけ! ……ええ。あれが地獄と呼ばれる地点なのかは分からない。ただ、ギチギチの険悪空間だった。 本来、死者に意識はない。通常の死者なら不快に思わないんだろうけど、意識のある者には、アレは最低のドブクズよ」 「ああ――――――そうなのか。 まいったな、私は特別感じないが。気が付いたらここにいるって感じで。人間とサーヴァントの違いかね。けどまあ、」 それぐらいは我慢してもらわないとなあ。 なんたって、本当なら死んじゃってるワケだし。 「その、なんだ。マスター、そりゃワガママってもんですよ?」 「っ……わ、わかってる、言ってみただけよっ。 蘇生の代償なんだから、あの程度の責め苦、耐え抜いてみせる」 「そうそう。この先何度も世話になるだろうし、今のうちに受け属性つくっておいたほうが」 「ふん、そう何度も殺されてたまるものですか。次に殺されるのはセイバーのサーヴァントよ。わたしがされたように、あの胸を貫いてみせる」 「ああ、それでこそ私のマスターだ。では、そのやる気が燃えてる内に聖杯戦争を続けるとしよう」 話を切って玄関へ向かう。 正直、聖杯戦争なんてどうでもいいのだが、私もやられっぱなしというのは性に合わない。 「ドウシタ。いかなイのカ、マスター」 吐き出しそうな心臓を飲み込んで、つっ立ったままの凛に振り向く。 「……やはり、わたしはうっかりだ。一番大事な質問を、どうして思い出さなかったのか」 何故もない。 思い出さないのは、思い出したくないからだ。 「答えて。あなたは、一体何のサーヴァントなの」 敵意の籠もった質問。 それに、私は―――ようやく、恋人を待ちこがれた少女のようにニヤリと笑って、 「アングラー―――釣り師のサーヴァントだよ」 憎しみと歓喜を以て、存在しない呼称を告げた。
648 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 18:49:17>646 どうして、こう何と言うか…その… ダメットは愛らしいんだぁ。
649 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 18:51:02>>647 もちっと改変して欲しい。
650 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 19:58:35>というよりも、女の子を何人も毒牙にかけてる正義の味方なんて存在しないってー 赤い髪のアイツの事か クレリアの武具を装備して黒水晶を叩き壊したアイツの事かー!
651 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 20:57:37>>でも、その。蘇生する際の、あの掛け声は消せないものなの? 理解した。 フィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッシュ!! これだろ?
652 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 20:57:58>>638 やっぱり士郎は堕ちないと。ダークサイド万歳!
653 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 20:58:34ごめん、ageちった。 こんなミス何年ぶりだろうか。
654 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 21:04:21日茶飯事の癖に
655 名前: 対決 投稿日: 2005/12/20(火) 22:46:28「―――侮るな。この程度の傷で、私を止められると思うかアヴェンジャー」 セイバーの剣が露わになる。 敵は二人、距離は十分に離れている。 この位置関係では教会をなぎ払う形になるが、教会に人がいない事は確認済みだ。 「シロウ、宝具の使用許可を―――! 急いでください、敵マスターに動きがある……!」 バゼットの背後に浮かぶ球体が帯電している。 何のつもりかは判らないが、あの女魔術師はあそこからセイバーを攻撃するつもりらしい。 ―――そんなもの。 小石で、津波に立ち向かうに等しいだろうに。 「―――セイバーに任せる……! 出力は出来るだけ絞ってくれ……!」 発動は、それこそ瞬間だった。 出力を抑えている、というのもあるだろうが、宝具の展開は一秒とかからない。 一度発動してしまえば、その速度と威力は宝具中随一である。 こと宝具の力勝負において、セイバーの聖剣に勝るものは英雄王が持つ乖離剣のみ。 それを正面から打たれては、人間の扱う魔術など何であろうと通用しない―――! エ ク ス 「“約束された―――」 振り上げられる黄金の剣。 その輝きを前にして、 ア ン サ ラ ー 「“後より出でて先走るもの”」 囁きかけるように、女魔術師は右拳に息吹をかけた。 カリバー 「―――勝利の剣―――!”」 触れるもの全てを両断し蒸発させる光の剣。 その先制を、遥かに上回るハヤサで、 フ ラ ガ ・ ラ ッ ク 「“斬り抉る戦神の剣”―――!!」 バゼット・フラガ・マクレミッツの宝具が発動した。 からん、と鉄の落ちる音がする。 セイバーは健在。
656 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 23:45:19何回も繰り返すうちにはこんな回もあったんだろうなぁ(遠い目
657 名前: 金弓⇔赤弓 投稿日: 2005/12/21(水) 04:05:17「…………よう王様。話は変わるが、オレの知り合いにトンデモねえひねくれた正義の味方がいてな。 自分以外の誇りを狗に食わせろと見下すは、この世の一つとて救えはしないと諦めているは、そのクセ その通りになる展開になると防ごうとしているヤツなんだが、知ってるか?」 「知っておるぞ。人の賞賛は全く聞かぬわ、自分さえ犠牲になれば後はよいと思っておるわ、現界した目 的さえも状況が迫るとさっぱり捨ててしまうわ。 女運も悪くて、毎日のようにこき使われているのに懲りずに奉仕させられておるのだ。仕方あるまい、 主が不調ならば支えるのが臣下の役割だからな、とかなんとか」 「そうそう。くわえて施した恩も覚えちゃいねえ。 人助けの報酬で何かを得るんじゃなくてよ、人助けこそ報酬だと思いこんでやがる。んで、おまけに」 「何一つそれを自分で納得できぬのよな。病気だぞ病気。毎日励んでおったクセに、自分が救った者たち に裏切られて当然と諦めておるのだ」 「その通り。ホント哀れなもんだった。 でよ。話は変わるが、テメェはそういうのをどう思う?」 どう思うも何もない。 赤毛少年は心底から、 「うわっ、悲惨なヤツだな、そんなヤツホントにいるのか!?」 うむ、貴様だ。
658 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 10:48:09やべぇ、面白いわw
659 名前: マーボー→美綴弟 士郎→氷室 投稿日: 2005/12/21(水) 17:16:16>>620 の後だと思いねえ なんか、美綴弟が号泣してる。 「――――――――」 言葉がない。 なんでこんな弓道場裏の林に美綴弟がいるのか。 なんであんな殺し愛があっても誰一人来ないような人気のない所で号泣しているのか。 それもすごい勢いで。 悲しみに涙を流し、水などいらぬ、そんな余裕があれば楽しかった思い出を少しでも思い出す、というバッドエンドの如き気迫。 というか我を忘れてないか美綴弟、泣く迫力が尋常じゃないぞ。 もしかして玉砕か。 あの古代の悪心を釜で煮込んだあげく、私ハエミヤセンパイガ好キナンデスソロソロカエラナイト警察ヨビマスヨとかトドメ刺されたというのか。 だとしたらまずい、美綴弟もまずいが間桐嬢もまずい。 アレ、絶対心にやばげなモノを飼っている。そうでなくちゃ説明できない。 「どうしたんだよ、立っていてちゃ話にならないだろ。いつもみたいに首を突っ込んだらどうなんだ」 涙でぐしゃぐしゃの顔で美綴弟は言う。 「………………」 用心しながら……いや、もう何に用心しているのか自分でもわからないが……ともかく用心しながら美綴弟の隣に腰を下ろす。 「――――――――」 じっと美綴弟の動きを観察する。 ……ヤバい。美綴弟の精神、後二押しで崩壊だ。 こいつ、もしかしたら4日目まで泣いてる気か……と、喉を鳴らした時、不意に美綴弟と眼が合った。 「――――――――」 「――――――――」 沈黙が支配する。 私はいつもどおり冷静に人間観察して、 「ふむ、まあこれも絵にはなる」 「するなよ―――!」 本気で絶叫された。
660 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 17:25:30>>659 ひでぇよ。笑ったけど。
661 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 17:47:26ある意味氷室が言峰化してるな。
662 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 18:33:13>>659 wwwwwwwwww
663 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 19:11:33これは上手いwwwww そして非道いwwwwww
664 名前: 橋左+剣プール約束 投稿日: 2005/12/21(水) 21:20:30 ―――「貴重な忠告ありがたい。……で、その運命って変えられるのかな?」 「さて。努力次第で先送りぐらいは出来そうだが。 自己の運命というものは、自分の努力だけでは変えられないそうだ」 「それ忠告になってない。死刑宣告すんな」 「なに、心構えはできるだろう。冬のテムズ川は厳しいぞ?泳ぎは達者になっておけ」 実に愉快そうに笑いやがる。クソ、もう他人事だと思いやがっ…泳ぎと言えば、そうだ! 「そんな笑うことでもないだろぅ。で、泳ぎの話だけど」 「ん?」 「そんなに自信あるなら、白黒つけるにふさわしい場所があるじゃないか。 今度、新都のプールに行かないか?」 「…………」 柄でもない。勢いで口にして、今更らしくないと頬を掻く。 「いや、なんだ。新都に新しいプールが出来たって話を聞いたから、つい」 しばし沈黙。アーチャーはわずかに息を飲んでから、 「ああ。…喜んでおつき合いさせていただこう。」 はっきりと、こっちの頭をグラグラにしてくれた――――
665 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 21:29:46頼むから止めてくれwwwww
666 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 21:45:11なんでそうなるwwwww
667 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 21:51:36うほっ! いいアーチャー
668 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 22:24:18ワクワクドキドキ
669 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 22:46:38こ、これは…俺が一番セクシー!
670 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 23:16:33これなら運命は変わるなwww
671 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 23:26:26そしてプールでフィィ(ry
672 名前: 『見知った子供』 投稿日: 2005/12/21(水) 23:29:28「おはようございまーす!」 「……はい?」 思わず、間の抜けた返事をしてしまう。 「あれ? この時間だともうこんにちは、ですか? それじゃあやり直しますね。 どうも、こんにちはお兄さん!」 「あ、うん。こんにちは」 つられて挨拶。 ゆら、と嬉しそうに髑髏の仮面をゆらす小人さん。 「――――――」 やばい。 やばいぐらいに記憶にない。 見ず知らずの小人に挨拶される覚えはなく……しかも公園からここまで、わざわざやってきてくれた……きっと会ったことがある筈だ、と頭を巡らす。 「だめだ、まったく覚えがない。ごめん、以前会ったコトあったっけ?」 「あれ、覚えてませんか?」 きょとん、と驚く小人さん。 すごい罪悪感が湧くのだが、悲しいかな思い出せない。 「うーん、そっかあ。お兄さん鈍そうだし、いきなりじゃ無理ないですね。けど、もう何度か会ってますよ『ボク』たち。その時はちょっと背格好とか違ってたみたいですけど」 「背格好が違ってた?」 いや。同じ人間なのに背格好が違う筈はないしなあ……。 「んー、背格好っていうより人間かな。まあ、その時のコトはボク自身、実質的に他人事なんですけど。 同じだけど名前と顔以外は接点ない、みたいな」 ますます分からない。 小人さんは仕方ないなあ、と仮面を動かす。 「じゃあヒントをあげますね。『ボク』はきっとお兄さんが嫌いななかで一番影の薄い人間です。 その分類で思い当たる人って少ないでしょ? お兄さん、苦手な人は人並みにいるけど、嫌いな人って少ないから」 小人の声に嫌味はまったくない。 自分が嫌われていると分かっているのに、なお裏の見えない仮面を向けてくる。 髑髏そのものの眼窩がまっすぐに見つめて―――って、待てよ……? 黒ずくめで髑髏の仮面をかぶったヤツなら、一人だけ心当たりがあるようなないような。 「―――――あ」 ぜんぜん関係ない。 ぜんぜん関係ないのだが、なんとなく、この小人と外見……というか仮面が似ているヤツを思い浮かべてしまった。 「いや、けど―――もしかして、アイツに弟とかいたのか……?」 「残念ながら『ボク』たちに肉親はいません。自分ならあと十八人いますけどね」 表情のない、偶像のような仮面。 「あ、でも安心してください。臓硯さんと契約してるわけじゃないですから。 まあ、身の上話とかされたらあんがいコロっといっちゃうかもしれませんけど、とりあえず忠誠の対象ではないです」 「――――――」 ぐわんぐわんと脳味噌が火薬状態。 つまりなんだ。 もしかしてこの小人さんは、その、
673 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 23:32:41>>ぐわんぐわんと脳味噌が火薬状態。 士郎逃げて士郎
674 名前: ランサーズヘブン2 ランサー→キャスター 投稿日: 2005/12/21(水) 23:37:38 空は快晴。 強い日射しは季節の感覚を麻痺させる。 そよ風は頬に心地よく、行き交う人々が寂しさを緩和させる。 文句の付け所のない絶好のロケーション。 午後の散歩を好むお爺ちゃんや買い物にに励む主婦の清涼剤になりそうな深山の商店街は、しかし。 この上なく対照的な二人によって、ギチギチの険悪空間になっているのであった……! 「って、一人増えてるぅ……!?」 キャスターの背後。 頼れる背中がキラリと光る、あの褐色の男は間違いなく新たな暇人(主夫)……! 「フ、お一人様1本限り148円のトマトケチャップフィッシュ。 よいスーパーだ、面白いように特売品が買える。ところで後ろの主婦、今日それで何品目だ?」 「うるさいわね、なんであなたに答えなきゃいけないのよ。うるさいから余所でやれ余所で」 「はっはっは。まだ158円の新キャベツが1玉だけか。 時代遅れのショッピングスタイルではそんなところだろうよ、 と、蓮根のはさみ焼きフィィィイッシュ!」 ※フィッシュとは当たりの意味です。ヒット、ビンゴ、げえっ遠坂! 等とお考えください。 「だからうるさいわねこの主夫かぶれ! 売り物が逃げるでしょう売り物が!」 「ふ。腕のなさを他人の所為にするとは落ちたなキャスター。 特売品が逃げるのなら自分で料理すればいいだろう。 もっとも、石器人であるおまえに料理のなんたるかが理解できるとは思えないが、 おっとすまないね、プチトマトのはちみつレモン酢漬けフィィィィイッシュ!」 ヒャッホー、と歓声をあげる赤エプロンの男。 ……おかしいなあ。 主夫してる大人を見るのって、こんなにも苦々しいものだったっけ……。
675 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 23:42:47ウクライナの田舎娘(´・ω・`)カワイソス
676 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 23:45:51>>674 俺の脳内でエミヤのクラス名がハウスキーパーに変わった
677 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 00:50:22「ショック! 間桐部長にふられただけでなく、氷室先輩まで喰われるなんて!」 ざぁ、と足下から風化していく美綴の弟。 古来より、ショックをうけたものにはこうなってしまう決まり事(システム)が存在する。 見向きもされない少年よろしく、影が薄くて無謀にもに桜に告白した美綴の弟にも、揚げ足を取ることでびっくらこくのだ……! 「おーのーれー。だが忘れるな衛宮先輩、俺は何度でも蘇る! 嫉妬があるかぎり、この世に報われない男達がいる限り星幽界からVトールで現れる! ……おお、なんという人の業……! 罪深きもの、汝の名は節操なし…………」 『美綴実典が答えを得た!』 「まあ、なんつーか……やっぱり美綴の弟だったか」 とりあえず、これに懲りてしばらくは姿を現さないだろう。 三枝さんも手に入れたし、テキトーに供養してからウチに帰るとしよう。
678 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 00:56:04三枝さんまで・・・
679 名前: 677 投稿日: 2005/12/22(木) 00:56:53入れ忘れてた>>659 の後だと思ってね
680 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 01:01:10そのうちしっとマスク化しそうな勢いだなw
681 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 01:02:59>三枝さんも手に入れたし の辺りが外道臭を漂わせてるなw
682 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 01:36:56三枝さんは俺のだ!!!などと叫んでみる
683 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 01:55:38いや、俺のですよ。 三人娘は俺の嫁ですから。
684 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 02:11:09何をおっしゃる。三人娘は俺のハニバニだぞ
685 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 02:13:35じゃあ仲良く輪姦ということで
686 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 02:37:19じゃあ俺はお前のケツの穴な
687 名前: ランサーズヘブンⅡ→マーボーズへブンⅡ 投稿日: 2005/12/22(木) 03:35:39 空は快晴。 強い刺激臭は鼻の感覚を麻痺させる。 豆板醤は舌に厳しく、出されるお冷では辛味を緩和させれない。 文句の付け所なら大量にある最凶の料理店。 甘味よりも辛味を好む変態神父や噂を聞いてやってきた物好きの清涼剤になりそうもない中華料理店・泰山は、しかし。 この上なく似たもの同士な二人によって、ギチギチの険悪空間になっているのであった……! 「って、一人増えてるぅ……!?」 言峰の正面座席。 質素な布地の黒さが渋い、あの修道服は間違いなく新たな辛党……! 「フ、麻婆丼三杯目クリア。よい店です、素晴らしい辛味です。ところでそこの神父、今日それで何皿目ですか?」 「うるさい、なぜお前に答えねばならんのだ。うるさいから余所で食え余所で」 「ふふふ……まだ麻婆豆腐二皿だけですか。麻婆豆腐一点張りではそんなところでしょう、と、麻婆茄子四皿目クリア」 ※クリアとは完食の意味です。お代わり、もう一杯、シロウ、まだ少し小腹が……等とお考えください。 「だからうるさいぞ。この邪道かぶれ。麻婆が冷めるだろうが麻婆が」 「ふ。食の遅さを他人の所為にするとは落ちましたね言峰綺礼。麻婆豆腐に飽きたのなら他の物も食べてはいかがです? もっとも、麻婆豆腐しか知らない貴方が麻婆のなんたるかを理解しているとは思えませんが、ああ、すみません、麻婆春雨六杯目クリア」 ふふふ……と笑みを浮かべる修道服の女。 ……おかしいなあ。 飯食う聖職者たちを見るのって、こんなにも息苦しいものだったっけ……。 〜(中略)〜 「ふふふ……この分では閉店を待たずして勝負がつきますね。ちょっとした軽食のつもりで始めましたが、様子を見るまでもないですね。 ねえ言峰綺礼、別にこの店の麻婆を食べつくしてもかまわないのでしょう?」 「ああ、できるものならやってみろ。その時は二度とお前をカレンとは呼ばんよ」 「よく言いました言峰綺礼。ふふ、こんな形で貴方と雌雄を決する時が来ようとは……どちらが真の辛党か、ここでハッキリさせましょう」 ノリノリのカレンに、いいから黙って食え、という言峰。 ……ほら、言わんコトじゃない。 ヘンなモノ口にするからヘンなのが寄ってくるんだ。 二人の邪魔をしないよう、こっそりと店を後にする。 どうかあのシスターがカレンからカレー(辛ぇ)に改名するようなコトがありませんように。 ……大丈夫か。カレーの異名を持つシスターならすでに有名なのがいるし。
688 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 04:29:45なんて親子だww
689 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 07:33:01何か親子水入らずのほのぼの食事風景に見えてしまった俺の目は歪んでますか?w
690 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 08:30:34歪んだ親子ですからねwwwww 歪んで見えるのは極自然かとwwwwwwwwwwww
691 名前: 士郎 → 凛 槍&子ギル → ギル&NEET剣 投稿日: 2005/12/22(木) 13:10:17 珍しく川縁には人気がない。 市民にもっとも愛されている憩いの場にはただ二人、とんでもなく目立つ、怪しい組み合わせがあった。 「…………………レアね」 いえ、レアなのは組み合わせだけじゃあない。 本来なら犬猿の仲、セイバーの目に写れば真っ先にたかられるギルガメッシュが、お喋りしながらアイスクリームを食べているのである……! 「む、セイバーの分は我の奢りだからな」 そして明かされる予想通りの事実。 「ふっふっふ。やはりアイスは奢って貰うのが一番ですね!」 さらに明かされるどうでもいい意見。 ちなみに、セイバーが食べているのはイチゴ味のジェラートである。 「む、呆れていますね。 おかしいですか、私とギルガメッシュが一緒にいるのは?」 「いや、実際の話おかしいであろう。その小娘が固まるのも当然だ。 そもそもが、セイバーが外を出歩いている時点でおかしい。 ニートではないか貴様。自主的な外出が謎そのものなのだ。豚が飛ぶ以上にありえんぞ」 「むむむ。酷い言い様ですね、同じ王である同業同士仲良くやっていきたいのですが。 まあ、ふりかえってみると誤解を招くコトばかりしていますから仕方がありませんか」 「誤解など招いておらん。おまえは絵に描いたような愚王振りではないか。誰がどう見たところで話にならん。一度転落して奴隷からやり直さねば改心せぬだろう」 「そうなんですよねー。だから国を滅ぼしてしまったんでしょうねー。でも過去は変えられないんですよねー。ああ、過去に囚われるのってこんなに鬱なんですねー」 棒読みで肩を竦めるダメ王。 「でもその気持ち、ちょっと分かる」 あの杖め…… 「ホントですか? 良かった、なら凛とは契約できますね。 嬉しいです、ようやく追い出されてから寄生出来そうな人に会えました!」 「あ。ごめん、それは無理。自堕落な奴とは付き合えないわ。根本から人間と認められないというか」 「そうですか……ショックです、マトモそうな顔して凛はマッチョの方がいいと言うんですね……筋肉質でなければ目に入らないなどと、なんて偏った人なのでしょう」 「……む。小娘、そのような性癖だったのか? ……なるほど、それでか。いや、数多いる弓の英霊の中からあそこまで無駄な筋肉の英霊を召喚するなどおかしいと」 「わ、ワケあるかーーーーっ!! 私の趣味はずっともっと真っ当よっ! ロリコン士郎と一緒にすんなっーーーー!!!」 「失礼ですね。凛にだけは言う資格はありません。 キャスターの着せ替え趣味に加担した時点で同列です」 「ぐっ、なぜそれを知っている迂闊王(剣)……!!! あ、いや、でもね、この件に関してはそういうのとは別件よ。そもそもセイバーはロリっ子ではありません」 スレスレだけど。 「なに? これは十分子供であろう。キャスターあたりと比べれば、子供というより稚児扱いであろうに」 「シッ、だめよ金ピカ。その暴論じゃキャスターを敵に回すわ」 「同感です。頼みますからあまり危険な事を言わないでくださいギルガメッシュ。迂闊なコト言うとあちらの方から狙撃されますよ?」 「あちら? あちらとはどちらだ」 「ですからあちらです。隣から斬られるでも構いませんが」 「斬るな! 刺客はキャスターではなく貴様なのか!?」 「ふふふ。一撃で仕留めて見せますよー」 怪しげに笑うセイバーとわめく金ピカ。 ……ふーむ。 休日の公園というのもあるんだろうけど、このコンビ、けっこう愉快な組み合わせなのではないだろーか?
692 名前: 士郎 → 凛 槍&子ギル → ギル&NEET剣 投稿日: 2005/12/22(木) 13:11:12「で。こんな所で何してんのよ、二人とも」 露骨にイヤな顔をする金ピカ。 気まずげに目を逸らす無駄飯喰い。 「らしくないわね。アンタたちが嫌がる事なんてしょっちゅうなのに。 ……あ、もしかして仕事が関係してるの?」 「ハ、戯け、こと治世で我が悩むものか。忌々しき事は別にある。この面倒に比べれば王の責務など児戯に過ぎん」 「……私は逆ですね。自発的に労働をする事に比べるなら、まあ、十分我慢できる事なのですが……」 「ほう? あの陰湿さに耐えるならば王の責務を果たす方が容易かろう。貴様とてそうではないのか? 我以上に国の繁栄にこだわったのだからな」 「自ら動くのはスマートではありません。できれば楽して勝ちたいものですが、まあ、現実と理想の違いは置いておいて。 国の繁栄にこだわると言うなら、私は最適でしょうギルガメッシュ。方針に迷いがありませんからね」 「それは方針次第だ。自分が楽をするのに迷いがないなど、上に立つ者として害悪だと言う話だろう」 「上に立つ者としてどうかとは思いますが、王としてはいいのではないですか? 王というのは自身が楽をする為に、しっかり臣下を扱き使えば良いのです」 「ほう、それは潔い事だ。 …………ところで小娘。話は変わるのだが、我の既知に手の付けられない愚鈍な王がいてな。 自分以外の人間を馬車馬の如く扱き使うは、自分は王であるのだから奉仕されるのが当然と思い上がっているは、その上に自分のために働く事を当然と思っておる奴なのだが知っているか?」 「知ってるわよ。人の話はまったく聞かないわ、お金もないのになんでも手に入ると思ってるわ、一日前の失敗をキレイさっぱり忘れてるわ。 手癖も悪くて、毎日のように摘み食いして叱られてるのに懲りずに繰り返すのよね。私が料理に手を出すのではない、料理が私に食べろと言っている、それが真理なのです! とかなんとか」 「その通り。加えて受けた恩も覚えておらん。 人にたかっておきながら、たかるのを当然の行為だと思いこんでおる。その上、さらに」 「何一つ他人の為に働かないのよね。無職よ無職。毎日遊んでるクセに、マジメに働いている人たちから財産を没収してふんぞり返ってるのよ」 「その通り。本当に困ったものだ。 ところで。話は変わるが、貴様はそれを聞いてどう思う?」 どう思うも何もない。 話題の主は心底から、 「うわっ、ひどい王ですね、そんな王が本当にいるのですか!?」 ええ、アンタの事よ。 「ほう。いま心が通じ合ったな小娘」 「ええ。この場に他の連中がいたら、みんな通じ合えたと思うわよ」 うんうん、と頷く二人。 そんな私たちを不思議そうに眺める脛齧りの王さま。 「で。結局のところ、ホントに何してるのよ。主語抜いてばっかりで話がわかんないわよ」 「む? だから、セイバーが家出したと言う話だ」 「そうなんです。働けなんて、横暴ですよ」 「家出……?」 家出って追い出された……って事は無いわね。 士郎は変態的に壊れている。今このニートに家出を決意させた勇者は別にいるのだ。 それがどんな奴なのか、 私は知っているような、知らなくていいような。 「へえ。どんなヤツなのよ一体」 「それは我も聞いていない。分かるのは言峰と同じ程に陰湿でサーヴァントの扱いが悪いという事だけだ。 実際はどうなのだ? 陰湿な扱いを受けたのだろう?」 「詳しい経緯は口にしたくありません。 ですが、“先輩からセイバーさんの調教を任され、そこに天職を得たのです”だとか。 そんな変態的な性癖、自慢げに誇られても困るんですけどね」 「――――――」 さて。家出の理由は結局判らないけど、現状で判ったコトは一つ。 この駄目王にはニート故の天敵がいて、それで以前からカモにしているギルガメッシュに寄生しようとしている、というコトだ。 「……つまり。セイバーがギルガメッシュのヒモになると?」 「目も当てられんな。また理不尽な要求を繰り返されるのは目に見えている」 「ギルガメッシュはいいじゃないですか。財産に限りがないのですから。私なんてカツカツですからね、少々シロウの財布に手を出すと後で大目玉です」 「当然だ。しかしそれは辛そうではあるな、正座で控えさせておいて一日中嫌味とは。 フェイカーあたりとは気が合いそうではあるが、貴様には針の寧ろであろう」 ふんぞり返る金ピカと脱力するセイバー。 純粋な脅威として恐れているのではなく、人間として苦手なタイプというコトらしい。
693 名前: 士郎 → 凛 槍&子ギル → ギル&NEET剣 投稿日: 2005/12/22(木) 13:11:49「あー……思い出したんだけど。 さっきね、士郎の家に寄ったら黒いクラゲが玄関にいたの。そいつ、寄生虫を見なかったかって訊いてきたんだけど―――」 「すみませんリン。急用を思い出しました。 もしサクラにあったら、私は故郷に旅立った、と教えてあげてください」 「我も此処に居る事は出来なくなった。 もし黒い聖杯にあったら、セイバーはよく新都の教会で我にたかっている、と伝えておけ」 フッ、と険悪な視線を交わすサーヴァントたち。 さすがは幾重もの戦いをくぐり抜けてきた戦士である。 どんなに仲が良く見えても、根っこの部分で利用し蹴り落とす気満々なのであった! 「さらばだ! いや中々に楽しかったぞ!」 シュタッと新都方面へ逃げ去るギルガメッシュ。 「それではまた。 頼みますから、サクラはリンが説得してくださいねー!」 シュタタッとギルガメッシュに負けず劣らずのスピードでアイツを追いかけて行く金髪ニート。 ……さて。 幾度となく振られ続けるギルガメッシュと過剰に付きまとわれるギルガメッシュ。 恵まれていないのはどちらなのか、第三者である自分には分からないが――― 「面白そうかな、あれはあれで」 あれはあれで、新しい関係というコトで。
694 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 13:22:49>>674 真の主夫なら出来合いの惣菜なんか手に取らず一から作れよ!w
695 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 13:49:53セ、セイバー…
696 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 13:51:26……いいコンビじゃないか、我様&駄目剣。
697 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 13:53:34下手に作るよりも特売の出来合いの方が安くて美味かったりするのよねー
698 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 14:32:01>>674 キャスターズヘブンⅢも希望w
699 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 14:32:35小分けに作るのがどうしても向かない料理というのもあるのです。
700 名前: ランサーズヘブン2 ランサー→士郎 士郎→凛 投稿日: 2005/12/22(木) 15:21:37 空は快晴。 強い日射しは季節の感覚を麻痺させる。 シンナー臭は頬に心地よく、コンプレッサーの駆動音が寂しさを緩和させる。 文句の付け所のない絶好のロケーション。 午後の散歩を好むお爺ちゃんやマラソンに励むスポーツメンの清涼剤になりそうにない士郎の部屋は、しかし。 この上なく対照的な二人によって、ギチギチの険悪空間になっているのであった……! 「って、一人増えてるぅ……!?」 士郎の背後。 頼れる背中がキラリと光る、あの褐色の男は間違いなく新たな暇人……! 「フ、セイバーフィギュア(白水着)フィニッシュ。 よいエアブラシだ、面白いようにフィギュアが完成する。 ところで後ろの男、今日それで何フィニッシュ目だ?」 「うるせえな、なんでテメェに答えなきゃいけないんだっての。 うるさいから余所でやれ余所で」 ※フィニッシュとは完成の意味です。いや、違うんだ桜。これは、頼まれ物であってだな、等とお考えください。 「はっはっは。まだ桜(乳)だけか。 トレース・オン 時代遅れの造形スタイルではそんなところだろうよ、と、ライダー(黒)フニィィィイッシュ!」 「だからうるせえってのこの若白毛! 埃が舞うだろ埃が!」 「ふ。腕のなさを他人の所為にするとは落ちたな小僧。乾燥しないならラッカー塗料に切り替えればいいだろう。 もっとも、石器人であるおまえにエアブラシのなんたるかが理解できるとは思えないが、 おっとすまないね、イリヤ(縞)フニィィィィイッシュ!」 ヒャッホー、と歓声をあげる赤マントの男。 ……おかしいなあ。 童心に返っている大人を見るのって、こんなにも苦々しいものだったっけ……。
701 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 15:49:17童心違うからw
702 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 16:49:17677のシーンてどこだっけ?
703 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 16:50:53郊外の夜の森のそこまでにしておけよ藤村
704 名前: 慎二→アーチャー 士郎→凛 投稿日: 2005/12/22(木) 18:29:43「あ、アーチャー」 十時前の、まだ人気のない港でぽつねんとアーチャーが立っている。 「フィッシュしてる……ってワケじゃなさそうね」 アーチャーは手ぶらで、ぼんやりと海を眺めていた。 「おーい、アーチャー」 「……………………」 「なにやってるのー? 誰か待ってるのー?」 「……うるさいな、ほっといてくれ。 どーせな、私は嫌われ者なのだ。どこ行っても出番はないし、あったところでチョイ役だし、ちょっとネタにされればヘンな役回りだし!」 「わかるか凛、英雄王のヒーロー化ネタ○×個に対して私はKOYU-KEKKAI!!!やら頑張れないやらフィィィィッシュ! やらヒィィィィット! やら手が滑ったぁぁぁぁ! やら主夫やらフィギュアだぞ? うわー、格好良かったの片手で数えられるぐらいって正直調整おかしくないか? つーかぁ、贋作より優れた真作など存在しねー」 そのまま港の隅っこに移動するアーチャー。 ……本気でテンパっているのか、そのまま電撃ガマ○ツを投影して海に投げ捨ててしまった。 世界が契約持ちかけて来たら二重契約しかねない勢いだ。 その後ろ向きな勢いに不覚にも涙が止まりません。 「な。バカ言っちゃダメよ、負けるなアーチャー、立ち上がれアーチャー! そーゆー不遇な扱いにまったくへこたれない、まわりの空気を読みまくっておいしい所かっさらうのが貴方の強さだった筈よ……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりする。 「……断る、疲れた、もともと私は衛宮士郎だしな。正しいいじられキャラの血を引いてるのだな。 フラレ実典も、ダメットも、NEETセイバーも、こーゆー風にはじっこでネタキャラ化されるのがお似合いなのだ」 ますます閉じこもるアーチャー。 まー、こんな絶好のスポットで引きこもるあたり、アーチャーはやっぱり歪んでるんだと思う。 「……いいからさあ、さっさと余所に行ってくれないか? 私は運命の相手を待ってるのだ。 私がヒーローになれる最後のチャンスなのだ。 改変も満足に出来ない凛に用はない」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 うーん。なんか、今の私では処置なしの気がする。 その内、気が向いたらまた寄ってみよう。
705 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 19:17:40セイバー(道場、公園、なぜか家庭菜園) ミストオサカ 衛宮士郎 イリヤ アーチャー(アインツベルンの森、港) 大ギル 真アサシン ミスオクタヴィア 美綴弟 アルクェイド 翡翠 さっちん ロア G 蒼崎燈子 白純理緒 今のところこんだけ「慎ちゃんと海」改変があるな。人気人気全キャラ行けるぞ
706 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 19:43:57「さて。今日も一日頑張らないと」 「―――――」 こきこきと体を鳴らし居間へ向かう。 なぜだか視界がぼやけて、何事かと目をこする。 「――――――あれ」 少しだけ目が潤んでいた。 気持ちのいい朝の、いつも通りの風景。 きっと幸福(こどく)すぎて、あくびでもしたのだろう。
707 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 23:51:21「ふ…… さあ速やかに消え去るがいい慎二。ハーレムの座は、 この衛宮士郎にこそ相応しい――」
708 名前: ライダー→アーチャー 投稿日: 2005/12/23(金) 00:02:08 ――――独りの、真っ赤な釣り人がいた。 「――――――――」 ……信じられない。 あれだけの数。 あれだけの短剣を、アーチャーは全て釣竿だけで捌ききった。 ランサー相手の時とは違う。 自分ひとりなら双剣も必要ないと、アーチャーは一歩も動くことなくアサシンの猛攻を凌いだのか。 「何を遊んでおるアサシン……! 弓も持たぬアーチャーなぞ、早々に片付けんか……!」 「ソレハデキナイ―――コヤツ、以前トハ違ウ」 天井に張り付いたまま、アサシンはアーチャーを凝視する。 今のア−チャーは以前のアーチャーとは違う。 その手に構えた99%カーボン製の高級ロッドも、魚神さんばりのジャケット姿の場違いさも段違いだ。 ランサーの青タイツには届かないにしても、これなら――― アーチャーは、確実にアサシンを(色物度で)上回っている。 「ク――――キサマ、何故」 「――――――――」 アーチャーは答えない。 ただ、その腕が一際大きく釣竿を振りかぶった。 それが獲物を狙うフィッシャーの動作なのだと読み取った時、 天井へ飛ぶアーチャーの分銅型オモリと、地面に跳ぶアサシンの短剣がぶつかった。 「ッキ――――!」 「――――――――」 アーチャーは無傷。 対して、アサシンの肩にはアーチャーの釣り針が突き刺さっていた。 「ク――――抜ケ、ヌ――――!?」 肩口に刺さった釣り針を引き抜こうとするアサシン。 「――――――――」 そこへ。 ビィン、と釣り糸を軋ませて、アーチャーはあろうことか、 「え――――ええーーーーーー!?」 フ■セスーパーオートメーションを巻き上げ、アサシンを釣り上げやがった……! 「フィィィィィィィィィィッシュ――――!」 褐色の面が歓喜に染まる。
709 名前: 慎ちゃんと海 言峰Ver 投稿日: 2005/12/23(金) 00:47:04「あ、言峰」 十年前の、まだ魃さんのいない泰山にぽつねんと言峰が立っている。 「麻婆食ってる……ってワケじゃなさそうだな」 言峰は手ぶらで、ぼんやりとメニューを眺めていた。 「おい、言峰」 「……………………」 「なにやってるんだ? 誰か待ってるのか?」 「……うるさい、ほっといてくれ。 どうせな、私は嫌われ者なのだ。どこ行っても出番はないし、あったところで回想だし、ちょっとネタにされれば目に黒消し入れられてるし!」 「どうだ衛宮切嗣、衛宮士郎が確実に第五次聖杯戦争を勝ち抜いてるのに対して私は確実に死んでいることになってるんだぞ? すごいぞ。聖杯戦争の再現なのに監督役が入れ替わってるって正直話が違わないか?というより、神父より優れたシスターなど存在しねー」 そのまま店の厨房に移動する言峰。 ……本気でテンパっているのか、そのまま麻婆豆腐を自分で作りはじめててしまった。 豆板醤があったら全て鍋に投入しかねない勢いだ。というかしてる。 その後ろ向きな勢いに不覚にも涙が止まりません。 「な。バカを言うな、負けるな言峰、立ち上がれ言峰! そーゆー不遇な扱いをまったく気にしない、まわりの空気を読んでいるくせにあえてぶち壊そうとするのがおまえの強さだった筈だ……!」 などと、こっちも勢いでエールを送ったりする。 「……断る、疲れたのだ、もともと私は第四次聖杯戦争の時に死んでる筈だったのだ。第五次聖杯戦争ではどちらかというとイレギュラーなのだな。 衛宮切嗣、お前のようにHAでは出番は名前のみ、SNでもせいぜい回想シーンのみの出番くらいがお似合いなのだ」 ますます麻婆に豆板醤を投入する言峰。 まー、なんだかんだでこっちの痛いところもさっくり抉ってくるあたり、言峰はやっぱり性格が悪いと思う。 「……いいから、さっさと余所に行ってくれないか? 私は運命の相手を待ってるのだ。 私がライバルに返り咲ける最後のチャンスなのだ。 第四次聖杯戦争のマスターでない衛宮切嗣に用はない」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 うーん。なんか、今の僕では処置なしの気がする。 その内、Fate/Zeroが発表されたらまた寄ってみよう。
710 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 03:30:07>まわりの空気を読んでいるくせにあえてぶち壊そうとする なんと的確な
711 名前: ランサーズヘブン 釣り⇒ナンパ 1/2 投稿日: 2005/12/23(金) 13:50:37 空は快晴。 強い日差しは季節の感覚を麻痺させる。 町は静かに、されど人々の喧騒が寂しさを緩和させる。 文句の付け所のない絶好のロケーション。 登下校中の買い食いを好む学生や日々、家事に励む主婦のオアシスである マウント深山町は、しかし。 今まさに、盆と正月が来たかのような賑わいを見せていた……! 「って、一人増えてるぅ……!?」 ランサーの背後。 頼れる背中がキラリと光る、あの褐色の男は間違いなく 新たなハンター……! 「フ、女子高生六人目ゲット。 良い町だ、面白いように女が引っかかる。ところで後ろの男、 今日それで何ゲット目だ?」 「うるせえな、何でテメェに答えなきゃいけねえんだっての。 うるせえから余所でやれ余所で」 「はっはっは。まだ女子大生が一人だけか。 時代遅れのナンパスタイルではそんなところだろうよ、と、 七人目ゲェェェッッット」 ※ゲットとは落としたの意味です。キャッチ、キープ、 今夜は寝かさないぜ等とお考え下さい。 「だからうるせえってのこの近代かぶれ! 獲物が逃げるだろう獲物が!」 「ふ。腕のなさを他人の所為にするとは落ちたなランサー。 もっとも、夜這いや略奪が恋愛の主流な時代のナンパスタイルでは警察の お世話になるだけだと思うがな、おっとすまない、 八人目ゲェェェッッット」 「…………つーか、なんだありゃ」 ……ホント、我がコトながら目を背けたくなる。 上下共にホストばりにキメキメのスーツ。 腕時計は最新技術の結晶。 その他各種オプションもすべて最高級品。 ちなみに、言うまでもなくぜーんぶ投影によるバッタもんである。 「ふはははははは、なんだその程度か。所詮は番犬と贋作使い、 王たる我とは比べるべくもない!」 「って、さらに増えてるーーーーー!!?」 誰が、いや何が増えたかは言うまでもない。 大学病院の総回診の如く看護婦を連れ歩く姿は紛れもなく……! 「…………バカな。ナースさんを一ダースゲットだと!?」 「ふっ、古来より女は贈り物に弱いと相場が決まっている」 「フッ……なるほど。相変わらずの物量作戦か。 しかも金に糸目をつけぬ絨毯爆撃とはな。 ……がっかりだ。金品に頼るとは見下げ果てたぞ英雄王……!」 看護婦さんたちを羨ましそうに眺めながら、ナンパを続ける赤い男。 というか、おまえが言うな。 平和だったマウント深山町は、今やあの三人の狩猟場と化している。 世のため人のためマウント深山町のため、あの三人を何とかせねば。 獣は当然のように大地を駆ける。 ので、まずはその首に首輪をかけるとするヨ。 一番、赤のコース行きます。ままならぬ凡人代表として頑張るヨ。
712 名前: ランサーズヘブン 釣り⇒ナンパ 2/2 投稿日: 2005/12/23(金) 13:52:02元シーン:最強の敵+衝撃のマーボー 「このままじゃ埒があかねぇ。そこでだ」 ランサーが指差した先、そこには、 今までの獲物とは一線を画すレベルの三人の女性の後姿。 「なるほど、この猟場の主と言っても過言ではあるまい」 「ああ。あの三人のどれかを先にゲットした奴の勝ちってのはどうだ?」 「ふっ、それはいいが………別に三人まとめてゲットしても問題あるまい?」 「ぬかせ弓兵。先手必勝、先に行かせてもらうぜ」 駆けるランサー、その後を新旧アーチャーが追う。 「ねーねー、彼女たち」 声をかけられた女性達が振り向く。 「――――」 だが。 幽霊でも見たかのような唐突さで、ランサーの足はピタリと止まった。 「ランサー?」 そう声をかけた時、心臓がズキリと痛んだ。 「――――で、話は終わりですか?ランサー」 ハスキーな声が夜に響く。 尋問するようなそれは、紛れもなく彼女のもの。 視線が前へと引き寄せられる。 いつのまにか日が暮れていたのか、真上から照らし出される街灯。 ――――そこには。 皮手袋を嵌めた封印指定の執行者。 赤い聖骸布をはためかせたシスター。 そして、宝石を指先に挟んだあかいあくま。 平穏なマウント深山町に、それは、在ってはならない悪夢だった。 「―――――――――」 言葉がない。 なんでいつもはスカートをはかない二人がスカート姿なのか。 なんで凛は髪を解いているのか。 というか本気になってないかあの三人、吹きつける殺意が尋常じゃないぞ。 もしかして罠なのか。あの衛宮士郎が私たちの所業を百倍ぐらいにして タレ込んで連絡網のあげくアイツラ外道エーユー今後イカシチャオケネェ みたいな罠が完成したというのか。 だとしたらまずい、ランサーたちもまずいが私もまずい。 アレ、絶対やばげな量の殺意が籠ってる。 そうでなくちゃ大気が歪んで見えるのが説明できない。 「どうしたんですか? 突っ立ったままじゃナンパにならないでしょう?」 笑いながらシスターは言う。 「……………」 用心しながら……全力で後ろに向かって逃げ出した。 「なるほど。意外に狩りとは楽しい物ですね、これなら貴方が夢中になる のも道理ですねランサー」 「私はどちらかと言えば釣りの方が性に合ってるみたいですね。 我慢できない貴女には無理でしょうけど」 隣を走っていたランサーは“斬り抉る戦神の剣”に撃ち抜かれ、 後ろを走っていたギルガメッシュは赤い聖骸布に捕縛された。 「はっ、は――――――!」 商店街から遠坂邸まで、十秒掛からずに走り抜ける。 距離にして数キロメートル以上、英霊でも残像すら見えない速度 けど、そんなものは、 「いい脚してるわねアーチャー。ここで処分するには勿体なかったかな」 あかいあくま相手には、何の意味もあり得なかった。
713 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 13:58:40KOEEEEEEEEEEEEEE
714 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 14:51:32AKUMA早eeeeeeeeeee!!! それとダメットさんの容赦無さは異常
715 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 15:56:59空は快晴。 ストーブに程よく暖められた部屋の空気が衛宮家の夕飯時を演出する。 味噌汁の匂いは鼻に心地よく、つけっぱなしのテレビが寂しさを緩和させる。 文句の付け所のない絶好の食卓。 今日一日のバイトで疲れてる俺や甲斐甲斐しく家のことを手伝ってくれる後輩の清涼剤になっているな衛宮家の居間は、しかし。 この上なく対照的な二人によって、ギチギチの険悪空間になっているのであった……! 「って、一人増えてるぅ……!?」 藤ねえの向かい。 青い瞳ががキラリと光る、あの金髪の少女は間違いなく新たなただ飯食らい……! 「フ、ごはん16杯目おかわり。 素晴らしい食事です、おいしくご飯がいただける。ところで大河、今日それで何杯目ですか?」 「なによう、セイバーちゃんどうでもいいじゃないの。もっと良く噛んで食べなさい」 「はっはっは。まだ8杯だけですか。 そんなペースではご飯が無くなってしまいますよ、と、十七杯目おかわり!」 「だからもっと良く噛みなさいって!体に悪いでしょう、体に!」 「ふ。相手のペースを落としてご飯にありつこうとは落ちましたね大河。私はちゃんとよく噛んで食べてますよ。 もっとも、野生の獣であるあなたにはそんな気配りが必要とは思えませんが、おっとすみませんね、十八杯目おかわり!」 これはおいしい、と歓声をあげる騎士王。 ……おかしいなあ。 食事をとっている少女を見るのって、こんなにも苦々しいものだったっけ……。 「…………つーか、なんだありゃ」 ……ホント、我がサーヴァントながら目を背けたい。 既に空となったサラダの器、これもおかわり二桁という味噌汁。 たっぷりと用意したはずの煮物は里芋を数個残すのみとなり、十六匹の焼き魚もほぼ壊滅おまけに骨には一片の身も残さないときたか……! 「……すごいなあ。アレ、10人前は食ってるよなあ……」 騎士王の食事は野生の虎の食事量と同等か、あるいは凌駕するほどなのだ。 桜が一生懸命作った煮物を片っ端から口に放り込むという、もう食事をしているのか競争をしているのか判断のつかない必死ぶり。 その他のおかずもすべて残骸と化している。 あの料理のお値段、スーパーで買ったら2万円は超えるというキチ○イ沙汰だ。 ちなみに、言うまでもなくぜーんぶ俺と桜が手間隙かけて作った料理である。 「はっはっは。この分では明日を待たずして勝負がつきますね! 軽い準備運動で始めたのだが様子を見るまでもない。 ねえ大河、別にこの家の食材を食べつくしても構わんのでしょう?」 「はいはい、できるもんならやってみて。その時は二度とあなたをセイバーちゃんとは呼ばないわよ」 「よく言った大河。 ふふ、こんな形であなたと雌雄を決する時がこようとはな……! どちらが衛宮家最強か、ここでハッキリさせてあげましょう!」 ノリノリのセイバーに、いいからどっか行ってくれないかなあ、という大河。 ……ほら、言わんコトじゃない。 ヘンなコト口にするからヘンなのが寄ってくるんだ。 二人の邪魔をしないよう、こっそりと居間を後にする。 どうかあの少女が騎士王から冬木の獅子に改名するようなコトがありませんように。
716 名前: 食卓詠唱 言峰→剣 投稿日: 2005/12/23(金) 16:16:40「馬鹿な、なんで満足しないセイバー――――!?」 「―――――――」 差し出される獅子柄の茶碗。 お代わりする。 冗談じみた食欲は、銀河のブラックホールそのものだ。 料理を食べに食べ、限界まで口に詰めた食物を咀嚼し、十皿の料理をゼロにする超人芸。 それは衛宮家の食卓の上座、 騎士王との食事を楽しんでいた衛宮士郎の料理を、一瞬にして『完食』した。 「く――――さ、桜、何してるんだ……!」 何をしているかなど、語るまでもない。 頼みの弟子は食材の調理のために、厨房にかかりきりにされている。 桜にとっては渾身の料理。 だが騎士王の満腹には不足な軽いおつまみ。 「私が頂く。私が食す。私が喰らって私が食べる。我が箸を逃れうる米は一粒も無い。我が目の届かぬ皿は一皿も無い」 絶対に美味いと知った料理になぜ遠慮しよう。 もとより、彼女の望みは初めからソレだけだと言っていたではないか。 「お――――おい、セイバー、セイバー……!」 「お代わりです。料理が無くなりましたよ」 「グ――――!」 「茹で上げられよ。焼いた物、揚げた物を私が食べる。私に委ね、私に差し出し、私に食わせろ。 ご飯を。朝食を忘れず、昼食を忘れず、夕食を忘れず、私は多く、あらゆる旨味を堪能する」 容赦などない。 鰤の照り焼きを口に放り込み、里芋の煮転がしを咀嚼し、味噌汁を受け取ったまま一気に飲み干し、
717 名前: 食卓詠唱 言峰→剣 投稿日: 2005/12/23(金) 16:19:49「は――――そうか、まだ食べるのか!いいだろう、好きにしろ。だがそれでどうなると思う。明日から俺たちはどうやって暮らせばいいんだ!」 「手を抜く無かれ。シロウには和食を、リンには中華を、サクラには洋食を、 美味しい物にはおかわりを、雑な物には厳しい鍛錬を」 食べた。 茶碗に一粒も米粒を残さず、淡々と食べ続けた。 「ははは、ははははは!なんて限度を知らない食欲だ、いまだ働かずに美味しい食事、とやら求めているのか!そんなこと、絶対に許されない、と理解したんじゃなかったのか!」 食卓に積み上げられていく皿に椀。 炊飯器の中にはもはや米は残っていない。 ハムハムコクコクと、騎士王という孔に飲み込まれた。 残った肉じゃがも、もはや半分以下。 もぐもぐ、とジャガイモを咀嚼しながら、騎士王は最後の料理を食べる。 「茶碗は私の手に。貴方の料理に醤油を注ぎご飯を食べよう。 美味しい食事は、衛宮家の食卓でこそ与えられる。 ―――食事はここに。お腹を空かした私が食べる」 「そう、もう家には食費がない。セイバー、おまえの分の食事は明日からはない。どうしても食べたければ、明日からは真面目に働いてくれ……!」 シロウ・オナカガスキマシタ 「――――“この私にご馳走を”」 なんか715とネタ被ってしまった……
718 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 16:31:49読んでるだけでお腹いっぱいですyo!
719 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 16:49:58>「は――――そうか、まだ食べるのか!いいだろう、好きにしろ。だがそれでどうなると思う。明日から俺たちはどうやって暮らせばいいんだ!」 エンゲル係数吹いた。 語感で面白くなってるネタだな。
720 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 17:16:55一升以上炊いてるってありえねー
721 名前: 大決戦!ついに蘇るホロゥの初回版に刻まれなかったヒロインの伝説! 投稿日: 2005/12/23(金) 19:28:58 ―――時はきた。聖杯の所有権を賭けたマスターの戦いを始めよう。 貴方は選ばれた正義の味方衛宮士郎。 アンリマユの母体として君臨する“黒き聖杯”黒桜の待つ大聖杯へやってきたのだが、 『■■■の左腕』によって脳と魂を酷使してしまった! しかし宿命は待ってはくれない。 聖剣を投影する貴方の前に、ルールブレイカーで解放した折に家に帰った筈の間桐桜が現れた……! 聖杯を破壊するならこのままノーマルエンドへ。命を惜しむならグランドフィナーレへ進め。 「──────、な」 なにかが心に直接語りかけてくる。 あまりにも古い言語の為、何を言っているかはまったく分からなかったのだが、 「な、なんてコトだ……!このシーンがHFで、なんだか今がラストバトルで、 その勝者は次回作ホロゥの主人公になれるだと……!!!?」 とまあ概要はおおむね掴めた。 「はっはっは!うひょークカカコココキイキイ! その通りだ選ばれた正義の味方よ!ああ待っていた、 アナタを待っていましたワタシの宿命の人よ!」 「貴様、何者―――!?」 あまりの暴風に目を開けていられない。 アンリマユの隅っこからひょっこり現れた謎の人物は、脳内麻薬マキシマムな笑い声をあげまくる。 「ハハハハハ! 何者かですか?何者かですか?何者かですってぇ? 分からないですか、そうですかわからないですか悲しいですラスボスな私! すごいですね気持ちワルイですねー! 見て見て先輩、アヴェンジャーとかこの世全ての悪とか、 そういうのが溢れちゃってもうタイヘンですよね!」 吹きとぶライダー、荒れ狂う巨人、激震する大聖杯。 そして延命処置が切れて死にかけてる言峰とバゼット。 いろんな意味でこの世の全ての悪とも言える光景がいま惜しげもなく大展開。 くっ……このふってわいたアーマゲドンに冬木も激動しているというのかッッッ!!!!? 「ま、まさかオマエは―――黒桜……!!!? バカな、オマエは確かにライダーに連れられて家に帰った筈だ!」 「帰ってないのねー! いや、キャラ的にはほんと扱い悪かったですから、だからこそ途中で引き返してきたんです先輩! ククク、人気投票6位のヒロインの怨念が私を引き返させたんです。 んー、見て欲しいですね、この滾る呪層界」 セイバーを連想させる魔力の渦。 い、いったいどれほどのパワーアップを……!!!? 「って、何も着てねー!」 「うふふ、気持ちはわかりますけどそう驚かないでほしいですね。 そう、今までの私は私じゃあないんです! えーと、言うなればこれまでの私がぱんつはいてないだとしたら、今からの私はぱんつもすかーともはいてない。 いや、羽化を待つ芋虫だとしたら、脱皮した後の蝶なんです!」 つまり恥女というコトだろうか。 あと人の反応(モザイク)ぐらいちゃんとかけといてほしい。 「まあいいや。 ともかく俺たちは運命に選ばれた戦士なんだな!? なんか宿命の対決なんだな!? 俺は次回作の為に、オマエはホロゥ初回版パッケージの為に戦うんだな!?」 「ナイスリアクション!話が分かるではないですか先輩! やっぱりこういうノリ好きだったんですね!」 「ああ!結構ヤケだけどはっちゃけたりぶっちゃけたり扱い悪かったり出番なかったり最終決戦とか大好きだ! そんなワケで行くぞ黒桜…! オマエだけは絶対に許(はな)さないッッッッ!!」 「くすくす―――吠えるじゃないですか主人公。 ですが今日は私の方が強い、虐げられたヒロインの力を思い知ってください……! 行きます先輩! ここでアベンジャー(第3次)を召喚して私の人生(ルート)エンドですッッッ!」
722 名前: 大決戦!ついに蘇るホロゥの初回版に刻まれなかったヒロインの伝説! 投稿日: 2005/12/23(金) 19:31:04 「………………………」 「………………………」 アンリマユは去った。 先ほどまで渦巻いていたよく分からない影も消え、イヤになるほど冷静になる俺たち。 「じゃあ先輩の家で待っていますね」 ああ、と頷きだけで答える。 剣の身体には言葉をかける機能はないのだ。 「ずっと待ってます。気が向いたら40ENDも試してみて下さいね」 いそいそと大聖杯のはじっこに移動する桜。 あ、日陰桜になった。 「………………………俺も家に帰るか」 ここ三十分ばかりの記憶はまっさらに破壊され、聖剣を投影する。 こうして黒桜による人類絶滅のピンチは去ったのだが、彼女の最後の願いと、 それを防いだ正義の味方の物語は誰に語られるコトもなく忘れられるのであった、まる。
723 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 19:50:17桜かわいいよ桜www
724 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 20:32:24やばいwww笑い死ぬwww 721と722のテンションの差がありすぎてコタエルw
725 名前: スパイラル・ラダー 投稿日: 2005/12/23(金) 21:12:00彼方を目指す旅のようだ。 遠い遠いソラを目指して、長い長い階段を登っていく。 「前から思っていたけど」 かすかな安堵。 女は口元をゆるませて、 「……駄犬の分際で主人に逆らうなんて。 去勢するところだわ、この早漏」 歌うように、そんな言葉を口にした。
726 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 22:41:33それが乳首を立たせながら言う台詞か!? ……言う台詞か。納得。
727 名前: 志貴→士郎 シエル→セイバー 投稿日: 2005/12/24(土) 03:02:40「――――――」 ……意識が戻ったのか。 セイバーは冷たい瞳のまま、目前の俺を見つめている。 俺は 1、……セイバーを助ける。 2、……この腕を振り下ろす。 3、……セイバーのスカートの中身が気になるワン! >3 ほう、スカートの中身ですか。 それはもちろんスカートに使われている布地がどう、なんていう当たり障りのないオチではなく、もっとスカートの本質に迫る中身が目当てなのですね。 「――――フン、理想に溺れたか」 箪笥を前にして、口が独りでに動いた。 それは邪なる気配を察知し、脳髄の隙間を塗って正常なる人格を変貌させ毒に他ならない。 古では啓示。 理では契約。 所によっては電波とも呼ばれる世界との契り。 ソレを成した人間は、他者の運命をねじまげるほどの力をもつという。 故に、それは英雄と呼ばれる。 「……というわけなので、失礼します」 パンパン、と手を叩いてからスカートをめくった。 「おお――――!?」 ピカー、とか光らないのが不思議なぐらい、スカートの中は素晴らしかった。 さすがセイバー、この中身はちょっと普通じゃないぜ。 オーソドックスなペチコートからはじまってドロワースで終わるまで、微妙な体温と清楚な白さを加えて、実に女性らしさを感じる曲線! 惜しむらくは中世欧風なので生足が見えないことだが。ぱっと見、湖に囲まれたりんごの島を連想させます。 ……そう、これこそアヴァロン。全て遠き理想郷! 「――――――――やば」 くらり、と眩暈をおこしそうな意識を支える。 ヘヴンだ。スカートの中には天国があるってお約束は本当だったんだ!ありがとう、ありがとう未来の科学!そして目の前のお花畑よこんにちは! それでは改めまして。――――解析開始(トレース、オン)
728 名前: 銘酒・野生の証明 セイバー→バゼット 投稿日: 2005/12/24(土) 03:03:53 ―――ちょっと待て。さっきバゼットも飲んだぞ。 「バゼット……大丈夫か?」 「…………………」 さっきから俯いたままで、黙りこくっているバゼット。 悪い副作用が出なければいいんだけど、これは。 「だ……大丈夫だ、ぴょ、ぴょん………」 ―――――― 「ぶははははははは!」 「にゃ、………」 「ぷっ、………」 「ぴょ、ぴょ、ぴょーーーーーん」 そーかそーか、バゼットだと兎なのか。 灰色熊か何かだと思ったけど、案外可愛いんだな―――と思って遠坂とイリヤに目をやると、 一瞬だけ爆笑していたのだが、今は表情が凍り付いている。 「?」 二人の視線の先を見てみると――― 「士郎ぴょん、覚悟はよろしいですぴょん?」 革手袋装着済みで殺る気満々のバゼットがヒットマンスタイルで身構えていた。 「うわぁぁぁぁ!」 失敗した。いや、間違っていた。 バゼットは、兎なんかじゃなく。 「―――あれって、カンガルーよね。きっと」 気を失う寸前、イリヤがそう呟くのが辛うじて聞こえた―――
729 名前: 志貴→士郎 シエル→セイバー 投稿日: 2005/12/24(土) 03:04:19「うわ、これなんか絹製だぞ絹製! ……そっか、Fateルートでギルガメッシュに逆さ吊りにされた時、俺は言峰と戦ってたから見れなかったけど、こーゆーのをつけてたんだー。なんとなく、実用重視と思ってたんだけど、なかなかどうしてセイバーもおしゃれですなー。 うわわ、そ、そうか、当時の下着にはこんな所に穴が……」 ふむふむ、とさらに下着の中身に手をつけてみる。 中身はやはりきれいな○○○で、さっきの下着などより一目でくらっと来た。 「意外。わりと手入れされてるんだ」 「ほぅ。なぜ意外なのです、シロウ」 「いや、だってさ。セイバー女性である前に騎士とか言ってるから、てっきりそういうの気にしないかと思ってた」 「ふむ。なぜ気にしないかとおもうのです、シロウ」 「だーかーらー、セイバーは男として扱われていたから、あまりそういうのに気を使わないかなって。 だけど、ちゃんと手入れしておかないと、毛が粘膜傷つけて病気の元になったりするんだからな」 「ふふふ、そんなのでっっかいお世話です」 「そっか、でっっかいお世話かー」 あはは、と一緒になって笑う。 ――――さて。 そろそろ、この絶体絶命のピンチを切り抜けるきっかけを作らないと命に関わる。 ……というか最初に意識は戻ってるって気がついてたはずだよな。 「………………」 ギチギチギチ、と音をたってて首だけをゆっくり上げる。 ……そこには、黒い騎士王というかなんというか。ブリテンの怒れる竜がいた。 「――――それで。そろそろいいですか、シロウ」 セイバー。それはそろそろ死にますか、という意味ですか。 「まあ、待った。何も悪気があったわけでは、ないんだ」 ――――ただ、その理想郷に魅せられただけなんです。 心の中で独白し、そろそろとスカートの中で投影を開始する。 「彼は私のメシ使いだった、か。墓碑銘に刻むには悪くないですね」 「うわー、セイバーったら本気だー。セイバー短気、セイバーおとなげなーい!」 「っ!あ、あの湖の騎士ですか貴方は!」 ぐわっ、と火を吐くセイバー。 ちゃんす! 「てや!」 スカートに突っ込んでいた両手を目一杯広げて万歳をする。 ぶわさ、と撒き散らされる剣の束。 「――――――――!」 「隙あり――――♪」 しゃっ、と素早くセイバーの横をすり抜け、そのまま洞窟を転がるように駆け、セイバーを突破、大聖杯へと向かう。 「待ちなさいシロウっ――――――――!」 ものすごい剣幕で立ち上がってくるセイバー。 が、このアドバンテージを渡す訳にはいかないのだ。 「あはは、待たない。桜を救った頃にまた会おう!」 「こ、このぉ……!五体満足でエンディングにいけると思わないでくださいっっっっ!」 背中にかけられる罵詈雑言を振り払って桜の元へと急いだ。
730 名前: 728 投稿日: 2005/12/24(土) 03:23:39>>727 >>729 あーなんというか。 この上ないタイミングでぶった切ってしまった。 申し訳ない。
731 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 03:49:01>>727 ,>>729 その場でそういう挙に及ぶ士郎に漢を見た
732 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 05:00:59というかどう見ても正義の味方やめてます。 ある意味ぶっちギリで鉄の心の人です。 本当にありがとうございました。
733 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 08:40:38これはこれで正義の味方じゃね この先にあるのは、きっと完全無欠のハッピーエンド、少なくとも悲劇的な終わり方は回避できる 喜劇的な終わり方はするかもしれんがw
734 名前: 「アーチャーの裏切り」⇒途中から「夜の聖杯戦争7」 投稿日: 2005/12/24(土) 13:06:53 「ならば話しは早い。以前の話、受けることにするよキャスター」 それを承知で、あいつはキャスターに手を差し出した。 「――――――――」 気が狂うかと、思った。 ―――あいつが、許せない。 遠坂を裏切った事も。 キャスターを認め、その仲間になる事も。 ―――英雄と。 多くの人間を救ってきた、衛宮士郎の理想とも言える英雄が、あんな男だという事も―――― 「あの時は断ったのに? 随分と腰が軽いのね、アナタは」 「状況が変わった。 セイバーがそちらについたのなら、今回の聖杯戦争の勝機はおまえにある。勝てる方につくのは当然の行為だろう」 アーチャーは無防備なままキャスターへと歩いていく。 それは遠坂から離れるという事だ。 遠坂は止めず、 「アーチャー」 「ん?」 赤い騎士を壁に貼り付ける。 「……もっと早くから、こうすれば良かった。 アンタは、私のサーヴァントなのに、言う事を聞かなさすぎた」 反撃の余地は与えない。 そのまま令呪を用いて―――周囲に閉じこめるカゴはないか―――ああ、なら――― 「―――アンタなんて、私の左腕にでもなってしまえ」
735 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 13:24:00脳がブッ壊れちゃうYO
736 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 13:54:23弓凛かい
737 名前: 学校・三日目 三人娘とのお昼 投稿日: 2005/12/24(土) 14:29:58 ……そろそろ引き時か。 お昼はご馳走になったんだし、さっさとこの恩は返しに行こう。 「じゃ、俺はそろそろ失礼するよ。 三枝、どうもな。弁当と三枝、どっちも美味しかったぜ」 「はいっ、おそまつさまですー」
738 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 14:35:51? ・・・・・ッ!?
739 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 14:47:02ッッッッッッ!!!!
740 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 14:50:51……Σ ―――――っ!!?
741 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 14:56:18みんないちつけ、落ち着いて素数を数えるうんあ
742 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 14:57:35ダメットの爆誕に続き、NEETセイバーが生まれ、 そして最近は外道エミヤシロウが生まれつつあるな
743 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 15:18:21まあ、エミヤは代々外道なんですけどね
744 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 15:26:59アーチャーもナニをして英霊になったかもわからんしな。
745 名前: 王様の見立て役 剣→外道士郎 士郎→剣 投稿日: 2005/12/24(土) 15:30:04「聞けば見せる為の下着すら在るそうじゃないか。なら、是が非にでもセイバーには見せてもらう」 「お断りです。絶対にいやです。断固拒否します。 「ほう……そこまで強く言うのなら、俺にも考えがある。 …………ニヤリ 「――――金輪際、俺の見立てた下着以外は身につけるな!!!」 左手が焼ける。 令呪が一つ消えていく。 「な、なんでそうなるんですかッ!?」
746 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 16:35:37「俺の言わぬ限り下着を替えるな」のが良くね?
747 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 16:50:25>>745 つまりはかなければ見立てたものだろうがそうでなかろうが問題ないって事ですね 士郎えっちー
748 名前: 槍⇒蟲 投稿日: 2005/12/24(土) 18:01:18 月は満月。 濃い夜闇は時間の感覚を麻痺させる。 夜風は頬に涼しく、秋の蟲の鳴き声が風情を際立たせる。 文句の付け所のない絶好のロケーション。 静かな冬木の夜を象徴するかのような山は、しかし。 この妖怪じみた爺によって、人の寄りつきたがらない魔境と化していたのだった……! 「けど違和感ないよな、実際」 恐ろしいまでの一体感。 魔術の奥義は世界との合一だと言うが、ありゃあ確かに夜行性蟲そのものかも知れぬ。 その不気味さに畏怖を覚えて、自動販売機で緑茶を買ってきた。 「おーい、捕れてるー?」 「ふぅむ、ぼちぼちという所じゃな。クモ山クワガタ四カミキリ三というたところじゃ」 「げ。なんだそれ、節操ないな。山ってそんなに捕れるもんなのか」 「山じゃしの、種類が多いのは当然じゃ。 まあ、それにしてもちょいとばかり混ざりすぎじゃが、珍しいし良いのではないかの?」 意外にいい加減である。 緑茶缶をパスして蟲籠を覗く。 捕まえられた蟲は爺さんの言よりバリエーション豊かだった。 「クモ、多いね」 「なぜかは知らぬが入れ食いでの。そうじゃな、すこし前まではカブトムシが捕れた」 あの補虫網は魔法の網か。 この分なら、そのうち虫類図鑑を制覇できるぞこの爺……って、あれ? よく見ると、致命的に足りないものが一つあるような。 「爺さん、一晩中この山で蟲捕ってるんだろ? 懐中電灯ないのか?」 懐中電灯とは名の通り普通の懐中電灯だが、夜間の蟲捕りには欠かせないアイテムだ。 蟲はもちろん小さいし、狙う獲物によっては網を空振りした時に逃げられてしまう。 夜中に蟲を捕るのなら、懐中電灯は必要不可欠だ。 「あぁ、普通の人間には便利かも知らぬが儂は要らん。暗いところに潜んで数百年じゃからな。 いや、実は暗いというてももはや外は身に堪えるんじゃ」 ぼやきながらも次々と蟲を捕まえてゆく。 恐るべきは間桐臓硯の執念。 正確さのみならず、食肉蟲の如き嗅覚としつこさである。 「言われてみればそうか。アンタがまともな手段に頼るワケないし。その補虫網はそこいらで拾ったのか?」 「うむ、殊勝な小僧がおってのう! 根性を一日かけて鍛えなおしてやったらの、お礼にと譲ってくれたのじゃ。なぜかその晩から自宅に帰らなくなったがのう!」 呵々々と笑う。 「………………」 臓硯お爺ちゃん、あんたがやるとホラーに近いです。 「いやまぁ、儂の孫なのじゃがな」 「って慎二かよっ!」 なんてコトだ、どうりで最近桜に頭下げさせられてまで、うちで飯食ってると思ったら……。 「……はあ。で、せっかく貰ったんだからフル活用していると。それで毎晩蟲捕り三昧なのか。 ……アンタが大人しくしている分には安心だけどさ。蟲捕りってそんなに楽しいのか?」 「楽しさを伴った原料集めというたところか。 こいつにはちょいと自信がある。こと蟲捕りにかけては魔術師中最強の自負があるわ。 魔道元帥はともかく、どこぞの金欠娘や網も持てぬ幼女には入ってこれぬ男の世界よ」 あ。 いま、なんか亀裂入った。 山だけに山場の予兆を感じてみる。 「いいのかな、そんなコト言って。口は災いのモトだぞ爺さん?」 「ふぅむ。陰口の報復があるという事かの? そのようなものは貴様が言いふらさぬ限り広まるまい。 まあ、広まったところでどうという事もないがの。殺し合いになりかねぬのは元からじゃ」 自分から戦う気はないが、とっくに危険人物と見なされているのが間桐臓硯か。 ぎっ、と網を振るう爺さん。 「クモか」 「クモじゃな」 捕った蟲はお気に召さないのか、爺さんは蟲を握って潰す。 「――――――」 会話がとぎれる。 話す必要もない時のこの爺さんほど居てほしくないものはない。 「邪魔して悪かった。引き続き、クモを捕ってくれ」 「おう。差し入れすまんのう」 山を後にする。 人間、話してみないと分からないもんだ。 俺にとっては不気味きわまりない光景だったが、爺さんにとってはお気に入りの趣味らしい。 最後の夜と見間違うような暗い山。 願わくば、心ない邪魔者によって、爺さんが冬木の平和を乱さなければいいのだが。
749 名前: アンリマユ→黒桐 パゼット→式 投稿日: 2005/12/24(土) 18:03:06「そうそう。ああ、けど女殺し競争なら僕が一番だよ。こればっかりは向き不向きあるから。 ……って、一番じゃないな。世界で二番か三番だった」 「? おまえより上の女殺しがいるのか?」 「いるよー。眼と剣。彼らにはまあ、どうやっても追いつけない。質はともかく量が違うんだよ量が」
750 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 18:14:30幹也もいい線行ってるんだけどな 式橙子鮮花藤乃、ついでに空飛ぶ幽霊とか未来視の子とか でもたぶん剣最強、今んとこ。
751 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 18:16:35量だと眼が抜けてるだろ。 出演作品数の問題もあって。
752 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 18:20:37>>748 爺さん大好きっ子としては最高だ 臓硯の極楽浄土2・3と書いてくれw
753 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 19:07:56>>748 ちょ、なにこの萌えZOUKEN >「いやまぁ、儂の孫なのじゃがな」 おじいちゃん(・ω・`)テラモエス
754 名前: 蒔の字とグラウンド 投稿日: 2005/12/24(土) 19:52:05 「おや、蒔寺」 十時過ぎの、人気のないグラウンドにぽつねんと蒔寺楓が立っている。 「クールダウンしている……というワケでもなさそうだな」 蒔寺は手ぶらで、ぼんやりと校舎を眺めていた。 「ごきげんよう、蒔の字」 「……………………」 「ふむ、なにをしている? 誰か待ち人でも?」 「……うるさい、ほっとけよー。 どーせ、あたしは嫌われ者なのさ。 どこ行っても出番は色物だし、プロローグからパンチ全開ではっちゃけてるし、由紀っちも氷室も色恋イベント有りで囲われちゃってるし!」 「どうなのさ氷室、衛宮が手当たりしだい喰いまくりなのに対してあたしだけ何故か完全スルー? 有り得ないだろ、いつのまにか藤村先生すら喰われてるってのにスルーなんて正直おかしくないか? というよりも、女の子を仲間はずれにする性技の味方なんて存在しないってー」 そのままグラウンドの隅っこに移動する蒔寺。 ……本気でテンパっているのか、いつものファイティングポーズをとってしまった。 衛宮がいたらパンチ連打しかねない勢いだ。 その変に後ろ向きな勢いに不覚にも好奇心が抑えられない。 「ふむ。バカなコトを言っているな、負けるな蒔寺、立ち上がれ蒔寺! そーゆー不遇な扱いに面白い反応をかえす、まわりの空気を読まない暴れっぷりが君の強さだった筈だが……!」 などと、こっちも冷静にエールを送ったりする。 「……いやさ、疲れたよー、もともとあたしは変な性格なのさ。正しいお笑いキャラの運命を継いでいるのさ。 藤村先生も間桐一家も、ネコアルクも、こーゆー風に変な方向につっ走ってるのがお似合いなのさー」 ますます動きまくる蒔の字。 まあ、こんな広々とした所で暴れるあたり、蒔の字はやっぱり野生的なキャラなんだと思われる。 「……いいから、さっさと余所に行ってくれよー? あたしは遠坂を待ってるんだ。 あたしが告白する最後のチャンスなんだ。恋愛不感症の氷室に用はないんです」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 やれやれ。どうやら、今の私では処置なしのようだな。 絵馬を買ってある意味ヒロインとコメントされてから、また寄ってみよう。
755 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 20:03:46>あたしは遠坂を待ってるんだ。 >あたしが告白する最後のチャンスなんだ。 ちょっとマテ
756 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 21:22:35>女の子を仲間はずれにする性技の味方なんて こいつのセクシュアリティはどうなってるんだ? 梅かw
757 名前: >>748に敬意を込めて勝手に臓硯の極楽浄土2 投稿日: 2005/12/24(土) 21:44:54月は満月。 濃い夜闇は時間の感覚を麻痺させる。 夜風は頬に涼しく、秋の蟲の鳴き声が風情を際立たせる。 文句の付け所のない絶好のロケーション。 静かな冬木の夜を象徴するかのような山は、しかし。 この上なく対照的な二組の不審人物によって、ギチギチの険悪空間になっているのであった……! 「って、二人増えてるぅ……!?」 爺さんの背後。 頼れる背中と、あのツインテールの少女は間違いなく新たな狩人……! 「フ、コクワ十六匹目ゲット」 「いい山ね。面白いように虫が取れる。ところでそこのお爺ちゃん、今夜それで何匹目?」 「眩しいぞい、何故お主たちに答えねばならんのじゃ。五月蝿いから余所で取れ余所で」 「なぁんだ。まだクモだけじゃない」 「時代遅れの虫取りスタイルではそんなところだろうよ、、と、十七匹目ゲェェェット!」 ※ゲットとは捕獲成功の意味です。フィッシュ、キャプチャー、ゲットだぜ!等とお考えください 「だから眩しいと言っておろうが!蟲が逃げるじゃろうが蟲が!」 「ふ。腕のなさを他人の所為にするとは落ちたわね臓硯」 「虫をおびき寄せるために光源を用意しているのだ。 もっとも、光の苦手なお前に光性捕虫ができるとは思えんが、おっとすまないね、十八匹目ゲェェェェット!」 ヒャッホー、と歓声をあげる赤ジャケットとツインテール。 ……おかしいなあ。 童心に返っている大人と少女を見るのって、こんなにも苦々しいものだったっけ……。 「…………つーか、なんだありゃ」 ……ホント、我が身内ながら目を背けたい。 蜂蜜とバナナで作った特性の蜜をたっぷり塗ったクヌギの木、虫取り網は金に糸目をつけないナイロン99%で伸縮自在の高級品。 虫寄せトラップに使っている光源は虫が集まりやすい紫光に遠くの虫にも届くハロゲン光を組み合わせた特性捕用虫用蛍光灯ときたか……! 「……つーか、たしかあれ、藤ねえが土蔵に持ち込んできたやつだよなあ……」 遠坂たちが集めている虫は、某虫王カードゲームのブームで値段が高騰している甲虫ばかりだ。 自然が少なくなったためか、自分で取るよりデパートで買ったほう手っ取り早いという、もう虫捕りが主なのか飼育が主なのか判断のつかない甲虫事情。 海外から輸入したり養殖をしたりもしているらしい。 例えば黒いダイヤことオオクワガタなぞ、オークションで数十万円は超えるというキチ○イ沙汰だ。 ちなみに、言うまでもなく遠坂はぜーんぶ転売するつもりである。 「ふっふっふ。この分だと夜明けを待たずして目標金額に届くわね! 軽いおこづかい稼ぎのつもりで始めたんだけど、なかなか悪くないわ」 「なあ臓硯、別にこの山の甲虫を捕りつくしても構わんのだろう?」 「ああ、できるものならやってみるがよい。その時は蟲術の大家の名、遠坂に譲ろうぞ」 「よく言った臓硯」 「ふふ、こんな形で間桐と雌雄を決する時が来るとはね……!どちらが冬木最強の魔術師の家系か、ここでハッキリさせてあげようじゃない!」 ノリノリの遠坂たちに、眩しいから早く光消してくれないかなあ、という爺さん。 ……ほら、言わんコトじゃない。 ヘンなコト口にするからヘンなのが寄ってくるんだ。 彼らの邪魔をしないよう、こっそりと山を後にする。 どうか遠坂家が蟲術を始めたりするようなコトがありませんように。
758 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 22:10:27ご老体は労われこのあかいあくまコンビめ!(つД`)
759 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 22:49:13自分も作ろうとしたけどうまくいかん。 元からあるものに手を加える強化よりも自分で一から作る投影のほうが簡単だっていう士郎の言葉がよくわかる。
760 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 22:53:48まさか爺さんに同情する日が来ようとはっ
761 名前: 大決戦!ついに蘇るネタキャラ化されたヒロインの伝説! 1/2 投稿日: 2005/12/24(土) 23:22:26 ―――時はきた。衛宮士郎の恋人の座を賭けた女の戦いを始めよう。 貴方は選ばれた最強の妹間桐桜。 正義の味方になることを企む衛宮士郎の棲む武家屋敷に通い妻していたのだが、 『エロゲーのご都合主義』によって屋敷にセイバーが住み着いてしまった! しかし宿命は待ってはくれない。 悲嘆にくれる貴方の前に、以前生き別れた筈の姉・遠坂凛が現れた……! 戦うならこのまま14へ。引き返すなら14へ進め。 「――――――、な」 何かが心に直接語りかけてくる。 あまりにも古い言語の為、何を言っているかはまったく分からなかったんですが、 「な、なんてコト……! この世界がホロウワールドの中でみんな先輩を狙ってて、なんだか今日はその争奪決勝戦で、その勝者は先輩を思い通りにできるんですって……!!!!?」 とまあ、概要はおおむね掴めました。 「ほーっほっほっほ! うひょークカカコココキイキイ! その通りよ選ばれた妹的存在よ! あと待っていた、アンタを待っていたわわたしの宿命の相手よ!」 「貴方、何者―――!?」 あまりの暴風に目を開けていられない。 港の隅っこからひょっこり現れた謎の人物は、脳内麻薬マキシマムな笑い声をあげまくる。 「おほほほほ! 何者かですって?何者かですって?何者かですってぇ! 分からないの、そう分からないわよねゴージャスなわたし! すごいわ気持ちワルイわー! 見て見て桜、大いなる大師父のお茶目心とかカレイドステッキのキテレツな想念とか、そうゆうのが溢れてもうタイヘンよ!」 吹きすさぶ風、荒れ狂う稲光、激震する青き海。 そしてみゃーみゃー鳴くウミネコ。 いろんな意味でこの世の終わりとも言える光景がいま惜しげもなく大展開してます。 くっ……この、ふってわいたアーマゲドンに星も激動しているというんですかッッッッ!!!!? 「ま、まさか貴方は―――遠坂、凛……!!!? バカな、貴方は確かに本編で出張りすぎた故にロンドン追放食らっていた筈です!」 「永久追放ではないのねー! いえ、あのままいってればほとんどフェードアウトしてたけど、アンタの手紙のおかげで地獄から蘇ったのよ妹サクラよ! フフフ、原作者の別格エナジーがわたしを蘇らせたのよ。んー、見てほしいわねこの滾(たぎ)るマイパワー」 セイバーを連想させる萌えオーラの渦。 い、いったいどれほどのパワーアップを……!!!? 「って、魔法少女(イロモノ)化してるー!」 「ふふふ、気持ちはわかるけどそう驚かないでほしいわね。 そう、今までのわたしはわたしじゃあないの! えーと、言うなればこれまでのわたしがなんちゃって魔女っ子だとしたら、今からのわたしはホンマもんの魔女っ子! いえ、羽化を待つ芋虫だとしたら、脱皮した後の蝶なのよ!」 「……………………」 つまりイタいコスプレイヤーというコトでしょうか。 あと人の反応(ツッコミ)ぐらいちゃんと聞いてほしいです。 「まあいいです。 ともかくわたしたちは先輩を狙う恋する乙女なんですね!? なんか宿命のライバルなんですね!? わたしは先輩のはぢめてを頂く為に、姉さんも先輩のはぢめてを頂く為に戦うんですね!?」 「ナイスリアクション! 話が分かるじゃない桜! さてはこういうノリ好きでしょ貴方!」 「ええ! 結構ヤケですけど惚れたり好き好きオーラ出したり嫉妬したりストーキングしたり「モロタマコト返して」とかくすくすと歌ってゴーゴーとか大好きです! そんなワケで、行きますよ姉さん……! あなたにだけは絶対に先輩は渡しませんッッッッ!」 「ク―――吠えるじゃないの人気投票第六位。 だけど今日もわたしの方が強い、覚醒した姉の力を思い知るがいいわ……! 行くわよ桜! このステッキを掲げてわたしの真っ当ヒロイン人生(ターン)エンドよ……ッッッ!」
762 名前: 大決戦!ついに蘇るネタキャラ化されたヒロインの伝説! 1/2 投稿日: 2005/12/24(土) 23:23:22「……………………」 「……………………」 嵐は去った。 先ほどまで渦巻いていたよく分からない熱気も消え、イヤになるほど冷静になるわたしたち。 「じゃ、いつもの場所に戻るわね」 はい、と頷きだけで答える。 女には言葉をかけてはいけない時があるんです。 「じゃあこの絵馬あげるわ。気が向いたらスペシャルの遠坂神社に遊びにきてね」 いそいそと港のはじっこに移動する姉さん。 あ、今度は諸葛凛になった。 「……………………わたしも家に帰りますか」 ここ三十分ばかりの記憶をまっさらに消去して港を後にする。 こうして魔法少女カレイドルビーによるホロウワールドイロモノ化のピンチは去ったのですが、彼女の最大の見せ場と、それを防いだ妹の物語は誰に語られるコトもなく忘れられるのでした、まる。
763 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 23:35:17前半糞ワラタ まことー!いるんでしょ、まことー! 後半はちょっとオチ弱かったかな まあルビーちゃんの洗脳が解けた哀愁の背中かw
764 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 03:47:08そもそも通い妻こそがエロゲーのご都合主義じゃね?
765 名前: >>748に敬意を込めて勝手に臓硯の極楽浄土3 投稿日: 2005/12/25(日) 05:15:24月は満月。 濃い夜闇は時間の感覚を麻痺させる。 夜風は頬に涼しく、秋の蟲の鳴き声が風情を際立たせる。 文句の付け所のない絶好のロケーション。 静かな冬木の夜を象徴するかのような山は、しかし。 今まさに、盆と正月が一緒に来たかのような賑わいを見せていた……! 「って、さらに増えてるーーー!!?」 誰が、いや、何が増えたのかは言うまでもない。 藤○探検隊の如くキャンプを展開する姿は紛れもなく……! 「タイガ様、三番のクヌギにヒラタクワガタがやって来ました。捕獲しますか?」 「あら、となりの人たちのアミはずいぶん地味ね。タイガのアミの方が虎ストラップがついていてかわいいと思うわ。バカっぽいけど」 「すごい、いっぱい取れてる。ねえティーゲル、うしろのお爺さんにわけてあげていい?」 「■■■■■■―――!!」 「はっはっは。騒がしいわよ、みんな。周りのオケラさんたちに迷惑でしょう。 それはともかく。セラさん、恐れないで。しっかり仕留めてね。イリヤちゃん、当たり前のことを言っても褒めたことにならないわよー。でもその趣味は良し!特別にタイガースタンプをあげましょう!リズさん、あの人はお年寄りだけど勝負の世界は非情なの。情けをかけちゃダメ。あと場坂さん、何言ってるかわかんない」 「……誰?」 えーと。 あえていうなら冬木の……虎……? 「でも拍子抜けねー、最強を名乗る者がいると聞いたけど、まるで話にならないわ!所詮はお年寄りと昨日今日虫捕りを始めた素人、かつてセミを捕りすぎて冬木の夏を静かにした私とは比べるまでもないわ!」 あっはっはと愉快そうに笑う虎。 そうか、かつてセミの声が全く聞こえなかった年があったが、あれは藤ねえの仕業だったのか。 「フ、相変わらず加減を知らん。しかも、たしかそのセミを近所の子供に一匹五十円で売っていたな」 「……がっかりね。子供相手に虫を売ってお金儲けなんて見損ないました藤村先生……!」 虎の高笑いを聞きながら、負けじとクワガタを捕獲する赤い二人。 というか、おまえらが言うな。 「む?なんでそこの男の人は私の過去を知ってるの? まあいいか、私のアミは今宵も血に飢えているわ。どちらの方がより虫捕りが上手いか、競ってみる?遠坂さんと知らない人!」 「そ、それは伝説の猛虎網……!!! 虎竹刀と共に藤村組に封印されている筈のそれが、なぜここに……!?」 「ああこれ?私が日本のクワガタを見たいな、って言ったらタイガが引っ張り出してきてくれたの」 えへへ、と笑うイリヤ。 「…………」 そして先ほどから一言も会話に入っていけない爺さん。 「バカな……!そんなことでそれの封印を解いてしまうとは、守護者として見逃してはおけん……! ええい、そのアミ、私たちが勝ったら再封印するというルールでどうか!?」 「望むところよ! なんであなたが私のことに詳しいのかはわからないけど、それはそれとして勝負は受けましょう!」 「すごい、藤村先生とアーチャーの一騎撃ち!?こんなのメッタに見れるもんじゃないわね。セイバーや桜にも見せてあげたいわ」 「負けないで、返り討ちにしてやって、タイガ!」 「甲虫だけではなくてオオムラサキという蝶も捕ってください。でも、後ろのご老体のようにクモを捕るのは勘弁願います」 「■■■■■■―――!!」 もはや山にかつての静けさはない。 思いのほか虫捕りの上手い冬木の虎と、なぜか必死で猛虎網を封印しようとする赤い男。 そして。 「ね、お爺さん、捕れてる?」 「…………頼む、儂の極楽を返してくれ」 この世の終わりみたいな顔でうなだれる臓硯お爺ちゃん。 「……帰ろう。ここはもう一般人のいていい場所じゃない……」 山を後にする。 見上げた星空の眺めにちょっとだけ目が眩む。 嗚呼。 失われた極楽浄土よ、せめて思い出の中で永遠なれ―――
766 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 08:55:41なんか藤ねえと遊べて楽しそうだなアーチャー・・・
767 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 09:21:53爺さんすっかり小市民だな
768 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 09:54:02凛と弓セットなのに、存在すら出ねぇ真アサ。 いと、あわれorz
769 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 11:18:49と言うかその網は守護者的にもそんなにヤバいモノなのか
770 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 11:32:27地球や霊長がビビるぐらいに、生態系を破壊するほど虫を捕獲しうる網なんじゃないのか
771 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 11:48:06甲虫の王者もキャプれるんだよ。
772 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 11:54:45藤ねえの場合本当にセミを捕り尽くした可能性があるから油断できない
773 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 12:21:03蟲爺がいる時間って事は、蝉の羽化する時間か…。 白いほやほやのセミを喜んで捕まえそうだ、虎は。
774 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 13:10:33セミを採りつくしたって。ありそうだから困る
775 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 13:49:32このまま、虎から亀の主人公にパワーアップしないかだけが心配
776 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 13:54:41ミュータントタートルズ?
777 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 14:01:29こち亀
778 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 14:11:16っていうかなんでsageてるの?
779 名前: 勝手に臓硯の748と757への敬意と共に極楽浄土2 昔日編 投稿日: 2005/12/25(日) 14:16:27士郎→遠坂永人の娘 槍→臓硯 弓→ゼルレッチ 空は快晴。 強い日差しは季節の感覚を麻痺させる。 そよ風は頬に涼しく、セミの鳴き声が夏を演出させる。 文句の付け所のない絶好のロケーション。 森の散策を好む童や仕事に励む山菜売りの縄張りである冬木の山は、しかし。 この上なく対照的な二組の不審人物によって、ギチギチの険悪空間になっているのであった……! 「って、一人増えてるぅ……!?」 マキリの背後。 頼れる背中がキラリと光る、あの白髪の大男は間違いなく我が師匠……! 「フ、コクワ十六匹目ゲット。 いい山だ。面白いように虫が取れる。ところで後ろの蟲使い、今日それで何匹目かな?」 「やかましい、何故貴様に答えねばならんのだ。五月蝿いから余所で取れ余所で」 「なんだ。まだクモだけか 時代遅れの虫取りスタイルではそんなところだろうよ、、と、十七匹目ゲェェェット!」 ※ゲットとは捕獲成功の意味です。フィッシュ、キャプチャー、ゲットだぜ!等とお考えください 「だから煩いと言っておろうがこの平行世界かぶれ!蟲が逃げるだろうが蟲が!」 「ふ。腕のなさを他人の所為にするとは落ちたなマキリ 近場の蟲が逃げるのならバナナでも置いとけば採れるだろう。 もっとも、鎖国してるこの国にバナナなんぞ売ってるとは思えんが、おっとすまないね、十八匹目ゲェェェェット!」 ヒャッホー、と歓声をあげる万華鏡の魔法使い。 ……おかしいなあ。 童心に返っている師父を見るのって、こんなにも苦々しいものだったっけ……。 「…………というか、なにかしらあれ」 ……ホント、我が師父ながら目を背けたい。 蜂蜜と黄色い果物?で作った特性の蜜をたっぷり塗ったクヌギの木、虫取り網は虫取りように改良された宝石剣。 虫探しはあの不思議な杖、しゃべる人工天然精霊によるナビゲートで見逃しなし聞き逃しなしおまけに固有結界の 展開による拘束採集ときましたか……! 「……いいなぁ。アレ、ウチの課題らしいし……」 大師父の宝石剣は遠坂に出された課題なのだ。 遠坂の血筋が起動すれば平行世界から魔力を吸い上げるという、 もう作成すれば大師父が弟子の調子を見に来たりする厚遇?ぶり。 その他の杖とかもすべて魔法のカケラの異端品。 あの杖のお値段、作るのに二百とんで三つの千両箱分というキチ○イ沙汰。 ちなみに、言うまでもなく遠坂にはそんな資金は存在しない。 「はっはっはっ。この分だと日暮れを待たずして家に帰れそうだな! 軽い暇つぶしで始めてみたがなかなか悪くない 「なあマキリ、別にこの山の甲虫を捕りつくしても構わんのだろう?」 「ああ、できるものならやってみるといい。その時は蟲術の大家の名、遠坂に譲ろうぞ」 「よく言ったマキリ 「ふふ、こんな形でお前と雌雄を決する時が来るとはな……!どちらが冬の聖女にすごいと言ってもらえるか、ここでハッキリさせてやろう!」 ノリノリの大師父に、いいからどこか行ってしまえ、というマキリ ……ほら、言わんコトじゃない。 ヘンなコト口にするからヘンなのが寄ってくるんだ。 二人の邪魔をしないよう、こっそりと山を後にする。 どうか遠坂家が蟲術を始めたりするようなコトがありませんように。
780 名前: 高原仁 投稿日: 2005/12/25(日) 14:20:00なぁ、質問なんだが。月姫世界では鬼種なるものがそんざいするらしいが その鬼の首が体に埋め込まれてたら超人的な動きや寿命が伸びたりするのか?
781 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 14:22:49>>780 スレ違い TYPE-MOON総合考察スレ その14http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1133692061/
782 名前: プロローグ一日目 投稿日: 2005/12/25(日) 14:23:41「ん、怒ったのか? いや、もちろん君の立場は尊重するよ。私はマスターを勝利させる為に呼ばれたものだからな。 私の勝利は君の物だし、戦いで得た物は全て君にくれてやる。それなら文句はなかろう?」 「――――――――、あ」 「どうせ君に令呪は使えまい。 まあ、後のことは私に任せて、君は自分の身の安全、を……!?」 「あったまきたぁーーーーー! いいわ、そんなに言うなら使ってやろうじゃない!」 「――――Anfang(セット)……!」 もう容赦なしだ、こんな捻くれモノ相手にかけてやる情けなんてあるもんかっ……! 「な――――まさか……!?」 「そのまさかよこの礼儀知らず! Vertrag(令呪に告げる)……! Ein neuer Nagel(聖杯の規律に従い、) Ein neues Gesetz(この者、我がサーヴァントに) Ein neues Verbrechen(戒めの法を重ね給え)―――!」 「ば…………!? 待て、正気かマスター!? そんなコトで令呪を使うヤツが……!」 「うるさーい!―――アンタなんて、私の左腕にでもなってしまえ」
783 名前: 高原仁 投稿日: 2005/12/25(日) 14:24:04>>780 ありがとよ
784 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 16:21:31>>782 お、いいねぇ。その設定で誰かナインライブズカレイドワークスとか書いてくれないかなぁ
785 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 16:54:47 地上に踏み上がる。 風は途絶えた。 黒い巨人まで、距離にして三十メートル。 ヤツなら三秒とかからず詰める。 ―――故に。 勝敗は、この三秒で決せられる。 思考は冴えている。 自身の戦力は把握している。 創造理念、基本骨子、構成材質、制作技術、憑依経験、蓄積年月の再現による物質投影、 魔術理論・世界卵による心象世界の具現、魂に刻まれた『世界図』をめくり返す固有結界。 アーチャーが蓄えてきた戦闘技術、経験、肉体強度の継承。訂正、肉体強度の読み込みは失敗。斬られれば死ぬのは以前のまま。 固有結界・“無限の剣製”使用不可。 アーチャーの世界と私の世界は異なっている。再現はできない。 投影できるものは遠坂凛が直接学んだものか、アイツが記録した剣のみ。 左腕から剣を引き出す場合、使用目的に最も適した剣を“無限の剣製”から検索し射出する。 だが注意せよ。 投影は諸刃の剣。 一度でも行使すれば、それは自らの―――― 「――――――――」 呼吸を止め、全魔力を左腕に叩き込む。 把握するのは使える武装だけでいい。 注意事項など先刻承知。 もっと前へ。 あの風を越えて、私は、私がうっかり消してしまった弓兵を打倒する―――― 「――――投影(トレース)、開始(オン)」 「――――――――、ぁ」 壊れた。 パシ、と音をたてて脳の全てが余さず破裂する。 それで終了。 うっかり使用してしまった異端の弓兵にその存在を飲み込まれ、 遠坂凛の聖杯戦争はここに終結した―――
786 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 17:22:21弱っ!
787 名前: ミミック遠坂Ⅲ 投稿日: 2005/12/25(日) 17:48:01 「へえ、そりゃあ」 凄い。 それって様々な“もしも”の遠坂を呼び出して、その道のスペシャリスト になれるってコトか! 『―――ただし。これには幾つかの決まり事がございまして。 モノマネはまずカタチから入るもの。 多元転身をした際、凛さんにはその姿に相応しい服装になっていただきます』 『なのに、これがどうしてか皆さんそろって嫌がりまして。 おかげで私のマスターは過去・現在・未来において、たった二人 だけなんですよぅ』 しくしく、と着物の袖で涙を隠すマジカルルビー。 や、着物というのはあくまでイメージですが。 「なんで? それぐらい、別に嫌がるコトもないじゃないか」 「―――! ま、まさか、アンタ……!」 『はい。ですから、相応しいコスチュームを。 謀略を駆使して相手を陥れたいのでしたら諸葛凛に。 お金を稼ぎたいなら何万もする絵馬を売りつける悪徳巫女に。 そしてタイガー道場での出番が欲しいと言ったウッカリな貴女に、 バイオレンスな二頭身をご提供したのです!』 「ぶっ……!」 そ、それはつまり、まごうことなく色物路線……!! 「こ、このバカ杖、私のここ最近の色物キャラ化は、 全部おまえのせいかぁーーーー!」 「いえいえ、それは凛さんの才能かと」 ……いま明かされる恐るべき真実。 第二魔法の応用品、少女に出番を与える奇跡の杖の正体は、 正統派ヒロインコースを色物路線に切り替える悪魔のスイッチだった。 ああ、かつてない、なんて見た目分かりやすい暗黒魔術。 ―――そりゃあ、誰も契約したがらないワケである。
788 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 18:27:43マジカルルビー・・・恐ろしい子!
789 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 19:17:41>と言うかその網は守護者的にもそんなにヤバいモノなのか ORTすら採蟲出来るAMIみたいです。
790 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 19:29:04「前から思っていたけど」 かすかな安堵。 女は口元をゆるませて、 「貴方、ロックスターみたい」 歌うように、そんな言葉を口にした。 「…………貫かれてもー♪」 「……好きな人ー♪」 そこでギャイーンとディストーションきかせてくれたら最高だ。
791 名前: 槍→ネロ 弓→ワラキア 士郎→シキ 投稿日: 2005/12/25(日) 19:58:48 月は満月。 強い月光は日常の感覚を麻痺させる。 夜風は頬に涼しく、蘆切の鳴き声が寂しさを際立たせる。 文句の付け所のない絶好のロケーション。 夜の散歩を好むお爺ちゃんや格闘技に励む女子校生の清涼剤になりそうな夜の公園は、しかし。 この上なく奇怪な二人によって、ギチギチの殺戮空間になっているのであった……! 「って、一人増えてるぅ……!?」 ネロの背後。 血の涙をダラダラ流す、あのマントの男は間違いなく新たな災厄……! 「フ、十六人目カット。いい舞台だ。面白いように観客がかかる。ところで後ろの獣よ、今宵はそれで何人目かな?」 「―――笑止、何故貴様に答えねばならぬのだ。五月蝿いから余所で取れ余所で」 「キ、キキキキキ! まだ八人だけか。 ケモノによる捕食ではそんなところだろうよ、と、十七人目カァァァット!」 ※カットとは単に狂った感動詞です。キ! 殺す! リテイク!等とお考えください 「だからうるさいと言っているのだ。この役者かぶれが! 獲物が逃げるだろうが獲物が!」 「ふ。問題の原因を他人の所為に求めるとは落ちたな混沌。近場の獲物がつかまらぬなら固有結界を展開すればよいだろう。 もっとも、結界を体内に展開している貴公に私のごとき華麗な舞台を披露できるとは思えんが、おっとすまないね、十八人目カァァァァット!」 キキキー、と哄笑をあげるマント男。 ……おかしいなあ。 狩をしてる吸血鬼を見るのって、こんなにも脱力するものだったっけ……。 「…………つーか、なんだありゃ」 ……ホント、我が同族ながら目を背けたい。 上下ともに貴族ばりにキメキメのマントと礼服、悪趣味な舞台衣装は実体を持たない100%霊子の現象。 攻撃は分割思考の結晶、無数の駆動式による一夜限りの固有結界ときたか……! 「……いいなあ。アレがあれば志貴もイチコロだよなあ……」 ワラキアの戦力はネロの獣の群と同等か、あるいは凌駕するほどの幻想なのだ。 自然さえあればほとんど無敵という、もう血を吸いに来ているのか人類を滅ぼしに来ているのか判断のつかない化け物ぶり。 その他シエル、殺人貴、メカヒスイもすべて最先端の戦闘マシーン。 あいつらがその気になれば町ごと潰せるというキチ○イ沙汰だ。 ちなみに、言うまでもなくぜーんぶタタリによるバッタもんである。 「キ、キキキキキー! この分では夜明けを待たずして勝負がつくな。軽い前座のつもりで始めたのだが、本番を始めるまでもない。 なあ混沌よ、別にこの町の人間を呑みつくしても構わんのだろう?」 「ふむ、できるものならやってみるがよい。その時は死徒二十七祖が第十の位、貴様に譲ってやろう」 「よく言った混沌。嗚呼、斯様な形で彷徨海の鬼子と雌雄を決する時が来るとは……どちらが永遠に近いか、ここで解答を算出しようではないか!」 テンパってるワラキアに、どうでもよいから早く消滅してくれぬものか、というネロ。 ……ほら、言わんコトじゃない。 ヘンなコト口にするからタタリが発生したんだ。 彼らの邪魔をしないよう、こっそりと冷たい地下室へ帰る。 とりあえず、秋葉に手を出しさえしなけりゃどうでもいいしな。
792 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 20:25:15ランサーズヘヴンは2が一番改変しやすいみたいだな。
793 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 22:20:40ヘヴン改変も改変が進むごとに段々と狂気度と人外度が増してきているな
794 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 22:55:48つか、こんだけ連発されてて、質が落ちてないのはすげーな。
795 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 22:59:30>>791 これだと三人目は誰になるんだろう? 傲岸不遜さなら赤い月だと思うんだが、やっぱりロアあたりか。
796 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 23:07:56でも士郎役でシキがいるからなぁ>ロア
797 名前: アリカそのまま 巻菜→過去型月主人公の誰か 投稿日: 2005/12/25(日) 23:25:45「こんにちは。石杖所在さんでしょうか?」 「はい。石杖ですが、どなたでしょうか?」 「僕、いやオレ、じゃなくて俺でいいか。はじめまして。お元気ですか?」 「まあそれなりには。そういうあんたは? 元気?」 「おかげさまで。相変わらずの環境で過ごしているけど、それなりに。でもおかげで一段階レベルアップしました。いいでしょ。もし機会があったら、その時に家に来て彼女達を紹介してあげるよ石杖さん」 「……なに、女殺しってレベルアップすんの? 何で? 生贄とかインプラント?」 「天性と笑顔で、かな。どっちが欠けても無理みたいだ。石杖さんにはどっちも無いね。まあそもそも女殺しじゃないけど」 「そりゃ良かった。で、何なんだよ一体。別に、俺に誰か紹介して欲しいってワケじゃないんだよな、アンタ」 「え………?い、いやー紹介してくれるんなら嬉しいですよ。言っておくけど女殺しに理由なんてない。ただ、そうならないと主人公では居られないだけなんだから」 「……切実な話だなそりゃ。アンタ重傷? というか末期だよな。病的なまでに女が寄ってくるのが、アンタらの必須条件だし」 「退廃的、という意味でなら末期だけど。石杖さんだって、俺達と同じ主人公でしょ。なんだってそう邪険にするの?」 「近づきたくないんだよ。そうならないと主人公じゃない、なんて、冗談じゃない。おまえたちは異常だ。女なんざ一人でも手が余る。ハーレムなんてもっての他だろうに」 「……。じゃあ石杖さんは、モテたくないの?」 「ない。おまえたちのおかげでハッキリした。俺はできるだけ楽に生きたい。あんな労働と報酬が釣り合わない生き物に振り回されるなんて、まっぴらだ」 「ふうん。石杖さんは変わってるねえ。あっ! だからカイエさんの笑顔にいちいち反応するんだ」 「おい。それ以上言うな。アンタが変なこと言うから憎悪ちゃんが暴れ出しちゃったじゃねえか。いてっ! 獲物が近くに居ないからと言って俺に噛みつくな!」 「……まあいっか。用件は別にあるし。あのですね。ドアの下に紙が差し込まれているでしょう? あれをちゃんとチェックするコト。石杖さんは否定してるけど、最終的には俺達と同じになるんだろうし」 「……レポート? おい、なんだよこの女の落とし方っていうのは。同日に複数のデートをこなす方法やら浮気がばれた場合のごまかし方だの。何の役に立つんだ?」 「先輩からのプレゼント、かな。あ、けど全然ダメだったら効果はないかも。やんなるなあ。なんでこんなことやってるんだろ」 「そりゃこっちの台詞だ。なんで俺に電話した?」 「そりゃあ今回あまり見せ場無かったからねえ。悲惨な主人公は一人で十分でしょう? 石杖さんに同じ道を歩んで欲しくないんですよ。用件はそれだけ。はい、それじゃさよなら、石杖さん」 「はいさようなら。……ところでアンタ。一体どこの誰だ?」
798 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 23:49:07>>797 妹が『巨乳』の時点で月姫に勝ってますから〜〜〜残念!!(ソースはこやまのHPにあるボツイラスト)
799 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/26(月) 02:29:20二つ腕があるのに『私の腕に――』をやって リヴィオみたいな二重人格になった遠坂の図が頭に浮かんだ
800 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/26(月) 02:35:31オカマに睨まれただけで身動きできなくなった彼の事かー!
801 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/26(月) 04:02:44トオサカ・オブ・デスですか!!
802 名前: 虎⇒金 投稿日: 2005/12/26(月) 14:41:54「我が何故王だと思う。 生まれつき怖い話など怖くないからだ。雑種どもは 生まれつき怖い話に弱いから、そんな特訓をしなければ ならないのだ」
803 名前: ライダーと鮮血神殿 投稿日: 2005/12/26(月) 15:35:43 「あら、メドゥーサ」 十時過ぎの、人気のない鮮血神殿にぽつねんとメドゥーサが立っている。 「侵入者を排除している……というワケでもなさそうね」 メドゥーサは鎖をじゃらじゃらさせながら、ぼんやりと石像を眺めていた。 「ごきげんよう、メドゥーサ」 「……………………」 「なにをしているの? 洗濯は終わったの?」 「……いいえ、ほっといてください。 どーせ、私は嫌われ者なんです。 どこ行っても居場所はないし、あったところで悪役だし、アテナには怪物に変えられるし!」 「どうなんでしょうか上姉さま、ペガサスが主人公で光速超えてるのに対して私は石にすることしか脳のないザコ敵? 有り得ないでしょう、いつのまにか盾にくっつけられてるのが定位置なんて正直おかしくないですか? というよりも、騎手より活躍する騎馬なんて存在しないですってー」 そのまま神殿の隅っこに移動するメドゥーサ。 ……本気でテンパっているのか、そのまましゃがみこんでしまった。 ダンボールがあったら頭から被りかねない勢いで。 ………ってダンボールってなに? その後ろ向きな勢いに不覚にも嗜虐心が抑えられない。 「まったく。バカなコトを言っているわね、負けてはダメよメドゥーサ、立ち上がりなさいメドゥーサ! 自分の背の高いところを気にしている、そういう所が意外とかわいいと言われるのがアナタの強さだった筈でしょうに……!」 などと、こっちも半ば本気でエールを送ったりする。 「……いやです、疲れました、もともと私は後ろ向きな性格なんです。正しい貶められた神性の運命を継いでいるんです。 キャスターも真アサシンも、弓塚先輩も、こーゆー風に他宗教に押し潰されて悪役やってるのがお似合いなんです」 ますます閉じこもるメドゥーサ。 まあ、こんな鮮血神殿で引きこもるあたり、メドゥーサはやっぱり血なまぐさい女なんだと思うけど。 「……いいから、さっさと余所に行ってくれませんか? 私は聖杯の導きを待ってるんです。 私がかわいいキャラで活躍できる最後のチャンスなんです。元々かわいくてちやほやされる姉さまたちに用はないんです」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 やれやれ。どうやら、私(ステンノ)だけでは処置なしのようね。 私(エゥリュアレー)が帰ってきてから、一緒にかまってあげましょう。
804 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/26(月) 15:57:04こ、これは…!
805 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/26(月) 18:50:39ザコ敵って言ってもあの中ではトップクラスの扱いだった… といっても慰めにならんか。
806 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/26(月) 19:06:41>こーゆー風に他宗教に押し潰されて悪役やってる なんか考えさせられるフレーズだw
807 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/26(月) 21:10:12>不覚にも嗜虐心が抑えられない ……そうか、おねいさんズは真性かw
808 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/26(月) 21:44:03さりげなく弓塚先輩が混じってるしw
809 名前: prologue 投稿日: 2005/12/26(月) 21:45:03「そうそう。そんな事よりトイレトイレ」 ペースをあげて小走りに廊下を行く―――と。 曲がり角から出てきた誰かの腹筋にぶつかってしまった。 「あ、すみま―――」 「こちらこそごめんなさい。少しぼうっとしていたから」 「―――――――――」 思考が停止する。 驚きすぎて、何に驚いているのか分からない。 「けど、貴方も気をつけなさい。 廊下を走るのは感心しなくてよ、坊や」 通り過ぎていくバーサーカー。 死すら感じさせる威圧感はいつもの事だが、声を聞くのは珍しい。 しかし。驚いたのは、何に対して――― 「……そうだ。バーサーカーって、とんでもなく美声だったんだな」
810 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/26(月) 21:48:41工エエェェ(´д`)ェェエエ工
811 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/26(月) 23:16:06ななななななんだってー!!!
812 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/26(月) 23:18:13■■■■■■■■■■■■■■■――――――――――――――――――――――!?
813 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/26(月) 23:33:42マテ、なんで場坂さんお姉口調なんだ?
814 名前: バーサーカーとの初戦 投稿日: 2005/12/27(火) 01:36:31「アインツベルン――――」 その名前に聞き覚えでもあるのか、遠坂の体がかすかに揺れた。 そんな遠坂の反応が気に入ったのか、少女は嬉しそうに笑みをこぼし、 「じゃあ殺すね。やっちゃえ、バーサーカー」 歌うように、背後の異形に命令した。 バーサーカーはそれに応え、巨体を躍らせて、 「■■■■■■■■■■■■■■■―――」 いたずらに、これ以上ないって仕草で、こっちの頭をグラグラにしてくれた―――
815 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 01:41:00>こっちの頭をグラグラに 物理的にか
816 名前: 天の逆月 蟲爺と真アサ 投稿日: 2005/12/27(火) 10:26:24「うむ、お喋りはここまでじゃ。お主が行かないなら別に構わぬが。儂は先に行かせてもらうとするかのう」 「待たれよ。とりあえず私も立ち止まることは致さぬ。……ただ、その前に聞かせていただきたい。 その、真剣に訊くのですから、魔術師殿も全力で答えて頂きたい」 緊張しきった声。今更何を遠慮することがあるのか、と首をかしげ、 「――何故。何の取り柄もない私を、どうして選んでくれたのだ。私は貴方の言うとおり、 弱くてつまらないサーヴァントなのに」 ……確かに照れ臭いじゃろうのう、と納得した。 「……わからぬかのう。だから、そこがいいのじゃ。儂が好きなのはお主のそういう弱さじゃ。 近接戦闘に弱くて、言峰すらも仕留められず、それが分っているから気配遮断や、妄想心音を駆使して 足掻いてきた。儂はそういう無様な奴がよい。結果はどうあれ、あらゆる汚い手を使える奴が好きなのじゃよ」 「――それは華々しい必殺技など使えずとも?」 「うむ、そんなものは正規の英霊にでも任せておけば良い。お主はもう少し、自分の味というものを 自覚するべきじゃ。影薄いんじゃから」 「―――――」 喉のつかえる音がした。 怒鳴るのを堪えたのか、笑いを堪えたのかは分らぬ。 「なるほど、つまり魔術師殿は、私がこそこそ動き回るしかない卑怯なサーヴァントだから召還したのですな」 ――うむ、 そんな地味なサーヴァントだからこそ、そんな弱いお主だったからこそ―― 儂には、かけがえのない手駒じゃった――
817 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 10:46:25乳首のかわりに、ち○こ蟲が勃つんだなw
818 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 11:24:17いやだあああぁぁぁぁぁ そんなこっ恥ずかしい二人の会話はいやだあああああぁぁぁぁぁ 腹いてえええwww
819 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 17:28:21魔術師殿がこそこそ動き回るしかない卑怯なお方だから召還できたのでは?
820 名前: ブロードブリッジ 凛→セイバー 投稿日: 2005/12/27(火) 20:55:25「――すごい。見事なものです。大丈夫でしょうか、彼らは」 遥か上空。 二千メートル以上の高みにかかる階段を見上げ、彼女は淡々と呟いた。 「……何もかもデタラメですが。 彼もまたシロウであるなら、心配するだけ無駄なんでしょうね」 やれやれと肩をすくめる。 無謀で危なっかしいマスターだが、彼はいつだって決めたことはやり通す。 天を二分する光の橋。 透ける階段を、手を繋いで歩いていく主人公とお姫様。 そんな、今どきおとぎ話の中でさえ見かけない物語を見上げているのだ。 地上の状況が絶望的なものであったとしても、口元がほころぶのは致し方ない。 「―――それにしても、数が少し多すぎますね」 新都にそびえるビルの前に陣取りながら、彼女は視線を地上に戻す。 新都は闇に沈んでいる。 四日目の終わりを迎え、町は急速に変貌しつつある。 明かりは消え、人々は消失し、町の生気は凍りつく。 この場、この時刻。 存在しているのは聖杯戦争に参加した者たちだけ。 今まで混ざり合う事のなかった昼と夜が入れ替わり、出会わなかった者たちが交差する。 現実と空想、実と不実の接合面。 このわずか一時間ばかりの合間こそが、四日目と五日目を隔てる境界線――― 「―――それは分かっていたことですが。 ここまでの事は、想定していなかった」 カレ等は一刻も経たず新都まで辿り着いた。 ……人間にとって、無限とは比喩である。 いかに多く、いかに人の推量範囲を超えていようと、物事には限度がある。 無限とは認識の限界が生み出した言葉にすぎない。 だが―――目の前のモノは、そういった“数え切れない”ものとは違う。 カレ等は真実“無限”なのだ。 果ての無い増殖連鎖。 一である時点で結末となった終末の軍勢。 何人たりとも止められない、自らを死滅させるブレーキのない自殺回路。 狂った生態系の末路が、この地上を埋め尽くす――― 「五百、六百……いや、視認できるだけでもう千は超えているか―――」 半年間の食事で溜め込んだありったけの魔力、両手で構えた聖剣の感触が、今は少しも頼りと思えない。 これでは数分程度の足止めも出来まい。 カレ等はまたたく間に入り口を突破し、新都にそびえる塔を覆い、蜘蛛の糸を貪り落とすだろう。 「っ――――――」 終末を目前にして、彼女は強く歯を合わせる。 地上が地獄であり、天がおとぎ話の世界であるなら、彼女の立つ場所はその境界。 まだどちらにも行ける領域に身を置いて、遠い海の終わりを凝視する。 宙にはまっすぐ刻まれた飛行機雲。 眼前には果てる事のない毒蛾の群。 どちらに身を置くべきかと言えば、それは――― 「迷うコトなどない。 この身は、シロウの剣だと誓った」 両手で聖剣の柄を握り締める。 これより、空を見上げる事はない。 彼女は自らに課した役割通り、この境界を守り通す。 だが――― 「は―――――――、っ、ふ―――」 正しく呼吸を刻めない。 地上を見つめれば見つめるほど、合わせた歯が軋みをあげる。 強張った両足にいつもの軽やかさはなく、肩は得体の知れない圧力で痺れている。 「―――、っ―――!」 骸たちの行進が始まる。 境界を突破される。 その前に、あの先頭部隊をなぎ払う。 なのに震えて、この一歩が踏み出せない。 「……っ、くっ、私としたことが情けない―――!」 ごん、と握りこんだ聖剣で地面を打つ。 初めから不利であるのは承知していた。 この場に立った以上、後はもう、力の続く限り戦うのみ。 「――――――、約束された―――」 石の如き両足を動かして、眼前の群に一歩踏み出す。 後退はない。 あと一歩踏み出すだけで彼女は死地に飛び込む事になり、
821 名前: ブロードブリッジ 凛→セイバー 投稿日: 2005/12/27(火) 20:59:33「―――うーん。血気盛んなのはいいけど、ちょっと肩に力が入りすぎじゃないかな? いや、戦うんなら容赦なし、というのは実に君らしい話だけど」 「……え?」 その、あまりにも懐かしい声に、ものの見事に出鼻をくじかれた。 「―――あの。 容赦なしが私らしいとは、どういう意味ですか。これでもブリテンでは賢王とも呼ばれることもあるのですが……」 緊迫していた心が解ける。 彼女は足を止めて、振り向かずに悪態をつく。 「いやぁ、言葉通りの意味なんだけどなぁ。 敵対する相手がいれば徹底的に打ちのめし、勝負を挑まれれば勝つまで戦い続けるのが君の流儀だ。慈悲が働くのはその前か後かの話だろう?」 「―――む」 遺憾ではあるが、実にその通りだ。 そう、やるときは徹底的にが彼女の方針。 最後まで持ちこたえるだの、境界を防衛するなど、 そんな受身の戦略は、そもそも彼女には合っていないのである。 「……そうですね、やるからには殲滅戦ということですか。 ここは境界線じゃなくてすでに最前線だ。 ……失敗しました。そんなコトを間違えていては、肩も重くなる。」 ぶん、とのびやかに聖剣を振る。 状況は四面楚歌、援軍のあてはなし、一兵でも逃せば敗戦確定。 篭城戦に専念しようとしていた騎士は、しかし。 気合も新たに、敵兵を迎え撃つ高揚感に満ちていた。 「にしても多すぎますね。 負ける気はしませんが、さすがにきりがない―――よし、いざとなったら敵陣に切り込みましょう!」 「……待った、調子が戻ったのはいいけど、やりすぎだ。ここを離れればさすがに収集がつかなくなるよ。風王結界で外壁を守っているから、入り口が開けば群れになってここになだれ込んでくる。 でも、ここを守り通している限りは、このビルには登れないよ」 「うっ……わ、分かってますとも、景気づけに言ってみただけです!」 ふぅ、と不満げに息を漏らす。 ここまで大事になったのなら敵陣の真っ只中に乗り込み、大暴れした方がに絵になるのにと言いたげに。 「まったく、そういうところが極端なんだよ、君は。 この半年で少しは女の子らしくなった、と思っていたのに」 「私は女である前に騎士ですから。 貴方だって、戦いにおいては手段を選ばなかったではないですか」 「僕は元々、魔術師というよりは魔術使いだからね。今は偶々、息子のために体を張ろうとしているだけで」 「それは奇遇ですね。私も偶々、シロウの剣として彼のために戦おうと」 十年前には成立しなかった会話に、ふっと口元がほころびる。 眼前には、塔の正面まで進軍した骸たち。 火ぶたを切るには、ここが最後の機会である。 「―――では、付き合ってください、キリツグ」 「ああ、、親は子供を助けるもの。 これでようやく―――」 「――― 最後に。父親らしいことをできるってもんだ」 現れる使い込まれた拳銃。 切嗣はビルを守るように、その彼の牙たる銃口を突きつける。 その銃にどんな意味があるのか、問いただすまでもない。 撃鉄を下ろすは使われるに相応しい戦場、倒すべき敵とある時だけ。 振り切った筈の思い出が胸を焦がす。 これより一瞬。 夜明けまでのわずかな時間だけ、彼らは、第四次聖杯戦争を駆け抜けた姿に戻ったのだ。
822 名前: ブロードブリッジ 凛→セイバー アーチャー→切嗣 投稿日: 2005/12/27(火) 21:01:25「……やれやれ、十年前にもこんな会話ができていれば、もっとお互いを信頼して戦えたのでしょうが」 「なーに、融通の利かなさでは負けていたさ。 何しろあの時の君は、聖杯を手に入れることに必死になっていたからね。 ―――それで、君の望みは叶ったのかい?」 「ええ、聖杯ではなくシロウが叶えてくれましたから」 敵を見据える。 魔力放出は中頃まで抑え、五分の力を聖剣に込める。 なにしろ先は長いのだ。 あの、宙にかかった虹が消え去るまで、彼女はこの場で戦い抜かなければならない。 「―――初撃は頼む。君の宝具で群れの先頭をなぎ払い、僕が取りこぼしを仕留める。 あとは持久戦だ。君はここから群れの中心に穴を空け続け、僕は君の斬撃から逃れた連中を仕留める。 何か問題はあるかい、セイバーー?」 「異論はありません私とキリツグの二段構えなら抜け出る者など出てこない。 私たちの役目はここに近づくものの殲滅。一匹たりとも、侵入を許しはしない」 この布陣を突破されることは許されない。 ここは明日に架かる梯子を守る最後の砦なのだから。 だからここの守りは私たちの役目。 一匹たりとも例外を許し、階段を行く彼らの手を煩わせることはできない。 「……まあ、僕たちの他に戦っているのもいるようだし、彼らが少しでもヤツらを減らしてくれるのを期待しよう」 聖剣が光を宿す。 彼女はしなやかに、最短の手順で聖剣に込められた魔力と真名を開放する。 「――――約束された――――勝利の剣!!」 黄金の光が黒い汚濁を打ち消していく。 地上にも煌めく星がある事を、宙を行く者が知り得たか定かではない。
823 名前: スパイラル・ラダー(アンリ→士郎 カレン→黒セイバー) 投稿日: 2005/12/27(火) 21:23:58アーチャーの腕の汚染で記憶がごっちゃ混ぜになってる状況と見てください。 儀式の終焉が始まる中、虚空に続く踊り場に辿り着く。 大聖杯は黒く汚染され、クレーターには泥が溢れ出す。 この体は刻限を迎えて、俺でもオレでもない剣の丘へと剣製される。 そこに、 「――――――驚いた」 聖杯の前には人影が一つ。 金の髪を揺らして、いつかのように、 「ここに来るなんて、どんな奇跡なんだ?」 俺が見送った、黒い剣士が待っていた。 「……奇跡ではありません。この最後の夜に貴方と共にあるの、私の運命のようなものですから」 相変わらずといえないほどの素っ気ない告白。悪びれた風もない。 「……そういやそうだけど。じゃあ、今は何の用で来た」 「貴方の剣として、今一度参りました。何処まで行けるか分かりませんが、可能なかぎりご一緒しようかと」 文句あるか、と言わんばかりの断言ぶり。 「―――、は」 つい口元がニヤけてしまう。 チクショウ。これじゃあ気合が入って仕方がない。 「やっぱり奇跡だよアンタ。そこまでする義理はないと思うんだけど」 「迷惑ですか?」 「逆。ありがたくって泣けてきた。見栄を張る相手がいなくてヤバくってさ。誰でもいいから隣にいてくれると助かる。 いや、地獄に仏ってのはいるんだな」 虚空に向かって歩を進める。 聖杯に至る道は、死刑囚を出迎えるように現れている。 「なあ。高い所は苦手か?」 「怖くはありません。私は、あの穴から無理やり落ちてきましたから」 「よし。なら、ちょっとそこまで付き合ってくれ。俺一人じゃ足を踏み外しそうだ」 振り返って手を伸ばす。 気合が入ったので、俺はきちんと俺を保っている。 「……言われるまでもなく。 私は貴方を護る為に、こうしてルール違反をしたのですから」 手を繋ぎ、指を重ね合う。 地上から一歩でも踏み出せば、俺はだんだん壊れていく。 ―――舞台はハネた。 主役でいるのは、もうこれでおしまいだ。
824 名前: スパイラル・ラダー(アンリ→士郎 カレン→黒セイバー) 投稿日: 2005/12/27(火) 21:25:44 深く大聖杯の縁まで、溢れかえるほどの黒い泥。 立ち止まっている時間はない。 封鎖しつつある視界の中、最後の世界を写し始めた。 一歩進むたびに現実が希薄になる。 一段登るために時間が停滞していく。 登り始めたのはほんの数分前。 だが、その始まりの距離と時間は、もう思い出せないほど遠くに過ぎ去っている。 「――――――、」 俺は輪郭を失っている。 軋む手足、湧き上がる剣製に、たまに突き出てしまいそうになる。 だが傷を負うのは俺だけではない。 手を繋いだ女は、その度に苦痛に顔を歪ませる。 見栄を張るには充分すぎる、あの夜まで共に隣を駆けた相棒だ。 「あー―――どこまで続くんだ、コレ」 悪態をつきながら、<人間らしさを見せながら>、長い階段を登っていく。 ……そう言えば。 可能性であったあの赤い騎士にも、これと似たような記憶があった。 二人で、長い階段を登っていく。 ……あれはいつの出来事だっただろう。 つい一時間前の事さえも、ずいぶんと忘れてしまった。 「―――見てください。黒い泥が留まっている」 女にうながされて地上を見下ろす。 大挙して押し寄せていた泥は、大聖杯のクレーターから出ることができず停滞していた。 クレーターから溢れかける黒い泥。 取り出した鞘によって留められる、汚染された聖杯に満ち溢れる呪い。 その、おぞましいだけの光景を、俺はずっと眺めていた。 「――――――」 階段を登る。 地上は遠く、ソラは近い。 夢の具現。誰かの願い。 求めながら与えられない全てが、一歩ごとに遠のいていく。 それは―――もう関わりのない、遠い彼岸の物語のようだ。 何度彼女と共にあの街を歩いたか。 何度彼女と共に日常を噛みしめたか。 知らない場所はない。 体験できない出来事もない。 初めは未知だった白紙は、繰り返す度に埋まっていった。 埋まれば埋めるほど光を喪っていった。 彼女を愛するほど、愛しい者たちと新しい日々を求めるほど、俺は世界(じぶん)を喪っていく。 それは当然の帰結であり、初めから分かっていた事だった。 楽しみは充分すぎるほどあった。 正義の味方なんて必要ない。 ただの平凡な日常でも、それだけを護っていければ約束を守っていけた。 なのにどうして、俺はしなくてもいい事をし続けたのか。 欠けて壊れた自分の影響だけではあるまい。 多分、我慢できなかったのだ。理由はそれでいい。我慢できないから終わらせたくなっただけ。そうとでもしなければ 何もかも、放り出したくなってしまう。 「っ、―――、っ―――」 輪郭が軋む。 足を踏み外しそうになる。
825 名前: スパイラル・ラダー(アンリ→士郎 カレン→黒セイバー) 投稿日: 2005/12/27(火) 21:27:39 「―――大丈夫です。貴方は、我慢できない人だから」 それを。 強く握り締める指が、完全に否定した。 「……そうだな。終わる事と続かない事は違う。 ここで止まったら、いつかは続きまでもが終わってしまう」 手を伸ばせば、もうすぐあの虚無に手が届く。 繋いだ指は、その頃には独りになる。 地上は泥に浸され、黒い太陽を寄る辺に歩いていく。 「……ねえ。何の為に、貴方は此処まで来たのですか?」 ふと、風に紛れて声がした。 理由は―――もう思い出せない。 ただ、一番やりたかったコトは今も明確に覚えている。 この道の終わり。 黒い繭で、頑なに聖杯(ねがい)を求め続ける少女を解放するのだ。 「彼女は貴方を殺そうとしているのに? なのにどうして貴方は私にこだわるのです」 どうしても何もない。 彼女を救うのは俺の願いと覚悟から。 女に構うのは、ヤツの憧れと愛情からだ。 「―――意外ですね。貴方は彼を嫌ってると思っていました」 勿論嫌いだ。およそヤツが座から消え果るまで俺を憎むように、俺はヤツを憎み続ける。 この剣製は、人を護ろうとして人を殺し続けたヤツの信じる正義から生まれたもの。 ヤツの腕として記録を思い出した以上、その機能を果たし続ける。 それは永遠に変わらない。 ヤツは俺が憎いだけではない。自分自身さえもが憎いのだ。 確かに過去では人間を尊いと感じていた。だが種の中であぶれ出す悪はどのような生態系にも存在する。一つの命の正義など、自然界においてさしたる影響はない。 ヤツが守ろうとしたもの―――人間が最強で最低なのは、その機構自体が悪という事。 外道を育み、火を与える人間の情。 指導者とは特別ではない何者かであり、それになり損ねた幾多の無関心が、頂点を歪めていく。 ただひたすらに生を謳歌する生命。 神さまなんてものまで持ち出して繁栄を肯定し、自らの悪性を拭ぎ払う。 聖杯によって生まれ出でようとする、この世全ての悪などと笑わせる。 それは人間の総称だ。それは人間より生まれしもの。人間である限り、俺たちはあらゆる悪が再現可能なのだ。 醜悪な個人、醜悪な社会、醜悪な概念。 言い逃れはできない。同胞からして同胞を悪と見なせる生き物は、そも在り方を間違えている。 ああ、それでもオレは――― 「―――それでも、命には価値がある。 悪を成す生き物でも。人間に価値がなくても、今まで積み上げてきた歴史には意味がある。 いつまでも間違えたままでも―――その手で何かが出来る以上、必ず、救えるものがあるだろう」
826 名前: スパイラル・ラダー(アンリ→士郎 カレン→黒セイバー) 投稿日: 2005/12/27(火) 21:28:26 彼方(ほし)を目指す旅のようだ。 遠い遠いソラを目指して、長い長い階段を登っていく。 「前から思っていたけど」 かすかな安堵。 女は口元をゆるませて、 「貴方、正義の味方みたい」 歌うように、そんな言葉を口にした。 「――――――」 もうわからない喩えだが、彼女に言われるのは悪くない。 確かにあるが、決して手の届かないもの。 それはオレの憧れであった、数少ない輝きだ。 ソラが近い。 オレの世界はじき終わる。 ここから先には、生き残った参加者でなければ踏み込めない。 「………………」 口にする必要は無い。 俺が地上から離れた時のように、女の体も、終わりを告げるように見えなくなっていく。 「あー―――」 何か言い残した事があったか、思いを巡らせてみる。 気の利いた台詞は思いつかなかったが、一つ、言い忘れを思い出す。 「オレ、アンタの願いの終わりを知ってるかもしれない」 「そう。別にいいです。分かりきった事だもの」 返答はあっさりしていた。 女がそう言うのなら、この件はこれでおしまいだ。 「――――――」 いよいよ会話がなくなって、風の音だけが響いている。 歩みは止まらず、視線を空から切る事もなく。 重ねた指の感触は、半分以上なくなっていた。 感触の不確かさをなくそうと強く握れば、その時点で、お互いが幻になったと気付くだろう。 幻である事は、初めから承知していた。 すでにいなくなったもの。他の連中にとってこの戦いは記録・経験であっても残るものだが、オレたちのこの逢瀬だけは、何一つ残らず消え去る。 どんな奇跡であろうとも。 俺の知る現実では、オレたちはもう別れてしまっている。 「―――少し、未練だ」 残さないようにやってきたのに、一つ未練を作ってしまった。 思えば、俺がオレとして過ごした時間は、この女と出会った瞬間からであった。 それが無かった事になるのは、いささか辛い。 「……まあ、それも終わる事だ。 よし。それじゃあこのへんで」 残った感触は小指だけ。 それも半ば透けている。 女は足を止め、オレは先に進む。 繋がりは容易く、初めから無かったかのように溶けていった。 「じゃあな。此処からいなくなったら、また会ってやってくれ」 オレの為ではなく。 始めから存在せず、何の意味もない、この思い出の為に。 「……丘に戻った後の行動は保証できません。もし聖杯を手に入れれば、最早聖杯を探す必要もなくなりますから」 まさか。 間違ったことが許せないバカをしかりつける君が、こんな異常者(バカ)を前にして大人しく出来る筈がない。 「アンタにとってこの聖杯戦争はどうだった?」 「私ですか……? そうですね、この街は嫌いではありません」 なら問題はない。ここでそう思ったのなら、丘に戻る彼女もそう思うだろう。 みっともない未練は、まあ―――それで、少しだけ軽くなった。 「そうだな。あの懐かしい土蔵でも、バカみたいに騒々しい家でもかまわない。 ―――また会おうセイバー。その時は、また未熟な半人前の魔術師をよろしく」 そのときは、もう憶えていないだろうけれど。 背後の気配が消える。 「そうですね。さようならシロウ。貴方の在り方や鞘のことでは、次回まで見逃しましょう」 わずかな温かさも、すぐ風にさらわれた。 振り返るまでもなく、剣の騎士はいなくなった。 軽くなったというのは大嘘だ。この余分(ウェイト)が、軽くなる事はない。 ―――終着駅が見えてきた。 地上に降りていた救いの糸が、段々と欠けていく。 遥かな地上。 汚染されたものどもは彼女の鞘に阻まれながら、ソラへ上り詰める俺を見上げているだろう。 ……遥か昔、頂から星を見上げた時のように。 流れ消える輝きに、羨望と怨嗟を込めながら。
827 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 21:36:31>>820 一瞬子ギルかと思ったが、切嗣か。 いい話だな…続編を願う、といおうと思ったが橋が最後の砦って書いてるってことは 他の場面書くつもりはないのか?残念だ
828 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 21:56:32>>827 そこで前スレの>>414-416 に続きますよ>>820 GJ
829 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 23:47:39>>820 GJ!!!キリツグかっけぇなぁ・・・Fate/ZEROまじででねぇかなぁ
830 名前: スパイラル・ラダー 投稿日: 2005/12/28(水) 15:09:22 夢の終焉が始まる中、虚空に続く踊り場に辿り着く。 空には季節はずれの雪が舞い、町には悪夢が溢れ出す。 この体は刻限を迎えて、俺でもオレでもない怪物に溶けはじめる。 そこに、 「――――――驚いた」 シュラインの屋上には人影が一つ。 白い髪を揺らして、いつかのように、 「ここまで来るとはな、サービス過剰なんじゃないか?」 オレを戒める、導き役が待っていた。 ―――……過剰じゃないわ。夢の綻びを繕うのは、私の仕事のようなものだもの 相変わらずの素っ気なさ。悪びれた風もない。 「……そういえばそうだな。じゃあ、今夜は何の用で来たんだ」 ―――……貴方のエスコートをしに。貴方だけだと何処まで行けるか分からないから、可能なかぎり一緒に行こうかと 文句あるか、と言わんばかりの断言ぶり。 「―――、は」 つい口元がニヤけてしまう。 くだらない。くだらないが、これでは気合が入って仕方がない。 「やっぱりサービスしすぎだよアンタ。そこまでする義理はないと思うんだがな」 ―――……迷惑? 「逆だ。ありがたくって泣けてきた。見栄を張る相手がいなくてヤバくてな。誰でもいいから隣にいてくれると助かる。 いや、地獄に仏とはいるもんだ」 虚空に向かって歩を進める。 雲の上に至る道は、主人を出迎えるように現れていた。 「なあ。高い所は苦手か?」 ―――……怖くはないわ。猫は、高いところを好んで歩くものよ 「よし。なら、ちょっとそこまで付き合え。俺一人じゃあ足を踏み外しそうだ」 振り返って手を伸ばす。 気合が入ったので、俺はきちんと俺を保っている。 ―――……言われるまでもなく。 私は私の欠片を取り戻すため、こうしてここにいるのだから 手を繋ぎ、指を重ね合う。 地上から一歩でも踏み出せば、俺はもとのオレになる。 ―――舞台はハネた。 主役でいるのは、もうここでおしまいだ。 遠く三咲町には、溢れかえるほどの悪夢の異形。 立ち止まっている時間はない。 閉館した劇場の中、最後の脚本が紡がれ始めた。 一歩進むたびに現実が希薄になる。 一段登るために時間が停滞していく。 登り始めたのはほんの数分前。 だが、その始まりの距離と時間は、もう思い出せないほど遠くに過ぎ去っている。 「――――――、」 オレは輪郭を失っていく。 軋む手足、湧き上がる衝動に、女を殺してしまいそうになる。 手を繋いだ女は、その度に苦痛に顔を歪ませる。 見栄を張るには充分すぎる相棒だ。 「あー―――どこまで続くんだ、コレ」 悪態をつきながら、<人間らしさを見せながら>、長い階段を登っていく。 ……そう言えば。 遠野志貴にも、これと似たような記憶があった。 二人で、長い階段を登っていく。 ……アレはいつの出来事だっただろう。 つい一時間前の事なのに、ずいぶんと忘れてしまった。 ―――……見て。悪夢が止まっているわ 女にうながされて地上を見下ろす。 大挙して押し寄せていた悪夢たちは、オフィス街に入ることができず停滞していた。 三咲町を覆い尽くす悪夢。 眠りについた街に跋扈するタタリの欠片。 その、おぞましいだけの光景を、オレはずっと眺めていた。 「――――――」 階段を登る。 地上は遠く、ソラは近い。 夢の具現。誰かの願い。 求めながら与えられなかった全てが、一歩ごとに遠のいていく。 それは―――もう関わりのない、遠い彼岸の物語のようだ。
831 名前: スパイラル・ラダー 投稿日: 2005/12/28(水) 15:10:36 何度あの街を歩いたか。 何度殺し合いを噛みしめたか。 知らない場所はない。 体験しなかった戦闘もない。 初めは未知だった白紙は、繰り返す度に紅く染まっていった。 染めれば染めるほど光を喪っていった。 殺し合いを愛するほど、新しいスリルを求めるほど、オレは関心を喪っていく。 それは当然の帰結であり、初めから分かっていた事だった。 楽しみは充分すぎるほど出揃っていた。 新しい出来事は必要ない。 たった一種類の夢でも、永遠に繰り返すという契約を守っていける。 なのにどうして、オレはしなくてもいい事をし続けたのか。 被った人格の影響だけではあるまい。 多分、飽きたのだ。理由はそれでいい。飽きたから終わらせたくなっただけ。そうとでもしなければ 何もかも、放り出したくなってしまう。 「っ、―――、っ―――」 輪郭が歪む。 足を踏み外しそうになる。 ―――……大丈夫。貴方は、我慢できる人でしょう それを。 強く握り締める指が、完全に否定した。 「……そうだな。終わる事と続かない事は違う。 ここにいたら、いつまでも続きがない」 手を伸ばせば、もうすぐあの虚無に手が届く。 繋いだ指は、その頃には独りになる。 地上は既に霞み、星を寄る辺に歩いていく。 ―――……ねえ。何の為に、この夢を終わらせるの? ふと、風に紛れて声がした。 理由は―――もう思い出せない。 ただ、一番やりたかったコトは今も明確に覚えている。 この道の終わり。 白い雪原で、タタリと成ったアトラスの娘を解放するのだ。 ―――……彼女は貴方を殺そうとしているのに? どうして貴方は彼女にこだわるの どうしても何もない。 黒猫を助けたのは気まぐれと退屈から。 彼女に構うのは、憧れと愛情からだ。 ―――……意外ね。貴方は異形が嫌いだと思っていたわ 勿論嫌いだ。およそ多くの人間が異形に怯えるように、オレは連中を憎みつづける。 この血は、異形を拒む社会から生まれたもの。 退魔として存在する以上、その機能を果たし続ける。 それは永遠に変わらない。 退魔は生み出されるものではない。作り出されるものだ。 確かに弱い人間はいる。だが種の中であぶれ出す弱者はどのような生態系にも存在する。 一つの命の価値など、自然界においてさしたる影響はない。 人間が最強で最低なのは、その存在自体が虚弱という事。 外道を育み、火を与える人間の情。 異端者とは特別な何者かであり、それになり損ねた数多の恐怖が、異形を屠っていく。 ただひたすらに生を謳歌する生命。 神さまなんてものまで持ち出して繁栄を肯定し、異形の存在を拭ぎ払う。 殺戮は罪などと笑わせる。 それは人間の業だ。吾(われ)は人間より生まれしもの。人間である限り、君はあらゆる異端を排除可能だ。 醜悪な個人、醜悪な社会、醜悪な概念。 言い逃れはできない。自分とは違うものを即ち悪と見なせる生き物は、そも在り方を間違えている。 ああ、けれど――― 「―――それでも、命には価値がある。 罪を成す生き物でも。人間に価値がなくても、今まで積み上げてきた歴史には意味がある。 いつまでも間違えたままでも―――その手で何かが出来る以上、必ず、救えるものがあるだろう」 彼方(ほし)を目指す旅のようだ。 遠い遠いソラを目指して、長い長い階段を登っていく。 ―――……前から思っていたけど かすかな安堵。 女は口元をゆるませて、 「貴方、ダークヒーローみたい」 歌うように、そんな言葉を口にした。
832 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 15:46:32>>830-831 七夜だよな? 白レンもどっちもいい。GJ!
833 名前: ブロードブリッジ 凛→桜&ライダー 投稿日: 2005/12/28(水) 17:10:32「―――すごい。よくやるものです」 「―――怖くないのかな、先輩は」 遥か上空。 二千メートル以上の高みにかかる階段を見上げ、彼女たちは淡々と呟いた。 「……何もかもデタラメですね」 「先輩のことだから、文句を言っても無駄なんでしょうね」 やれやれと肩をすくめ合う。 いつも鈍感な先輩だが、さすがに知らない女と歩いてると腹が立ってくる。 天を二分する光の橋。 透ける階段を、手を繋いで歩いていく先輩とどこかの女。 そんな、まさにおとぎ話のような羨ましい物語を見上げているのだ。 地上の状況が絶望的なものであったとしても、ちょっぴり嫉妬してしまうのは致し方ない。 「―――それにしても」 「数が少し多すぎますね」 深山町に位置する武家屋敷の門前に陣取りながら、彼女たちは視線を地上に戻す。 深山町は闇に沈んでいる。 四日目の終わりを迎え、町は急速に変貌しつつある。 明かりは消え、人々は消失し、町の生気は凍りつく。 この場、この時刻。 存在しているのは聖杯戦争に参加した者たちだけ。 今まで混ざり合う事のなかった昼と夜が入れ替わり、出会わなかった者たちが交差する。 現実と空想、実と不実の接合面。 このわずか一時間ばかりの合間こそが、四日目と五日目を隔てる境界線――― 「―――それは分かっていたことですが」 「―――ここまでの事は、想定していなかった」 カレ等は半刻も経たず深山町を覆い尽くした。 ……人間にとって、無限とは比喩である。 いかに多く、いかに人の推量範囲を超えていようと、物事には限度がある。 無限とは認識の限界が生み出した言葉にすぎない。 だが―――目の前のモノは、そういった“数え切れない”ものとは違う。 カレ等は真実“無限”なのだ。 果ての無い増殖連鎖。 一である時点で結末となった終末の軍勢。 何人たりとも止められない、自らを死滅させるブレーキのない自殺回路。 狂った生態系の末路が、この地上を埋め尽くす――― 「五百、六百……」 「いえ、視認できるだけでもう千は超えています―――」 半年間頑張って鍛えてきた魔術、傍らに立つライダーの存在も、今は少しだけ心細い。 これでは数分程度の足止めも出来まい。 カレ等はまたたく間に門を突破し、衛宮の家に侵入を果たし、この家を貪り落とすだろう。 「っ――――――」 終末を目前にして、彼女は強く歯を合わせる。 地上は地獄であり、天はおとぎ話の世界であるが、彼女は本来回避できるし、回避すべきなのだ。 まだ引き返せる領域に身を置いて、幸せなの日々終わりを凝視する。 眠れば、明日からも平穏な日々。 眼前には果てる事のない毒蛾の群。 どちらに身を置くべきかと言えば、それは――― 「迷う事などないはずですよ、サクラ」 「そうだ、私は、先輩の家を任されたんだから」 両掌をぐっと握り締める。 これより、空を見上げる事はない。 彼女は自らに課した役割通り、この家を守り通す。 だが――― 「は―――――――、っ、ふ―――」 正しく呼吸を刻めない。 地上を見つめれば見つめるほど、合わせた歯が軋みをあげる。 強張った両足にいつもの軽やかさはなく、肩は得体の知れない圧力で痺れている。 「―――、っ―――!」 骸たちの行進が始まる。 門を突破される。 その前に、あの先頭部隊をなぎ払う。 なのに震えて、この一歩が踏み出せない。 「……っ、もう、私ったら情けない―――!」 ごん、と握りこんだ拳が額を打つ。 初めから不利であるのは承知していた。 この場に立った以上、後はもう、力の続く限り戦うのみ。 「――――――、Es flustert―――」 石の如き両足を動かして、眼前の群に一歩踏み出す。 後退はない。 あと一歩踏み出すだけで彼女たちは死地に飛び込む事になり
834 名前: ブロードブリッジ 凛→桜&ライダー 投稿日: 2005/12/28(水) 17:11:51「―――おいおい。オマエが自分から戦おうなんて、ずいぶん珍しいじゃないか。 いや、戦うんなら過激に、というのは実にオマエらしい話だけど」 「……え?」 その、あまりにも軽薄な声に、ものの見事に出鼻をくじかれた。 「―――すみません。 過激なのが私らしいって、どういう意味ですか。これでも弓道部ではむしろもっと自分を主張しろ、と叱られるくらいなんですが……」 緊迫していた心が解ける。 彼女は足を止めて、振り向かずに悪態をつく。 「なんだよ、言葉通りの意味に決まってるだろ。 普段衛宮の前では大人しく猫を被りまくってるくせに、僕相手だとまったく容赦しないのがオマエだ。ほら、十分過激だろ?」 「―――む」 遺憾ではあるが、実にその通りだ。 そう、普段は大人しく、やるときは徹底的にが彼女の方針。 最後まで持ちこたえるだの、門を防衛するだの、 そんな受身の人生は、そもそも彼女にはもうたくさんなのである。 「……そうですね、やるからには徹底的にということですか。 私は先輩の家を守るんじゃなくて先輩の力になるんです。 ……失敗しました。そんなコトを間違えたんじゃ、肩も重くなりますね」 ぐるん、とのびやかに肩を回す。 状況はHFルート終盤、グッドエンドのあてはなし、一つでも選択肢を間違えればタイガー道場。 先の展開を恐れていたヒロインは、しかし。 気合も新たに、新たな展開を切り開く強さに満ちていた。 「それはいいのですが、多すぎますね、サクラ」 「負ける気はしないけど、さすがにきりがないよね―――よし、いざとなったらくすくすわらってごーごー」 「……待て待て待てぇ! 調子が戻ったのはいいけど、それはやめろぉ! そんなことしたら、僕まで巻き込まれるだろうが、バカ!」 「……ええ、分かってますとも、景気づけに言ってみただけですよ?」 ふふ……と静かに笑う。 ここまで大事になったのだから、別に黒化の一つや二ついいじゃないかと言いたげに。 「まったく、そういうところが過激なんだよ、オマエは。 この半年で少しは落ち着いた、と思っていたのに」 「私をこんな風に育てたのは間桐の家じゃないですか」 「シンジ、貴方だって、勝つためには手段を選ばなかったではないですか」 「僕は正しいマキリの血を引いているからね。今は偶々、アイツの親友らしいことをのするのもいいかな、と思っただけで」 「それは奇遇ですね」 「私たちも偶々、大切な人のために戦おうと」 益体のない会話に、ふっと口元がほころびる。 眼前には、門の正面まで進軍した骸たち。 火ぶたを切るには、ここが最後の機会である。 「―――じゃあ、付き合ってください、ライダー、兄さん」 「ええ、サーバントはマスターに従うもの」 「そうだな、これでようやく―――」 「――― ちょっとは。兄貴らしいことをできるってもんだ」 現れる黒い刃。 慎二は妹を守るように、その彼の牙たる暗黒の刃を突きつける。 その魔術にどんな意味があるのか、問いただすまでもない。 魔術を使うはマキリに伝わる魔具、その助けがある時だけ。 振り切った筈の虚栄心が胸を焦がす。 これより一瞬。 夜明けまでのわずかな時間だけ、彼らは、本当の意味で兄妹となれたのだ。
835 名前: ブロードブリッジ 凛→桜&ライダー アーチャー→慎二 投稿日: 2005/12/28(水) 17:13:06「……無理はしないでください、本来、シンジには魔術を扱う力はないのだから」 「ば、バカにするなよライダー! 僕だってその気になれば、あんな化け物の一匹や二匹…… ―――まあ、さすがにあれだけの数はちょっときついけどさ」 「ふふ、あてにしてますよ、兄さん」」 敵を見据える。 魔力は中頃まで抑え、五分の力を魔具に込める。 なにしろ先は長いのだ。 あの、宙にかかった虹が消え去るまで、彼らはこの場で戦い抜かなければならない。 「―――初撃はライダーだ。オマエのバカ力で群れの先頭をなぎ払って、奴らの出鼻をくじく。 あとは持久戦だ。桜とライダーはバカ力と胸と同じように無駄にある魔力でとにかく奴らを倒しまくれ。僕はオマエらの情け容赦ない攻撃から逃れた連中を仕留める。 何か問題はあるか、桜、ライダー?」 「異論はありませんが……」 「あとで覚えていてくださいね、兄さん」 この抵抗はあくまで小さなものだ。 大半の骸は新都に架かる階段を目指すだろうから。 だが、それでも何千分の、いや何万分の一かは減らせるはずだ。 その他大多数の骸は、空を行く当事者たちに解決してもらわねば。 「……まあ、お人よしは他にもいるみたいだし、大きい群れはソイツらに任せるか」 桜が詠唱を始める。 ライダーはしなやかに、慣れた手つきで鎖のついた短剣を振り回す。 「Es flustert――― Mein Nagel reist Hauser ab」 黒く染め上げられた地上に、影の海が生まれる。 開幕を告げる短剣と影。それはさらなる闇となって骸たちを飲み込み――― ある意味、>>820 の続きかも
836 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 17:15:37おいおい、SHINJIカコイイじゃないか。 それより七夜のダークヒーローっぷりもカコイイ
837 名前: イリヤ城チュートリアル 投稿日: 2005/12/28(水) 17:45:09「……なるほど、これは重傷だ。彼は本当に何も知らないのか、凛」 「だから素人だって言ったじゃない。そのあたり一からしつけてあげて。……そうそう追い込み得意でしょ、アンタ」 遠坂は気が乗らない素振りで神父を促す。 「――――ほう、これはこれは、そういう事か。よかろう、おまえが私を頼ったのはこれが初めてだ。 衛宮士郎には感謝をしてもし足りないな」 くくく、と愉快そうに笑う神父。 なんていうか、聞いてるこっちがますます不安になっていくような会話だ。 チュートリアル 聖杯戦争 魔力提供:実体化 魔力カット:霊体化 基本はこれだけ、初心者にもやさしい簡単操作! 索敵方法は街中をうろうろするだけ! 令呪を頼りにあちこち行こう! マスター同士が遭遇すると戦いが始まることもある! サーヴァントと連携してやっつけろ! 連戦したり、宝具を使ったりすると魔力が減っていくぞ! 魔力がゼロになると消滅してしまうので気をつけよう! このままではライバルに押し切られる……! そんな場合は令呪を使用して行動強化だ! 3回しか使えないのでここぞというタイミングで使うべし! はぐれマスターは、はぐれサーヴァントと契約できる! サーヴァントを倒しても気を抜くな! 普段は潜んで、他マスターの潰し合いを待つのも重要だ! 街中には人が住んでいる! 効果は体力が回復したり魔力が回復したり色々だ! 基本的にマイナス効果は無いので、ライバルに食われる前にガンガン食わせるべし! この場所はどきどきわくわく言峰教会! 何かいい情報が入ってくるかもしれないが高確率で罠にはめられる! 以上、ひたすら聖杯を目指して戦うべし! 諸君らの健闘を祈る!!!
838 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 18:40:24>>837 うん、大体のルールは理解できた。
839 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 18:59:44>高確率で罠にはめられる! 自分で言ったらお仕舞いだろうにw
840 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 19:16:39 立っている。 この荒波の中であいつが立っている。 立って、大物を釣り上げようととしている。 ―――当然のように。 赤いジャケットをはためかせ、鋼の波に圧される事なく、前へ。 「 ああ、あ」 顎に力が入った。 ギリギリと歯を鳴らした。 右手は、とっくに握り拳になっていた。 赤い暇人は俺など眼中にない。 わずかに振り向いた貌(かお)は厳しく、この波に飲まれようとする俺に何の関心もない。 ヤツにとって、この結果は判りきった事だった。 衛宮士郎ではこの波には逆らえない。 理想を裏切り、手に余る望みを抱いた男に未来などないと判っていた。 ヤツの言葉は正しい。 溜めに溜めた罰(ツケ)は俺自身を裁くだろう。 だというのに、ヤツの背中は。 蔑むように、信じるように。 “────フィィィィィッシュ!!” ……おかしいなあ。 童心に返っている大人を見るのって、こんなにも苦々しいものだったっけ……。
841 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 19:57:20>833-835 慎ちゃん、なんて頼もしい……でも後を思うと可哀想になってくるNE
842 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 21:33:22下りてはならない。 賭けてもいい。 そこに藤ねえはいない。 そこには誰もいない。 そこに などない。 そこにシ などない。 そこに イなどない。 そこに ナ などない。 そこに踏み入ってはいけない――――!
843 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 22:03:34逃げて士郎逃げて
844 名前: 美綴姉と弓道場 投稿日: 2005/12/28(水) 23:12:34 「あら、美綴さん」 十時過ぎの、人気のない弓道場にぽつねんと美綴綾子が立っている。 「八節を踏んでいる……というワケでもなさそうね」 綾子は手ぶらで、ぼんやりと衛宮君の弓を眺めていた。 「ごきげんよう、美綴さん」 「……………………」 「なにをしているの? 誰か待ってるの?」 「……うるさい、ほっといてよ。 どーせ、私は嫌われ者なのさ。 どこ行っても出番はないし、あったところで色物だし、プロローグ以降ほとんど出番ないし!」 「どうなのさ遠坂、巷では三枝が何故かヒロインにされてるSSがあるのに対して私はただの同級生扱い? 有り得ないだろ、いつのまにかインタールードもなしにライダーさんに襲われて戦線離脱なんて正直おかしくない? というよりも、殺す殺さないの関係になるのセリフの後がっかりした人いるってー」 そのまま弓道場の隅っこに移動する綾子。 ……本気でテンパっているのか、そのまましゃがみこんでしまった。 ダンボールがあったら頭から被りかねない勢いだ。 その後ろ向きな勢いに不覚にも好奇心が抑えられない。 「まったく、バカなコトを言ってるわね、負けるな綾子、立ち上がりなさい綾子! そんな不遇な扱いにもめげず堂々としている、まわりの空気を読んだ武道少女っぷりが貴女の強さだった筈よ……!」 などと、こっちも適当にエールを送ったりする。 「……いやです、疲れました、もともと私はチョイ役なのよ。正しい脇役の運命を継いでいるのさ。 柳洞も蒔寺も、後藤君も、こーゆー風に期待されつつもフェードアウトしていくのがお似合いなのさ」 ますます閉じこもる綾子。 まあ、こんな衛宮君の活躍していた所で引きこもるあたり、綾子はやっぱりエミヤラブなんだと思われる。 「……いいから、さっさと余所に行ってくれないか? 私は衛宮を待ってるんだ。 ライフワークの弓道部勧誘のチャンスなんだ。どのシナリオでも出っぱなしの遠坂に用はないんです」 しっしっ、と追い払われる。 「………………」 やれやれ。どうやら、今の私では処置なしのようね。 これからの衛宮君とのデートイベントがすんでから、また寄ってみよう。
845 名前: サイカイ 士郎⇔セイバー 投稿日: 2005/12/28(水) 23:12:58「―――すまないなベディヴィエール。 今度の眠りは、少し、永く―――」 ゆっくりと眠るように。 彼女は、その瞳を閉じていった。 ……朝焼けの陽射しが零れる。 森は静かに佇み、彼の王は眠りについた。 「―――見ているのですか、アーサー王」 呟いた言葉は風に乗る。 眠りに落ちた王は、果てのない青に沈むように。 「夢の、続きを―――」 ―――そんな夢を見た。 目覚めれば朝の六時前。 窓越しの光はやや強く、隙間から差し込んでくる空気もやや冷たい。 衛宮邸の朝食は六時半から始まる。 まだ十分時間はあるが、二度寝をするには少し足りない。 そろそろ起きてもいい時間だろう。 縁側にあがると、朝餉の匂いがした。 調子のいい包丁の音が聞こえてくる。 朝食の準備はもう八割方終わっているようだ。 気持ちのいい朝の、いつも通りの風景。 それを当然のように噛み締めて、 「ああ、おはようセイバー。今朝は少し早いな」 彼の笑顔を見つめていた。 「セイバー? どうしたんだ、黙りこくって。 俺の顔に何かついてるか?」 半年前。 まだ寒かった頃にこういうコトもあった。 それを、 「……ああ、朝飯か、ちょっと待ってろ、今桜が作ってるだろうから」 シロウはあっさりと居間に向かう。 当然だ。いつも通りの朝の会話に、名残を惜しむ者はいない。 でも、挨拶を忘れていた。 ここで、きちんと口にしておかないと。 「シロウ」 「おはようございます。今日も一日気をつけて」 「ああ、セイバーもよろしくな」 シロウと一緒に居間へ向かう。 なぜだか視界がぼやけて、何事かと目をこする。 「―――――――おや」 少しだけ目が潤んでいた。 気持ちのいい朝のいつも通りの風景。 きっと幸福すぎて、あくびでもしたのだろう。
846 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 23:24:10全俺が泣いた
847 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 00:04:04やべ、それちょっと反則
848 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 00:14:53うわ、なんか泣ける
849 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 00:22:32 ぶつん、という頭痛。 コンマの刹那。おそらく最後になるだろう、ヤツの風景を見た。 何かが心に直接語りかけてくる。 あまりにも古い言語の為、何を言っているかはまったく分からなかったのだが、 ……自らを表す呪文に、自らを律する韻を持たせた英雄。 そこに込められた真意の概要はおおむね掴めた。 「―――――――I am the bone of my sword.」 自らに胸を張る為に、その呪文を口にする。 エミヤの言葉はエミヤを傷つける。 それを承知で、おまえは俺を殺す事を望んだ。 長い繰り返しの果てに、そんな事しか望めなくなった。 なら。 おまえが俺を否定するように。 俺も、死力を尽くして、おまえという自分をうち負かす――――! 「な、なんだと……! この小僧の鞘の加護は契約が切れていても続いていて、なんだか誰かに負けるのはいいけど自分には負けられないから、最後まで衛宮士郎を張り続けるだと……!!!!?」 「はっはっは! うひょークカカコココキイキイ! その通りだ摩耗した赤の弓兵よ! あと待っていた、オマエを待っていたぞ我が運命のデュエリストよ!」 「貴様――――!」 あまりの剣戟に受けになど回れない。 主人公補正でひょっこり立ち上がった過去の自分は、脳内麻薬マキシマムな笑い声をあげまくる。 「ハハハハハハ! 偽物だって?偽物だって?偽物だってぇ! 偽善か、そうさ偽善だよねゴージャスな俺! すごいぞ気持ちワルイぞー! でもでもアーチャー、自分の事より他人が大切だ、っていうような生き方って偽善でも美しいと思うよな?」 吹きすさぶ風、荒れ狂う稲光、激震する剣の荒野。 そしてジャンジャン盛り上がるBGM『エミヤ』。 いろんな意味でエミヤシロウの到達点とも言える光景がいま惜しげもなく大展開。 くっ……この、ふってわいたアーマゲドンに世界の修正も追いつかないというのかッッッッ!!!!? 「ま、まさかこれは―――無限の剣製……!!!? バカな、今のオマエにこれを使う力が残っているはずがない!」 「使えるのねー! いえ、実際使えるはずがないのですが、だからこそ根性で展開したのだ守護者エミヤよ! ククク、しいたげられた俺どもの怒りが奇跡を蘇らせたのだ。んー、見てほしいのねこの滾るマイパワー」 セイバーを連想させる魔力の渦。 い、いったいどれほどの世界の恩恵を……!!!? 「ふふふ、気持ちはわかるけどそう驚かないでほしいね。 そう、今までの俺は俺じゃあない! えーと、言うなればこれまでの俺がタネなしのスイカだとしたら、今からの俺はタネなしのメロン! いや、羽化を待つ芋虫だとしたら、脱皮した後のサナギなのさ!」 「……………………」 つまり空っぽというコトだろうか。 オレのツッコミどおりエミヤシロウは空っぽなんじゃん。 「まあいいや。 ともかくオレたちは理想を賭けて闘う戦士なんだな!? なんか宿命のライバルなんだな!? オマエは自分の為に、オレはオマエを滅ぼす為に戦うんだな!?」 「ナイスリアクション! 話が分かるじゃんかアーチャー! さてはこういうノリ好きだろオマエ!」 「おう! 結構ヤケだけど勝ったり負けたり泣いたり見栄はったり十週打ち切りとか大好きだ! そんなワケで、行くぞ衛宮士郎……! オマエだけは絶対に許さないッッッッ!」 「ク―――吠えるじゃんか未来人。 だが今日は俺の方が強い、覚醒した主人公の力を思い知るがいい……! 行くぞアーチャー! この剣を抜いてオレの人生(タ ー ン )エンドだぜ……ッッッ!」 (中略) 「―――決して、間違いなんかじゃないんだから……!」 言葉が、胸に突き刺さる。 血を吐くような決意で奮った一撃と、間に合う筈の守り。 その歯車はかみ合わないまま、あっけなく、この戦いに終わりを告げた。 「俺の勝ちだ、アーチャー」 「ああ。そして、私の敗北だ」 嵐は去った。 先ほどまで渦巻いていたよく分からない熱気も消え、イヤになるほど冷静になる俺たち。 「じゃ、アーチャー殺しますね」 階段の上のギルガメッシュに、ああ、と頷きだけで答える。 男には言葉をかけてはいけない時があるのだ。 「じゃあ煤で汚れる前に帰ります。此度の聖杯は紛い物だから止めに来るのならお早めに」 高らかに笑って城を去るギルガメッシュ。 あ、アーチャー消えちゃった。 「……………………俺も家に帰るか」 ここ三十分ばかりの記憶をまっさらに消去して港を後にする。 こうしてエミヤシロウによる衛宮士郎殺しのピンチは去ったのだが、 彼の最大の見せ場と、それを防いだ勇者の物語は誰に語られるコトもなく忘れられるのであった、まる。
850 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 00:36:26>>849 なんかあらゆるものが台無しに……!!ww
851 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 00:47:36>>850 際限なくダメだなEMIYA
852 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 00:56:47台無しだwwwwww
853 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 00:58:57>>849 EMIYAからSHIROUから亀様からだめじゃん!
854 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 01:03:41なんかこのエミヤのBGMはヤケにポップだったり電子音っぽかったりするんじゃないか
855 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 02:06:48 一歩前に出る。 ……笑い話ね。結局シロウは私の邪魔なんてしなかった。 お兄ちゃんがあんなに怒っていたのは、つまるところ、 「……止めろよ。大聖杯を閉じればお前はいなくなっちゃうのに? 一緒にいればいつまでも家族でいられるのに?」 ―――ソウダ、モドレ、モドレ、モドレ――― シロウに苦労をさせたのはこの妄念。 一言私がウンと言えばとっくに閉じるところまで来ていたのだ。 「楽しくはなかったのか……? 俺は楽しかった。辛かったけど、その辛さも結局は」 ―――モット、モット、モット、モット――― ならあとは簡単ね。 私はとっくに決心してるんだから、ありのままの結論を言えばいい。 「……結局は、イリヤがいてこその喜びだった。お前を独りきりにしたい筈がない。 ……こんなのは俺の望みでもなんでもない。 イリヤ。家族で一緒にいるのがお前のユメだった。大切な人を守ろうとしたのが俺の願いなら、あの平穏な日常こそが、」 ―――ナイデ、イカナイデ、オイテ――― ――過ぎた夢よ。これ以上は続かない。どんなに楽しくても、ここまで来たのなら。 ―――イヤダ イヤダ イヤダ イヤダ――― 「ううん、言ったよね、兄貴は妹を守るもんなんだって。……ええ。私はお姉ちゃんだもん」 ―――アナタハ、ズット、此処ニ――― 「なら、弟を守らなくっちゃ」 ―――アマリニモ、醜イ、嘘――― 私は、最後に。 じゃあねと微笑って、パタン、と大聖杯の門を閉めた。
856 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 02:12:17うあああああああああああああああああああああああああああああああああ イリヤあああああああああああああああああああああああああああああああ
857 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 02:35:50あああああああああああああああああああああ いやだあああああああああああああああああああああ
858 名前: 決戦 投稿日: 2005/12/29(木) 03:43:29「聖杯の誓約に従い、第七のマスターが命じる」 五秒。 対するは無銘の弓兵。 投影した宝具を矢として使用する錬鉄の英霊。 今度こそはと狙う鏃の名は『赤原猟犬(フルンディング)』。 ───修正、プラス五秒。 更に溜が長い。限界まで引き絞った弦(ゆみ)はセイバーの魔力燃焼に対抗する為、より力を増していた。 だから、問題はタイミングだ。 先に跳んでも、同時でも危うい。 セイバー自身が矢となる以上、アーチャーが矢を放つ前に跳んではセイバーを狙い打たれてしまう。 故に狙いは射撃の直後。 ヤツが矢を放った瞬間、0.1秒の差でスタートを切る。 渾身の一撃を放ったアーチャーが次弾を装填する前に、 いや、矢を放ち終わった直後の硬直(スキ)に、 直接剣を叩き込む─── 互いの魔力が咆(こえ)をあげる。 月を揺るがすかのような両者の対峙。 五。まだ早い。 三。緊張で令呪がもげそうだ。 一。ぎし、とヤツの指が狙いを定める。 セイバー……! 「行け、あのヤロウを斬り伏せろ───!?」 「騎士王ひっさーつ! トペ・セイバー!」 「やっほー!? 未来の俺ーーーっ!?」 セイバーに足首をつかまれ、グルグル回された後、ハンマー投げのように発射される俺の身体。 ───作戦、伝わってねー! 「あひゃひゃはははぅほぉぉぉーーー?」 「“赤原猟犬(フルンディング)”フィィィィ───くっ、間に合わん!」 「あひゃひゃひゃ、もうひゃひゃひゃ、無理……」 「なんでさー?(士)」 「なんでさー!(弓)」 「マネしゅるなぁ、あひゃひゃひゃひゃひゃひゃあああああぉぉーー!」 秒速四キロを超えて、アーチャーが眼前に迫って逃げだそうと ───だめだ、もう! 「……二人とも、動かなくなりましたね」 「失神KOとはなさけない!」 鉄橋を後にする。 「シロウ。本当に、これで良かったのですね?」
859 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 04:42:31改変スレにどうぞ
860 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 05:51:44これは場面繋ぎ&人物入れ替えなのでこのスレの範疇だと思うけど。
861 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 06:35:17というか最近は改変しすぎだったり入れ替えしすぎだったりして、 良くも悪くもSSと化してるのが多い気がする。 あくまで原文を改変して遊ぶスレなんだから。
862 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 07:14:05いいんじゃねーの?
863 名前: 闘将ハングリーハート 士郎⇔セイバー 投稿日: 2005/12/29(木) 09:29:58「―――すまないなベディヴィエール。 今度の眠りは、少し、永く―――」 ゆっくりと眠るように。 彼女は、その瞳を閉じていった。 ……朝焼けの陽射しが零れる。 森は静かに佇み、彼の王は眠りについた。 「―――見ているのですか、アーサー王」 呟いた言葉は風に乗る。 眠りに落ちた王は、果てのない青に沈むように。 「夢の、続きを―――」 「はい、こんにちはー! ちょっと手違いで命を終えた貴方を祝福して昇天させる心霊ワールド、タイガー道場でーす!」 「助手の死後の天使一号でーす」 「と、それはいいとして、今回のホトケさんはわりかしキレイよねー。原形残ってるなんて珍しいんじゃない?」 「そうね。なんか物足りない感じ」 「…………いじるか?」 「…………いじろっか?」 「よし、これより改造手術を行う! 何かの手違いで蘇らないように、まずは両手をガトリング砲に改造するのだ!」 「サー、イエッサー!」 「よし、インスタントにオペ終了! どうかね本○剛くん! 全身を改造された気分は! だが、君の意思を尊重し、最後の改造、脳手術は止めておいた!」 「おいた!」 「さあ、このまま自主的に我等虎ッカーの一員となるか、洗脳されてマシンとなるか! 君の意思で決めたまえ!」 「た、たいへんです総統! 実験体が改造されたパワーを使って拘束を引きちぎりました! きゃー、おお暴れです! 基地が破壊されます! わ、我々は自らの手で最強の敵を生んでしまったのではないでしょーか!」 「しまったぁーーーーー! まずは脳改造からしておくべきだったか!」 「きゃー! フツーはまず脳改造から始めると思いまーす!」 「はっ……!?」 なんかすごいユメを見たっていうか、今のはまさか死後の世界……!?>>845 のもう一つの可能性。
864 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 09:36:25イリヤの 「おいた!」に萌えてしまった 俺はきっとブルマに脳を犯されている
865 名前: バゼット→剣 アンリ→弓 投稿日: 2005/12/29(木) 09:46:52 この願いを止める方法はただ一つ。 やり直しを望む彼女と、本当は同意したい心。 その二つに、キレイに幕を下ろさなくては。 「それは私だってこの結末を呪っている。だがな、間違ったことは正さないと気が済まないんだ。 この願いは間違っているだろう?だから止めないと。私は正義の味方だからな。 自分のことより、どうでもいい誰かのほうが大切なのだよ」 彼女は呆然と私を見つめる。ああ、その気持ちにはいたく同感だ。 「信じられません。貴方、正気ですか?」 「ふむ、どうも正気で本気みたいだな。まったく、とんだ化け物だな、我ながら」 肩をすくめる。 だが仕方がない。私はそういう人間として生きてきて、そういう人間として戦い続けたのだ。 最後にはその理想に裏切られたが、ここまで徹底すればそう簡単には変わらないさ。 ……まあ、なんだ、私も本当はゴメンだが。 正義の味方も、もう一度くらいはしてもいい。 「とまあ、そういうワケなので聖杯は壊させてくれないか。身勝手な願いは、ここで終わりにしよう」 「違う。それは貴方の考えじゃない。本当の貴方の願いじゃない。……そんな見栄を張らないでください」 ここで止めたら――本当の貴方は、何一つ救われない」 ――アンタは、いつまでたっても救われないじゃないの――
866 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 10:25:21>>863 台無しだw
867 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 12:46:51>>858 一応橋は越えられたので、結果オラーイだと思われる アーチャーも撃破したしね!
868 名前: スパイラル・ラダー トラぶるモード トラぶる血夜呼零怒 投稿日: 2005/12/29(木) 16:12:54>>204 >>205-207 >>220 >>223-224 >>232 >>236-237 >>257 >>262-263 を参照 花札道中記の終焉が始まる中、聖杯に続く石階段に辿り着く。 空には季節はずれの花札が舞い、町にはワカメどもが溢れ出す。 この体は刻限を迎えて、虎でもサーヴァントでもない藤村大河に溶けはじめる。 そこに、 「――――――驚いた」 柳洞寺の麓には人影が二つ。 銀の髪を揺らして、いつかのように、 「ここまで来るとはね、サービス過剰なんじゃないの?」 イリヤちゃんを戒める、平行存在が待っていた。 「―――■■■■」 「……過剰じゃないわ。聖杯戦争の勝者を認めるのは、私の存在理由のようなものだもの」 相変わらずの素っ気なさ。悪びれた風もない。 「……そういえばそうよね。じゃあ、今夜は何の用で来たのよ」 「―――■■■■」 「……貴女たちの護衛をしに。 貴女たちだけだと何処まで行けるか分からないから、可能なかぎりここで戦おうかと」 文句あるか、と言わんばかりの断言ぶり。 「―――、は」 つい口元がニヤけてしまう。 ロリッ娘め。これでは気合が入って仕方がないじゃないの。 「やっぱりサービスしすぎよイリヤスフィール。そこまでする義理はないと思うんだけどね」 「―――■■■■」 「……迷惑だったかしら?」 「逆よ。ありがたくって泣けてきたわ」 「最後を守る相手がいなくてヤバかったのよぅ。誰でもいいから麓にいてくれると助かるわ。 いや、地獄にロリッ娘とはいるもんね」 山頂に向かって歩を進める。 聖杯に至る石階段は、勝者を出迎えるように現れていた。 「ん〜。高い所は苦手かな?」 「……怖くはないわ。私は元々、星の彼方から召還されて落ちてきたのよ」 「よし。なら、ちょっとそこで頼むわねもう一人のイリヤちゃんとバーサーカーさん。 ワタシ一人じゃあ取りこぼしそうだったし」 振り返って声をかける。 気合が入ったので、ワタシはきちんと私を保っている。 「―――……言われるまでもないわ。 私は私のシナリオを取り戻すため、こうしてここにいるのだから」 虎ストラップを繋ぎ直し、花札を重ね合う。 地上から一歩でも踏み出せば、私はもとのワタシになる。 ―――舞台はハネた。 サーヴァントでいるのは、もうここでおしまいだ。
869 名前: スパイラル・ラダー トラぶるモード トラぶる血夜呼零怒 投稿日: 2005/12/29(木) 16:14:25 遠く新都には、溢れかえるほどの白いワカメ。 立ち止まっている時間はない。 未完になった道中記の中、最後の物語が紡がれ始めた。 一歩走るたびに現実が希薄になる。 一段登るために時間が停滞していく。 登り始めたのはほんの数分前。 だが、その始まりの距離と時間は、もう思い出せないほど遠くに過ぎ去っている。 「――――――、」 ワタシは輪郭を失っていく。 軋む手足、湧き上がる疲労に、たまに崩れて落ちてしまいそうになる。 だが疲れているのはワタシだけではない。 隣で走る少女は、その度に疲労に顔を歪ませる。 見栄を張るには充分すぎる相棒だ。 「あー―――どこまで続くのよぅ、コレ」 悪態をつきながら、<サーヴァントらしさを見せながら>、長い石階段を駆け登っていく。 ……そう言えば。 藤村大河にも、これと似たような記憶があった。 二人で、長い坂道を登っていく。 ……アレはいつの出来事だっただろう。 つい一時間前の事なのに、ずいぶんと忘れてしまった。 「―――……見て。無色の群れが止まっているわ」 女にうながされて地上を見下ろす。 大挙して押し寄せていた残骸たちは、深山町に入ることができず停滞していた。 冬木の町を覆い尽くす白いワカメ。 眠りについた街に跋扈する敗北者の残骸。 その、おぞましいだけの光景を、ワタシはずっと眺めていた。 「――――――」 石階段を駆け上がる。 地上は遠く、ソラは近い。 シナリオの具現。誰かのルート。 求めながら与えられなかった全てが、一歩ごとに遠のいていく。 それは―――もう関わりのない、遠い彼岸の物語のようだ。 何度あの街を歩いたか。 何度道中記を噛みしめたか。 知らない宝具はない。 体験しなかったイベントもない。 初めは未知だった花札は、繰り返す度に埋まっていった。 埋めれば埋めるほど文数を喪っていった。 花札を愛するほど、新しい役札を覚えるほど、ワタシは関心(かがやき)を喪っていく。 それは当然の帰結であり、初めから分かっていた事だった。 楽しみは充分すぎるほど出揃っていた。 新しい出来事は必要ない。 たった一種類のゲームでも、永遠に繰り返すという契約を守っていける。 なのにどうして、ワタシはしなくてもいい事をし続けたのか。 見守って(アイシテ)きた弟分の影響だけではあるまい。 多分、飽きたのだ。理由はそれでいい。飽きたから終わらせたくなっただけ。 そうとでもしなければ 何もかも、放り出したくなってしまう。 「っ、―――、っ―――」 輪郭が歪む。 足を踏み外しそうになる。 「―――……大丈夫。タイガは、我慢できる人でしょ」 それを。 強く握り締めた竹刀が、完全に否定した。 「……そうだよね。終わる事と続かない事は違う。 ここにいたら、いつまでも続きがないよね」 手を伸ばせば、もうすぐあの聖杯に手が届く。 繋がれた友情は、その頃には独りになる。 地上は雲に隠れ、星を寄る辺に走っていく。
870 名前: スパイラル・ラダー トラぶるモード トラぶる血夜呼零怒 投稿日: 2005/12/29(木) 16:15:49 「―――……ねえ。何の為に、この道中記を終わらせるの?」 ふと、風に紛れて声がした。 理由は―――もう思い出せない。 ただ、一番やりたかったコトは今も明確に覚えている。 この道の終わり。 黄金の山頂で、頑なに聖杯であろうとする少女に専用ルートを与えるのだ。 「私はシロウを殺そうとしているのに? どうしてタイガは私にこだわるの?」 どうしても何もない。 少女を助けたのは気まぐれと退屈から。 弟分に構うのは、憧れと愛情からだ。 「意外ね。貴方は私が嫌いだと思っていたわ」 勿論嫌いだ。およそ多くの主人公が敵役を憎むように、ワタシはヒロインを憎みつづける。 この虎は、冬木を守る侠客から生まれたもの。 冬木の虎として親しまれた以上、その機能を果たし続ける。 それは永遠に変わらない。 サブキャラは生み出されるものではない。作り出されるものだ。 確かに弱いヒロインはいる。だがヒロインの中でもあぶれ出す弱者はどのような物語にも存在する。 一つの命の価値など、物語においてさしたる影響はない。 ヒロインが最強で最低なのは、その存在自体が主題であるという事。 萌えを育み、出番を与える作者の情。 ヒロインとは特別な何者かであり、それになり損ねた数多の脇役が、物語の隙間を埋めていく。 ただひたすらに生(専用ルート)を謳歌する生命(ヒロイン)。 神さま(きのこ)なんてものまで持ち出してルートを肯定し、脇役を拭ぎ払う。 この世は全て劇場だなどと笑わせる。 それはヒロインの業だ。 我はヒロインより生まれしもの。ヒロインである限り、君はあらゆるシナリオを再現可能だ。 醜悪な個人、醜悪な社会、醜悪な概念。 言い逃れはできない。自分よりも出番のないモノを端役と見なせる生き物は、そも在り方を間違えている。 ああ、けれど――― 「―――それでも、専用ルートには価値があるわ。 罪を成すヒロインでも(桜ちゃん)。ヒロインに価値(人気投票数)がなくても、今まで紡ぎ上げてきた物語には意味があるの。 いつまでも脇役なままでも―――その手で何かが出来る以上、必ず、掴めるモノがあるはずよ」 彼方(ほし)を目指す旅のようだ。 遠い遠いソラを目指して、長い長い石階段を駆け登っていく。 「―――……前から思っていたけど」 かすかな安堵。 少女は口元をゆるませて、 「タイガって、なんだか教師みたい」 歌うように、そんな言葉を口にした。 「――――――」 わからない喩えだが、教育者というのは悪くない。 確かに人にモノを教えるが、決して教え切れないもの。 それはワタシに感じることの出来た、数少ない輝きだ。 ソラが近い。 花札の世界はじき終わる。 ここから先には、元からあの場所に辿り着けた勝者でなければ踏み込めない。 「………………」 口にする必要はない。 ワタシが地上から離れた時のように、少女の体も、終わりを告げるように見えなくなっていく。 「あー―――」 何か言い残した事があったか、思いを巡らせてみる。 気の利いた台詞は思いつかなかったが、一つ、言い忘れを思い出す。 「私、貴女の父親のこと知ってるかもしれない」 「そう。別にいいわ。分かりきった事だもの」 返答はあっさりしていた。 少女がそう言うのなら、この件はこれでおしまいだ。
871 名前: スパイラル・ラダー トラぶるモード トラぶる血夜呼零怒 投稿日: 2005/12/29(木) 16:19:01 「――――――」 いよいよ会話がなくなって、風の音だけが響いている。 歩みは止まらず、視線を空から切る事もなく。 重ねた花札の厚さは、半分以上なくなっていた。 感触の不確かさをなくそうと強く握れば、その時点で、お互いが幻になったと気付くだろう。 幻である事は、初めから承知していた。 すでにいなくなったもの。他の連中にとってこの道中記は記録・経験であっても残るものだが、ワタシたちのこの道中記だけは、何一つ残らず消え去る。 どんな奇跡であろうとも。 私の知る現実では、私たちは出会ったことはないのだ。 「―――少し、未練かな」 残さないように駆け抜けてきたのに、一つ未練を作ってしまった。 思えば、私がサーヴァントとして過ごした時間は、この少女と出会った瞬間からであった。 それが無かった事になるのは、いささか辛い。 「……まあ、それも終わる事だしね。 よし。それじゃあこのへんで」 残った感触は虎ストラップだけ。 それも半ば透けている。 少女は足を上げ、ワタシも先に進む。 繋がりは容易く、初めから無かったかのように溶けていった。 「じゃあね。専用ルートが始まったら、また会ってやってね」 ワタシの為ではなく。 始めから存在せず、何の意味もない、この思い出の為に。 「……専用ルートを得た後の行動は保証できないわ。 ルートが始まり次第、早々にシロウを殺さないとは言いきれないから」 まさか。 本当は士郎と切嗣さんが大好きなこの子が、あんな正義の味方(オンナゴロシ)を前にして落ちない筈がない。 「イリヤちゃんにとってこの道中記はどうだった?」 「私……? そうね、この街は嫌いじゃないわ」 なら問題はない。ここでそう思ったのなら、専用ルートの彼女もそう思うだろう。 みっともない未練は、まあ―――それで、少しだけ軽くなった。 「そうだよね。あのスラップスティックな道場でも、バカみたいに騒々しい家でもかまわないわ。 ―――また会おうねイリヤちゃん。その時も、頼りになる藤村大河をよろしく」 虎の道場主は、もう取り憑いてはいないのだ。 傍らの気配が消える。 「そうね。さようならタイガ。貴女を木の周りで走らせるのは、特別に見逃してあげるわ」 わずかな温かさも、すぐ風にさらわれた。 振り返るまでもなく、ブルマの弟子も見えなくなった。 軽くなったというのは大嘘だ。この余分(ウェイト)が、軽くなる事はない。 ―――終着駅が見えてきた。 地上に降りていた救いの糸が、段々と欠けていく。 遥かな地上。 ワカメの残骸どもはサーヴァントに阻まれながら、ソラへ上り詰めるワタシたちを見上げているだろう。 ……遥か昔、縁側から星を見上げた時のように。 流れ消える輝きに、羨望と怨嗟を込めながら。
872 名前: アンリ→アルク 投稿日: 2005/12/29(木) 17:27:57「吸血衝動だけじゃない。自分の事さえ理解していない。俺だって死にたくない。 けど―――おまえの未練は俺の比じゃないハズだ。 おまえはずっと遊んでいたかった。終焉なんて来てほしくなかった。 自分が無に戻ると分かっていたから。 なのに日常を回し続けたのは、おまえにとって、」 相変わらず朴念仁ね、志貴は。 飽きたんだってば、そういうのは。
873 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 18:26:04>>871 つまりなんだね。 飽くまでサブキャラのルートをよこせ!と言っているのだね……… 三人娘を(ry 美綴を(ry
874 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 19:57:38>>871 いい話だ… でもここまで盛り上げておいて最後のオチはもうアレに決まってるのが悲しい
875 名前: ブロードブリッジ 柳洞寺 投稿日: 2005/12/29(木) 19:59:43 眉間、喉仏、心臓、背骨。 そのいずれかを的確に、かつ瞬速で打ち抜く鉄の拳。 相手が亡者の群れというのなら、立ちはだかるは鬼神の具現。 景山より這い出た亡者どもを、死を以って再び地獄に叩き落す……! 「パンチパンチパンチパンチ!! なんだよそれつまんねーよ!っていうかなんでそんなに演出過多なんだ実際! 美綴ディテール凝りすぎ!ナレーション上手すぎ!あと誇張しすぎ! そもそもなんだよその解説、こんなにヤバイ状況なんだから手伝え、手伝えよぅ……!」 一呼吸の内に四撃必殺。 十月十一日、深夜二十四時、柳洞寺合宿部屋。 秋の夜空に蒔寺楓の奇声が響いた。
876 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 20:17:20>>875 うまい。
877 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 21:22:10>>875 つーかナレーションしとんの美綴かいw
878 名前: アンリ→桜 投稿日: 2005/12/29(木) 21:59:02 ヒロインと言ってもわたしは大して目立ってない。TYPE-MOONの全ヒロインを見渡しても、わたしより不遇なヒロインなんて存在しません。 イエーイ、アイムナンバーワン! ついてますねライダー、これ以上底はないですよ! いかに人気ヒロインを食うかを考えるだけですから、作戦も立てやすいってもんです。 ……そもそも考えたくないんですが、純粋な人気ならわたしよりライダーの方が上なんじゃないでしょうか実際。 従者にガチで負けるヒロインかあ。うふふ、もう首をくくってしまいたい。
879 名前: 士郎→ライダー 投稿日: 2005/12/29(木) 22:17:12>>878 「な。バカを言わないでください、負けないでくださいサクラ、立ち上がってくださいサクラ! そーゆー不遇な扱いがよく似合う、まわりの空気を変えて燃えるバトルなノリをドロドロの猟奇風に変えてしまうのが貴方のルートだった筈です……!」 などと、勢いでエールを送ってみました。
880 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 22:18:51第1回「Fate/stay night」キャラクター人気投票結果 第1位 セイバー 第2位 遠坂凛 第3位 アーチャー 第4位 ライダー 第5位 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 第6位 間桐桜 |、| |、| _,,...-|、|-..,,,_ _,r'´.:.:.:.:.:.|、|:.:.:.:.:`.、 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|、|:.:.:.:.:.:.:.ヽ !/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|、|.:.:.:.:.:.:.:.:.`、 /'i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:.:.:.:.:.l / ,l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:l 7’.!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:i.:.! L__!'i.:.:.:/:i:.:.:.:.:i.:i:.:.:.:.ト、:/ヽ! ヾ/V'ヾ:.:/`´`、/ ` l / ` ! i / _,,,l ¨lー‐‐‐‐‐ ¨ ! l __,,,!  ̄!¨¨'''i''‐‐‐'''i¨¨ / `ー‐’ `ー'′
881 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 22:27:30よく頑張った、感動した、しかし…ああ!! メインヒロイン間桐桜、無念の第6位…っ!!
882 名前: 4日目につき立ち入り禁止 投稿日: 2005/12/29(木) 22:30:18 遠路はるばる新都の中心部にやってきた。 ここから5分ほど移動すると、馴染みになりつつある月への梯子が伸びる塔に辿り着くのだが。 なんでか、ビルの入り口にすんごいのが立ち塞がっているのだった。 「……もしもし。ここで何をしてるのか、訊いていいかな」 「………」 返答なし。 イエスなのかノーなのかも分からない。 「…………門番なのかな…………ビルに入りたいんだけど、いいかな。先に入った俺の同類に用があるんだけど」 「………」 返答なし。 ウンともスンとも言いません。 「………………」 「………」 ……何も言わない、ってコトは進んでいいんだよな。 いちおう顔見知りだし、深夜に何度も見かけた俺らのコトは分かってるだろうし。 「よし。それじゃちょっと通りますよ」 手をあげて横を通り過ぎ、 「ここは未来を重んじる者のみが至る梯子だ。私にも、貴様等にも踏み入る余地はなー―――い!!!!!」 「ひぃいいいいい!!!!?」 吠える大食漢。 それ以上進めば天の逆月まで飛ばして帰すぞ、と言わんばかりの迫力だ。 「だだだダメですか、今日は帰れと言いたいのでしょうかっ!?」 「いざ、死力を尽くして来るがいい。 この剣にかけて、貴様等の挑戦に応えよう―――!」 ななな、なんか一人で盛り上がってるセイバー様。 会話になってるのかまったく分からない、誰か通訳連れてきてー!
883 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 22:32:41逆月に飛ばしたらダメだろセイバーw
884 名前: アンリ→士郎 パゼット→セイバー 投稿日: 2005/12/29(木) 22:33:48……そもそも考えたくないんだが、純粋な戦闘能力なら俺よりあの女の子の方が上なんじゃないのか実際。 チビッコにガチで負ける正義の味方かあ。ひひひ、もう消えてしまいたい。
885 名前: 乖離剣→獣王の巣 投稿日: 2005/12/29(木) 22:54:58「黄泉路を開く。存分に謳え魔眼の主。 退屈はさせん。探求に迷うこの身に、このような気紛れは一生に一度あるかないかだ。 混沌の出し惜しみはせぬ、姫君を喰らい尽くすまで命を賭して持ちこたえよ……!」
886 名前: 残骸百景 弓→虎 士郎→ライダー 投稿日: 2005/12/29(木) 23:13:59「再開されるヒロイン決定戦には参加しない、という事でいいんですね? 単に弟分を見守る姉のポジションということですか」 「ええ、もっともアナタに関しては例外なんだけどね。 ―――人気投票を待つまでもないわ。なんなら、ここで今から殺し合っちゃう?」 こちらの殺気に答えるタイガ。 私は待ってましたとばかりに口元をニヤリと歪ませ、 「―――冗談。ここで戦う気はありません。 それにアレです。これがヒロイン決定戦の番外編だと言うなら、 戦いは人気投票でもってないと」 さらっと、彼女の殺気を受け流した。 「話はここまでにしておきましょう。それでは、またどこかで、タイガ」 道場を後にする。 「――――いいでしょう。あなたに関しては私も本気よ。 許されなかったイリヤちゃんのえちシーンの無念のために、 全力で貴女を斃しにかかるんだから」 声には挑発と覚悟がある。 単なるお色気補充要員ではなく、ヒロインに昇格した私を相手にする、と タイガは言い放った。 ―――上等です。準備ができたらまた会いましょう。 粗雑な殺意は、甘美な優越感でかき消える。 互いの死を認め合う殺人許可証。 カタチのない果たし状を、確かに、私たちは渡し合った。
887 名前: 森の攻防・後半/Nine Bullet Revolver 投稿日: 2005/12/30(金) 00:23:31 ―――狂戦士。 狂ったまま、巨人は変わってはいなかった。 アレは、未だセイバーとの戦いの中にいるのだ。 目は見えず、正気を失い、二度の死を迎え全身を腐敗させながら、 尚、イリヤを守ろうと戦っている。 ――――――――――、一秒。 「――――――――」 走りくる巨人は一撃では止まらず、通常の投影など通じまい。 投影魔術(トレース)では届かない。 限界を超えた投影でなければ、あの巨人は倒せない。 故に――― トリガー ・ オフ 「――――投影、装填」 発射準備。 塹壕じみた穴で縮こまるイリヤを引きずり出して、一撃の下に叩き伏せる―――― ――――――――――、二秒。 目前に迫る。振り上げられる大剣。 激流と渦巻く気勢。 踏み込まれる一足を一足で迎え撃ち。 上腕 鎖骨 喉笛 脳天 鳩尾 肋骨 睾丸 大腿、 その八点に狙いを定め、 セット トペ ・ アインツベルン 「弓道部必殺――――是、射殺す百頭」 振り下ろされる音速を、神速を以って凌駕する―――!
888 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 00:42:07ちょwwwww何投影してるのさwwww
889 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 00:49:35 ただ、夜を走る。 とにかく今は走っている。 ――――――何のために? そんなのは決まっている。 そうしなければ捕まってしまう。 弓塚さつきが、自分を追いかけてきている気配を感じている。 さっきまでは針の先ほどの気配が、あっというまに背中全部をのっぺりと覆うほどに大きくなってきている。 「はあ、はあ、はあ――――!」 逃げるために走ってる。 けど、誰から逃げようっていうんだろう。 ……あれは、きれいな笑顔だった。 中学時代の思い出話を語った弓塚さつきの笑顔は、本当に、優しかった。 「く………そ………!」 こんなコトって、こんなコトってあるか……! 弓塚は人を殺して、人の血を吸う化け物になってしまっ―――― 「ぬふぅ、逃がさないわよ遠野くん、発射準備ぃぃー!!」 「なんだおまえ、うぎゃーっ!」 「バトミントン部ひっさーつ! トペ・ドッカノサラリーマン!」 「ぐぎゃー! おかーちゃーんーーーっ!」 弓塚に首をもがれ、グルグル回された後、ハンマー投げのように発射されるサラリーマン。 ―――バトミントン、関係ねー!
890 名前: 決戦 アーチャー→アングラー 投稿日: 2005/12/30(金) 00:53:35 アーチャー渾身のロッド、渾身のリールを使用した釣針は、今度こそ標的を釣り上げんと大気を滑る。 投影した釣餌は“大判焼き(カスタード)”。 セイバーに弾かれようと、釣手が狙い続ける限り標的を誘い続ける魔餌である。 セイバーが守りに入ったところで結果は変わらない。 否、セイバーが弾いた瞬間にこそ、釣針は標的の口内に向かって咆吼(フィッシュ)をあげるのだ。 セイバーが防御に徹する限り、何をしようとアングラーの勝利は揺るがない。 そう。 セイバーが、防御に徹している限りは。 「─────、!」 それは秒にも満たない瞬間。 釣魚手の指が餌から放たれようとした瞬間の光景だった。 橋上(ひょうてき)から守り(セイバー)が消えた。 釣兵は的の狙いを看破する。だが遅い。 餌は、既にセイバーに食い付かれている。 勝利を確信したのはどちらだったか。 数百メートル先の魚を釣り上げる釣魚手であろうと、覆せぬ定理がある。 一度食い付かれた餌は標的を変えられない。 いかな最先端の道具を持つ釣手であろうとも、この法則には逆らえないのだ。 されど───それを克服してこそ、釣の英霊……! 「フィィィィイッシュ!」 軌道が増える、否、初めから二敵を釣り抜く必殺の二針。 定理は返り、一針目に食い付いたセイバーに回避する術はない。 二針目は直撃の魔針と化して衛宮士郎を釣り上げる。 もはや何人たりとも覆せぬ死(フィッシュ)の運命。 ───されど。それを凌駕してこそ、食の英霊……! 伸張する糸と竿。 食い千切るかの如く砕ける釣竿。 青光は美味を謳うように天上へ。 赤光は馳走を預(つげ)るよう、胃袋へと嚥下する───!
891 名前: デッドブリッジⅢ 剣⇒真・殺 投稿日: 2005/12/30(金) 01:23:55 ―――かくて、幕間はここに終わる……はずであった。 外壁は不可視の風に覆われ、 塔の正面には絶対不落の守り手。 それが何者であろうと無限数を有そうと、この守りを抜く事は出来ない。 だが、心せよ騎士王。 彼らこそ怨嗟の具現、その妄執は人の想像すら及びはしない。 ここに、群より離れる集団が存在する。 彼等が集ったのは目的の塔ではなく、別の塔の頂上。 群は一塊となり丘を築き上げる。 ―――正面も外壁も無理、だが上からならばどうか。 一匹の士が骸共の丘を駆け上がり、闇空へと飛び込んでいく。 “届ク 届ク 届ク 届ク―――!” それは勝利を確信した歓喜。 生き残りを果たした安堵。 たとえ、一匹でも辿り着けば、その事実を元に彼等は無限に増殖する。 内に入り込みさえすれば守り手など恐れる事はない。 “―――、―――、―――、――――?” ……しかし。 丘を構成している何百目かのソレは、かすかな違和感に首を傾げる。 飛び立ったモノたちは既に到達したはずだ。 塔はその時点で深紅に、彼等の怨念で赤く染まってなければならない。 されど塔はいまだ暗黒。 “―――、―――、―――、――――?” そして目にしたのは、天から地へと堕ちゆく残骸。 あるモノは刃の投擲を受け、あるモノは心臓を抉り取られ、 なすすべなく眼下の奈落へと吸い込まれてゆく。 いるはずがない、新たな障害など存在する訳がない。 不可視の風で造られた障壁は万全、 あの守りを突破できる者など存在しない、故にあの塔に障害はない。 骸達が塔を見渡す。 塔の頂上は漆黒に包まれ、人の姿など当然無かった、 唯一つ、闇の中に浮かび上がる髑髏を除いては。 「騎士殿も詰めが甘い。 そのような事だから私程度の相手に不覚を取る事になるのだ」 近付く事さえ叶わない強風の中、 当然のように男は黒装束をはためかせ悠然と立つ。 刮目し覚悟せよ幾多の残骸。 汝等が目にするは死神。光の届かぬ闇に潜みし暗殺者。 「個を持たぬ同一存在の群か。本来なら相憐れむ関係なのだろうが、 生前よりそのような情は持ち合わせてはいない」 骸達が目前の障害にざわめき立つ。 だが彼等にもはや道など一つしかない。 たとえ本能が辿り着けぬと感じ取っても、侵略こそが彼等の証。 暗殺者は動かず。 刃の輝きは心情を表すかのように冷たく。 彼は何にも興味を示さず、ただ目前の敵を見つめる。 「ここは私やおまえ達が居るに相応しくない場所だ。 それでもなお、その怨嗟にしがみつくのならば――――」 それは冷徹な宣言。 「―――何も成せぬまま、闇へと消えるがいい」 判りきった結末を語る必要はない。 彼等は語られる事も知られる事もなく、 暗殺者の手によって闇から闇にその存在を葬り去られるだろう。
892 名前: 891 投稿日: 2005/12/30(金) 01:26:50ブロードブリッジの勘違いでした。
893 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 02:08:44>>891 ついにハサン参戦か
894 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 03:25:44>>891 何故だろう。燃える内容なのに、涙が流れてとまらねえや……
895 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 12:36:08影に徹するか。 渋いぜハサン。
896 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 14:42:53>>891 風除けのスキルとか生かして上手く整合性つけたから、かなりいい感じでした。 つか、やべーよハサン。・゚・(ノД`)・゚・。 もう幕間でこういうことがあったと勝手に脳内補間したいくらいだ。
897 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 14:49:54>いるはずがない、新たな障害など存在する訳がない。 >不可視の風で造られた障壁は万全、 >あの守りを突破できる者など存在しない、故にあの塔に障害はない。 たしかに風除けとかあるし、この部分はキャラ性能を生かしてるな。
898 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 15:53:07本編でも本当にこのタイミングで登場してれば、数は少ないが根は深いハサンファン 一同大喜びだったのになぁ。
899 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 16:28:33>>数は少ないが根は深い 数はともかく。根か……愛情ではなくて根なのか。ハサンふぁんは……
900 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 16:51:38影に生きて、闇に死す。みたいな?
901 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 17:56:54光あるところに陰がある。 まこと、栄光の陰に数知れぬ未登場キャラの姿があった。 命を賭けてFDを支えた影の男たち だが人よ、名を問うなかれ 闇に生まれ、闇に消える。それが、暗殺者の定めなのだ。
902 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 18:06:42一人のハサンが二人のハサンに三人四人に五人十人 オーオーオーオーヤー宝具妄想心音ー
903 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 18:18:002人はハサキュア
904 名前: 角笛(響かず) 投稿日: 2005/12/30(金) 18:38:59 ―――さて。 自分でもどうしてこんな結論に至るのか半信半疑なのだが、まだ見ぬ敵を倒すためには、 俺たち以外の戦力が必要のようだ。 アーチャーは論外。 キャスターは不可侵。アサシンはお地蔵さん。ライダーは桜を守れればそれでいい人。 ついでにイリヤは面白がって傍観しているので、残ったアテはここしかない。 「おーい、ランサー」 手を振って挨拶をする。 あいつ相手に回りくどい勧誘をしても効果はないんで、ズバッと用件を切り出すのだ。 俺に出来る範囲で事情を説明する。 この四日間の異常性。 実際には会っていないが、漠然と知っている第八のマスターの外見と戦闘スタイル。 その魔術師が街の異常に一枚噛んでいるであろう事。 そして、俺とセイバーではどうも相性が悪く、他のサーヴァントの手を借りたいという事を。 「……………………」 ランサーは一度もこちらを見なかった。 気怠そうに空を眺める目が、少しずつ不愉快になっていくだけで。 「確認するが。その男、黒髪のモジャで神父姿か」 「? ああ、難癖つけて人の瑕を切開してくる」 「マーボーは食ってたか」 「え? ……たしか、喰うか?って勧めてきたかな」 「ラスト。そいつ五体満足だったか」 「はあ? ……そりゃ、五体満足って言えばそうだけど。服の下のコトまでは断言できないぞ」 質問はそれで終わり。 ランサーはぽつりと、 「……迷惑なこった。 くたばった後も、嫌がらせするコトはねえだろうに」 そんなコトをぼやいていた。 「ランサー。そいつが何者なのかはまだ分からない。 ただ敵であることは確かなんだ。 今度、俺とセイバーが夜の巡回に出る時、アンタの力を貸して―――」 「いいぜ。決行は何時だ」 「―――って、えええぇえ!?」 「なんだそりゃ。付き合ってやるから時間を教えろって言ってんだよ」 「……いいのか、本当に。頼み込んだ身でなんだけど、女殺しと主君殺しはしないんだろ?」 「趣味じゃねぇだけだ。禁戒のたぐいじゃねえよ。 お前には借りがある。禁戒を破ることなら断りもするだろうが、そいつは特別だ。 仮にお前に頼まれなくても、ブチ殺しにいっただろうさ」
905 名前: サイカイ 士郎→臓硯 セイバー→真アサ 投稿日: 2005/12/30(金) 19:27:20 ―――そんな夢を見た。 目覚めれば朝の六時前。 蟲倉の闇はやや深く、隙間から差し込んでくる空気もやや冷たい。 「…………しまった。またやってしもうた」 暑かった夏も過ぎ去り、気がつけばもう十月。 毛布なしで眠りこけるには辛い季節になってきた。 「昨日の夜は、うーむ―――」 まだ目覚めきっていない頭を動かす。 昨夜は蟲に餌をやって、ついでに巣の腐葉土を新品に替えて、やる事がなくなったんでのんびりしていたら眠ってしまったらしい。 間桐邸の朝食は五時半から始まる。 いくらなんでも早すぎるとも思うが、原因は桜の事情じゃ。 衛宮の小僧の家で朝食を準備するために、四時頃から起きとるらしい。 「桜の奴、最近メシを食い損ねると問答無用で片付けるからのう……まったく、いつから祖父にメシを食わさないような薄情な孫になったんじゃろ」 間違いなく衛宮の屋敷の連中の影響である。 ともかく、この家で朝食を食べたいのなら、朝の五時に起きないと食べ損ねてしまうのだ。 家主なのに、マキリの当主なのに、義理の孫は敬ってくれない。 地下からあがると、電子レンジの音がした。 お湯を沸かしている音も聞こえてくる。 どうやら朝食を食い損ねた慎二がレトルトを温めているようじゃ。 薄暗い朝の、いつも通りの風景。 それを当然のように噛み締めて、 「おや。おはようございます魔術師殿。今朝は少し寝坊ですか」 彼の仮面を見つめていた。 「魔術師殿? どうしたのです、黙りこくって。 私の仮面に何か?」 半年前。 まだ寒かった頃にこういうコトもあった。 それを、 「……顔色が優れませんね。まったく、また蟲倉で夜を明かしたのですか。 魔術師殿、蟲の世話を怠らぬ心構えは立派ですが、それで体を壊さぬほど若くはないでしょう」 そうじゃ。儂はもう若くはないんじゃよ。 最初の聖杯戦争から二百年。 人間、いつかは老いていくもんじゃ。 アサシンはあっさりと食堂に向かう。 当然じゃ。いつも通りの朝の会話に、名残を惜しむ者はいない。 でも、挨拶を忘れていた。 ここで、きちんと口にしておかないと。 「アサシン」 「おはよう。今日も一日よろしく頼むぞ」 「はい、魔術師殿も気をつけて」 アサシンと一緒に食堂へ向かう。 なぜだか視界がぼやけて、何事かと目をこする。 「―――――――む」 少しだけ目が潤んでいた。 薄暗い朝の、いつも通りの風景。 きっと、気が抜けてあくびでもしたのじゃろう。
906 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 19:33:49>>904 ランサーの即答ぶりよりも、死してなお嫌がらせに邁進する言峰のほうがすげえ
907 名前: アトゴウラ 投稿日: 2005/12/30(金) 19:57:10坂を下り、仮初めの闘技場へ。 月光は鈍く、見上げると少しだけ目が濁った。 今夜は月が暗いのか、星が近いのか。 手を伸ばせば虚空をかき出せそうな暗天の中、二つの人影が、 俺たちを待ち受けていた。 何度目かの同景。 ランサーを従えたカレンは、今まで通りにやってきた敵を見据え、 「――――――」 幽霊でも見たかのように、男を凝視していた。 男はカレンを意識することなく、人差し指でメニューを確認している。 ひいふうみい、よ。 量にして約十リットル。 食を競い合うに適した分量まで注文し、レンゲの穂先を膳に向けた。 「醤油、胡椒、七味、ラー油」 何かの呪いか。 四隅に調味料を並べたものの、これといった魔術の働きはない。 神父はその食卓から一歩も動かず、ブン、と一度だけレンゲを薙ぎ払う。 ―――かかってこい、と。 名乗りもあげず、戦意だけを示している。 「ランサー―――アレは、何です」 槍兵に問うカレン。 「何ってマスターだよ。一目瞭然じゃないか」 「そんな筈はありません。あんなマスターは、今までいなかった。 アレは何処のマスターです、ランサー。 衛宮士郎でもない。遠坂凛でもない。間桐桜でも葛木宗一郎でもイリヤスフィールでもない。 アレは―――」 「それこそ一目瞭然だ。 なあマスター。あの神父を見て、まだなにも分からないのか」 ケラケラと槍兵が笑う。 この時。 カレンは戦意を見失っていた。 現れた敵を見て、自分でも分からない理由で、泣き出す一歩手前だった。 ―――神父の、非情な言葉が刺さるまでは。 「ふむ。今からお前と戦う訳だが」 「え―――?」 怯えるように布を構える。 そこに以前の気迫はない。 「待って―――待ってください、私は―――貴方と戦う理由はない。 貴方だって、私と戦う理由は」 「あるだろう。お前は聖杯戦争の監督役として世界に入り込んだ。 監督役になるには私の存在が邪魔になる。 お前は今、私と闘う為にここにいる」 槍兵が笑う。 その通りだと笑っている。 「ちが―――わた、私は貴方とは戦わない……! そうです、貴方とは戦わない、貴方とは戦わない、貴方とは戦わない……! だって、だって―――貴方、私のコト―――知って、る……?」 「知らんな。お前のような娘に覚えはない」 一笑に伏す。 カレンは糸の切れた人形のように膝をつこうとし、 「――――――では、貴方は私の敵ですね」 糸の助けでなく、自分の力で踏みとどまった。 アトゴウラ 「そうだ。この“四隅の調味料”、教会所属なら意味が分かろうよ」 「……その陣を布いた信徒に敗走は許されず。 その陣を見た信徒に、退却は許されない。 ―――我ら聖堂教会に伝わる、フードファイトの大禁戒です」 ……大気が凍る。 泰山の店主が、開始の呼び声を今か今かと待っている。 遠く十メートルの彼方には、鉛色の大鍋を背に構える女店長の姿がある。 あの大鍋こそが中華料理店・泰山の秘奥、神代の麻婆豆腐、外道マーボー。 その辛味を知る神父にして、今後トモヨロシクと言わしめた究極の迎撃麻婆。 だが、そう公言して尚、手を緩める事はなく。 神父の腕に力が籠もる。投擲ではない。神父は自らの体さえレンゲと成し、 「喰うか――――――?」 「喰うわ――――――!」
908 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 20:05:12>>907 ワロスフィール。 「喰うか――――――?」「喰うわ――――――!」が効いた。
909 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 20:07:33>>908 教会公式なのかー?!
910 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 20:08:32>>905 もう臓硯とアサ真の二人組みを見ただけで涙腺が緩むな この二人でなんか書こうかな……
911 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 20:14:43だがそんな蟲爺と真アサシンが大好きだ。
912 名前: 角笛(響きすぎ) 投稿日: 2005/12/30(金) 20:18:57 ―――さて。 自分でもどうしてこんな結論に至るのか半信半疑なのだが、まだ見ぬ敵を倒すためには、 俺たち以外の戦力が必要のようだ。 アテはここしかない。 「おーい、ランサー」 手を振って挨拶をする。 あいつ相手に回りくどい勧誘をしても効果はないんで、ズバッと用件を切り出すのだ。 俺に出来る範囲で事情を説明しようとした。 「やっと来たか、よし行くか」 それを遮って、ランサーは即答した。 気怠そうに空を眺める目が、引き絞られた弓―――否、構えられた槍のように引き締められた。 「確認するが。その男、色黒で白髪のイヤミな男だな」 「? ああ、なにかと難癖つけてきて、気が合わない」 「赤い服を着て、上機嫌だったか」 「え? ……たしか『フィーーーッシュッッ!』って叫んでたかな」 「ラスト。そいつ釣竿持ってたか」 「はあ? ……そりゃ、持ってたと言えば持ってたけど。釣り場についてから投影してたな」 質問はそれで終わり。 ランサーはぽつりと、 「……迷惑なヤツだ。 勝負がついた後も、夜釣りまでするこたあねえだろうに」 そんなコトをぼやいていた。 「ランサー。そいつが何者なのかは本当は分かってるけど、考えたくない。 ただ敵であることは確かなんだ。 今度、俺とセイバーが夜の巡回に出る時、アンタの力を貸して―――」 「いいぜ。決行は何時だ」 「―――って、えええぇえ!?」 「なんだそりゃ。付き合ってやるから時間を教えろって言ってんだよ」 「……いいのか、本当に。頼み込んだ身でなんだけど、静かに釣りたいだけなんだろ?」 「趣味じゃねぇだけだ。禁戒のたぐいじゃねえよ。 お前には借りがある。禁戒を破ることなら断りもするだろうが、そいつは特別だ。 仮にお前に頼まれなくても、ブチ倒しにいっただろうさ―――ケリを、つけてやる」
913 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 20:58:39蟲爺とハサン絡みの改変は良作が多いね。
914 名前: 所長⇔宝具 投稿日: 2005/12/30(金) 21:41:59「――――!」 号令一下、神速を以って放たれる所長の雨。 それぞれが必殺の威力を秘めるそれを、 「っ…………!」 舞い散る木の葉のように、悉くを受け流す――――! 正面からの所長、 左翼からの所長、 下方、および頭上同時による所長、 弧を描いて後方から奇襲する所長、 彼女を上回るほど巨大な所長の薙ぎ払い――――! 突き、切り、開き、最後に迫った一人から分解する……! 「は――――ぁ、ア――――!」 呼吸を乱しながら、無理矢理に崩した体勢を立て直す式。 ―――その瞬間。 彼女は、敵の背後にあるソレを見た。 使い魔の背後、 既に展開した所長、その数実に四十七―――! 「く――――、つっ…………!」 全力で跳ぶ。 推進剤でも使ったかのような跳躍を逃がすまいと、無数の所長が大地に突き刺さっていく。 所長の雨の中、次々と被弾していく。 ジャンパーは破かれ、帯を貫かれ、足下を守る着物さえ串刺しになっていく。 その窮地においてなお致命傷を避ける式の目に、最悪の光景が飛び込んでくる。 所長の雨の向こう。 逃げ惑う獲物に王手を刺すように、鞄は己が愛所長を引き抜いている――――! 跳躍を止める。 即座に着地し、全身に力を叩き込む。 だが間に合うか。 風が止む。シキと化した自身を露わにし、音が収まりきるのも待たずにナイフを振り上げる。 降り注ぐ所長の雨を払いもせず、全速でナイフを振り下ろす。 だが遅い。 自らの所長を蹴散らして、鞄は所長を一閃した―――
915 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 22:05:06>>912 タイトルワロタ
916 名前: ギル→士郎 投稿日: 2005/12/30(金) 22:12:09「はっはっは。騒々しいぞお前ら。周りの独り者たちに迷惑だろ。 それはともかくセイバー、一皿といわず十皿二十皿食べるといい。 イリヤ、怖がることはない。怒らないから抱きついていいぞ。 遠坂、当たり前のコトを言っても俺の気は引けないぞ。だがそのツンデレ振りや良し。 これで宝石でも買ってくるといい。 桜、第二ラウンドは俺が回復するまで待て。 ライダー、アレはワカメだから、遠慮なくぶつけてやれ」 「……誰?」 えーと。 あえていうならハーレムに君臨する……正義の……味方……?
917 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 22:31:41やけに度量の大きい士郎だなw
918 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 22:34:14>>915 タイトルを先に思いついて、話考えたぐらいだものw
919 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 22:35:25>>916 むしろ性戯の味方
920 名前: 凛→イリヤ アーチャー→バーサーカー 投稿日: 2005/12/30(金) 22:53:18 ―――バーサーカーは、強いね。 言葉にはせず。 万感の思いを込めて、少女は消えていく狂戦士を見上げる。 ――――それが、どれほどの救いになったのか。 狂戦士は、誇らしげに少女の姿を記憶に留めたあと。 「■■■■■。■■■■■■■。■■、■■■■■■――!!」 ざあ、と言う音。 狂戦士は少女の答えを待たず、ようやく、傷ついたその体を休ませたのだ。 「―――ふんだ、結局、何言ってるかわからなかったじゃない」
921 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 23:01:43>>920 ある意味台無しだーーーーー!
922 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 00:26:15>>920 最後の台詞をイリヤが涙を溜めながら強がってる姿が浮かぶ……
923 名前: ランサーズヘブン2 ランサー→士郎 投稿日: 2005/12/31(土) 00:48:44 外は快晴。 強い日射しは季節の感覚を麻痺させる。 吹く風は頬に心地よく、居間から聞こえてくるテレビの音が寂しさを緩和させる。 文句の付け所のない絶好のロケーション。 午後の昼寝を好むバグ爺ちゃんやシュッポッポに励む性少年の清涼剤になりそうな衛宮家の土蔵は、しかし。 この上なく対照的な二人によって、ギチギチの険悪空間になっているのであった……! 「って、一人増えてるぅ……!?」 シロウの背後。 頼れる背中がキラリと光る、あの褐色の男は間違いなく新たな暇人……! 「フ、十六枚目ティッシュ。 よいブルマだ、面白いようにティッシュを使う。ところで後ろの男、今日それで何ティッシュ目だ?」 「うるさいな、なんでお前に答えなきゃいけないんだっての。うるさいから余所でやれ余所で」 「はっはっは。まだティッシュは八枚だけか。 時代遅れのエロ本ではそんなところだろうよ、と、十七枚目ティィィイッシュ!」 「だからうるせえってのこのブルマニア! 気が散るだろう気が!」 「ふ。精力のなさを他人の所為にするとは落ちたな小僧。萎えるというのならフェチに走ればいいだろう。 もっとも、ねんねであるおまえにフェチズムのなんたるかが理解できるとは思えないが、おっとすまないね、十八枚目ティィィィイッシュ!」 ヒャッホー、と歓声をあげる赤マントの男。 ……おかしいなあ。 童貞に返っている大人を見るのって、こんなにも苦々しいものだったっけ……。
924 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 01:27:08これか、これなのかー! r‐‐ 、 . -‐‐ - 、 ヽ > ´ ` 「 ̄.`Y⌒ヽ >////^ヘ ヽ 乂.___〈 i く_ 从il.| l_!_! ハ< i. | く__/kハ! レレr==レく_ノ .i / / |___, b:::ハ彡-、 ! / / c'っ r‐‐ャ cっ そ/ | /. / \ 、__ノ ィ^-ァ ノハ // / .,., ``,ハ__,ノ>、^^'´ / \ // / : ,'⌒ヽ、__ィ'⌒ヽ {」 ! / ヽ、 | | ヽ イヽ_,ハ.___,、 \| i | ! レ'iヽ_.:_.._:.ィ、\ ヽj | ノ 六番 冬の河 `ハ.::. ,':. .:.く:._` ´ヽ.| ( Sechs Ein Flus,ein Halt!> /ノ.:.;.i: y' :i:ヽ、', ヽ. ト ヽ、:..!i i :i.: i`) ', ヽ,ハ i i  ̄`ヽj く._ ', i i !ィ´ ̄ `',. ! ├'´ ,: !__j. i ;.__ .;. ', ト、_ノi :,三三二 ヽ!__,ノ 三三三三二 _ ∩ ( ゚∀゚)彡 ブルマ!ブルマ! ⊂彡
925 名前: 士郎→一成 投稿日: 2005/12/31(土) 03:24:31 ―――時はきた。衛宮士郎との昼食の座を賭けた男の戦いを始めよう。 貴方は選ばれた最強の生徒会長柳洞一成。 正義の味方になることを企む衛宮士郎の親友として、一緒に昼食を食べる約束をしていたのだが、 『目が合って、咳払いをすれば生徒会で昼食』というルールを衛宮士郎は理解していなかった! しかし宿命は待ってはくれない。 悲嘆にくれる貴方の前に、衛宮士郎の悪友・間桐慎二が現れた……! 戦うならこのまま14へ。引き返すなら14へ進め。 「――――――、な」 何かが心に直接語りかけてくる。 あまりにも古い言語の為、何を言っているかはまったく分からぬのだが、 「な、なんというコトだ……! ここが学園の教室で、なんだか今は昼休みの衛宮争奪戦で、その勝者は衛宮と一緒に昼食を食えるだと……!!!!?」 とまあ、概要はおおむね掴めた。 「はっはっは! うひょークカカコココキイキイ! その通りだ選ばれた生徒会長よ! あと待っていた、オマエを待っていたぞ我が運命のデュエリストよ!」 「貴様、何者―――!?」 あまりの暴風に目を開けていられない。 教室の隅っこからひょっこり現れた謎の人物は、脳内麻薬マキシマムな笑い声をあげまくる。 「ハハハハハハ! 何者かだって?何者かだって?何者かだってぇ! 分からないか、そう分からないよねゴージャスな僕! すごいぞ気持ちワルイぞー! 見て見て柳洞、美味しいパスタとか西校の女の子と合コンとか、そうゆうのが待っててもうタイヘンさ!」 吹きすさぶ風、ざわめく野次馬、激震する教室。 そしてゆらゆら揺れているワカメ。 いろんな意味でこの世の終わりとも言える光景がいま惜しげもなく大展開。 くっ……この、ふってわいた無間地獄に学園も激動しているというのかッッッッ!!!!? 「ま、まさか貴様は―――間桐、慎二……!!!? バカな、貴様は確かに死んだ筈だ!」 「死んでないのねー! いえ、キャラ的にはほとんど死んでいましたが、だからこそ地獄から蘇ったのだ生徒会長リュウドウよ! ククク、しいたげられていた者どもの怒りが僕を蘇らせたのだ。んー、見てほしいのねこの滾るマイパワー」 藤村先生を連想させる不思議時空。 い、いったいどれほどのパワーアップを……!!!? 「って、ぜんぜん変わっておらんー!」 「ふふふ、気持ちはわかるけどそう驚かないでほしいね。 そう、今までの僕は僕じゃあない! えーと、言うなればこれまでの僕がタネなしのスイカだとしたら、今からの僕はタネなしのメロン! いや、羽化を待つ芋虫だとしたら、脱皮した後のサナギなのさ!」 「……………………」 つまり空っぽというコトだろうか。 あと人の反応ぐらいちゃんと聞いてほしい。 「まあいい。 ともかく俺たちは衛宮に選ばれた親友なのだな!? なんか宿命のライバルなのだな!? 俺は衛宮と生徒会室で昼食を食う為に、貴様は衛宮を悪の道に引きずり込む為に戦うのだな!?」 「ナイスリアクション! 話が分かるじゃんか柳洞! さてはこういうノリ好きだろオマエ!」 「うむ! 結構ヤケだが勝ったり負けたり泣いたり見栄はったりウホッいい男とか大好きだ! そんなワケで、行くぞ間桐……! 貴様だけは絶対に許さんッッッッ!」 「ク―――吠えるじゃんか生徒会長。 だが今日は僕の方が強い、覚醒したライバルの力を思い知るがいい……! 行くぞ柳洞! 今日は新都へ繰り出して午後の授業サボりだぜ……ッッッ!」 「じゃあ一成」 「……………………」 「……………………」 嵐は去った。 先ほどまで渦巻いていたよく分からない熱気も消え、イヤになるほど冷静になる俺たち。 「じゃ、とりまきの一年連れてきますね」 ああ、と頷きだけで答える。 男には言葉をかけてはいけない時があるのだ。 「じゃあ新都にいってきます。気が向いたら合コンにも来てくださいね」 あははは×ひゃー☆、泣くように笑い去る慎二。 あ、慎二サーカス団連れてきた。 「……………………俺も穂群原の三大仏敵を始末してくるか」 ここ三十分ばかりの記憶をまっさらに消去して教室を後にする。 こうして慎二OHよる衛宮サボりのピンチは去ったのだが、彼の最大の見せ場と、それを防いだ親友の物語は誰に語られるコトもなく忘れられるのであった、善哉善哉。
926 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 06:29:42>>925 まあ、悪くはないのでは。
927 名前: ランサー→アンリ アーチャー→パゼット 投稿日: 2005/12/31(土) 07:01:21「フ、使い魔十六匹目ヒット。 よい街です、面白いように撲殺できる。ところで後ろの男、今日それで何ヒット目です?」 「うるせえな、なんであんたに答えなきゃいけねえんだっての。うるせえから余所でやれ余所で」 「はっはっは。まだ六匹だけですか。 時代遅れのファイティングスタイルではそんなところでしょう、と、十七匹目ヒィィィイットッ!」 「だからうるせえってのこのボクシング・バカ!」 「ふ。腕のなさを他人の所為にするとは落ちましたねアヴェンジャー。出番がないのなら直感にまかせず技術を学べばいいでしょう。 もっとも、原始人であるあなたに格闘技術のなんたるかが理解できるとは思えませんが、おっとすみませんね、十八匹目ヒィィィィイットッ!」 ヒャッホー、と歓声をあげるスーツの女。 ……おかしいなあ。 童心に返っている大人を見るのって、こんなにも苦々しいものだったっけ……。
928 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 13:43:27ダメットは童心(13才)がデフォですが何か
929 名前: 士郎→神父 ランサー→アンリ 投稿日: 2005/12/31(土) 15:25:02 月は満月。 濃い夜闇は時間の感覚を麻痺させる。 夜風は頬に涼しく、街の灯が風情を際立たせる。 文句の付け所のない絶好のロケーション。 会社帰りのお父さんや恋人たちに好まれそうな夜の新都は、しかし。 この全身刺青の男によって、生きた人の存在しない殺戮場と化していたのだった……! 「しかし違和感がないな、実際」 恐ろしいまでの一体感。 世界を憎むことは世界を愛することに繋がると言うが、あれは確かに原始のシャーマンそのものかも知れぬ。 その見事さに敬意を払って、泰山で麻婆をテイクアウトしてきた。 「どうだ、ご満悦か?」 「おーう、ぼちぼちというトコだなー。DQN山サラリーマン四カップル三組ってところだ」 「む。なんだそれは、節操がないな。この時間の新都はそんなに人がいるものなのか」 「駅前だしな、獲物が多いのはあったりまえだ。 まあ、それにしてもちょいとばかり多すぎだが、愉しいしいいんじゃねーの?」 実にいい加減である。 麻婆を渡して辺りを見回す。 転がっている屍はアンリマユの言よりバリエーション豊かだった。 「DQNが多いな」 「ホラーのお約束か知らねえけど入れ食いでなあ。そーそー、ちょっと前までは女子校生を殺れた」 今は逢魔ヶ刻か。 この分なら、そのうち全職種を制覇できるぞこの男……って、む? よく見ると、致命的に足りんものが一つあるような。 「アンリマユ、一晩中ここで殺人に励んでいるのだろう? もっと効率のいい殺傷手段はないのか?」 一人二人を殺すならそうでもないが、長時間の殺戮には欠かせない戦術だ。 人間の活力は意外としぶといし、殺す場所によってはわずかな悲鳴で逃げられてしまう。 一晩中人間を殺すなら、効率的な殺傷手段は必要不可欠だ。 「あー、あったら便利だろうがオレは要らねー。短剣で一人々々殺してくのが愉しいんだよ。 いや、大量にブチ殺せればもっと愉しいんだけどな」 ぼやきながらも殺しの手は僅かも滞らない。 恐るべきはアンリマユの性質。 愉しそうのみならず、悪意の塊の如き残忍さと執念である。 「言われてみればそうか。貴様に大した宝具などあろうはずもないし。その短剣はもとから持っていたものか?」 「おう、親切な村人連中でなあ! 生け贄になってやったらよ、行きがけの駄賃にって譲ってくれたのさ。二度と顔見なかったけどなあ!」 ひひひと笑う。 「………………」 アンリマユ、その台詞はまんま恨み言だぞ。 「いやまぁ、最初に呪ってやったんだけどな」 「ストレートに呪っていたのか……」 なんというコトだ、村が滅びたのは案外コイツの怨念のせいではないのか。 「……はあ。で、せっかく貰ったのだから活用していると。それで毎晩殺戮三昧なのか。 ……私としてはむしろ嬉しいのだがな。殺戮はそんなに楽しいのか?」 「楽しさを伴った存在意義ってトコか。 こいつにはちょいと自信がある。こと人間相手なら世界最強の自負があるね。 イヌとクモはともかく、どこぞの魔女や悪役も貫けねえ貧弱娘にゃあ真似できない悪魔の世界だ」 あ。 いま、なにか亀裂入った。 殺戮の場だけに物騒さもひとしおだ。 「いいのかな、そんなコトを言って。口は災いのモトだぞアンリマユ?」 「んー? 陰口の報復があるってコトかぁ? んなもんどうせおまえが言いふらして広める気まんまんなんだろーが。 ま、広められたところでどうってコトねえけどな。どうせ秒殺なんだからまた一からやり直すだけさ」 最初から戦う力はないが、自分の地獄すら受け入れているのがアンリマユか。 よっ、と刃を振るうアンリマユ。 「DQNか」 「DQNだな」 殺した人間に執着はないのか、アンリマユは腸をえぐってアスファルトに投げ捨てる。 「――――――」 「――――――」 会話がとぎれる。 話のネタがない殺戮場に長居する必要もない。 「邪魔をしてすまなかった。引き続き、DQNを殺してくれ」 「おう。でもこの差し入れ辛すぎー」 街を後にする。 人間、話してみないと分からないものだ。 私にとっては陳腐な見物だったが、アンリマユにとってはお気に入りの存在意義らしい。 地獄と見間違うような暗い街。 願わくば、心ある邪魔者によって、この悪夢が乱されなければいいのだが。
930 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 16:39:00笛キャラの8割はこの光景を見たら殺しにかかってくるぞ
931 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 17:57:25残り二割は嬉々として参加するけどな。 具体的には黒桜とか日陰桜とか。
932 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 17:59:39ハルオだと縄張り争いになるな
933 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 19:27:55志貴とハルオの夜の会話みたいに話し弾んでお別れするんじゃね?ハルオが逃げますw
934 名前: 慎二→士郎 投稿日: 2005/12/31(土) 21:47:33 黒桜 :大聖杯へようこそ先輩。 わたしはこのこの世の全ての悪の母、黒サクラ 貴方が落としたのは誰もが幸せに過ごせるルートですか、 それとも正義の味方としての尊厳ですか? 士郎 :何だよ桜かよ。チェンジ 黒桜 :っ――……クールに、クールに…… 怒らない怒らない、せっかくの母親の役なんだから、 小さく可愛く奥ゆかしくやらなくちゃ……よし、うん、クール えー、もう一度行きますね? 貴方が落としたのは十年がかりの運命への愛情ですか? それとも可愛い後輩を愛でる愛情ですか? 士郎 :どっちもいらない。 つーか桜実は頭悪いな。 愛って字が三つもかぶってるじゃないか。 なに、国語ランクE? 黒桜 :っ……! い、今のはあえて繰り返したんです! 愛って字をいっぱいアピールしたんですーーーー! 士郎 :ははっ。また無駄なコトを だいたいさ、なんだよ小さいって。 いまさらダイエットしても、その無駄にデブい胸がしぼむワケないだろ。 黒桜 :――――、あ ライダー:サクラ、落ち着いて。 色々こぼしてきた士郎です、彼の言葉に悪意はありま、 士郎 :なんだ、デンチューもいたのか。 デブとノッポのコンビなんて需要ないよな実際 やっぱり女の子は俺より背が低いヤツじゃないと ライダー:――――、デ、デンチュー 黒桜 :な、なんてコトを……! ち、違うのよライダー、デンチューって言うのはピ○チューの親戚で、丸くて小さくてね、 士郎 :相変わらず仲いいなおまえら。 いいぜ、そこで仲良くやってろよ。 俺はその奥に用があるんだ。根暗な後輩に用はない 黒桜 :く……信じられない。 冬木市セクシー度No.1のわたしたちをスルーするなんて……! ライダー:殺しましょう。 すぐ殺しましょう、サクラ 黒桜 :……そうね、母親の役はここまでです。 先輩。今までの鈍感さを悔い、百年分ぐらい命乞いしてください! 士郎 :アーイキャーンドラーイーーーー! わかんないヤツだな、俺は通い妻の後輩にゃ萌えねぇつーの、 悔しかったら同期の学年に生まれ変わってみなさいよーーー! ライダー:……その学年が最終的に桜と同じなのですが……
935 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 22:53:44 で。 二時間遅れの昼食が開始されたワケなのだが。 「あれ、どうしたの士郎?唐突にぼーっとしちゃって。 ……あー、もしかして辛いの苦手だった?」 すぐ隣り。 手を伸ばせば触れる位置に座った遠坂は、そんな事を言ってくる。 「え――――あ、いや、大丈夫。強烈な味付けだけど、美味いぞ、これ」 正直な感想を口にし、さらにサンドイッチを口にする。 「そ?良かった、サンドイッチをまずく作るのって一種の才能でしょ?もしかして、そういういらないもんまで 持っちゃったかと思ったわ」 遠坂は楽しげに笑う。 あ。 いま、なんか亀裂走った。 型月だけに梅サンドの予感を感じてみる。 「いいのかな、そんなコト言って。口は災いのモトだぞ遠坂?」 「んー?陰口の報復があるってコトォ?そんなのアンタが言いふらさないかぎり広まらないわ。 ま、広まったところでどうってコトないんだけど。まずいサンドイッチ持ってこられたらあなた達に食べても らうだけよ」 「――――――――」 自分が食べる気はないが、挑まれれば応じるのが遠坂か。 俺がぼーっとしているように見えたとしたら、その態度に唖然としてたからだろう。
936 名前: 後日談⇒Ver.新年一発目 投稿日: 2006/01/01(日) 11:29:47 「唐突ですが、正月なのでハネツキをしましょう」 「帰れ。俺は今、セイバーにおせちを作ってる最中だ。 しかも昨日から徹夜で年越しソバも打たされて恐ろしく機嫌が悪い」 雑煮の味見をしながら、 突如として来訪したバゼットとカレンを手で追い払う。 「無償で、とは言いません。 古式ゆかしき伝統に則り、勝った方は相手の体のどの部分でも墨で 一筆入れられるというのはどうですか?」 「む……それは、服に隠された部分や、神秘のベールに覆われた部分 でもOKなのか?」 「ええ。私の方は構いませんが」 どうせ断ったらパンチが飛んでくるんだろうし、 新年早々、怪我なんてしたくないしな。 「よし。せっかく正月なんだから、その勝負、受けて立つぜ!」 「……即決ね。まったく、正月早々から発情期なんてとんだ駄犬ね。 去勢するわよ、この早漏」 シスターの根も葉もない野次を無視して、最強の敵に振り返る。 「行くぜバゼット! 勝負下着の準備は万全か?」 ……勝負は一方的な形で終了した。 「バ……バカな。弓道部必殺のトペ・アインツベルンサーブが こうもあっさり返されるなんて―――」 「貴方のサーブは正確で直線的です、読むのは大して苦ではありません。 それに事、迎撃に関して私の右に出る者はいないでしょう」 勝っても当然とばかりに表情を変えないバゼットと、 筆を手に笑いながら近付いてくるシスター。 もはや覚悟を決めるしかないか。 「……わかった。いいか、一筆だぞ! それ以上書いたら怒るからな!」 「もちろんです。バゼット、彼が逃げ出さないように捕まえててください」 カレンが俺の上着を脱がせ、筆を………待て。 「なんだソレは! 一筆だろ?」 「ええ、ですから一筆書きです。一筆ならばどんな長さであろうと 文句はないはずです」 クソ、やっぱりこいつは色濃く言峰の血引いていやがる。 いや、嫌がらせする事にかけては言峰の上を行くかもしれない。 というか、この模様、いや紋様か、どこかで見た記憶が…… 「待て!ひょっとして、おまえら――――」 ―――で、一分後。 「まあ」 「ほう」 「…………精神的陵辱だ」 全身をペイントされた野性的な俺の姿、再び。 「ありがとう。士郎くんのおかげで新年からいいものが見れました。 それでは良いお年を」 「それでは、新年のミサがありますので、これで失礼します」 「……あんたら、この為だけにウチに来たのかよ……」 こうしてオレの新年は最悪のスタートを切ったのであった。
937 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 11:37:38>>936 反転でもなんでもないよこれ。 スレ違い。
938 名前: 士郎→葛木 投稿日: 2006/01/01(日) 12:28:11 千切れる腕で、届くまで振るい続ける。 あるのはただ、全力で絞り上げる一声だけ。 「……、ではない……!」 たたきこむ拳は、その叫びの代償だ。 ……道具として利用された女と、道具として育てられた自分がいる。 いわれもなく無意味に消費された人生を見て、二度と、こんなことは繰り返させないと誓った。 「……などでは、ない……!」 それからどれほどの月日が流れたのか。 無くしていった物があって、 落としていった物がある。 拾いきれず、忘れ去ってしまう物はいつだって出てくるだろう。 だから、これだけは忘れないように誓ったのだ。 ―――キャスターの力になる。 それが自分の願いでないとしても、自己の罪を薄める為の詭弁であったとしても、守り抜こう。 帰りたいと。 雨の中、自分が助けた女が寂しげに漏らした。 その言葉に籠められた願いを叶えたい。 世界中の人間に疎まれても、こうして敵うはずのない黄金の王と相対しても、 それだけは――― その一撃で、どちらかの腕と足が斬られた。 痛覚は麻痺などしていない。 失禁しかねない痛みに、猛りだけでフタをする。 水分が足りない。そんな余分なものは流せない。 敵の左胸はがら空きだ。半身がもがれた今、これが最後の一撃になる。 だが、そんなことは頭にない。 あるのは、ただ。 「……道具、などではない……!」 頭にあるのはそれだけだ。 かつての葛木宗一郎は道具でも、今だけは本当だろう。 自分が生きる意味がほしいと、 その感情は、きっと誰もが想う理想だ。 だから引き返す事なんてしない。 何故ならこの身は決して。 「―――決して、道具などではないのだから……!」
939 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 13:25:10先生ーーーーーーーーっ!。・゚・(ノД`)・゚・
940 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 14:29:12>>937 よく見れ 季節が変わってるだろ?ww
941 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 14:38:56>>938 葛木センセ……・゚・(ノД`)・゚・ アンタ漢や、漢やでぇ……
942 名前: 藤隊長⇒ホロウ発売前の藤隊長 投稿日: 2006/01/01(日) 15:52:56 言峰神父はメキシカン! ……嘘です、嘘をつきました。 …コホン。よくぞ最後まで戦い抜いた、ステイナイトの諸君よ! 待ち望みしホロウ発売日は目前である! 心してファンディスクに挑んでホシイ! そしてそんな貴兄達に贈りたい、 ハートフルな言葉をご用意致しました。 心して聞いてホシイ! みんななかよく! 本編で、あそこまで皆血で血を洗っている様を まざまざと見せ付けられ、先生…、いや隊長は悲しい! ―――特に、桜ちゃん! なぜ分かり合えないのか!? なぜ貴様等は他を出し抜こうとするのか!? ところで私のルートは本当にないのか!? とにかく不様、そんな事では新ヒロインには勝てないわ。 人気投票で新キャラにその座を明け渡していいの? ―――特に、桜ちゃん! そう、最後は皆で協力して戦うのだ! えー、まぁ今回はその件で伺いました さあ、みんな団結して約束された四日間を見事砕いてみせい! 集う仲間達、涙の死闘、意外な結末、いいとこでEclipse、 私に出番を、エンディングではなんか崩れる世界を 光に向かって二人で駆け抜ける、そんな風景。 迷わずゆけぃ! 我が精鋭達よ!! 遠慮せず色物キャラになれ!!
943 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 16:29:08とりあえずフジ隊長が桜に一家言あるのがわかった 明け渡すも何もとっくにヒロインの座は明け渡して初回パッケージからも省かれ(ry
944 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 17:36:59>>940 正月は時事ネタでしょ。 TM作品のどこに正月関係のネタがあるってのさ。 (いやまあ自分が知らないだけかもしれないけど)
945 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 17:52:57>>938 ギルかっ。相手はギルか――! hollowのあのシーンなのかっ。それでもあのキャスターの慟哭と別離のシーン につながり、その後Fate本編の衛宮家襲撃へつながってしまうのか――!
946 名前: キリング&ファンシーベア 士郎→イリヤ イリヤ→切嗣 その1 投稿日: 2006/01/01(日) 19:14:20「―――うわぁ」 なんて嬉しそうな声を上げるや否や、キリツグは店の中に駈けて行った。 「キリツグ、走ると危ないわよ」 なんて声はもう届いていない。 さて、そうなると店先に一人取り残される事になるんだけど……。 「――――――」 周り中から視線が突き刺さる。さすが男子禁制のファンシーショップ、居心地の悪さは半端じゃない。 一瞬逃げ出したい衝動に駆られたけど、キリツグを置き去りにするワケにもいかない。 「はぁ……」 「イリヤ、こんな所にいたのかい? 遅いよー」 戻ってきたキリツグに手を引かれる。それだけで周りの視線は幾分か緩やかになった気がした。 ―――そもそも、何故ここにわたしとキリツグがいるのかと言うと、単純にキリツグにねだられたからだった。 急襲をかけてきたキリツグに、セラのぬいぐるみが見つかったのだ。 そしてキリツグはひとしきりセラをからかった後、 「これ、僕も欲しい」 ……かくして、キリツグとぬいぐるみを買いに来るコトになった。 セラのぬいぐるみは一品物、というかリズがゲームセンターで取ってきた景品なので、同じものは手に入らない。 その代わりというコトで、キリツグが気に入ったぬいぐるみを購入するコトになったのだ。 「うーん、どれがいいかなー」 まあ、そんな事情は抜きにして。 こうやって、ぬいぐるみをとっかえひっかえに品定めしている様子は微笑ましくもある。 「ねえイリヤ、僕らってどういう関係に見えるのかな」 「どうって……そうね」 兄弟、は無理よね。髪も目も色が完全に違うし、そうはとても見えないわね。 親子って言うのは抵抗があるし、まあ妥当な線で行くと――― 「可愛い女の子と、その面倒を見てるおじさんって所じゃないかしら?」 「え、かわいい? ほんとに?」 「………………」
947 名前: キリツグ&ファンシーベア 士郎→イリヤ イリヤ→切嗣 その2 投稿日: 2006/01/01(日) 19:15:34「ふーん、じゃあそんなかわいい子をエスコートしてるんだからイリヤも大変だね」 「なにがよ」 「んーっと、なんだっけ。そういうおじさんが好きな女の子と間違えられちゃうんじゃないの? 士郎に聞いたんだけどなんて言うのか忘れちゃった」 ―――ほほう。シロウはキリツグに一体何を吹き込んでくれやがったのか? ……しかし、キリツグを連れてこんな所を歩いていればそういう見方をされてもおかしくはない。 こんな所をリンに見られたらどんな誤解を受けることか まあ、結局は葉はあっても根のない噂に過ぎないんだから、堂々としていればいいんだけど。 「それともイリヤ、本当にうちに住んじゃう?」 ぴたっと腕に抱きついてくるキリツグ。 ……前言撤回。堂々となんてできません。 「……それは無理。だいたいね、人を自分の子供あつかいしないでよ」 できるだけやんわりと、それとなく動揺を隠して、キリツグの腕を解く。 「むー、いいよーだ。 そのうち、あの時に素直にうちに来とけばよかったなーって悔しがらせてやるんだから」 「ふふ。はいはい、そうなったらいいわね」 わたしの答えが不満なのか、むーと頬を膨らませたまま、またぬいぐるみを選び始める。 そのうち、なにか猫っぽいぬいぐるみを見つけてこっちに向き直った。 「ねえイリヤ、これなんてどうかな?」 それは人猫とでもいえばいいのか、そんなぬいぐるみだった。キリツグの腕のなかで、手足を伸ばしてだれている。 「……だらけた猫にしか見えないわ。 わたしには猫の良さはわからない。キリツグがそれでいいと思ったんならいいんじゃないの?」 「なに言ってるの? イリヤにプレゼントするんだから、真面目に選ばないと駄目じゃないか」 ――――はい? いま、キリツグはなんて言った? 「キリツグ、ちょっと待って。その、それはどういう意味よ?」 「ないしょ、ないしょ。あ、こっちもかわいいー♪ いじめがいありそー♪」 なんて、嬉しそうに他のぬいぐるみに目を移す。 「……………………逃げようかな、わたし」 キリツグを置いて行けない、と呟いたさっきまでの自分が恨めしい。 い、いえ、きっと冗談ね冗談! …………えー、念のため、帰りにデザートを奮発してもらって、キリツグにご機嫌とってもらおうかな。
948 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 20:40:55>おじさんが好きな女の子 何て言うんだ?
949 名前: 暗剣殺!ついに蘇るホロゥには刻まれなかった暗殺者の伝説! 投稿日: 2006/01/01(日) 22:19:20 ―――時はきた。聖杯の所有権を賭けたサーヴァントの戦いを始めよう。 貴方は選ばれた剣の英霊セイバー。 秘剣燕返しの使い手として君臨する“佐々木小次郎”アサシンの待つ柳洞寺へやってきたのだが、 『マキリ臓硯の策略』によってマスターと分断されてしまった! しかし宿命は待ってはくれない。 聖剣を解放する貴女の前に、前回の聖杯戦争の折に倒した筈のアサシンが現れた……! 逃げるなら14へ。戦うなら14へ進め。 「──────、な」 なにかが心に直接語りかけてくる。 あまりにも古い言語の為、何を言っているかはまったく分からなかったのだが、 「な、なんてコトだ……!このシーンがHFで、なんだか今が前半の山場で、 その勝者はラストバトルに出られるだと……!!!?」 とまあ概要はおおむね掴めた。 「はっはっは!うひょークカカコココキイキイ! その通りだ選ばれた騎士王よ!ああ待っていた、 待っていましたぞワタシの宿命の標的よ!」 「貴様、何者―――!?」 あまりの影薄さに目を開けても見えない。 柳洞寺の隅っこからひょっこり現れた謎の人物は、大麻マキシマムな笑い声をあげまくる。 「ハハハハハ! 何者かですか?何者かですか?何者かですっとぉ? 分からないか、そうかわからないか暗殺者な私! すごいですな気持ちワルイですなー! 見て見てセイバー、佐々木小次郎とか気配遮断とか、 そういうのが溢れちゃってもう全然目立てないですね!」 吹き荒れる風王結界、荒れ狂う短剣、激震する柳洞寺。 そして蟲に囲まれて喰われかけてる正義の味方。 いろんな意味でホラーとも言える光景がいま惜しげもなく大展開。 くっ……このふってわいた聖杯戦争に柳洞寺も激動しているというのかッッッ!!!!? 「ま、まさかオマエは―――アサシン……!!!? バカな、オマエは確かに前回で死んだ筈だ!」 「死んでないのねー! いや、死んだハサンはハサンではないと言いますから、だからこそ今回も召還されたのだ騎士王セイバー! ククク、歴代のフェダーイの無念が私を蘇らせたのだ。 んー、見て欲しいですな、この滾るハッシシ」 ランサーを連想させる魔力の渦。 い、いったいどれほどのパワーアップを……!!!? 「って、なんだかでかくなってるー!」 「キキキ、気持ちはわかるがそう驚かないでほしいな。 そう、今までの私は私じゃあないのだ! えーと、言うなればこれまでの私が人を殺さない暗殺者だとしたら、今からの私は一介の暗殺者。 いや、羽化を待つ芋虫だとしたら、そこから喰い破って出てきた後の足長雀蜂なのだ!」 つまりいくらでもいるというコトだろうか。 あと人の反応(ツッコミ)にちゃんと答える律義者だ。 「まあかまいません。 ともかく私たちは聖杯に選ばれたサーヴァントなんですね!? なんか宿命の対決なんですね!? 私は聖杯の為に、貴公は自分の名前の為に戦うんですね!?」 「ナイスリアクション!話が分かるではないかセイバー! やっぱりこういうノリ好きだったなオマエ!」 「ああ!結構ヤケですけどはっちゃけたり扱い悪かったり出番減ったり黒化したり殺し愛とか大好きです! そんなワケで行くぞアサシン…! オマエだけは絶対にここで倒すッッッッ!!」 「くっ―――吠えるではないか最優のサーヴァント。 だが今日は私の方が強い、日陰者のサーヴァントの力を思い知るがいい……! 行くぞセイバー! ここで蟲のトラップ発動、風除けの呪い展開、妄想心音を解放してして私の見せ場(ターン)エンドだぜッッッ!」
950 名前: 暗剣殺!ついに蘇るホロゥには刻まれなかった暗殺者の伝説! 投稿日: 2006/01/01(日) 22:21:16 「………………………」 「………………………」 セイバーは去った。 先ほどまで渦巻いていたよく分からない蟲も消え、イヤになるほど冷静になる俺たち。 「じゃあ家に帰りますね」 ああ、と頷きだけで答える。 魔術師には言葉をかけてはいけない時があるのだ。 「桜はもらいます。気が向いたら前のルートも再プレイしてみて下さいね」 いそいそと柳洞寺のはじっこに移動する小僧。 あ、鉄の心になった。 「………………………わしも家に帰るか」 ここ三十分ばかりの記憶はまっさらに零れていき、柳洞寺を後にする。 こうしてアサシンによる衛宮士郎暗殺のピンチは去ったのだが、アサシンの最後の見せ場と、 それに敗北した騎士王の物語はあまり盛り上がるコトもなく忘れられるのであった、まる。
951 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 23:06:19色々とダメなアサシンだがなんか生き生きしてるなぁ
952 名前: プロローグ(ホロウ)⇒プロローグ(本編) 投稿日: 2006/01/01(日) 23:09:37 ……何処だろう、ここは。 思い出せない。いや、思い出す、という行為をする気が起きない。 「っ、ぁ――――――」 重い頭、重い手足に力を込める。 言う事を聞かない肉体に鞭を入れて、わずかに体を起き上がらせる。 ……どうやら私はソファーに横たわっていたらしい。 どのくらい眠っていたのか。 それを思い出そうとして、いや、そもそもここが何処なのかを 思い出そうとして、ひどいダメージがこめかみを貫いた。 「―――ここ、は―――」 目眩でグラグラする意識で状況を確認する。 ……どこかの洋館だろうか。 見覚えはあまりない。自分がどうしてここにいるのか、どうして今まで 眠っていたのか、うまく思い出す事が出来ない。 体に至っては手足が重いだけでなく、視力まで衰えているのか、 部屋全体が見渡せても、所々がぼやけて全体を見渡せない。 それでも状況を把握しようとして、ようやく私は 「あ―――?」 目の前に。 何者かが、こっちを向いて立っている事に気が付いた。 「おはよう、目が覚めたわねアーチャー」 十年来の友人のように、女は声をかけてきた。 「アー、チャー……?」 呟いた自分の声にびくりとする。 「あれ? なによ、まだ寝てるのアンタ。 う……ひょっとして部屋を直すのに徹夜してたとか?」 「私は、何故……?」 とにかく、まずその疑問が優先した。 自分がどうして眠っていたのか、どうしても思い出せない為だ。 女は眉をひそめて、部屋の隅を指差した。 そこには古く、大きな姿見がある。 「自分で確認しなさい。それぐらい一人でも出来るでしょう?」 言われるままにおぼつかない足取りで姿見へ向かう。 どことも知れない洋室の一室の、長く、古くとも曇りのない見事な鏡面。 そこに。 呆然と私を見る、見間違いようのない私の姿があった。 色彩を失った白い髪と黒ずんだ肌。 他人を威嚇するような鷹のような眼。 平穏な世界を否定するような、鎧めいた装束と赤い外套。 これは私だ。今まで通りの、何の代わり映えもしない私だ。 「落ち着いた? なら戦場の下見に行くわよ。 お互い、無駄な時間を過ごすのは性に合わないでしょうアーチャー」 「――――――」 その言葉で、小さな違和感は消し飛んだ。 ―――アーチャー。 どうしてその言葉を忘れていたのか。 奇跡を巡る戦い、生き残りをかけた七人の魔術師が使役する 最強の使い魔、サーヴァントのクラス。 私はその為に召喚に応じた。 聖杯を得るための戦い、聖杯戦争に参加する為に。 「……そうだ。私はサーヴァントとして、聖杯戦争に参加した」 弓の英雄として聖杯戦争に挑み、これに勝利する。 それが私の目的だ。 それだけが私の目的だった筈だ。 「…………、っ…………」 ……なのに、何故だろう。 私には聖杯で叶えたいという願いが見当たらない。 思い出せないのではなく、見当たらないのだ。 私は漠然と、聖杯ではなく何かを探していた気がする。 聖杯ではなく、何かを思って、 「―――ちょっとホントに大丈夫なんでしょうね? 他のサーヴァントと戦闘になった時に体調不良で戦えませんなんて、 笑い話にもならないわよ」 半ば意識をやりつつあった私に罵声じみた声がかけられる。 「ああ、どうやら本調子ではないようだが問題ない。 いざ戦いとなれば全力を以って敵を排除しよう」 その返答に満足したのか、 女は身支度を整えると玄関に向かって歩き始めた。 「―――そう。ならいいわ。 さあ、聖杯戦争を始めましょう、アーチャー。 ―――今度こそ、貴方の答えが見つかるといいわね」
953 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 23:15:01やべ、最初普通にうまいこと変えたもんだと思ったが、 最後の凛の台詞で涙腺が刺激された。
954 名前: 士郎→慎二 ギル→凛 投稿日: 2006/01/01(日) 23:30:15「正気なの慎二? ただの一つの条件を飲まず、遠坂の魔術師と勝負するですって? ――――正気なの貴方?勝てる要素のない勝負なんて結末は決まっているわ。 未だそれを悟れないなんて、筋金の入った馬鹿ね。 ええ、それだけは讃えてあげる、慎二」 左手が向けられる。 ――――数にして三十秒。 勝つためには、もはや作り上げるしかない。 「……馬鹿、愚か者か。ああ、別にそういうのも悪くないね。確かにボクは愚者だからね」 片手を胸元に入れる。 片手で探り、親指で操作する。 「ん―――?」 「……勘違いしてた。勝負っていうのは、相手に合わせる事じゃないんだ。 そもそもボクには、そんな真似なんてできっこない」 そう。 言わなくても知られてる。もともとボクに魔術は使えない。 吸収も影操も、借りている物の副産物にすぎない。 「……そう。ボクに出来る事は唯一つ。相手の弱点を、常に突くことだけだった」 ゆらり、と。 前に伸ばした右腕を高く上げ、携帯を操作する。
955 名前: 士郎→慎二 ギル→凛 投稿日: 2006/01/01(日) 23:31:02「――――ねえねえ、今ヒマー?」 その呪文を口にする。 電話とは声を伝達させる手段にすぎない。 この手段は、当然のように在った、言葉を繋げるモノ。 「そう。世迷言はそこまでよ」 放たれる無数の魔力。 ――――呼ぶ。 片手を開けているのはこの為だ。 向かってくる魔術を防ぐためだけに、本から影を引きずり上げる――――! 「ぐ――――!」 乱打する術の群。 影は間桐桜からの借り物だ。 七つの影が砕かれ、裂かれるたびにお互いの距離が欠けていく。 「――――じゃあさ、ちょっと遊ぼうよ」 導く先は一点のみ。 堰を切って溢れ出す言葉は、瞬時に相手の関心を引く。 「え――――なに?」 驚愕は何に対してか。 ただの一般人の言葉をも遮れぬ自らの魔術に対してか、それとも――――この場に響く人の喧騒にか。 「――――じゃあさ、その子達も呼んできなよ. こっちは全然オッケー. 何人でもいいよー.」 壊れる。 溢れ出す喧騒は、もはや抑えが効かない。 人払いの結界内に満ちた千の言葉は、その逃げ場を求めて結界を殺し、基盤を壊し―――― 「―――人がやってくる、ですって―――?」 心臓が落ち着く。 服は、もう所々傷だらけだ。 今まで彼女の魔術が届かなかったにせよ、その時点で間桐慎二の意識は欠けている。 それでも―――― 「――――マジ?あの子達巫女さんだったの?. じゃあさ、それ以外の職業の子達もいたら呼んできてよ」 言葉は流れ出る。 でも構わない。 もとよりこの身は『魔術』を成し得ることの出来ない。 ならば他に手がある筈だ。 この体で造れないのなら、他の手で代用する。 ……いや、今だってそれはある。 ただいないだけ。 即席で作った結界の限度など、初めからたいしたことなかったのだ。 せき止めるものが壁ではなく、意識への働きかけならば。 その限界を埋め尽くして、この場所の日常へ至ろう―――― 「――あーその子は呼んじゃダメ。前に二股がばれちゃった」 四十の魔力で作られた結界に満ちた千の意識は、その逃げ場を求めて場に掛かったあらゆる束縛を壊し――――万の言葉を持って、無数に届く喧騒を引き入れる。 「――――うん、じゃ待ってるねー。後出来れば急いでくれると嬉しいな。うん、また後で」
956 名前: 士郎→慎二 ギル→凛 投稿日: 2006/01/01(日) 23:31:48 会話を終了する。 瞬間。 魔力が消し飛び、日常が再生した。 ――――女性が現れる。 どんどん増える女性は壁となって境界を造り、世界を一変させる。 後にも女性。 唯一つの光もない、女性の群が広がっていた。 「――――」 その光景は、遠坂にはどう見えたのか。 赤い魔術師は鬼気迫る形相で、目前の敵と対峙する。 「……そうだ。魔術を使うんじゃない。 ボクは、他の手段で結果を出す。 それだけが間桐慎二に、いや、唯の人に許された手段だった」 サーカスの一団じみた喧騒。 男のいない、女性だけがいる空間。 一般人しかいないこの世界において、魔術に連なるモノなど使用できない。 それが、慎二の作り出した世界だった。 魔術の限界。 術者の力量によらず必ず存在する物。 一般人間桐慎二の突いた弱点であり、この身で用意できたただ一つの武器。 ここには間桐慎二の関係者しか無く、おそらくは間桐慎二にも手が出せない。 故にその名を“慎二サーカス団” 生涯を掛けて遊び続けたモノが手に入れた、唯一の確かな答え―――― 「―――魔術の限界。それがあんたの手段か……!」 一歩踏み出す。 左右にも、彼女の背後にも女性が存在している。 「驚くことはないよ。これは誰でも出来る手段さ。 キミの言う、取るに足らない存在の出した答えだよ」 両手を伸ばす。 そこらじゅうにいる女性達は、何も分からないので様子を伺っている。 「でもね、代わりの物が本物に敵わない、なんて道理はないのさ。 キミが隠さないというのなら、悉くを報告して、その存在を叩き堕とそう」 前に出る。 目前には、魔術回路を持つ赤い魔術師。 「いくよみんな――――――――今日はボクの奢りでみんながいやって言うまで遊びつくすんだ」 「きゃー慎二さま素敵ー☆」 敵は口を開け、無数の女性を呆然と見る。 あははは×ひゃー☆、笑い去る慎二。 異なる二つの存在は、ここに、前代未聞の結末をつけた。
957 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 23:38:22たしかにいい手段ではあるなw
958 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 23:52:22950過ぎたし、そろそろネタを振り返る?
959 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 00:15:49ホロゥのためか、全般的にシリーズものが多かったな アトゴウラ、スパイラルラダー、慎ちゃんと海、慎二OH!シリーズが多かった>>476 のアトゴウラから立ち上がれないダメットさんとか個人的に好き>>397 ミミックからHFノーマルがせつねくて泣きかな。
960 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 00:21:55個人的に外道(ケダモノ)衛宮シリーズが面白かった。
961 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 00:23:10どれ、というわけではないがNEETセイバーとダメットネタは愁眉だったな。
962 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 00:39:38愁眉(心配のため顔をしかめる)じゃなくて白眉(多数の中でも優れているもの)だよ。
963 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 00:41:18大絶滅!シリーズは結構面白いのがあったな それはいいんだがここに書かれた改変の文をコピペしてさらにそこから改変する人がいるが それは良くない。参考にするのはいいけれど改変の改変はどんどん粗くなってしまう。 ちゃんと元の文から起こそうな。
964 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 00:54:05>>962 あれ、いや愁眉の意味が気になってわざわざgooの辞書で意味を確認しなおして白眉と入れなおしたはずなのにorz
965 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 01:20:35>204 から始まるブロードブリッジトラぶるモードを挙げないわけにはいくまいて 中でもベストは>236-237のチェリー・ブロッサム・セルシアン
966 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 02:35:21>>455 のダメ人間どもにナキワロス。>>494 も発想の妙にワロタ
967 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 03:19:52>>494 はステキだよな。 どう考えても真っ赤に燃えて、ダブル衛宮で聖杯戦争に完勝しそうだ。 外道衛宮シリーズが一番良かった。 サブキャラスキーとして。
968 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 06:45:52トラぶるとミミックHFノーマルがかなり好きだな。 挙げられてないのだと>>470 の発想逆にしたのは凄いと思った。
969 名前: テンプレ 投稿日: 2006/01/02(月) 07:27:539thgin yats\etaF 「ネタスレ、ですか……? SSを書けるのですか、貴方は」 「いや、オレは改変しかできない。SSは、まあ、オレじゃなくて職人の仕事なんだ。 オレのネタは“Fate”の偽物でね。ま、それは>>2 から教えてやるよ」 1.表現を逆にする 2.肯定文を否定文(またはその逆)にする 3.名詞を入れ替える 4.キャラを入れ替える 5.突然場面を切り替える ※名前欄かメール欄に入れ替わったキャラ、あるいは元ネタの場面のどちらかを入れる事 前スレ 8thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1132928110/ 過去スレ 7thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1126791828/ 6thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1121553839/ 5thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1115519595/ 4thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1109402588/ 3thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1105058355/ 2thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1100704160/ 1thgin yats\etaF http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1092275302/ 関連スレ 月姫ネタ総合スレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1062166843/ (型月と関係ないキャラとの入れ替えはこっちで) 【型月・竹箒】月姫のセリフを改造するスレ【総合】http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1064922153/ (セリフだけを改変する場合はこっちで) 体は剣で〜を改変するスレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1075780913/ (UBWの呪文だけを改変する場合はこっちで) 自作SS・絵晒しスレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1074693014/ (文章の多くをオリジナルが占める場合はこっちで) あと、原文を探すのに役に立ったり立たなかったりするスレとして お気に入りの台詞を上げるスレ ※ネタバレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1062860575/
970 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 09:10:18>>956 シリアスなのかギャグなのかどっちだこれ? それと、ワカメでもスーパーシンジでもないのに 凛を圧倒したすごい、ばかな、慎ちゃんキタコレ
971 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 11:26:52>>5 黒剣がスキ。>>94 バカバカしく、なんとなくカコイイ>>106 少林サッカー ナイス>>149 全英が泣いた>>204 ブロードブリッジトラぶるはスゴイ。>>287 問答無用でワロス>>320 氷室は俺のです>>407 単発ながらコレはキタ>>462 このスレの外道衛宮シリーズの第一弾かな>>494 なんだか幸せそうですな>>605 意外な組み合わせなだけに、ダメさが光る>>620 +659+677 外道衛宮シリーズ!>>687 マーボー親子>>716 ダメセイバー>>748 +757+765 こいつは秀作。>>845 全米が泣いた>>868 サブにはきっと意味がある。>>891 燃えハサン。 part8はシンジOH!ネタが流行りだったな。
972 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 11:53:19そのせいでいいかげんシンジOHとランサーズヘヴンは見飽きた感があるけどな。
973 名前: 秋と空と黄金の味 セイバー→バゼット 投稿日: 2006/01/02(月) 12:46:05「士郎君、この集めた落ち葉はどうするのですか」 「普段ならまとめて燃えるゴミに出すんだけどな」 それにしては今日は量が多いし、ちょっとやりたい事があるのだ。 「普段なら、というのはどういう意味ですか」 「ああ。まだ時間もあるし焚き火でもしよう」 「焚き火、ですか」 「ああ。折角集めたんだから有効利用しないと。 それに、今日はこういうものもある」 台所から持ってきた袋を見せる。 「? それは何でしょう……?」 「さつま芋。焚き火でこれを焼いて食べるのがこの国の伝統なんだぞ」 「伝統、ですか」 まあ言い過ぎなきらいはあるが、文化の一つである事に間違いあるまい。 アルミ箔に包んでから、落ち葉に埋めて火をつける。 最近は雨も降らなかったので枯れ枝も乾いていて、火は順調に大きくなる。 十秒。 二十秒。 三十秒。 四じゅ――― (#^ω^) 「うわあああ!!!??? ななな何してんだアンタ!?」 何もクソもねえ、あのヤロウ無言で焚き火を蹴飛ばしやがった! 「もう十分でしょう。取り出します」 弁明それだけ。 否、説明にもなってねえし、そもそも十分じゃねえし。 バゼットは革手袋を両手に嵌め、躊躇(ちゅうちょ)することなくさつま芋を取り出していく。 まことに無骨かつ無体かつ不精だった。
974 名前: 勝手に続編 投稿日: 2006/01/02(月) 13:15:40「? やはり何か不満でも?」 「……不満ってゆーか、不思議ってゆーか。今のイモ、美味かったか?」 「歯応えはありましたね。新聞紙とアルミホイルは余分でした。 ですが調理時間が30秒弱、というのは素晴らしい。次からはこの食事を 主食にしましょう」
975 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 13:18:18笑った。それ生だから!
976 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 13:41:52新聞紙とアルミホイル食ったのか!?
977 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 13:50:55いや、わざわざ包んだり取り出したりするのが面倒だから「余分」なんだろ。 食っても消化できないし、いくらダメットさんでも流石に口にはしない…よな?
978 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 14:19:51それがダメットクオリティ
979 名前: 殺人考察(後) 式⇒アンリ 白純⇒壊れたバゼット 投稿日: 2006/01/02(月) 16:54:39 「――――ふ、ふふ、ふ――――貴方は、最高です」 ……以前は心地良かった笑い声が、今は酷く癪に障る。 「――――最高の、パートナーです」 喉を震わせて、俺の真似をするように芝居めいた言葉を繰り返す。 「さぁ――――終わりのない聖杯戦争を続けましょうアヴェンジャー。 貴方がいれば、きっと私は満たされます」 誘蛾灯に誘われる虫のように、バゼットは俺に歩み寄る。 俺は、彼女を見もしないで、 「他をあたれ。俺はもう止めるわ」 ゆっくりと拒絶の言葉を口にした。 バゼットは俺の言葉の意味もわからず、立ち止まって目をしばたたいた。 「……なに、を」 「悪いけどもうそういうの飽きちまった、って言ったんだよ」 そう、壊れたアンタにはもう興味はない。 そんなものでアンタとの思い出を汚したくはなかった。 大切なものはとっくの昔に失われたって思い知った。 「ふふ……、いつもの冗談ですよね、アヴァンジャー?」 「じゃあな、マスター」 そうして俺は歩き出した。 黒く塗り潰された視界、軋みをあげる体もそのままで、 バゼットの傍らを通り過ぎていく。 彼女は立ち尽くしたまま、吐く息だけを激しくさせて、 俺の背中を見つめていた。 「……このまま、私を見捨てる気ですか」 呟きは、耳鳴りの音に消えていく。 俺ははただ、耳鳴りの音を聴いていた。 「……そんなことは、許しません。 綺礼に裏切られ、左腕もサーヴァントも奪われた! 心の拠り所なんて どこにもありはしない! そして貴方まで私を見捨てるんですか。 なら、バゼット・フラガ・マクレミッツはどこにもいません。 今ではもう貴方だけが、バゼット・フラガ・マクレミッツを繋ぎ止めて くれるというのに!」 ふらつく足をこらえて歩く。 俺は振り返らず、この屋敷を立ち去る事にした。 ――――次の、言葉を聞いてしまうまでは。 「……そう、また教会に行くんですね、アヴェンジャー」 掠れるような笑い声とともに、ソレはそう呟いた。 ――――足が、止まる。 「なら出ていく必要はありませんよ。彼女はちゃんとここにいるんですから」 吐き気が、した。 目の前が揺らいで、倒れそうだ。 何も、考えられなくなった。 ……だっていうのに、なんだって。 俺はそんな台詞だけで、全てが理解できてしまったんだろう…………? 「バゼ、ット―――」 声に、ならない。 振り返らないと決めたのに、俺は振り返っていた。 もう二度と―――彼女に関わるつもりなんてなかったのに。 「貴方が悪いんですよ、アヴェンジャー。 貴方があんな淫売の甘言に惑わされているから、こんな事になったんです。 もっとも殺した所でこの世界では無意味な行為ですが、 何度も苦痛を与え続ければ、そのうち精神の方が耐えられなくなるでしょう ――――この、私のように」 ……何を言ってるか、聞き取れない。 俺の耳は完全にどうかしてしまったみたいだ。 「そうでした、これは彼女の遺品です、少し汚れていますが、 マフラー代わりにでも使ってください」 ぱさり、と赤い聖骸布が床に落ちる。 赤い布地は真っ赤な血でさらに染め抜かれていた。 それが誰のものか、俺はよく知っている。 ……忘れてなんかやるものか、アイツに釣り上げられた思い出なんか。 「……ああ。アンタにやられちまったのか、こいつ」 「そうです。彼女は、最後まで癇に障る説教を続けていました。 私の盲執が貴方を縛り付けているだなんて! 笑わせるでしょう、私はこんなにも貴方を想っているというのに……!」 ……耳鳴りの音が、うるさい。 床に落ちた布キレを拾い上げる。 碌な思い出のない代物だが、なぜか柔らかい手触りがした。 ――――ああ。こんなくだらない場所で、こんなくだらない事で。 アイツは死んじまったんだな。 ……なんでだろう。 ここは俺のユメだったのに。 決して手の届かない、与えられるはずだった当たり前の日常を過ごすだけ のユメだったはずなのに。 ――――どこで狂ってしまったんだろう。 「―――はっ」 頭の布を解いて、代わりに血染めの聖骸布を巻きつける。 下を向いたまま俺は口を開けた。 「―――いいぜ、やろうぜバゼット」 相手を見ないで、俯いたまま。 「俺を必要だと言ったな、俺もだバゼット。 ――――殺す相手のいない殺人鬼ほど不様なモノはない」 きっと俺が見ようとしたのは、 元より夢見る事すら叶わぬ、遠い世界の事だったのだろう。
980 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 17:03:33>>979 バゼットーーーーーー!?依存しすぎや、お前!! マジ、泣ける。アンリ関連は即、涙腺に来る。 これは、やるせないぁ。
981 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 17:10:39>>979 四日間を繰り返す内に壊れてしまったバゼットか…… ダメットというよりも、もはや短編物の題材だな。 タイガー道場でも救えないようなENDだ。
982 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 17:17:54もしアンリが止めようとしなかったらこうなってた可能性もあるかもな… アンリが皮を脱ぎ捨ててまでランサーに頼まなかったらと思うと…
983 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 18:58:04>>977 そのまま食べる 口の中に残った新聞紙とアルミホイルをあとでぺっ 完璧
984 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 19:49:46>>979 これもある意味ダメットの派生ネタなんだろうが、ギャグでなくシリアス一直線 ってのが凄い!つーか涙腺がー・゚・(ノД`)・゚・
985 名前: 終局/奇跡の果て 投稿日: 2006/01/02(月) 22:22:47 ――――じゃあ奇跡を見せてあげる。 前に見せた魔術(とおみ)の応用だけど、今度のはすごいんだよ。 なんていったって、みんなが見たがってた魔法なんだから。 「――――――――、 ヤ」 いい。そんなの見なくていい。いいから戻ってきてくれ。 俺は、 ――――けど体(うつわ)だけは安物かな。 使えるのはゾウケンの体しかないから、完全に再現はできないの。 け、けどだいじょうぶ。リンといっしょに試行錯誤すれば、すぐに元通りにしてもらえるわ。たぶん。 「――――――――、 ヤ……!」 真ん中に進んでいく。 白い装束の誰かは、初めの儀式のように、起動のための生(か)贄(ぎ)になって、そそくさと大聖杯を閉ざしていく。 ―――じゃ、じゃあね。 わたしとシロウは血が繋がっていないけど。 シロウと兄妹で、本当に良かった。 「――――――――」 リヤ。 行くな、やべえと思ってくれるなら行かないでくれ。
986 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 22:38:43>>985 > ――――けど体(うつわ)だけは安物かな。 > 使えるのはゾウケンの体しかないから、完全に再現はできないの。 いっそ殺してくれorz
987 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 22:49:12>985 ヒロインになれなかった、腹いせかイリヤん。 桜に対する復讐?
988 名前: もしも士郎がブロードブリッジに参戦できたら 投稿日: 2006/01/02(月) 22:52:37「迷うコトなんてない。俺は皆を守る正義の味方だ」 両掌の双剣を握り締める。これより、空を見上げることはない。 彼は自らに課した役割通り、この境界を守り通す。 だが―― 「は――――、っ、ふ―――」 正しく呼吸を刻めない。 地上を見つめれば見つめるほど、あわせた歯が軋みをあげる。 強ばった両足にいつもの軽やかさはなく、肩は得体の知れない圧力でしびれている。 「――、っ―――!」 骸たちの行進が始まる。境界を突破される。 その前に、あの先頭部隊をなぎ払う。 なのに震えて、この一歩が踏み出せない。 「……っ、ああもう情けないったら―――」 ごん、と握りこんだ拳が額を打つ。初めから不利であることは承知していた。 この場に立った以上、後はもう、力の続く限り戦うのみ。 「―――――、投影開始」 石の如き両足を動かして、眼下の群れに一歩踏み出す。後退はない。 あと一歩踏み出すだけで彼は死地に飛び込むことになり、 「間抜け……! 貴様、いつまでそこに突っ立っている……!」 その、あまりにもいけ好かない声に、ものの見事に出鼻をくじかれた。 「え?」 それで気が付いた。ここはとうに安全じゃない。 押し寄せる残骸は、既に俺の足元まで攻撃範囲として捉えている―――! 「クソ、何だってこんな手間を――!」 突っ込んでくるアーチャー。 「つ―――――!」 避けようと跳び退こうとした瞬間、体はふわりと空中を飛んでいた。 「え?」 思わず足をバタつかせる。……信じられない。 アーチャーの奴、俺を抱えて走っている―――!? 「……! 降ろせバカ、なに考えてんだお前!」 「知るものか! いいから黙っていろ、お前に言われると自分の馬鹿さ加減に頭を痛めるわ、馬鹿が!」 「馬鹿!? お前、自分が馬鹿だって判ってるのに人のこと馬鹿呼ばわりするのかよ、このバカ!」 「っ……! ええい、ガキか貴様! 馬鹿でガキとはもはや手がつけられん、 せめてどちらかに決めておけ、たわけめ!」 アーチャーも余裕がないのか、言動が支離滅裂だ。 が、助けてもらったというのに、とにかく無性にその事実が納得できないっ。 「このっ―――、いいから放せ、これぐらい一人で何とかする! お前の手は借りない!」 いや、それより足手まといになることが耐えられない。 アーチャー一人なら、とっくに橋から逃げられていた筈だった。 だが俺を庇ったせいで出口は遠のいてしまった。 橋の上を遁走するアーチャーは獣たちからすれば格好の標的だろう。 「アーチャー! 聞いてるのか、お前……!」 「―――そうか。なら遠慮はいらんな」 と、アーチャーは唐突に冷静になって俺の体を蹴り飛ばした。 「がっ―――ー!?」 地面に叩きつけられる。 よほど強く蹴り飛ばしやがったのか、間違いなく五メートルは吹っ飛ばされた。 「てめ――」 痛みを堪えて起き上がる。 「―――え?」 獣の群れが迫る。逃れられない死が訪れる。 まあ……何処に逃げても同じことではあるのだが。 ……こうして増殖を続ける悪意の束。十月十一日の夜。 積み重ねられた死骸の山によって冬木市は週末を迎えた。
989 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 23:10:24バゼット「無様ですね。そんな使い古しの蟲のまま、このわたしに会いに来るとは」 出番すらないので、わたしに媚びにきたのですか?」 蟲爺 「―――蛮脳。なんという低俗さか。 確かに、儂は何者かの肉体を喰らう事でしか存在できぬ腐肉じゃ。 が、それは聖杯を手にし、人類に勝利をもたらすための階梯じゃ。残骸とはいえそれを手にしながら、終わりのない不毛の日常に固執するとは恥を知れ」 バゼット「負け惜しみですね。 貴方とてマキリという、おのが血脈の執念にとらわれている」 ならば、わたしがおのが人生への執念にとらわれていても構わないはずだ」 蟲爺 「……絶望じゃ。 これほど深い絶望は何百年ぶりか。」 この弱さ、この我執こそが儂の敗因であったか。聖杯の元凶(そうぞうしゃ)の一人として、けじめをつけねばなるまいよ」
990 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 10:43:55>979 ワタシ磨耗ばぜっとコンゴトモヨロシクー!?
991 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 10:57:25>>979 壊れバゼットテラ哀シス
992 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 11:47:18>>979 バゼットだと本気で撲殺して死亡確認まできっちりしてそうだからシャレにならん
993 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 12:23:31>>979 カレンカワイソス
994 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 13:03:46それで、次スレは?
995 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 15:30:14次スレ立てた。 9thgin yats\etaFhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1136269748/
996 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 15:34:39乙&梅
997 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 15:37:41Umeeeee
998 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 15:51:22うめめん
999 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 15:53:15梅麺?
1000 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 16:00:24梅酒
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