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あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 4スレ目

801物知りな使い魔 1話:2021/08/03(火) 18:02:12 ID:lLHDRcOA
 幼い頃、魔法少女に憧れていた。可愛く、可憐で、美しくて、優しくて、困っている人の力になって、時には危険な目にも合っちゃうけど、それでも、やっぱり『みっちゃん』は魔法少女に憧れていた。
 現在、みっちゃんは魔法少女に憧れる事がなくなった。なにせ、もう既に自分は『物知りみっちゃん』という魔法少女になってしまったのだから。それでも、こんなのは、幼い時に憧れていた魔法少女とは大きく違う。
 異世界の『魔法の国』から魔法少女の力を授かり、『人事部門』の『汚れ仕事』をして生計を立て、毎日見るのはみっちゃんが殺した魔法使いか魔法少女の死体。こんなのは、とてもみっちゃんが描いていた魔法少女とは、百八十度違った。それでも、やり直すことなんで出来なかった。もう遅いからだ。
 最後にみっちゃんの死地となった場所は、あの周りが田んぼに囲まれた畦道だ。『魔法の国』の三大派閥の内の一つの『プク派』の動向をいつも共に行動していたチームとは外れて観察していた時だった。あの『忍者モチーフの魔法少女』に襲われたのは。
 『投げたものが百発百中』の魔法を持つと予想された魔法少女は玄人だった。殺意だけを向けられて、みっちゃんはそれに『魔法』を使って返した。
 苦無を投げられれば、大岩や板で防ぎ、刀が振るわれればガトリング砲で弾いたりと、何とかしのいでいった。それでも、詰めが甘かった。
 忍者に止めを刺そうとし、それが『忍者の策略』に陥ったことで状況は反転。最後にみっちゃんが意識を失う前にみた光景は、忍者の刀がみっちゃんの体に突き立てられようとする直前だった。



 瞼がゆっくりと開かれる。瞳に少ない光が差し込まれる。ここは、いったいどこだろうか。
 上半身を起こす。体に掛けられていた掛け布団がずり落ちる。……ベット?
 違和感が頭に侵入してくる。どうして、自分がベットで寝ているか。そもそも、ここはどこなのだろうか。
 ふと、自分の体に視線が移る。いつものコスチュームではない。いつも身に着けている梟型のポーチも見当たらず、着ているものはいつもの白衣ではなく、簡素な服。
 心臓辺りに手を這わせる。痛みが無い。血も見当たらない。頭の側頭部にも手を這わせるが、血がついていない。これはいったいどういう事だろうか。

「――ん、ぅ」
「っ!?」

 いきなりうめき声が聞こえてきた。咄嗟に隣の机にある花瓶を手に持つが、すぐにそれは杞憂に終わった。
 みっちゃんが寝ていたベットに寄り添うようにして眠っている、桃色のブロンド髪を肩に掛けた幼い少女。年齢は今のみっちゃんの外見年齢より少し上だろうか。顔が見れないが、恐らく日本人ではないだろう。
 彼女はいったい誰か。その疑問が頭を埋め尽くし、それが今までの情報によって一つ一つ組解かれ、最終的には『彼女がみっちゃんの怪我を治してくれた少女』という結論に至った。
 助けてくれたことに感謝したいが、今のこの状況をまずは何とかしなければならない。
 少女を起こさないようにベットから抜け出し、この部屋――医務室だろうか――にある扉のドアノブに手を掛ける。鍵がかかっているわけでもなく、それはすんなりと回った。監禁されているようではないらしい。扉の隙間から外を覗く。西洋風の造りの廊下が見え、明かりが見当たらない。魔法少女は夜目が聞くため、明かりは必要ないが、人が通りそうな廊下からの逃走はあまり良い手ではない。
 ならばと次に目につくのは、闇が立ち込める外へと続く窓。こんどはそっちに手を掛ける。鍵はついているが、一般的な内側から開錠が出来るタイプだ。これならと、みっちゃんは素早く鍵を外して窓を開け放った。
 蒸し暑い空気が外へ逃げだし、涼しい風が中へと流れだす。後はこのまま外へ逃げだせば――

「――えっ」

 後ろから声を飛び出してきた。振り向きそうになるも、これ以上顔を見られるわけには行かない。みっちゃんは、後ろからの声も気にも留めずに、その場から飛び降りた。


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