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あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 4スレ目

741暗の使い魔 ◆q32nIpOrVY:2019/11/10(日) 13:16:20 ID:nZG4rBBE
ぶしゅっ――!

「……えっ」

岬のニューカッスル城を照らす月夜が、曇天で覆われてまもなく。
今しがた、レコン・キスタ軍を漏らさず監視していた、見晴らし塔のそのメイジは、自分の背後から不意に聞こえた噴水のような音を妙に思い、振り返ろうとしてその場に崩れた。
首をかしげたまま、目を見開いた死体がそこに転がる。
二つも数えぬうちにその首筋から鮮血がしたたり、侵食するように石畳にしみを作る。
その光景を、目下足元にあるその出来事を、その男はにごり切った眼でぼうっと見つめていた。
「……ああ」
間を置かずに、かすれ声の気のないため息がそこに吐き出される。
感嘆とも落胆ともつかぬ、それは何に対してのものか。
実のところ、発した本人にもわかりかねるものであった。
手にした細長い得物からぴちゃりと液がしたたるが、ひゅん、と得物が振るわれ血糊がそこらに払われる。
切っ先が鈍色の刃の輝きを表すと、男は迷いなくあゆみ出た。
塔の縁に足をかけ、辺りに目をこらす。そして、周囲よりもひとしきり高く、いかにも厳重な一区画の建物に目を付ける。
王族の住まう居館だ。
そこに灯りがともったままであることを見るや否や。
「あそこか」
たった一言そう呟き、男は塔から身を投げた。
否、跳んだのだ。
ニューカッスルの数々そびえる塔より、何メイルも高い見晴らし台である。
人が落ちれば、いかなことがあっても助からないことが容易に想像できる、そんな高さだ。
小さな影がかもめのように急降下する。彼の目前にぐんぐんと、地面の石畳が迫る。
だがその激突寸前、男は頭上に腕をかかげ、懐に構えた細長い得物を、器用にも片手で旋回させる。
見る者が見れば、それは曲芸師のバトン回しのように思えただろうか。
その竹とんぼのようなその旋回が、彼の落下の速度を急激に緩めさせた。
とん、と軽い足音がニューカッスルの中庭に着地する。
降り立った彼の目前には、無防備にも開け放たれた扉が、ぽかりと口を開くようにあった。
「王党派の居城、こうも容易いとは。いや、それとも私がこの地において異質なのか……」
ぼそぼそと生気のない声が漏れる。
「私は、一体……」
そこまで喋ると、男は目をつむり押し黙る。
が即座に見開き、男は目前の戸の中へと消えていった。
まるで、初めからそこに何もいなかったかのように、静寂だけがその場に残されていた。


暗の使い魔 第二十三話『羽虫』


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