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あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 4スレ目

711ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo:2018/12/31(月) 17:51:32 ID:9f89S4RY
「お互い名も知らぬままだと色々不便だろう。私はミシェル、元トリスタニアの衛士隊員さ」
「…………お、俺はトーマス。ただのトーマスだよ」
 こんな状況の中にも係わらず、勇ましい微笑みを浮かべながら自己紹介をしたミシェルを前にして、少年もまたそれに続くほかなかった。
 何処とも知らぬ廃屋の中、本来ならば捕まえ、捕まえられる立場の二人は身動き一つ取れぬ状況の中で何となく互いに自己紹介をする。
 それはとても奇妙なところがあったが、鉄格子から入ってくる陽の光がその場面にドラマチックな彩を添えていた。

 時刻は午前を過ぎ、昼の十二時へと差し掛かろうとしている時間帯。
 昼飯時だと腹を空かせた街の人間や観光客たちは、ここぞとばかりに飲食店を目指して街中をさまよい始める。
 店側も店側でここぞとばかりに店匂いに包まれて、それに食指が触れた者たちはさぁどの店にしようかと辺りを見回す。
 そんな光景が見渡せるトリスタニアの南側大通りに設けられた広場で、霊夢は欄干に寄りかかる様にして眼下の水路を眺めていた。
 年相応と言うにはやや大人びた表情を見せる彼女の顔には、ほんの微かではあるが不満の色が見え隠れしている。
 背後から聞こえてくる賑やかで喜色に満ちた喧騒を無視するかの様に、一人静かに流れる水路を見つめている。
 そんな彼女の様子を見て耐えきれなくなったのか、足元に立てかけていたデルフが鞘から刀身を少しだけ出して彼女に話しかけてきた。
『どうしたレイム、お前さんいつにも増して落ち込んでるようだな。さっきまでそれなりにやる気満々だったっていうのに』
「デルフ?いや、どうしてこう世の中っていうのは私に色々と難題を押し付けてくるのかなーって考えてただけよ」
『……まぁ、色々あって本当にやろうとしてた事が後回しになっちまったていう所では同情しちまうね』
 落ち込む様子を見せる『使い手』の言葉を聞いて、今のところ中立だと自覚していたデルフもそんな言葉を出してしまう。
 今の彼女の状況は、本当にやろとしていた事が色々なトラブルがあった末に全く別の仕事にすり替わってしまったのだ。
 最初こそまぁ仕方なしと思っても、落ち着いた今になって振り返ってため息をつきたくなるという気持ちは何となく分からなくもない。
  
「そもそも私の専門は妖怪退治とかであって、悪党退治とかじゃないのに……しかも助けを頼んできた方も悪党とかどういう事なのよ?」
『まぁ化け物も悪党も何の関係も無い人に危害を加えるって共通するところがあるから良いんじゃないのか?』
「人間相手だと一々手加減しなくちゃいけないじゃない。それが一番面倒なのよねぇ」
 霊夢の刺々しい言葉を聞いてデルフは「おぉ、怖い怖い」と刀身を震わせて静かに笑った。
 丁度その時であっただろうか、背後から聞きなれた少女の声が自分を呼び掛けてくるのに気が付いたのは。
「レイムー今戻ってきたわよー」
 その呼びかけに振り返ると、右手を軽く上げながら小走りで近づいてくるルイズの姿が見えた。


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