したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 4スレ目

664ウルトラ5番目の使い魔 78話 (8/14) ◆213pT8BiCc:2018/10/05(金) 18:07:11 ID:ClJwH74c
 ポーラポーラの街は酒場で賑わうような者すらもいなくなって久しく、日が落ちるとわずかな住人も家に閉じこもって街は静寂に包まれてしまう。
 夜道に響くのは野良犬の声ばかりで、街は本当に死んでしまっているかに見えた。しかし……その深夜のこと、タバサは妙な不快感を感じて目を覚ました。
「んっ……何?」
 頭の中に沁み込んで来るような、聞いたこともない高い音がタバサの耳に響いてきた。しかもそれは耳を塞いでも頭の中に執拗に鳴り響いてきて、タバサは直感的に危険を感じて呪文を唱えた。
『サイレント』
 音を遮断する魔法の障壁が張られ、タバサは不快音から解放されてほっと息をついた。
 いったい今の音は何? タバサはサイレントの魔法を張ったまま客室を出ると、まずは宿の様子を確かめた。 
「みんな、眠らされている……」
 宿の主や泊り客は皆、揺り起こしても何の反応もないくらい深く眠らされていた。あんな不快音の中でなぜ? と、思ったが、タバサは自分が風のスクウェアメイジだということを思い出してはっとした。
 なるほど、自分は風の脈動、つまり音に対して人一倍敏感だから、普通の人間とは逆の反応をしてしまったのだ。あの不快音は、恐らく普通の人間に対しては催眠音波として働くのだろう。自分もスクウェアにランクアップしていなければ危なかった。
 しかし、なぜこんな辺鄙な街でそんなものが? いや、考えるのはもっと状況を把握してからだと、タバサは直感に従って夜の街へと飛び出した。
 深夜の街は洞窟の中のように暗く不気味で、今日は月も大きく欠けている日だったので月光もほとんどなく、タバサは『暗視』の魔法を自分の目にかけて路地を進んだ。
 おかしい……昼間とは空気が違う。タバサは駆けながらも、ポーラポーラの街を流れる空気の異常に気付いた。昼間は寂れていながらも人の住んでいる街らしく、生ゴミの腐臭や生活の煙の臭いがかすかに嗅ぎ取れたが、今はまるで新築の家の中にいるような無機質な空気しか感じない。まるで街がそっくり同じ姿の箱庭に変わってしまったような。
 そのとき、タバサは人の気配を感じて物陰に隠れた。ぞろぞろと、こんな深夜には似つかわしくない大勢の足音が近づいてくる。
「あれは……」
 タバサはそれらの中の数人に見覚えがあった。ついさっきまで自分がいた宿の主や泊り客らだ。その誰もが操り人形のように虚ろな表情で歩いていった。
 彼らをやり過ごした後、タバサは疑念を確信に変えた。この街ではなにか異常な事態が起こっている。
 すると、さっき街の人たちが去っていった方向から足音がして、タバサは再度身を隠した。すると妙なことに、さっき去っていった街の人たちが戻ってきたではないか。
 だがタバサは違和感を覚えた。街の人たちの様子が変わっている。さっきは操り人形のようだった表情が、どこか悪意を感じる薄笑いに変わっていたのだ。
 操られているのか……それとも。タバサは考えたが、遠巻きに観察するだけでは確証を得るのは無理だった。いやそれどころか、タバサの目に信じられない光景が映りこんできたのだ。
「町が……動いている!?」
 思わず口に出してしまったほど、タバサの見た光景は常識を外れていた。さっきまでタバサの寝ていた宿の近辺の建物が動き出して地下に沈んでいったかと思うと、まったく同じ建物が地下からせり出してきて、パズルのように元通りはまっていったのである。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板