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あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 4スレ目

658ウルトラ5番目の使い魔 78話 (2/14) ◆213pT8BiCc:2018/10/05(金) 17:44:59 ID:ClJwH74c
 「お邪魔します」と、タバサは礼儀なのか嫌味なのかわからないふうに言い、中に足を踏み入れる。中からは埃っぽさのある空気か流れてきて鼻をつき、礼拝堂や懺悔室は物置小屋に見えるほど荒れ果てていたが、奥の給湯室と浴室のあたりだけは生活臭を漂わせていた。
「あなたがプチ・トロワから姿を消したと聞いてずいぶん探した。最初は別荘地などを探したけど、ここまで僻地に逃れているとは思わなかった」
「フン、それでも見つかっちまったら同じことさ……あいつらから聞いたのかい?」
 イザベラが尋ねると、タバサは小さく頷いた。
「あなたに協力者がいたことを思い出せたおかげで、わたしもなんとかあなたの足取りをつかめた。信用してもらうのには随分かかったけど、イザベラ様をどうかよろしくと強く頼まれた」
「ちっ、まったくあのデブとメイドめ……せっかく一人暮らしを楽しんでたっていうのにさ」
 舌打ちすると、イザベラは足音も荒く廊下を曲がった。よれよれの修道服がはためいて埃が舞うが、当人は気にもかけていない。  
 タバサはその後ろ姿を見て、それにしてもあつらえたようによく似合っているなと妙なおかしさを感じた。今のイザベラを見て王女だとわかるものはごく近しい者しかいるまい。元々王女らしくなかったけれども、髪は動きやすいようにまとめてあるし、修道服の着こなしはだらしなく、ただの町娘と言って疑う者はいるまい。これならずっと見つからなかったのもうなづける。
「ずっと一人で暮らしていたの?」
「ああ、食べるものはたまにアネットのやつが届けてくれるし、道具はだいたいここに揃ってるからな。このボロ教会はド・ロナル家の持ち物だそうだから、訪ねてくる奴はまずいない。隠れ家にはいいとこだよ」
「でも、誰にも世話をしてもらえずに、よくあなたが我慢できた」
「そりゃ最初は面倒だったさ。けど、慣れてしまえば独り暮らしも楽しいもんさ。好きなときに食えるし寝れるし、何よりうるさい奴らがいない」
 イザベラは、気にもとめてない風に平然と言う。
 開き直ったときの思い切りのよさは、どこかキュルケに似ているなとタバサは思った。わがままで自分勝手だが、プライドの高さゆえに独立心も強い。
「ほらよ、こんなものしかないけど飲みたきゃ飲みな」
 元はシスターたちの更衣室であったらしい部屋に置かれたテーブルにタバサを座らせ、イザベラはひびの入ったコップに茶を注いで、地味な菓子を振る舞ってくれた。
 タバサは黙ってイザベラに従い、室内をざっと見渡した。すくなからぬ時間を過ごした形跡がある割には、掃除をする気なんかまったくないふうに散らかり放題で、テーブルも埃まみれではあったけれど、タバサにはそれのほうがなぜか安心できた。
 テーブルを挟んで、よく似た顔立ちをした従姉妹同士が向かい合う。
「いただきます」
 ぽつりと言い、タバサはコップに注がれたお茶に口をつけた。味も香りもほとんどせず、ただの色水に近い。
 けれど、温かみだけはあり、コクコクとタバサは数口飲んだ。イザベラは、「けっ、この悪食め」と呆れて見ているが、タバサは今日ここに来てよかったと感じていた。


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