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あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 4スレ目
564
:
ルイズと無重力巫女さん
◆1.UP7LZMOo
:2018/07/31(火) 23:12:12 ID:7PqA9ujA
朝だというのに夏の陽光に晒されて、今日も水準値よりやや高い気温に包まれた王都トリスタニアがブルドンネ街。
こんなにも暑いというのに平常通りに市場はオープンし、今日も多くの人々がこの街を出入りしていた。
タオルやハンカチに日傘などを片手に狭い通りを歩く市民らの顔からは、これでもかと言わんばかりに汗が滲み出ては流れ落ちていく。
夏に入ってからというものの、街中のジュースやアイスクリームを販売するスタンドの売り上げは日々右肩上がり。
今日も木陰に設置されたジューススタンドには、キンキンに冷えた果汁百パーセントのジュースを目当てに人々が列を作っている。
とある通りに面したレストランでも、冷製スープなどが話題のメニューとして貴族平民問わず話のタネになっていた。
更にロマリア料理専門店ではそれに触発されてか、冷たいパスタ…つまりは冷製パスタという創作料理が貴族たちの間で話題となっている。
そのロマリアからやってきた観光客たちからは困惑の目で見られていたが、それを気にするトリステイン人はあまりいなかった。
どんなに暑くなろうとも、その知恵を振り絞って何とか耐え凌ごうとする人々でひしめきあうブルドンネ街。
その一角…大通りから少し離れた先にある小さな広場に造られた井戸の前で、霊夢はジッと佇んでいた。
額や髪の間から大粒の汗を流しながら一人呟いた彼女の視線の先には、井戸の横に設置された看板。
ガリア語で『飲み水としてもご利用できます!』と書かれた看板を睨み付けながら、背中に担いだデルフへと声を掛ける。
「デルフ…この看板で良いのよね?」
『んぅ?あぁ、飲み水としても使えるって書いてあるから、問題なく飲めると思うぜ?』
ま、保証はせんがね。と釘を刺す事を忘れないデルフの言葉に頷きつつ、霊夢は井戸の傍に置かれた桶を手に取った。
それを井戸の中へ躊躇なく放り込む。少しして、穴の底から桶が着水する音が聞こえてくる。
それを聞いて小声で「よっしゃ」と呟いた彼女は、ロープを引っ張って滑車を動かし始めた。
カラカラと音を立てて滑車は回り、井戸の中へと落ちた桶を地上へと引っ張り上げていく。
やがて水を満載した桶が井戸の中から出てくると、霊夢は思わず目を輝かせてその桶を両手で持った。
袖が濡れるのも気にせず中を覗き込むと、驚く程冷たく澄み切った水が桶の中で小さく揺れ動いている。
思わず上げそうになった歓声を堪えつつも、彼女は桶を器に見立ててゆっくりと中の水を飲み始めた。
ゴクリ、ゴクリ…と喉を鳴らす音が広場に聞こえた後、満足な表情を浮かべた博麗の巫女がそこにいた。
「いやー!生き返った生き返った!やっぱこういう時は冷たいお茶か…次に冷たい水よねぇ〜」
数分後、井戸の横にある木の根元に腰を下ろした霊夢はそう言って、傍らに置いた桶をペシペシと叩いて見せた。
中には数えて四杯目となる水がなみなみと入っており、彼女に叩かれた衝撃でゆらゆらと小さく揺れ動いている。
本来ならば桶の独占は禁止されているものの、幸いな事にこの広場には彼女とデルフ以外誰もいない。
それを良い事に霊夢は今この時だけ、井戸の桶をマイカップみたいに扱っていた。
「今回は有難うねデルフ、アンタのおかげでそこら辺で干からびてるトカゲやミミズの仲間入りせずにすんだわ」
潤いを取り戻した彼女は満面の笑みを浮かべて看板を呼んでくれたデルフに礼を言いつつ、片手で水を掬っては鞘から出した彼の刀身に水を掛けている。
『そりゃーどうも。…ところでいい加減、オレっちの刀身に水かけるのやめてくんね?』
「何でよ?アンタ体の殆どが金属なんだから一番涼みたいんじゃないの?」
『そりゃまぁ冷たいのは冷たいが、できればその桶に水一杯張ってさーそこに突っ込んでくれるだけでいいんだが…』
「そんな事したら私が水を飲めなくなっちゃうから駄目」
デルフの要求を笑顔で拒否した霊夢は、それから暫くの間デルフの刀身に水を掛け続けてやった。
それから三十分程経った頃、ようやく満足に動けるだけの休息を取った彼女は左手に持った地図と睨めっこをしていた。
ルイズの鞄から無断で拝借しておいたこの地図は、王都トリスタニアのものである。
主な通りやチクトンネ街とブルドンネ街の境目の他、御丁寧にも旧市街地の通路も詳細に描かれていた。
霊夢はそれと空しい睨めっこを続けつつ、ついさっき特定できた現在地からどこへ行こうかと悩んでいる最中である。
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