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あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 4スレ目

341ウルトラ5番目の使い魔 68話 (10/15) ◆213pT8BiCc:2018/02/20(火) 22:02:30 ID:4OzmZrQ6
 しかし部屋は中古の魔法のランプの明かりで薄赤く照らされ、リュシーは紅に染まったように見えるコルベールの頭と顔を上目遣いに見ながら話し始めた。
「今日は、とても怖いことがありました。大勢の人が傷つき、悲鳴やうめき声が聞こえ、血の匂いを嗅ぎました。わたしはこれまでの旅でも、何度も悲しい場面を目のあたりにしましたが、今日は本当に戦場というものの怖さを感じました。コルベール様、どうして人はこうも悲劇を繰り返すのでしょうか?」
「そうですね。私も、もう若いとは言えない歳になるまで生きてきましたが、それについてはよく考えます。ですが私の乏しい頭で思うに、たとえその理由を知ったところで、争いや悲劇が消えることはないのでしょうな」
「それは、どうしてですか?」
 部屋は無音で、冷めかけた白湯が最後の湯気をあげた後には動くものもない。
 尋ねられたコルベールは、虚空を仰ぎながら独り言のように言った。
「人には、たとえ悪意がなくとも、誰かを不幸にしてでもやらねばならないことや、やりたいことがあるからですよ。人から見たら間違ったことでも、それが間違っているとは思わない、間違っているとわかっていてもやらねばならない、そして……間違っていると気づいたときには、もう遅いということもあります」
 寂しげにつぶやいたコルベールの語りは真に迫っていて、まるで全てを見てきたようなその横顔は、見る人間が見れば鬼気迫るという風にすら感じられただろう。
 しかしリュシーは、コルベールの言葉にわずかに肩を震わせたものの、そのままコルベールにすり寄るように身を寄せてきた。
「人とは、なんと恐ろしい性を持っているのでしょうか。コルベール様、わたしは怖い、とても怖いのです」
「ミス・リュシー、お顔が近いですよ。聖職にある者が、みだりに体を他者にゆだねてはいけません」
 少し首を伸ばせば口づけができてしまうほど顔を寄せられても、コルベールは冷静であった。
 もし、半日前のコルベールであれば興奮して我を失っていたに違いない。しかし、今のコルベールは違った。
「コルベール様、もし恐ろしい犯人があなたの大切なオストラントを狙ってきたとしたら、どうしますか?」
「すでにクルデンホルフに使いを出し、明日にも屈強な騎士団が警護につくことになっています。心配はいりませんよ」
「さすがコルベール様。ですが、この街のどこかに恐ろしいメイジがまだ潜んでいるかもしれません……コルベール様、わたしは怖くてたまりません。せめて今宵一晩だけでも、いっしょに過ごしてはいただけないでしょうか?」
 甘えるような声で言うリュシーに、コルベールは答えない。しかし、沈黙を肯定ととったのか、リュシーはさらにコルベールにすり寄りながら言った。
「わたし、昼間のコルベール様の勇ましいお姿を見てから、胸の奥が熱くてたまりませんの。お願い、抱いて……あなたのその腕で、わたしを強く……あなたが、好き」
 まるで人が変わったような甘え切った誘惑の声。それは男の理性を溶かし、乱心させてしまうだけの力を十分に持っていた。
 しかし、コルベールは寄りかかってくるリュシーをぐっと引き離すと、悲しさを孕んだ目を向けながら言った。
「ミス・リュシー、船を爆破したメイジたちを手引きしたのは、あなたですな」
 それは見えない落雷であり、通告を受けたリュシーの表情を虚無に変えるのにたくさんな威力で二人の間に轟いた。


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