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あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 4スレ目
200
:
ルイズと無重力巫女さん
◆1.UP7LZMOo
:2017/10/31(火) 22:05:23 ID:.xFHoMyw
地獄とも言える夏場の市場めぐりにも、終わりというものは必ず存在する。
自ら人ごみの中へと入ったルイズが歩き続けて数十分、ようやく人の流れが少なくなり始めたのに気づく。
三本目のジュースに手を付けようかとしていた矢先の幸運。彼女ははやる気持ちを抑えて前へと進む。
そして…―――、彼女はようやく地獄から脱出することができた。
「あっ…――やった。やっと、出る事が出来たわ」
予想通り、人ごみの途絶えた先にあったのは休憩所を兼ねた小さな噴水広場であった。
中央の噴水を囲むようにして日よけの為に植えられた樹と、その周りに設けられたベンチに平民たちが腰を下ろして一息ついている。
ハンカチやタオルで汗をぬぐう者、近くにある屋台で買ったジュースを味わっている者や談笑しているカップルと老若男女様々。
ザっと見回したところで二十数人近くがここで休んでいるのだろうか、市場を出入りする通行人もいるので詳しい数は分からない。
それでも背後にある地獄と比べれば酷く閑散としており、涼むには丁度良い場所なのは間違いないだろう。
ルイズはすぐ近くにあったベンチへと腰かけると、ホッと一息ついて肩の鞄をそっと地面へと下ろした。
そして鞄からハンドタオルを取りだすと、顔と首筋からびっしりと滲み出てくる汗をこれでもかと吸い取っていく。
「ふうぅ…っ!全く、冗談じゃなかったわよ…夏季休暇で市場があんなに盛況になるだ何て、今まで知らなかったわ」
先ほど潜り抜けてきた下界の灼熱地獄を思い出して身を震わせつつ、程よく湿ったハンドタオルを自身の横へと置く。
鬱陶しくしても人ごみのせいで拭けに拭けなかった汗を拭えた事である程度気分も落ち着けたが、今度は着ている服に違和感を感じてしまう。
この前平民に変装する為にと買った服も早速汗で湿ってしまったのだが、流石に服の中へタオルを入れる真似なんてできない。
生まれも育ちも平民の女性ならば抵抗はないだろうが、貴族として生まれ学んできたルイズには到底無理な行動である。
その為着心地はすこぶる悪くなってしまったものの、それもほんの一時だと彼女は信じていた。
(まぁこの気温ならすぐに乾くでしょうし、ほんのちょっとの辛抱よ)
丁度木の陰が太陽を遮るようにしてルイズが腰かけるベンチの上を覆っており、彼女の肌を紫外線から守っている。
周囲の気温はムワッ…と暖かいものの、それでも木陰がある分暑さは和らいでいる方だ。
もしもこの広場に樹が植えられていなければ、こんなに人が集まる事は無かったに違いない。
そんな事を思いつつも、ルイズは休憩ついでに鞄から三本目のジュースが入った瓶と携帯用のコルク抜きを取り出す。
「そろそろ飲み始めないと温くなっちゃうだろうし、冷たいうちに堪能しておかないと」
一人呟きながらもT字型のコルク抜きを使い、手慣れた動作でルイズはオレンジジュースのコルクを抜く。
そして抜くや否や最初の一口をクイッと口の中に入れて、そのまま優しく飲み込んでいく。
オレンジ特有の酸味と甘みが上手く混ざり合って彼女の味覚に嬉しい刺激を、喉に潤いをもたらしてくれる。
途端やや疲れていた表情を浮かべていたルイズの顔に、ゆっくりと微笑みが戻ってきた。
「んぅー…!やっぱり、こういう暑い日の外で飲む冷たいジュースっと何か格別よねぇ」
瓶を口から放しての第一声。人ごみの中で飲んだ時には感じられなかった解放感で思わず声が出てしまう。
涼しい木陰に腰を下ろせるベンチと、殆ど歩きっぱなしでいつ終わるとも知れぬ市場めぐりとではあまりにも状況が違いすぎる。
あれだけの人の中を今まで歩いた事の無かった彼女だからこそ、ついつい声が出てしまったのだ。
しかし…それを口にして数秒ほど経った後でルイズは変な気恥ずかしさを感じて周囲を見回そうとしたとき…
「おやおや、随分と可愛らしい貴族のお嬢様だ。こんな所へ一人で観光しにきたのかい?」
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