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あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 4スレ目

199ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo:2017/10/31(火) 22:03:41 ID:.xFHoMyw


 世間では夏季休暇の真っ最中であるトリスタニアはブルドンネ街にある巨大市場。
 ハルケギニア各国の都市部にある様な市場と比べて最も人口密度が高いと言われる其処には様々な品物が売られている。
 食料や日用雑貨品は勿論の事、メイジがポーションやマジック・アイテムの作成などに使う素材や鉱石、
 そこに混じって平民の子供向けの玩具や絵本、更には怪しげな密造酒が売らていたりとかなりカオスな場所だ。
 中には専門家が見れば明らかに安物と分かるような宝石を、高値で売っている露店もある。
 様々な露店が左右に建ち並び、その真ん中を押し進むようにして多くの人たちが行き来していた。

 市場にいる人間の内大半が平民ではあるが、中には貴族もおり、その中に混ざるようにして観光に来た貴族たちもいる。
 彼らは母国とはまた違うトリスタニアの市場の盛況さに度肝を抜かれ、そして楽しんでいた。
 見ているだけでも楽しい露店の商品を眺めたり、中には勇気と金貨を持って怪しげな品を買おうとする者たちもいる。
 買った物が使えるか役に立つのならば掘り出し物を見つけたと喜び、逆ならば買った後で激しく後悔する。 

 そんな小さな悲喜劇が時折起こっているような場所を、ルイズは汗水垂らして歩いていた。
 肩から鞄を下げて、右手には先ほど屋台で買った瓶入りのオレンジジュース、そして左手には街の地図を持って。

 思っていた以上に、街の中は熱かった。暑いのではなく、熱い。
 まるですぐ近くで炎が勢いよく燃え上がっているかのように、服越しの皮膚をジリジリと焼いていく。
 左右と上から火で炙られる状況の中で、ガチョウもこんな風に焼かれて丸焼きになるのだと想像しながら歩いていた。
「…迂闊だったわ。こんな事になるんなら、ちょっと遠回りするべきだったかしら?」
 前へ前へと進むたびに道を阻むかのように表れる通行人の間をすり抜けながら、ルイズは一人呟く。
 霊夢や魔理沙たちに負けじと勢いよく『魅惑の妖精』亭を出てきたのは良いものの、ルートが最悪であった。
 チクトンネ街は日中人通りが少ないので良かったものの、ブルドンネ街はこの通り酷い状況である。
 観光客やら何やらで市場は完全に人ごみで埋まっており、それでも尚機能不全に陥っていないのが不思議なくらいだ。
 
 普段からここを通っていたルイズは大丈夫だろうとタカを括っていたが、そこが迂闊であった。
 一旦人ごみの中に入ったら最後、後に戻る事ができぬまま前へ進むしかないという地獄の市場巡りが待っていた。
 人々と太陽の熱気で全身を炙られて意識が朦朧としかけ、それでも荷物目当てのスリにも用心しなければいけないという困難な試練。
 ふと立ち止まった所にジュース屋の屋台がなければ、今頃人ごみの中で倒れていたかもしれない。
(こんな事なら帽子でも持ってきたら良かったわ。…でもあれ結構高いし、盗まれたら大変ね)
 ルイズは二本目となるオレンジジュースの残りを一気に飲み干してしまうと、空き瓶を鞄の中へと入れた。
 鞄の中にはもう一本空き瓶と、もう二本ジュース入りの瓶が二本も入っている。
 幸いにもジュース自体の値段は然程高くなかった為、念のために四本ほど購入していたのだ。
 
 他にはメモ帳と羽根ペンとインク瓶、それに汗拭き用のハンカチとハンドタオルが一枚ずつ。
 そして彼女にとって唯一の武器であり自衛手段でもある杖は、鞄の底に隠すようにしてしまわれている。
 万が一の考えて持ってきてはいたが、正直杖の出番が無いようにとルイズはこっそりと祈っていた。
(私の魔法だと一々派手だから、一回でも使ったら即貴族ですってバレちゃうわよね)
 それでも万が一の時が起これば…せめて軽い怪我で済ませるしかないだろう。


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