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避難所用SS投下スレ11冊目
93
:
ウルトラ5番目の使い魔 23話 (8/11)
◆213pT8BiCc
:2014/09/24(水) 02:00:27 ID:kjHCfTJM
しかし、シェフィールドはそれでいいと思っている。自分の考えで計りきれるほどジョゼフの器は小さくも浅くもない。それでも、今の自分にはジョゼフから与えられた役割がある。それがある限り、自分はジョゼフにとって不要なものではないはずなのだから。
シェフィールドの見渡すリュティスの景色は、すでにジョゼフへの歓呼一色となっていた。これから、ロマリアの口からジョゼフが無能王と呼ばれてきた所業のすべてはエルフによるものだということが語られて、ジョゼフはその洗脳から解放されて救世主として現れたのだと言えばすんなり受け入れられるに違いない。
そして、憎むべきはエルフだということになり、高らかに『聖戦』が宣言される。ガリアの人間は奇跡の虚無の力に浮かれて、エルフ討つべしと気勢をあげるのも目に浮かぶ。その先に用意されているのは地獄だというのに。
ともあれ、茶番劇の幕は開いた。あとは大団円まで引っ張れるかは演者の腕にかかっている。だが、世界の破滅の懸かった茶番劇だ、腕のふるいがいがある。なにより、シャルロットをはじめとする邪魔者はもはやいないのだ。
そう、我らの大望をはばむ者はもういない。ガリアはこれで完全に支配下におき、ロマリアの教皇の権威が後押ししてくれている以上、遮る者はすべて異端者として処理できる。ゲルマニアもロマリアには逆らえないし、小国トリステインなど歯牙にもかからない。もはやハルケギニアをあげた聖戦の発動は決まったも同然なのである。
邪魔者が消えた以上、自分の残りの人生はジョゼフさまの望みを成就させる一点にのみ使う。シェフィールドの心は情熱で燃え上がり、それ以外のすべてを忘れて輝いていた。
が、シェフィールドはこのとき、たったひとつ計算違いをしていたことに気づいていなかった。
それは、確実に始末したと思ったキュルケたちの生死についてである。
あのとき、シェフィールドは爆発寸前のガーゴイルから、自分の目がやられることを恐れてリンクを切った。ところが、リンクを切ってから実際にガーゴイルが爆発するまでの間に、ほんのコンマ数秒だけタイムラグがあったのだ。
もちろん、そんな瞬きひとつするだけで終わってしまう時間でキュルケたちに打てる手などあるわけがない。しかし、シルフィードの必死の努力によってかろうじてトリステイン領空へと飛び込めていたことが、キュルケたちの運命を天国への門から引きづり戻すことになったのだ。
爆発寸前のガーゴイルに組み付かれて墜落していくシルフィード。だが、その様子をトリステインに入ってから、彼女たちの頭上より、ずっと鋭い視線で睨み続けていた者がいたのだ。
それは、最初は空を飛んでいても誰も気に止めないほどの小さな存在でしかなかった。その正体とは、白い文鳥のような一羽の小鳥である。それゆえ、シェフィールドにもシルフィードにも気づかれていなかったのだが、全速力で飛ぶシルフィードにやすやすとついてくる速さとスタミナは文鳥のものではない。
そしてその小鳥は、目の前で繰り広げられた戦いをじっと見守り続けていたが、シルフィードがガーゴイルに組み付かれて墜落していくのを見ると、シルフィード目掛けて雷のように急降下を始めた。
小鳥の視界の中でシルフィードが見る見るうちに大きくなっていく。シルフィードの背に乗っているキュルケやジルの姿も、すでにくっきりとその眼に捉えていた。
シェフィールドが、ガーゴイルとのリンクを切ったのはちょうどその時である。強いて言えば、このときシェフィールドの視界に小鳥は入ってはいた。ところが、あまりにも小さくありふれた小鳥の姿だったので、シェフィールドは完全にそれを見過ごしてしまっていたのだ。
だが、もしもあとほんの一瞬でも長くシェフィールドがガーゴイルと視界を共用していたら、彼女はとてもジョゼフの演劇に気持ちよく参加することはできなかったに違いない。
なぜなら、シェフィールドが目を離したまさにその瞬間だった。それまで手に乗るほど小さかった小鳥が、一瞬にして翼長五十メートルもの巨鳥へと変貌し、シルフィードとのすれ違い様に爪の一撃で持ってガーゴイル二体をバラバラに引き裂いたのである。
決着はそれで着いた。バラバラにされたガーゴイル二体は風圧で数百メートルは吹き飛ばされ、そこで起爆して空のチリとなった。もちろんシルフィードにはなんの影響もない。
そして、巨鳥はくるりとUターンして戻ってくると、墜落し続けていたシルフィードを鷹が雀を捕えるように空中で掴みあげて、そのままトリスタニアのある方角へと飛び立った。
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