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避難所用SS投下スレ11冊目

901ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc:2017/07/14(金) 06:39:09 ID:Ux9.ySDg
ウルトラマンゼロの使い魔
第百四十九話「ロマリアの夜に」
炎魔人キリエル人 登場

 ロマリア。ガリア王国真南のアウソーニャ半島に位置するこの都市国家連合体は、現在は
ハルケギニアの人間の最大宗教であるブリミル教の中心地とされる宗教国家である。始祖
ブリミルはロマリアの地で没し、後世の人間がこれを利用してロマリアを“聖地”に次ぐ
神聖なる場所であると主張したことがその始まりだ。そしてロマリア都市国家連合はいつしか
“皇国”となり、代々の王は“教皇”を兼ねるようになった。これらのため、ハルケギニア
各地の神官は口をそろえてロマリアを『光溢れた土地』と称し、生まれた街や村を出ることの
ない人間はその言葉を信じ込んでロマリアに夢を見ている。
 だが、実際にロマリアを訪れて少しでも観察眼を持つ人間ならば、ロマリアが『光の国』と
称される理想郷などでは断じてないことをすぐにでも知ることだろう。実際のロマリアは、
通りという通りにハルケギニア中から流れてきた信者たちが職も住居もない貧民となって
溢れており、明日の食べるものにすら困窮した生活を送っている。その一方で、街には派手な
装飾を凝らした各宗派の寺院が競い合うように立ち並び、同じように派手に着飾った神官たちが
寺院で暇を持て余したり贅沢を極めたりしている。ここまで身分と立場の違いによる貧富の差が
同じ土地に凝縮されている場所は、ロマリア以外には存在しない。アンリエッタなどはこの光景を
『建前と本音があからさま』と評している。
 そんな欺瞞に満ちたロマリアの濃厚な影の世界では、様々な集団の思惑が跋扈している。
“実践教義”を唱える新教徒がその最たる例だが、現在ではある『人外』の者たちが暗躍を
していることは、まだ誰も知らないことであった。
『……』
 そしてその『人外』は今、人間の目には映らない状態である場所を注視していた。そこは
何の変哲もない酒場。だが太陽の出ている内に酒を飲むことは不信心とされるロマリアでは、
昼間の酒場は大体空いているものなのに、今日は大勢の人間が押しかけてひどく賑やかで
あった。しかも外で店を囲んでいる側は、ロマリアが誇る聖堂騎士の一隊であった。
 『人外』はその酒場の中に集っている集団の方に意識を向け、その内の一人を認識すると
声音に暗い情念をにじませた。
『再び現れた……。奴に、あの時の報復を……!』
 酒場に立てこもって、聖堂騎士相手にバリケードを築いているのは誰であろう、オンディーヌを
中心としたトリステイン魔法学院の生徒たちであった。

「……ったく、ロマリアに来て早々えらい目に遭ったぜ。誰かさんの余計な歓迎のせいでな」
 その日の夜、才人とルイズはロマリアの中心地、引いてはブリミル教の総本山たるフォルサテ
大聖堂の自分たちにあてがわれた客室にて、とある人物と会話をしていた。と言うより、才人が
その人物に嫌味をぶつけていた。
「だから、何度も言ってるだろう? 確かに余興がちょいと過ぎたかもしれないけど、これから
待ち受けているだろうガリアとの対決は、あんなものがままごとに思えるくらい過酷なものになる
はずだぜ。あれしきで根を上げているようだったら、あの場で騎士たちに捕らえられてロマリア
から追い出されてた方が身のためってものさ」
「宗教裁判にかけられるところだったって聞いたんだけど!?」
「嫌だなぁ、そういう最悪の事態にはならないようにするためにぼくがずっと近くにいたんじゃ
ないか。さすがに命を取るような真似はしないよ」
「けッ、どうだか」
 胡乱な視線を送って吐き捨てる才人。ルイズも呆れたように肩をすくめた。
 そんな二人を相手に飄々と笑っている月目――地球で言うところの光彩異色の青年は、
ロマリアの助祭枢機卿ジュリオ・チェザーレ。かつてのロマリアの最盛期の大王と同じ名を
名乗るこの神官は、ルイズたちとは先のアルビオン戦役で、ロマリアの義勇軍という形で
対面している。その時から掴みどころのない性格と言動、態度で特に才人を散々に翻弄した
ものだった。


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