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避難所用SS投下スレ11冊目

90ウルトラ5番目の使い魔 23話 (5/11) ◆213pT8BiCc:2014/09/24(水) 01:55:03 ID:kjHCfTJM
 しかし、ふたりの懸命さもむなしくガーゴイルは離れず、シェフィールドの声だけが愉快そうに響く。
「あはは、そんなことをしても武器も精神力も尽きたあなたたちにはなにもできないわ。ここは高度千メイル以上、不時着しようとしてももう遅い。選ぶなら爆死するか、飛び降りて墜落死するかだけよ」
「ざっけんじゃないってば! タバサなら、あの子なら絶対にあきらめないわ」
「ふん、シャルロット姫ね。ならばお前たちも今すぐに後を追うといいわ!」
「きゅいーっ! そんなことないの! おねえさまはきっとまだ生きてるのね!」
 激昂したシルフィードの声が、あと数秒の命だというのにガーゴイルに突き刺さる。するとシェフィールドはガーゴイルを通して、三人に絶望を叩きつけるべく言い放った。
「なら教えてあげるわ! シャルロット姫はもうこのハルケギニアのどこにもいないのさ。ロマリアの妖怪どもの術によって、別の世界に追放されてしまったんだそうよ。死んで魂になってさえ戻ってこれないような、そんな異世界へね!」
「異世界……!?」
 シルフィードとキュルケは、タバサの屋敷での戦いでタバサを吸い込んでしまった空の穴を思い出した。
 あれが異世界への扉? そういえば、ヤプールもあんなふうに空に穴を開けて違う世界からやってきていた。ならば、タバサを救う方法など……
 キュルケ、ジル、シルフィードの心に雹が降る。やれる限り、できる限り戦い抜いてなお、望みが叶わないものなんだと打ちのめされる絶望が心を掴む。
 そしてなによりも、もう時間がない。シルフィードに取り付いたガーゴイルの体は赤熱化して、あと瞬き一回分で爆発してしまうに違いない。
 打つ手はもはや三人ともなにもなく、墜落していくシルフィードとともにすぐに全員が同じ運命を辿るだろう。もはや勝利を逃すわけもなくなったシェフィールドの笑い声が不愉快に響くが、どうしようもないどうすることもできない。
「さあフィナーレね。最後の情け、お前たちの死に顔だけはこの目に焼き付けておいてあげるわ!」
 起爆の時間が来た。ガーゴイルの体内に仕掛けられた爆弾が膨れ上がり、シェフィールドの興奮も最高潮に達する。
 
 ガーゴイルの目を通したシェフィールドの視界の中で、対になるガーゴイルの体表にひびが入り、炎が噴出すのが見えた。
 終わった。これで連中は死んだ! 爆発を見届けたシェフィールドは、爆発の閃光で自分の目までやられないようにガーゴイルとのリンクを切った。それに一瞬遅れて、ガーゴイルの自爆を証拠としてすべてのコントロールも消滅した。
 やった……これであの連中は死んだ。満足げに微笑むシェフィールドに、ジョゼフが問いかけてくる。
「ミューズよ、片はついたのか?」
「はっ、ジョゼフさま! シャルロット姫の母君と使い魔と他数名、たった今トリステインとの国境近辺にて爆死いたしましてございます」
「そうか……これで、シャルロットの忘れ形見も消えたか。また、なんとも悲しいことだな」
 そんな感情など微塵も感じさせずに言うジョゼフに、シェフィールドはうやうやしく頭を下げたまま尋ねた。
「死体を回収いたしましょうか?」
「無用だ。シャルロットに見せ付けてやるならまだしも価値はあるが、今はただの屍よ。それよりも、余はこれから忙しくならねばならぬようだ。余は無能王だからな、つまらぬ仕事でこれ以上疲れたくない、すまぬが面倒を引き受けてもらえぬか?」
 そう言ってジョゼフの見下ろした先には、丸こげの死骸と化したカイザードビシどもの哀れな姿が累々と転がっていた。


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